博物館実習2017年8月24日 4班
私たちの班の博物館実習3日目は植物担当の学芸員のもとで植物の標本がどのように博物館で保存、維持管理されているのか、また寄贈された資料がどのような過程を経て収蔵庫に収められるのかということを学びました。博物館には様々な人が資料を寄贈されますが、博物館にとって必要なのか、資料自体の質の確認などを行ったうえで受け入れるか否かを決定しなければならないので、学芸員には高いスキルが求められます。資料を受け入れてからもデータベースに登録され、収蔵庫に収まるまでに燻蒸や再同定、マウント作業、という手間がかかるため、資料の見極めがとても重要であると思いました。
収蔵庫では現在はナフタレンが最も多く利用されていますが、健康上のリスクがあることが判明し、ナフタレンを利用した防虫には規制ができました。大学の座学ではIPMによって化学薬品の利用を減らすことができると学びましたが、温暖湿潤な日本の気候でのIPMの導入、ナフタレンの廃止は資料へのリスクが高すぎるため、現場でのIPMの導入は難しいと感じました。
この日の午後には植物標本のマウント作業を行いました。押し花状態の植物を決まった大きさの台紙にラベルとともに貼り付ける作業です。この作業にはラベルと標本の配置のセンスが求められます。また、後に標本利用者がその植物の特徴(例えば同定のポイントとなる部分など)が観察しやすいようにマウントしなければなりません。マウント作業を行う人だけでなく、標本を作製する人もマウントされた状態をイメージしなければなりません。そのため標本作製者は植物に関する知識がなければ標本として価値のある標本になりません。実際にマウント作業を行ってみると、研究などで利用された際に付けられるアノテーションカードが貼り付けられるスペースをあけつつ、ラベルと標本をはみ出ないように1枚の台紙の上に貼り付ける作業は難しいと同時におもしろい、楽しいと感じる部分でもありました。
これは植物に限ったことではありませんが、標本作製者は後に利用されることを想定した上で標本を作製することが標本を価値のある資料にするのには不可欠であると思いました。(実習生 4班 I.K)