ボーリング柱状図のデジタル化 2025年度 冬季博物館実習 4日目(1/14)

 2025年度冬季博物館実習の1班4日目のブログを担当いたします、北海道大学のK.H.と申します。私たちの班は第四期研究室の石井先生ご指導の下、一般収蔵庫の清掃とボーリング標本の観察、ボーリング柱状図およびデータのデジタル化作業を行いました。

 一般収蔵庫の清掃は収蔵庫をきれいにする目的のほかに、収蔵資料を破損や汚損させる昆虫がいないか探すことも目的として実施しました。そのため、標本棚が並べられている列ごとにほうきで掃き、ジッパー付きポリバッグにごみを回収しました。その結果、過去に発生したアカアシホシカムシの死骸や生きたヒメマルカツオブシムシの成虫を発見しました。石井先生によると以前も生きたヒメマルカツオブシムシの幼虫が発見されていたとのことで、今後は発生源の標本の特定および除去作業を行う必要があることを教えていただきました。清掃後、これらの害虫の死骸を実体顕微鏡で観察しました。ヒメマルカツオブシムシは背中に模様があるのですが、その模様が毛でできていることがよく観察できました。清掃以外にも、虫が入ってきやすいドアの下の隙間を塞ぐことで害虫対策をしていることをお教えいただきました。そのほかの害虫についてもミニガイドNo.9「家の中の虫」を見ながら教えていただきましたが、学芸員になるなら虫が専門でなくても特に害虫にはある程度詳しくなる必要があると感じました。

 地層や岩盤を筒状に丸くくりぬいたボーリング標本の観察では、ボーリングした数百メートルの断層を一メートルごとに切り取り保管している標本と、市営住宅や小学校の工事の地質調査標本をお見せいただきました。断層の標本は過去の変動や噴火の情報を読み取ることができ災害予測に役立つこと、膨大な量なので保管場所が不足していること、保管箱にカビなど問題があることをお教えいただきました。工事の調査標本は幅広い地域のサンプルがあり、大阪平野全体の地質を解明することに役立っていることをお教えいただき、それぞれのボーリング標本に何が含まれているのかをご解説いただきました。また、工事の調査の標本にはボーリング柱状図も同封されていますが、青焼きであるため光に当たると劣化してしまうこともお教えいただきました。工事の地質調査の標本は量も膨大で非常に価値の高いデータであるように感じ、このような大規模データを収蔵できる博物館の重要性を再認識しました。

 工事の地質調査の標本など、寄贈を受けたボーリング調査標本の柱状図は紙で保管されているため、他の研究機関や公的機関とシェアするためには統一された形式に直す必要があります。そのために、私たちの班は紙ベースの柱状図をxml形式でデジタル化する作業を行いました。私は初めからデジタルデータを寄贈していただければよいのではないかと考えたのですが、地質調査業者ごとに使っているソフトが違うという問題があり、状況の改善は難しいことをお教えいただきました。データの入力は産業総合技術研究所の「ボーリング柱状図入力システム」を使用し、スムーズに行うことができた一方で、掘り始めたときの標高を記入する際に、東京と大阪では標高の基準が異なることには戸惑いました。
 最後に、ボーリング調査が関係している常設展示をご解説いただきました。ボーリング柱状図で非常に柔らかいと記載されていたのが海の地層だったことがよくわかり、大阪平野が軟弱な地盤の上にあることもわかりました。またボーリング調査でも化石が見つかりますが、地層が空気に触れると起こる化学反応によりそれらの化石が溶けてしまうため、調査が必要なら地層が新鮮である必要があることを伺い非常に驚きました。

 ボーリング標本は収集も保存も大変ですが実際にどのように役立つのか、これからどのように役立つ可能性があるのか本実習を通して理解することが出来ました。