2024年度 冬季博物館実習 最終日(1月16日)
こんにちは。大阪府大和大学のH.Kと申します。最終日となる5日目の実習では、私たちの班は長田学芸員の指導のもとでチョウとガを中心に昆虫標本に関する実習を行いました。
午前中は、収蔵庫内でカメムシやセミの昆虫標本の観察とチョウとガ、トンボの均翅亜目と不均翅亜目の識別方法、標本のラベルの重要性について、標本整理の作業を交じえながら説明していただきました。チョウ・ガの識別では、触角による識別が非常に難しく、触角が曲がっているのでガかと思ったら実はチョウという事例まで発生しました。普通に識別することすら難しかったにも関わらず、午後の海外のチョウ・ガの解説では「体の特徴は明らかにチョウにも関わらず分類はガとして登録されている」というケースまであることも判明し、チョウとガの識別の複雑さを興味深く感じました。本実習では、昆虫の分類整理は決して単純なものではなく、僅かな特徴の違いから今までの分類がいとも簡単に覆る未知の可能性を秘めた大変重要な研究であることを理解できました。
午後は、集会室で国内の希少なチョウや海外のチョウ・ガの標本の観察、長田学芸員が執筆したシイタケを食害するガに関する研究論文について説明をいただきました。長田学芸員の研究論文では、普段展示に使用されない標本も自分の知らないところで世の役に立っているという実例を目にすることができ、標本は保存・展示だけが目的ではないこと、博物館が標本を収集することの重要性を改めて認識できました。また、研究の内容に関しても、昆虫の識別が害虫防除に役立つ意外性から研究の幅広さを実感し、昆虫研究の奥深さを理解することができました。
最後に、大阪市立自然史博物館の学芸員の皆様、この5日間の実習で貴重な体験をさせていただき誠にありがとうございました。