2019年度博物館実習4日目
博物館実習4日目は、カタツムリの殻の標本整理を行いました。
標本の数が膨大であったため、実習生6人と学芸員の方で一日中作業してやっと終了しました。
作業内容は、亡くなられた個人コレクターの方のカタツムリコレクションを、ラベルを見て外国産と日本産に分け、最後にコンテナに入れていくというものでした。コレクションを格納していたケースごと博物館で引き取ったらしく、そのケースの中にある標本を採集地別に分けていくのですが、コレクターの方が完璧に採集地別、そして種別に分けており、私たち実習生は確認作業だけで十分でした。
このコレクターの方の標本管理は、標本ド素人の文系学生の私から見ても素晴らしく、標本への情熱と愛情がビンビン伝わってくるようでした。標本の作り方は美しく、小さい種でもきちんと個別に分けているものが多い印象でした。標本のラベルには、採集地、採集日時、学名という必要な情報は漏れなく記載されており、さらに「岩の陰で採集」など採集状況まで書いているものもたくさんありました。
実は、実習3日目にコケと果実の標本の登録作業を行った時に、
標本のラベルに情報の記載漏れが多く(というかラベルさえないものありました…)、それが原因で作業が難航した経験があり、私たちの班の実習生はカタツムリ標本の完全なラベルに感動しました…! 整理の作業がはかどって仕方がありませんでした。
この経験から、ラベルは標本にとって不可欠で、ラベルさえあれば専門外の人間でもある程度は扱えるのだと体感しました。
先ほども少し述べましたが、私は文系学生で自然科学の知識は高校止まりです。生き物も好きですが、詳しくはありません。しかし、このカタツムリの標本の整理作業を一日中やっていくと、カタツムリの生息地による相違点や、形状の特徴がおぼろげに掴めてきました。多数の標本に接すると、自ずと比較ができました。そして、整理作業の中で、標本が採集地や種で細密に分けて管理されていたのを直に見て、私にとっては全部「カタツムリ」にしか見えないけれども、このコレクターの方にとっては様々な違いが見えて分類できるものだったんだと実感しました。分かる・詳しいということは分類できるということです。
研究において、「数多く見ること」と「分類」という作業は重要なんだなと再認識しました。私の専攻している美術史でも、作品を数多く見ること、表現方法の分類(画材や画法、時代や地域など)が非常に重視されています。おそらくどの分野でも同じでしょう。
作業が終了した後は学芸員の方への質問の時間があり、標本収集の目的や方法、学芸員の仕事、そしてカタツムリのからだの仕組みまで豊富な内容をお聞きしました。
最後に特別に液浸収蔵庫の見学をさせていただきました。多毛類を研究している実習生の仲間に付いていったのですが、多毛類を始め、オオグソクムシやウミグモなどの標本も、自分で手に取って間近で見ることができました。普段は美術館での実習が多く、そこでは収蔵品を自由に見ることは基本的にできないので、収蔵庫を一人で歩いて標本を手に取るというのは大きなカルチャーショックでした。
以上が私の4日目の実習内容です。
美術史研究室のメンバーに、この実習での体験を言い広めたい、というか自慢したいです!
( O大学M.H.)