博物館実習3日目 4.5班
博物館実習3日目は、3班と4班合同で行いました。
この日は今週日曜に開催される、友の会秋祭り「海からの贈り物・人からの落とし物 2014」の下見と打ち合わせを兼ねて午後から実習生全員で開催場所に向かったため、館内での作業は午前中のみでした。
それぞれの班に分かれて行った午前中の実習では、私達は植物標本の整理を行いました。
植物標本とはどのようなものかというと、植物を新聞紙などに挟んで乾燥処理し、規定の用紙に張り付けてラベルを貼ったものです。
植物はもちろん生き物ですので、そのままの状態で保存しておくことができません。そこで、乾燥させて水気を抜くことで植物が腐ることもなく、長期間保存しておくことができます。
このように非常に保存性の高い植物標本ですが、ある弱点が…それは「虫害」です。虫にかかれば植物標本もあっという間に粉にされてしまいます。
そこで午前の実習では、収蔵庫に入れられる前の植物標本をチェックして虫害のひどいものは除き、袋に入れる作業を行いました。
こうしてまとめられた植物標本を冷凍庫に入れ、殺虫することでようやく収蔵庫にしまうことができます。
この作業では、数十年前の標本が乾燥処理を行うことで形が崩れず、綺麗な状態で残っている標本がある一方で、虫に食われて枝のみになっている標本もあり、虫害による標本へのダメージの大きさを実感しました。また、植物を挟んでいる新聞紙の年代にも標本が作られていた時代が反映されており、植物の状態をチェックしながらも、古い新聞の記事に読みいってしまうという、意外なところで誘惑のある作業でした。
この実習から植物標本に関して面白いと感じたことは、標本の残しておくべき部分についてです。標本として残すにはやはり生きていた状態に近いものが一番ですが、乾燥標本にしてしまうと「色」はどうしても失われてしまいます。しかし、植物標本において重要なことは色が変化することよりも、いかに生きていた時の形を残すことができるかです。
なぜそこまで色を重要視していないかというと、植物を分類する際には色ではなく形の情報が重要視されているからです。このような、標本を残していくうえですべてをそのまま残すのではなく、いかにその分野で利用されるであろう必要最小限の情報を残していくことができるのかが考えられた結果に、このような標本が残されていくのだと思うと、標本ひとつにもドラマがあるようで興味深いと感じました。
思わず熱く語ってしまったのですが…この作業を通して、標本は時代を超えて残されていくものであることを実感し、これらを残していくためにも標本管理は学芸員にとって重要な仕事であることを学びました。
午後からの実習では、秋祭りの開催場所へ向かいイベントの下見と打ち合わせを行いました。
ここでは大きなイベントであるため、当日の流れや気を付けなければいけないことについて確認を行い、このようなイベントの企画や進行も学芸員の方々が自分達で行っていることを知りました。
館内の業務から外でのイベント等の企画など、学芸員の幅広い仕事内容を見ることができ、改めて学芸員の仕事量の多さを実感しました。
当日は少しでも学芸員やスタッフの方の労力を軽減できるように、実習生も頑張ってサポートしていきたいと思います。