2025年度 冬季学物館実習 4日目(1月14日 保存科学)

皆さん、こんにちは!

2025年度 冬季学物館実習 4日目 のブログを担当します、近畿大学のC.Mです!

この日は保存科学について、資料の保存担当の学芸員である藤田さんに教えていただきました。

 保存科学というのは、もちろん資料の保存について科学なワケですが、現在では、その意識が少し変わってきているそうです。というのも従来では資料に何かが起こったときに、どのように対処、修繕を行うかというのが重視されていました。しかし、科学技術が発展してきた今、「資料に何かが起こらないように、保存環境を整えよう」という「予防的保存(preventive conservation)」の考え方に変化しています。そのため、それぞれの資料にあった湿度と温度を設定し、それを維持する必要があります。また、壁材であったり、展示に使われる木材であったりからも有害物質が出る可能性があります。そういった、材料のリスクについても正しい知識を持って配慮し、モニタリングを続けていく必要があるそうです。また、展示会などで外部に展示ケースなどの作成を依頼した際に、それらが展示品に有害な物質を出していないかの測定も行っているそうで、学芸員の最も大切な仕事の一つだと教えていただきました。

 こういった、保存科学の基礎を教えていただいた後に、特別展示や収蔵庫を見ながら、実際に行われている資料管理について教えていただきました。展示室や収蔵庫の各所にはデータロガーと呼ばれる、温湿度を計測する機械が置いてあり、それらを定期的に確認することで、環境に変化が無いかをモニタリングしているそうです。また、このデータをただ記録するだけではなく、しっかりと長期的にモニタリングすることが必要だと教わりました。特に収蔵庫では数年単位の長期的な変化に気付く必要があるので、視覚で直感的に分かりやすいグラフなどを作ることを推奨しているそうです。

 そして、午後からは特別収蔵庫の掃除を行いました地下にある特別収蔵庫は2階建てになっており(厳密には大きな2段の棚があるということになっているらしいですが)、その2階の床が格子状になっていて隙間が空いています。そこから小さい物が落ちないようにするためなどの理由で段ボールが敷かれていたのですが、段ボールは保温性や保湿性に優れ、害虫の温床になりやすいので、その撤去作業のお手伝いをさせていただきました。

 その後、現在研究されている、トレハロースという糖を使った資料保存方法について教えていただきました。この方法は従来までの石油製品を用いた保存方法と違い、天然由来の素材を使っているので、環境にも優しい方法だそうです。しかも、トレハロースは結晶性が高く、格段に早い時間で処理を行うことができます。糖でコーティングして、資料保存を行うということで、害虫などが寄り付いたりしないのかという疑問が湧くかもしれません。しかし、虫は結晶化した糖を食べたりすることは出来ないらしいです。

 このように、現在収蔵されている資料のモニタリングと管理を行いながら、新たな保存方法についても研究していく。これもまた、学芸員の仕事であることを実感し、学芸員という職の幅広さについて改めて意識する機会になりました。