2020年度博物館実習(冬)3日目
実習3日目は植物標本、キノコのスライド(フィルム)をデータベース化する作業を行いました。
まず、横川学芸員から植物標本とそれに必ずつくラベルの重要性、標本に関わるステークホルダーの在り方などを講義していただきました。佐久間学芸員からは、標本・資料の整理等のための市民参加も含めたネットワーク形成について講義していただきました。その後、資料のデータベース化、評価を行いました。
データベース化は、とても時間のかかる作業でした。
2時間で20種の植物標本と約30枚のキノコのスライドに記載された情報をExcelに入力していったのですが、植物標本の入力だけで手いっぱいとなってしまいました。
2つの資料、いずれにも共通したのは、古い資料は手書きであるために、読み取りに非常に時間がかかる、という点です。また、植物標本では新しいものほど、ラベルの情報が詳細になっている、キノコのスライドでは記載者によって記載内容が少しずつ異なる、というのも時間がかかる一因でした。
ここから、採集~標本作成の時点で、その資料の詳細な情報をラベルに項目ごとにきちんと記載することの重要性を学びました。これにより、採集者以外の人にも利用しやすい価値のある資料となります。
また、管理者(学芸員)によるデータベース化も効率化できるはずです。情報が多いと、作業量自体は増えますが、項目立てて記載されていることで、私たちのような素人(一般市民等)も作業を行えます。市民参加のデータベース化が進めば、学芸員だけで行うよりも早く作業が進んで、資料の利用が促進されるはずです。今回のリモート実習で、博物館にいなくてもできる作業は、わざわざ博物館で、その場にいる人がやる必要がない、ということを痛感しました。多くの市民を巻き込んで、各自のいる場所から作業を行えば、かなりの速さで進むと思いました。
ただ、佐久間学芸員も述べていたのですが、ある程度マニュアル化・システム化しないと、市民参加のデータベース化はうまくいかないと思いました。今回、作業方法について説明を受けたものの、実際に取り組んでみると「これはどうするのだ?」という情報が記載されていたり、読みとれない部分があったりと、途中で学芸員のお二方に何度も質問することになってしまいました。また、私たちの作った入力シートを最後に確認してからデータベースに組み込むとおっしゃっており、そこをシステム化できると良いのだろうなと思いました。例えば、サークルなどの経験・知識のある人が確認したものを、学芸員が最終チェックするシステムなど。このシステムをうまく回し、資料の利用を促進させるのためにも、博物館に対する理解者を増やす努力をつねに考えなければならないと実感しました。
今回の実習は、標本や博物館を取り巻く人々の在り方について考えさせられる内容で、本当に勉強になりました。
(北大 T.M)