博物館実習 5 日目 (1/15) 博物館展示の裏側

こんにちは! 1/15 実習生ブログ担当の大阪公立大学MKです。1/15 は無脊椎動物化石担当の前川さんとともに展示のメンテナンスをしてきました! 普段は甲虫を始めとする昆虫を扱っているので、地学系は初心者です。

自然史博物館では脊椎動物、無脊椎動物、植物化石の 3 分野の化石担当者がいるそうですが、無脊椎動物の担当者は岩石も担当になるとのことです。無脊椎動物の歴史の長さを考えると、無脊椎動物担当の負担はかなり大きいのではないかと感じました。

最初は情報センターの展示ケースの固定です。人が抱えられる程度の大きさでポツポツと置かれている展示ケースですが、実は着脱可能で扉から中のお手入れもできるようです。中の展示物を壊さないように、元あった位置にそっと置きます。特に目印などはありませんが、展示ケースで覆われている部分以外は日焼けで色が変わっているので一目瞭然です。本館より新しいとはいえ、歩んできた歴史を感じますね。

工具でしっかり展示ケースを固定した後は本題の岩石・化石の展示ケースに移ります。普段は石が並べられているケースですが、この日はきれいさっぱり取り払われていました。まずはケース内の掃除から始めます。掃除機やコロコロを使ってケース内のゴミを取り除いていきます。一見すると密閉されているように見える展示ケースですが、サッシの部分にコメツキムシの死骸が落ちていたり、敷物のフェルトに穴が開いていたりします。よく見るとケースの隅に小さな虫の殻が! カツオブシムシ類の蛹の殻でした。どうやらフェルトに空いた穴はこれの仕業のようです。岩石ではあまり心配はないかもしれませんが、これが動物の展示だったらと思うと怖いですね。

続いてガラス戸の拭き掃除です。どこからか生じたしつこい汚れを洗剤でゴシゴシと擦り落とします。他の実習生と互いに拭いたガラスを見比べながらできる限りきれいにしました。

掃除が終わると展示の復旧です。展示の撤去前に撮影された写真を見ながら、岩石や岩石の名前が書かれた板を並べていきます。私は火成岩のケースを担当しました。数年前に地球物質科学の授業ででてきた岩石を実物で見て、「こんなものなのか」と思いながら並べていました。いかにも野外から取ってきたままの状態です、といった感じのものもあれば、切断されて綺麗に断面が磨かれているものもありました。見た目が綺麗なのもいいですが、私は自然のままの状態のほうが好きです。

展示ケースに置くものの中には、岩石や板だけでなく小さな直方体もありました。これは岩石と床の間に噛ませて用いられ、岩石の傾きを微調整するために用いるものです。岩石には種類ごとに特徴がありますが、それを来館者に知ってもらうにはその特徴がよく出た部位をよく観察できるようにすることが望まれます。そのような良い部位に照明を当てつつ観る人のほうに向けるために、このような微調整が行われるのだそうです。化石の場合は化石の部分がよく見えるように……といった具合です。その結果として、最終的に撤去前の写真の状態とは異なる置き方になったものもありました。学芸員のみなさんの細やかな仕事によって博物館の学びは担保されているのですね。

メンテナンスしていた展示の中に、シュワゲリナという仲間の化石がありました。たくさんのシュワゲリナが密集して化石になっています。シュワゲリナにとっては大惨事に見えますが、何故このようなことが起こるのか気になって質問してみました。シュワゲリナを始めとするフズリナの仲間は褐虫藻などの藻類を共生させていたようで、浅瀬のタイドプールなどで陽光を浴びながら集団でゴロゴロとしていたのだとか。現代人からすればうらやましい限りですね。これが埋まったり一気に波に攫われたりして集団で化石になったのではないか、とのことでした。生態を出発点に考える過程は、昆虫採集におけるポイント選定やフィールドでの探索に似ていると感じました。

本日の実習を通して、展示は単に標本を並べるだけのものではなく、学術的な背景と来館者の学びを両立させるための細やかな仕事によって支えられていることを実感しました。この経験は、博物館における展示の背後に潜む本質の一端を学ぶ貴重な機会となりました。また、自然物にはひとつひとつに文脈があり、それを繙きながらこれまで辿ってきた道について、あるいはこれから辿る道について思いを馳せることはどの分野にも共通する醍醐味の一つなのだと感じました。