2020年度秋博物館実習 4日目
私の班は、4日目に魚類の標本の事についてを中心に学びました。魚類の標本は、液浸標本と呼ばれる状態にする必要があります。これは、魚が乾燥して本来の特徴が失われることを防ぐためです。この時、使われるのはホルマリンです。ホルマリンは、たんぱく質を固定する役割があります。しかし、ホルマリンは酸性のため、魚のうろこなどを徐々に溶かしてしまうので、1度水洗してから、エタノールで保存すると良いと学びました。
また、この際、研究などで使うためにホルマリン漬けにする前にエタノールで組織のサンプルを保存しておく博物館もあり、これは、ホルマリンに標本を漬けることによって組織の破壊が起きてしまうからです。
4日目の実習では、液浸標本(魚類)を配架できる状態にする作業を行いました。手としてはまず、瓶に入っている魚の袋を番号順に並べ、その魚がどこで獲れたもので、何の種類なのかをリストから探します。そして、それぞれ種別に魚を瓶に入れていきます。この際、同じ種の魚が複数いる場合は同じ瓶に袋ごと入れ、1匹しかいない場合は魚を袋から出して瓶に入れます。ポイントは、魚の頭が下に来るように瓶に入れることです。これには理由が2つあります。1つ目に、重要な器官があるため、エタノールが減ってその部分が乾燥するのを防ぐためです。もう1つは、魚類は、頭の方が固く、瓶に入れた時に魚が曲がるのを防ぐためです。最後に、瓶に入れ終わった後、エタノールを入れ、中蓋とふたを閉めて、蓋に情報を書いて完成です。
そして、大阪水産技術センターから送られてきた魚類の液浸標本を整理し終わった後、自分たちで作った魚類の液浸標本を配架しました。配架作業では、別の科に間違えて標本を置いてしまうと、見つけ出すのが非常に困難になるため注意することを学びました。
私は、この4日目の実習で、魚類の液浸標本を作る作業が一番大変だと思いました。今回は何十匹かの魚を液浸標本の状態にしましたが、それぞれ同じ種に分けるのがとても難しかったです。種別に1つ1つ瓶の大きさを選び、蓋に情報を書いていくという作業が思った以上に時間がかかりました。また、配架作業の際も、全ての魚類の科に、標本を間違えないように振り分けなければならないため、最初のうちは大変困難でした。このようなことから、博物館は、細かい作業からコツコツと積み上げられてきた努力が詰まっている場所なんだなと思いました。客としてきた時とのその違いを知って驚きです。こんなに苦労して資料を集めたり保存したりしていると思っていなかったからです。しかし、博物館の展示以外の、研究や収集の側面を実際に体験したり、見ることができて、非常に貴重な体験でした。
(1班 追手門学院大学 Y.N)