2025年度 夏季博物館実習2日目(8月21日)

 こんにちは。博物館実習2日目を担当いたします、K大学のK.Tです。本日は動物研究室の和田学芸員のご指導の下、午前は哺乳類の骨の洗浄作業、午後は骨の組み立て、収蔵庫の見学、野外作業を行いました。

 作業に入る前に、骨標本の作成方法や管理方法、骨を洗う際の注意点についてご説明をいただきました。骨標本の作成と聞くと化学的な処理を行う印象がありましたが、実際には放置や水に浸けるといった自然の力を利用した方法を取ることが多いとお聞きし、その意外さに驚きました。学芸員は急な業務に対応する必要があるため、煮沸や薬品での処理といった骨を傷める可能性のある方法は避けているとのことです。本日洗浄したシカの骨も、ひと夏放置することで肉を取り除いたものでした。

 博物館における標本管理についてもご説明をいただきました。収蔵標本は「受入票」「登録台帳」「付帯情報の記録手帳」の3冊で管理されており、デジタル化が進む中でも紙媒体を重視している点が印象的でした。20年前のメディアが現在は使用できないように、デジタルでの記録には保存の不確実性が伴います。よって博物館では必ず紙による記録を残しているとのことでした。びっしりと情報が敷き詰められたノートからは、学芸員の几帳面さが感じられました。

 骨の洗浄作業では、歯ブラシやハサミを用い、ぬめりが残らないよう丁寧に処理しつつ、小さな骨を磨きすぎて破損させないよう注意を払いました。私はシカとゾウの背骨、オオカミの尾骨を担当しましたが、若いシカの骨は外れやすく、またオオカミの尾骨は小さなものが多いため、骨の折れる作業でした。それでも、個体ごとの骨の特徴を実感しながら、貴重な資料を大切に扱うことを意識して取り組むことができました。

 本日の実習を通じて、専門分野を深く追究しながら資料を大切に管理する学芸員の姿勢を学び、また普段触れることのできないバックヤード業務を体験することができました。 大変貴重で印象深い一日となりました。