2019年度 博物館実習5日目

 1月17日(金)、博物館実習最終日です。この日、私たちの班は佐久間先生の指導のもと、資料の整理を行いました。
 対象となる資料はキノコのスケッチです。菌類学者の本郷次雄氏によって作成されたこれらのスケッチは、挿絵として図鑑にも掲載されており、図鑑の情報が正しいかどうかを確認するために用いられています。このスケッチを保存・データベース化・スキャンすることが主な実習内容です。
 保存の作業では、複数枚で1か所にまとめられていたスケッチを1枚ずつ封筒に入れていきました。中性紙の封筒に個別で入れることで紙の酸化や水彩の劣化を防ぐことが目的です。同時に、学名や採取した日時など、スケッチに記載されていた情報も封筒に書いていきました。何を描いたスケッチであるのかをわかりやすくするためです。
 保存が終われば、次はデータベース化の作業です。ここではスケッチに記載された情報をコンピュータに打ち込んでいきました。先に挙げた、学名や採取の日付はもちろん、通し番号や採取場所についても記録していきます。図鑑に掲載されている場合には、備考に図鑑のタイトルも記載しました。
 データベース化に前後して行われたのはスキャンの作業です。デジタル資料としてスケッチを保存していきました。そして、スキャンの際には目盛りと色見本が記載された小さな用紙を隣に設置しました。閲覧する媒体や出力の設定が変わっても、資料の実寸と本来の色味をわかるようにするためです。なお、実習の終わりには、班のメンバー全員それぞれ1枚ずつ、自分がスキャンしたスケッチのコピーをいただきました。
 最終日の実習を通して私が実感したのは、あらゆる資料はすべて保存・記録されなければならないということです。これは、博物館実習生であるなら何を今さらと思うような当たり前の知識です。ですが、資料が持つ意義を知って、実際にその資料を扱うことで、その知識を心で理解することができました。だからこそ、ただの作業ではなく、意味を見出して実習を進めることができました。
和歌山大学 I・F

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