2025年度 夏季博物館実習二日目(8月21日)
2025年度夏期博物館実習、二日目の様子を書かせていただきます、Y大学のKです。この日、わたしたちの班では植物研究室の佐久間先生のご指導のもと、キノコの未登録票本の登録のための作業を会議室で行いました。
標本は富山県内の植物園から、その移転に際して大阪市立自然史博物館へ託されたもので、今回扱った「腹菌類」(トリュフなどが属する軸が無い形態のもの)だけでも1000点近くあります。それぞれが10㎝くらいのプラスチックケースに入っていて、その名称と採取者、日時や場所、標本の整理番号などが書かれた紙片が添えられています。手書きの文字からは一般の愛好者や研究者の方々の熱意が伝わります。一つ一つが将来の研究につながる貴重な標本だと思うと、独特の緊張と責任感を感じながらの作業となりました。
これらを、植物園からいただいたリストと照合して名称の五十音順に並べなおし、最後に当館における資料番号(キノコは“OSAMY○○○○”)のラベルシールを貼ります。標本にとっては第二の人生が始まる瞬間です!!この博物館で、大切に守られていくことはもちろんですが、サイエンスの発展に貢献するという使命をも得たわけです。
佐久間先生は、資料は使ってもらえることが大切だと仰います。そのために、保存だけでなくデータベースの管理や公開も重要なのです。学芸員のみなさんは「共有財産の管理人」という意識を持っておられるそうです。これらの言葉は、博物館で働くことをめざすわたしにとって、この先ずっとお守りとなることでしょう。お婆さん実習生のことを分け隔てなくご指導くださった佐久間先生と、朗らかに接してくださった班のみなさんのおかげで、宝物を手にすることができた思いです。ありがとうございました。
後悔が残るのは、大量の標本に圧倒されてしまい、先生にいろいろ質問をしたり標本をよく観察したりするチャンスを逃してしまったことです。博物館には、様々な責任の重い仕事がなんと大量にあるのでしょう。博物館に足りないものはスペースとお金です、と前の日に伺った記憶がありますが、「お金」には人手が含まれているようです。
ところで、このように心動かされる時間を過ごしていた会議室には、ある音声が流れていました。この日は現在催されている特別展のマーケティング会議が開かれていて、佐久間先生は実習指導のため出席はされず、指導の傍らノートパソコンを使ってオンライン参加されていたのです。会議で連呼されるのは超現実的、絵に描いたようなマスコミワードたち・・・理想と現実のバランスをとることも、博物館学芸員の仕事の一つなのかもしれません。


