2020年度夏季博物館実習 初日
私達4班は初日に「草」をテーマに実習を行いました。
まずは植物の標本とはどのようにしてできるかや標本にはどのような人々が関わっているかをレクチャーして頂きました。標本は植物を乾燥させ台紙に張り付けて完成し、防虫剤と共に収蔵します。また、標本は外気に触れつつ収蔵するため、標本化した後も標本庫に害虫が侵入しないように細心の注意を払う必要があります。標本には様々な人が関わっており、内訳は植物を採った人、寄贈する人、標本を保管する人、標本を研究に使う人がいます。学芸員の方によると保管する人、研究に使う人は採った人の意向に可能な限り添いつつ、三者が納得出来るように標本を扱うようです。
また、同時に標本庫の役割、管理方法について教えて頂きました。標本庫の役割には標本が痛みにくいような管理をする、被災しにくくさせる、標本庫につき植物を分類し探しやすくするといったことが挙げられました。管理方法については植物を張り付けた台紙を種ごとに積み重ね束にされていました。標本を取り出す際、観察する際に標本の一が容易に欠損しそうであったため、素人の感覚ではあまり扱いたくない標本のように感じました。
次に先日の熊本豪雨で被災した博物館の収蔵品のレスキュー作業を行いました。この作業では泥を被り張り付いた標本台紙同士を分離、乾燥させるため、傷んだ標本を各々新しい新聞紙と段ボールをその間に挟み乾燥させやすくします。この操作を行うまでの間熊本より届けられた標本は冷凍されていたため一部湿ったままであり、引き離す際には細心の注意を払う必要がありました。
最後に標本を収蔵庫に収容する配架を行う作業を体験しました。先述した通り、標本庫では各種ごとにまとまり、棚が分けられていました。本作業は配架していない標本をそれらに収納することを目的とします。種は科ごとに分けられ棚が並んでいるのですが、植物の科を把握していないと満足に並べることが出来ません。また、分類学的検討などによって棚にはない科や属のものがあるため、かつてはどこに分類していたのかも把握しておく必要があります。一見、棚に収納するだけの単純な作業のことのように思いましたが、然るべき知識を持ち合わせていなければ何一つ作業は進みません。
今回はこれらの実習を通して、学芸員にはどのような知識が必要か、社会的にどのような立場であるのかの一端を理解出来ました。この度、貴重な体験の場を提供してくださった大阪市立自然史博物館の皆様には感謝の念に堪えません。 (4班 K大 N.S)