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本の紹介「生物多様性のしくみを解く」

「生物多様性のしくみを解く」宮下直著、工作舎、2014年4月、ISBN978-4-87502-456-9、2000円+税


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【萩野哲 20141021】【公開用】
●「生物多様性のしくみを解く」宮下直著、工作舎

 第6の大量絶滅を起こしている張本人の人類は、ひとりでは生きていけず、他の多くの生物から恩恵を受けている。本書にはそのような生物間の実態を把握し、本来の姿に戻すべく治療することが肝要と説かれている。生物がなぜかくも多様なのか、その起源、共通性から説き起こし、突然変異と自然選択による進化が、短期間では偶然でも長期間では必然となることが、コイン投げの例えでわかりやすく説明されている。多くの種が棲める理由が資源分割、共生、食物連鎖というキーワードで示されている。どうして増える種と減る種がいるのかについての根本原因の究明に、そのような生態学的視点が役立つのだ。

 お薦め度:★★★  対象:岩石圏を含めた壮大な進化の話を知りたい人

【和田岳 20141024】
●「生物多様性のしくみを解く」宮下直著、工作舎

 著者は東京大学の教授で、群集生態学、とくに3者以上が関わる種間相互作用の研究に精力的に取り組んでいる。そんな著者が、自分の研究をからめつつ、一般向けに生物多様性を解説した一冊。群集生態学から自然環境の保全まで、難しい数式やグラフは使わず、最新の研究成果も交えつつ、日本の自然環境の現状と課題を含めて、上手に一つのストーリーにまとめて紹介してる。
 「レスキュ−効果」(メタポピュレーションによる局所的絶滅からの回復)、「土地スペアリング」と「土地シェアリング」(分かれて暮らすか、一緒に暮らすか)、「眠れる番人」(普段と違う事態が起きた時に、機能が認められる種群)。最近の業界用語も仕入れられる。

 お薦め度:★★★  対象:生物多様性の保全に関心がある人

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