2018年度夏期博物館実習 1日目
博物館実習1日目は、午前に博物館の概要と学芸員のお仕事についてお話を伺い、午後はバックヤード、展示を見学させていただきました。
午前の座学では当館の概要沿革、学芸員の仕事を調査研究、教育普及活動、広報事業市民対応など、いくつかの分野に分けて説明を受けました。
モノが多いが人、お金、時間が無い中でいかに展示を更新し、標本を整理し、教育普及を行うのか。自然史博物館の現状と学芸員の苦労をリアルに感じることができました。
午後のバックヤード見学ではトラックヤード、虫がつかない乾燥した標本を収蔵する一般収蔵庫、湿度温度管理を行う必要のある標本を収蔵する特別収蔵庫、液浸収蔵庫にて、膨大な量の標本を見ることができました。中ではタイプ標本や日本で数点しかない、学術的に貴重な標本も見ることができました。
個人的には液浸収蔵庫が特に記憶に残りました。古い高校や、収蔵庫を持たない大学などの研究機関にあった学術的に貴重な標本を引きとって収蔵庫で保存するケースがあることを初めて知りました。資料保存を担う自然史博物館ならではの風景を見ることをできました。
展示見学では本館1,2階、新館1階、特別展の展示物を、展示を作る博物館側の視点で見学しました。具体的には、まず展示が劣化・破損する要因として、埃、虫、照明(照明を当てることによる劣化、照明交換時の展示物の破損)、来館者(による展示物への侵入、物理的な破壊)を挙げ、それぞれに対する「メンテナンスしやすさ」という視点で展示物を評価する、ということを行いました。
展示を作る業者は、デザインを優先し、その先の保存・メンテナンスのことは考慮に入れないで展示を作るという話がありましたが、業者にはメンテナンスという視点がないので、展示を作る学芸員が業者と話し合い、指導を行う必要があるのだなと感じました。
また、展示が破損する要因に来館者が入るというのは意外でした。自分の大学の博物館実習施設見学で訪れた施設では来館者が展示物を壊して持って帰るという話はあまり聞かなかったので、大阪ならではの話なのでしょうか。学芸員さんのお話で「展示を守る博物館側と来場者との闘い」が相当な割合を占めていたので、驚きました。来館者、特に小さな子供達が誤って展示に侵入、破壊、ケガをしない展示を作るという視点も必要なのだなと思いました。
(5班・H大・J.N.)