2025年度 秋季博物館実習 2班4日目(10月11日)
こんにちは。博物館実習4日目のブログを担当させていただく、関西学院大学のK.Hです。
この日は植物研究室の佐久間大輔さんのもとで、主にキノコの標本整理を行いました。午前も午後も、アマチュア研究者の方々から寄贈されたキノコ標本をひたすら「あいうえお順」に並べるという作業です。単純なように思えますが、ダンボール1つに40〜50個ほどの標本があり、そのダンボールが7つほどあったため、かなりの量であったことが伺えます。今回の寄贈標本はなんと1万点を超えるそうで、その膨大な数にまず圧倒されました。個人でこれほど多くの標本を集められる情熱と探究心には本当に驚かされました。
あいうえお順で整理するのは、専門知識がなくてもできる方法であり、後に知識のある人が分類しやすくするための大切な工程だと教わりました。知識のある人とない人が役割を分担しながら作業を進めていく仕組みはとても合理的で、収蔵品の収集、整理の分業の緻密さに驚きました。ただ、標本の中にはラベルが抜けていたり、分類があいまいなものも多く、これを整理・管理する学芸員の方々の苦労を改めて感じました。このような地道な作業の積み重ねが研究の基盤を作っているのだと強く思いました。
午後には収蔵庫にも入れていただき、貴重な標本を見学しました。特に印象に残ったのは「冬虫夏草」の標本です。冬虫夏草とは虫などにとりつき、その体を養分にしながら育つキノコの仲間であり、最終的には死んだ昆虫の体から子実体を生やすという恐ろしい生態を持っています。キノコ研究者である夫が採集し、押し花などの手芸が趣味の妻が標本を作成したものであるらしく、冬虫夏草の標本をコケなどで美しく飾りつけ、まるで芸術作品のようでした。保存状態も良く、丈夫であると教えて頂き、見た目の美しさと保存性を両立させている点に感動しました。また、その他にも乾燥標本を顕微鏡で観察させて頂いたのですが、標本に水を少しかけるだけで胞子の形が鮮明に見え、長期保存された標本でも種の同定ができることに驚きました。
一日を通して、膨大な努力や工夫、そして多くの人々の協力によって博物館が成り立っていることを実感した一日でした。


