2022年度夏期博物館実習 3日目(8月26日)
博物館実習3日目の4班のブログを担当します、奈良女子大学のK.S.です。
実習3日目は収蔵庫内の昆虫標本の見学、ウスバカゲロウの標本の作製と種の同定、特別収蔵庫にあるクマゼミとアブラゼミの標本の整理を行いました。
昆虫は後から見て調べやすいような形に整えた状態で標本にして保管しているそうです。また、小さい標本や壊れやすい標本の場合には標本に直接針を刺すのではなく、小さな三角の紙に標本を貼り付け、その紙に針を刺して固定するそうです。
ウスバカゲロウの標本作製では、まず中性紙である厚めのケント紙を小さく切って作った台紙とウスバカゲロウを、ピンセットを使って細かく調整しながらボンドで貼り付け、乾かします。乾いたら台紙部分に針を刺し、ラベルも同じ針に刺します。脚や触覚がとれた場合、それらも同じ台紙に貼り付けておきます。繊細な作業が多く慣れるまでは力加減などが分からずに苦戦しましたが、担当していただいた学芸員の松本さんがやり方やコツを丁寧に教えてくださり、だんだんと出来るようになりました。
次に、作製したウスバカゲロウの標本の同定を行いました。初めに実習生だけで羽の模様の違いなどを基に標本の分類に挑戦し、その後絵解き検索を用いて羽の模様や横脈の分岐の位置、触覚やケヅメの長さを確認しながら同定をしました。肉眼では分からないときは顕微鏡や、スマホのカメラで撮影して拡大するなどして見分けました。初めの分類で同じ種としていた中にも実は全く違う系統の種だったものがありました。また、ホシウスバカゲロウは今回絵解き検索で使用した資料では1種とされていましたが、近年新種がいることが分かり今ではさらに細かく分類されるようになったそうです。このように新種や新しい変異が発見されることもあるため、様々な場所で採集して標本にし、同定していくことが重要だそうです。
セミの整理では、できるだけ隙間ができないよう、かつ標本同士が当たらないよう気をつけながらドイツ箱の中にセミの標本を並べました。同じ種の標本でも、羽の広がり具合や足の開き具合、体長などが個体によって少しずつ異なっており、上手く並べるためには配置を工夫する必要がありました。作業を終え、箱の端から端までセミの標本が並んでいるのを見ると、とても迫力がありましたが達成感もありました。
収蔵庫にある膨大な量の昆虫標本が今回の実習で経験したようにして作られたものの積み重ねだと思うと、学芸員の仕事の過酷さと偉大さを改めて感じました。