2023年度夏季博物館実習3日目(8月25日)
博物館学芸員実習3日目、担当は滋賀県立大学のO.Yです。が、別の班で活動しているもう一人の滋賀県立大生も本日のブログ担当のようなので、3日目は滋賀県立大生成分多めとなっております。
本日は私の所属する班では、第四紀研究室の中条学芸員にご指導いただき標本整理をおこないました。
今回扱った標本は海浜砂と漂着軽石、というあまり標本として聞きなじみのない(私の感想ですが)ものでした。海浜砂は名前からわかるとおり海の砂浜の砂を500ml容量のビンにつめたもので、漂着軽石は数年前に小笠原諸島近海の海底火山から噴出し、主に南西諸島沿岸に大量に漂着していた軽石を採取したものです。漂着軽石については記憶に残っている人も多いのではないでしょうか。
これらの標本を、データベースに登録するための通し番号をつける作業をしました。採集地や日時を参考に、リストと標本ラベルにそれぞれ番号をつけます。およそ半日がかりで、私の所属する班員4名で約100点の標本に番号をつけました。
中条学芸員によると、これで収蔵されているほとんどの海浜砂・漂着軽石に番号がついたとのことです。つまり標本を収蔵する速度に整理が追いついたということ。大学で学芸員課程を履修し、世の中に整理しきれていない標本がたくさんある現状を知っている身としては大変喜ばしいことです。
標本を適切に保存していくために整理作業は欠かせませんが、現代の博物館学芸員はさまざまな業務に追われており、標本整理に費やす時間はほとんどありません。しかし標本はどんどん増えていきます。
そのため、我々実習生や友の会、アルバイトの方々など多くの人の協力が必要不可欠であると考えます。基本的に博物館に収蔵されている標本は、博物館だけのものでなく公共のものです。そして標本は研究の基盤です。人類に今までもこれからも恩恵をもたらす標本を、これからも残していくためには博物館関係者だけでなく、さまざまな立場の人が標本のあり方について考える必要があるのではないでしょうか。
標本整理のためのお金があったらどれだけよいことでしょう(心の声)