2025年度 秋季博物館実習 4班2日目(10月8日)
みなさんこんにちは。博物館実習4班2日目のブログを担当します。大阪公立大学のC.Tです。
この日は前川学芸員のご指導のもと、午前は岩石、午後は化石の未登録標本の整理を行いました。
みなさんは、博物館の資料がどのように収集されているか知っていますか? 実は外部からの寄贈や購入、委託などがほとんどだそうです。そのため、集めた標本を登録して博物館の収蔵庫に入れるにはいくつかの作業段階が必要になります。
最初の実習では、外部の研究機関から寄贈された岩石のサンプルを扱いました。ほとんどが海底から採取された玄武岩で、マグマの活動に由来する石です。
まず、私たちは岩石をボロボロの袋からジッパー付きの袋に移し替える作業を行いました。破片は本体と別に小分けの袋に入れて、後にひとつの大きな袋にまとめます。岩石の角が袋を突き破ってしまいそうな場合は、袋を二重にかぶせました。ここまで厳重に扱うのには、岩石表面から放出されるガスが他の標本に悪影響を及ぼしたり、岩石自体が酸化されたりすることを防ぐという目的があります。また、元の袋には研究に使用された番号や採集日、さらには岩石名が書かれている場合があるので、入れ替える際に同時進行で新しい袋に書き写しました。
次に、それぞれの袋に【Rock1】というような番号を書いた小さな紙を1枚ずつ入れて、ボックス型コンテナに番号順に収めていきました。この番号は、後のデータベース登録作業に用いる一時的なものです。博物館の標本に登録されるのはデータが十分に揃ったサンプルだけであり、残念ながら破棄されるものも多くあります。そのため、今だけの仮の番号をあてているそうです。
続いて、パソコンでExcelを操作して、博物館の岩石標本のデータベースにアクセスしました。仮番号ラベルを与えた資料ごとに、先ほど書き写した情報を参考にしながら、岩石名、採取日時、産地、採取地点、寄贈者など、既に判明している情報を埋めていきます。このようにデータベースで標本を一括管理することで、さまざまな情報を簡単に参照したり、標本の所在を把握したりできるとのことでした。学芸員の方によると、展示入れ替えの際に標本が行方不明になったことがあるからだとおっしゃられていました。
岩石の整理が終わったら、博物館が以前に購入した化石標本の整理をお手伝いさせていただきました。澄江(チェンジャン)動物群と呼ばれる、約5億年前の古生代カンブリア紀の無脊椎動物の化石です。中国雲南省の澄江という地域で発見されたことからこの名がつきました。いずれも保存状態がよい、手のひらに乗るサイズの小さな標本です。顕微鏡で覗くと、細部の構造を観察することができました。こちらも購入時の受入票と照らし合わせながら、先ほどの岩石と同じ要領で情報をExcelに打ち込みました。例えば、学名や購入番号、購入先、地質時代、産地、ものさしで測定したサイズなどです。また、学芸員の方が用意してくださった図鑑の写真と比較しながら、化石の知識も少しだけ身に着けました。
最後に、整理を終えた資料を地下の一般収蔵庫に移動させました。その後時間が余ったため、許可をいただいて一般収蔵庫に収蔵されている化石や岩石を自由に観察しました。木製の棚の引き出しを丸ごと取り出して、大学の講義や本でしか見たことがないような化石の実物を間近に見ることができ、非常に貴重な経験でした。特に、私はニッポニテスという異常巻きアンモナイトの化石に心躍りました。
この日は標本整理のほんの一部をお手伝いしましたが、一見地味にも思える気の遠くなりそうな作業でも重要であるということを身をもって感じました。また、実習中には学芸員の方が突然電話で呼び出されて席を外す、という一幕もありました。来館した子供の質問に答えるため博物館の受付に顔を出す、というのはしょっちゅうだそうです。学芸員という職業の過酷さを垣間見て、尊敬の念がさらに強まりました。


