2016年秋期博物館実習2日目(2班)
博物館実習の2日目です。2班は昆虫分野に関する実習をしました。
午前中は主に研究用のアカハネオンブバッタの採集とその飼育の準備をしました。アカハネオンブバッタは近頃大阪を中心に生息域を拡大させている外来生物です。このバッタがどこから来たか、どのような性質を持っているかなどを研究するために採集・飼育しているそうです。
採集は長居植物園で行いました。サンプル袋を片手に素手でバッタを捕まえていきます。草むらで見つけにくく、見つけても跳ねて逃げていくバッタに、実習生たちは四苦八苦でした。それでも学芸員さんの力も借りながら、雄と雌それぞれ10匹ほど採集しました。このとき、雄と雌は分けて袋に入れておきます。一緒に入れてしまうと「おんぶ」を始めてしまう恐れがあるからだそうです。
採集の次は飼育の準備です。まずバッタの餌を採りました。餌はアサガオの葉です。しかし今回採った葉には毒性があるらしく、本当に与えて大丈夫なのかと思いつつも、合わせて40枚ほど集めました。次に飼育用のケースにバッタ1匹と葉1枚を入れていきます。この作業では今日捕まえたバッタの他に、以前学芸員さんが捕まえたバッタ、既に飼育を始めているバッタについても行いました。様々なところから採集されたバッタがいるので、ケースのふたには「どこでいつ捕れた何なのか」が分かるように書いていきました。何匹もバッタが入った袋から逃がさないように1匹だけ取り出して移していく作業は難しかったです。しかし作業も後半になってくると実習生たちは作業にもバッタに触れるのにも慣れてきて逃げ出したバッタも電光石火で捕まえて無事ケースに納めるまでになっていました。
バッタ関連の作業が終わった後は収蔵庫の見学に行きました。収蔵庫見学は昨日も行いましたが、今回は昆虫の区画について、その棚の中の標本を見させていただきました。見た昆虫は色が一見地味なもの、鮮やかなもの、形では極端に触覚や前脚が長いものなど多岐に渡っていました。数箱のドイツ箱を見ただけでも昆虫の多様な世界を垣間見ることができました。
午後はウスバカゲロウの仲間の標本作りと種の同定、収蔵庫への収納を行いました。標本作りでは乾燥させたウスバカゲロウに小さい三角形の台紙を貼り、ラベルと共に針でまとめます。乾燥した昆虫は非常にもろくなっているので慎重に作業する必要があり、神経を使いました。幼虫もいる場合はカプセルに納めて親と同じ針に刺して親子が分かるようにしたり、脚や触覚が折れたときは同じ台紙に折れた部分を貼り付けておきます。こうすることで研究資料として十分な価値が出るそうです。
標本作りが終わると、次は種の同定を行いました。ウスバカゲロウの仲間は翅脈や羽の模様、触覚やケヅメの違いを見ることで種を特定していきます。今回は、以前自然史博物館が出版した種の見分け方を著した資料を用い、絵解き検索をしました。肉眼・ルーペでは見にくいところは実体顕微鏡も用いながらの作業でした。それでも見分けがつきにくいものがあったりと難しい作業でしたが、正しく同定できたときは嬉しさと達成感を抱きました。
種同定したあとは、標本のデータを記録してから収蔵庫に納めて一連の作業は完了です。昆虫の標本は正しく処理をして収蔵庫で保管しておくことで数百年は状態を保てるそうです。自分たちの作成した標本が長い年月残り、将来研究に活用されるかもしれないと思うと感慨深いものがありました。
実習2日目は以上で終了です。残りの実習日も種々の活動から多くのことを学びとれるように取り組んでいきたいと思います。