2025年度 秋季博物館実習 3班2日目(10月9日)
こんにちは!
2025年度秋季博物館実習 3班2日目のブログを担当します。滋賀県立大学のO.Sです。
本日は昆虫研究室の長田学芸員のもとで、昆虫標本について詳しく教えていただき、収蔵庫の見学、標本の分類を行いました。
初めに、昆虫標本がどのようにして作られているのかを教わりました。採集してきた昆虫は虫害を防ぐために冷凍燻蒸(くんじょう)します。次に体を固定し、その後十分に乾燥させ、最後に採集場所・採集日・採集者を記録したラベルを付けておきます。
ラベルがないと標本とはいえず、昆虫標本の場合、ラベルのデータは当時の生息環境や植生を知る重要な手がかりであるようです。
次に、収蔵庫内の昆虫標本を見せていただきました。日本産の種から外国にしか生息していない種、絶滅種、現在は天然記念物となっている希少種など様々な標本があり、体色や紋様、体長の大きさも種によって様々でした。世界各地の希少なチョウとガの標本についても見せていただき、美しい体色や紋様など、個性的な特徴をもつ標本の数々に圧巻されました。これらの貴重な資料を保存していくことは、学芸員の重要な役目だそうです。
実際に標本を用いた分類も行いました。チョウとガは触角の形状の違い、トンボは均翅亜目・不均翅亜目という翅の形状や胴体の太さの違いをもとに分類しました。
特にチョウとガは触角の形状が似ていることもあり、分類の難しさを実感しました。この「分類」については、DNA解析などによって1種(同種)だったものが2種(別種)になることもあるようです。逆に、同種でありながら生息地の環境により形態的特徴が大きく異なるものもあると知り、分類の奥深さと長田学芸員の豊富な知識に感心しました。
最後に、長田さんが行われている調査研究や学芸員の仕事についてのお話を伺いました。長田さんが扱われているシイタケの害虫となるガは非常に微小であり、専門技術を駆使して微細な形態的特徴をもとに種の分類を行うようです。DNA解析のような技術もですが、緻密ながらも形態的特徴による分類はその場で行うことができるため重要であることが分かりました。また、お話の中で、学芸員は調査研究の他に、資料の整理や保存をはじめ、展示企画を考えたり、教育普及活動など多くの業務があり、専門知識や技術の他にも様々なスキルが必要であることを学びました。
本日の実習を通して、博物館資料の分類・保存の重要性を改めて感じました。特に、実際に標本の分類を行ってみて、資料を分類することの難しさを体感し、学芸員には豊富な専門知識や技術が求められるのだと分かりました。また、博物館資料の活用に関して、学芸員は様々な業務を行っていることも分かりました。資料の保存・活用のどちらもの観点から、学芸員の役目や仕事について学ぶことが出来た大変有意義な一日でした。


