日記風覚え書き

2006年10月11月、12月

(2005年1-3月4-6月7-9月10-12月、2006年1-3月4-6月7-9月


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2006年12月31日 この一年に買った本

今日は、一年最後の日。というわけで、恒例の(今回が初めてではあるが)この一年に買った本を振り返ってみよう。などといった事ができるのは、今年から買った本をすべて記録してみることにしたからなんだな。
ちなみに、以下の集計は、国内で本を現金で購入した場合に限る。海外の本を買ってクレジット決裁した場合は含まない。学会や研究会に入る理由の大部分は学会誌や会報を入手することだが、それも含めない。

2006年に買った本は、145冊。購入金額は188,207円+税。多いんだか少ないんだかわからない。購入した本をタイプ分けしてみると、
・自然史関連本:42冊、83,087円+税
・SF関連:60冊、74,240円+税
・ライトノベル:14冊、9,282円+税
・その他小説:6冊、8,743円+税
・マンガ:23冊、12,855円+税
昔に比べるとマンガを買う量が減ったな〜。自然史関連本は、意外と多く買ってた感じ。なんせ毎月熱心に買ってる感があるのはSFなのでノ。

さて、買ったからと言って、その本を読んだとは限らない。図鑑のようにそもそも読むものじゃない本もあるが、買ったはいいが積んであるだけという本が多い。試しに読んだ本を数えてみた。84冊。読破率約58%(ちなみにマンガを除くと、62冊。読破率約51%)。
つまり、約半分は積んであるだけ。正月休みにたくさん本を読みぞ〜! と毎年思うが、それもままならず。読んでない本の山は年々高くなっていく。


2006年12月30日 いつのまにオシドリが…

何度も、植物園に行ったり帰ったりを繰り返す。帰り道、同行者がふと綺麗な羽根を拾った。カモ類のような感じ。周辺で探すと次々と綺麗な羽根がみつかる。タカ類がカモを捕って、林内で処理したって感じ。
羽根でカモ類を同定するのはなかなか難しい。体羽1枚ではさらに難しい。が、いかにも特徴的な羽根が見つかる。黒くて、白い横線が1本。なんかオシドリにこんな羽根があったような…。

持ち帰って、羽根図鑑のオシドリのページを拡げる。オシドリに間違いないらしい。それも雄!
次に植物園に行った時は、前回よりもさらに真剣になる。狙いはもちろんイチョウ羽。残念ながらイチョウ羽は見つからなかったが、綺麗な羽根はさらに見つかった。

羽根の状態からすると、1週間以内に食べられた感じ。他の池で狩ったオシドリをわざわざ運んできて処理したとも思えないので、きっと目の前の池でタカがオシドリを捕ったと考えるのが普通。
あるいは、羽根が落ちていたのは、ドングリのなる木の多い林の中。ドングリ喰いのオシドリは、仕事納めの後に、人気のない林内でドングリを食べていて、何者かに(この場合はネコが有力?)襲われたのかもしれない。

いずれにしても、生きたオシドリは見てない!


2006年12月29日 本をもらった『自然観察会の進め方』

神奈川のスーパー学芸員Hさんが送ってきて下さった。はさまっていたお手紙に曰く、「ショップに置いて頂ければ…」。営業の一環も兼ねているらしい。密かに本屋を営んでいるのだが、それを知ってるとは(or覚えていたとは)なかなかやるな。そんなわけで、本屋の若旦那モードでながめてみることにしよう。

目次をながめてみよう。
・はじめに
・なぜ自然観察会なのか
・自然観察会を始めるには
・自然解説の方法
・リーダーとしての自分を磨くために
・おわりに
と並ぶ。自然観察会の意義、準備・進め方、解説の仕方、リーダーの修行方法。とまあ、タイトル通り、自然観察会の進め方を、観察会の運営者向けに解説してある。著者の経験をもとにしているだけあって、具体的に実例を交えて書いてある。けっこう細かいところも書いてあって、なかなか興味深い。

自然観察会の進め方としてだけではなく、個人で自然観察する際のガイドとしても使えるように思うが、そっち方面のニーズがあっても、タイトルが邪魔して手にとってもらえない可能性が大。とすると、購買層は観察会リーダーが中心。あまりニーズは多くなさそう。ショップ的には、日浦勇の『自然観察入門』の方が売りやすい。
そして、最大の難点。A5サイズで71ページの薄い本なのだが、本体価格が900円。ちょっと割高感がノ。

内容的にはおもしろいし、類書があまりないので、ショップには置きたい。が、上記の難点を考えると、本屋の若旦那的にはあまり多く仕入れたくないな〜、という感じ。


2006年12月28日 サザンカの花は咲いたか?

というわけで、今日から年内は標識調査三昧。今年は、ヒヨドリやツグミが多いから、さぞかし忙しいだろうと予測したのだが。あにはからんや、暇だった。

まず朝からの雨が痛手だった。狙い時の午前中に鳥があまり動かない。そして、風が強いのもマイナス要因。風を受けて網が膨らむと、鳥の目につきやすいらしく、あまり捕れない。そして、一番の痛手は、サザンカの花。
例年、年末にもなるとサザンカの花がいっぱい咲いているもの。で、サザンカの植え込みの間に張った網に、ヒヨドリやメジロがかかる予定だった。しかし、今年はまだサザンカがほとんど咲いていないノ。当然、周辺でのヒヨドリやメジロの動きも少ない。今までこんなことはなかった気がする。
昨日は、暗くなってから網を張ったので、サザンカの花の様子に気付かなかったノ。不覚。

サザンカの花の開花時期って、何で決まってるのかな〜? 暖冬だと咲くのが遅くなる?


2006年12月27日 年中行事

世の中にはバンダーという人種がいて、鳥を捕まえては、足輪をつけて放している。渡りや寿命などなど色んな事が明らかになるので、学術的意義深い調査なのである(ただ、効率が悪いのが玉に瑕)。そんな意義深い調査に、バンダーは日夜奔走している。というのは大層でも、週末のかなりの時間を費やしている人は多い。
そんな中で、ここに一人の不良バンダーがいる。調査するのは、年末の4日間だけ。そんなのが、ここ10年以上続いているような。

というわけで、明日から年に一度の標識調査。今日の夕方、かすみ網を張った。用意するのは、基本的にかすみ網、ひも、ポールの3つだけ。それも昨年末に片づけたままのを、約一年ぶりにひっぱり出してくる。手が3本あったら便利なのに、などと思いながら網を張っていく。たった2枚張るだけなのだが、順調にいっても約30分かかる。今回は、袋から取り出した2枚目のかすみ網が壊れていたので(そういえばそうだった〜)、あわてて別のを取りに戻ったので、思わぬ時間がかかった。
とはいえ、なんとか無事に網張り完了。かすみ網を張るのは年に一度なのだが、なんとなく張り方を覚えているから不思議なもの。

網張りに行ったら、木から100羽以上の大量のツグミが飛び立って大騒ぎになった。ツグミたちの集団ねぐらになっていたらしい。網を張り終わった頃にはすっかり暗くなっていて、鳥たちも静かになったが、どうもツグミがたくさん捕れそうな気配。
昨年は、鳥が捕れずに、他の仕事がはかどったが、今年はそうも行かないようす。嬉しいような悲しいような。


2006年12月26日 ホネホネ冬合宿 最終日:新記録!

1日に10羽の鳥の皮を剥いた。新記録達成である。多くは語るまい。

合宿最終日も、多くの壁が立ちはだかった。とりあえず、朝スタートダッシュに失敗した。計測を終えて、皮むきを始めたのが午前11時。昼休みもそこそこに皮を剥いたが、午後には会議なるものに2時間もの貴重な時間を費やす羽目にあいなった。その時点ではまだ4羽しか剥いていなかったノ。
しかし、快進撃は夕方から始まる。脂肪だらけのキビタキや、腐ったホオジロ、脂肪だらけの上に腐っているヤブサメをなんとか倒す。すると、あとは状態がよく、脂肪の少ない小小鳥が続いた。おかげで、日が変わる直前に、用意した鳥の皮むきが終了。自分で剥いたのを数えてみると、なんと10羽! 二桁にのせるという快挙を成し遂げていたのであった。

新記録は嬉しいけれど、むしろ用意した鳥の死体の処理が済んでホッとしたというのが実感。夕方、まだ処理待ちの死体が9羽も残っているのを見た時は少し泣きそうになった。手伝ってくれた団長、ぴぃたろぉさん、ありがとう〜。


2006年12月25日 ホネホネ冬合宿 二日め:新記録達成が…

新記録を目指して、14羽の小小鳥を準備。と思ったら、13羽しかいなかった。この誤算が後々大きな後悔を招くのであった。

誤算ではないけど、そもそも今日は、クリスマスパーティなるものが夕方に予定されていて、時間が足らなくなる公算が大。そこで、朝の一番から計測を始め。午前中にはすでに2羽を剥き終わってるという快調なすべりだし。
ところが、楽しく昼食を買いに行き、ミッフィーの絵皿を2枚GETして喜んでいる内に、密かに事態は進行していた。なんと、昼休みに予想外に時間がかかっていたのであった。
それでも、そこは二日目のこと、皮むき作業自体は快調。しかし、さまざまな妨害工作に遭遇する。それをかわしながら、ようやくさらに3羽クリアした辺りで、今度はパーティタイムに突入。これはやむを得ない。
パーティという名の小休止をはさみつつも、さらに3羽剥いた。これで、歴代タイ記録の8羽に到達。時間は午後10時。あと1羽剥いて新記録は楽勝! と思ったら、準備していた鳥の死体がなくなった…。準備の時の1羽の誤算がなければ〜。脱力。

というわけで、今から鳥の死体を解凍して、準備して、計測して。という気力はない。その後には、後片付けも待っている。ということで、新記録は断念。新記録は明日に持ち越す事となった。明日こそご期待あれ。


2006年12月24日 ホネホネ冬合宿 初日:一人小小鳥マラソン

今日は、8羽の小鳥の皮むきをした。一日に鳥を剥いた数としては、最高記録を更新したと思う。
小小鳥祭りと銘打ったものの、鳥の皮むきへの参加者は、他に二人だけ。ちょっと寂しい。その上、他の二人は1羽ずつ皮むきしただけ。とてもマラソンとは認められない。そんなわけで、一人小小鳥マラソン。孤高のランナーは、それでも自己新をたたき出したのだから、たいしたもの。と、自分で自分を誉めておこう。

明日は、新記録を目指す。


2006年12月23日 Mさんの教え

Mさんが、ハイタカの仮剥製を作るのに同席させていただいた。Mさんは、自ら思いついたかのように疑問をしゃべって、物事のどこに問題点があるかを教え導くエキスパートなのである。Mさんの教えのいくつかを記録しておこう。

★ツミの雄目の色が変わるのは、不思議じゃのう〜?
ムムム。確かにツミの雄の目の色は、幼鳥の時は黄色っぽいのに、成鳥になると赤くなる。雌の目の色はあまり変わらないところからすると、雄だけ赤くなるのは、やはり配偶行動に関係があるのでは? 目の色が変わるタイミングも、正確にはいつかよく知らないな〜。目の色が変わる途中ってどうなってるんだろう? 考えてみると知らない事がたくさん。

★ハイタカのメスの生殖器が両側とも発達するのは、卵をたくさん産むためかのう〜?
ムムム。確かにハイタカ、オオタカ、ツミのメスはメスの生殖器が両側とも発達するが、これは、左側だけしか発達しない他の大部分の鳥とは違っている。しかし、卵をとくにたくさん産むわけでもなし、機能的な意味はなんなんだろう?

★蝋膜は、短く曲がった嘴の鳥についとるのかのう〜?
ムムム。確かにタカ類、インコ類、フクロウ類。短く曲がった嘴の鳥には蝋膜が付いている。でも、例外はノ。何かあるかな〜? で、その機能的な意味はなんなんだろう?

★尾羽をたたむと右側が上になるもんなのかのう?
ムムム。確かにMさんが皮を剥いたハイタカの尾羽をたたむと、右側が上に来る。でも、他の個体は? 他の種は? うーん、考えた事もなかった〜。

今日も勉強させていただきました。拝。


2006年12月22日 カワウの集まる場所

松原市から堺市北東部辺りのため池を、毎月見回っている。調査範囲内では、大津池にカワウのコロニーがあるのだが、ここにカワウが集まるのは繁殖期が中心で、非繁殖期(9月〜12月頃)にはカワウはあまりいない。
昨年の冬辺りから、北池にけっこうカワウが集まっていて、集団ねぐらになってるのかも。と思っていたが今年は繁殖しなかった。ただ、今年も非繁殖期になるとカワウが集まって、島の木が白くなっている。

今年の冬は、さらに菅池にもカワウが集まっている。さらに今日は、大泉緑地の大泉池にもカワウがけっこう集まっていた。非繁殖期のねぐらで、繁殖を始めるというパターンがよくあるので、この2ヶ所も要注意。
と、思ったら大泉池の島の横のちょっとした岩みたいなところに、すでにカワウの巣のような物ができていてカワウが座り込んでいた。あれって、営巣してるんだろうか? 今後の経過に要注目。


2006年12月21日 利き果実

鳥が食べる公園の果実の味について調べてこい! 暗にそういうお達しがあった。で、とりあえず目に付いた果実を食べてみた。

・トウネズミモチ:苦い。乾燥させてお茶にしたらうまいのに。
・クロガネモチ:死ぬほど苦い。苦いだけ。
・モチノキ:甘くておいしい。汁気の少ないリンゴみたい。ちょっと苦いのかもしれないけど、クロガネモチの後だったので微妙な味はよくわからない。
・ソヨゴ:苦い。でも、ちょっと甘みもあるような…。
・サンシュユ:酸っぱい! そしてちょっと渋い。でも、口の中が苦ーい状態だったので、ちょっとおいしかった。
・エンジュ:ほんのり甘い。
・センダン:けっこう甘い。タネの大きな、あまり甘くない干し柿みたい。
・クスノキ:甘くない。苦くもない。渋くも、酸っぱくもない。クスノキ臭が苦手でなければ、意外と食べやすいかも。

味見はしたけど、どれも呑み込まずに吐き出した。もしかしたら有毒なのもあるかもしれないので、よい子は真似しないようにね。
ちなみに、嫌いな人にはクロガネモチを食べさせたらグー。しばらく口の中が、苦ーい!状態で維持できる。

【追記】
2006年12月23日、ハナミズキの果実も食べてみた。苦ーい。


2006年12月20日 イタチノミ

枚方の方が、わざわざイタチの死体を持ってきて下さった。タイリクイタチの雄。交通事故死らしいが、頭骨は壊れていない。黄色い体についた赤い血が妙にあざやか。かなり臭いけど、これはイタチの体臭らしい。

取り出して、眺めてると、前足の先で小さな虫が動いているのを発見。よーく見るとノミらしい。寒いせいか動きが遅い。それでも採集しそこないそうなので、ただちに冷凍へ。

イタチについてるノミだから、きっとイタチノミに違いない。本当かな? もしかしたらタイリクイタチノミかも。
テンにはテンノミ、アナグマにはアナグマノミ? それとも全部イタチノミ?

日本で野生化したアライグマには、アメリカからアライグマノミが付いてきてるのか。それとも何となくイタチノミとかイヌノミなんかが付いているのか。今度アライグマを入手したら、注意してみよう。


2006年12月19日 粘土細工は楽しい

カエル、タヌキ、イシガメ、ハチクマ、ドジョウ、アカネ、ミズカマキリ。プロの手になる粘土細工にダメ出し。

タヌキの耳は、もっと大きい方が可愛い。というと大きくしてくれる。大きくするとクマみたい。やっぱり耳を小さくする! とわがままの言い放題。
イシガメの目は、やはり黒目がちでないと。背中にキールは一本。甲羅の後端がギザギザして欲しいな〜。リュック背負ったカメに、そんな細かい注文を出さなくてもよさそうなものだがノ。
わがままを言うと、ちゃんとその通りに調整してくれる。目の前で言ったとおりに形が変わっていくのが楽しい。

ハチクマの嘴がなんかカラスみたい。今度は勝手に嘴を曲げて、タカっぽくする。これは上手くできた。
ミズカマキリの胴体はもっと細長くなくっちゃ。とやりかけて断念。ちぎれそうになった。

プロのように、自由自在に思った形が作れれば、粘土細工はとっても楽しそう。ああはいかないだろうけど、なんか自分でも粘土細工をしたくなった。


2006年12月18日 イノシシの歯

ジュニアのメンバーに、山で拾った哺乳類の歯の同定を頼まれる。哺乳類の歯なんてわからないから、誰かに頼まなくっちゃ。と思って、はや数ヶ月。すっかり忘れていたら、拾った本人に怒られた。

そんなこんなで、ホネホネ団の副団長が調べてくれた。イノシシの下顎の左側の大臼歯らしい。そこにホネホネ団の顧問が登場。副団長との間で、第1大臼歯か第2大臼歯かという議論が始まる。イノシシの歯かな〜、くらいしかわからない事務局長は、お二人の会話を静かに謹聴するのみ。
乳歯か永久歯かという話がはじまり、シカの乳歯は云々かんぬん、しかるにイノシシの乳歯は云々かんぬん。さらに、ゾウの歯の水平交換がどうした(なんのこっちゃ?)。ゾウとヒトの間にイノシシを入れたら、理解しやすい(いったい何を?)。さらにイボイノシシを混ぜたら、さらにわかりやすくなる(だから何を?)。などと、チンプンカンプンな会話が進行していったのであった。

最終的に、どうやら顧問が勝って、第1大臼歯であると判明したらしい。たいへんお待たせしたけど、歯を拾った方もさぞかし喜んで下さるに違いない。
それにつけても、いつかは、歯についてのチンプンカンプンな会話に入っていけるようになりたいものだ。と思った昼下がりであった。


2006年12月17日 和歌山の行事中止って…

今日は、博物館友の会の行事に参加するつもりだった。和歌山方面の海岸で、打ち上がっている物を拾おう!って感じ。ついでに虫も採ろう。カニも掘ろう。鳥も見よう。準備万端。天気予報が微妙なことを言ってるな〜、と思いつつ就寝。

朝、いつもより早起き。雨は降ってないけど、微妙な天気予報なので、一応留守電で行事が中止かどうか確認。
「本日の月例ハイクは雨天のため中止にします」
雨降ってないのに中止か〜。これから降るかもしれんしな、と思って、二度寝。

次に目が覚めたのは昼前。雨が降ってるどころか、快晴やん! さっそく出かけていって、担当者に文句を言ってみる。他からも文句を言われたらしい。気の毒に。
とはいえ、行事参加者の気持ちがよくわかった一日であった。だって快晴やのに、雨天中止って言うんやし!


2006年12月16日 本をもらった『Birds of Myanmar』

おみやげにもらった。ミャンマーで鳥の図鑑を見つけたから買ってきてくれたらしい。ありがたやありがたや。2003年にSwiftwinds Servicesという出版社から発行されている。聞いた事がない出版社、と思ったらミャンマーの出版社であった。見開きの片方が鳥のイラストで、もう片方がテキストという、フィールドガイドにありがちな構成。イラストは二人で描いているようだが、片方はさほどうまくなく、もう一人はまあまあ及第点といった感じか。とはいえ、あまり馴染みのない国の図鑑だけに、いろんな部分で楽しめる。

まず、後ろにミャンマーの鳥のチェックリストが載っている。2001年までに記録された鳥が並んでいるらしい。全部で1035種。水鳥はさほどいないのに陸鳥の数が膨大。キジ科、ハト科、カッコウ科、キツツキ科。スズメ目では、ヒヨドリ科、ツグミ科、ウグイス科、チメドリ科、ヒタキ科、コウライウグイス科などが多くの種をかかえているのが目に付く。
気に入らないのは、こんなに多くの種が生息しているのに、図鑑に掲載されているのが、たったの350種ってこと。フィールドガイドとしては使えなさそう…。

チェックリストの後ろには、ミャンマーの法律で保護されている鳥のリストが並ぶ。ミャンマーの法律では、保護動物(対象は哺乳類、鳥類、爬虫類だけらしい)は3ランクに分けられている。Totally Protected Animals、Protected Animals、Seasonally Protected Animals。最後はなんとなくわかるけど、前二者がどう違うのかはよくわからない。
ともかく、106種(種群)の鳥が保護動物になっているらしい。言い換えれば、その他は自由に採集できるってことかな〜。

さらに後ろを見ると、Index of Myanmar Namesがある。この本はほとんどすべて英語で書かれているが、ここはミャンマー語。そしてミャンマーの文字。とても楽しい感じの記号が並んでいるとしか見えない。なんか表音文字みたい。タイ語の文字に似ている。わかるのはこの程度…。Cの裏返し、上向き、下向きが頻出する。視力検査を思い出してしまう。ミャンマーの人は、あの視力検査の表を、"読める"んじゃないだろうか?


2006年12月15日 植物園のようす コガモが消えた

細身のサンタと、イタチ顔のトナカイが、幼稚園児と一緒に雪だるまを作っている小春日和。空を見上げると、数羽から50羽までのツグミの群れが盛んに飛びまわっている。どうしてだか知らないけど、今この公園にはツグミがやたらとたくさんいる。そして、それに負けじとヒヨドリもたくさんいる。先週よりさらに増えた気がする。あるいはうるさくなったのか。

とまあ、ツグミもヒヨドリも多いので、果実が着実に食べられていっている。クスノキの木の中には、上から三分の二の果実が食べ尽くされてるのもチラホラ。正月休み明けには、すべての果実が食べ尽くされていると予言しているのだが、その実現に近づいている事は近づいている。達成されるかは微妙なところ。

さて、そんな中、池では大異変が起きていた。そもそも今年はカモ類が少ない。寒くなってきたのにホシハジロやキンクロハジロがあんまり増えない。数少ないホシハジロやキンクロハジロは、人の顔を見ると、すぐに餌をもらおうと近づいてくる。ってことは、例年、人が与える餌には見向きもせず、沖合に浮かんでいる野性味あふれるカモ君たちが、今年は来ていないのか?
などと思いつつ、双眼鏡でスイレンの辺りをながめる。いつもコガモがいる辺り。今日は、コガモが見あたらない。でも、遠目なので見にくいだけかと思った。かなり近づいてからもう一度ながめる。やはりコガモはいない。池をグルッと回ってもコガモは1羽もいなかった。
他のカモ達は同じようにいるので、池にそんなに大きな変化があったとも思えない。なにが原因? ともかく、コガモはコガモ集団で動いていて、ある時一斉に昼間いる池を変更することがあるらしい。
トモエガモが、そんな風に居場所をコロコロ変えるとは聞いていたけど、コガモよおまえもか〜?


2006年12月14日 再来年の予定を立てる

毎年、この頃になると思う。来年の話をすれば鬼が笑うとすると、再来年の話をしたら、鬼はどんな反応をしてくれるのか。大爆笑?

ともかく、今日、向こう1年3ヶ月ほどの予定が大筋で決まってしまった。まだ、多少の日程調整はあるだろうから、とりあえず詳しい中身は秘密。
とは言うものの、来年の4〜6月に土日連続して休める週末はないらしい。あー、8月にもない。そして、再来年の1月も同様。12月のとある一日のふとした出来心で、向こう1年以上が確定してしまうとは、考えてみるとかなり恐ろしい。

そういえば、2009年の夏や、2010年の夏の予定も決まっていると言って過言ではない。計画的な人生だなぁ〜。


2006年12月13日 国立科学博物館概要2006

今日も東京から客人。お土産に国立科学博物館概要2006というのをもらった。気になるデータをピックアップ。

・上野では1986年から教育ボランティア(展示室に立ってたりするあの人たち)を導入していて、2006年4月1日現在の登録者数は、310名。活動する曜日ごとに分かれていて、毎日約40名が館内に配置されているらしい。毎日の対応だけで大変そう。

・2005年度から始まった国立科学博物館大学パートナーシップ。2005年度は21大学が参加。それに伴う科博の収入は、860万円。これに参加することでの大学側のメリットは、そこの学生が常設展無料・特別展500円引きで入れたり、有料講座に割引料金があったり、博物館実習を優先的に受け入れてもらえたり。大学数があんまり増えたら、博物館実習の優先的受入って無理になるのでは?

・常勤のスタッフは141人、内、研究職が79人(2006年7月1日現在)。機構図を見ると、34もの課・室に分かれている割には少なめ。でも、部長級だけでも9人もいるし。

・2005年度の予算規模は、約46億円。で、2005年度の外部資金の受入実績は、科研費約2億4千万円、受託収入約5200万円、寄付金約2400百万円、資料同定約160万円、大学パートナーシップで860万円。予算規模はでっかいけど、外部資金の導入にはあまり成功していない感じ。それにしても、資料同定で収入を得ているとは知らなかった。誰が何を同定して稼いでるの?

・入館者・入園者数(2005年度)は、上野本館が約145万人、筑波が約6万5千人、自然教育園が約9万6千人。展示面積や年間予算の割にはさほど多くない。ちなみに2005年度は、それまでと比べて入館者数が大幅に増えた年。で、この程度。

結局のところ、規模も理念も違っていて、他の自然史系博物館と単純比較できるわけではない。が、まあ規模がでかいという点を除けば、さほど恐るるに足らない。というか、規模こそが恐るべしというか…。


2006年12月12日 広告費用に換算すると

東京からの客人とお話。東京には、お金がたくさんあることを実感。桁が違うらしい。一部でいいから、こっちに回せ〜、と面と向かって言い過ぎたかもしれない。ちょっと反省。

その客人が持っていた資料におもしろいのがあった。あるイベントをした時に、マスコミに取り上げられた記事の量や、放送時間を、それだけの量・時間の広告をうったらどのくらいの価格になるかを換算したもの。■※▲☆万円の広告効果があった。と主張する時の根拠。
計算するための、単価表も付いていた。たとえば、午後6時台のローカルニュースだと、15秒70ン万円だとか。全国紙の1行が1cm当たり10ン万円だとか。ただし、数字と条件はうろ覚え。

ともかく、なにわホネホネ団はけっこうマスコミで取り上げられているので、驚くほどの広告効果を発揮してることが判明。おまけで博物館の宣伝をしてもらってるので、大阪市は感謝すべし、って話やね。
ってゆうか、博物館自身もおもしろい活動をしてる(はず)なので、それをもっとマスコミに売り込んで、広告効果を上げろ!ってことか。
もっとも、なにわホネホネ団がマスコミによく取り上げられるのは、その特異な活動内容のみならず、ネーミングの力に依るところが多いように思う。かといって博物館の名前は変えにくそう。


2006年12月11日 アオモジの移入

昨日、泉佐野市に行った、というのは昨日書いた。一緒に行った中学生が植物が好きらしい。アオツヅラフジの果実を見て、これは何かな?てな顔をしていたので、偉そうに名前を教えてみた。数少ない種名のわかる植物なのである。
すると、何を勘違いしたのか、樹木の名前を時々尋ねてくるようになってしまった。コナラ、ウバメガシ、アカメガシワ、ウルシの類。幸い草本は尋ねられない。大阪で普通に生えてる樹種ならそれなりになんとかなる。と、ちょっと鼻高々でいたら、わからない樹に出くわしてしまった。
新しく取り付けた道路の法面に、けっこうたくさん生えている。とっても細長い葉っぱで、黄葉している。鋸歯はなくって、三行脈もない。でも、ちぎってみるとクスノキ科らしき匂いがする。うーん、大阪でこんなん見た事ないし。と、あっさりギブアップ。

今日になって、件の中学生が問題の樹種の名前を教えてくれた(ありがとう〜)。デジカメで撮って帰って、家で図鑑で調べたらしい。アオモジ。すぐにこちらも図鑑で確かめる。正解のようだ。
ついでにとあるサイトを教えてもらった(これまた、ありがとう〜)。元大阪市大のSさんのサイト。アオモジの説明を見ると、九州方面から持ってきた土を使って道路工事をしたら、生えてきたらしい。泉南地域にはけっこう拡がっているらしい。

というわけで、移入種であることが判明。そして、少なくとも今は大阪でもアオモジが暮らしていける事も判明。温暖化ってやつか? 人が土を運ばなくても、少しずつ分布は北上したかもしれんね。


2006年12月10日 今年は石を割らずに化石拾い

今年も中高生と化石採集にいった。今年の場所は、大阪で一番よく知られた化石採集ポイント。でてくるものは、ナノナビスとかの二枚貝、バキュリテスなどのアンモナイト、サメの歯、などがメジャーどころ。

某研究室から、こっそり地学屋用のハンマーを持っていったのだが、中学生に勝手に交換されてしまい、気が付いたら手にしてるのは、ふつうのトンカチ。とてもこれで石を割る気にはならないので、座り込んで、落ちてる石をひたすらチェックした。なんとなくやる気の少なめな二人と一緒に、喋りながらダラダラ。それでも、さっぱり採れないのは嫌なので、誰かが大きなナノナビスを見つけた! と聞いては、見つかった場所へ引っ越してみる。アンモナイトが出た! と聞いてはまた引っ越し。ついにサメの歯! もちろん、そこに押しかけていく。

残念ながら二匹目のドジョウはあまりいなかったが、それなりに二枚貝の化石は見つけたし、バキュリテスも見つけた。少し心残りはサメの歯が見つからなかったことくらい。
化石を探すのはそれなりにおもしろいが、コレクションする趣味はないので、見つけた化石は手近な奴にあげてしまった。もしでっかいアンモナイトの完品に近いのを見つけたら、さすがに持って帰るだろうな〜。

というわけで、来年は、巻いたアンモナイトの出る場所に行きたい! バキュリテスはまっすぐで、棒にしか見えないし。


2006年12月9日 ボタンウキクサ食者群集について

淀川に行った。おもに水鳥の食事風景を観察した。

城北公園では、ユリカモメがクスノキの果実を食べていた。池の端にたっているクスノキの上に、白いユリカモメ十数羽が乗ってるのは変な風景。この場所では、以前にもユリカモメがクスノキの果実を食べているのを見たことがある。食べられたクスノキの種子は消化されずに糞として排出されそうだが、排出される場所が水の中では、種子散布には貢献しそうにないなー、と思う。という、興味深い話題はさておき、今日はボタンウキクサ食者群集の話

淀川のわんどには大量のボタンウキクサが浮かんでいる。ここ数年でどんどん増えている感じ。そこから流れ出したボタンウキクサが、下流にもたくさん浮かんでいる。
ボタンウキクサの上には、あちらでもこちらでも、バンが乗って何かを食べている。よく見ると、ボタンウキクサの葉っぱを食べていた。
少し行くと、カモの群れに混じって、オオバンがたくさん浮かんでいた。潜ってはコカナダモをつまんできて食べている個体もいるが、多数派はボタンウキクサの葉っぱを食べていた。
よく見ると、ヒドリガモもけっこうボタンウキクサの葉っぱを食べている。
さらに、オカヨシガモもボタンウキクサの葉っぱを食べているんじゃないか、と思わせる行動をしていた。が、かじりとる現場は見られなかった。
とまあ、そんな具合に、外来のボタンウキクサがはびこれば、さっそくそれを食べる植食者群集が形成されているってわけ。この勢いで食べて、食べ尽くしてくれるといいんだけど。

さて、わんどから流れ出たボタンウキクサは、毛馬の閘門から大川の方に流れていっていて、淀川大堰より下流の新淀川にはほとんど浮かんでいない。
面白い事に、淀川大堰より下流の新淀川には、オオバンやヒドリガモといった植食者たちもほとんど浮かんでいない。どうも、ボタンウキクサの大発生は、水鳥の分布にも影響を与えているらしい。


2006年12月8日 コメンテイターを選ぶ

昨日、とある学会のとある自由集会のコメンテイターを誰にしようか、という相談を隣で聞いていた。なんか博物館や標本がらみの自由集会らしい。途中から話を聞いたし、同じ人の名前が何度も出たり消えたり。おもしろいやりとりを中心に、適当に再構成したら、こんな感じ。

Wさんは? Wさんだと保全がらみのコメントするに決まってるやん。ちょっと話がそれるし。
Yさんは? Yさんも保全の話になるんじゃ? いや、もう少し主催者の意向もくんでくれるんじゃ。
Kさんとかは? K大学色が強すぎると、他の大学の人が来にくくない? 気の利いたコメントはできるやろうけど。
Iさんを付けたら? K対Iの闘い路線? それって、完全にK大D教室の同窓会やん。

そこから意外な人路線に話が飛んで、
Mさんは? まだ生きてたのか〜。っていう意味では意外かも。(Mさんが、とあるゼミに出ては、途中で必ず寝て、質疑のところで起きる話がしばらく続く)
Iさんでは? ビッグネームやけど、生きてるのは意外ではないんじゃ。(学会発表のポスターに、Iさんが勝手に数式の訂正を書き込んでいた話で盛り上がる)
Iさんは? それはほんまに意外やな〜。全然関係ない感じ。何でもそつなくこなしそうやけど、何をコメントするんかな〜。(何コメントするか悩んでるIさんを見るのが楽しいかも。会場から「標本扱ったことないやろ!」って野次を飛ばしたらノ、てな話で盛り上がる)

結局誰をコメンテイターにすることになったのかは定かではない。こんなんばらしていいのかな〜?
とにかく、他にも色んな人の名前が上がっていた。若造達が、偉そうに、大御所の名前を順に上げては、好き勝手に言っていたのであった。


2006年12月7日 水鳥の形態と採食行動と食性の関係といえば

淀川に鳥を見に行くので、カモを中心に、食性だとか採食行動だとかの話をしようと思い立った。日本で、ガンカモ類で、形態やら採食行動やら食性といえば、羽田健三。
というわけで、『鳥類の生活史』(羽田健三編著、築地書館)を引っ張り出す。この本は、羽田健三の著作集とでも言うべき本で、論文がドカーンと束になってる感じ。その分厚い本の最初の3分の1、約400ページに、まさにガンカモ類の形態に採食行動に食性の論文が並んでいる。1952年〜1965年に書かれた18編の論文で約400ページ。よくこんなに書いたな〜、という感じ。
その大部分の論文は、「内水面に棲息する雁鴨科鳥類に於ける…」といったタイトルが付いている。「…」には「生活形に関する研究」とか「群集生態学的研究」などといったフレーズが入る。湖沼に生息するガンカモ類で、すみわけ理論の実証的な研究をしたかったんだろうなー。
そんな時代背景のもとで書かれた論文。目的意識も、使われる用語も、その時代のもとでは常識だったんだろうが、今日とはかなり違っていて、たいへん読みにくい…。

というわけで、この一連の研究が目指していたものには、あまり興味がなく。申し訳ないけど、議論絡みのところには一切目を通していないのだが、図表には興味深いものが多数含まれている。とくにガンカモ類各種の各部の骨の図が載っているのは重要。さらに解剖して調べた各種の食性の表が載っているのも役に立つ。
あと、日本で形態と採食行動を結びつけた研究って、この一連のものしか知らない。そういう意味では、そういう部分だけは興味深く読める。


2006年12月6日 タヌキのため糞

我がフィールドであるところのとある都市公園にはタヌキがいる。大阪市内なのに。タヌキがいる以上は何かを食べて、糞をする。公園内のところどころにため糞があるのは知ってたけど、少し前に、大きなため糞がある場所を教えてもらった。
ちょうど、タヌキのため糞の画像や標本(!)がいるところだったので、そのため糞を使うことにした。とはいえ、ため糞を見たのは1ヶ月ほど前のこと。今どうなってるんだろう? なくなってたら困るので、今日確認に行った。

ため糞は以前あった場所に、同じようにあった。いやむしろ糞は増えていた。ほとんど人がいく場所ではないので、掃除も入らないし。よほどの事がない限り、このままで維持されそう。撮影も標本採集もばっちり。
ところで、前回見た時は、糞の内容物はよくわからなかったのだが、今日はものすごく内容物がわかりやすかった。どうやら、このため糞場所を使っているタヌキは、センダンの果実を食べまくっているらしい。てっきり、ノラネコがもらっている餌を横取りしてるんだと思っていたけど、そうではなかったらしい。

このため糞場所の糞を定期的に採取して、その内容物を調べれば、大阪市内の都市公園で生活するタヌキの食性が判明するわけ。だれかやらない〜?


2006年12月5日 本をもらった『生き物屋図鑑』

ゲッチョとニシマキさんのコラボ本なんだそうな。文章と生き物のイラストはゲッチョが、人物紹介のカットはニシマキさんが描いている。40人の変人が登場しているという。
そういえば、2005年の3月にゲッチョが大阪にやってきた。変人を取材に来てるという噂だった。我が輩のところにも、取材にやってきた。変人の取材なのでは?と尋ねたらホネホネ団団長の話を聞きたいだけとのことで、ここぞとばかりに色々話した。まさか本になるとは…。

ホネホネ団団長を中心に大阪に巣くう変人が紹介されるのは、2章。知ってる人ばかりが並ぶ。とっても気になるのは鳥屋のところ。Wさんはキジバトの皮を剥いても、そんなたくさん羽を抜いてしまうわけではないと思うなー。
大阪編以外をパラパラとながめても、あちらこちらに知り合いが顔を出す。ゲッチョの交友関係が紹介されているので、そこに多少ともつながりがあると、知り合いが出てきて妙におもしろい。そして突っ込みを入れたくなる。シカ屋がシカの死体を拾いまくったことを好意的に書いてるけど、研究室の同室の奴らはブーブー言ってたとか。

いろんな生き物にはまった変人の生態を紹介しているという意味では楽しい本。惜しむらくは、好意的に書きすぎている事。奴らは、もっと一般とはかけ離れた価値観を持ち、世間的にはありえない非常識な行動をして、多くの人に迷惑をかけ顰蹙を買っているはず。そういった話をもっと盛り込めば、よりディープに変人好きの心をくすぐったことだろう。あと、人間離れした能力ももっと紹介した方がよかったね。
そんな反省に基づいて、次回は、『生き物屋図鑑@DEEP』を期待しよう。


2006年12月4日 大掃除 紙と闘う 三日間

本来、別に大掃除というわけではなく、単に部屋の床の清掃が入るってだけ。ただ床を清掃するには床が露出している必要があり。見渡した限りでは、あまり床が露出しておらず。必然的に、大掃除が開始されるという段取り。年中行事といっていいだろう。

年中行事とはいっても、毎年紙と闘うわけではない。闘いを諦め、ある物を、あるがままにあっちに移動し、そして元の場所に戻す事もしばしば。でも、毎年そんなことをしていては収拾がつかなくなる。
もう少し妥協的な闘いとしては、ある物をあるがままに段ボール箱や紙袋に詰めて、あっちに移動し、元の場所に戻す。しかし、これを繰り返すと、紙の入った箱や袋ばかりが増えていく。
さて、今年は徹底抗戦を試みた。おそらく3年ぶりくらいの事ではないかと思う。闘う事、3日間。実働約10時間。ようやく闘いが終了した。勝ったというよりは、適当なところで和平条約を結んだに近い。床面に関しては、ほぼ全面勝利。しかし、机の上は、今回のところは勘弁しておいてやった。

手強かったのは、郵便物山での闘い。うずたかくそびえ立つ約2年分の郵便物山。その地層は主として各地の学会の雑誌からなる。袋から出して、雑誌ごとに仕分けし(つまり大部分は目を通してもいないノ)。さらにビニール袋、封筒、同封されている紙に分別。雑誌はそれぞれの所定の位置へ。しかし所定の位置が目一杯に埋まっているので、新たな場所を開拓。この困難な闘いには全面勝利した。
次に手強かったのは、主として机の下、段ボール箱や紙袋の中に詰め込まれた、あるいは単に散乱している紙との闘い。地上戦と行っておこう。この闘いは果てしなく、一定の戦果をあげた段階で和平条約を締結せざるを得なかった。しかし、紙達の領土が大幅に縮小したのは間違いない。
心残りは、机上の戦闘を断念したこと。正直、体力・気力が保たなかった。残念。

そんなわけで、我が机の周りは、目線を下にしてる限りにおいて、きわめて整頓された。ただ、机上には無数の敵が鎮座しているので、目線を上げないように。
机上の奴らよ、来年こそは目に物見せてくれる! と日記には書いておこう。


2006年12月3日 カラスの夜遊び

昨日の夜11時頃。自転車で長居公園を走っていたら、カァカァとハシブトガラスの声がした。最初は何も思わなかったが、すぐに何か変な事に気付く。もう、カラスは集団ねぐらに行って、寝てるはずの時間やないか〜。見上げてみると、ハシブトガラス1羽が、盛んに鳴きながら、第二陸上競技場の照明にとまった。少し遅れて、もう1羽飛んでいく。さらに少し離れたところで、もう1羽鳴いている。少なくとも3羽はいるらしい。
この暗い中で、公園の中をウロウロしても、食物が見つかるとも思えない。じゃあ、何をしてるかってノ、やっぱり夜遊びとしか言えないように思う。

そういえば、少し前、長居公園の東に住んでいる方から、夜の11時頃に長居公園の方向に飛んでいくカラスの群れを見たと聞かされた。集団ねぐらがあるはずの仁徳陵へ向かう方向と同じなので、遅れて集団ねぐらに向かう群れかと思った。が、もしかしたら長居公園に夜遊びに出かける群れだったのかも。


2006年12月2日 夏の夜は芝生でゴロ寝

来年の夏の話。京都府の日本海側でのこと。芝生でゴロ寝をすることになったらしい。雨が降らなければ楽しそう。
そういえば、学生時代は毎年8月に若狭湾にうかぶ冠島に行っていた。真夏の冠島はとても暑く。汗をかきまくり、でも風呂はない。そもそも飲料水以外真水がない。飲料水も節約気味。真水を節約しながら食事は自炊。昼間は暑いので、海で泳くのだが、シャワーもなくそのまんま。夜も暑いので、浜辺で寝たいところだが、冠島の海岸は大きな石がゴロゴロしていて、たいへん寝にくい。その上、フナムシがたくさんいる。とてもではないが、海岸では寝られない〜。
それに比べると、同じ時期に、同じような地域ではあるものの、芝生でゴロ寝は楽しそう。風呂もあるし、食事のまかないも付いてるし、水は飲み放題。快適〜。

考えてみれば、ゴールデンウィークにも、熊本に行って、実験室かどこかでゴロ寝をするらしい。そういえば、どこかの展示室でゴロ寝をするという話もある。どうやら来年はなぜかゴロ寝が流行。
そういえば、淡路島の海岸でゴロ寝する話はどうなったんだっけ?


2006年12月1日 封筒コラムの開始にあたって

雑誌などを送付する時、まあ大抵は封筒に入れて発送する。封筒の中に何か入れて送るのは当たり前として、外側に必要なのは、宛先と差出人が明記されていることである。その他に切手を貼るスペースの確保も重要である。さらに、冊子小包、速達、第三種郵便、Par Avionなどといった表示をするスペースが必要になる場合もあるだろう。

くだくだと何が言いたいかというと、こうした封筒の外側に要求される仕様は、封筒の片側だけで事足りるということである。必然的に、もう片方の側は空きスペースとなる。実際、送られてくる大抵の封筒を見ると、片側は空きスペースのまま放置されている。何かを書き込めば、印刷すれば、情報伝達の機能を持たせられるのに、空きスペースのままにしておくのは、もったいないと言わざるを得ない。

要するに何が言いたいかというと、封筒の裏側に何かを印刷して、この空きスペースを利用することを思いついたのである。思いついたのは、半年くらい前に遡る。封筒の裏に広告を載せて、活動資金の足しにしようという思惑であった。しかし、広告を載せる話はなかなか進まない。その間も空きスペースは空きスペースのままで送られる続ける。言い換えると、同じ郵便料金で送ることのできる情報量を大幅に損していることになる。

端的に何が言いたいかというと、載せる広告がないなら、別の情報を載せる事にしようというわけ。とりあえず会員継続のお願いを載せることにした。でも、それだけでは楽しくないので、封筒コラムと銘打つ事にした。広告を織り込んだDJみたいなノリで軽い文章をつづっていくことにしよう。文章だけでは寂しいな〜、と思って目の前で原稿が書けずにうなっているニシマキさんにマンガを書いてもらった。よほど原稿に煮詰まっていたのだろう、嬉々として15分ほどで4コママンガを仕上げてくれた。コラム+宣伝+マンガ。この三位一体で、これからも展開していこうかと考えている。

そんなわけで、スタートした封筒コラム。これからも続くかどうかは、読者のみなさん次第。みなさんの反響をお待ちしている。ってゆうか、封筒の裏に気付いてくれるんだろうか?
あと、郵便局に怒られないかが、少し心配。封筒の模様とでも理解してもらえるといいのだが…。


2006年11月30日 カモが少ない、カワウも少ない、たぶんカモメも少ない

今日は、自転車で堺市北東部のため池をウロウロ。水鳥を数えて回ってるのだが、たいへんスムーズに調査が進み、思いのほか早く帰ってきた。理由は、数える相手が少なかったから。すでに丸11年になる調査なので、過去のデータと比較すればいいのだが、すぐにはデータが出てこないので、印象だけで大胆発言することにする。

とにかく、カモがたくさんいるため池がまったくと言っていいほどない。ちなみにたくさんいるとは、100羽以上の個体が、池じゅうに散らばって大変数えにくい状態を指すことにする。
カワウの方も少なく、10羽以上いるため池が見あたらない。ここ数年、集団ねぐらができていた池にもさっぱりいない。
そういえばユリカモメが入っている池もない。11月だとユリカモメの個体数はまだまだこれからではあるのだが、それでも少ない気がする。この日曜には大和川河口にも行ったが(大和川河口は大阪湾有数のカモメの集結地点)、やっぱりカモメ類は少なかった。

この冬、冬鳥の小鳥類の観察は好調で、アトリ類、ツグミ類、ヒヨドリなどはたくさん渡ってきている様子。これに引き替え、水鳥の渡来数が少ないようなのはどういうわけ? まあ、まだ冬鳥が出そろってるわけではないので、判断するのは早いけど。たまたまよく見ている地域だけの話かもしれないけど。
小鳥類と水鳥の動向が違うとしたら、なかなか興味深い気がする。


2006年11月29日 植物園のようす 小春日和にウソが…

鳥を数えながら植物園をウロウロした。小春日和で暖かい。パーカーが暑いくらい。

池にはあまりカモの姿が多くないが、一昨年から毎年来ているとおぼしきアカハジロがやってきていた。今までのような頭の茶色味もなく、アカハジロと呼ぶのにほとんどためらいがない。その上、今年はホシハジロと一緒に、人を見つけると近づいてくる。どうやら餌付いてしまったらしい。

ツツジの植え込みの周囲では、10人近いおじさんが、大きな望遠レンズを付けたカメラを持って行ったり来たりしていた。どうもツツジの植え込みの中に目指す獲物がいるらしい。聞こえてくるのはアオジの声。アオジでこんなに盛り上がるわけはないし。ルリビタキ? クロジでも来てるの?

ツグミはたくさん来ているらしく、盛んに飛びまわっている。20羽で飛びまわるとなかなか盛り上がる。

そんなわけで、楽しく鳥を数え終わって帰ってきたら、ガラスに当たって鳥が死んでると教えられる。見に行ってみると、ウソだった。さっき回っている時は、見あたらなかったのに…。できれば生きた状態で見たかった。


2006年11月28日 イボイボナメクジを探せ!

今日、初めて聞いた生き物の名前。ナメクジな上に、イボイボ。イボではなくイボイボ。絶対に圧倒的多数の人に嫌われるに違いない。ちなみに記載されるまえは、ツブツブナメクジという愛称で知られていたらしい。

イボイボナメクジ(Granulilimax fuscicornis)は、ホソアシヒダナメクジ科の一種で、肉食なんだそうな。小型陸貝やその卵を食べるんだそうな。
その姿は、意外に普通にナメクジ。さわったらイボイボになりそうなくらいイボイボかというと、目立ってイボイボというほどでもない。茶色くって、目が黒い。むしろちょっとお洒落な感じのナメクジ。

ちなみに日本には、ホソアシヒダナメクジ科にはゴマシオナメクジというのがいるのだけれど、未記載。さらに南西諸島には真っ黒なのもいるらしいが、これまた種は不明なまま。分類学的な研究がまだまだこれから必要なグループらしい。

などと、イボイボナメクジのことを話題にしていたら、萌蔵がおれはイボイボナメクジの業績があると言い出した。出てきたのは、喜界島でホソアシヒダナメクジ科の一種を見つけたという報文。種の同定も、属の同定すらできてないのに報文として成り立っているのには驚いた。
萌蔵はさらにイボイボナメクジの記載論文を発掘してきてくれた。

◆湊宏(1989)日本産ナメクジ科の新属新種、イボイボナメクジの記載.VENUS 48: 255-258.

記載に曰く。小型のナメクジで、著しく細長く。軟体の色彩は黄褐色、そしてその背面が黒褐色の縦線によって細長い楕円形状に縁どられる。さらに外套膜の背面がいつも細密な顆粒につつまれる。大・小触角は灰褐色。

ナメクジ(Meghimatium bilineatum)との違いとしてあげられているのは、
1:著しく小型であること
2:軟体の背面が黒褐色の縦線によって細長い楕円形状に縁どられること
3:軟体の外套膜が微細な顆粒によっておおわれること
4:触角が灰黒色であること
5:生殖器の受精嚢部の先端に牽引筋が付着していること

これだけわかれば、イボイボナメクジを見分けるのは簡単。採集例は少なく、まだまだその分布や生態には謎がいっぱい。同時に身近にも見つかりそうな気配。大阪ではまだ見つかっていないけど、四国、兵庫県、和歌山県、奈良県では見つかっているので、見つかる可能性は充分。

さあ、あなたも明日からイボイボナメクジ探しだ!
ちなみに日本固有種で、環境省レッドデータブックでは準絶滅危惧種。


2006年11月26日 可愛さの客観性について

河口のカモとカモメを見に行った。

カモは、エクリプスを観察しよう、という企画だったが、ちょっと季節が遅すぎ。すでに多くの雄はエクリプスではなくなっていた。と、同時に改めて、雌にしか見えない個体を前に、これはエクリプス?と尋ねられても、答えるのが意外と難しいことに気付いた。嘴の色でわかる場合はいいし、たまたま雨覆が見えれば判断できるけど。そうでない時、エクリプスなのか雌なのかわからないという場合が少なくない。なかなか奥が深い。

そしてカモメ。この地は、少なくともユリカモメ、ウミネコ、カモメ、セグロカモメが勢揃いして、間近に見られる。というわけで、基本4種の見分け方を説明する。
ウミネコとカモメの見分け方は、嘴の模様や、背の色や、尾羽の黒帯なども説明しつつ、幼鳥も含めての究極の識別点は、
「可愛い顔をしてるのがカモメで、可愛くないのがウミネコ」

おもしろいことに、この説明をしつつ、カモメとウミネコを見せたら、たいていの人は納得してくれる。可愛さというものは、かくも客観的なものなのである。
と言うか、可愛さを判断する基準を多くの人と共有していることを実感するのである。今まで大阪、せいぜい近畿圏の人を相手にしか説明した事しかないので、人類共通とまでは言わないが、大部分の関西人は同じ可愛さの基準を共有していると言っても過言ではないだろう。

丸顔で、目が黒目がちなのが、可愛くて。顔が長めで、目が白っぽいのはあまり可愛いと思われない。というだけのことだが…。


2006年11月25日 カラスのはてな

今日は、カラス4種を見比べつつ、カラスについての色んな事をしゃべった。しゃべりながら、自分でもなんでかな? と思った点がいくつか。忘れないようにメモっておこう。

・ミヤマガラスって、昔は九州にしか渡って来なかったのに、どうして今では東北から九州まで広く渡ってくるようになったの?
 >なんでかな? ツリスガラもそうやけど。温暖化は関係ないと思うけどな〜。

・コクマルガラスって、どうしていつでもミヤマガラスの大群にちょっとだけ混じってるの?
 >なんでかな? コクマルガラスだけの大群を見てみたいな〜。

・ミヤマガラスって、どうして日本では繁殖しないの?
 >なんでかな? 気候や食物的には日本でも繁殖できそうやのにな〜。

・コクマルガラスって、どうして2型があるの?
 >なんでかな? また同所的にいる点も、ハシボソガラスの2型と少し違ってるな〜。

・ミヤマガラスって、どうして鼻の孔を隠す羽根がないの?
 >なんでかな? いやむしろ、他のカラスが隠してる方が不思議なんでは〜。

・ミヤマガラスとコクマルガラスは混じってるのに、その群れにどうしてハシボソガラスやハシブトガラスはあまり混じらないの?
 >なんでかな? 昼間もあまり混じってないしな〜。

人気はやはりミヤマガラスとコクマルガラス。そして、大部分の疑問にはさっぱり答えられないのであった〜。


2006年11月24日 プロジェクトY2のテーマ

そんなわけで、来年4月から淀川水系の調査プロジェクトが始まりそう。最初からオリジナルTシャツを作って、それを着て調査すれば盛り上がるんじゃ? わんどちゃんTシャツとかノ。
てなことは、さておき。みんなでやる調査なのでわかりやすい結果が必要。でも、できればちょっと生態学的な、あるいは生物地理学的な突っ込みも欲しいところ。というわけで、生物群に関わらない大きな共通テーマ設定をしたらいいんじゃないかと思う。

思いつくテーマを、メモがわりに適当に並べると、
・分布図の作成:とりあえずこれが最低ライン。わかりやすいし。基礎情報としても押さえておきたいところ。
・淀川本流に生息する種がどこまで支流に遡って分布しているか:淀川水系の三川合流より下流は、淀川本流とその支流という構造がとっても明確。で、淀川本流にはけっこう琵琶湖・淀川水系固有種も多い。そういった種が、支流にどこまで分布しているかを知りたい。ひいては、河口でつながったことのある大和川水系に分布していない理由を考える参考になるはず。
・底質、川幅、川岸の状態、標高などと分布の関係:今度は環境情報をちゃんととって、分布を説明づけたい〜。
・個々の種の移動の障壁をさぐる:少なくとも水中生活者にとっては、堰堤とか砂防ダムとかが分布を大きく制限するはず。鳥には障壁はなさそう。カメや両生類は地上を動けるので微妙。
・生物間相互作用:ってのも考えてみたいテーマ。

などと、並べてみると、どうやら「ある水系の生物相の形成過程and/or要因」を知りたいらしい自分に気付く。プロセスとしてとらえるなら、過去の情報が欲しいなー。


2006年11月23日 すべての不可能を消去して残ったのか?

高校生の研究発表をいくつか見聞きした。その一つ。
ヒライソガニにの甲羅の模様には色々なのがある。色々な模様がある理由を調べたらしい。理由と言いつつ、とりあえず至近要因を知りたいらしい。

成長に伴って変わるかもと考えたが、大きさとの関係は見いだせず。飼育して脱皮させても色と模様は変わらなかった。雌雄で違うかもと考えて、雌雄の色と模様を比較したが、とくに偏りはなかった。サンプルサイズが小さいけど。
遺伝的に決まってるのかもと思い、飼育して交配実験を試みるも失敗した。
結論。色と模様は成長に伴って変化しない。雌雄の違いでもない。したがって、遺伝的に決まっていると考えられる。

ホームズも真っ青の論法で、結論が導かれてビックリした。この論法を使うなら、すべての不可能を消去する前に、すべての可能性を考えてくれ〜。なんで、成長、性別、遺伝だけなん…。そもそもこの3つを同列に並べるのも変やけど。せめてこの並びに環境を。

どこの高校や!と思ったら、我が母校であった。後輩恐るべし。


2006年11月22日 ガマズミの種子から虫

京田辺市の里山に行った。この秋は果実が不作という噂を聞くが、少なくとも京田辺の里山はどっちかと言えば、果実がよくなっていた。
カキは明らかに豊作。カナメモチ、カラスウリ、ヒサカキ、ガマズミ、ノブドウ、ナンテン、イシミカワ、スイカズラ、ノイバラ、アオツヅラフジ、ヘクソカズラ。みんな果実をたくさん付けている。この場所での例年の様子を知らないから何とも言えないけど、少なくとも果実がなくて困るような雰囲気ではなさそう。

さて、なぜか前世紀末から鳥が食べるような果実の種子のコレクションをしている。今日見つけた果実の種子はすべて持っているのだが、たしかガマズミの種子が少なかった気がした。目にしたガマズミの木にあまりにたくさんの果実がなっていたので、フィルムケースにいっぱい採取してきた。

帰ってきてから、果実をつぶして中の種子を取り出し、水で洗って乾かす。小さな種子だと面倒だけど、ガマズミのような大きめの種子が一つ入っているだけだと簡単。と、一通り処理してから気付く。種子の一つに白い物が付いている。ゴミかなと思ってよく見て気付く。昆虫の幼虫が、種子から半分だけ出てきた状態で死んでいた。もっと早くに気付けば、生きていたのかも〜。
種子の中にいる昆虫は、果実の味を変え、ひいては鳥と果実の関係にも影響する事があるので、なかなか侮れない。ドングリの中にゾウムシが入っていたり、モチノキやソヨゴの種子の中にコバチが入っていたりするのは知ってたけど、ガマズミは初めて。これから少しガマズミの果実に注目してみようかな。

【追記】
虫屋に見てもらったところ、鱗翅類の幼虫とのこと。とても大きくて、全身が種子の中には入りそうにない。果肉側にいて、種子に穴を開けて中身を食べていたのか?


2006年11月21日 本をもらった『野鳥と木の実ハンドブック』

この本が出てるなー、と思って買ってみようかとおもっていたら、送られてきた。ラッキー。著者からではなく出版社からの寄贈。別の本の企画にほんの少し相談にのった事があるので、そのおかげらしい。ちょっと申し訳ない気がする。その上、滅多切りにするとは、なおさら申し訳ない。

中身は、樹種(あるいはグループ)ごとに、果実や果実を食べる鳥の写真がならんでいる。イントロに曰く、「私のいつもの独断と偏見で、鳥が好む木の実を勝手に選んで一冊にまとめ」たものらしい。樹種は、果実の色と分類順で、おおむねソートされている。
写真はきれい。果実の写真はこんな風に撮ればいいのかー。果実を食べている鳥も可愛い。
解説文は基本的に、木がどんな所に生えているか、いつ頃どんな鳥が食べるか、その果実を人が食べたらどんな味か。という3本立て。著者自身が味見をした感想は、ながめているとなかなか楽しい。
残念なのは、いつ頃どんな鳥が食べるかについての記述。極めて断片的な観察で、独断的に書いているとしか思えない。鳥が好むとか、好まないとか書いてあるが、基準がきわめて曖昧。その樹種の果実を食べると書いてある鳥種も不充分。各樹種のヘッダには、その樹種の果実を食べるとされる鳥の名前が並んでいるが、解説文との不整合が目立つ。

再びイントロに曰く、「植物図鑑を書いたつもりはなく、ノ樹木の詳しいことを知りたい場合は、他の樹木図鑑などノで調べて欲しい」。そう、木の実見つけても、その樹種を見分ける役にはあまり立たない。その樹種の果実を食べる鳥についての情報も、不充分で曖昧。何かを調べる目的には、まるで役立ちそうにない。
フィールドに持って行きやすいハンディな、果実と鳥の写真集といったところか。


2006年11月20日 査読週間終了

本日、艱難辛苦、悪戦苦闘、転位行動の末に、ようやく査読週間が終わった。思い起こせば、事の始まりは先月の11日。1通のメールから始まった。その後あいついで緑の封筒が2通。さらに茶色い封筒2通も仲間入り。メールもまたやってきて、都合6本の論文の列ができた。そろそろやばいかなと論文を読み出したのが、先週の水曜日。予想通り、催促のメールが届き始めたのが木曜日。この読みの深さには我ながら感心する。

というわけで、6本の内訳は。投稿前の原稿が1本。とっても気楽な雑誌から2本。なぜか編集委員になってしまっている雑誌から2本。そして、恐れ多くもあの雑誌から1本。ぜんぶ日本語の論文なのが救いと言えば救いかも。英語をなおすところからやるのは、面倒さ倍増〜。

さて、お気楽雑誌のはお気楽なので、査読はすぐに終了。次に、初めて読む原稿から取りかかる。むむむ。そして、最後が再査読。以前のコメントの内容にきちんと対応しているかを確認しつつ、スタイルが整って初めて気付く問題点を考える。むむむむむ。
そんなわけで、結果は大ざっぱに言って3勝3敗。誰が勝ったんだかわからないけど…。

ちなみに気を遣うのは、3敗の方。適切な指摘は必要だが、相手を凹ましてもいけないし。いや、どうせ凹む相手は凹むだろうけど、それで投稿を諦めてしまってはいけないし。いや、むしろ諦めてくれたら、もう査読しなくていいし。いやいやいやいや。というわけで、妙な苦悩をするのであった。

しかしまあなんだねぇ。他人の論文に悪口を付けまくる暇があれば、自分の原稿を書いたらどないやねん。とは、査読をしていていつも思うこと。
あるいは、他人の論文と思って、自分の原稿をチェックすれば、もっといい論文が書けるのかも。でも、悪口書かれたら、すぐに凹むしな〜。自分で自分を凹ましてたら世話がない。
というところで、お後がよろしいようで。お後は、自分の原稿の締め切りがたくさん。本数は流動的で、3〜7本の間ってとこか。


2006年11月19日 風邪をひいた

喉が痛くて、咳がひどくて、寝にくい。昼間も、咳が出まくる。咳のたびに喉が痛くなってきた。仕方がないので、飴をなめていた。なめる飴の種類が限られているので、だんだん飽きてくる。それでも、咳止めにはなるので、なめる。カロリーないのを買ってきた方がいいかも。

不思議なことに、鳥の皮むきとか、タヌキの皮の脂取りに集中してるときには咳が出ない。ふと気がゆるんだら咳がでる。集中力を高める訓練と考えてみてはどうだろう? などと、考えながら書いてる時は咳も止まってるし。
でも、それでは寝れん。


2006年11月18日 集団ねぐらといえば

カラスの集団ねぐらの観察に行った。というわけで、集団ねぐらについての一席を考えた。集団になることの不利益はおいといて、とりあえず利益として何が考えられているか。この議論は、集団ねぐらでしても、集団営巣地でしてもあんまり変わらない。塒適地や営巣適地の分布を考慮しないなら、集まるメリットとして考えられてきたのは、対捕食者、採食効率、雌雄関係。

対捕食者を考えたとき、集団になるメリットとデメリットはとっても微妙。コロニーでの捕食圧を測定するのはけっこう楽だけど、集団ねぐらでの捕食圧の測定って難しそう。ってわけなのか、集団ねぐらでこの議論が展開されているのはあまり見かけないような。

採食効率が問題にされだしたのは、いわゆる情報センター仮説が言われるようになってから。おもしろいアイデアが一つ出ると、その方面で多くの研究が行われて、盛り上がるという一つの例。
情報センターというアイデアは、集団ねぐらや集団営巣地などにおいて、採食パッチに関する情報がやりとりされてるんじゃないかというもの(かなり大ざっぱな説明)。実際には、鳥さん達が「今日はええ採食パッチを見つけてなぁ」などといった話で盛り上がってるんじゃなくって。朝、集団ねぐらから飛び立つ時に、前日いい採食パッチでたくさん食べた個体の後を、前日あまり食べられなかった個体が付いていく。といった形で情報が伝わる事が想定されるのが普通。
巣で、お花畑の位置と方向の情報をダンスで伝えるミツバチはきわめて異例。ただ、血縁度の高い集団でくらしている鳥なら、集団ねぐらでもっと積極的な情報伝達があってもいいような気もする。でも、そんな集団の鳥は、昼間も同じ集団で移動してそうだがノ。

さて、情報センター仮説の実証研究の例をいくつかながめたけど、多くの研究は、集団ねぐらだけか、採食パッチだけのデータしかないらしい。室内実験ならともかく、野外で集団ねぐらと採食パッチ両方のデータを取るのは難しいらしい。追跡が困難だろうから無理もない。おかげで、間接的な証明や状況証拠的なものだらけ。今ならテレメトリー技術も進んでいるのだから、一度に大量の個体に発信器を付けて、数日間追跡すればもっとクリアな結果が出そうに思う。が、労力and/orお金がかかるので、なかなかできないんだろうな〜。と、思いつつ、すでにどこかで行われているのかも。もし、そんな研究例をご存じならお知らせを。


2006年11月17日 カメ君よいお年を

久しぶりにカミツキガメとワニガメに餌をあげた。もう寒くなってきたから、そろそろ食いが悪くなってるかも、と思ったら、カミツキガメは肉(たぶんイノシシ)をパクパク食べた。これなら大丈夫だろうとワニガメにも肉をあげた。ワニガメはシャイなので、目の前ではまず食べない。明日の朝見に行ったら肉がなくなっている予定。

さて、今日は餌を食べたけど、さすがに寒くなってきているので、もう来週は餌をあげなくてもよさそう。となると、次の餌やりは来春。来春と言っても1月ではなく、4月か5月頃。

そうとう早いけど、今日が餌やり納め。たぶん。少し暖かい場所に移したから、もしかしたら冬中ずっと餌を食べるかも…。


2006年11月16日 カメにふられる +難読地名14

イシガメを入手せよという指令を受けた。そろそろ寒いし、カメなんか捕れるもんか! と思いつつも、この夏にクサガメやイシガメが、大小合わせて20匹くらいゴロゴロいた場所を思い出した。撮影して、小さいのを1匹だけ捕まえてきたっけ(大きいカメを持って歩くのが嫌だった)。そこにもう一度行ってみた。

場所は、さりげなく三面張りの小さな川。その上、1m位の段差がいくつかあって、その段差と段差の間にカメがたまっていた。水はチョロチョロとしか流れておらず、たまった水の周囲をウロウロしていた。人が近づくと逃げるんやけど、逃げてもすぐにコンクリートの壁にはばまれる。おかげで簡単にてづかみできる状態。上流から流されてきて、上流に戻ろうとしつつ、ここにたまったのかな〜? という感じ。

さて、数ヶ月ぶりに同じ場所に到着。大量の水が流れている。カメの姿はまったくなし。あっさりカメにふられてしまった。昨日の雨で流れたのかな? でも、供給元の上流に行けば、カメがたくさんいるに違いない。もしかしたら、他にもカメがたまってる場所もあるかも。というわけで、上流に向かう。
足下からタシギやクサシギが飛び立って、なかなか楽しい。と思いながら進んでいくと、市街地の手前で川がなくなるノ。複数の水路に分かれてるらしい。一番水量が多く、山から流れてきてるような感じの水路をたどってみる。小さな池に到着。山から流れてきた水ではなかったらしい。そして、川にも水路にも池にもカメの姿はまったくなし。
あのカメ達は幻だったのか?? 少なくとも川の上流が供給元とは思えなかった。謎と徒労感だけが残った。悔しいので、山手のため池をいくつか見て回って帰ってきた。少しだけ成果があった。

さて、話はかわって、全国7122名の難読地名ファンのみなさま。今回は、奈良県斑鳩町。法隆寺を要する歴史の町だけあって、手強い地名があるかと思いきや、あんまりありません。無理矢理3つ選んでみました。

三井、五百井、興留

最初のは「みつい」ではないと聞けば読める。二つめも難読地名ファンには初歩的。最後だけ少し考えてもらいましょうって感じで。


2006年11月15日 果実の写真を撮る

なんでかわからないけど、樹木の赤い果実や黒い果実のコンテンツを担当ということになってるらしい。植物が専門ではないのに、不思議な話。
などと悩んでいても仕方がないので、とりあえずコンテンツに必要な果実の写真を撮ることにした。そうデジカメ君の初仕事。

ハナミズキ、ヤブサンザシ、クロガネモチ、モチノキ、ウメモドキ、ソヨゴ、サンシュユ。実を付けてる赤い果実は、ぜんぶ撮ったと思う。クスノキ、トウネズミモチ、ムクノキ、ハマヒサカキ。実を付けてる黒い果実はこんなもんか〜。ついでに、ナンキンハゼとセンダン。白い果実ってとこか。
問題は、今シーズンは果実が不作なこと。タラヨウは果実をつけてない。さらに問題は、メジャーな赤い果実をつける樹種が欠けていること。ピラカンサ、ナンテン、アオキすらないからな〜。ネズミモチやシャリンバイといった黒い果実も見あたらないしノ。

というわけで、メジャーな果実だけでなんとかするしかなさそう。ちなみにデジカメの使い心地は上々。離れていても撮れるし、マクロズームは便利だし。なにより強風が吹き荒れる中で、片手でシャッターを押しているのにぶれない手ぶれ補正のありがたさ。


2006年11月14日 アオサギを拾って下さい

今日、アオサギの本剥製を展示することが決定した。でも、アオサギの本剥製は持ってないので、作らないといけない。そんなわけでアオサギの死体が必要。先週からなんとなくそんな予感はしたけど、突然という感はいなめない。というわけで、冷凍してる鳥の死体のリストをながめる。アオサギはないノ。

アオサギの死体はけっこう簡単に手に入る。なんだかんだで個体数が多いし。防鳥ネットに絡んだり、テグスが絡んだり、なぜだかわからないけど池で死んでいたり。とにかく大きな鳥の割には、死体をよく入手する。そんなわけで、冷凍した死体がきっとあるだろうと高をくくっていたのだが、甘かった。大きい死体は、場所をとるから、優先的に剥いていたんだったノ。

じゃあ、その辺をウロウロしてたらアオサギの死体が落ちているかと言えば、そうは都合よくはいかなさそう。別に欲しくない時には、よく落ちてるんやけどノ。

そんなわけで、善意のみなさまの協力を仰ぐしかありません! アオサギの死体が落ちていたら、ぜひ拾って送ってください〜。よろしくお願いします。
欲を言えば、幼鳥よりは成長を。かなうことなら、羽根のあまり傷んでないのを。などと欲を言ってはいられない。なんでもいいからお願いします〜。

大切なことを付け加えておくと、欲しいのは死体だが、生きてる個体を殺したりしないように。それはたいてい鳥獣保護法違反。
それから、水を抜いた池にサギの死体が落ちていても、回収には充分な注意を。歩いていけそうに見えて、足がズブズブ沈んで帰ってこられなくなる恐れがある。以前、池にサギの死体がいくつも落ちていて、拾いに行こうとして沈みかけたことがある。危ない危ない。

狙い目は、ため池や海岸。いざ、アオサギを拾いに水辺へ行こう!


2006年11月12日 レパートリーが増えない

今日は、朝一番で3度目のギグ。演目は、秋をテーマに子ども向けにということで、「とんぼのめがね」「おどるポンポコリン」「真っ赤な秋」のメドレー。一つ一つは簡単な曲なので、ややこしいつなげ方を覚えるだけ。と、思ってか思わなくてか、あんまり練習をしていない。その上、メロディーライン担当が3人だけで、そのうち一人はぶっつけ本番。けっこうドキドキしてたけど、まあ直前のリハよりははるかにいい出来だったのではないかとノ。

この前のギグは、7月終わりで、「おじい自慢のオリオンビール」、「365歩のマーチ」の替え歌、「手のひらを太陽に」の替え歌。最初のギグは、3月半ばで「アイラーチンドン」「さんぽ」「365歩のマーチ」の替え歌。
活動を初めて約1年。3回のギグをこなし。レパートリーも8曲に増えた。かと思いきや、さっぱり増えない。

アンコールがあったらいけないからと、以前の曲をやってみることになる。みんな昔やった曲が演奏できるらしい。楽しそうに演奏するメンバーの中で、一人おいてきぼり。ほとんど思い出さない。メロディーは覚えているけど、楽譜も指の動きも抜けている。もう一度練習しないと演奏できそうにない! それぞれのギグの直前には、ほぼ暗譜して、かなり上の空でもだいたい勝手に指が動くのに〜。

察するところ、テスト勉強の一夜漬けのように、短期記憶的に処理して、演奏をこなしてるんじゃないかと思う。何度も練習して指の動きを身につけてるはずなのに、短期記憶的というのもおかしな気がするのだがノ。とにかく他の人とは違う。いつまでたってもレパートリーが増えない。


2006年11月11日 デジカメを買った

2年前にデジカメをもらった。400万画素しかないけど、小さいのでけっこうお気に入り。あちこちに持っていって気が向いたら撮影してきた。とはいえ、所詮、記録写真が欲しい時に撮影しているに過ぎないらしい。あと、デジタルコンテンツ用に撮影してみたりもする。スーパーマクロと称するのが付いていて、けっこう小さい物も撮れるのはいいんだけれど、光学3倍までしかズームがきかない。鳥が撮れない。3倍で撮影して、大きくしてみると確実にぶれている。手ぶれ補正も付いてないから…。

というわけで、一念発起。ついにデジカメを買った。高価なのを買ってもネコに小判なので、色々おまけ付きで4万円弱のにした。だいたい一眼レフのは大きい。大きいカメラを持って歩くのは面倒。フィールドに持っていかないなら意味がない。小さくて軽い方を重視することにした。
600万画素で、光学12倍ズーム、手ぶれ補正付き。これなら鳥が撮影できるはず。少なくとも双眼鏡で見える程度には撮れるはず。

早速、どこかに鳥を見に行きたいけど、しばらく出かけられない…。近所で撮影してみるか?


2006年11月10日 松山で待ってます

来年の3月に四国愛媛は松山においで、と電話で誘われた。うーん、行きたいけど。行くつもりでも、忙しくてドタキャンする恐れがあるので即答をさける。
その上、このお誘いには宿題がついてくるし。と、迷う事数時間。さらなるお誘いのメール。なかなか楽しそう。今後の事も色々話をしたいらしい。

考えてみれば、いろんな事に忙しくて、いつもこの部分は後回しになる。こんな大事な事をいつも後回しではいけない。と心を入れ替えて、この機会に乗じて、がんばってみることにする。

ここで、問題。さて何の話でしょう? なんか恋愛問題っぽいよな〜。


2006年11月9日 今日の朝の出来事

コップを渡される。中身を入れて返したのに、すぐに捨てられる。
眼鏡をはずしてのぞき込む。ほとんど何にも見えない。眼鏡をかけてみる。けっこう見える。今日は勘も冴えていた。
冷たい鉄の棒を握る。面倒なので、適当に握るだけ。
台の上に乗る。史上最高値に愕然とする。少し減らそう。
腕を締め付けられる。数字があがっていく、痛い痛い、と思ったら空気が抜ける。こちらは史上最低値に近い。
新品の針先の切れ味は、すばらしい。自分でもできそうな気がする。この針ならホルマリン注射も楽だろうな〜。捨てたのをもらって帰りたいと思う。
ヘッドホンをして手を挙げる。相手が間違ったのにもちゃんと反応してあげる。
服を脱いで機械を抱く。変な格好。
吸盤を付けてベッドに寝る。寝そうになる。
ズボン一丁になって、おじさんにいじめられる。夜に喉が渇くのは糖尿病の可能性があるらしい。

とはいえ、大部分の時間は椅子に座って待ち行列の中にいた。日頃列に並ぶことなどほとんどない生活なので、物珍しい。いろんな場所での待ち行列が長くなったり短くなったり。待ち行列が長くなると、別の列の方に振り分けられる。言われるままに言われた列に並ぶ。自分が何をするか考えなくていいのは楽なのかも。命令に従っていたら、10人くらいをゴボウ抜きにしたらしい。
この場合、途中のプロセスで意志決定の自由はない。結果は、最初列に並ぶ順番だけが決めると言っていいだろう。このブラックボックスに入って出てくるまでの時間を最短にする最適戦略は、言うまでもなく列の先頭に並ぶ事。では、列の先頭集団をはずした時の最適な戦略は? 最初の待ち行列から判断できるのかな〜? 暇なので、そんな事を考えたり。
今度から本でも持ってこよう。


2006年11月8日 明日は健康診断

健康診断の前日は、午後8時以降飯を喰ってはいけないらしい。今日、健康診断に行こうと思っていたのだけど、昨晩、午後10時過ぎまで居酒屋に行ってしまったので、今日の健康診断は断念。明日行く事にする。
そんなに真面目に絶食しなくても良さそうに思うけど。以前、朝に牛乳を飲んで行ったら、空腹時血糖値に★印が付いてショックだった(★は異常の印)。それ以降、ちゃんと絶食してから健康診断を受ける事にしてる。おかげで、以降は空腹時血糖値に★印は付いていない。
周囲には★が10個以上付いても平気な強者もいるけど、気の弱いこちとらは、★1つでもドキドキするんだな。

午後8時までに食事を済ませないといけないので、今日の仕事は早じまい。早く帰って、早く飯喰って、さっさと寝る事にしよう。とは思うが、そんなに早く飯喰ったら、夜中に腹が減りそう。いつもより4時間ほど早い晩飯だし…。


2006年11月7日 シイの実拾いとシジミ掘り

今日は奈良へ食材集めの旅に出かけた。週末の行事で味見するのが目的。5人連れ。

とりあえずシイの実を拾いに橿原市のお目当ての場所へ。すぐにシイの実が落ちているのに出会う。しゃがみ込んで、熱心に拾う。5匹のサルのよう。コジイの実だそうで、ずんぐりした少しゆがんた実。シマシマが入っているので、ちょっと可愛い。一緒にシラカシも落ちているが見分けるのは簡単。シマシマと思いながら拾う。ところが一緒に行ったイタ藻(仮名)は、最初のうち大量のシラカシのドングリも混ぜていた。後で見たところコンタミ率は10%にも上ろうかという勢い。これは指導教官にチクっておく必要があるだろう。
少し進んだら今度はスダジイがたくさん落ちていた。またもや5匹のサルは熱心に拾いだす。コジイと違って細長くて、シマはない。でも、少しゆがんだ形をしてるのは一緒。落ち葉をかき分けると、綺麗なシイの実がたくさん見つかって楽しい。
寒いのを忘れて拾い続け、ふと気付くと1時間が過ぎていた。風が強かったけど、それが幸いして、新しいシイの実がどんどん落ちてきていた。シイの実拾いは風の日に限る。

シイの実の大収穫に満足して、今度はシジミを求めて桜井市へ。桜井市の水路にはたいていシジミがいる。数年前までマシジミだらけだったはずが、昨年辺りから急速にタイワンシジミが侵入している。
以前、観察会でシジミを採っていて、水が濁る!と怒られた水路へ行く。あの恐いおじさんはいない。でも、シジミもいない。代わりにドブガイが見つかって収穫があったけど、今日目的の収穫ではないノ。というわけで、場所を変える。
以前、この溝でシジミを採ったな〜、という場所を見てみる。シジミがいるぞ! というわけで、5匹のサルは、今度はシジミ掘りに熱中し始める。溝の中の砂を道にあげて、混ざっているシジミから大きめのを採る。小さいのは逃がす。あんまり大きいのはいないな〜、と思っていたら、1匹のサルが、大きいのは溝の端っこの深いところにいることを発見。端っこ狙いで、けっこうな収穫を得る。気付くとまた1時間ほど経っている。
この勢いでもう少し採るぞ! と、以前、シジミを採集してシジミ汁にして喰った某観光地近くの川へ行く。溝と違って石がゴロゴロしていて採集しにくい。その上、死に殻ばっかり。早々に諦める。
もう少し採集したいな〜。というわけで、帰りがけに当麻町に立ち寄る。ここも観察会でけっこう採集したっけ。と、思ったら溝が掃除されていて、道に上げられた砂の中にシジミがたくさん! でも死んでる? 仕方がないので、砂の少なくなった溝の中をさらってみる。まだまだシジミがたくさん! 最初の場所よりはるかにシジミの密度は高い。15分ほどで、さっきの倍近くとれた。その上、見たところ全部タイワンシジミらしい。あんまり増えて欲しくない移入種なので、たくさん採ってもあまり良心の呵責がない。

シイの実は拾いながら味見した。うまい。煎ったらもっとうまくなりそう。シジミは帰ってきてから炒めて味見した。小さいシジミだけを味見したけど、まあまあうまい。採ったシジミはほとんどタイワンシジミだったらしい。マシジミとタイワンシジミの味の比較をしようと思ったのに、それができなくて残念。


2006年11月6日 本をもらった『動物考古学の手引き』

本をもらった。もらったのは3日前。うっかり放ってあったけど、本をもらったらココで紹介して、どんどん色んな人から本がもらえる、という流れを作るつもりなのを忘れていた。というわけで、いたってせこい理由でもらった本を紹介。

はじめにを読むと、この本(というか冊子?)は、『環境考古学 No.1〜7』としてこの5年間に出版したものの合冊本なんだそうな。中身は、遺跡から出てくる哺乳類、鳥類、魚類、人のホネの線画が並びまくっている。大多数の人には何の興味もないか、むしろ気持ちの悪いものだが。ホネホネ好きにとっては、垂涎の的かと思う。ちなみに目次はこんな感じ。

第1章 微細遺物採集法
第2章 中・小型哺乳類骨格図譜(ニホンザル、イヌ、カワウソ、キツネ、タヌキ、アナグマ、テン、イタチ、ノウサギ、ムササビ)
第3章 大型哺乳類骨格図譜(ツキノワグマ、カモシカ、ニホンジカ、イノシシ)
第4章 牛馬骨格図譜(ウシ、ウマ)
第5章 鳥類骨格図譜(8科11属12種)
第6章 魚類骨格図譜(37科49種)
第7章 人骨図譜(ヒト)

小型哺乳類がないし、鳥類の種類は足らないし、両生爬虫類も欲しかった〜。などなど不足を言えばキリがない。でも、これだけ並んでいるだけでも他に類書がない。そして、未熟な我々にはとっても勉強になる。
ただ大きな問題があって、この本、というか冊子は非売品。この紹介を見て欲しくなった人は、どうしたらいいんだろう? とりあえず大学とか博物館で見せてもらうしかないかも。と書いたら、博物館や大学にも配ってないことが判明! が、ここで極秘情報。来年か再来年に京都大学学術出版会から、増補版を出版予定らしい(関係者談)。欲しい人は、もうしばらく待つべし。


2006年11月5日 草の名前を調べる +難読地名13

多田銀山へ行った。もちろん鉱物採集が目的。しかし、鉱物が採集できるのは、限られたスポットだけ。大部分の道程は、ムカゴを採集したり、ヘビを探したりしていた。ようやく採集ポイントに到着。最初はそれなりに鉱物を探す。が、すぐに飽きる。飽きたら周辺をウロウロして、面白いものがないか探す。

とある水辺に、草が生えていた。この辺りの多くの木の名前はわかる。一方で、大部分の草の名前はわからない。種名がわからなくても、グループがだいたいわかれば、あとはそんなに気にしない。でも、この草はちょっと気になった。そもそも水辺の植物は、近頃薄ーくマイブームなので、名前を知りたかったりする。その上、この草は花や実はないものの葉っぱがとても特徴的な形をしている。なんという名前だろう? あいにく植物のわかる奴を携帯していなかったので、少し採集して持ち帰る事にする。
持って帰ってきたものの、あいにく植物のわかる奴の在庫がなかった。とっても特徴的な葉っぱなので、図鑑をパラパラとめくれば絵合わせで、だいたいわかるんじゃないかと、大胆なことを思いつく。
『フィールド版 日本の野生植物 草本』(平凡社)をひっぱり出して、後ろから図版を見ていく。合弁花類クリア、該当種は見あたらず。離弁花類クリア、該当種なし。まさかね〜、と思いつつ、単子葉類に突入。見つからず。見逃したのか、フォローされてない葉の多型なのか。かかった時間は、約20分。もう一度全部見直す気力がないので、断念。やはり餅は餅屋。植物屋に尋ねることにする。

それにしても、植物は種が多すぎ! かなりわかってないと、図鑑で絵合わせもできない。その点、両生爬虫類はええな〜。哺乳類もええな〜。鳥類だって、もう少しまし。地域別、環境別、季節別の植物図鑑のニーズがある理由が少しわかった気がする。

さて、話はかわって、全国7121名の難読地名ファンのみなさま。ご無沙汰しています。今回は、兵庫県猪名川町。ここは、なかなか手強い地名があります。とりあえず、5つ選んでみました。

差組、木間生、槻並、柏梨田、紫合

最初のは何とか読めるかも。あとは知らないと無理では? 最後のにいたっては、どうしてそんな読み方ができるのかよくわかりません。


2006年11月4日 山からヤマガラが下りてくる

秋になって、平地の公園でヤマガラをよく見かけるようになった。きっとこのまま冬中見られそうな感じ。秋口にはしばしば平地でヤマガラが見られたりするけど、秋から冬にかけて平地に滞在するのは毎年ってわけではない。で、この冬は平地でのヤマガラが豊作の予感。
近所だけでも、長居公園、大泉緑地、にさんざい古墳などなど。あちこちの多少なりとまとまった緑のある場所では普通に見られる。これって大阪あるいは関西だけの傾向かと思ったらそうでもないらしい。
関東、少なくとも茨城県や千葉県でもこの秋は平地でヤマガラをよく見かけるという事が、某メーリングリストに流れていた。

渡り鳥であるツグミなんかの渡来数の多少は、より南まで渡ったかどうか、などといった要因もあるだろうけど。ヤマガラはほとんど渡らない。平地にやってくる個体の供給源は山だけ。ということで、山からたくさん下りてくる年とそうではない年があるってことになる。この場合、
◆今年の繁殖成績がとっても高くって、山がヤマガラだらけになったから、一部が平地に降りてきてる。
◆この秋から冬にかけて、山では過ごしにくいので、ヤマガラが大挙して平地に降りてきてる。
の2通りがあり得るような。

この違いは、山のヤマガラが例年より多いか少ないかで区別できるの。山のヤマガラの個体数を毎年数えていたら、議論できたのに。と、大阪周辺の山地の鳥のセンサス調査を、数年で挫折したことをうっすらと反省。

ところで、長居公園に関する限り、秋〜冬にヤマガラが滞在した年度は、1994年度、1996年度、1998年度、1999年度、2000年度、2002年度、2004年度。そしてたぶん2006年度も、1999年度以外は隔年だったりする。そして、これはうっすらと果実の豊凶と関係がありそうな気もする。


2006年11月3日 和歌山のカワウソの話

和歌山の紀ノ川の支流で、随分昔に変わった動物を見たという話を聞いた。

イタチのような細長い動物が、川辺に親子連れでいた。親が潜ってはなにかを採っているらしい。子どもも水の中に入って潜ったりしていた。
時は、戦後すぐ、昭和28年よりちょっと前くらい。場所は、正確な場所は今ひとつはっきりしないが、貴志川(川の名前の方)らしい。

行動からすれば、とってもカワウソっぽい。イタチがそんなに水に潜りまくるとは思えない。とはいえ、戦後すぐの段階でカワウソはすでに希少な動物だったはず。はたして、本当に1950年前後に紀ノ川水系にカワウソがいたのだろうか?
とわざとらしく自問して自答しておく。実は、1955年の時点で、友ヶ島でカワウソの足跡を確認したという報告がある。大阪のとある自然史系博物館の当時の館長が報告してるのだから、まんざら嘘でもあるまい。友ヶ島と言えば、紀ノ川河口のすぐ沖合にある島。という点から考えると、当時紀ノ川水系にまだカワウソが生息していてもさほどおかしくはなさそう。

さて、当時は、カワウソを見た辺りで、カワネズミもよく見たらしい。話の雰囲気からすると、渓流って環境でもなさそう。当時は、中流域にもカワネズミがいたってことかね〜。


2006年11月2日 職業体験3日目:えー、もう終わり?

3日間の職業体験も今日でおしまい。そして、今日も朝9時から午後5時までフルに働かせた気がする。まあ、休憩は入れているものの、作業の都合で変な時間ばかり。最初から最後まで働かせすぎた。
職業体験なので、謝礼はでないのだけど、充分にバイト料を出せるくらいの内容で働いてくれたと思う。中学生にアルバイトをさせるわけにはいかないだろうけど、もう少し大きくなってバイトがしたくなれば、喜んで雇いたい勢い。

という話を他の人にしたら、職業体験の生徒を受け入れて苦労した話ばかり聞かされる。どうやら、この3日間の職業体験は、とっても希有な事例らしい。
こんな希有な事例を増やすには、
・生徒がその仕事に本当に興味を持っていること
・生徒がその仕事の本当の姿をある程度知っていること
が、重要かなと思う。
あとは、知ってる相手ならやりやすいよね〜、ってことか。


2006年11月1日 職業体験2日目:先生来襲

朝、部屋に着いたら、すでに彼女の姿が…。出遅れた。そんなわけで、職業体験2日目スタート。
仕事をはじめてすぐ、先生が様子を見にやってきた。一人でやってきた。なんか色々言われるのかと思いきや、とりたてて会話もなく、作業してるのを少し見て、記録写真を撮って帰っていった。わずかな会話から判断する限り、心配してるのは生徒が迷惑をかけていないかどうからしい。やはり苦労しているようだ。

中学2年生約240人を、この3日間あちこちに職業体験に行かせているらしい。1箇所に数人ずつ行かせるのが普通らしいが、生徒の行き先は50箇所以上あるはず。それを限られた先生が手分けして回るとしたら、1箇所にそんなに長く滞在できない道理。

そんなこんなで、職業体験2日目も無事に終了。優秀な助手付きでいろんな仕事ができる。おかげで、日頃面倒に思って後回しにしていた作業がはかどるはかどる。こんな職業体験なら、頻繁に来てもらってもいいように思う。
ただ、気になるのは、日頃はあまりしていない作業を手伝ってもらっていること。非日常的な作業ばかりというのは、職業体験としては、いかがなものか?


2006年10月31日 職場体験

今日から3日間の職場体験。といっても、どこかに行って体験させてもらうのではなく、体験しにくる生徒を受け入れる側。一人だけだし、色んな活動を通じてよく知ってる相手なので、とっても気楽。ただ、改めて体験しなくても知っていそうな気がするんだけど…。

さて、職場体験を受け入れるのは初めて、どうも学校によって手続きは違ってるらしい。まずは、7月に本人から職場体験に行きたいと言われた。OKと答えてみる。すると8月に担任の先生が二人で挨拶に来られる。その時に受け入れる条件などを確認する用紙をもらい、後日FAXを送る。10月になって、本人が申込書みたいなのを持って来る。そして、今日から職場体験。
とにかく生徒全員をどこかに体験に行かせなくてはならないので、先生は大変そう。うちのように生徒が自分で決めてきてくれるならいいけど、近所の商店街を頼んで歩いているらしい。迷惑をかけて、翌年から断られるケースもあるとか。苦労ぶりがしのばれるのが、申込書と一緒に持ってきてくれる注意書き。
始業時間に生徒が来なかったら学校にご連絡ください。生徒が勝手にどこかに行ってしまったら学校にご連絡ください。生徒がいうことを聞かなかったら学校にご連絡ください。生徒が何かを壊したらご連絡ください。etc.。先生は大変だ〜。

授業の一環なので、おやつなどは与えないで下さい。とも書いてあった。休憩時間にお菓子を食べる職場だったら、どうするんだろう? 3日の間に先生が様子を見に来るらしい。先生も忙しいでしょう。来なくていいですよ〜。下手に来られたら緊張するし。


2006年10月30日 不思議な光景を二つ

自転車で堺市北東部を走り回った。不思議なものを見た。

水を抜いた池の真ん中辺りを白い鳥が歩き回っている。ちょっと遠くてよくわからないけど、白っぽいというより、真っ白。なんじゃあれは? セキレイ類にしては白すぎるし、チドリ類にしても白すぎるし。アジサシ類? いやいやアジサシ類は、あんなにウロウロしない。
近づいて双眼鏡をのぞいて正体がほぼ判明。真っ白なセキレイだった。白化個体ってことらしい。そういえば二年ほど前にも、この辺りでセキレイの白化個体を見たことがある。たしかあの時はハクセキレイの白化個体だった(鳴き声で判断したはず)。今日のは、鳴かないので種類がいまいちわからない。でも、セグロセキレイと一緒なので、きっとセグロセキレイなんだろう。
ってことは、二年ほど前に見たのとは別個体ってことに。この辺りは白いセキレイ類が生まれやすいってことか?

とある大きな都市公園。林床でハシブトガラスがなにかを拾っては食べている。そこにネコがやってきた。すたすたとカラスに近づく。おおっ! カラスを襲うのかー。と思ったら、カラスから1mほどのところをすたすたと通りすぎていった。両者共に互いを完全に無視。
カラスとネコといえば、都市公園の食物網の最上位に君臨しているといっていいと思う。その両者の間には、不可侵という暗黙の了解がある。のかもと思った。


2006年10月29日 調査テーマに悩んでいる大学生Iさんへ

大学では難しい課題が出されるもんだ。10月後半になって、なんでもいいから調べてきて、12月に発表しろ。などといったお達しがあったりするらしい。野外で鳥を調べてみたいなどと思った
某大学生に何をしたらいいでしょう〜、と尋ねられた。突然尋ねられても困るんだけど、とりあえずいい加減に答えてみた。

それはさておき、今日は数人でこんな演習問題に取り組んだ。
「11月一月だけ、週1日だけの調査でできる鳥の調査テーマを考えよ」
まるで誰かさんを助けるための演習問題。三人寄れば文殊の知恵。さすがにいろんなアイデアが出てくる。その大部分に、偉そうにダメ出しをしたわけだが、ダメ出ししつつも使えそうな展開を思いつく。他の人のアイデアを勝手にばらすわけにはいかないが、そこから思いついたアイデアなら紹介してもいいだろう。

★「ドバトとキジバトの逃走距離」:逃走距離とは、人間が近づいて行った時に、動物が逃げだす距離のこと。鳥の場合なら、飛び立つ距離を測るのが普通。これをドバトとキジバトで比較する。結果は知ってるけど教えない。いろんな群れサイズで試すとさらにグー。
★「ドバトorキジバトの好きな食べ物調べ」:基本的には2種類の餌を与えて、どっちを(orどっちから)食べるかを調べるだけ。いろんなパターンを試したら楽しいかも。そういえば、果肉のついたクスノキ果実と、果肉を除去したクスノキ種子の2者選択をやってみたいと思ってたっけ。
★「ドバトの羽衣の色の頻度分布」:ドバトの色・模様をいくつかのタイプに分けて数えるだけ。都心と周辺部、大きい公園と小さい公園、カラスの多い場所と少ない場所、給餌の多い場所と少ない場所、いろんな比較をしたらおもしろいかも。『カラスがハトを黒くする?』などという本もあったくらいで。

ハトは小ネタを考えるのにけっこう適してるようで、なぜかハトに人気が集中して盛り上がった。他にもいくつかアイデアが出ていた。
>Iさん、役に立ったかな??


2006年10月28日 ルイスと言えば

ルイスといえば、とりあえずルイス・キャロルを思い浮かべた。次に、C・S・ルイス。それでおしまい。ジョージ・ルイスって誰? とまあ、最初は冷たいリアクション。ルイスハンミョウやルイスジンガサハムシのあのルイスと聞いて、ようやく興味を覚える。

19世紀に日本にやってきて、日本各地で甲虫を中心に昆虫を採集してまわった人らしい。その標本が並んでいるというので見に行ってみた。1881年だかに採集された甲虫がたくさん並んでいた。125年も前の標本なのに、昨日採集したかのように美しい。ちゃんと保存したら、こんなに長持ちするとはと感心する。昨日、近所で採集して、ラベルだけ付け替えてみました。と言われても信じそう。
採集地をながめると、日光や中尊寺ばかり。ならんでいる甲虫は、イタドリハムシにマメコガネなど、ド素人目にもわかる普通種も多い。お気に入りの採集地で、手当たり次第に一通りの甲虫を採集したって感じか。

きちんと保存されて、120年後にもちゃんと見てもらえるなら、がんばって標本を作る甲斐があるな〜。今作っている鳥の仮剥製や、哺乳類のホネや皮も100年以上経った後も、ちゃんと残ってるといいなー。


2006年10月27日 永久凍土に埋もれていたもの

5年半ものの永久凍土を発掘する機会を得た。さまざまなものが発見された。その多くは埋まっていることを知っていたのだが、驚きの発見もいくつかあった。ざっと、発掘されたものをリストアップしておこう。

・キノコ:これまたキノコ的には膨大な量が発掘された。みんな忘れられた存在だったらしい。
・ヨモギの乾燥した葉っぱ:発掘されて喜ばしい。
・新聞紙にはさまれた葉っぱ:これも忘れられてたもよう。
・スズメバチの巣:けっこうでっかいのがいくつも出てきた。
・ガの幼虫:バラバラ、バラバラ、けっこう出てくる。
・魚:ピラルク、アリゲーターガーなどの大物も。
・カメ:剥製もあれば、生身もあった。生のアカウミガメやワニガメが出てきたのには驚いた。
・ワニ:メガネカイマン、ヨウスコウワニなどなど、思いのほか多い。
・ヘビ:でっかいボアがでてきた。でっかいシロマダラも出てきた。シロマダラとしてはでっかいってだけで、ボアよりはかなり小さい。
・鳥:アホウドリ類があまりに多いのに驚いた。ペンギンもたくさんいるし…。
・哺乳類:すごいいっぱいあった。とくにタヌキは大量にある。あと、キリンの皮があんなにあったとは…。ヤマネを発見したのが一番の収穫!
・その他:各種の肉が多数発掘された。当分カメの餌には不足しないと思われる。

発掘した物の大部分は、再び埋め戻しておいた。下手に発掘したりするよりも、埋もれさせておいた方が保存にはいいのである。というのは、考古学での話? こんなことを言っていては怒られるので、どんどん処理を進めて、再び永久凍土化するのを避けたい。と、心に誓いつつも、今日はもう疲れたので、それは明日以降の取り組みってことで。


2006年10月26日 時計を忘れて池へいこう

毎月、自転車で近所のため池を巡って、水鳥の数を数えている。さわやかな秋の日に自転車でウロウロするのは楽しい。と、機嫌良く最初の池に到着して気付いた。時計がない。

実は、今月初めに時計が壊れた。動いてはいるらしい。でも、デジタル表示で分と秒の表示はでるのに、時間がでない。それでは時計とは言い難い。というわけで、早々に見切りをつけて、新しいのを買うことに決定してから、はや3週間ほど。まだ買ってない。
携帯電話も持っていないので、時間を一切身につけていないことになる。でも、さほど不自由ではない。日常生活では、どこにでも時計がある。山に行く時も、連れがいれば連れに聞けばいい。時計なんかなくっても全然へっちゃら。と、思っていたのがいけなかった。一人でフィールドに出ることを想定してなかった。

さて、そんなわけで、時計を忘れて一人でフィールドに出てきてしまった。しかし、幸いにも今日調査する池は、市街地の中に点在している。探せば時計くらいは見つかるだろう! というわけで、最初の池では隣接する公民館の中の時計を確認して、調査をスタート。
基本的には調査する池ごとに、調査時間を記録することにしていた。まあ、厳密な時間がいるわけではないけど、だいたいの時間帯は記録しておきたい。というわけで、時計を探してキョロキョロしながら進む。
学校は、校庭側に必ず時計がある。工場にもけっこう目立つ場所に時計がある。コンビニものぞけば時計が見える。おおくの店舗や事務所も、外から見える場所にけっこう時計がかかっている。おかげで、時間を確認するのにさほど大きな不自由はない。問題は、時計を探す分、調査に時間がかかることノ。

とはいうものの、そろそろ一人で山にも行かないといけなくなりそう。時計を買わなくては〜。

【追記】
と、書いてから、ふと解雇したデジタル時計を見たら、なんと復活していた。3週間ほど休暇が欲しかっただけらしい。


2006年10月25日 標識鳥のリカバリー

バンダーという人種にとって、一番嬉しいのはリカバリーである。と言っても過言ではないと思うが、多くの人には何の事やらわかるまい。
つまり、バンダーというのは野鳥を捕まえて足輪を付けて放すのだが、自分が付けた足輪が別の場所で確認されることをリカバリーというのである。
そもそも標識した鳥が、もう一度見つかる可能性はかなり低く、昔の消費税よりも1桁小さいんじゃないかという勢いである。したがって、100羽やそこら標識したからといって、1羽でもリカバーされるとは期待していない。自分の場合、万が一のリカバリーを楽しみにしつつも、むしろ捕獲時の計測値が欲しくて、標識しているといっても過言ではない。

さて、鳥研から封筒が送られてきたので、なにげなく開けてみた。例によって、手続き関係の書類が入っている。といっても多くの人には何の事やらわかるまい。
つまり、バンダーというのは、毎年捕獲許可を申請しないといけなくって。山階鳥類研究所(通称、鳥研)がまとめて申請してくれるのだが、各自でそれなりに書類を埋めなくてはならなくって、毎年今頃に申請関係の書類が送られてくるのである。
そうした通常の書類と一緒に、なにやら見慣れぬクリップ止めされた書類がでてきた。表題に「標識回収記録の送付について」とある。やったー。年間にたいした数を標識していない不良バンダーのもとに、このお知らせがやってくるのは極めて珍しい。ドキドキしながら、中身を見る。

●種名:キジバト
・放鳥:2004年12月28日 大阪市東住吉区長居公園
・回収:2005年9月24日 大阪市東住吉区鷹合

しょぼーん。期待したのに、1kmも離れてない…。
ふと見ると、もう一つ鳥研からの封筒が未開封のままなのに気付く。ついでなので開いてみる。鳥獣捕獲許可証であった。今まで未開封でも問題がなかったことからも、いかに不良バンダーかわかろうというもの。
すると、なーんとまたもや「標識回収記録の送付について」が入っている。今度は期待せずに開いてみる。

●種名:ヒヨドリ
・放鳥:2004年12月28日 大阪市東住吉区長居公園
・回収:2005年1月17日 和歌山県那賀郡那賀町北湧

やったー。年をまたいで3週間程度の間のヒヨドリの移動で、その距離約40km。こうした和歌山へのヒヨドリの移動の記録としては3例目!
いやー、やっぱりリカバリーっていいもんですね。それでは、また。


2006年10月24日 ◆果実が熟すタイミング

鳥が果実を食べ尽くすタイミングを、都市公園で調べている。秋冬ものの多くの果実は、10月に入ると熟し始める。一応、完全な未熟から完熟までを5段階に分けて数えたりしてるのだが、ちょうど今頃が一番数えるのが面倒。未熟から完熟までの各段階が出揃うので。
クロガネモチはすでに大部分熟してる。が、クスノキはまだまだ、まーったく果実が熟していない個体も多い。そんな中に、チラホラと、完全未熟と完熟が半々の個体が混じっている感じ。こうした個体ごとの熟し具合が違っている状況は、果実が熟すタイミングの進化を考えるいい材料になるに違いない。などという妄想が頭に浮かぶ。

クスノキの果実の色は、たぶん果実食の鳥へのシグナルだろう。中身の種子の成長具合や、果肉の成熟を正直に示しているとは限らないかもしれないが、ここはとりあえずクスノキは正直者と仮定しよう。とはいえ、その気になれば、クスノキはこの時期にすべての果実を完熟にもできると仮定しよう。もちろん果実食の鳥には、完熟の果実だけを食べてもらおう。
果実が熟した後、しばらくしたらひからびたり、落下してしまったりする果実もある。でも、クスノキの果実なら、鳥に食べられなければ春先まで枝の上で、ひからびずに待機できる。と設定していいだろう。
とまあ、そんな仮定と設定で、クスノキの果実が早く熟す場合と、遅く熟す場合を比べる。早いと遅いは、10月半ばと、11月半ばに対応させてみよう。

まずは種子散布者との関係。場所を大阪と設定するなら、10月半ばに熟したら、渡りの途中に立ち寄るヒタキ類やツグミ類に食べてもらえる。定住個体よりは、長距離の種子散布を期待できるかも。長距離散布の場合、動く方向は西から南より。
11月半ばに熟したら、渡りの大きな波は過ぎているので、食べるのは留鳥か冬鳥。いずれにしても、渡りの途中よりは定住性が強くなりそう。
でも、実際には早く熟す個体でも、遅く熟す個体でも、果実が食べ尽くされるタイミングにそんなに大きな違いはなかったりする。普通は食べ残されるってこともないし。果実食の鳥の消化管内に種子が滞留する時間は、一般的に短い。したがって、渡りの途中の個体に食べられても、定住個体に食べられても、種子が散布される距離に大差はないようにも思う。

もう一方の関係者は、種子捕食者。樹上にある場合、どの程度種子捕食者の影響を受けているのかはよくわからない。未熟な果肉はそれなりに防御物質を持っているとも考えられる。が、熟した果実との差は定かではない。少なくとも鳥の種子捕食者の代表選手であるキジバトの場合、未熟でも完熟でも果肉がついてクスノキの果実は食べない。
もう一つの種子捕食者の影響は、種子散布後。昆虫や菌類など地表に生息する種子捕食者の活動は10月の方が活発そう。ではあるが、それが種子にどの程度のダメージを与えるかは謎。一方、キジバトは、秋から冬にかけて、大量のクスノキ種子を食べている。その補食圧は秋から冬の間中ずっとかかることになる。
少なくともキジバトという種子捕食者に関して言えば、クスノキは木の上で果実をできるだけ長く待機させて、地上に落ちたままでいる時間を短くした方が、発芽できるチャンスは増えそうに思う。

まあ、都市公園という人為的な環境での観察だし。植えてあるクスノキ自体には、果実の塾期についての淘汰圧がかかっているとはいいがたい。けど、まあ一つの実験系としてみれば、あとは早く熟す個体と、遅く熟す個体の種子に標識でもして、春先に地上で生き残っている種子の数or割合の差でも検出したらよさそう。問題は種子への標識の仕方かな〜?

なんて妄想を考えてないで、もっと現実味のある、そしてできれば業績のあるテーマについて、研究計画を書かないといけないんだけど、ついつい転位行動に走ってしまう今日この頃。


2006年10月23日 また余り物をいただく

先週に引き続き、昨日もワークショップで余ったという魚をもらう。今回は、レンコダイ。赤くて綺麗。今回はアラではなく、1匹丸ごと。鱗をとって、内臓をとって、塩焼きにして喰った。うまかった。
鱗は思いの外硬くて、安物の包丁での鱗取りはけっこう手間取った。力任せにやったので、手間取った上に飛び散った。体のあちこちに鱗がついていたらしい。気付くと部屋のあちこちに鱗が落ちている。

落ちてる鱗を拾って捨てる。ふと、鱗を改めて見てみる。部位にもよるけど、大きな鱗には規則的な不思議な模様があってなかなか綺麗。
魚の鱗をコレクションしたら、楽しいかも。ほんでもって、「鱗の学校」という本(イラストと文章で)とか、「うろこのコレクション」という写真絵本を作ったり。あんまり売れそうにないか。

レンコダイのタイも見つけた。このコレクションは定番。耳石も見てみようと思ったけど、やっぱりどこにあるのかよくわからず…。


2006年10月22日 小小鳥祭り

そんなわけで、今日は小小鳥祭り。朝から準備した小小鳥の皮を剥く。参加者は6名。剥いたのは、持ち込みも含めて、全部で15羽。初心者は2羽剥いたら疲れて、3羽目は挫折するらしい。3羽剥いたのは団長だけ。そんな中、一人で6羽も剥いた。MVPと呼んでも過言ではないだろう。

小小鳥祭りの名はだてではなく、6羽剥いた鳥は全部、ガイドナンバーが1の種類ばかり(バンダーにしかわからんか…)。体重も、キビタキとウグイスが12g台なの以外は、すべて10g未満。
6羽も剥いてるとさすがに上達するようで、最初は1羽剥くのに1時間かかっていたのが、最後は30分で剥けてしまった。もちろん鳥の状態にもよるのだが。

15羽も小小鳥が並んでいるとなかなか楽しい。一方で、6人が一日かけても、冷凍庫が少ししか広くならないという事実には愕然ともする。体積はタヌキ1匹よりも少ない…。


2006年10月21日 小小鳥祭り前夜

スズメ目の鶏の中で、カラスのようなでっかいのを除いた残りを小鳥と呼ぶ。と勝手に定義しても、たぶんあんまり異論は出ないと思う。こう定義すると、ヒヨドリ、ツグミ、ムクドリといった中堅クラスの大きさの鳥も小鳥になる。それ自体は、別に問題ないのだけれど、スズメ大以下の鳥だけを指す言葉が欲しいところ。で、それを小小鳥と呼ぶことにした。異論は認めない。

明日は、鳥の皮むき大会。とくに今までにヒヨドリ大以上の皮むきで経験を積んだ中級者向けに、小小鳥にターゲットを絞ることにした。
鳥の皮むきの初心者には、ヒヨドリからハト大のを剥いてもらう。大きすぎる鳥は時間がかかって大変。だが一方で、あまり小さい鳥は、何をしているのかわからないままに終わってしまう。中位で練習するのが一番という理由。

小小鳥は、細かいという難点はあるものの、剥く場所が少ないので、すぐにできてしまうのも事実。調子に乗って、12羽も用意してしまった…。果たして剥き終わるだろうか?


2006年10月20日 大阪の繁華街にヌートリアがいるらしい

某マスコミ関係者に画像を見せられる。携帯電話で撮影したという、粗い画像。水面になにやら写っている。大きくしてみると、なるほどヌートリアっぽい。茶色い。長い尻尾があるらしい。頭大きめ、鼻も大きめに見える。イヌやタヌキではないのは確実。大きさを比較する対象がないのだけど、ドブネズミやクマネズミでもなさそう。というわけで、十中八九、ヌートリア。

場所は…。これからもっと鮮明な写真を撮って、記事にするようなので、場所は内緒。でも、周辺ではすでに評判になっているとか。あんなところでヌートリアが暮らせるんだろうか? と思ったけど、近くにはわずかに草の生えた一画もあるらしい。
そういえば、東住吉区の今川でもヌートリアの確認例がある(その後見に行った人は確認できなかったらしいが…)。大阪市内でも淀川ならヌートリアはごく普通。釣り人から餌をもらっていたりする。水路沿いにはつながっているので、行き来があっても不思議ではない。

というわけで、大阪市内、及び大阪市の東の北河内・中河内のどこの河川でも、ヌートリアを観察する可能性があるようなご時世になってきたと言えよう。もし、ヌートリアを見かけたら、観察日と詳しい観察場所をぜひお知らせあれ。


2006年10月19日 ハトナガハジラミを採取する

ドバトについてる細長いハジラミ(ハトナガハジラミというと初めて知った。ちなみに丸い方をハトマルハジラミというらしい)を集めてる人から、大阪のハトナガハジラミが入手できないかと問い合わせを受けた。がんばります!と答えてみた。
とはいうものの分析用には50〜100個体欲しいらしい。うーん、そんなに見つかるかな〜。手元の冷凍死体を少し見たけど、そんなには付いてない。どうしよう?

そんなある日(今日だけど)、大和川を自転車で走っていたら、ドバトの死体が落ちていた。腹が食い破られていて、ハエがいっぱいたかっている。頭がない。標本用にはパス。と思って行き過ぎてから思い出す。そうそうハジラミがついているかも。戻って翼の下側を見てみる。細長いのが付いてる! というわけで、拾ってきた。
持ち帰って、早速白い紙の上で、パサパサ振ってみた。なんにも落ちてこない。おかしい。見てみるとハジラミは確かについている。冷凍した死体に付いた死んだハジラミは振るとドンドン落ちてくるけど、生きたハジラミはこれくらいでは落ちないらしい。
仕方がないので、ピンセットでつまむことにする。思いの外、生きたハジラミの動きは速い。見つけても、どんどん羽根の奥に入り込んでいく。ピンセットでつまんでも、羽根にひっついてなかなか取れない。一度奥に入ったハジラミはなかなかに見つけにくい。苦労した末に、ようやく20匹ほど採取した。これでほとんど全部採取したと思う。50匹には届かなかったか…。

なんでもこの小さなハジラミの中にすんでる共生細菌を調べているんだとか。あらためて細菌って小さいな〜、と思った次第。ほかにも哺乳類に付くシラミも欲しいらしい。ペットや家畜のシラミも歓迎らしい。おもしろそうな研究なので、可能な範囲で協力する予定。とくに日本各地のドバトに付いてるハトナガハジラミが欲しいとか。まとまった数が取れそうなら、あるいは取れたらお知らせを。


2006年10月18日 自前の万華鏡

昔から目が悪い。だから眼鏡をかけてる。眼鏡をとるとほとんど何にも見えない。道を歩いていて、知り合いとすれ違っても気付かない。気付かないふりをする時には便利。目が悪くて得なのはそれくらいかと思っていたけど、今日は少なくとももう一つ得なことを発見した。

山に行った。峠を登る。登り切ったところに木製のベンチがあったので、座って休憩。ほどよく涼しくて、運動したらいい感じ。快晴で空がとっても青い。けっこう茂った木々の間からも、青い空が見えている。なんとなく眼鏡をとってみた。木々の間から見える空がメッチャ綺麗!
シルエット状態で暗くなってる木の葉の間から、明るい空が見えている。陽が当たって緑色に輝いている葉っぱもある。眼鏡をかけたら、それだけの風景。
でも、おかげさまで強度の近視の上に、かなりの乱視が入っている。暗い葉っぱの間に見える明るい場所が、乱視のせいでにじんで見えるわけ。個々の明るい場所が十数個に分かれて丸く配置された感じ。その明るい丸い円が、葉っぱの隙間の数だけ並んでいる。その色合いは、青、白、緑、濃淡もさまざま。意味のある形を探すことに注意がいくとダメやけど、見えている色と模様だけを愛でていれば、メチャメチャ綺麗!
同じようなつもりで、あちこちを見てみた。一番綺麗なのは、やはり暗い中に、明るい場所が細かく散らばっている場合。

ぼんやり見えるというのも、なかなかいいものかもしれない。そういえば、月もたくさんに見えて、大きく明るいよな〜。
近視で乱視の方、一度お試しあれ。視力のいい方、いいだろう〜。


2006年10月17日 許可なく鳥獣を捕獲できる条件

ふとしたきっかけで、いわゆる鳥獣保護法を調べてみた。忘れないようにメモしておこう。

日本の野生の鳥類と哺乳類は、ほぼすべて鳥獣保護法によって保護の対象となっていて、基本的に許可なく捕獲はできない。捕獲ができるのは、
・狩猟免許を持っている人が、狩猟鳥獣を狩猟期間に捕獲する場合(他にも条件はあるけど省略)。
・知事や環境省大臣の許可を受けた場合(多くは駆除か学術研究目的)。
ってところ。

しかし、こうした許可がなくても捕獲できる場合が、鳥獣保護法的に3つある。
◆ハツカネズミ、クマネズミ、ドブネズミ(法第八十条、環境省令第七十八条)
 →鳥獣保護法の適用外
◆上記3種を除くネズミ科とモグラ科全種が、農林業上の害獣である場合(法第十三条、環境省令第十二条)
 →いちいち駆除申請されても面倒ってことでしょう
◆塀などで囲まれた住宅の敷地内で(同時に鳥獣保護区など保護エリア外で)、狩猟期間に、狩猟鳥獣を、銃を使わずに捕獲する場合(法第十一条二項ロ)
 →猟法などにはもう少し制限があるけど省略。危険な猟具や特定の禁止猟具を使ってはいけないって感じ。

3つめのがあまり知られてないかも。実は、今まではうろ覚えだった。今回初めてきちんと知った。誰かが庭であればメジロを捕ってもいいと主張してたけど、それは間違いらしい。一方、猟期に家の中で、イタチの雄を捕るのは違法ではなかったのね…。

さて、怪我をした鳥や獣を拾ったりする行為はどうなってるんだろう? と思って探してみたけど、見つけられなかった。探し方が悪いのか? あるいは法の枠外で、緊急避難と認識したらいいのか? 今までずっと後者だと認識してきたけど、あってるのかな〜。


2006年10月16日 漁港めぐり

車に乗って、和歌山県北部の漁港をめぐった。

小島漁港(ここはまだ大阪府):船がいっぱい。
加太漁港:船がいっぱい。
雑賀崎漁港:船がいっぱい。
田野漁港:上から見ただけ。
和歌浦漁港:遠くに見ただけ。
塩津港:あんまり覚えてない。
大崎漁港:船がいっぱい。
箕島漁港:船がいっぱい。ここは大きい。仲買の店もあって一番楽しそう。今日の漁獲があれば買いたいところやけど、船がいっぱいってことは漁には出ていない。作業をしているおじさんに尋ねてみた。今日はお祭りなので、漁はお休みだったそうなノ。どうりで、どの漁港にも船がいっぱいあるはず。残念。

有田ミカンを買って食べた。うまかった。


2006年10月15日 ヒタキ三昧

この秋は、ヒタキ類が多いように思う。で、それにかこつけた訳ではないけれど、今日はヒタキ類の識別勉強会をした。
まず、室内でヒタキ類の剥製を見つつ、識別点を確認。植物園に出て、実際にヒタキ類を観察。室内に戻ってもう一度、剥製を見て復習。

植物園では、キビタキが大量にウロウロしており、コサメビタキもけっこういてて、両種の識別の勉強にはもってこい。サメビタキも出現して、なかなか勉強になった。残念なのはオオルリがゆっくり見られなかったことと、エゾビタキが出なかったこと。昨日はいたのにノ。

さて、今日初めて、サメビタキ類3種の違いを確認した。コサメビタキに比べて、サメビタキとエゾビタキは初列風切が長いのはなっとく。
◆コサメビタキ:【三列風切先端〜初列風切先端】=【初列風切先端〜尾羽先端】
◆サメビタキとエゾビタキ:【三列風切先端〜初列風切先端】>【初列風切先端〜尾羽先端】
って感じで見分けられそう。しかしエゾビタキとサメビタキは手強い。
◆サメビタキ:【嘴峰長】=【嘴幅】
◆エゾビタキ(コサメビタキも):【嘴峰長】>【嘴幅】
なのははっきりしてる。しかし、これって下から見ないとちょっとわからない感じ。まあ、胸や目先などの色合いでたいていは見分けられるだろうけどノ。

ところで、今まで野外で見ていて、コサメビタキ>=エゾビタキ>サメビタキという大きさの順番と感じていた。図鑑に全長が載ってるのとは違うけど、だいたい図鑑の全長の数字なんて、そんなに信頼できるものではないし。ところが、今日、標本を並べてみて驚いた。エゾビタキ>サメビタキ>=コサメビタキだった。
野外で見ている大きさの印象は、全長だけではない。とはいえ、一番小さいコサメビタキを一番大きく感じていたとはノ。きっとコサメビタキは白っぽいから大きめに見えていたんだと思う。膨張色ってやつやね。


2006年10月14日 鯛のあら炊き

今日のワークショップは、長ーーい魚の実物大の絵を作るらしい。魚の標本は、長くアルコールに浸かっていると、たいてい色が抜けて真っ白になってしまう。長ーーい魚も赤味がすっかりぬけて、白い魚と化している。
こんなに赤い魚も、白くなってしまうんだよ。という説明のために、みんなが知ってる赤い魚を用意しなくちゃ! ということで、タイを購入せよという指令が出たのが、昨日の夜。担当者は、1パック298円が、さらに半額になった頭の付いたタイのあらを買ってきた。
そのタイの頭は、今日一日ワークショップで活躍。夕方、あやうく捨てられそうになったところを救われた。

そんなわけで、今晩のおかずは、タイのあら炊き。痛んでませんように。


2006年10月13日 荷物運び2連荘、そして反省

トラックを確保したので、この時ばかりと2件連続で荷物を運んだ。荷物運びって運んだら終わりと違うのね。トラックから荷物を下ろしてからがけっこう大変。疲れた。

一つめは、某所に死体の引き取りへ。珍しく大きなトラックで行ったので、調子に乗って、あるだけ引き取ってしまった。トラックの荷台にいっぱい。
冷凍しないといけないのが多いのだけど、とりあえず何をどれだけ引き取ったかのリストを作らないといけない。というわけで、冷凍室へ直行せずに、とりあえず冷房を効かせた部屋へ入れる。

引き続き、二つめ。鳥の卵や皮、巣といった標本、生物関係の本を引き取りに行く。ついでに冷凍庫などももらってくる。古い家のあちこちに散らばる物から、必要そうなのをみつくろって、かなり手当たり次第的に引き取ってくる。
本と標本は、整理前の物を入れる場所へ。その他の物はそれなりの場所へ。

ここまでで、けっこう疲れた。しかし、さっさとリストを作って冷凍しないといけない死体たちが待っている。
あらためてながめると、かなりの量。どうしても冷凍しないといけないのと、すでに皮と肉がなくて骨にすればいいだけの物に分ける。そして、冷凍室を片づける(すでに入っている物を積み上げるとも言う)。もちろんリストも作成。すべてが片づいたのは夜中。本当に疲れた。かなりヘロヘロで、後かたづけもそこそこに帰る。

トラックがあるからといって、荷物運びを連発するのは止めよう。大きなトラックがあるからといって、アホみたいにたくさん引き取ってくるのは止めよう。引き取る前に、運んできた後の処理の時間が必要なことを考えておこう。
思い起こせば、3年ほど前にも同じような反省をしたっけ…。


2006年10月12日 元祖オサ掘り

ちまたでは、越冬中のオサムシを土の中から掘り出す事をオサ掘りというらしい。しかし、真のオサ掘りとは、そんなチマチマしたものではないのである。
海岸に行き、広い浜の片隅で、シャベル片手に、もくもくと穴を掘る。漂うのは果肉付きのギンナンを思わせる強烈な臭い。手には臭いが染みつき、車の中も臭いでいっぱい。ハエ達に大人気。なぜかイヌも熱心に臭いをかいれくれ、ネコには逃げられる。これぞオサ掘り。掘り出されるのは、もちろんオサガメ。

さて、元祖オサ掘りを満喫した後は、場所を変えて、アカ掘りである。ほとんど同時期に上がって、埋めたという2個体。ある意味新鮮なので、臭いはいっそう強烈。ハエは集まり、交尾をしている個体もいる。近隣のオスバエの間で、メスが産卵に集まる場所と知れ渡っているらしい。
砂から掘り出して、ばらして、邪魔な肉を除去。新聞紙に包んで、ビニールに入れて梱包。とここまでを、5人がかりで約1時間半。1日に3頭も処理したら、処理はだんだん上手になり、臭いには馴れてくる一方で、刃物の切れ味は落ちるし、腰は痛くなる。一度にたくさん処理するのはあまりお薦めできない。
アカ掘りは、もちろんアカウミガメ掘り。


2006年10月11日 ウミガメ掘り前日

明日は、淡路島にウミガメを掘りに行く。この6月に打ち上がったというオサガメ1匹と、この9月に打ち上がったというアカウミガメ2匹。いずれも、砂に埋められているらしい。ちゃんと掘り出せるのか、いったいどんな状態なのか。行ってみないとわからないので、ワクワク、ドキドキ。とくにオサガメにお目にかかるのは初めてなので、とっても楽しみ。

聞くところによると、今年の淡路島南部には、ウミガメが多いそうな。そういえば、今年入手したウミガメは、アカウミガメ2匹にアオウミガメ1匹。これに3匹加わる。年間6匹って、この10年以上にわたって中で最高記録。まあ、ウミガメを欲しがっているという事が知られるようになって、情報が来るようになっただけかもしれないけど。


2006年10月10日 携帯用プラネタリウムドーム

とある会合があって、科学館へ行った。正面から入ろうとしたら休館日。裏の通用口から入る。入ってみると、ホールのど真ん中に、でっかいドームがある。扇風機がずっと回っていて、その空気で支えているらしい。会合の開始時間がせまっているのに、グルッと回ってみる。何だろう、これ?

会合の休憩時間に説明があった。プラネタリウムを投影するための携帯用ドームなんだとか。外から見ての通り、扇風機で送り込む空気だけで支えられている。
中に入れてもらった。直径7m。入ってみるとけっこうでっかい。大人30人が入れる、と取扱説明にはあるらしい。30人も入ったら、キュウキュウで、プラネタリウムを映写できるのかは、ちょっと疑問。それでも、20人くらいなら楽勝。入口をきちんと閉じれば中は真っ暗。なるほどプラネタリウムができそう。
底はなくって、大きな丸いテントといった感じ。扇風機を止めるととたんにしぼみ出す。人の出入りが多くても、空気が逃げてしぼむ。でも、扇風機を回せば、10分程度で膨らむそうな。おりたためば、けっこうコンパクト。重さも30kg程度とか。車一台で、気軽に持ち運んでプラネタリウムが上映できそう。ちょっといいかも。
せっかくなので、借りて何か展示かイベントができないものかと思う。これこそ、ホタル部屋にピッタリだったものを…。

会合の後は、懇親会。日暮れ時の梅田界隈を30分ほど歩く。会社帰りの人たちでけっこう混雑している。その途中で、ハクセキレイの集団ねぐら1箇所と、スズメの集団ねぐら1箇所を見つけた。どちらも人通りの多い通りの街路樹の上。熱心に上を見ていたら、周りの人に変な目で見られる。そして、連れとはぐれる。
日暮れ時のオフィス街を歩くのは意外と楽しい。


2006年10月9日 今冬のブナの実は豊作?

今年も山は不作で、クマが山から下りてきている。一昨年のように大問題になることが懸念されている。かのような、報道を見かける今日この頃。自分自身でみる限りでは、今冬は一昨年と違って必ずしも不作ではないと思う。カキの実なんてなりまくってるし。

今日は、金剛山に行った。山頂部のブナ林のところで、昼食。座ったら、下に△の木の実がたくさん落ちている。ブナの種子。見回すと、ほんとにたくさん落ちている。昼食もそこそこに。鳥を見たり、キノコを探したりするのは、脇に置いておいて。ブナの実拾いにいそしむ。一緒にいった3人ほどもたくさん拾っていた。集めなくても、拾っては食べてる奴もいる。生で食ってもうまい。でも、軽く煎ってから食べたらもっとうまいに違いない!

とまあ、そんなわけで、少なくとも金剛山のブナの実は、豊作と言っていいと思う。他の場所はどうかな?


2006年10月8日 カマキリとヘビとキノコ

豊能町の山で観察会。

秋なので、カマキリが多い。チョウセンカマキリ、ハラビロカマキリ、コカマキリ、ヒメカマキリ。秋のカマキリといえば、ハリガネムシ。カマキリを見つけるたびに、ハリガネムシを出そうと、腹を押さえてみる。水を見つけて、腹をつけてみる。残念ながら、ハリガネムシは出なかった。残念。

秋と言えばヘビの季節。今日もヘビが豊作。歩き始めてすぐ、シロマダラの轢死体を発見。かなり大きい。数日前の下見でも同じような辺りでシロマダラの轢死体を見つけている。シロマダラが多いらしい。昼食前にジムグリの幼蛇を捕まえる。みんなでながめる。下り始めてすぐ、今度はヒバカリが捕まる。またみんなでながめる。集落に降りてきたら、道ばたにヤマカガシが死んでいた。轢死体かと思ったが、とくに轢かれた様子はなく、新鮮で標本にできそう。あと4種で全種網羅だったのに〜。

そして秋と言えば、キノコ。のぼりの途中、イグチが何本か生えていた。アミタケ!と思って晩飯用に採集。昼食場所の周辺で、紫色っぽいキノコを発見。これまた晩飯用に採集。ちかくでフウセンタケの類もたくさん生えていた。とりあえず種名が判明して喰えそうなら喰おう。と思って数本採集。
帰ってきて名前調べ。アミタケは正解。はずれていても喰えるだろう。紫色のキノコは、ムラサキシメジの類を想定していたのに、どうやら想定外のイッポンシメジ類らしい。リスキーなので、食べるのは断念。予想通り、フウセンタケの同定はできず。明日も観察会なのでリスクは避けることに。
けっきょく夕飯に並ぶのはアミタケだけか…。


2006年10月7日 初めてヨタカを見た〜

バードウォッチャーらしく、ライフリストを付けている。新たな種が加わるのはとても嬉しい。しかし、珍鳥を追いかけまくっているわけではないので、近頃は年に数種しか増えない。
さて、前にも書いたけど、ライフリストに入るには、ただ見ただけではダメ。とまっているor浮いている状態で、はっきり見ること。この条件は意外と厳しく、いまだに見たのにライフリストに加わっていない種が、20数種。そのうちの1種、ヨタカをようやく見ることができた嬉しい〜。
何度も見たことはあるんだな。飛んでるところ、道から飛び立つ瞬間。でも、ずーっととまっているところが見れなかった。

植物園に鳥を見に行った。ねらいは主にヒタキ類。ヒタキ類がいたので立ち止まる。コサメビタキ。立ち止まっているとヤマガラ、シジュウカラ、コゲラの混群もやってきた。
だれかが、あれなんやろ? と言う。どれどれ。どこ? あの待つの一番下の横枝の上。根元の方。みたいな会話が後ろで進行中。なんやろ?と思って振り向いたら、ヨタカやん! という声が聞こえる。
ヨタカ! 見る見る。絶対見る! あわてて、さっき言ってた場所を探す。簡単に見つかった。すごく近い。10mもないくらい。低い枝の上に、予定通り枝に沿ってとまっている。目はぱっちり開いているけど、さほどこっちを気にしてはいない。むしろ上にいるヒヨドリを警戒しているらしい。
双眼鏡でゆっくり見た後、プロミナーでもながめる。鼻孔は上向き、口の周りはヒゲだらけ。細かいところまでよく見える。
ゆっくりながめた後、じりじりとさらに近づいたら飛んでしまった。飛び立つと、とまっている時のイメージよりも、はるかに大きくなった。翼が細くて長いな〜。なんかフワフワと飛んでいく。
飛んでいった方に行って、探してみたけど、見つからず。見つかるのは、ほんとうに偶然だよりって感じ。

渡りの時期に都市公園でヨタカが見られるとは聞いていた。いつか都市公園でとまっている姿を見たいと思っていた。それが達成されて、感無量。
今度は、ミゾゴイを見たいなー。


2006年10月6日 分散といえば

秋の渡りのシーズン。でも、渡りの話はすでにしたので、似て非なる分散について話すことにした。分散といっても、平均の周りの散らばり具合ではない。生態学で分散といえば、
「生物が、生まれた場所あるいは現にすんでいる場所から動いて散らばること。」(岩波生物学辞典 第4版)。
そうそう、だいたいそんな感じ。

鳥屋さん的には、二つに分けて考えることが多い。natal dispersalと、breeding dispersal。生まれた場所からの分散と、一度繁殖した場所からの分散。日本語には訳せない。

巣立ったヒナがどこに定着するかを調べるのは、とーっても難しい。なんせメッチャ遠くまで行くことがあるらしいし、死んだのか遠くまで行ってしまったのかの区別がほとんどつかない。ついでに言えば、初期死亡率が高いので、多くの個体には二度と出会わなかったりする。ってことで、natal dispersalを調べるのは大抵あきらめる。
一方、一度繁殖した個体は、その後の生残率は高くなるし、あんまり遠くまで移動しないことが多い。遠くまで行ったのか、死んだのかの区別は、あいかわらずほとんど無理。それでも、breeding dispersalの方は、数字を出してみる気になる。

というわけで、かつてキジバトの繁殖を調べていた時、breeding dispersal関連の文献を集めた。てっきり論文を書いたと思っていた。せっかくなので、自分の論文を引用して話をしようと思いつき、自分の論文をあさった。あまりに久しぶりなので、論文のタイトルを見ても、何が書いてあるかわからない。仕方がないので、論文を引っ張り出す。どこにもbreeding dispersalのデータが出てなかった。
おかしいな〜、と思いつつ、他人の論文をコピーして、話を作ってしまう。

あとから改めて、マイコンピュータの中の、作りかけの論文フォルダを見てみる。breeding dispersalの論文は完成を見ないまま、放り込まれていた。他にも作りかけのままの論文が4本。すでに10年以上熟成させられているものもチラホラ。こ奴らが日の目を見ることがあるんだろうか?


2006年10月5日 机の上の蛇

10月は蛇の月。涼しくなってきたのが関係あるのかないのか。10月に入って、なぜか蛇が次々と届けられる。少なくとも暑い季節よりも蛇に遭遇する機会が増えるような気がする。
届けられる蛇は、ホルマリン漬けあり、アルコール漬けあり、冷凍あり、死んだのあり、生きたままあり。すでに漬け物になってるのは、常温保存。冷凍と死んだのは、さっさとホルマリン漬け。じゃあ、生きたのはというと、あまりに可愛いと、しばらく生きたまま。時々容器から出して遊んだりする。漬け物と生きたままに大別された蛇君たちは、片づけられるまで何となく机の上に並んでいる。

蛇の並んだ机の上では、お仕事もするし、食事もする。きょうは、萌蔵とみっちょん(仮名)が、並んだ蛇の前で食事をしていた。生きた蛇を目の前にしての食事は初めて。みっちょん(仮名)がつぶやいていた。

いま並んでいるのは、けっこう豪華なラインナップ。漬け物は、シロマダラ、タカチホヘビ、ヒバカリ、シマヘビ。生きたのが、ヤマカガシとジムグリ。
とにかくヤマカガシが可愛い。まだ幼蛇で黄と赤の模様が美しく、目がつぶらで大きい。ときどき出しては遊んでしまう。
ジムグリの方は、ちょっと変わった個体で(関西基準)、背中側に茶色味がまったくなく、むしろ灰色い感じ。腹側も赤身がとっても薄い。ジムグリとしては、とっても地味な個体。福井県産なのだが、北陸のジムグリはみんなこんなんなんだろうか? それともこの個体が特別なのか?

残るマムシとアオダイショウが手にはいるまで、蛇を並べておこうかと思う今日この頃。


2006年10月4日 ◆生き物から環境を知ってもらう冊子づくり

ちょっと前の話だけど、ある地域のいろんな環境を、生き物を通じて理解してもらえるような冊子を作る。という会合に顔を出した。

色んな環境に見られる生物が図鑑風に並んでいる。各生物にはどんな環境で見られるか、アイコンで表示されていたりする。近縁種で、違った環境に出現する種が、まとめて紹介されていたり。それなりに工夫の跡はある。
が、いかんせん登場する種数が少なすぎ。実際にその環境に行って見られる種の多くは出ていない。図鑑としては使えない。しかし、全種が載っていたら、それはそれでとても使えないだろうな〜。多くの人は、どの辺りのページを開けばいいかもわからないはず。さらに言えば、ある程度くわしい人にとっては、生き物が環境別に並んでる図鑑は、ものすごい使いにくい。それぞれの種がどの環境の項に並んでいるのか、すぐにはわからないから。分類順に並んでいてくれた方が、よっぽど見つけやすい。
そんなわけで、ビギナーには使えず、ベテランには敬遠or無視される。そんな図鑑風の冊子であった。

思うに、環境別に生き物を並べて有効なのは、限られた分類群、限られたケースだけ。菌根菌であれば、〜林に出るキノコというのはわかりやすい。海岸動物を、磯と干潟に分けるのはわかりやすい。鱗翅類の幼虫を食草ごとに示してくれるとわかりやすい。このように特定の環境へのスペシャリストが多いケースに限られる。
しかし、世の中には環境別に生き物を並べた図鑑風のものが多い。上述のような使えない冊子もあふれている。困った困った。
じゃあ、解決策はといえば、すごく簡単なことに思える。件の会合の最中に考えたことを、忘れないように書いておこう。

まず、冊子作りの設定を確認。
・ページ数は限られている。対象生物群の全種は、載せられない。
・ターゲットは、ビギナー。たとえば小学校の先生が、授業で使うのを想定。
・内容は、生き物を見て、その生息環境についての理解を少しでも深めてもらえるようなの。

この設定でやれることは限られている。
まず図鑑は無理。図鑑ではないことが明確にわかるような構成をする。各種の記述も中途半端な図鑑風記述はいらない。必然の結果として、特定の環境で見られる全種どころか、主だった種をすべて載せる必要もない。
代わりに掲載種を選ぶ際に一番重要なのは、環境を語るに適した種かどうか。言い換えれば環境について語りたい内容を思いつく種を選ぶ。その種が生息していたら、それは何を意味するか。林は林でもどんな林か。河川ならどんな河川か。といったことを解説する。いわば、生物を環境の指標にしてるわけやけど、いわゆる指標生物とはちょっと違う。あれは、単純に水質の善し悪しを生物を使って評価しようてなものなので(単純なレッテル貼りは、個人的に嫌い)。ここでは、その生物が暮らすには何が必要で、ここの環境はその条件が満たされているねんな〜、みたいなことを知ってもらうのが狙い。逆にターゲットの生物がいなければ、何が足らんのかな〜、と考えてもらう。
とりあげる種は、ビギナーでも比較的簡単に見つけられる(あるいはいないとわかる)種で、もし見つけたらその種であると確信がもてる(同定しやすい)種である必要もある。むしろこっちの方が必要条件かもしれない。見つけた時に、間違いやすい他種との簡単な区別点が示せる方がいい(ここだけが図鑑的要素)。また、探し方のガイダンスも必要。

こういうの、ありそうで、見あたらない気がするけど、どうかな?


2006年10月3日 メンガタスズメの幼虫

メンガタスズメといえば、成虫の背中に人の顔が見える。いわば人面蛾。これって、トリビアネタに使えるんじゃ? って感じのスズメガの一種。

先日、高槻市方面に行った時に、大きなスズメガの幼虫を見つけて、これはなんという蛾だろうね〜、とみんなで盛り上がった。その正体が、メンガタスズメの幼虫だと今日判明した。まあ、わかってる人はとっくにわかっていたんだろうけど、個人的には今日初めて知った。

豊能町の山手を歩いていたら、小さなクサギがほとんど丸裸になっていた。わずかに残った葉っぱに、たくさんの大きなスズメガの幼虫がのっている。リキローおじさん(仮称)曰く、メンガタスズメの幼虫だそうな。
色合いは、緑色に黄色い格好いい模様が入ったのが多いけど、1匹だけ茶色ヴァージョンもあった。なにより特徴は、尻尾の形。ふつうのスズメガの幼虫がまっすくの針なのに、こやつは先がクルッと曲がっていて、根元を中心にブツブツが付いている。

緑色ヴァージョンは、とにかく綺麗。あのキョウチクトウスズメの幼虫にも匹敵するくらい。一度ご覧あれ。
でも、クサギの葉っぱを食べているようだから、味はまずいに違いない。味見はお薦めできない。


2006年10月2日 クマ

クマといって思い浮かべるのは、ツキノワグマにヒグマ、シロクマにアメリカクロクマ、マレーグマ、ナマケグマetc.。それじゃないと言われれば、目の下にできるの? あー、鹿児島で食べるアイスクリームみたいなん? 今回、新たなクマに出会った。それも夜の海で。

ものの本をひもとくと、「海産、あらゆる深度に住み、少数は汽水・淡水に侵入。軟泥中に潜入するが、自由水に出ることもあり、夜間水表に現れる。1〜35mm長、通常10mm以下。7科・約470種。」
夜仕掛けた水中ライトトラップにやってきていて正解。昼間は、
泥の中にいたとは、なんども干潟には出かけていたが知らなかった。おそらく何度も踏んづけたりしていたことだろう。
姿は、大きな頭に細い尻尾がついたような感じ。やたら小さなオタマジャクシか、エイリアンの幼生か。数少ない図鑑の記述から判断するに、ナギサクマという種ではないかということになった。ナギ・サクマ。知り合いの名前を足したような感じ。

クマ以外にも、水中ライトトラップに寄ってきた小さな動物たちは面白かった。その多くが甲殻類だというから、甲殻類の多様性には驚かされる。甲殻類を中心に、海の微小動物の観察会をしたら楽しそう。夜の方が採集に適しているようなので、夜の行事、できれば泊まりがけかな〜。
中でも微小甲殻類がおすすめ。カニやエビなどの大型甲殻類ばかりでなく、微小甲殻類にも目を向けよう! クマについて調べるべく、件のものの本をひもといていると、クマ以外にも惹かれる甲殻類がたくさんいた。
たとえば、ホヤノシラミ類。名前の通り、ホヤの体内に寄生しているらしい。そういえば、昨日の干潟にもホヤがたくさんいた。あれを切ってみればよかった〜。
たとえば、ナガクビムシ類。魚やウニに虫こぶを作って、その中に雌がいるらしい。オスは自由生活者で見つかっていないことが多いそうな。海にも虫こぶがあるんだねぇ、とも思わせてくれる。海で虫こぶを見つけたら切ってみるぞ〜。

とにかく今度から、干潟や磯に行く時は、小さいのにも注意してみよう。海藻の表面、泥の中、動物の中も要チェック。


2006年10月1日 友の会新舞子合宿2日目

初めての合宿2日目は、朝から曇り模様。と思ってたら、パラパラと雨がぱらつき、昼前にはザーザー降り出した。でも、合宿の予定は、予定通り進行。
朝食前に、散歩をかねて、昨夜仕掛けたカニ籠の回収。そして、朝食後は、干潟に出ての観察。

雨が降って肌寒いけど、とにかく干潟の生き物を色々ながめ、捕まえてみる。昼食時に味見の予定なので、食べられる貝などは、キープ。食べたのは、マテガイ、バカガイ、ツメタガイ、ハマグリ。なぜかたくさんあったアサリは味見対象にはなってなかった。
けっこう多くの人がマテガイ採りに熱中していた模様。なんせ、サオリン(仮称)は、マテガイ採りがしたくて、わざわざ東京から参加したらしい。Nさんの指導のもと、初めてのマテガイ採りに挑戦したサオリン。ここで予想外の才能を見せ、大勢の野次馬の前で、次から次へとマテガイを引っ張り出していた。何かを会得した模様で、すでに師匠のNさんを越えたとのもっぱらの評判。

マテガイ採りの才能がないのを自覚しているので、ターゲットはもっぱらイイダコ。砂に潜ってるのを探して、浅いところをウロウロするのだけれど、砂の中から逃げ出すのはタイワンガザミばかり。今日はイイダコは留守かと思ったら、イイダコになんの興味もないKさんが、大きな二枚貝の下に隠れてるイイダコを捕まえていた。捕まえてもさほど嬉しくなさそう。きー、こっちはそれを探してるのに〜。だいたいその大きな二枚貝は、こっちが先に見かけて、前を通りすぎたのに〜。なぜか、とても悔しい。
そのイイダコも味見に出てきたけど、食べなかった。今度、自分で採って食べてやる!

1泊2日の合宿は、あっという間に終了。2箇所を観察しただけなので、日帰りの強行軍でもできなくはないプログラム。でも、ゆったりとできるし、夜のプログラムもあったりするし。合宿でよかったと思う。

宿舎の目の前が、新舞子浜で、小さな松林があるんだけど、そこにずーっとオスのトラ猫がいた。みんなに可愛がられているらしく、ぜんぜん逃げない。すぐに触らせてくれる。パンでも貝の身でも、あげたら食べる。夜はどこにいるのかわからなかったが、昼間はずっといた。今日は雨が降っていたのに、少々の雨では平気らしく、濡れる場所で寝ていた。さすがにザーザー降り出したら、宿の軒先に避難してたけど。トラ猫なので、トラ!と呼びかけるも反応無し。名前はトラではないらしい。今度行った時もいてるかな?


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