(2005年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、2006年1-3月、4-6月)
知り合いに勧められて(あるいは無理矢理登録されて)、ブログというのを書くことになった。そのサイトは、ちょっと閉鎖的なコミュニティなので、勧誘してもらわないと入れないし、もちろんブログも読めない。ネット上で同じ興味を持った人のコミュニティを作る試みとしては、ちょっとおもしろそう。というわけで、仕事上の興味もあってつき合うことに。でも、そこに書いたのが残らないのも、限られた人しか読めないのもなんなので、書いた物をこっちにもミラーリングすることにしました(他で書いている関係で、文体が少し違います)。他のコーナーにはちょっとそぐわないかな、という内容を中心に書きます。どっちかと言えば、軽めの「近頃の博物館」みたいなの。◆は思いついた事を書いた場合に付けてあります。ちょっと理屈っぽい。その他、遊び心が中心の場合もあります(というより多い?)。
タイトルは最初、単に「日記」としましたが、「日記風小ネタ集」に変え、やっぱり「日記風覚え書き」にしました。また、タイトルは変わるかもしれませんが…。
学術雑誌めいたものに論文を投稿すると、レフリーと称する輩がコメントをつける。雑誌に掲載されるかは、レフリーのコメントを基に、編集者によって最終的に判断される。というように重要な役回りのレフリーだが、レフリーの専門家がいるわけではなく、他の研究者が順繰りにレフリー役を務める。
学術雑誌という称するものは、日本国内だけでもけっこうたくさんある。でも、研究者は意外と少ない。必然的に、場末の研究者にもレフリーのお鉢がまわってくる。
他人の論文を読んで、きちんとコメントするのはけっこう面倒。それでいて、レフリーは原則ボランティア。あまり引き受けたくはないけど、研究者の端くれとしてはお互いさまなので、よほどの理由がないと断りにくい。
そんなわけで、相次いで二つもレフリーを頼まれた。片方は鳥の論文。とは言っても、ぜんぜん研究対象とは違う。もう一つは、鳥どころか脊椎動物も出てこない。世の中には、よほどレフリー候補者が不足してるとみえる。
片方は、3週間以内にコメントしてねと言われて、はや5週間。ようやくコメントをした。一つコメントした勢いで、もう片方にもコメントをつけた。引き受けてまだ2週間しか経っていない! こんなに素早くこなしたのは空前絶後と言っていいだろう。
さて、レフリーとしてのコメントは、二手ある。まずは、編集者に対して、論文の全体的な評価を行う。同時に、著者に対して、具体的な問題点を指摘する。
今回、過去の自分のコメントをいくつかながめてみた。投稿論文には、方法や結果を中心にしっかり書けているのと、まるで全然ダメなのに大別される。必然的にコメントもトーンからして違っている。とくに後者に対するコメントは辛辣。自分で読んでいて、「この人、怖〜」と思った。喧嘩を売るつもりではないので、文体は「です・ます」調に統一し、ダメ出しだけではなく改善方法を提案するようにはしている。が、やっぱり辛辣は辛辣。きっと受け取った著者は、読んでる途中で腹を立てて、1ヶ月ぐらい論文を見たくなくなるんじゃなかろうか? あるいは、落ち込んで復活に1ヶ月かかるとか。
片方の雑誌は、レフリーを一度務めると、今度その雑誌に論文を掲載したときに別刷りを50部無料でくれるらしい。嬉しいけど、論文を投稿する日はいったいいつ来るんだろう? そのころには、別刷り500部くらいの権利を持ってるかも。
石垣島なんかに行くと、たくさんのオオヒキガエルを目にする。オオヒキガエルは、外国から持ち込まれた大型のカエルで、在来のカエルでも何でも食べてしまうから困りもの。かわいそうだが、どんどん捕まえて、減らした方がいいだろう。
なんてことを考えていたら、とある人にオオヒキガエルの皮でつくった財布なるものを見せてもらった。本物のガマ口! と、盛り上がる。
それから数年。石垣島だか西表島だかでつかまえたというオオヒキガエルを大量に入手した。何匹かは標本にするにしても、全部は別に要らんな。ということで、いつか見せてもらった本物のガマ口を作ろうということになった。
とりあえず皮を剥いてみる。皮を剥くのはわりと簡単。指の先だって、引っ張るだけでくるりと剥ける。ところが頭が難敵だった。下顎はともかく、頭蓋には肉がなくて骨に皮が張り付いている。頑張っても剥けない。あのカエル少女Aですら挫折した。いったいどうやって、あの本物のガマ口は作ったんだろう? と、謎を残して、その時は断念した。
そして、また数年。今日、ふと見ると、部屋の扉の横に、あの本物のガマ口がピン留めされているではないか! そうそうこんなんやった。残念なことに、財布の口はお尻の方に開いてるんよね〜。後ろ足もないんよね〜。で、頭を触ってみる。頭骨が入ってる!
考えてみれば当たりまえ。本剥製の鳥でも哺乳類でもワニでも、頭の骨はそのまま入ってる事が多い。そうか、そうすればよかったのか〜。でも、皮が柔らかくなっているのはどんな処理をしてるんだろう? 哺乳類の皮と同じように、ミョウバンなめしでいいのかな〜。とにかく、試してみないと始まらない。
というわけで、もう一度、本物のガマ口を作りたくなった。自分でなら四つ足がそろって、口から出し入れするこだわりの本家ガマ口にできるはず。
誰かまたオオヒキガエルを捕ってきておくれ〜。ただ、今は特定外来生物になってるから、生きたまま持って帰ってきてはダメ。殺してから冷凍でお願いします。
両生類と爬虫類は基本的に液浸標本にする。うちらは、10%ホルマリンで固定して、70%エチルアルコールで保存。というわけで、死んだ爬虫類の死体を、まずホルマリンに浸ける。両生類は、ホルマリンに放り込むだけでOKだが、鱗があって皮の厚い爬虫類は、ホルマリンに浸けただけでは、中まで液が浸透しない。ホルマリンの中で中身が腐ってしまうことにもなりかねない。ってことで、ホルマリンを注射する。
近頃、マイ注射器の調子が悪い。悪いのは注射器ではなく、針だとの噂もある。ずーっと同じ針を使ってるから、曲がってるしノ。
爬虫類の腹にホルマリンを注射するのは比較的簡単。でも、手足とかの場合、筋肉注射になる。けっこう力がいる。
さて、昨日から今日にかけて、ヘビやカメにたくさんホルマリン注射をした。力をこめて筋肉注射ーー! とやってると、針が抜ける。ホルマリンが飛び散る。何度も頭からホルマリンをかぶった。
この作業には眼鏡がありがたい。眼鏡のおかげで、目に直接ホルマリンが入ることはない。それでも周辺から目に入ってくる。慌てて水道で目を洗う。不幸にも指先に傷があった。ホルマリンがしみてとっても痛い。手に傷があるときは、手袋も必須かもしれない。
そんなわけで、ホルマリン注射の際には気をつけて。頭からかぶると体に悪そう。それに服についたホルマリンが、しばらく臭い。
著者から本を謹呈された。ありがたや。定価が3500円+税。けっこう高価。ありがたやありがたや。で、せっかくもらったので、読んではないけど、パラパラっと見た内容を簡単に紹介してみることにした。
本をもらったら本を紹介してくれるとわかれば、多くの著者がいろんな本をくれるかもしれない(せこ〜)。それが評判を呼んで、本がたくさん売れたなら、いろんな出版社が本をどんどんくれるようになるかもしれない(さらに、せこ〜)。などという邪念に基づいての紹介だけど、正直者なのでその効果は疑わしかったり…。
ともかく、『水産無脊椎動物学』と言う本は、単なる無脊椎動物学の本ではなく、”水産”の本なのである。したがって水産と関係のない無脊椎動物は出てこない。第1章に「有用・有害水生無脊椎動物を対象とし」とはっきりと書いてある(ちなみに英題は、Introduction to Useful Aquatic Invertebrates)。これでも水産の枠組みとしては広いのだそうだが、陸産無脊椎動物は抜けるし、水生無脊椎動物でも有用でも有害でもないものは抜ける。といっても、掲載・不掲載の基準は微妙で、ヤムシは載ってるのに、ユムシは載ってない。クマムシが載ってないのも不満だけど、これこそ有害でも有用でもなさそうだから仕方がない。
本の構成は、最初の1/4ほどで水生無脊椎動物の総論を展開し、残りで水産無脊椎動物の各論を展開している。総論では、生息場所、形態、分類と系統、生活史が紹介される。各論では各分類群についてさらに詳しく紹介される。取り上げられている分類群は、海綿動物、刺胞動物、扁形動物、輪形動物、軟体動物、環形動物、節足動物、外肛動物、毛顎動物、棘皮動物、脊索動物。
一人でこんなに色んなグループについて、書けるというだけですごいと言えよう(著者は一人なのだ!)。主な動物の門はほぼ取り上げられていて、無脊椎動物の生活史や形態などについてコンパクトにまとまっているので、ちょこちょこっと調べたい時には便利そう。
こんな紹介で、みんなが本をくれるようになるかな〜? だいたい本をもらわなくても気に入った本は紹介するんだから、本の内容に自信があれば、わざわざ本を謹呈する必要がない。うかつに本を謹呈したら、悪口を書かれる恐れがあるわけで、本の内容に自信がなければ謹呈しない方がベター。ってことは、かえって本をもらえなくなるのがオチかも。
そんな理屈は抜きにして、勇気のあるみなさんの謹呈をお待ちする!
大勢で渓流沿いの生き物を観察しながら歩いていた。子どもは手に取れる物が大好き。手に取れない鳥にはあまり見向きをしてくれない。そんなわけで、専門の鳥はそっちのけで、もっぱら両生爬虫類や、貝類、甲殻類を捕まえては見せてみる。ヘビ、カメ、カエル、アメリカザリガニ、サワガニ。どれも子どもにとっても人気。貝は、いくらでも取れるのに、あまり人気がない。
道沿いの崖下に落ち葉がたまっている場所にさしかかる。何度も来ているコースなので、この落ち葉の下にいつでもサワガニがいることを知ってる。ここは一つ、サワガニをたくさん見つけて、自慢するとしよう。
こうした邪念のもと、落ち葉をひっくり返し始める。思ったより乾燥していて、サワガニがあまり見つからない。おかしいな〜。何をしてるん? と子どもに尋ねられる。
サワガニを探してるんやけど…。あまりおらんなぁ〜。あと、ヘビも探してるねん。
まとまった広葉樹林がある沢沿いで、崖下や溝の中に広葉樹の落ち葉がたまった場所。と言えば、タカチホヘビがよく見つかる場所。タカチホヘビがマイブームの時は、いつでも根掘りを持って歩き、こうした落ち葉の堆積を見つけてはひっくり返していたもんだ〜。などといった事を思い出しながら答えてみる。
それを聞いた子どもらも、サワガニ目当てに落ち葉をひっくり返し始める。やがて一人が、ヘビがおる! と叫ぶ。ほんまかいな〜、大きめのミミズとちゃうん。と思いながら見に行く。
タカチホヘビであった。予定通りとはいえ、さほど期待していなかったので、ビックリ。生きたタカチホヘビが採れることは少ないので、みんなでゆっくり観察。地味に美しいヘビ。おとなしくて、可愛い。初めてヘビを触る人も多かったらしい。初めて触るヘビがタカチホヘビとは、ちょっと贅沢な気がする。
というわけで、密かにタカチホヘビブームが再燃のきざし。今度から、根掘りを持って出かけよう。
大学のサークルに磯乞食というのがあった。貝のサークル。海岸で貝を拾う姿を、海岸で食料を調達する磯乞食になぞらえたんだそうな。テレビで、南の島の海岸で食料を調達して暮らしている人が紹介されていた。なんか楽しそうな生活だった。リストラとかで職を失ったら、南の島で磯乞食して暮らしてもいいかも。と、磯乞食にはけっこう憧れがある。で、今日は憧れの磯乞食をした。
今まで、磯に行ったら海岸生物の観察。大きなものだけでなく、小さなものに目をこらす。たくさんあるものは最初にチェックしたら終わりで、あとはまだ見つけていないレア物を探す。しかし、磯乞食的には、一番重要なのは食料としての価値。大きくてたくさんあるもの大歓迎! ということで、今までとまったく視点が違う。
最初から軟体動物狙い。とりあえずトコブシとコシダカガンガラをターゲットに。できればマダコを。と、出だしの夢はでっかい。
しかし、さっぱり大物は見つからない。季節柄、あまり潮が引かないのも敗因か。すぐに、ターゲットを切り替える。たくさん転がっているイシダタミ、クボガイ、イボニシの大きめのを選び始める。それならなんとか収穫らしくなってくる。
フジツボや笠貝、ヒザラガイが、岩にはり付いているのだが、タガネの類を忘れたので断念。と思ったら、磯乞食仲間は、その辺の石でたたいて、クロフジツボやマツバガイを採っていた。けっこう殻が割れていたがノ。
磯乞食たちの採集物と、釣り師たちの釣果を、まとめて放り込んでみそ汁のできあがり。とってもうまかった。
大物をGETした時は、「とったどぉ〜!」などと叫ぶ。磯乞食は楽しい。でも、留意点がいくつかあるので、忘れずに書いておこう。
◆まず塩分摂りすぎになるのは必至。なんせ収穫物にはいあがおうにも海水がいっぱい入っている。殻を割ってしまったマツバガイを数匹、生で味見しただけで、(うまいのだけど)喉がからからになってしまった。みそ汁も、いつもの調子で味噌を入れたら、明らかに味が濃すぎ。少しでも塩分摂取量を減らす注意が必要。
◆あと、採集用具として、タガネは必携。そして食事道具として、爪楊枝が必携。切れ味のいい包丁とまな板も用意したいところ。
◆大きな笠貝を食用にするのはよくある話。でも、わざわざ食用に狙うほどの大きな笠貝は少ない。なんでも地元で食べ尽くして、大きな笠貝がすっかりいなくなってしまうケースもあるとか。くれぐれも、絶滅させるほどは喰わないように。
磯乞食のノウハウを蓄積していけば、将来、南の島で磯乞食をしながら暮らすという道がひらける。というわけで、今後は、さらに準備を整えて楽しみたい。
大学のサークルに磯乞食というのがあった。貝のサークル。海岸で貝を拾う姿を、海岸で食料を調達する磯乞食になぞらえたんだそうな。テレビで、南の島の海岸で食料を調達して暮らしている人が紹介されていた。なんか楽しそうな生活だった。リストラとかで職を失ったら、南の島で磯乞食して暮らしてもいいかも。と、磯乞食にはけっこう憧れがある。で、今日は憧れの磯乞食をした。
今まで、磯に行ったら海岸生物の観察。大きなものだけでなく、小さなものに目をこらす。たくさんあるものは最初にチェックしたら終わりで、あとはまだ見つけていないレア物を探す。しかし、磯乞食的には、一番重要なのは食料としての価値。大きくてたくさんあるもの大歓迎! ということで、今までとまったく視点が違う。
最初から軟体動物狙い。とりあえずトコブシとコシダカガンガラをターゲットに。できればマダコを。と、出だしの夢はでっかい。
しかし、さっぱり大物は見つからない。季節柄、あまり潮が引かないのも敗因か。すぐに、ターゲットを切り替える。たくさん転がっているイシダタミ、クボガイ、イボニシの大きめのを選び始める。それならなんとか収穫らしくなってくる。
フジツボや笠貝、ヒザラガイが、岩にはり付いているのだが、タガネの類を忘れたので断念。と思ったら、磯乞食仲間は、その辺の石でたたいて、クロフジツボやマツバガイを採っていた。けっこう殻が割れていたがノ。
磯乞食たちの採集物と、釣り師たちの釣果を、まとめて放り込んでみそ汁のできあがり。とってもうまかった。
大物をGETした時は、「とったどぉ〜!」などと叫ぶ。磯乞食は楽しい。でも、留意点がいくつかあるので、忘れずに書いておこう。
◆まず塩分摂りすぎになるのは必至。なんせ収穫物にはいあがおうにも海水がいっぱい入っている。殻を割ってしまったマツバガイを数匹、生で味見しただけで、(うまいのだけど)喉がからからになってしまった。みそ汁も、いつもの調子で味噌を入れたら、明らかに味が濃すぎ。少しでも塩分摂取量を減らす注意が必要。
◆あと、採集用具として、タガネは必携。そして食事道具として、爪楊枝が必携。切れ味のいい包丁とまな板も用意したいところ。
◆大きな笠貝を食用にするのはよくある話。でも、わざわざ食用に狙うほどの大きな笠貝は少ない。なんでも地元で食べ尽くして、大きな笠貝がすっかりいなくなってしまうケースもあるとか。くれぐれも、絶滅させるほどは喰わないように。
磯乞食のノウハウを蓄積していけば、将来、南の島で磯乞食をしながら暮らすという道がひらける。というわけで、今後は、さらに準備を整えて楽しみたい。
なにわホネホネ団の勢力拡大は留まるところを知らず。昨日は英語圏の人がやってきた。ホネホネ団を見学したいといって、次の活動日を聞いていったそうな。
ちなみに、なにわホネホネ団の英語表記は決まっていない。「Naniwa Bone Bone Party」などと呼んでみたい気がするが、何をする団体かさっぱりわからないか止めておいた方がいいだろう。ちなみに件の外人さんは、「ホネホネダン」と言ってたらしい。日本語がわからないのに、どこで存在を知ったのかは謎。どこかの英字新聞にも載ったんだっけ?
この勢いに乗じて、できるだけ早くホネサミットとホネの特別展を開いて、さらなる発展と、ホネホネ活動の普及を図りたいところ。来年は無理なので早くて再来年だろうか。そこで問題になるのが特別展の名称。
この一年ほど、INAXギャラリーが「小さな骨の動物園」というタイトルで骨の展示をしていた。これを受けて、「骨の動物園」にでもしようかと思っていたのだが。なんと、「骨の動物園」というタイトルの特別展は、長野県方面で何度も開かれているらしい。それを知って、パクるのはちょっとまずいかも…。というわけで、別の名前が必要。
「動物園」がダメなら、「博物館」とか「博覧会」? ”骨”よりは”ホネ”かな? むしろ”ホネホネ”? いっそのこと「なにわホネホネ展」とか。
そこで、名案を大募集! 最優秀作品を採用した上で、その応募者は、特別展で謝辞に名前を入れて、さらに特別展にご招待でどうかな?
セミの特別展について何人かで話をした。あちこちで色んなセミが鳴く企画らしい。やかましそう〜。
日本のセミに、世界のセミ。大阪のセミに、東京のセミ。
クマゼミ、アブラゼミ、ニイニイゼミ、ツクツクホウシ、チッチゼミ、ミンミンゼミ、ヒグラシ、ヒメハルゼミなどなど。大阪にも色んな種類のセミがいる。
周期ゼミ、素数ゼミ、13年ゼミ、17年ゼミ。などもいるし。
ヨゼミ、シンケンゼミ。といったグループも数多い。
色んな展示ができそう。
なんて話を聞きながら、セミを使った趣味も思いついた。その名は「闘蝉」。セミを使った対戦型のゲーム。セミを捕ってきて、同じ入れ物に入れて、鳴かせる。より大きな声で鳴いた方が勝ちかな。あるいは、先に鳴いた方が勝ち? 長く鳴いた方が勝ち? 勝敗の行方はともかく、セミを鳴かせて闘わせるという高尚な遊び。
この「闘蝉」にはまった人は、蝉道を究めるために、まずセミの名産地に行って、セミの卵が産みつけられた枝を採集してくる。それを、持ち帰って育てる。クマゼミの場合、速成すれば3年程度で成虫になるけど、普通は成虫になるまで8年程度はかかったりするわけ。マニアとしては、その間、秘伝の餌を与えたり、土に酒を振りかけたり独自の方法で、よりよく鳴くセミを育てる。おそらく何年で成虫にしたら、よく鳴くとかの秘伝も伝えられていたりするはず。そして、ようやく成虫になって、「闘蝉」に興じるわけだけど、成虫ははかなくも数週間で死んでしまう。とまあ、たいへん奥の深い趣味。
卵から育てるのは大変なので、とりあえず成虫を採ってきて、みんなも「闘蝉」をしてみよう。とりあえず、セミの展示の関連行事か、ワークショップ企画でどうだろう? 展示室内でやったら、やかましい展示室が、より一層やかましくなることだけは請け合える。
ものすごーく久しぶりに統計検定を行った。他人の論文の悪口をいうのに必要で、検定したことはあるけど、自分のために検定するのは、ものすご〜〜く久しぶり。
統計検定をするとは言っても、実際に面倒な計算をするのは、統計ソフトくん。統計ソフトを立ち上げて、データを放り込んで、結果をながめればいいだけ。
さーて、統計ソフトを立ち上げて。立ち上がらない…。そういえば、遅まきながらOS10に引っ越ししてから初めての統計検定。環境を整えてなかった。FPUがないから立ち上がらん、という警告が出ている。いまどきFPUって。古〜。でも、持ってるのはそんなソフトだけ。ソフトウェアFPUは、クラシック環境で動くのかな? などと思っていたら、目の前に萌蔵がいた。
こやつは行動・生態屋だから統計検定をするに違いない。そしてそれは、OS10で動くに違いない。この推論が見事にあたって、OS10上で、FPUがなくっても動く統計ソフトを持っていた。なんと、さっき立ち上がらなかったソフトの3つ後のヴァージョン。日本語がサポートされてる!
しかしまあなんだね。萌蔵とは同じ研究室出身。わが研究室は代々このソフトを継承しているらしい。伝統というものに思いをはせる一瞬であった。
統計検定といっても、いたって安易なU検定とカイ二乗検定。一瞬で終わる。結果は、予定通り、死ぬほど有意差が検出された。まあ、検定しなくても、見るからに差があるのは明らか。それをもっともらしくするのが統計検定だから、これでいいのだ。
今日、沖縄から来られた方と話をした。なにわホネホネ団の活動についての質問。団長、副団長、広報部長をさしおいて、勝手になにわホネホネ団について説明する。知りたいのは、活動を始める経緯と、日常の活動の様子って感じらしい。
沖縄で、いろんな人を巻き込んで、ホネホネな活動をしたいそうな。それは素晴らしい。という流れから、オオコウモリの死体なら割と手に入るという話に。ちょうどオオコウモリの標本が欲しかったところ。タヌキの死体と交換しようという話になった。沖縄にタヌキはいないので、とっても反応がよかった。
そういえば、先日は、北海道でホネホネな活動をしている方から、海岸で拾ったコアホウドリなどの海鳥の死体をいただいた。こちらは、アライグマの死体との交換の約束になっている。
それぞれの地域には、手に入りやすい死体と、手に入りにくい死体があるから、各地のホネホネ仲間とネットワークができれば、コレクションは充実するし。手がけたことのない動物を扱うことで、いろいろ勉強にもなる。
2〜3年後にホネサミットを開こうと、ひそかに画策しているわけだが、こうしたネットワークができるという意味でも、たいへん意義がありそう。
今日の沖縄の人に、ホネサミットの宣伝しておくのを忘れたけど…。
昨日、瓜を喰わせてもらった。イラン方面の瓜らしい。甘い果物。切って、タネを避けて、かぶりつく。イメージとしては、でっかいマクワウリを想像してもらえばいいだろうか。
味は、ほどよく甘くておいしい、んだと思う。たぶん。曖昧なのは、少し痛んでいたから。痛んだ場所は、少し透明感のある色になっていて、とーっても苦い。同じように痛んでいるのかもしれないが、茶色くなっている部分は、むしろ甘い。ただ、不思議なトロピカ〜ルな感じの味になっている。白っぽいところが本来の味かな? そこは素直に甘くてうまい。というわけで、3つの味が入り交じって大変複雑な、そして苦い部分を避けるのが、とっても難しい果物になっていた。
せっかくなので、タネを植えて、おいしいのを育てて食べてみようと思う。洗って乾かしておいたタネをいつ植えたらいいんだろう? と思って、植物屋さんに見せに行った。
食べさせてもらったときに、名前を教えてもらったのだが、てっきりバルボゼと覚えていた。バルボゼのタネを植える時期はいつ? と聞いても知らないと言われる。ネットで調べようと思っても引っかからない。試行錯誤の末、ハルボゼが正解と判明。
最初にバルボゼと覚えたので、これからもバルボゼと覚えていそう。ちょうど、いまだにアボガドと覚えているのと同じ。
ネットで見るに、イランには、ターレビーというハルボゼよりも甘い瓜があるらしい。今度は、これを喰ってみたい。
子ども向けの小冊子に、公園で拾える身近な鳥の羽根の写真を載せたいと言われる。なるほど、それはいいね〜。ドバト、キジバト、ヒヨドリ、スズメ、ムクドリ、カラス。羽根のセレクトも素晴らしい。それなら年中、たいていの公園で拾えそう。
えっ、すぐにそれぞれの風切羽と尾羽が欲しい?
手持ちの羽根を見てみるに。うーん。ハトとヒヨドリとカラスはあるけど、スズメとムクドリがないね〜。
よーし、すぐに拾ってくるから、任せときぃ!
かくして、颯爽と公園に飛び出した。地面を見ながら、歩き回る。予想通り、ドバトとキジバトの羽根は、たくさん落ちてる。カラスの羽根も落ちてる。ヒヨドリの羽根もけっこう落ちてる。でも、スズメとムクドリがない〜。
駅前にスズメの集団ねぐらができるのを思い出したので、そっちに向かう。予定どおーり。スズメの羽根が落ちている。が、しかーし、ムクドリの羽根がない。公園内にムクドリの集団ねぐらはないし…。
かくして、偉そうに任せなさーいと言ったくせに、ムクドリが見つけられませんでした…、と報告する羽目に。
ムクドリは、たくさんいるのに何故だ! ムクドリはあまり羽根が抜けないとか?? とにかく明日こそムクドリの風切羽と尾羽をGETすると、かたく心に誓うのであった。おわり。
ウミガメについて少しお勉強したので復習。
ウミガメの食べ物は?
アカウミガメは、軟体動物や甲殻類。アオウミガメは、海草や海藻。オサガメは、クラゲ類。タイマイは、カイメン類。を主に食べます。
ウミガメの年齢はどうやって調べるの?
上腕骨を輪切りにして、その断面の年齢を数えます。
ウミガメの死体を見つけたらどうしたらいいの?
ウミガメは貴重な動物です。その貴重な動物を死体だからといって捨ててしまうのはもったいないことです。ちゃんと標本にして保存すれば、研究に大いに役立ちます。
以上、すべて『ウミガメは減っているか 〜その保護と未来〜』(紀伊半島ウミガメ情報交換会・日本ウミガメ協議会共編)より。
なるほど、勉強になった。
そういえば、昨日、大阪湾でウミガメが定置網に引っかかって死んでるのが見つかったらしい。調べてみたらアオウミガメ。知る限り大阪府初記録(知らない記録がある可能性はおおいにあるが…)。胃からはホンダワラやテングサが出てきたらしい。予定通り!
というわけで、あとはきちんと標本にしなくては。関係者のみなさん、よろしく〜。
有馬と河内長野の共通点を20字以内で述べよ。
正解は、どちらも炭酸泉が湧く。
河内長野に炭酸泉があって、天然物の炭酸を作っていたり、井戸水に砂糖を入れてソーダにして飲んだり、穴の中に炭酸ガスがたまって鳥地獄になったり。なんてことは知ってたけど。あんなにあちこちに炭酸泉が湧いてるとは知らなかった。
河内長野で落とし穴を掘って、人を落とすって事は、場所に寄ったら殺人にもなりかねない。よくても過失致死。炭酸ガスが出てくる可能性を知ってたら未必の故意ってやつ?
じゃあ、有馬と河内長野の違いを20字以内でのべよ。
正解は、河内長野の炭酸泉は冷たい。
熱いのが湧く有馬は温泉街で栄え、冷たいのしか湧かない河内長野はせいぜいソーダ水を飲む程度。そういえば、河内長野には、炭酸煎餅もない。有馬では名物なのに。炭酸煎餅は熱い炭酸泉がないと作れないのかな?
まあ炭酸煎餅は嫌いなので、どうでもいいけど。
中高生と一緒に池田市に行った。山で虫取りをした帰りに、動物園へ寄った。お金がない〜、という奴らには、入園料はおごってやる!と太っ腹な話をしながら行った。無料で入れるんだけど…。
ここは日本で最小の動物園と聞いたけど、本当かな? 確かに飼われている動物は少ない。ニホンジカ、ヒツジ、アライグマ、マーラ、モルモット、ウサギ、ワラビー(アカクビヤブワラビーだっけ?)、アカゲザル、カニクイザル、エミュー、ニワトリ。そしてヒメウォンバット。池田市に行くと駅前からウォンバットのキャラクターだらけ。池田市がこんなにウォンバットで売り出しているとは知らなかった。
ともかく、久しぶりの動物園なので、けっこう楽しい。ただ、肝心のウォンバットが建物の中に引っ込んでいて、ほとんど見えなかったのが、ちょっと残念。
こまったもんで、ホネホネ団的には、ここの動物が死んだら死体はどこに行くのかが気になるところ。エミューとウォンバットがぜひ欲しいです〜。
ハシボソミズナギドリをみんなで6羽、皮を剥いた。例によって大部分からハジラミが採れる。丸いのと長細いのと、少なくとも2種。1羽の耳の穴からはダニが採れた。耳の穴の中にたくさんつまっていたらしい。
大阪で保護されるオオミズナギドリ(そういえば、そろそろ保護されるシーズンだな〜)。を処理しても、ハジラミが採れる。やはり丸いのと長細いのと、少なくとも2種。
そういえば、以前処理したオオシロハラミズナギドリにも、同じような丸いハジラミと長細いハジラミが付いていた。
ハシボソミズナギドリの繁殖地は、オーストラリア南東部とタスマニア島周辺。大阪で保護されるオオミズナギドリは、たいがい京都府の冠島で繁殖した個体だろう。でないとして、日本周辺には変わりないはず。オオシロハラミズナギドリは、おそらくニュージーランドの北にある島の出身。
それぞれのミズナギドリに付いているハジラミが、まったく別種なら問題ない。ミズナギドリ類が種分化する際に、ハジラミも引っ付いていって、隔離されて種分化した。みたいなストーリーを思いつく。このストーリーがあってるかどうかはともかく。
でも、こうしたハジラミが同種だったとしたら、なにか説明が必要。考えられるのは二つ。
・ハジラミ類は、隔離されてもなかなか種分化しない。
・こうしたハジラミ類は、種間でけっこう行き来がある。
肉眼でハジラミを見てるだけでは何とも言えないわけだけど、どのミズナギドリ類にも、丸いのと長いのがセットでいるのが、種間のハジラミ交流をほんのり支持してる気がする(でなければ、どっちかが欠けてても良さそうな気がするから。根拠薄〜)。
そんなわけで、ハジラミ類がミズナギドリ類の種間をどうやって行き来するかを考えてみると楽しい。
・繁殖地でハジラミが種間を行き来。
・繁殖地以外でハジラミが種間を行き来。
上述のように、少なくとも現在の繁殖地は、3種でまったく違うので、繁殖地でのハジラミの行き来は無理。繁殖地は長期的に見れば変わるだろうけど、オオミズナギドリと他の2種の繁殖地が(時間差攻撃にせよ)一致することはなさそう。というわけで、繁殖地以外でハジラミが種間を行き来する可能性を考えることになる。
少なくとも太平洋上のフェリーからながめるに、オオミズナギドリとハシボソミズナギドリは一緒に飛んでる。たぶん日本近海に来たら、オオシロハラミズナギドリも一緒に飛んでいたに違いない! そんなわけで、海上でのなんらかの接触の際にハジラミ類の行き来があるのかもと思うのだけど、どうだろう?
もしこの可能性が正しいのなら、海上で一緒に飛んでいることの多い種ほど、同じハジラミを持っている可能性が高いことになる。また、ミズナギドリ類だけでなく、コアホウドリやフルマカモメ、もしかしたらウミスズメ類も同じ種のハジラミを持ってるかもしれない。
ってことで、あとはハジラミ研究の方々に検証してもらおっと。でも、一度ウミスズメ類のハジラミを探してみたいかも。丸いのと長いのがいるのかな?
今日は休みなので、とある河口と干潟に遊びに行った。快晴でとっても暑い。水着を持っていけばよかった。仕方がないので、ズボンのまま水の中をジャブジャブ歩く。涼しい〜。
ペットボトルが浮かんでいたので、何気なく手にした。お尻のとこになんか付いてると思いきや、甲虫やクモがけっこうたくさんくっついていた。ゴミムシダマシ、ハネカクシ、アリモドキの類。いずれも海浜甲虫っぽい。
水から、ペットボトルを持ち上げてながめていても、甲虫たちはペットボトルにペタっとくっついて動かない。ちょっとした溝に、体を懸命に貼り付けてる感じ。その上にクモの糸が張ってたりして、ゴミも引っ付いていて、ちょっとした基地状態。指先で突くと、とたんに動き出す。死んでるわけじゃなかったらしい。
きっと、こんな感じで、何かに引っ付いて運ばれて、長距離の分散をしたりするんだろうな〜。もしかしたら、この虫たちも南の島からはるばる来たのかもしれない。な、わけないか。周辺の川岸で、同種とおぼしき甲虫が見られるし。
とはいえ、大量のペットボトルが河口や海岸に捨てられる現在、こうしてペットボトルに引っ付いて分散してる小さな虫はけっこういるのかも。
外洋にペットボトルが浮かんでるのを見つけたら、すくいあげて虫が付いてないか調べてみよう!
実例をもって、ことわざを説明してあげよう。
滋賀県からGさんがやってきて、一日かかって、カイエビ類とかの標本の再同定をしてくださったらしい。Gさんは淡水甲殻類の専門家で、以前来た時に、大和川水系でタマカイエビを見つけるようにという課題をいただいた。あんまり期待せずに出したお題らしかったのだが、なんと実際に見つけてしまった。見つけたぞ〜、と自慢したら見に来てくれたらしい。
一応、Yさんが同定した後のカイエビ類の標本なんだけど、専門家が見ると違うよね〜。なんとカイエビとされていた標本の中から、新たにタマカイエビが見つかってしまった。
と、耳にして、Yさんの同定、甘いな〜。と、速攻で悪口を言ってみたわけ。
で、誰が採集したサンプル? と尋ねると、Nさんと私であった。なんと、タマカイエビを採集してたのか…。でも、気付かなかったのか…。Yさんの悪口は控える事にした。
それにしても、気付いていたら、大和川水系でのタマカイエビ採集一番乗りの栄冠を手にしていたのに。いや、実は今も手にしているのかもしれないけど、ぜんぜん気付かなかったとは不覚。
滋賀県から電話があった。害獣として捕まえられたイノシシを引き取らないかという。喜んで引き取ることにする。まだ、生きてるというので、死んでからもらうことにする。
イノシシなんだから、他人に渡さずに食べればいいようなもの。そういうと、予想外の返事。
夏に獲ったイノシシはまずいので、駆除しても食べずに埋めてしまうんだとか。えー、ウリ坊に毛が生えた程度の小さいイノシシ。肉は少ないかもしれんけど、肉は軟らかいんじゃ? 味にそんなに季節変化があるの〜? 多少まずくても食べればいいやん。埋めてしまうなんて、もったいない!
と、言いながら思い出したのは、兵庫の猟師の話。季節がいつかは忘れたけど、イノシシを駆除で殺したら食べるけど、シカはまずいと言ってほとんど食べないらしい。えー、シカ肉はおいしいやん!
滋賀県の猟師に、兵庫県の猟師。猟師なんだから、獣には詳しいのかな? そして、肉の味にはうるさいのかな?
でも、もしかしたら、あまり試しもせずに身に付いた習慣でそう言ってるのかもしれない。ある種の文化ってことで。
とりあえず食わず嫌いに1票。
エビノコバンというのは、甲殻類に外部寄生する甲殻類。その名の通りエビにくっつくらしい。最近、知人がスジエビに付いたエビノコバンを採った! と画像を送ってくれた。知人が採集したという池は、何度か行ったことがある池で、自分でも水の中の動物を狙って、水網で少しすくってみたが、何にも採れなかった。もう少し粘ればよかったと少し後悔。でも、それはさほど衝撃ではない。
画像に写っているエビノコバンは、楕円形のからだに、黒い目が二つ付いていて、なかなか可愛い。でも、それもさほど衝撃ではない。
今日、そのエビノコバンがスジエビに付く様子をとった映像を見せてもらった。スジエビから離れたエビノコバンは、かなりの速さで動いて、スジエビにピトッと引っ付く。いやがるスジエビくんを無視して、徐々に定位置に移動。定位置に到達するとあとはジッとしてる。かなり面白い映像。でも、その部分はさほど衝撃ではなかった。
どうもエビノコバンは、意外と簡単にエビから離れるらしい。今まで、スジエビをたくさん採集したのに、さっぱりエビノコバンを見つけられなかった。エビノコバン自体はそんなに真剣に探してないけど、スジエビをあれだけ採集していたら、一つくらい付いていてもよさそうなものなのに、どうして付いてないんだろう? と思っていたが、採集時にスジエビから離れて、離れたエビノコバンに気付いてなかった可能性に、今日気付いた…。これが一番の衝撃。
相談をされた。幼稚園児や保育園児に、いきものネタを提供するような本を作っているらしい。分野ごとに分担執筆らしい。昆虫に植物の担当者には、よく知ってる名前が並んでいる。で、相談にきたのは鳥ネタ担当の方らしい。
えんえんと企画の説明をしてくださるが、今ひとつ具体的なイメージがわからない。とはいえ、おとなしく聞いてみる。もしかしたら、これは原稿依頼なのか? と思ったいたら、で、鳥ネタが思いつかないんです。と締めくくられた。?? そうですか〜、という返事くらいしか思いつかない。
なんか、手頃なネタはないですかという事らしい。自分で受けた仕事なら、せめて自分なりにネタを考えてきてから、相談するもんでは? ここで答えたら誰が仕事したんかわからんやん。学校の宿題ならともかく(ほんまはアカンけど)。ということを、柔らかく伝える方法を考える。
と、他人へのダメ出しはともかく、なかなか縛りが多くて、難しいお題なのは確か。
・保育園児や幼稚園児に理解できる
・保育園や幼稚園の先生でこなせる
・保育園や幼稚園内で観察できる
狭い保育園や幼稚園で観察できる鳥は、限られている。とはいえ、冬も入れたら、それなりに種類は出る。さらに立地条件で出現鳥種は違う。
鳥の名前を紹介するのは難しそう。やっぱり超身近な鳥の行動の観察ネタとかかな〜。行動を見ながら鳥の種名がわかり、さらに鳥の行動などについての理解が進めばグー。
個人的には形態や行動ネタよりも、生態ネタが好き。というわけで、巣場所、子育て、果実を食べに来る鳥、なんてネタを展開したいところ。
原稿依頼であれば、どうぞ。子ども向けコンテンツを作るのが上手なスタッフも身近にたくさんいますよ〜。
この機会とばかりに営業だ。
大阪で繁殖したハヤブサのペリットなるものの中身をみんなで調べた。ペリットごとに、もぎゅもぎゅとばらしていく。粉っぽい。鳥小屋の臭いがする。ハヤブサだけに、大部分は鳥の羽をギュッと圧縮したもの。ほぐすと驚くほどふくらんでいく。
その他に、ハヤブサの食べ残しの羽根や骨や頭や足も多数。いずれにしても大部分は、ドバトとムクドリらしい。海岸らしくコアジサシの羽根もけっこう混じる。レア物としては、テグスが絡まって飛べなかったらしきチュウシャクシギ。
足だけでの同定は意外と難しく、大きめのドバトで悩んだり。ヒヨドリの足が一瞬わからなかったり。そんな中で、わかりやすいのは、ドバト。とくにリング付き。レース鳩が相当数食べられているらしく、連絡先の書いてある(名前も電話番号もわかる)リングが多数でてくる。
で、肝心のペリットの中身。食べ残しで出てきたのが主に出てくるんだろうと踏めるので、同定は比較的スムーズ。まあ、ほとんどがドバトとムクドリ。ただし、スズメ大の小鳥の断片は手強い。レア物としては、アオバズクの足。爪が鋭く、トゲトゲが付いているので、わかりやすい。
手強い物達の同定は残っているものの、ハヤブサの食性はかなりわかった気がする。大きくてもドバト大までを狩っているらしく、とくに飼育個体はねらい目。
オオタカの食べ残しなどと比べると、カラスが出てこないのが不思議。さらに不思議なのはキジバトが出てこないこと。ヒヨドリも少ない。海岸部にキジバトやヒヨドリが少ないというよりも、群れで動く鳥を狙っているということか。
知り合いが狩猟免許を取得した。銃猟ではなく、網・罠での猟の免許らしい。銃猟だと捕まえるイコール殺すだけど、罠猟だと捕まえた動物はまだ生きてる。これをどうやって殺すかを考えると、罠猟をする自信はないな〜。トラップにかかったドブネズミすら殺すのをためらうのにノ。
とはいえ、狩猟自体を否定する気はない。むしろシカ、イノシシ、アライグマなど対象によっては狩猟を奨励したらいいんじゃないかと思う。ただし、山をウロウロしてる人間を撃たないように。そして、狩猟鳥獣でない種を獲らないように!
狩猟免許の取得には、当然ながら狩猟鳥獣を見分ける知識が要求されて、見分けられない人には許可がおりないと理解していた。が、今回知り合いから聞いた限りでは、ぜんぜん甘々。
とりあえず、狩猟鳥獣のおさらい(これが最新だと思うけど)。
・鳥類:ゴイサギ、マガモ、カルガモ、コガモ、ヨシガモ、ヒドリガモ、オナガガモ、ハシビロガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ、スズガモ、クロガモ、エゾライチョウ、ウズラ、ヤマドリ(亜種コシジロヤマドリを除く)、キジ、コジュケイ、バン、ヤマシギ、タシギ、キジバト、ヒヨドリ、ニュウナイスズメ、スズメ、ムクドリ、ミヤマガラス、ハシボソガラス、ハシブトガラス
・哺乳類:タヌキ、キツネ、ノイヌ、ノネコ、テン(亜種ツシマテンを除く)、イタチ(オスに限る)、チョウセンイタチ(オスに限る)、ミンク、アナグマ、アライグマ、ツキノワグマ、ヒグマ、ハクビシン、イノシシ、ニホンジカ、タイワンリス、シマリス、ヌートリア、ユキウサギ、ノウサギ
さて、これを確実に見分けるのは、意外と難しい。本当の識別力を試すのであれば、たとえばこんな二つが見分けられるかを確認する必要がある。
・ゴイサギの幼鳥とササゴイの幼鳥(猟期を考えるとほとんど関係ないけど)
・コガモのメスとトモエガモのメス
・マガモのメスとオカヨシガモのメス
・(地域によってはヤマドリを狩猟対象からはずしていることがあるので)キジのメスと、ヤマドリのメス
・ヤマシギ・タシギとアオシギ(幸い猟期は渡りの季節からはずれるので他のジシギ類の識別はいいけど)
・(沖縄で狩猟するなら)ヤマシギとアマミヤマシギ
・(これからの北海道では)スズメ・ニュウナイスズメとイエスズメ?
・(西日本なら)ミヤマガラスとコクマルガラス
・(北海道なら)ハシブトガラスとワタリガラス
・タイワンリスとニホンリス・エゾリス
・(北海道なら)テンとクロテン
・イタチとチョウセンイタチに関しては、オスとメス
たまたま1例を聞いただけだが、出題される問題は10問程度。カモ類やキジ類のメスのようなややこしいのは出てこなかったらしい。
たまたまこの時の問題が超やさしかっただけかもしれない。試されなくても、鳥獣について詳しいハンターも多いだろう。識別に自信がなければ、獲らなければ問題はないわけだし。
とはいえ、こんないい加減な識別力で、ハンターになれるのか〜、と驚いたのも事実。これでは、狩猟対象外の鳥獣がたくさん犠牲になってるんじゃないかと思ってしまう。
クロモズってどんな鳥ですか? と尋ねられる。そんな鳥はいません。にべもなく答える。じゃあ、中国でいうところの烏臼鳥って、日本語ではなんという名前ですか? ??? よほど間抜けな声を出したらしい。丁寧に説明してくださる。
中国の聊齋志異に、烏臼鳥という鳥が出てくるらしい。恋人のところで夜を過ごしていたら、木の上で烏臼鳥が啼いたので、夜明けだと思って慌てて帰ろうとしたら、まだ真夜中だった。プンプン。といった内容らしい。
その話は有名で、何度も日本語訳が出版されているが、烏臼鳥のことを、カラスとしていたり、クロモズとしていたりと、はっきりしない。今回子ども向けに翻訳するので、調べているとのこと。
恋人のところで夜をすごす話を子どもに読ませるのか〜、という感想はともかく。それならということで、がんばって調べてみる。
まずは、中国の鳥の図鑑をながめてみる。大陸の図鑑も、台湾の図鑑もながめたけど、見つけられず。手元の鳥名の由来関係の本を見るも見つからず。面倒になってネットで検索…。わからない〜。
とりあえず、わかったことを羅列してみる。
・烏臼鳥という中国語名は、少なくとも現在は使われていない。
・烏臼というのは、ナンキンハゼ類のこと。
・臼鳥という中国語名の鳥もいない。
・日本ではニワトリの古名の一つに臼辺鳥というのがあったそうな。ついでに、臼辺鳥はミゾゴイを指すこともあったらしい。
・ちなみにこんな詩がある。
打殺長鳴鶏
彈去烏臼鳥
願得彈連冥不復曙
一年都一暁
長鳴鶏はニワトリのこと。烏臼鳥と一緒に殺されるらしい。
・ムクドリの地方名の一つにクロモズというのがあるらしい。
・クロモズガラス(Cracticus quoyi)って鳥がいるけど、分布はニューギニアやオーストラリア周辺。中国とは関係なさそう。
というわけで、結論にたどりつけず。降参。長鳴鶏と対で出てくるのは、やはりニワトリではないのかな? もしかしたら、単にナンキンハゼにとまって啼いてる鳥のこと? だれか何かご存じでしたら、ぜひお知らせを。
クロモズの由来も謎やな〜。
小学生二人組がタネを持ってきた。山で拾ったのだという。他にはきれいな石を拾っていたので、硬くて綺麗なものに惹かれるのだろう。まるでカラスのような。
植物の担当ではないけど、同定を仰せつかった。確かに鳥の糞から出てくる種子を調べたりしているので、種子の同定も少しはできる。でも同定能力はたかがしれている。一目見て、鳥の糞からも出てくる種子とわかる。見覚えがある。でも、なにか思い出さない。都市公園で頻繁にお目にかかる類ではないらしい。といった程度。
仕方がないので種子図鑑をくって調べることに。時間がかかるかもしれないので、小学生達には、マイ種子コレクションを見せて、この中から似てるのを選べと厳命する。素直に、順に種子コレクションと見比べ始める。この隙とばかりに図鑑をくる。
最初からたぶんこれと思うのはあったけど、念のため図鑑を一通りながめてみる。やっぱり最初の候補でいいらしい。で、マイコレクションから選び出して、小学生の前で比べてみせる。サルトリイバラ。
時間がかかったことは棚に上げて威張ってみせると、小学生たちは素直に感心してくれた。よい子じゃ。
考えてみると、この日曜にも同じようなことをした。その時は、ハクビシンの糞から出た種子。たくさん入っているのはカキとムクノキ。一つだけ入ってる丸いのが…。またもや図鑑をくって、種子コレクションから選んできて、並べて見せる。シロダモ。そっくりや!と誉めてもらった。
なかなか役立つマイ種子コレクション。この秋、もう少し充実させようかな〜。
それにしても、Oさんなき後、今後も種子の同定がこっちに回ってくる可能性大。鳥や哺乳類の糞から出てくる種子しかわからないんですけど…。
世の中には出世川というのがある(たぶん)。まあ、出世魚みたいなもの。同じ川をずっと見てたら大きくなって、名前が変わる。ってわけはなくって、川をたどっていく内に、合流したりして名前が変わる。府県境を越えても名前が変わったりする。
奈良県を流れている間は吉野川なのに、和歌山県に入るといつのまにか紀ノ川になっていたり。琵琶湖を流れ出たときは瀬田川なのに、京都では宇治川と名乗っていたり。ややこしいことこの上ない。
桂川と宇治川と木津川が合流したら淀川と名前が変わるわけやけど、先に宇治川と木津川が合流して、桂川が合流するまでの間、果たして何という名前の川なのか。気になって夜も眠れないという経験をした人も多いはず。
さて、大和川水系の水系図を示して、主だった川に適当に名前を入れて貼りだしておいたら、クレームがついた。大泉緑地の大池から流れ出て、西除川に合流する川の名前は、狭間川ではないというのだ。地図を調べると確かに狭間川としていた川は光竜寺川という別の名前があった。じゃあ、いったい狭間川ってなに?
と思ってたら、今日判明した。狭間川って、西除川・大和川合流のところで、南から合流する水路みたいな小さな川のことやった。ちょっと西の川と勘違いしてたわけやね。謎がとけて、胸のつかえが下りた感じ。
いずれにしても、極めてローカルで、マニアック。そもそもあんな小さな水路みたいなのにも、ちゃんと川として名前があることが驚き。
日本哺乳類学会2006年度大会のプログラムが送られてきた。この9月14〜18日に京都大学農学部で開かれる。奇遇な事に、日本鳥学会2006年度大会も9月15〜19日に岩手大学で開かれる。両方に参加したいと思う人は、明らかに少数派なので、両学会で日程調整をしてくれることは望めない。そして、しばしば同じ日程で開かれるのだ。
どっちに行こうか? 実質、丸2日半の発表がある哺乳類学会に対して、鳥学会は丸2日。講演数も哺乳類学会の方が多いように思う。それに京都大学は日帰りでいいけど、岩手大学は遠くて行くのが面倒。などといったことで判断するのは邪道であろうから、発表内容を吟味してみることにする。
哺乳類学会大会の方には、動物地理学、アライグマ問題、中型食肉類、アカネズミがドングリを食べる話など、気になるシンポジウムが並ぶ。ポスター発表でも、パッチ環境でのカヤネズミの話とか、ハヤブサやオオタカがコウモリを食べる話とか、聞いてみたい話がけっこうある。
一方、鳥学会大会。自由集会はいつもと同じような顔ぶれでパッとしない。カワウの話でも聞きに行くかな〜。幸い口頭発表とポスター発表にはおもしろそうなのもけっこうある。
おそらく5年前だと、悩まずに鳥学会大会に行っていたはず。ここ数年のホネホネ団の活動のおかげか、哺乳類との接点が増えて、哺乳類が興味の対象の中に入ってきたってことか。
とはいえ、委員会への出席があるから鳥学会大会に行かざるを得ない。だれかに哺乳類学会大会の講演要旨集でも買ってきてもらおう。
先日、コモドオオトカゲは尻尾を切って逃げるかと尋ねられた。切って逃げないと思う。もし切って逃げるなら、ぜひその尻尾が欲しい。じゃあ、トカゲの中で、どれが尻尾を切って、どれが切らないのかと尋ねられて困った。
仕方がないので調べてみる。手元の専門書にも世界のトカゲのどれが自切してどれが自切しないのかは見あたらず。と思ったら、平凡社の世界動物百科に書いてあった。曰く、
「トカゲ類16科のうち11科の、少なくとも一部の物は尾の自切ができるが、カメレオン類、ドクトカゲ類、ミミナシオオトカゲ類、オオトカゲ類、ワニトカゲ類ではすべての種が自切できないようである。」
系統を考えれば、自切しないグループが、けっこうばらけているのに驚いた。
そして今日は、カナヘビは自切するのかと問われた。上で伝で行けば、自切するはず、と答えた。すると自切するのを見た記憶がない。最近尻尾を持って振り回しても自切しなかったとのこと。あらためて、自分の胸に手を当てて、カナヘビの自切を見たことがあるか考えてみたが、いまひとつはっきりしない。ヤモリやトカゲの自切は何度も見た。というか尻尾を切らせたがノ。トカゲの青い尻尾がピクピクしてる図も思い浮かぶがノ。カナヘビ??
そこで、標本を調べてみることにした。採集して標本にする以上、尻尾の切れてないのが望ましい。ってゆうか格好いい。という選択が明らかに働くが、この場合、1個体でも自切してればいいんだし。
ニホンカナヘビの標本をランダムにチェックしていった。結局50個体チェックして、4個体の尾が切れていた。やはり自切するらしい。それを見せて一件落着。
ただ、カナヘビよりもトカゲの自切をよく覚えているということの説明がつかないと気持ちが悪い。もう一度、今度はニホントカゲの標本をチェックしてみた。同じくランダムに50個体チェックして、尾が切れていたのが17個体。カナヘビよりもトカゲの方が、よく尾を切るか、少なくとも尾を切っても標本にする事が多いのは確からしい。
今度は野外で、ニホントカゲとニホンカナヘビで、自切の傾向、あるいは自切する状況に違いがあるかを調べたいところだが。自切っていうのは、トカゲ類にとって一世一代の最後の手段。再生尾はもう基本的に再生しないし、尾を失うと一緒に尾にためた脂肪も失われる。トカゲにとっては大損害。よい子のみんなは、むやみにトカゲの尾を切って遊ばないように。
むかし、夏の一大イベントが始まってしまえば、8月はとってもゆったりした月だった。もちろんかき入れ時ではあったが、あまり影響されずに、それまでにたまっていた仕事を片づけることができた。
いま、8月は嵐の季節。山のようにイベントがある。土日のみならず、平日にもイベントがあるので、他の月よりむしろ忙しい。たまっていた仕事は、さらにたまっていく。
さて、8月の一連のイベントもそろそろ一段落。そして、8月末が締め切りの原稿が2本。残り5日で片づけなくては。
9月になれば、もう少し時間ができるはず。というのが、心の支えなんだけど、常に幻想だったりする。
プロジェクトYが一段落して(密かに9月に追加調査をしようと思っていたりするけど)、その成果発表をしている今。この勢いで、プロジェクトY2について考えてみた。次を考える前に、まずプロジェクトYを振り返ってみよう。
2002年秋に始まったプロジェクトY。実質的に調査を始めたのは、2004年春だった。調査は河川やため池の水鳥、ツバメ類、カヤネズミ、アカガエル類、アオガエル類の調査を中心になって進め。さらにアライグマ、カメ類、その他両生類の情報も集め。はては、淡水貝、淡水甲殻類、ヒメドロムシ類、ミズギワゴミムシ類、水草にまで参加した。
よかった点としては、個人的にはさまざまな生物の視点で自然を見れるようになったこと。これは、いろんな調査に参加した人みんなに言えるんじゃなかろうか。調査の最後に本の出版や展示があったので、明確な目標があったのもよかった。
いま一つだった点は、結局、生物相を明らかにし、分布図を作成する調査に留まった点。もう少し環境情報をうまく集めたら、分布情報をさらに活用できたように思う。また、調査自体には多くの人が参加したけど、調査のまとめに参加した人が限られるのも少し物足りないかも。
プロジェクトYで調査した大和川水系の、結果としての展示の特性としては。やはり人工色の強い水系だなって感じ。源流は多くの場合、田んぼだし。中流域は、河川改修が進み、流露が直線的に変えられていることが多い。そして下流部は、ご存じの通り大規模に付け替えられている。
あとは、川底が砂地であることが多く、ぜんたいに河川は浅く、周辺の山地は低い。水量は少なめ。おかげでため池がとっても多い。とくに大阪府側や奈良盆地北部は市街化がとても進んでいる。
調査をする前提としては、大阪人・奈良人にとって、きわめて身近な川であるにも関わらず、そこに生息する生物相についての情報が驚くほど少なかった。
とまあ、こんな具合。みんなである地域の調査をする意義の高さは明らかと思う。次はもう少し気軽に参加できて、もっと深く何かを明らかにするような工夫ができたらと思う。
別の水系を調査するなら、当然別の結果が出るわけで、生物相や分布に関する情報が蓄積されるだけでも十二分に意義がある。でも、それだけではなく、その水系ならではの切り口が設定できると、嬉しい。なにより本や展示を売り込みやすい。そして、すでにかなり調査された水系の場合、これから調査する意義も考えないと行けない。
プロジェクトY2として、とりあえず考えているのは淀川水系。琵琶湖淀川水系と銘打つと、近畿地方北部のかなりのエリアをカバーしてしまうから、調査も大変。ってことで、淀川という名が付く、三川合流から河口(河口の浅海域も込みでいいやん!)、そして淀川に流れ込む(桂川、宇治川、木津川以外の)支流を扱ってはどうだろう? それだと、大和川水系でカバーしたエリアより北の大阪府をほぼ全域カバーできるし。
エリアの広さ、公共交通網ともに多くの人が参加して調査するのに手頃な感じ。問題は切り口。3つほど考えてみました。
・大和川水系との違いで一番大きいのは、山から流れ出て、海にそそぐまでの1セットがそろっていること。渓流要素があるし、下流部の氾濫源もあるし、河口の干潟も期待できる。箱庭的だった大和川水系もいいですが、河川を一般的に語ろうとするなら欠けている要素が多すぎ。河川を語るには、むしろ淀川水系でしょう。生物の流程や低質に応じた分布なんかの話も、メリハリがあって展開しやすいはず(実際、大和川の自然では、あまり流程分布語らなかったし)。
・もう一つ、大和川水系との大きな違いは、固有種の多さ。すなわち、水系の歴史の長さ。海進によって、多くの淡水生物(とくに下流部の)が一掃されたんじゃないかという大和川水系とは全然違う。さらに言えば、河口ではつながっていたはずなのに、大和川水系に、琵琶湖淀川水系の固有種がまるで侵入していないのはなぜ? という大きな謎に答えるには、現在の淀川の支流に、どの程度、問題の固有種が入り込んでいるかという情報は不可欠。
・プロジェクトYでは、現在の生物の分布を、地質学・考古学的な情報と関連させるという面が、充分にはできなかった。過去の地形や、過去の分布情報とつきあわせて、現在の分布を議論するというのは、地学系と生物系の両方がそろっているプロジェクトならではの視点。
そんなわけで、水系内の分布、水系間の分布の違いが、どのように成立しているのかを、現在&過去の分布情報・環境情報から明らかにしようという切り口はどう? そのモデル水系として淀川は悪くないでしょう。
日本の生物相の起源なんて話をする前に、目の前の川の生物相の起源の話をしてみよう!
枯れている。少しは真面目に水やりをしないと収穫ができない。続いて、ニワトリに餌を水をあげる。こちらもちゃんと世話をしないと、食べる部分がなくなってしまう。暑いし、蚊にさされまくりながらの作業だし、早めに終わらせたい。
子猫がないてる声がした。ニャーニャーと答えてみる。さらに熱心にないてくれる。二ヶ所でないてるらしい。そのうち、近くの藪から子猫が出てきた。真っ黒とキジトラ。乳離れして間もない感じで、足下がおぼつかない。とっても可愛い。ニャーニャー言ってると、どんどん出てきた。まだ世の中の何が怖いものかわかってないらしい。これなら触れるかも。
と、思ってたら、黒い方がニワトリを飼ってる囲いの中に入っていこうとする。このニワトリ、最初はおとなしかったのが、近頃は人を見ると蹴りを入れるようになって、なかなかに攻撃的。子猫なんか一発で殺されそう。慌てて、ネコを捕まえに行く。囲いに入る寸前にキャッチ。おとなしく抱かれている。可愛い。
やっぱり生きたネコが一番さわり心地がいい。と喜んでいるわけにも行かず。ニワトリには近寄るなと言い聞かせて放す。と、ふと目を放したら、黒い方があっさりニワトリの囲いの中に入ってしまった。餌をもらって少し機嫌のいいニワトリは、初めて見る子猫に、攻撃するかどうか悩んでいるらしい。その隙に、子猫を囲いから引っ張り出す。危ない危ない。
仕方がないので、もう1匹と一緒に抱いて、少し離れた場所に移動。地面に下ろして立ち去ろうとすると付いてくる。少し抱いただけで、なついてしまったらしい。可愛い。しばらく遊んでみる。それから、ダッシュで立ち去る。
明日も子猫と遊びたいところだが、あんまりなつかせるのもまずいし、難しいところ。それにしても、お母さんはいったいどこや!
みんなでたくさん皮を剥いたので、たくさんの毛皮の処理をすることに。皮を剥いただけでは、柔らかいなめし皮にはならない。脂肪除去、洗浄、なめし液に浸ける、乾かす、柔らかくする。ようやく工程も最後に差し掛かって、毛皮がたくさん並んでいる。
きれいな毛皮を作るには、一に材料の新鮮さ、二に皮むき後の処理の丁寧さ。皮むき自体で差がでることはあまりない。とはいえ、毛皮を処理していると、皮むきの時の失敗が目に付く。尻尾、指先、耳、目の周り。皮むきの上手い下手は端っこを見ればよくわかる。処理しながら、誰やこの下手ッピーな剥き方は!と思ったら、自分が剥いた皮だったりして焦ることもある。
今回処理したのは、主に中型哺乳類。近畿地方周辺で集めたものが中心で、多くが食肉類。毛皮の手触りは、種によって色々。そこで、さわり心地のいい毛皮ランキングを作ってみることにした。
1位 ネコ:これは圧勝と言っていいだろう。ネコに匹敵するものといえばウサギがあるが、ウサギは食肉類ではないのでランク外。とにかくネコの毛皮は気持ちいい〜。
2位 ハクビシン:毛は短めだけど、ふわふわっとしてて、さわると気持ちいい〜。ネコほど柔らかい毛ではないけれど、これも捨てがたい。
3位 キツネ:ふわふわの尻尾にも惹かれるが、胴体の毛もさわると気持ちいい〜。
4位 テン:キツネとの3位争いは微妙であった。もしかしたら、個体によったらキツネよりもさわると気持ちいい〜、かもしれない。
5位 タヌキ:背中の毛はさほど気持ちよくないけど、部位によっては柔らかくて気持ちよかったりする。
6位 アライグマ:これははっきり言って、かたい。毛皮なので、気持ち悪いとは言わないけれど、さほど気持ちよくはない。
7位 アナグマ:アライグマ以上に毛がかたい。短くてかたい毛を、さわってもね〜。
そんなわけで、毛皮の襟巻きをもらうなら、ネコかハクビシンで。まちがってもアナグマはいらない。
ネコの毛に関して言えば、なめし液に浸けて処理された毛よりも、生きたネコの毛の方がふわふわ度は高いと思う。毛皮よりも生きたネコをさわりたいかも。
ツバメのねぐら入りを見てから、帰りのバス停に到着。ふと見ると、たくさんのクモが忙しそうに動き回っている。みんな一斉に巣を張っているらしい。日没後45分程度。暗くなってから巣を張り出す種なんだろう。張っているのは垂直円網。なんたらオニグモであろう。
すでに縦糸は張り終わり、今は横糸を張っている途中。どうやら、内側から外側に向かって、粗く横糸を張ってから、外から内に向かって細かく横糸を張るらしい。作業の早い遅いは若干あるけど、多くの個体は外から内に向かって、細かく横糸を張ってる途中。
お尻から糸を出して、一番後ろの脚で、縦糸にペチャっと付けている。時計回りの時は左の後ろ脚。反時計回りの時は右の後ろ脚。右の後ろ脚をとったら、時計回りしかしなくなるのかな?と思いつつ実験は断念。
個体によって、時計回りにずーっと回っているのがいれば、しょっちゅう回る方向を変える個体もいる。回る方向を変えるって、どんな網を作ってるんだか、と思うけど、今ひとつわからず。
とにかく、一斉にクモがこんなに元気に動き回っているのは初めて見た。見ているとなかなか楽しい。と、盛り上がってきたところでバスが到着したので、観察を断念。ちょっと後ろ髪をひかれた。
今日は、メダカ、貝、水草、水生昆虫といろんな話を聞いた。なかでも貝の話が一番おもしろかった。眠気をさそう声に耐えながら、がんばって聞いた話を紹介しよう。
マシジミやタイワンシジミっていう二枚貝は、雄性発生という妙な発生の仕方をする。卵子が受精して発生が始まるのだが、発生するときに卵子と精子の核の融合がなく、精子の核だけを利用して発生が進む。つまり、母系の核DNAは子どもに伝わらない。ミトコンドリアDNAを無視するなら、一見有性生殖なのに、実は有性生殖ではない。種の概念もややこしいことになる。クローンで増える生物みたいなもの。
で、問題は在来種のマシジミと、移入種のタイワンシジミが交雑可能、というより相手方の卵子を受精させて発生できるということ。両方がいる場所では、多くの精子を放出して、多くの卵子を受精させた方が増える。そして残念なことに精子量はタイワンシジミの方が圧倒的に多いらしい。結果としてマシジミのメスは、どんどんタイワンシジミの子どもを生むことになり、どんどんタイワンシジミだらけになってしまう。
2000年頃、淀川水系はすでにタイワンシジミだらけになっていたが、大和川水系にはまだタイワンシジミは確認されなかった。しかし2005年頃から大和川水系でもタイワンシジミが確認されるようになり、どうやら急速に増えているらしい。
移入種問題としても憂うべきことだが、なんとマシジミよりもタイワンシジミの方がまずいらしい。食卓の問題として憂うべきであるのは明白!
移入種の貝ということでは、ハブタエモノアラガイという移入種が大阪周辺に急速に増えている。いっぽうモノアラガイという在来種は、環境省RDBで準絶滅危惧種にあげられるほど少なくなってしまった。どうしてだろう?
というわけで、実験したらしい。室内で飼育していろんな個体群パラメータを比較する。
産卵数:ハブタエモノアラガイ < モノアラガイ
孵化率:ハブタエモノアラガイ < モノアラガイ
生存率:ハブタエモノアラガイ < モノアラガイ
ここまでだとモノアラガイの方が増えてもよさそう。ところが、
近交弱性:ハブタエモノアラガイ > モノアラガイ
モノアラガイ類は、雌雄同体。同時に精子と卵子を作り、自分の精子で自分の卵子を受精すること(自己受精)もできるらしい。実験的に自己受精させて、その卵の生存率を比べたら、ハブタエモノアラガイの方が生存率が高かったというもの。
この結果は、自己受精だけでなく、血縁個体との繁殖の影響をみていると考えることができる。つまり孤立した個体群で、血縁度が高まった時、モノアラガイは生き残れなくても、ハブタエモノアラガイは生き残れる可能性が高い。モノアラガイが減って、ハブタエモノアラガイが増えているのは、両者の競争の結果ではなく、個体群の孤立化の結果。つまり人間が個体群を分断したための可能性が高いってことになる。困ったもんだ。
冬にため池の水を落としたら、オオタニシやドブガイがたくさん死んでるのを見かけることがある。水を落とされるのはため池の貝に決定的なダメージを与えるに違いない。わずかにでも生き残る個体がいるんだろうか? と心配していたが、話はまるで違うらしい。
ため池の水が落とされて水がなくなると、たしかに大量のオオタニシやドブガイが死んでしまう。しかし、わずかに残された水の中や、多少なりと湿った場所にいた貝はちゃんと生き残るんだそうな。冬の間の2〜3ヶ月ならぜんぜん大丈夫。
逆に、定期的に水をぬかないと、ため池の底には泥がたまっていく。こうした泥だらけのため池では、オオタニシやドブガイは生きられない。だからむしろ、定期的に水を落とした方が望ましい。
さらにおもしろいのはタナゴとの関係。ドブガイの中に産卵するようなタナゴは、ため池の水が落とされると、ドブガイの中に逃げ込んで難を逃れるらしい。そのまんま2〜3ヶ月すごして、再び水が入ったら水中にでていく。するとそこには、コイやブラックバスなど外敵やライバルの魚が除去されたため池が待っているという寸法。恐れ入りました。
タナゴ類とイシガイ類の関係はさらにおもしろい。タナゴ類はイシガイ類の中に産卵して、孵化するまで卵を守ってもらう。一方、イシガイ類は、ある程度成長するまでクロキジウム幼生を魚に付ける。魚と貝という枠組みでは共生なんだけどノ。
アブラボテとマツカサガイを調べた結果。アブラボテはマツカサガイに産卵する。マツカサガイは、アブラボテ、フナ、タモロコ、ヨシノボリなどに幼生を付着させていた。ただしアブラボテに付いている幼生は圧倒的に少なく、付いていた幼生も無事に成長せずに、死んで落ちてしまうらしい。
つまりアブラボテは、共生しているのではなく、一方的にマツカサガイを利用しているという構図。お世話になってるのだから、せっかくついたマツカサガイの幼生を殺さないでもいいのに。と思うのは、相互利他行動を発達させた人間の発想か。
ともかく、貝というのは、なかなか奥が深い。
小学校の1年生か2年生の頃、夏休みに工作の宿題がでた。なんでも好きな物を作ればいいだけだったと思う。図鑑の後ろに簡単に紹介されていたのを見て、箱の中に水槽を作ることにした。箱のふたを開けて、横向きにした状態で、魚の絵を貼り付けるといったもの。子どもなりに工夫をして、切り抜いた魚の絵の後ろに紙を付けて、魚の絵が箱の中に浮いているような状態を作ってみた。
夏休みが終わって、工作の宿題を持っていったら、同じクラスにもう一人、同じように箱の中に水槽を作ってきていた子がいた。しっかりとした背景が描かれている上に、魚は箱の上から糸でぶら下がっていた。その上、切れ込みに沿って動かすこともできたと思う。子ども心にも、明らかにそっちの方がいい出来だった。自分の作ったのを見られるのが嫌だった。
もう一つ子ども心にも明らかだったのは、小学校の1年生や2年生が自力で思いついて作るような出来ではないってこと。明らかに親の手が相当入っていた。それが一層悔しかったりした。なぜかわからないが、自分の子の宿題は絶対手伝わないぞ、と心に誓った。幸か不幸か、その誓いは今のところ完璧に達成されている。
考えてみたら、小学校低学年の時の記憶なんてほとんど残っていない。それなのにこの件に関してはやたらと詳しく覚えている。よほど悔しかったんだろう。
今日は、ぶらぶら大和川というワークショップに参加した。箱を開いて横にして、そこに紙で簡単な背景を作り、大和川にすんでいる動物の絵を糸でぶらぶらぶら下げるというもの。その企画を聞いた時から思い出すのは、あの時のこと。たいへん複雑な気分。
とりあえず博士と呼ばれて、登場する動物の説明をする役なのだが、一緒に箱にミニジオラマを作れと言われた。江戸の敵を長崎で。あの時の奴に負けないのを作ってやることにした。
動物の絵を描くのは苦手。ちょっと試して挫折した。そんなお友だちのために既製品の動物の絵も用意されている。それに色を塗って切り抜いてぶら下げればOK。
動物の絵では対抗できないので、背景と仕掛けでがんばる事にした。モクズガニとスッポンとマシジミは、川の中に隠れているようにしよう。カヤネズミには巣を用意して、草をつたって巣まで行くことにしよう。ゲンジボタルとマクガタテントウは、まあ適当に。
プランはできたので、色を塗って、切り抜く。それだけで時間がかかる。一日3回1時間ちょっとのワークショップがあって、2時間経つと次の回が始まる。最初の方の回のお友だちは、2時間でできなければ、そのまま作業を続けても大丈夫。1回目のワークショップが終わっても切り抜きが終わらない。2回目の途中でようやく切り抜き完了。そこから背景の製作と動物のセッティング。2回目の凝りに凝っているお友だちと一緒に、終わらないね〜、といいながら2回目に突入。3回目のお友だちがみんないなくなる頃に完成。自慢する相手があまり残っていなかった…。
仕掛けは多いものの、さほど格好のいい出来には仕上がらなかった。小学生中心のお友だちになら自慢できる程度か。でもまあ、せっかく作ったので、持って帰ろうと思う。飾るか、しまっておくかは微妙なところ。
べつに京都にはキリンがよく似合うという話ではなく。京都動物園のキリンの話でもなく。京都のビアガーデンでキリンを呑むはずがない。ビール呑めないし。
昨日、キリンがやってきた。今年2頭目。今度のは小さい。足首の太さは負けない。手首の太さは負けてるなー。体重は同じくらい。身長は負けてる。そして、首の長さも負けてる。まつげの長さも負けてるかな〜。
生後3日目とは思えない大きさなので、保存場所がない。というわけで、今日さっそく処理をした。
でも、今日は、京都で会議があるねん! 午後からの会議なので、ギリギリまでねばって皮むきに参加。頭や尻尾を剥いて、それなりに満足してから出かけたら、大幅に遅刻したノ。
そういえば、今年1頭目のキリンの時も、午後から京都で会議があった。頭を少し剥いただけで出かけなくてはならず、たくさん心が残った。
どうやら、キリン達は、京都で会議がある日をねらってやってくるらしい。次は9月頃が怪しい。
月曜日そして今日と石川に行って川遊びをする機会があった。別のグループの行事で行ってるのだが、どちらも水網を持っていって、淡水エビ類を主に狙った。
同じ場所には何度も行ってる。ナマズを採ったり、モクズガニを採ったり、魚を採ったり、カメを採ったり。以前も色々と採集したはずだが、エビ類を採集した記憶がない。
ところが、今回はエビ類が狙い。採れるのかな〜、と思ってたけど、簡単に採れた。スジエビ、テナガエビ、ミナミヌマエビ。水際の草のところでガサガサしたらいくらでも採れる。以前も似たような事をしたはずやけどな〜。
おそらく以前はエビ類に興味がなかったから、採集する気もなく、水網に入っても目には入ってなかったんだと思う。人は見たい物だけを見るのだな〜。
ついでにアメリカザリガニもたくさん採れた。飼ってるカメ達の大好物なので、たくさん採集する。移入種なので大量に採りまくっても、罪悪感がない。なんか間違ってる気もするけど。
哺乳類や鳥類の皮を剥いて標本を作製するのを趣味とする人たちが世の中にはいるらしい。なかでもなにわホネホネ団という集団が、近頃しばしばマスコミに取り上げられている。そのせいか、入団希望の問い合わせも増えているようだ。マスコミのインタビューに答えている中に、メンバーは女性の方が多く、きちんと作業できる者も女性に多いという部分が見受けられた。端的に言って、男は役に立たないというのだ(なにわホネホネ団事務局長談)。はたしてそれは真実なのか、なにわホネホネ団の協力のもと検討してみた。
2006年お盆のまっただ中の時点で、なにわホネホネ団の団員数は、64名。女性40名、男性24名。性比(女性の占める割合で計算)は、62.5%と女性に大きく偏っている。ただし、未成年層だけをピックアップすると、女性15名、男性11名。性比57.7%と偏りは小さくなる。いずれにせよ、皮むき行動への興味を持つという段階で、すでに性差が認められる可能性がある。
興味を持って入団しても、めったに活動に参加しない団員も多い。ここ半年程度の間に複数回参加した団員をピックアップすると、女性17名、男性15名。性比53.1%と、やはり女性に偏ってはいるが、大きな違いはなくなってくる。
さてここからが本題。頻繁に参加していても皮むきが上手とは限らない。そこで、タヌキ1匹の皮むきを任せられる団員をピックアップしてみた。選考基準は、タヌキの皮をグチャグチャにせずに一通り剥けるかどうかであるが、あくまでも事務局長の独断と偏見であることをお断りしておく。
で、タヌキ1頭を任せられる団員は、28名。女性18名、男性10名で、性比は64.3%。とくにこの中から未成年層だけをピックアップすると、女性9名、男性2名。性比81.8%と、さらに女性に偏る。
皮むき行動への興味、能力ともに女性の方が高い傾向にあると結論づけてもよさそうである。とくに”男は役に立たない”という意見は、おもに未成年層を頭に置いた発言と思われる。若い男性諸君の奮起を促してもいいけど、むしろ我々は男に生まれなくてよかったと、胸をなで下ろしておこうではないか。
今日もなにわホネホネ団への入団希望者が団長と面会していた。二人とも小学生とおぼしき女性であった。問い合わせも2件、やはり女性から。マスコミに露出しているのは団長と広報部長。いずれも女性であることを考えると、少なくとも団員の性比の偏りの原因は、皮むき行動への興味の性差ではないのかもしれない。
長居公園は、大阪市の南部に位置する都市公園で、大阪市内では、大阪城公園、鶴見緑地に次ぐ規模を誇る都市緑地である。規模を誇るといっても、その内実は、公園の相当部分はスポーツ施設になっていて、緑地ではない。ただ、長居植物園があるので、それなりに緑は多いと言っていいだろう。
面積はそこそこあるものの、市街地に囲まれた都市緑地。哺乳類相はさほど豊かではない。豊かではないけど、いないわけでもない。というわけで、リストを作成してみた。長居公園の哺乳類相が公表されるのは、おそらく本邦初であろう。なおリストの配列と和名・学名は『日本の哺乳類 改訂版』(東海大学出版会)に準拠する。
翼手目
ヒナコウモリ科
1.イエコウモリ Pipistrellus abramus (10年前と比べるとその数は激減しているが、現在でも夏の夕暮れには普通に見かける)
食肉目
イヌ科
2.タヌキ Nyctereutes procyonoides (数年前より目撃情報はあった。植物園内でため糞も見つけていた。すぐ近所で死体も回収した。そして、昨日は溺れている子タヌキが救出された。繁殖もしているらしい)
3.イヌ Canis familiaris (かつては数頭生息していたが、近年は絶滅したと思われる)
イタチ科
4.チョウセンイタチ Mustela sibirica (昼までも時々見かける)
ネコ科
5.イエネコ Felis catus (多数生息し、盛んに繁殖している)
齧歯目
ネズミ科
6.ドブネズミ Rattus norvegicus (周辺で確認しているので、おそらく生息していると思われる)
ネズミ類については、調査が不充分なため、今後の調査によってあらたにハツカネズミやクマネズミが確認される可能性がある。また、アライグマの目撃情報もあるが、1例のみなので今回は保留とした。
以上の他に、シマスカンク、アナウサギ、オグロプレーリードッグが確認されているが、いずれも明らかにペットが放されたものであり、定着・繁殖もしていないので、本リストからははぶいた。
それにしても、子ダヌキ見たかったな〜。
昨日かかってきた電話の話をしたい。
東京の某テレビ局から、某番組への出演依頼だった。みんなも知ってるある研究者が、とある動物の和名を変えようとしてるんだとか。へーへーへー。
そこまで聞いてから、えっと聞き返す。その人を紹介しろってこと? はい確かに、その人は知ってますが、そんなことを画策してるとは知りませんでした。だから無理といったら、原稿はこちらで用意するので大丈夫と言われた。原稿を読むだけなら誰でもできるやないか! 知ってもないことを、知ってるような顔をしてテレビに出る気はない、ときっぱり断った。かっこいい〜。
まあ、そこまではええねん。そこでふと気になって尋ねてみた。
そんなんを言わせるなら、私ならまずY研究所の誰かに頼むが? はい電話したのですが都合がつきませんでした。じゃあ、T大学のHさんとか、R大学のUさんとかは? ダメでした。A市の博物館、C県立中央博物館、国立K博物館は? ぜんぶ断られました。
よく聞いてみると、放送までに時間がなくて、お盆前後に収録しないといけないらしい。そして、関東方面の関係者は、お盆の間、海外に調査に行ってるか、お盆休みをとっているかで、引き受け手がないらしい。つまり関東に誰もいないから、仕方なく関西までコンタクトしてきたってわけ。
こっちはずーっと日本にいる。8月で完全に休めそうなのは、おそらく1日くらい。お盆前後はずーっと仕事。なーんか不満。
今日は、奈良の平城宮跡にツバメの集団ねぐらを見に行った。ツバメがたくさん飛んでよかったのだが、それ以上に色々とツバメの集団ねぐらについての情報を仕入れられたのが収穫。
Nさんに聞いた話。対馬にはツバメの電線ねぐらがあるそうな。規模は小さいそうだが。
ほー、と思ってたら、別のNさんから、兵庫県宝塚市には、街路樹で寝ているツバメの集団があるという話を聞いた。これまた規模は小さいそうだが。
奈良盆地では、平城宮跡以外の集団ねぐらがどこにあるのかなと思っていたのだが、奈良市東川池に2000羽程度の集団ねぐらがあるほか、大和川にも小規模な集団ねぐらがいくつかあるという。大和川のねぐらについては、詳しい場所と規模を知りたいところ。
平城宮跡では、1万羽を超えているとおぼしきツバメの集団が乱舞した。かなりの壮観であったが、何人かの子どもはツバメを見ずに、こっちと話ばかりしていた。今日の思いでは、たくさんのツバメを見たではなく、薄暗い中でお兄さんとお話をした、ってことになるだろう。
最終日の午前中はやはり祭りの後始末。そして午後から、鳥剥き大会。と言っても、参加者は4人だったがノ。4日連続ともなると、最終日の出足は悪い。そして、鳥の皮むきができる人は少ない〜。
今日は、トビ、キジ、カワウと大物の皮を剥いていた。だれがどれを剥くかは適当に振り分けたけど、キジがあたった人はブーブー言っていた。頭が裏返りにくいんだな。一方で、カワウをやってる人は、余裕で頭が裏返る。要は、頭の大きさと首の太さの関係なんだけど、カワウの場合、首の皮に弾力があるっていうか、ものすごく拡がる。魚を大量にため込めるのもうなずける。
なにはともあれ、みんなで一緒に皮むきをするのは楽しい。なにか発見したら自慢できるし。
祭りの後には後始末があるというのが常識。ホネホネ合宿の皮むきマラソンを真に受けて、2日で7頭皮むきをしたら、剥いた後の中身や皮の処理が待っていた。2日かかっても終わらない。ってゆうか、2日目にも性懲りもなく皮を剥いたので、事態はさらに悪化したと言ってもいいだろう。
2日目の皮むきと言えば、某通信社が取材に来た。カメラマンを連れてやってきたので、てっきり写真を撮って、適当に話を聞いて帰るだけだろうと思ったら、タヌキの皮を剥いてみるというので、驚いた。タヌキの前に、こっちの目を剥かれたとでも表現しようか。
午後から作業に取りかかって、6時間かかって終わらず、挫折して帰っていった。足を2本剥いただけ。出来具合は素晴らしいのだが、いかんせん6時間で足2本ではノ。
続きを引き受けた中学生は、1時間半ほどで剥き終わってしまった。どうだ、参ったか! 自分が勝ったようでちょっと嬉しい。この事実こそ記事にすべきではないだろうか?
そして、3日目。多くの人は2日間で堪能したというか、疲れたというか。参加者は少ない。こっちも2日間睡眠時間3時間で、ぶっ通しで作業したので、午前中はダウン。午後も遅くからの参加になった。
骨取り作業は他の人に任せて、昨日の夜から続けている皮の脂肪除去作業。アライグマは面倒でイヤなので、タヌキに集中する。とりあえずタヌキ皮7枚を用意。またもや1枚にかかる作業時間を計ってみることにした。5枚処理したところで挫折。
使ったのは、解剖バサミ(中)と、サヌカイト製の手のひらサイズの石包丁。
1.タヌキ(♀、3.8kg):70分
2.タヌキ(♂、3.8kg):65分
3.タヌキ(♂、3.7kg):60分
4.タヌキ(♂、5.2kg):80分
5.タヌキ(♂、3.3kg):65分
性別はあまり関係ないけど、とても大きな個体はやはり時間がかかる。それでもアライグマよりもましなんだけど。
今日からホネホネ合宿。別名、皮むきマラソン(らしい)。別名が正しいかはともかく、たくさん皮を剥いた。朝から夜まで、ほとんど一日中皮むきをしていた感じ。結局、タヌキ4頭とアライグマ1頭を剥いた。一つの伝説をつくったと言ってもいいだろう。
ちなみに、皮むきにかかった所要時間を計ってみた。死体に最初にメスを入れた瞬間から、皮と中身が完全に分離した瞬間まで(通常、鼻を最後にはずすので、そこまで)。指や尾は筒ではなく、切り開いている。使ったのはメス1本。
1.タヌキ(♂、3.8kg):75分
2.タヌキ(♂、5.2kg):63分
3.タヌキ(♀、3.7kg):52分
4.タヌキ(♂、3.8kg):65分
5.アライグマ(♂、10.5kg):140分
タヌキに関して言えば、約1時間で剥けるらしい。時間の違いは、タヌキの大きさや性別よりも、メスの切れ味にかかっている気がする。一方、アライグマは、タヌキの倍以上の時間がかかる。これは、指が長く、数が多いから。
合計で、実働6時間半も皮を剥いていたことになる。指先が痛い。腰も痛い。そして、後には、剥かれたばかりの皮と中身が5つ。さて、どうしよう。誰か処理してくれないかな〜。
午前中は、明日からのホネホネ合宿に備えて、団長と明日の準備。ようは冷凍室から凍った動物を出してくる。冷凍室は、およそマイナス40℃の世界。とっても寒い。Tシャツに草履履きでやる作業じゃない。
昼からは、大和川へ水鳥の調査。猛暑の中を自転車で約3時間。今日の大阪の最高気温は36℃。炎天下の河川敷は40℃を超えてるに違いない。
体感した寒暖の差は、約80℃。日本の観測史上の最高温度と最低温度を一日で体験したに近い。体に悪そう〜。でも、マイナス40℃の後に、40℃を経験してるからまだまし。逆に、汗みずくのままマイナス40℃の冷凍庫に入ったら死んでしまうし。気をつけよう。
炎天下の大和川には、わざわざ体を焼きに来てる人が何人かいた。物好きやな〜、と思ったけど、鳥を数えに来てる奴に言われたくないか。
石川の上流部に行った。滝畑ダムのさらに上流。大和川水系では、数少ない渓谷風の場所。カジカガエルやカワガラスなど、大和川水系では少ない渓流ものの生物がここには生息している。んだけど、今日一番数多く観察したのは、河原でBBQをしている人間であった。
大阪の最高気温は36.1℃だったらしいけど、石川上流の渓谷は涼しい。足を水に浸けるとさらに涼しい。と涼みながら、川の中の生物観察。楽しいんだけど、
ただよってくるBBQの臭い。キャンプ場周辺だけでなく、かなり奥にまで人が入り込んで、車を止められる場所には軒並み駐車して、河原ではあっちでもこっちでもBBQ。コンロセットだけでなく、テントや椅子や色んなものも並んでいる。
たぶん大量のゴミが出るだろうし、残していかれるだろう。ここは、けっこう管理されてるから、ゴミ掃除が入りそうではあるけれど…。
夏休み中の週末は、多少人数は減るだろうがおそらく平日も、ずーっとこんな状態が続いているんだろう。
人や荷物で踏み固められる河原。人がひっくり返しまくる川底の石。捨てられる生ゴミ。周辺に生息する生物にかなり大きな影響を与えていそう。
このエリアは、一見したらよさげな環境のわりには水生昆虫相が貧弱と聞くが、さもありなん。過剰な攪乱の影響じゃないの?
あと、ずっと立ちこめているBBQの臭いは、けっこう環境に影響しそうな気がする。あの臭いに反応して、困ったことになる植物とか昆虫とかいないのかな? 明らかな影響としては、コンビニ弁当を持ってきた人間は、妙に不機嫌になるというのがあるな。
とある講演会で話をした。30分程度。聴衆は、たぶん顔見知りが多い。そして、ネタふりするだけでOK。といういたって気楽な設定。当然ながら、気楽に準備。
出番が遅めで、人手が足らないので、受付をしていた。名前を書いてもらって、資料を渡す。
予想通り、やってくるのは顔見知りが多い。挨拶しながら名前を書いてもらうというパターンが多い。顔を見たことのあるようなおじさんがやってきた。誰だっけ? 知ってるけど、思い出せないな〜。ここまでは、よくあること。さりげなく、名簿に書いてる手元をのぞき込む。
H田E司。
ゲロゲロゲロ〜。京都大学名誉教授やん。現館長の指導教官。無脊椎動物学の講義では追試まで受けたのに単位をくれんかった(勉強してないのにあんな問題わかるか!逆切れ)。そして、うちの指導教官の同級生。その指導教官が呼ぶもので、うちらでは細目の名前で通っていた。まあ覚えてるのはそのくらい。
この世代苦手〜。話しにくい〜。顔を知られてるかな〜。かつて研究室では何度もあってるが、自己紹介した記憶はないし、きっと顔は割れてない。きっとそうだ!
仲良しのK那辺H哉が一緒に来たらどうしよ〜。と密かに怖れていたが、大丈夫。まあ、あの暑がりがこんな暑い日に外に出るはずはないか。
というわけで、密かに妙に緊張して話す羽目になったのであった。なんでわざわざ白浜から来るんやー!
昼過ぎに電話がかかってきた。S小学校からだった。手帳を見るに、「午前11時、S小学校」と書いてある。もう午前中に来る約束なのに、今ごろ電話してくるとは! と思いつつ、電話にでた。
話をはじめると、どうも様子が違う。…。そうか! 午前11時にこっちがS小学校に行く約束をしていたんだったー! ひょえ〜。とにかく謝る。すみませんすみません。
電話をしてこられた先生はできた方で、とがめる様子はまったくなく、これからどうするかの相談に終始。いっそう恐縮。すみませんすみません。
一週間後に、もう一度約束し直して、電話を切る。今度こそ忘れないようにしないと…。
授業をするとかの約束ではなく、学校でいらなくなった物を引き取りに行く約束。それが救いといえば救い。
大きなカミツキガメが美月、小さなカミツキガメが月香。いま初めて明かされる漢字表記! 見かけに似合わぬ美しい名前〜。
さて、美月の水槽の水が汚いと評判が悪いので、水替えをした。醤油チュルチュルの先にホースを付けて、バケツに水を移す。大きめのバケツに12杯。140リットル前後か? とにかく面倒〜。
今度は、バケツに水をくんで、運び、ロートを使って狭い入口から流し込む。こぼすこぼす。服も床もビチャビチャになる。そして面倒〜。
4日前に水替えをしたばかりなのに、もう水が汚い。ポンプで濾過しながら水を循環させているけど、きっとポンプが汚れているからに違いない! というわけで、協力者Hさんの指導のもとポンプのフィルターを掃除した。メッチャクチャ汚い。そして臭い。そら水も濁るし。
水替えの途中、いったん美月は水のない水槽に取り残される。水が減っていっても、頭がつかる内は頭を下げて、水の中にいる気になっているらしく、おとなしい。でも、全身が水から出ると機嫌が悪くなった。暴れる。水槽がひっくり返るかと思った。急いで水を入れたら、また落ち着いた。
ってわけで、週末を前に美月の水槽はきれいになった。美月は、水がきれいかどうかは関係なく、水があればいいらしいが、見る方としては、水がきれいだと見やすい。でも、水替えはかなり面倒〜。長いホースを要求中。バケツリレーは勘弁を。
昨日入手した情報によると、蒲生海岸に多数の海鳥の死体が打ち上がっている模様。本日、その内の1体の頭骨を同定した結果、オオミズナギドリと判明。ただし、他の種の死体が打ち上がっている可能性もあり。
もよりの団員は、ただちに蒲生海岸へ向かい回収すべし。なお、少なくとも1体(頭骨だけでなく、全身を!)を、当方まで送付のこと。内容物は、「海産物」と明記するように。
検討を祈る。
追伸、梱包する際、梱包剤として、ホヤの薫製を入れておくのが望ましい。
以上、連絡終わり。
中学生にアンケートに答えさせられた。学校から、手近な働いている人を一人つかまえて、仕事内容などについてアンケートしてこいという宿題がでたらしい。
6問程度の質問に答えさせられたりする。設定通りに答えるのはなかなか難しい。正確な設問の文章は忘れたけど、質疑応答はこんな感じ。
・仕事内容は何ですか?
日によって違うし、いろんな事をいろいろしてるし…。などと話はじめてはたと気付く、あの法律にのっている4項目を並べておこう〜。
・仕事をしてる日の一日のスケジュールは?
日によって全然違うし。一日フィールドで調査したり、一日野外行事に出かけていたり。かと思うと、一日4つくらい会議していたり。あるいは早朝まで泣きそうになりながら(ウソ)、展示を作っていたり。とてもではないが、平均的な一日は設定できない。などとうじうじ話していたら、午前中に調査、午後に会議、夜に研究、と適当に書かれた。いいかげん〜。でも、仕事の開始は午前9時、終了は午後11時にしてもらった。終了時間は平均かも、開始時間は平均とは言えないけどノ。
・仕事をしていて、嬉しいことはなんですか?
そんなん一々考えたことないし。近頃だと、フィールドに調査に出かけた時に、スッポンを見つけたら嬉しかった。などと一例をあげたら、”スッポン”と書かれた。変な人やな。
・仕事をしていて困ったことはなんですか?
困ったことは色々あるけど、部外秘が多い。そこで、先日かかってきた困った質問電話について話をした。丁寧に説明してるのに、まるで聞いてくれなかったケース。”電話”とか何とか書いてたかな。別に電話がすべて困るわけではないんだけど…。
・この業界の10年後はどうなっていると思いますか?
指定管理者やら独立行政法人などが導入されて、職員数も予算もどんどん削られる。同時に収益を上げることを求められる。その結果、社会教育施設としての本来の機能はどんどん低下し、一方で儲け主義ばかりが横行し、衰退の一途をたどるでしょう。かなり多くの施設がなくなっている可能性も高い。一部のがんばった施設だけがかろうじて命脈を保っていると思う。そういう意味では勝ち組と負け組にはっきりわかれてるんじゃないか。
と、初めて真面目に答えた。そんな難しいことはわからん、と言われた。そもそも答えを書く欄はとっても小さい。そんな小さい欄に入るか〜!
・その他
その他の質問に答える回答欄があった。質問者も悩んでいる。好きな食べ物は? 嫌いな虫は? 年齢は? 結婚してるん? といった質問をかわしていたら、なんでこの仕事を選んだ? というそれっぽい質問に到達。これには答えやすい。自分の経験を言えばいいんだから。
選んだことはない。採用されるまで、自分がこういう職業につくとは思わなかった。ある日、大学の廊下に公募の紙が貼ってあった。ながめて通りすぎたら、教官がやってきて、応募してみろと言った。だもんで、試しに応募したら、採用されてビックリ。世の中は何が起こるかわからない。
と答えた。
”なんとなく”、と書かれた。
こんな答えで学校の宿題はクリアされたんだろうか?
遠路はるばる琵琶湖博物館に行ってきた。イスラエルから来たおじさんのお話を聞くため。琵琶湖博は遠い、そして平日は駅からのバスが少ない。やたらと時間がかかった。
おじさんは、イスラエルで、渡り鳥の研究や保全を中心に活動している偉い人らしい。でかい声で、はっきり話してくれるから、わりと聞き取りやすい。
3大陸が交差点にあるイスラエルは、5億羽もの渡り鳥が通過する、世界でも最大級の渡り鳥のメッカ。シュバシコウが数十万羽、ペリカンが数十万羽、クロヅルが数万羽。と次々と紹介されると、王将のCMを思い出してしまうのは関西人だからか?
数万羽のシュバシコウやホシムクドリ、数千羽のカラフトワシなんて画像は、ものすごい迫力。一度ライブを見てみたい。
とまあ、5億羽もの鳥が、年2回行ったり来たりするイスラエル。イスラエルは同時に世界有数の軍事大国でもある。国土面積に対する保有軍用機数は世界一らしい。USAとは2桁くらい違う。とまあ、狭い国土を大量の鳥と大量の軍用機が飛ぶので、頻繁に衝突事故が起こるらしい。この30年の間に、事故が約4000件、落ちた軍用機が9機、死者が3名。コウノトリやペリカン大の鳥と衝突すると、F15もバラバラになって墜落するらしい。小鳥が戦闘機のコックピットに衝突する動画を見せてくれたが、でっかい銃弾を撃ち込まれたよう。金額の上でも馬鹿にならない被害が出ているんだとか。
でも、すべての渡り鳥をイスラエルの空から一掃するのは無理なので、渡り鳥の数、コース、高さ、季節を明らかにし、常日頃からモニタリングするのに大量の予算が軍から出ているらしい。多くの人を配置しての観察から、軍用機の利用、軍事や気象用レーダーの利用、衛星追跡と、お金を大量に投入して、すごい規模での渡りの研究が行われている。
軍でも大企業でも、敵対するのではなく、一緒になることのメリットをいかして、自分たちの問題を解決していこうという、割り切った姿勢には感心させられる。
イスラエルと言えば、ニュースでは周辺諸国との軍事衝突やテロ事件でばかりお目にかかる。話の中でも、モpolitical difficultyモてな言葉が頻繁に出てくる。一方で、渡り鳥の研究を、一国の中でやっていても仕方がない。そして、鳥の研究者同士では、イスラエルと近隣諸国の間で協力関係もあるらしい。ヨルダンやトルコとの共同研究の話があったし、教育プログラムの中ではパレスチナとの交流も出てきた。今は、大地溝帯沿いのアフリカ諸国との連携も模索しているらしい。ただ、さすがにレバノンは出てこなかったがノ。
鳥の大群に度肝を抜かれた以外では、やはり衛星追跡の結果がおもしろい。ドイツで繁殖するとあるシュバシコウのつがいに発信器を付けて、衛星で追跡したという。夫は、ドイツで繁殖した後、西へ向かいスペインで冬を過ごしていることがわかった。一方、妻は、ドイツから東へ向かい、イスラエルを経由してアフリカ大陸へ、途中少し休憩をはさんで、結局南アフリカで越冬していたんだとか。夫婦で越冬場所がこうも離れていると夫婦関係が心配になるが、2羽は春になると、ほとんど同じタイミングで移動を開始して、もとの巣に戻ってくるそうな。雌雄で越冬場所が違うにしても、ほどがある感じ。こんな雌雄の違いがどうやって進化したのか不思議。
渡り鳥の調査の研究の一環で、シュバシコウの群れの中にグライダーで入っている画像があった。同じようなゆったりした速さなので、衝突もなく、飛んでる鳥をゆっくりと観察できそう。一度ああやって、飛んでる鳥の群れに入ってみたいな〜。
ツバメの集団ねぐらを見に行くから、鳥が寝る場所について語ろうかと思ったけど、それぞれの種についてどんな場所で寝ているかを語ったら、話が終わってしまいそう。仕方がないので、集団ねぐらに集中して語ることに。
集団ねぐらは、カラスやツバメなどけっこう盛り上がる対象があるので、語りやすい。サギやカワウの話もできるし。でも、結局、どうして集団で寝るのかと問われても、明確には答えられないのがつらいところ。
なんてことはさておき、集団ねぐらといえば、かねがね不思議に思っているのは、集団ねぐらの引っ越し過程。
ツバメの集団ねぐらで言えば、何十年も延々と続いている場所がある一方で、数年単位でころころ場所が変わっているエリアもある。場所が変わっても、新しい場所に多くのツバメが集まるわけだから、新しい集団ねぐらの位置についての情報が、何かの形で伝えられてるはずなんだけど、その方法がいまひとつわからない。
連絡網があるわけでなし。置き手紙や伝言板があるわけでなし。リーダーが連れて行ってくれるとも思えない。自力で探すにも限度がありそうな気がするし。新しい場所を知っているお友達に、偶然、出会ってついていって、たどりつく? でも、そのお友達は誰に教えてもらうの? 新しい集団ねぐらの場所が、どのような過程で決まるのかという問題と密接に関係してそうだけどノ。
以前、堺市の大津池の集団ねぐらがなくなった直後に、大津池のツバメの集団ねぐらを(まだあると思って)見に行った事がある。夕方にツバメの小群はやってくるのだけれど、グルグル回って、他に誰もいないとわかると、飛び去っていくようだった。飛び去るのはいいけれど、どこに行くかは、どうやって決めたのか?
ちなみに、このケースでは、新しい集団ねぐらは、すぐ近くの別の池にできていたので、上空を飛びまわれば見つかったかもしれない。でも、もっと移動することもあるしね〜。
久しぶりに外に出る。暑い。いつの間にか梅雨はどこかへ行ったらしい。そして、室内にばかりいたので、倒れそう〜。と思ったのは最初だけで、じきに暑さに馴れてしまった。人体の不思議を実感。
一月ぶりに、大津池に行く。サギ類やカワウが繁殖している池。7月も終わりになると、カワウとアオサギはおおむね繁殖期は終わっている。一方で、コサギとゴイサギは、まだけっこう営巣しているのもいる。
カワウとアオサギってのは、コロニーの中でも高めの場所に営巣する。コロニーの中でも繁殖を始めるのは早い。たぶんコロニーの中でも競争力が高い(ように思う)。
競争力の低いコサギやゴイサギは、カワウやアオサギを避けて、低い場所で、繁殖期をやや遅めに設定して繁殖してるのかな〜。などとふと考えた。
この大津池でカワウが繁殖するようになったのは、2003年頃から。その前後でコサギとゴイサギの繁殖期に変化があったりしないものか、と思いついた。気が向いたら、1997年から毎月通って、それなりのデータは持っているので、今度チェックしてみよう。
とまあ、忘れないように書いておくとしよう。
50枚ほどの風景写真の中に、2枚だけ、裏焼きされてるのがあるから、見つけてみろ。という挑戦状を叩き付けられた。ここ数年、行きまくった地域の風景写真なので、写っている場所はどれも何度も行ったことのあるはずの場所。
受けて立ってやる! 颯爽と写真を確認に出かけた。
写真を見ていくと、よく知っていて、確実に裏焼きではないと確信できるものが大部分。でも、一方で、ここはどこなんやろう? という写真もある。その中に2枚裏焼きが混じっているはずだが、単に記憶力がないだけの場所もあるらしく。候補の写真が2枚以上になってしまうノ。
それなら、頭の中で、疑わしい写真を左右反転して、知ってる場所になるかを確認すればよろしい。写真をにらんで、頭の中で反転の図を思い浮かべようとする。ノ、ノ、ノ。うーん、うーん。できないノ。
どうやら、私の脳には画像の左右反転を想像する能力がないらしい。訓練したらできるようになるのかもしれないが、少なくとも現段階ではできない。
というわけで、挑戦は受けて立ったものの、あえなく敗退。ちなみに挑戦してきた輩は、左右反転を想像できるらしい。ここにまた一つ、人間を区分する方法を発見。
以前から大きなワニガメを飼ってるんだけど、観察しにくい入れ物に入れて、観察しにくい場所に置いてあったので、あんまりその行動を観察する機会がなかった。
昨日、とっても観察しやすい水槽に移したので、これからは色々と観察できるはず。と思ったら、初日からさっそく成果があった。
昨日の夕方、餌用に大きめの和金を10匹入れた。夜遅くになると、ワニガメは口を大きく開けて、捕食体勢になっていたのだけれど、見ていてもさっぱり捕れず。昨日というより、今朝の午前4時20分時点では、10匹健在であった。
そして今日の朝、午前8時。一番にやってきた人によると、餌金はすでに3匹になっていたという。
午前4時20分には、あたりはうっすら明るくなり、すでに早起きのヒヨドリもないていた。気の早い人は朝のイヌの散歩もしていた。それから3時間40分の間に、7匹の金魚を相次いで食べたということになる。
ワニガメは未明に活発に採食活動を行う。あるいは、未明の金魚はお馬鹿でワニガメに食べられやすい。のどちらかではないかと思う。引き続き研究を続けて、さらにワニガメの採食生態を明らかにするとしよう。
ワニガメは甲羅に糸状藻類を生やす。昼間の金魚は、ワニガメの甲羅に生えた糸状藻類を食べて暮らしている。未明にはワニガメが金魚を食べて暮らしている。食物連鎖。
20万分の1の地図を睨んで、水系の境目にシールを貼っている人がいたので、観察した。水系の境界をたどる作業は、なかなかに楽しそうで、気付くと一緒に境界を探していたりする。
はっきりとした山系で分かれているかと思えば、微妙な起伏で別水系になっている場所もある。あんな場所は、かつては一部が別水系につながっていたり、まとめて一つの水系をなしていたり。きっといろんな歴史を経てきているんだろうと思わせる。
考えてみると、水系の歴史的変化は、種分化に似てなくもない。一つの水系だったのが、間が分断されて別水系になったり(異所的種分化!)。別水系だったのが、流路が変わって、同じ水系になったり(交雑による新種形成!?)。海進によって、一つの水系が、いくつもの水系に分かれたり(適応放散〜?)。人工的に下流部の流路が変えられることで、淀川とは別水系になった大和川水系は、人為淘汰による種形成って感じで。
などという妄想はともかく、水系の分断や結合は、そこに生活する生物の遺伝的交流にも少なくない影響を与えるはず。そういった意味では、自然史を考える上で、水系の離合集散を明らかにするのは大切なはず。
なんだけど、今ひとつはっきりしないらしい。ちょっとした鞍部や丘陵によって水系が分かれる場合なんかを、地史的に明らかにするのは難しいのかな? そんな研究してる人はいないの?
うちのネコは風呂嫌いで、洗おうとすると大変だった。ネコは啼いて、暴れて、消耗するし。人間は、ひっかき傷だらけになる。
それに引き替え、カメは日頃から水の中にいるのだから、洗うのは簡単かと思いきや。やっぱり暴れる奴は暴れる。汚い水に入ったままでは洗えないので、まず水から出すのだが、それが気に入らないらしい。足をふんばったり、シューシュー言ってみたり、盛んにかみつきにきたり。種類によって、個体によっていろいろ。
今日は、大きなカミツキガメ、小さめのカミツキガメ、大きなワニガメ、普通のアカミミガメを洗った。
アカミミガメは簡単。水で流して、甲羅を金属たわしで少しこすったら、綺麗になった。おとなしかった。口を開けて威嚇するくらい。
大きなカミツキガメも比較的おとなしかった。とりあえず洗う前に肉をたくさんあげて、洗っている間も常に肉をくわえているようにしたから、かまれる心配も少なめ。最初は足をふんばって少し怒っていたが、やがて馴れたのか、あまり動じなくなった。で、甲羅に生えている藻類を、せっせと手でむしり取った。たわし等でこすっても取れないので、結局手でつまむしかなかった。磯に生えている海苔を採集するようなイメージ。
大きなワニガメは、もう少し面倒。ずっと怒ってるし、こっちを向いてかみつこうとする。仕方がないので、頭に水をかけて注意をそらしたり、甲羅の後ろを持って動かないようにしたりして、やはり甲羅に付いた藻類を手でむしり取る。
小さめのカミツキガメが一番怒っていた。首をすばやく伸ばしてかみつこうとする。かまれると痛そうだが、動きは単調なので避けるのは簡単。こいつにも肉をくわえさせたら、割とおとなしくなった。甲羅をたわしでこすって綺麗になった。
洗い終わって、水槽に入れた。小さめの2匹はいいけど、大きい2匹は、まだまだ藻類がたくさん付いている。とくに頭の上のがまるで取れていない。でも、まあいいことにしよう。ライトがあたると、藻類はけっこう綺麗な緑色をしていた。緑のとさかを付けているみたい。
忍者は、毎日少しずつ毒を食べて、毒に強い体をつくる、と言う話を聞いた気がする。忍者にならなくても、いつリストラの嵐が吹くかわからない昨今。仕事を失って、ゴミ箱に捨てられた食べ物を食べなくてはならなくなったときの事を考えると、日頃から傷んだ、あるいは傷みかけた食べ物に体を馴らしておくのは、たいへん有意義な事に違いない。
昨日、ふと気付くと丸2日間、常温で放置した食べ物を発見した。日頃の鍛錬に絶好の機会とばかりに食べてみた。
枝豆は少しひからびた程度、ぜんぜん楽勝。漬け物は白い点々が付いていた。おそらく真菌類のコロニーであろうと推察される。味もまずいけど、かまずに呑み込む。
最後は、煮た鳥肉。味つけが濃い目なので、臭いや味に問題を感じない。一つ食べ、二つ食べ、三つ食べ、四つ目。変な臭いがした。たとえていうなら、少し腐ったタヌキの皮を剥いて、中身を煮たような臭い。でも、他の三つが大丈夫ならこれも大丈夫かも、ということで食べてみた。まずい。
食中毒も多いこの季節。さすがの忍者もブドウ球菌やサルモネラ菌には勝てないかもしれない。念のためと思って、納豆を食べてみた。
明けて今日。腹を壊すこともなく、何にも異常なし。これも日頃の鍛錬の成果か、あるいは納豆菌の力か。そんなわけで、いつリストラされても大丈夫かもしれない。でも、毎日あんな食事は嫌やな〜。
今日は、おじさんと小学生の会話をたくさん耳にする機会があった。小学生には、保護者が付き添っている。付き添っているというよりは、むしろ保護者とおじさんばかりが会話してるケースの方が多い。小学生からすると、初対面のおじさんと会話するのはなかなか難しいものらしい。顔見知りでもない限り、なかなかおじさんとの間に会話が成立しない。
暇でもないのだが、おじさんと小学生を見ながら、小学生が会話しにくいおじさん像を描いてみた。いくつかポイントがあるように思うが、まず怖そうなのはダメらしい。たとえば、
・ひげが生えている。
・声が大きい。
・むっつりしていて笑いがない。
なんか特定の顔を思い浮かべているな〜。あと、問題なのは、
・子どもに向かって話していない。
この中には、保護者の方ばかりに話しているケースと、自分の語りたい事を語っているだけのケースがあるように思う。
そうこうしている内に、こちらに小学生の男の子がやってきた。以上の反省点をふまえつつ会話を。と思ったけど、ほとんど話をしてくれない。結局、大部分保護者と話をすることに。子どもとの会話は難しい。
どうも彼は、先日知り合ったお姉さんと話をしたかったらしい。代わりに出てきた初対面のお兄さんではダメだったか〜。
久しぶりに大和川に行った。というか渡った。
知人の話によると、ここ数日降り続いた雨のおかげで、昨日の朝の大和川は、高水敷が隠れるくらい増水していて、あと一押しで土手を越えてあふれそうだったとか。今日は、やや水が多めだけど、取り立てて増水しているとは言えない状態。
大和川の水位って、雨が降ったらすぐに増えて、やんだらすぐに戻るらしい。これって、一刻も早く山に降った水を海に流そうという、某国の機関の陰謀の結果のような展開で、ダメダメなんでは? 遊水池を設定するとか、山林の保水力をたかめるとかして、山に降った水をゆっくり海に運ぶようにしなくっちゃ。
そういえば、昨日はその大和川を管理する関係者のみなさんに、ちょっとしたお話をする事になっていたのだが、朝突然キャンセルになった。みなさんは、大和川が大増水しているから、手分けして現場に張り付いてないといけないんだとか。なるほどとは思ったけど、前日に言ってくれ〜。2時間もかけて話の準備をしたのに〜。
と、Nさんにぼやいたら、そのくらい予想して当然と言われた。うかつであった。
昼過ぎに雨がやんだので、お出かけ。自転車でチャリチャリチャリとしばらく走ったら到着。思ったより近い。自転車をとめて上を見上げたら、キジバトみたいな巣があった。さっそくかい、と思いつつのぞいたら予定通り。ササゴイが顔をのぞかせていた。
1週間ほど前、知り合いの獣医さんのところに、謎のサギのヒナが持ち込まれた。画像を見せてもらった。断言する自信はないけど、ササゴイの可能性があると答えた。すると早速確認に行ってくださった。ササゴイでした!という報告が来た。ササゴイの繁殖地って、目立たなくて見つけにくいので、こんな経過で知るケースが多い。
実はここ数年、大和川河口の近くでよくササゴイを見るようになっていた。きっと近くに繁殖地があるんだろうとは思いつつ、見つけられずにいた。どうやら、その繁殖地が見つかったらしい。さっそく確認に行こうと思いつつ、雨が続いていたので見に行けず、今日ようやく出かけた次第。
小さな公園の、さほど高くもない木の上。見ていくと、どんどん巣が見つかる。大きなヒナが巣の上だけでなく、すでに巣から離れて、あっちにもこっちにもいる。巣とヒナを数えつつ、上を見上げて林の中をウロウロ。一通りウロウロしたら、今度は下を向いてウロウロ。卵殻がけっこう落ちてる。残念ながらほとんどは破片。1匹だけ、小さなボラも落ちていた。これで大和川で採食してるのが実証されたも同然。
公園なので、子どもや親子連れがけっこういる。上を見上げては、双眼鏡でのぞき、嬉しそうにデジカメで撮影。かと思ったら、今度は下を向いて、何やら拾っている。かなり不審な行動。
すぐそばのブランコで遊んでいた数人の女の子が、こちらを不思議そうに見ていた。いやいやお兄さんは、あの木の上の鳥を調べに来ただけであって、決して怪しい者ではないのだよ。と説明するのはかえって怪しいので、気付かないふりをする。
最初に獣医に持ち込まれたヒナは、公園で遊んでいる女の子が見つけたという。あの中にいたのかな?
特定外来生物などを調べる必要があったので、環境省のサイトに行ってみた。べつに今話題のニセアカシアやセイヨウオオマルハナバチがらみではなく、カミツキガメ関係。
今のところ「特定外来生物」に指定されているカメは、カミツキガメだけ。ワニガメやアカミミガメは? と思ったら、「要注意外来生物」というのに入っていた。「要注意外来生物」というのには、4つのタイプ分けがあって、
(1)被害に係る一定の知見があり、引き続き指定の適否について検討する外来生物
(2)被害に係る知見が不足しており、引き続き情報の集積に努める外来生物
(3)選定の対象とならないが注意喚起が必要な外来生物(他法令の規制対象種)
(4)別途総合的な取組みを進める外来生物(緑化植物)
となる。ワニガメは(2)、アカミミガメは(1)となっている。
なるほど、近い将来、アカミミガメは特定外来生物になるかもしれないのだな。と、ここまでは納得。でも、どうして現時点でアカミミガメは特定外来生物にされてないんだろう? と思って、摘要という欄を読んでみた。
「繁殖確認事例は少ないが、遺棄や逸出による個体が野外で広く定着しており、在来種への競合等による影響がある可能性がある。大量に飼育されており規制により代替となるカメ類の輸入が増大する可能性や、大量に遺棄される可能性などが考えられ、今後の被害知見の集積とともに、遺棄のリスク評価や飼育に関するマナーの向上が特に必要である。」
後半はなるほどと思う一方で、出だしには驚いた。「繁殖確認事例は少ない」のか〜、あんなにどこででも繁殖してるのに! 今更、単発の繁殖例を報告する気にならないくらいなのに〜。
それはともかく、特定外来生物に指定しようとしたら、現在飼育されてる個体が大量に野外に放されそうなのは事実。一方で、いまさら少々放されても、すでにこれ以上ないくらい増えきっているので、野外の個体群が目立って増えることもないようにも思う。
アカミミガメを特定外来生物に指定したら、代わりの種類が売られるだけという可能性はありそう。でも、だからといって特定外来生物に指定しない理由としては弱い。
というわけで、きっと近い将来、アカミミガメも特定外来生物になると予想。
航空写真を並べて、大和川水系の縁取りをする。山は、けっこう尾根筋沿いなので簡単。かと思いきや、尾根がどれだか意外とわからない。平地の境界部分は難しそう。と思ったら、意外と池などのメルクマールがあってやりやすい。まあ、細かい所は多少ずれてもいいので、けっこうえいや!と縁取り。
拡大してあるらしく、細部はピントが合ってない。そんな写真を睨んでいると、自分の目がおかしくなってくる。国土地理院に勤めている人は、目が悪いに違いない!
水の上にインクを浮かべる。少しかき混ぜて、浮かんだインクで模様をつくる。で、その上に、白い紙をのせて、1、2、3。紙を引き上げるとあーら不思議、紙にインクでできたもようが写し取られている!
ってゆうのがマーブリングというものらしい。子ども向けのワークショップで、マーブリングをしてたので、ながめていたら、お兄さんもやってみませんかと声をかけられる。実はやってみたかったんだな。
喜んで紙をもらい、名前を書いて、水に浮かべる。もう一人の男の子が放った紙に、一部が乗ってしまった。ありゃ?と思ったけど、そのまま1、2、3。引き上げると、重なった部分だけ、模様がつかずに白いまま。で〜、と思って、もう一度水面に浮かべてみる。けど、それ以上模様はつかないノ。
マーブリングするときは、紙を重ねないように!
あるいは、なんかの形に切った紙を浮かべておけば、そこだけ白く抜けて綺麗かもしれない。お試しあれ。
久しぶりに、京都の大文字山に行った。たぶん十数年ぶり。
以前は、いつも左京区側から登って、左京区側へ下りていた。どうせ下りるのだから、できるだけ登りたくない。というわけで、大の字までは行っても、山頂まで行ったことはなかったように思う。
今回は、山科の方から登ったので、山頂にも行った。おそらく初めて! そして大の字をてっぺんから下った。これも初めて。大の字より下は、何度も歩いた山道。マミチャジナイを初めて見た堰堤のところ。アオシギを見に行ったけど見られなかった小さな支流。どこもなつかしい。
銀閣寺道に下りてくる。祇園祭が盛り上がっている時期なので、人通りが多い。観光客ばかりで、山から下りてきた奴は、へんに浮いている。バス停にも人がたくさんならんでいたので、出町柳まで歩くことにする。
銀閣寺道から出町柳といえばかつての生活圏。どこもかしこもとっても懐かしい。行ったことのある食いもん屋や宴会をした店が、あっちにこっちに並んでいる。何度もかよった古本屋もそこかしこに。ヤナギマツタケを採った木に、キジバトの巣があった木。いままで忘れていた事を思い出す。おかげで、どうしてもキョロキョロしてしまう。かなり怪しい。そういえば、Joe`s Garageは昔とまったく同じたたずまいだった。時間がまったく経っていないかのよう。きっと、中では今でもフランク・ザッパの曲が流れているに違いない。出町柳で柳月堂のパンを買って帰ってきた。バタートップが欲しかったのだが、売ってなかった。残念。
とあるサークルの会報を隔月で発行している。といっても、B5で12ページと小さく、B4の上質紙に両面印刷してはさんだだけのいたって簡単なもの。
明日の行事に合わせて発行するので、前日の今日は、編集、印刷、製本と作業が目白押し。下手をしたら原稿が足りないから、夜遅くまで原稿を書いて、それから印刷、製本ということもある。とまあ覚悟して、この日に臨む。
ところが、今回は予想外にスムーズに原稿が集まり、編集作業はすぐに終わった。と思ったら、1ページ多く作ってしまい、あわてて削るという珍しい展開まであった。
そして印刷。リソグラフで印刷して、紙折り機で半分に折る。この機械くん達の機嫌が悪いと、印刷に1時間以上かかってみたりするのだが、今回はきわめて機嫌が良く、なんと15分ほどで終わってしまった。ちなみに印刷部数は90部ほど。
それから製本、ってゆうか紙をはさんでいくだけ。この工程はいつも15分ほどで終わる。というわけで、原稿を打ち出してから製本完成まで、30分強。速い!
そんなわけで、明るい内に会報が完成してしまった。珍しい〜。毎回こうでありたい。原稿を書いて下さったみなさま、ありがとうございます。次回もぜひよろしくお願いします。
なんとなくフラフラしていたら、机の上になめし作業中の毛皮が並んでいるのを発見。キツネ、タヌキ、ムササビ。手慰みに、少しもみほぐしてみる。
ムササビはすでに手を出せる感じではなかったので諦めて、キツネとタヌキの頭をやってみる。皮を裏返してウニウニウニ。すでにかなり出来ているけど、まだそれなりにやる余地が残っている。ウニウニウニ。
タヌキは目の周りの毛が少しはげてる。ウニウニウニ。耳は少しちぎれてるみたい。ウニウニウニ。キツネの方はきれいな〜。ウニウニウニ。
黒いTシャツを着てた。ふと気付くと、Tシャツのお腹が毛だらけになっていた。黒いTシャツに白い毛がよく目立つ。慌てて、取ろうとしてみたけど、あんまり取れない。すぐに諦めた。模様と思えばええやろ。
夕方にふと見ると、毛はなくなっていた。あちこちにばらまいて歩いたのか? あんなにしっかりとくっついていたのにな〜。
そんなわけで、最終的にはとれる、というかどっかに行くのでどうでもいいと言えばそうなんだけど。白っぽい毛皮をさわるときは、白っぽい服を。白っぽい服にも毛はついてるんだろうけどね…。
ケセランパセランらしきものを捕まえたので、同定して欲しいと言われた。不覚にも笑いそうになった。どうやら、某考古系機関に電話したら、こっちに振られたらしい。生物の担当はたしかにこちらだが、ケセランパセランを振ってくるか〜?
おそらくこのままタライ回しになるんだろうな、と思うと気の毒だが、こちらも振るあてを考える。思いつかない…。どうみても自然科学系ではない。考古学系でも歴史学系でもないし。民族学ではない。もしかしたら民俗学系か?
振る先を思いつかないので、がんばってケセランパセランは、科学の世界では生物とは考えられてなくって…、などと説得を試みる。説得は通じなかったが、どうやらどこにも同定してくれる場所はないらしい、ということは伝わった。めでたしめでたし。
ネットで検索すると、ケセランパセランとケサランパサランの、少なくとも2系統の言い回しが見つかる。似たような文字列の繰り返しは、学名のよう。もしかしたら、誰かが洒落で記載してたりするんだろうか?
もう一つネットでの発見。山形県には、ケセランパセランを展示している施設が、2ヶ所ほどあるらしい。そこに持っていったら同定してくれたのかもしれない。
河南町を中心にウロウロと歩き回った。プロジェクトYの調査。今月はかなり予定が詰まっているので、これが最後の調査になるかもしれない。
プロジェクトYの調査を始めたのは、2003年4月ってことになってる。が、まあ2003年度はあまり調査しなかった。調査が本格化したのが、2004年度から。
繁殖期に川沿いを歩き、冬に川沿いを歩き、ため池をめぐり。アカガエルを探し、シュレーゲルアオガエルを探し、カジカガエルを探し。カワガラスを求めて、コシアカツバメの巣を求めて。ついでに甲殻類、甲虫、水草などを採集し。
2年とちょっとの間、大和川水系を随分歩き回った。おもな支流はすべて歩いた。かなり多くのため池も見た。山際の田んぼもかなりうろついた。東西南北のすべての隅っこを極めてるはず。大部分の場所は、地図をながめれば、そこの様子を思い浮かべることができる。
そのプロジェクトYも、この7月末で終わり。大部分の場所には、もう二度と行くことはないんじゃないかと思う。暑い中、寒い中、濡れネズミになって、ヘロヘロになって歩いたのが、なんか懐かしい。そして、ちょっと寂しい。
なぜかリコーダーの練習。
最初はアルトリコーダーを使って練習。今日は新作の楽譜を入手。メロディは簡単で、ノリもいい。オリジナルほどのスピードは無理でも、それなりに吹けそう。なんだけど、高い方の音が出せない…。きゅ〜。この音さえ出れば気持ちよく吹けるのに!
なんとなくソプラノリコーダーに持ち替えてみた。高い音が楽に出る! 当たり前か…。ともかく、高い音は楽だし、指使いもこっちの方が簡単にこなせる。というわけで、ソプラノリコーダーに持ち替えることに。
ところが、指が頭がアルトリコーダーが忘れられないらしい。簡単なメロディにつまづく。ソのつもりでレを吹くてなもん。指と頭がアルトリコーダーを忘れてくれるまでは、うまく吹けそうにない〜。
プロは、アルトとソプラノを持ち替えたりしないのか? もし、持ち替えるなら、どんな頭の構造をしてるんだろ? 2つのモードを持っていて、切り替え可能?
ともかくアルトとソプラノを簡単に持ち帰られる人は、よほどの柔らか頭だろうな〜、と思い。ってことは、柔らか頭の訓練としていいかも。と、ソプラノリコーダーの練習をするのであった。
2ヶ月ほど前、悲しい出来事があった。その残骸を置いておいたら、また新たな芽がでて、再び立派に成長。そう、イモはたくましい。知らぬ間にどんどん伸びていた。
裏のスペースで、密かに家庭菜園的プロジェクトが進行。一画になぜかつる植物コーナー。そうだ、イモ君も室内で幅をきかせているばかりではなく、野外に飛び出して、立派なイモをつけてもらおう! というわけで、外に引っ越しすることに。
知らぬ間に伸びたイモのつるは、窓の周辺にグルグルと何重にも巻き付いている。仕方がないので、巻を戻してはずしにかかる。ちょっと引っかかるたびに、つるに付いている小さな芽が落ちる。ドキドキしながら作業を続行。下には落ちた芽がけっこう目立ってきたとき、なんとか巻き付いているのを全部はずすことに成功! やったー! 次は、グルグルに絡み合ってるつるを、どのようにまとめようかと思って、つるをよく見ると、太い妙な物体が付いている。どうもそこにつるの端っこがあるような…。つるがイモからはずれているー!
というわけで、再びそれなりに伸びたつるがイモから取れてしまった。はたして3度目はあるのか? あるかどうかわからないけど、イモはイモで、つるはつるで、野外に植えてみる。共に精進して立派なイモを付けてくれればいいけど、共倒れの可能性もあり。イモ君のがんばりに期待したい。
お出かけの予定が、諸般の事情でできず。「小学生と中学生は誰でも参加できまーす」てな呼び込みの声を聞きながら、もっぱら原稿をつくっていた。
土曜日なのに人出がいまいち、人が多い土曜日と人が少ない土曜日の違いはなんなんだろう、という重大命題を考察しそうになる自分を叱咤激励して、原稿をつくる。
原稿を書くではなく、原稿をつくる。原稿はとーっくの昔に書いてある。テキストは読み返して多少の手直しをする程度。いまさら大幅改訂をする気もないし。時間がかかったのは、もっぱら作図。グラフなんやけど、カラーの図をモノクロヴァージョンにするのは意外と手間がかかる。結局、一から作り直すことになった。ともあれ、今日で懸案の一つが一段落(のはず。あとは編集者の優しさを願うだけ)。
そんなわけで、5月の始めに締め切りを抱えていた7本の原稿の内、なんやかんやで4本をほぼクリア。3年前の3月の締め切りの1本を除けば、あと2本は8月末が締め切り。なんとかなるかも。と思ったら、8月半ば締め切りの原稿を発見。敵は手強い。
あのキャンディーズは解散するとき、さよならコンサートを一度ならず、日本縦断で何度も行ったという(本当かどうかは知らない)。そして、われわれプロジェクトYの最後の追い込みも延々と続いている。"さよなら"や、"最後"が、いつまでも続くのは、日本文化の一部なのかもしれない。
というわけで、今日も最後の追い込みに河内長野市へ行った。今日は本業の鳥を探しに。しかし、例によって見つからず、結局カエルと魚を採って帰ってきた。自分の本業を見失いそうな今日この頃。
さて、最後の追い込みとは言うものの、すでに出版には間に合わない。しかし、展示にはまだまだ間に合う。展示は進化する余地もある。そんな事を言ってると、7月末どころか、9月になっても最後の追い込みをしてるかもしれない。キャンディーズも真っ青。
大阪市内のとある旧家にお宝を拝見に行った。ご主人が亡くなって、お宝を処分するらしい。すでに骨董屋などがめぼしい物を持っていった後らしいが、我々が目指す宝は凡人とは一味違っているので、まだ残されている可能性は高い。
旧家だけあって、家は古い。よくいえば大変趣がある。玄関で靴を脱いで上がろうとすると止められる。みんな土足で上がっているという。言われるままに土足で上がる。ちょっと泥棒にでもなった気分。泥棒を気分をさらに盛り上げることに、家の中は荷物がひっくり返りまくっていて、すでに泥棒に散々荒らされた後のような有様。明らかに中の物を持ち去られたショーケースや空になった箱があちらこちらに。その他に残されている物で一番目に付くのは本のたぐい。とにかく大量の本が所狭しと並び、積み上がり、散乱している。妙に見慣れた風景。
飾り物として売れそうな物は持ち去られた後らしいが、残された物の中にも、お宝があるのは一目瞭然。たしかに飾り物としては今ひとつなんだろうけど、展示に使えるし。
そして、我々は屋根裏に向かった。太い梁が低いところにあって、うかつに歩くと頭をぶつける。注意してたけど、ぶつけた。電気が一部にしかないので、端っこはうす暗い。もちろん空調はないので、やたらと暑い。
慎重に奥に進み、ようやく我々は目指すお宝にたどりついた。家の人は気味悪がって、近寄りもしてないらしい端っこに積み上がった箱の山。その中身を見て我々は驚喜した。予想以上のお宝が詰まっていた。
商業ベースでは無価値。多くの人は気味が悪いと思うだけ。しかし、我々の目からすれば貴重なお宝。思いのほか大量のお宝だったので、改めて引き取りに。そして、さらに埋もれたお宝を発掘しに。改めて探検隊を組織して来ることを誓い、今日は宝の家を後にした。
お宝探検隊は、みなさんからの情報を待っている。あなたの目にはゴミでも、我々には貴重なお宝かもしれない。もしかしたらと思ったら、捨てる前にぜひご一報いただきたい。
ただ、我々は貧乏なので、無料で引き取るだけである。けっして買い取るわけではない。ゴミを無料で引き取ってもらうと理解してほしい。
大和川に行った。雨が降ったらしい。水が多い。中州がほとんどない。鳥がいない。調査がしやすい。というわけで、あっという間に河口に到着。
河口はカモメ類のたまり場。夏場はおもにウミネコがたまっている。今日も増水してたにも関わらず、300羽ほどのウミネコがたまっていた。
大部分は、完全に成鳥に見える。大和川周辺に繁殖地はないので、たまっているウミネコたちは繁殖に参加していないか、すでに繁殖を終えたか。6月でも成鳥がたくさんいたから、やっぱり相当数のウミネコが繁殖に参加せずに、ぼんやり一夏を過ごしているんだろうな、と思う。
思う起こせば、20数年前。まだ幼少のみぎり。南港野鳥園予定地にもウミネコがたくさんたまっていた。記憶にある限りでは、みんな茶色かった気がする。幼鳥が繁殖地に行かずにたまっているわけで、これは不思議ではないんだけど。近頃は大人になっても繁殖地に行かない個体が多いってことだろうか?
ウミネコの繁殖開始年齢が遅くなったってこと? 隔年繁殖とかになったってこと? 繁殖地が飽和してて、繁殖に参加できない個体が大量に発生してるってこと? あるいは、昔の記憶は勘違い?
近頃の小粋な建物で、地下室をつくるとき、ドライエリアと称する落とし穴をつくるもんらしい。よく知ってるとある建物にも、その落とし穴が存在する。
人が落ちたら危ないので、周囲は金網で囲われているから、人が落ちたことはない。狭い筒状の落とし穴だと鳥のトラップになるのだが、5m×20mくらいもある大きな落とし穴なので、鳥は脱出できる。そもそも落ちるためには金網をくぐり、周囲の1mほどのコンクリートを乗り越えないといけないので、落ちる動物の条件も限られる。該当するのはほぼネコだけ。
以前にもネコが落ちたことがあったらしい。6m前後も落ちるので、普通の中型哺乳類なら骨折したりしそうなものだが、さすがネコ。落ちても元気。
というわけで、今日もネコが落ちたというので拾いに行った。茶色と白の二毛。上でよく見かける子。隅っこで怯えているのを追い出して、水網でキャッチ。片手で首根っこ押さえて、もう片方の手で後ろ足を2本ともつかんでおしまい。とても簡単であった。
思い起こせば、ミャアが死ぬちょっと前、具合が悪いので獣医に連れて行った。ミャアは獣医が大嫌いで、ものすごく威嚇して暴れる。仕方がないので、やっぱり首根っこと後ろ足を押さえるのだけれど、背中を曲げまくって暴れる。びびった獣医は逃げていくしどうしようかと思った。
そんなわけで、家でネコを飼っていた経験がこんなところで物を言う。ミャアに比べたら、ぜんぜんおとなしかった。
地上に戻って、放したらすごい勢いで逃げていった。今度道で出会っても避けられそう…。
昨日も調査に出かけて、ずぶ濡れになった。フランスのおかげで寝不足ということも手伝い、風邪をひいたらしい。昨日、早めに帰ったらそのまま爆睡。気が付いたら今日の昼。原稿の校正があるのを思い出して慌てて仕事へ。
さて原稿の校正をしようと思って思い出す。ワニガメとカミツキガメの画像がいるんだった。野外で見つけて撮影というのは、なかなか運が良くないとできないので、飼育個体を撮影することに。
飼育しているカメを水槽から捕りだして、撮影して、元の水槽に戻す。書けばそれだけだけど、実際にはちょっとドキドキ。なんせ、ちょっと怖いカメなので。
カミツキガメは幸い複数個体いるので、一番小さな個体を選ぶ。これなら大きめのミシシッピーアカミミガメ程度。と思いきや、持ち上げると暴れる。深めのトレイに入れて運ぶ間は、口を開けて、ずっと上を見て威嚇している。時々飛び上がってかみつこうとする。カミツキガメには、ノドチンコがないことを確認。流しに置いてみると、シューシューいいながら怒っている。もう少しポーズを決めてもらおうと突くと、足をふんばって怒っている。ようやくポーズが決まり、ジッとしてくれたので撮影。撮影中は意外と大人しい。水槽に戻すまでは、また同じように怒りまくる。
ワニガメはけっこう大きな個体しかいない。大きいので屋外に置いてある。とりあえず、屋外で飼育しているタンクに入ったまま撮影してみる。あんまりうまく撮れない。仕方がないので、タンクから外に出して、草の上に置いて撮影。やっぱり怒ってるけど、カミツキガメほどは動かないので、意外と撮影しやすい。口を開けて、舌をチョロチョロしてくれるので、ポーズとしても申し分なし。嫌がるのは持ち上げられる時だけだった。割と可愛いやん、とワニガメの意外な可愛さを確認。
そんなわけで、無事に画像がそろって、あとはテキストの校正に専念だ!
雨が降るとは言ってたけど、時間がないの調査に出かける。どうせ、水の中に入る調査だし、汗かいてビショビショになるし、雨が降っても同じ事と思った。が、同じではなかった。
雨は上から水が降ってくる現象。頭が濡れても、服が濡れても、足下が濡れてもいいけど、濡れて欲しくない物がある。ザックに入れてある濡れて欲しくない物は、ビニールで包んであるので安心だけど、問題は手に持っている地図とフィールドノート。調査である以上、書き込む必要があるわけで、ビニールに包んでしまいこむわけにもいかない。
仕方がないので傘をさす。ひとえにフィールドノートを濡らさないため。濡らさずにメモをとるため。地図は最初は手提げ袋に入れてぶら下げていたのだけど、手提げ袋が濡れてしまって、やむなく手持ちで、これまた傘で必死にガード。
ちなみに筆記具はボールペン。そういえば、小さい頃、フィールドでの筆記具は鉛筆に限ると習った覚えがあるが、そんな教えはまるで無視してボールペン。なんせ4色使いたいので。
肩にザックと手提げ袋。手にはフィールドノートと地図の付いた画板、それを傘でガードして。必要とあらば水網で採集。手があと2本くらい欲しい。
なんとか地図とフィールドノートは守れたけど、他はずぶぬれ。濡れまくったので、どっちかと言えば寒い。寒いのに帰りの電車は冷房がガンガン効いている。おかげで少し熱っぽくなってしまった。