令和2年度博物館実習(夏季一般コース) 3日目

早いもので、博物館実習も今日で折り返しです。
私たち4班は、登録済みのヘビの液浸標本を整理・配架する作業を行いました。
液浸標本で用いる保存液には2種類あります。ホルマリンとエタノールです。
ホルマリンは、一般的に「これが標本や!」と言われると「おお、、これがホルマリン漬けかぁ、、」というふうに連想されると思いますが、現在では発ガン性が指摘されていることと、保存中に酸化が進み、ギ酸を生じて標本を劣化させてしまうことから、保存液としての使用はほとんど減ってきています。
そのため、エタノール漬けの標本が主流になっているのですが、ホルマリンと比べるとコストがかなりかかるそうです。また、エタノールには強い脱水作用があるため、ホルマリンを使って形を整え固める、固定という作業をしないと、標本がしわしわに縮んでダメになるそうです。
標本というのは、とってきた、もしくは拾ってきた生きものを、研究者たちが調べられるように残し、保存するのが目的です。
今日私たちが扱ったヘビたちが浸かっている保存液は、見るからに古そうなものがたくさんありました。古いものは、ホルマリンに浸かっている可能性が高いです。うっかりフタを開けると、”今回の場合は”少し厄介なので、フタを開けずに中の溶液がどちらであるかを判断しました。主な見分け方は、少し振ることで出た泡がすぐに消えるか、残るかで見分けます。消えたらエタノール、残ればホルマリンです。
新しい、液が無色透明なものはほとんどがエタノールでしたが、古く、褐色でわずかに白濁していたものはホルマリンであることが多かったです。
私たちの作業は、ヘビの入ったビンの蓋に標本番号とヘビの種類、採集地を書き込んで、収蔵庫を利用する人たちが簡単に目当ての標本を見つけられるように整理することでした。作業を進めていると、未登録のものやホルマリン漬けのものなどがありました。ホルマリン漬けのものは、その旨を書き込み、それぞれ整理して配架を行いました。
今日の作業は、学芸員の管理者としての役割を実感できた上に、「本当は魚の勉強が予定されていたけれどヘビを扱った」という体験で、学芸員に必要とされるオールマイティーさも実感できたので、とても有意義でした。地道な作業は、とても楽しかったです。
Kindai M.