冬季博物館実習 4日目(1月14日)

こんにちは。冬季博物館実習4日目ブログを担当する、聖徳大学N・Hです。

 本日の実習では、松本学芸員の指導の下、昆虫標本を主とした分野についての実習をおこなった。

まず、大阪市立自然史博物館の資料収集に関する基本的な概要と情報についてのレクチャーを受けた。博物館は資料収集を基盤とする社会教育施設であり、どのように資料を入手し、管理しているのかを、同館の実例を通して学んだ。

 大阪市立自然史博物館では、二百万点以上収蔵されている資料の多くが寄贈や交換によって収集されており、アマチュア研究者からの寄贈や、他の博物館・研究機関との資料交換などがその例として挙げられていた。

その後、特別収蔵庫で実際に標本をみながら、実際に昆虫標本がどのように保存・管理されているのかについて、具体的な事例を通して理解を深めた。

 次に、ウスバカゲロウの標本作製実習をおこなった。今回作製したのは、昆虫標本の中でも「乾燥標本」と呼ばれる、虫体を固定して保存するタイプの標本である。ウスバカゲロウは体が非常に細く針を直接刺すことが難しいため、胴体を三角形に切った台紙に木工用接着剤で貼り付け、その台紙を針で刺して、ドイツ箱と呼ばれる木箱の中に入れるまでの一連の作業を体験した。実際に自分の手で標本を作製することで、実物標本の作成には高い技術力と繊細さが求められることを実感した。

 その後、自分達で作成した標本について、詳細な種の分類の同定作業をおこなった。これは、配布されたチェックシートに従って形態の特徴を確認しウスバカゲロウ科のどれに該当するか見分けるものである。例えば、後羽の胴体側中央付近に横脈が2本以上ならウスバカゲロウ亜科、1本ならマダラウスバカゲロウ亜科、マダラウスバカゲロウ亜科に分類されたもののうち、前羽の翅脈の分岐をみたとき下側が羽のつけ根に近く、両枝の角度が平行であればヒメウスバカゲロウと同定することができる、といった流れで同定作業を進めた。

 この作業を体験する中で、昆虫種の同定の難しさを実感した。実際の研究では、図鑑などである程度判断できることも多いが、現行の研究段階では答えが分からないまま同定作業を行うことも少なくないという。例えば、ホシウスバカゲロウとクロホシウスバカゲロウは、かつては同一種と考えられていたが、近年になって別種と判断された例がある。これらは、今回私達が作成したような標本などによる記録や研究の積み重ねによってのみ可能になっているのである。

 今日の実習を通して、博物館に所蔵されている膨大な数の標本と、それにまつわる技術を後世に受け継ぐことの意義を改めて考える機会となった。