2班 博物館実習2日目

 実習2日目、2班では鳥の仮剥製標本にラベルを付ける作業を行いました。仮剥製とは展示用にしっかり立たせた本剥製と違い、研究用に作成されたもので、かさばる本剥製と違い場所をとらないこと、立たせるための針金などを通したりしていないのでより実際の生物と近いという、研究におけるメリットがあります。特に鳥は、羽の構造の差が種間で異なるため、皮と羽が残る仮標本は重要だそうです。同じ脊椎動物でも、これが哺乳類になると、むしろ骨格の差が大きくなるそうで、骨格標本が重要視される、という話はとても興味深く感じられました。
 その標本の元となる、鳥類・哺乳類のサンプルは市民の方々からの寄贈という形で収集されることが多いのですが、大阪市立自然史博物館は市民の方々との連携が上手く取れているためか、いかんせん収集量が多いので、仮剥製にしたは良いが、この標本が一体何の種で、「誰が・どこで・いつ採集したか」という情報が載ったラベル付けをしていない標本がたまってしまうそうです。また、標本は「標本を作る」という作業とは別に、「整理」、「標本台帳への登録」という作業があり、それぞれ時間と手間がかかるので、作業を止められる段階でとりあえず止めてしまうこともままあるとか。しかし、標本台帳に登録しなければ、研究として価値ある標本にならないので、今日の実習で行った、ラベルと標本の足をひもでくくりつける作業にはやりがいを感じました。と同時に、ラベルのひも付けの結び目が緩く、外れてしまうといったことが起こると、その標本の情報が失われ、標本の価値が失われてしまいますので、ラベルが絶対に外れないよう、かなり注意しながらの作業でもありました。ラベル付けの作業中に、その標本がどういう種なのかが知れますので、種間での羽の違いや、その美しさに魅せられてもいました。特に、今回扱った標本では、西表島のキンバトが多く、光の加減で微妙に変化する美しい緑色の羽が印象深かったです。
 また、仮剥製を作る際に出た、鳥の筋肉や内蔵は別に液浸標本で保存してあり、博物館が収集したものはどんなものでも、保管・管理して後世につたえるという強い姿勢が伝わるものでした。ただ、なかなか整理が追い付いていない状況は、学芸員の方々の繁忙さを表しているようでもありました。
 骨格標本がどのようにして作られているかも見学でき、興味深かったです。骨格周りの肉を落とすために、水につけたり砂に埋めたりして、微生物や虫の力を借りて肉を分解するのだそうですが、特に砂の場合、ちょうど良い加減に砂から掘り出すそのタイミングが計りづらいそうです。クジラやラクダ、キリンなど大きいものでは水につけられず、砂に埋めるしかないので、ラクダの骨格標本で非常に上手く制作できたものの貴重さが伝わりました。そもそも、ラクダといったこの博物館で研究していない種のものでも、博物館が収集したものに対して真剣に標本化しているのには、感銘を受けました。誰かが、博物館に「この種の標本がないか」と尋ねられた時に、それがある、と答えられるのが博物館の誇りだと仰っていた学芸員の方の言葉が印象的でした。

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