冬期博物館実習4日目
本日は昆虫、特に鱗翅類に関する実習でした。
午前は昆虫の研究室や書庫、所蔵庫を見学し、基本的な昆虫の保存方法について学びました。昆虫標本において最も大事なのは、産地と年月日を記したラベルです。いつどこで採集できたか、という情報は当時のその地の環境を把握する重要な手掛かりとなります。近年国内では開発が進み、生物相は激しい変遷を見せています。今後、今回触れたような数十年以上前の標本はますます貴重なものになると考えられます。
また学芸員という立場では新種を記載することもあるようですが、求められているのは害虫の新種記載と生態の解明であるというのは印象に残ったお話でした。これまで1種だと考えられていたものが生態等の差から新種だと認められることが多いそうです。地域に密着している博物館ならではの職務だと感じました。
午後は未整理の標本にラベルを追加する作業を行いました。ヒョウモンモドキ (Melitaea scotosia) の標本を多く扱いましたが、本種は国内で最も危機的な生息状況にあるチョウであり、現在では採集が禁止されています。今回の標本は何れも30年以上前のもので、各地の亜種なども複数個体ありました。このような貴重な標本が整理されずに存在していても誰も利用できないので、標本はラベルを添付し整理されてこそ価値あるものだということを学びました。
また学芸員の方のお話によれば特別展や学校教育などでは、まず人の興味を引き付けるために見た目が鮮やかな標本を冒頭に見せるという手法が有効だそうです。哺乳類と比較するとマニアックで見慣れないものも多い分野では、導入部に工夫が必要なのでしょう。
本日の実習で専攻とは大きく異なる分野のことを学べ、非常に新鮮でした。最終日の実習でも視野狭窄にならず、幅広く学ぶように意識し続けたいと思います。
1班 T・K