令和元年度 夏期博物館実習2日目
実習2日目、私たち3班は「昆虫研究室」のO先生にご指導いただきました。
O先生の専門は主に農業分野における蛾を中心とした害虫の研究との事でしたが、今日の実習では蛾と蝶について詳しく勉強することができました。
地下の特別標本庫にはとてもたくさんの昆虫の標本があります。最初から研究目的で収集・作成された標本も多くあるのでしょうが、昆虫標本では私たちのような一般市民が集め博物館に寄贈されたものも多くあるようです。そのような標本の多くはきっと捕まえた順に無作為にドイツ箱に並べられているので、昆虫の種類の分類ごとに分け直してから保管する必要があります。
実際に私たちも「蝶と蛾の分別」をやらせていただきました(ほんとうはもっと細かく分類する必要があります)。蝶と蛾の違いとはなんでしょう?O先生曰く、“触角の形”だそうです。触角の先が太くなっているのが蝶、細長いものや櫛状になっているものが蛾だそうです。しかし厳密には蝶と蛾を分けることは難しく、触角は蝶の特徴である個体だけどDNAの系統的に蛾であることがわかった、なんてのもありました。奥が深いです……。
昆虫標本は1匹づつ針に「ラベル」と一緒に刺さっています。このラベルがとてもとても大切です。ラベルには「採集場所・採集日・採集者名」が記入されていますがこの情報がないと研究データとして使用することができません。昆虫標本ではその標本を用いて当時の環境を調べる、という目的もありますのでラベルの情報が欠けていてはまったく資料として活用できないのです。逆に種名などは記入してなくてもあとから分類できるし、ハネなども1、2枚程度欠けたとしても別で保管したりしておけば資料としてはあまり問題がないのだそうです。
もし私も昆虫標本を作るような機会があれば、とくに研究用途はなくてもせっかくなのでラベルをつけておきたいと思います。
標本庫から実習室に戻り、標本庫からもってきた貴重で珍しい蝶と蛾について講義していただきました。貴重な蝶と蛾、特に世界最大級の種のものや模様がキレイなものはやはり人気もありよく展示に使われるのだそうです。
いろんな標本を紹介していただきましたが個人的に「モルフォ蝶」が印象に残りました。モルフォ蝶はキレイな青色の蝶なのですが、光の当て方により少し色が変わってみえる「構造色」という特徴を持っています。そのためその標本は生物学の世界を飛び出し科学館へ貸し出されたこともあるのだそうです。全面メタリックブルーでかなり派手な感じなのですが、裏返してみるとけっこう地味です。
昆虫にはあまり詳しくない私でしたが、実物を見ながら解説を聞くことで新しく気づかされることがたくさんあり興味が深まるばかりでした。一般の人でもこんなふうに、標本にもっと近づける機会があったらいいなと思いました。
3班 M大学 S.N.