2018年夏期博物館実習3日目5班

5班のMOです。
実習3日目、5班は植物標本の整理を行いました。収蔵庫内の様々な標本コレクションを見て、標本の様式や必要性について学びました。植物標本はさく葉標本と呼ばれる様式、いわゆる“押し花”で作成されることが多いです。押し花との違いは、学名、科名、採取場所(緯度経度や標高も含む)、採取日、採取者、同定者などが書かれたラベルが必ずつけられ、台紙に貼り付けられることです。また、標本は利用者が使いやすいように科ごとやコレクションごとに分けられて収蔵庫内に配架されます。
情報化が進む現代では、インターネットにつなぐだけで簡単に多くの情報が得られ、カメラの質も良いため標本は必要ないのでは?という疑問が浮かぶかもしれません。しかし、表面の毛の質感やDNAの採取など“実物”でなければ分からないことが多くあります。また、標本は1種につき1つあればよいというわけではなく、同じ種においても様々な場所でとることによって、可塑的な変化や地域変異などを比べることができます。さらに同じ場所においても様々な年代で標本を採ることによって、その種の分布域の変化、土地の植生の変化を知ることができます。
そのため、標本は自然史を知り研究を行う上でとても重要な役割を持ちます。これらのことは標本について学ぶ上ではよく聞く内容ですが、今回の実習で日本や世界各国、数十年も前の標本を実際に見ることで改めて実感することができました。
また、実習を通してとても印象的だったのは、標本は多ければ多い程よいというわけではないということです。植物に限ったことではないですが、標本を収蔵しておくスペースと標本を作製・管理する労力も大切な資源です。そのため、寄贈された標本をすべて受け入れるのではなく、保存すべき標本を“目利き”することが重要で、この“目利き”こそが学芸員の腕の見せ所だそうです。寄贈されたものの状態やラベルの情報から残す標本を選ぶことによって質の高い標本コレクションを維持できるのだなと思いました。

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