・吸虫管のなかの虫
スウィーピングなどによって得られた小型の昆虫は吸虫管で回収しますが,あまりたくさんの個体を吸虫管に入れたままにすると,翅や脚などが傷んでしまいます.そこで,できるだけこまめに毒瓶に移すようにします.毒瓶への移し方はまず吸虫管のアミの側からコールドスプレー(スポーツ用)をひと吹きし,しばらく待って中の虫の動きが止まったのを確認してから毒瓶に移します.クロロホルムを使う事もできるが,翅などが湿ってしまうのが難点(身体にも悪そう)です.体の弱いハチやハバチなどの他の虫を噛むハチの場合はスウィープ1回ごとに毒瓶に移し替えるくらいの気持ちで.
・毒瓶のなかの虫
毒瓶のなかに多数の昆虫を入れておくと,内部が湿ってしまいます.特に小型のハチやハエでは翅がくっついたり,刺毛が寝てしまったりしますので,こまめにプラスチックシャーレなどの容器に移しかえます.容器の中にはティッシュを敷いておき,過湿状態にならないようにします.1日に複数の場所で採集するときは,それぞれの場所の材料が混ざらないように気をつける必要があります.
・液体のなかの虫
湿式のマレーゼトラップやパン・トラップで採集したエタノール中の材料は乾燥標本にするか,またはそのままエタノール中で保存します.いずれの方法で得られた材料にも微小なゴミや鱗翅類の鱗粉などが付着しているのでソーティングの際によくゴミを取り除いておきます.液浸標本にする場合はそのまま80%エタノール中に保存します.乾燥標本にする場合には100%までのアルコールシリーズを通して脱水し,次にエチルセロソルブに数秒浸してティッシュの上で乾燥させます(微毛が体にくっ付くのを防ぐことができる).大型種の場合にはソーティングの段階で針に刺しておくと扱いやすいです.