8

重要な採集データ

 その虫が(1)いつ・(2)どこで・(3)だれが採集したものかという情報は,それを標本と呼ぶための最低条件です.どんなにきれいなチョウや格好いい甲虫類が標本箱にならんでいても,ラベルがなければ標本とは呼べず,ただの「虫の干物」です.
 ラベルの書き方は人さまざまです(図7).上記3つを日本語で手書きで簡単に記している人もいれば,外国人でも読めるようにすべてをアルファベットで記していることもあります.私はおおまかな地名をアルファベットで,詳細な地名を漢字で記しています(右上).漢字は2・3文字で地名を記せること,外国人には不要な情報な場合が多いこと,読み方が正確に分からない場合があることなどから,コンパクトで詳細で正確なラベルを作るには,とても便利な文字と思います.
 場所などのデータは細かければ細かいほどよく,メッシュコードや緯度経度・標高を入れたり,花に来ている昆虫であれば花の名前など,採った状況を書き込んだりすることもあります.
 しかし,あまりたくさん書き込むと大きなラベルになってしまい,最後に標本箱に入れるときに収まりが悪いことがあります.そのような場合はデータを2枚にわけ,ラベルを串刺しにします.

図7.ラベルのいろいろ.
(図をクリックすると大きくなります)