梅谷繁雄昆虫類コレクション
コレクション数
3545点

 主に昭和32〜37年ころ,故梅谷繁雄氏が収集された3545点の昆虫類のコレクションで,昭和三十年代の大阪を中心とした関西地方の昆虫標本が多く,外国産蝶・甲虫類も一部含まれます.
 4年前に亡くなられた故梅谷繁雄氏(大阪市生野区鶴橋1丁目)は,高校教諭としての勤務のかたわら,大阪近辺の昆虫を採集されました.普通種を中心にさまざまな昆虫が地道に収集されており,古き良き時代の大阪の自然環境がしのばれます.過去の自然の記録として学術上の価値も高く,見事なコレクションです.

ゲンゴロウ
 ゲンゴロウ類の中で最も大型な種類.大阪府下では,約10年前に茨木市内で採集されたのが最後の記録で,府下では絶滅したと思われます.大阪府レッドデータブックでは,絶滅危惧類として扱われています.
 本コレクションには,生駒山で昭和34年4月18日に採集されたオスと,同年5月17日に採集されたメスが含まれており,2頭の標本が同時期に採集されていることから,他の場所から移動したものが,偶然に発見されたのでなく,定着していたことがわかります.生駒山で4月18日に採集された標本には,他にクロゲンゴロウ,ガムシ,ヒメミズカマキリなどがあり,自然環境の豊かな池や沼があったと思われます.



コバンムシ
 水生植物の多い池沼に生息し,小魚や昆虫を捕食する水生カメムシ類の一種.約10年前の岸和田市内での記録を最後に大阪府では記録がなく,大阪府下からは絶滅した可能性があります.大阪府レッドデータブックのカテゴリーでは,絶滅危惧?類として扱われています.
 本コレクションには,大阪市旭区城北公園で昭和35年4月22日に採集された標本が2頭含まれています.同地では前年にオオミズスマシが採集されているので,大阪市内の池沼の自然環境が,昭和35年頃までは良好に残されていたことがわかります.

<問い合せ先> 大阪市立自然史博物館 電話:06-6697-6221(代)
(1)「宝塚ファミリーランドの哺乳類骨格標本コレクション」については
(2)「梅谷繁雄昆虫類コレクション」については
総括担当者 樽野博幸
動物研究室 和田 岳
昆虫研究室 金沢 至