2026年度博物館実習 1班4日目(8/22)

1班の博物館実習4日目。この日は、植物研の横川さんにご指導いただきました。

実習では、まず大まかな流れをご説明いただいた後、他機関の研究員の方が植物園で植物採取調査をされている様子を見学し、その後植物園内を案内していただきました。 植物園は博物館と比べると展示情報が限られていることが多いため、博識な横川さんの解説を伺いながら園内を散策できたことは、知見が深まり非常に楽しい時間でした。また、特定の植物を専門に研究されている他機関の研究者の方のお話も大変興味深く、貴重な機会となりました。

私自身の専攻分野ではフィールドワークを行う機会がほとんどなかったため、今回が初めての本格的なフィールドワークでした。新鮮な体験ばかりで、とても充実した時間でした。

ここで、私の気に入った竹林付近の植生のお話をいくつか紹介します。これらはすべて現地で伺った解説をもとにまとめた内容です。横川さんの知識の豊富さと説明の的確さに、思わず感心してしまいました。

  • 竹林

竹や笹は管理を怠るとすぐに増殖し、種類が混ざってしまうことがあります。そのため、実際には把握しきれていなかったり、看板の表記と目の前の竹が異なる種である場合もあるそうです。 例えば、現在「ハチク」と表記されている区画に生えているのは、実際には「ヒメハチク」であるとのことでした。

こうした混乱が起こる理由として、生物学における「種」の概念が関係、一般的には「孫世代まで同種同士で交配・繁殖が可能であれば同種とする」という考え方が関係しています。しかし、竹の開花周期は約120年に一度であるため、種の識別を短期間で行うことが難しいのだそうです。 近年はDNA解析が進んできたものの、葉の生え方、節の形状、タケノコの皮など、細かな形質を観察して判断する方法が依然として主流とのことでした。

竹林観察に興味のある方には、ぜひじっくり観察していただきたいと思います。植物園のイベントで、分類の解説を受けた後に実際の竹林で種の違いを見分ける体験会があれば、とても楽しそうだと感じました。

  • ワルナスビ

長居植物園にはワルナスビが多く見られるそうです。小さなトマトのような実を鳥が食べて種を運搬したり、地下茎が伸びて増殖したりするため、竹林の足元にも多く見られました。 外来種で、昔試しに植えられたものが管理不足で増えてしまい、困った人々が「ワルナスビ」と名付けたという由来が面白かったです。

  • ひっつき虫

正式名称ではありませんが、来園者の衣服などに付着して侵入することが多い植物です。竹林では、景観のために沿路からさらに1メートルほど竹が刈り取られており、見通しが良いです。沿路に近いその余白部分に生えているため、侵入経路が分かりやすく、したたかに生きている様子が面白くて印象的でした。

さらに、長居植物園では月に2回観察会が開催されており、植物回と動物回がそれぞれあると伺いました。毎回事前の下見も行われているとのことでとても手が込んでおり、ぜひ参加してみたいと感じました。

また、私個人としては、動植物を目にするとつい「これは食べられるのだろうか」と考えてしまう癖があるため、植物園の植物が食用可能かどうかを解説していただける専門回があれば、ぜひ参加してみたいと思いました。もし実地で採集や調理を体験できるイベントが友の会で開催されることがあれば、喜んで駆け付けたいです。

続いて、植物標本の観察を行いました。

100年前の標本を用いて研究が進み、その成果がさらに新たな研究へとつながった事例のお話は非常に興味深いものでした。標本を用いた基礎研究は思わぬところから大きな成果が得られることもあり、こうした研究がより活発に行われる世の中になってほしいと感じました。

また、植物標本の保存に関するお話を伺い、収蔵庫で防虫剤を入れる作業も体験しました。有機物の保管の難しさを改めて実感しました。また、チャタテムシには、私自身も家庭で駆除に苦労した経験があるため、深く共感してしまいました。

有機酸を防ぐため導入した金属製棚で、新品の棚の匂いが実は塗料由来の有機酸だったというエピソードも面白くて印象的でした。

収蔵庫の資料を見学しつつ、標本管理作業を手伝えるようなイベントがあれば、楽しみながらボランティア参加してしまいそうだと感じました。

最後に、標本の調査を行いました。過去に大量寄贈された教授のコレクションの中に、大阪市立自然史博物館に収蔵した記録があるものの現物が確認できていない標本が存在するため、未分類の資料を開封する調査でした。

残念ながら今回は該当標本を見つけることはできませんでしたが、お宝探しの工程も楽しく、ロマンのある調査で非常にわくわくしました。分類作業に従事してでも収蔵庫の未登録・未分類資料をすべて確認したくなるほど楽しい体験でした。

今回の実習を通して、植物園という場が持つ奥深さと、標本や収蔵資料が支える研究の重みを改めて実感しました。園内での解説や標本室での作業体験など、どの場面でも横川さんが豊富な知識を次々とわかりやすくお話しくださり、その専門性の高さに毎回強い感銘を受けました。 普段触れることのないフィールドワークや標本調査の世界に触れられたことは、私にとって大きな刺激となりましたし、研究の現場を支える方々の努力を肌で感じる貴重な機会となりました。

今回の経験をきっかけに、植物園の観察会にもぜひ参加してみたいと思います。学芸員の皆さまの丁寧なご案内と温かいご対応に心より感謝申し上げます。これからも植物や標本の世界に触れながら、学びを深めていきたいです。

東京農業大学 H.N.