ハチの標本は基本的に展翅や展足を必要としません.これは展翅や展足をすると顕微鏡下で観察するときに見えにくい部分ができてしまうからです.大型種は針をさし,小型種は台紙に貼付けた状態の標本にします.
針さし標本の場合には採集した日のうちに中胸背板のやや右寄り,肩板の内側に針をさします.前脚の付け根に針が刺さると,脚が抜けてしまうことがあるので気をつけます.腹部と脚はだらりと垂れさせておき,翅はやや開き気味にしておきます.後でラベルをつける時に脚が邪魔になりそうであれば,小さく切った紙を標本の下に刺して腹部と脚をその上にのせておきます.この状態で乾燥させます.



幼虫,サナギは基本的に液浸標本にします.生きた幼虫やサナギをそのままエタノールに入れると体が黒ずんでしまったり,変形したりするので,まず固定液で固定してから,80%エタノール中で保存します.固定液にはカルノア液()やパンプル氏液(氷酢酸4+40%ホルマリン6+95%エタノール15+蒸留水30)などがあります