冬期博物館実習 最終日

1班はハゼを専門とする松井学芸員に教わり、魚類の標本についての実習をさせていただきました。
魚類の標本とは、魚をアルコール等につけて瓶で保存する液浸標本と呼ばれるものです。しかし、液浸標本は透明の液体に浸かっているため背景がなく、標本そのものは少し見えづらいという難点があります。博物館ではこのような液浸標本を来館者の皆さんにお見せするとき、魚の後ろに白い綿を詰めたりすることがあります。このような工夫をすることで、少しでも興味を持ってもらえる展示を作ります。
今回の実習では、他の博物館の展示に貸し出しする標本に綿を詰め、色がついてしまい汚く見えるアルコールを新しいものに取り替える作業を行いました。作業を終えた標本たちは茶色い液体に浸かっている魚から、白い背景に浮かび上がる「展示品」に変わりました。魚は色々な形や大きさをしているため、種類ごとに展示の方法の工夫も異なります。学芸員さんは1つ1つ頭を悩ませて展示を作っていることがよくわかります。
また、大阪市立自然史博物館はとても多くの液浸標本を保管しています。そのほとんどは展示には使われていない研究のために保存されている標本ですが、すべての標本には大変な価値があります。学芸員さんはそれらの標本を定期的に見て回り、アルコールが減っている瓶がないかをチェックします。
私たちも今回、収蔵庫の中にいくつもある棚の中の1列をチェックし、魚の体がアルコール面からでてしまっているもののを取り出し、液を足していきました。実習生は3人もいたため作業を分担してできましたが、普段学芸員さんは一人で作業をしています。1つとして傷つけてはいけない標本のメンテナンス作業にも効率が求められます。
今日の実習では展示用の標本作りと標本のメンテナンスの作業以外に保管用の標本作りも学ばせていただきました。5日間の実習の間、色々な学芸員さんの元につきましたが、その業務は本当に多様で、1つとして同じことはしませんでした。学芸員という仕事は常に勉強し続けなければ勤まりません。大変であるとは思いますが、業務について生き生きと解説をしてくださる学芸員さんたちを見ていると、とても有意義な仕事出ることが分かりました。
 
G大学 R.S

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