2016年秋 博物館実習3日目 4班

実習3日目の4班ブログ担当のM.Tです。よろしくお願いします。
実習も3日目となり、班のメンバーもとても打ち解けてきたように感じます。
さて、この日の実習内容についてですが、担当であった学芸員の方が午後は用事のため、午後は別の学芸員の方が担当となりました。そのため、1日で分野の異なる2人の学芸員の方の作業を手伝わしていただき、とても内容の濃い一日となりました。
午前中は、植物担当でキノコ類が専門である学芸員の方のもとで、キノコ類の標本の製作から登録までの過程を教えていただき、登録前のキノコ類標本を整理する作業を行いました。
標本というと、昆虫標本のような乾燥標本や魚介類などの液浸標本を思い浮かべますが、キノコ類の標本製作はそれらとは異なります。具体的な製作方法は、まず採集したキノコ類を凍らせ、それをフリーズドライの機械に入れて氷を昇華させ乾燥させます。このような行程をふむことで、標本の細胞などを破壊せずに乾燥させることができるそうです。
そうしてできたフリーズドライのキノコは、採集日時と場所・和名が記されたラベルとともに別々に袋詰めされます。私達はこの行程をお手伝いしました。
フリーズドライによって水分を抜かれたキノコは見た目や色はほとんどそのままのように見え、目にも楽しい作業でした。また、キノコ標本のかさ部分を一部切り出し、顕微鏡で観察してみると、胞子やそれを支える担子器などの細胞が観察でき、この標本は展示だけでなく実際の研究にも活用できるものなのだと実感できました。
午後は、主に鳥類や哺乳類といった陸上の動物を担当している学芸員の方の指導のもと、あらかじめ肉を腐らせていた犬の骨に残った付着物を取り除く作業を行いました。
哺乳類や鳥類の骨格標本を製作するには、まず手に入った動物の死骸の革や内臓を除き、肉を腐らせる必要があります。肉を腐らせるには、水につけたり砂場に埋めるなどの方法があるそうです。そうすると、微生物や昆虫によって肉が分解・摂餌され骨だけが分解されずに残ります。しかし、あまり長時間放置していると骨まで傷んでしまうことがあるので、一番デリケートな頭部の状態を基準として取り出すそうです。
取り出された骨には汚れや昆虫の死骸、そして腐りきらなかった軟骨や筋などが付いているため、これを取り除く必要があります。私達はこの行程をお手伝いしました。そうして余計なものを取り除いた骨は、乾燥させれば標本として完成するそうです。
骨から余計なものを取り除く作業は、とても小さな骨や力を入れすぎると折れてしまいそうな部分があり、また今回扱った骨がペットとして飼われていたシェパードの骨であるということもあり、失敗すると貴重な標本の価値を下げてしまうだけでなく飼い主の方にも申し訳ないため気の抜けない作業でした。しかし、今洗っている骨がどの部分か想像したり、人間と犬の骨格の違いや老いた動物の骨の特徴(この犬は老犬だったそうです)を観察することができ、とても興味深い作業でした。(それとは別に、普段あまり見ることができない腐肉食性の昆虫が混ざっていたりして面白かったです。)
今回の作業で、普段私達が博物館で目にする標本の数々は出来るだけ長く、そして研究対象として価値のある状態で保存するための様々な工夫がされていることを実感することが出来ました。
実習も後半になりましたが、残りの日程も学芸員の仕事についてよく学び、意義のある実習にしたいと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です