2025年度 秋季博物館実習4日目(10月11日)

こんにちは。博物館実習4日目のブログを担当します。大阪公立大学のM.K.です。

本日は和田学芸員のご指導のもと、午前中にピューマの骨を洗う作業、午後にキョンの骨を洗う作業を行った後、収蔵庫&屋外標本ツアー(主に骨格標本)に参加しました。ピューマはネコ科の動物の一種、キョンはシカ科の動物の一種です。なお、本日骨を洗った動物個体は、死亡後、砂に埋める作業と水に浸す作業を経て、十分に腐敗が進んだ状態のものです。

 午前中の実習では、まず、作業について注意することについての説明を受け、その後、5人の実習生と和田学芸員で、担当するピューマの骨格を部位別に分け、筆者以外の実習生4人が前脚または後脚の1本を、筆者が椎骨と肋骨を、和田学芸員が頭骨を洗うことになりました。バットに担当する部位の骨全てを入れ、洗い場にてバットに水を張り、歯ブラシを使って骨についた肉の残りかすなどを落とし、骨をきれいにする作業を行いました。作業中は、事前に注意があった、(骨を)「壊さない・無くさない・(他の部位と)まぜない」の3箇条を意識しながら、骨を1つずつ歯ブラシで掃除していき、掃除できた骨は、順に水切り用の穴が空いたバットに入れて自然乾燥させました。脚などにある小さな骨は、バットの穴を通過してしまうため、柄を取った茶こしに入れました。

全員が骨を洗い終わった後、和田学芸員より、部位ごとの説明があり、他の分類群の動物の骨と比較してどのようなつくりになっているか、生体ではどういった形で骨が組まれているのかなどの解説を聞きました。午前中の最後には、実習生5人を2人と3人の2グループに分け、2人グループ(筆者はこちらに配属)は肋骨を、3人グループは椎骨を組み立てる作業を行いました。作業中は、ブタの(組みあがった)骨格標本を参考にしながら、それぞれの骨の形状や長さを観察して、前後軸に沿って並べました。

 組みあがったピューマの骨格標本の写真を以下に載せています。なお、頭や脚、尾の骨は和田学芸員に並べていただきました。また、脚の先端部は骨の数が多いため、今回は並べていません。

   ピューマの全身骨格

      ピューマの頭骨

 午後は、午前と同様の流れで、キョンの骨を洗いました。筆者は脚の骨と、椎骨の一部を担当しました。キョンの骨はピューマより小さく扱い辛かった点に加え、今回実習に用いた個体は若齢でまだ子どもだったこともあり、一部、癒合できていない骨が外れるような状態だった点もあり、午前よりかは洗う難易度が上がったように感じました。洗い終わった後、実習生で骨を組むことにもチャレンジしましたが、時間の都合上途中で断念したため、写真は掲載しておりません。

 キョンの作業が終わった後、和田学芸員より、主に動物の骨格標本を対象とした収蔵庫ツアーが行われました。今回は、レッサーパンダ、ゾウ、キリン、アシカ、カピバラ、サイ(角)、クジラ、シカ、ダチョウ、ヒクイドリ、フタユビナマケモノ、コアラ、ジュゴンなどの骨格を解説していただきました。いずれも、実物の骨格標本を直接観察したことは無かったので、とても新鮮でした。レッサーパンダとコアラについては、生体と骨格の頭の形状にギャップがある点が面白く感じました。

 最後に、屋外に出て、クジラの標本用骨格と、動物の死骸を腐敗させるための砂場を見学させていただきました。クジラについては、和田学芸員より、解体時のエピソードなども交えた解説をいただいたので、骨格からだけでは分からないことも知ることができました。

 今日の実習を通して、実際に実物を見て、触って、観察することから得られる知見が如何に多いかを知ることができました。同じ哺乳類でも、個体の年齢や種の違いによって、骨の形状や癒合の仕方、発達する部位は全く異なります。収蔵庫ツアーでは、普段から様々な分類群の哺乳類・鳥類の標本を作成なさっている、和田学芸員の経験が遺憾なく発揮されていたように感じました。筆者も、身近な食品(鶏、魚など)を食べる際には、骨に注目し、標本用に取っておいて観察することで、実物ならではの新たな知見を得ていこうと考えました。