令和元年度 夏期博物館実習初日

実習初日はオリエンテーションと博物館内の施設見学が主な内容でした。
オリエンテーションでは、大阪市立自然史博物館の沿革や活動や学芸員の仕事内容についての説明がありました。市立自然史博物館が市立美術館内の廊下での展示から始まったことには、設立当初からなんらかの専用の建物が存在していたと思っていたので驚きました。
オリエンテーション後は3回に分けて施設内の見学がありました。
まず、展示場の見学を行いました。大学での授業においてはあまり扱われない、現場ならではの作業を行う学芸員目線からの問題についても実際の展示場を回って解説していただきました。例えば、展示スペース内のいくつもの展示ケースが配置を決定する上で業者側の作製した展示ケースのメンテナンス用の開け口や通用口が他のケースによって隠れてしまいケース内の電球交換や清掃が出来なくなっていました。他にも、展示物を守る為の仕切りを見易さも展示物保護の間で何度も作り直しているなど、中でもジオラマ模型においては試行錯誤する学芸員とそれを上回る行動をとる子どもたちとのたたかいのようなものを感じました。
展示を回りながらの説明において、最も興味深いと感じたのは触れる展示が想定以上のコストが多くかかってしまうことが多々あるということです。これらのように展示としては非常に面白かったり分かりやすい手法を利用しても、維持が難しいことやアクシデントが発生したりなど実際に運用して分かる想定外が多いことに少し驚かされました。
そして、学芸員室と収蔵庫の見学も行いました。建物の構造や現像部屋など現在ではあまり見ないような部屋もあり大阪市立自然史博物館の歴史が感じられました。標本室は3つに分かれており特別、液浸、通常標本室がありました。特に特別標本室は管理上の関係で冷んやりしていました。どの収蔵室も冷んやりしていましたが、膨大で多様な形態の収蔵物は、収集された方や歴代の担当学芸員の熱量というものを沸々と感じさせられました。また、量が莫大ということで、今後増え続ける資料に対して保管場所が減る一方の博物館側の問題の根深さや、担当ごとの収蔵物の配置場所の苦労と確保への熱を感じました。収蔵庫には標本の他に過去の展示で使われたジオラマや模型も置かれており、さまざまな方法で教育普及や展示といったものが行われてきた軌跡を垣間見ることができました。
また書庫には世界中から収集された資料や書籍が所蔵されており、標本に留まらない博物館の知の集積場所の役割の幅広さを感じました。
例年は特別展の見学があるようですが、今回は残念ながらお盆期間中でいつも以上に混雑していることもあり特別展の見学は各自でという形になり実習中にはありませんでした。
(1班 高知大学 Y.F.)

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