2016年秋期博物館実習3日目(3班)

 早いもので、博物館実習も3日目を迎えました。3班は昆虫、特に蝶に関する実習を行いました。
 午前は、翌日の10月8日に行われる蝶の観察・マーキングのイベントで用いられるパワーポイントで、バタフライガーデンとアサギマダラについての説明を学芸員さんにしていただきました。バタフライガーデンとは、蝶を集めて観賞するために食草と吸蜜植物を集中的に植栽した場所のことです。大阪には長居植物園のバタフライガーデンの他に、狭山池の蝶の森や彩都バタフライガーデン、梅田スカイビルや伊丹空港駅にもあるそうです。そもそもバタフライガーデンという場所の存在を知らなかった私は、梅田のようなビルの建ち並ぶ場所にもそのような所があると聞いて非常に驚きました。機会があれば是非とも訪れてみたいです。長居植物園のバタフライガーデンは、2014年初めの植物園との定例会議に端を発し、現在では先に述べたようなイベントが開催されるに至っています。バタフライガーデンの開設に関しては、ただただ蝶が好むような植物を植栽すればよいというものではなく、植物を増やす場合は挿し芽などの栄養生殖のみとする、農薬を散布しないといった留意点がいくつかあります。ターゲットである蝶も生き物ですから、人工的に呼び寄せることは簡単なことではないと思います。現在では、長居植物園のバタフライガーデンには様々な蝶が飛び交っていますが、それはバタフライガーデンに関わっている皆さんの努力と細かな気配りの賜物であると感じました。アサギマダラについては、その長距離移動を主として説明していただきました。アサギマダラは日本国内だけでなく台湾や香港にまで旅をする「国境のない」蝶で、春には北上、秋には南下するとのことですが、詳しい移動範囲は明確でないそうです。1980年頃から蝶に油性のサインペンでマークを付けて移動を調査するマーキングが始められ、その調査によって春の北上と秋の南下が判明しました。翌日8日のイベントではそのマーキングが行われるとのことで、もし自分がマーキングを行ったアサギマダラが日本のどこか別の土地、もしくは異国の知らない土地で発見されたときのことを考えてみると、今までに感じたことのないような自然の神秘やロマンを感じるでしょうし、アサギマダラの謎解きに参加したという高揚感も得られると思います。そのような感覚的なことに加えて、自然や昆虫などに興味をもつきっかけとなりうるという意味合いでも、今回行われるようなイベントは重要であると考えました。
 午後は実際に長居植物園のバタフライガーデンに赴き、そこで草取りと植栽を行いました。草取りでは、ガーデン内のワルナスビやヌスビトハギを中心に雑草を取っていきました。ワルナスビは茎や葉に棘があり、ヌスビトハギは根を深く張っていて、どちらも容易に取ることはできませんでした。草取りをしていく中で、除草剤を使いたいという気持ちが芽生えてきましたが、除草剤も一種の農薬ですからバタフライガーデンでは使うことはできません。少しの時間でしたが、草取りをすることでバタフライガーデンの維持・管理の大変さを身をもって感じることができたと思います。植栽では、アサギマダラの食草となるサクラランをガーデン内の2か所に植えました。サクラランは木漏れ日が当たるような半日陰を好むそうなので、一つはそのような場所に、もう一つはより日が当たるところへ実験的に植えました。バタフライガーデンを維持していくだけでなく、より良い環境にしていくことも不可欠だと思うので、その作業にほんの少しでも携わることができて嬉しく思っています。また実習中にはアサギマダラの姿を実際に目にすることができました。バタフライガーデンにはそのアサギマダラを写真に収めようとカメラを持った方たちが多くいて、魅了されている様子が見てとれました。このように、蝶は人を惹きつける力があり、同じ趣味をもつ人たちに交流の場を与える可能性を秘めていると思います。しかしながら、蝶はキャベツなどを食べる害虫としてみられる側面もあるようで、今回の実習で蝶と人間の関係性を改めて考えさせられました。
 残りの実習においても、できるだけ多くのことを吸収し、実りある時間にしていきたいです。

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