2017年夏期学芸員実習3日目
実習3日目は昆虫研究室の学芸員の先生指導の下、昆虫標本(特にチョウ、ガ)を扱いながら標本の情報整理のノウハウ・重要性を学びました。
標本の情報とは、その標本が「いつ・どこで・だれによって」採集されたかを指します。昆虫標本の場合、一般の方でも趣味として採集し作成する方が多く、博物館でも寄贈されることが多いそうです。しかしせっかく収集した標本もこの情報が記載されず分からないままになると、様々な資料となる宝の山がただの「コレクション」となってしまいます。そのような事態を防ぐためにも、標本の整理や管理を行っておられるそうです。
午前中はまず、標本箱内の整理を行いました。
今回取り扱った標本箱は、チョウとガが混同された状態で留められており、このままだと研究や展示に使用する際非常に扱いづらく、不便な状態となっています。この状態を改善するために、まずはチョウとガで大きく分け、そこから同定を行い、図鑑に記載してある順番通りに並び替えを行いました。
チョウやガに限らず、生物の種同定は豊富な知識と経験がないと困難です(実際、標本整理はほとんど先生のアドバイスを参考にし、行いました)。指導していただいた先生は、微妙な形態や特徴の違いから素早く同定を行っておられました。博物館学芸員は、自身の専門分野の生物だけでなくその他の分類群の標本の整理・管理を行わなければならないので、そのために途方もない知識量を養わなければならないと思うと、少しボーっとしてしまいました。長い年月をかけてコツコツと積み重ねていかれるのでしょうか。。。
午後からは、整理された標本に、博物館の管理ラベルを1つ1つに付けていく作業を行いました。
人差し指の爪ほどの小さなラベルを1つ1つピンに刺して再び戻すという細かく地道な作業ですが、これら標本を博物館の「記録」として残す重要な作業となります。初めは標本であるチョウの薄い翅を壊してしまうのではないかとピンを触るのも怖かったですが、徐々に慣れてきて最後はスムーズに作業ができるようになっていました。慣れてからの作業に一番気を付けなければいけませんね。
本日は標本に関する「情報の大切さ」を学びました。先生もお忙しく実習指導は今回が初めてという中、一生懸命教えていただきありがとうございました。(3班実習生 M.Y)