2022年度冬季博物館実習5日目(1月12日)
滋賀県立大学のMHです。
博物館実習5日目は、午前に寄贈された文献資料のデータ入力、午後からは植物化石のプレパラート標本の番号付けを行いました。指導は地史研究室の西野学芸員にしていただきました。
寄贈された文献資料の中にはインターネット上で入手できなくなっている古い論文やジャーナルが含まれ、本日扱ったものもその一つでした。これをスキャナーを用いてpdfのデジタルデータに変換し、エクセルで文献資料の情報リストを作りました。博物館では収蔵物のデジタル化が進められていると大学の講義内で扱われており、それはあまり進んでいないと聞いていました。実際作業を進める中で、資料なので丁寧に扱う必要があり、時間がかかるものなのだと実感しました。ただ、科学はデータ収集と検証の積み重ねで成り立っているものであり、紙媒体だけでなく、デジタル情報等の別形式でも保存し、必要な人に情報を提供することが大切と思い、少しずつでも進めていくことが大切なのだと思いました。
寄贈された植物化石プレパラート標本を扱い、これらの整理作業を行いました。西野さんからこれらの標本は植物学者で、大阪自然科学研究会会長を勤められていた三木茂博士が作られたものだと聞きました。この方はメタセコイアの発見者であり、標本は文化財に指定されているそうです。こう聞くと、「メタセコイアのタイプ標本はここのプレパラート標本なのかな。」と思いました。しかし、三木先生が未知の植物化石をメタセコイアと命名した後に、中国で生育している植物体が見つかり、そちらで採取されたものがタイプ標本になっているそうです。このような新種として化石が先に認識され命名された後、現生の植物体が見つかるというのは順序が逆のように感じ、面白いな思いました。
植物化石の話で、上記のようなプレパラート標本だけでなく、液浸標本にもすると話されていました。液浸標本では植物体から成分が溶け出すことがあり、アルコールに混ざることで梅酒のような独特なにおいになるのだと知りました。また、収蔵庫に液浸標本の瓶として梅酒付け用の大瓶が置かれていたのも見られ、展示物を鑑賞しているだけでは分からない、収蔵庫内でしか見聞きできないものがあり、非常に面白かったです。ただ、収蔵庫のなかにはまだまだ見れていないところもあり、5日間の実習では少し物足らず、あっという間に過ぎてしまいました。そのため、今後も博物館のイベント等に参加し、学びを深めていきたいと思います。