テーマ別自然観察会「久米田池の水草」

2025年9月28日(日)にテーマ別自然観察会「久米田池の水草」を実施しました。

きしわだ自然資料館との共催行事で、久米田池の水草をはじめいろいろな生き物を観察する行事です。

久米田池交流資料館に集合した参加者たちは、久米田池沿いを時計回りに歩きながら観察ポイントへ向かいます。道中、歩道から見られる水草や水鳥、道路脇の植物も観察しました。

秋から冬にかけて久米田池の水位は下がっていきますので、様々な水草や湿生植物の観察がしやすくなります。

久米田池の満水を知らせる「満水標」。この石碑が完全に水没したら満水となります。

久米田池の東岸の観察ポイントに到着。

今回は久米田池の水利組合の方に許可をいただいて、ゲートを開けて池岸まで降りて観察させてもらいました。

各々観察を楽しむ参加者たち。胴長を持ってきて池の中で採集する強者もいました。

東岸の観察ポイントの岸から見た久米田池。水面にたくさん見えているのは
水草のホザキノフサモ。よく見ると水上のたくさん花を上げています。

今年はなぜか観察できた水草の種類が少なく、例年ではお馴染みだったリュウノヒゲモやツツイトモは見られず、一昨年見つかった珍しい水草のムサシモも見つかりませんでした。水草の成果は、ホザキノフサモ、ホテイアオイ、ウキクサとややさみしめ。代わりの池底が干上がった場所でヒデリコやアオガヤツリ、タケトアゼナなどを観察し、水草以外もいろいろ楽しみました。

お昼休みは岸和田市立久米田青少年会館の部屋をお借りして、涼しい場所で昼食を取りました。昼食後は引率の横川学芸員から久米田池の水草相の変遷について、スライドを使って簡単に紹介がありました。

一息ついたら午後からの観察ポイントである池の南岸に移動しました。移動中は水鳥が水草を食べている様子も観察できました。

よく見ると真ん中あたりにヒドリガモが写っています。水面で何かを食べている様子も
観察できましたが、遠すぎて双眼鏡では詳細はわかりません。

道中、フワフワの綿のようなものが!
おそらくヨモギワタタマバエという昆虫がヨモギにつくった虫こぶです。

午後からの観察ポイントでも各々自由に観察しながら、お互いが見つけたものを見せあいつつ、いろいろな生き物を見ることができました。池の南側には侵略的外来水生植物で特定外来生物でもあるオオバナミズキンバイが繁茂しています。年々増えているようで、今後もさらに拡大するのではないかと心配です。

池岸を覆いつくして、水面にも茎を伸ばすオオバナミズキンバイ。
 
宙を舞う水草採集器。参加者の中には自作の水草採集器を持ってきていた人もいました。
二つに分かれたヒメガマの穂。普通は1本の穂がこんなことに。

最後は参加者が二つに分かれたヒメガマの穂を見つけて盛り上がりました。おそらく花の時期に花序が縦に割かれたものが結実してこのような形になったのだろう、と考察したのですが、だとしたら、どうして縦に割かれたのでしょうか?

お天気にも恵まれ、参加者同士でいろいろなものを見せあいながらの楽しい観察会となりました。共催のきしわだ自然資料館さんには貸出双眼鏡も用意していただき、水鳥まで観察しつつ、水草と水鳥の関係も議論できる良い行事になったと思います。ありがとうございました。

お昼休みに紹介した久米田池の水草相の変遷については下記のリンク(きしわだ自然資料館研究報告のページ)から詳細が読めます。

久米田池(大阪府岸和田市)における水生植物相の現状と変遷

https://www.city.kishiwada.osaka.jp/uploaded/attachment/63680.pdf