●2015年12月27日 シロハラ
長崎からなにわホネホネ団の活動について話を聞きたいときた方は、博物館類似施設の人で、哺乳類や鳥類の標本の作り方を知りたくてこられたらしい。で、勢いで鳥の皮剥きを実演することになった。今年度の鳥剥き10日目の26種28羽目(内、2種2羽は動物園物)。
・シロハラ(OMNH A7423:2015年12月、兵庫県宝塚市産)
1時間半で急いで解凍。したつもりだが、充分は解けていなくて剥きにくい。首の横にキズがあったようだが、それを拡げてしまった…。
●2015年12月23日 コアラ
なにわホネホネ団の活動日。なぜか遠慮の塊となったコアラに手を出した。
・ニホンザル(OMNH M3076:某動物園より)
毛皮は頭と手足しか残っていない残念な状態。肝心の袋が見れない…。で、前足と後ろ足を1本ずつ剥いた。筒剥きにしようとしたのだけど、かなり難しい。後ろ足はできたけど、前足は断念して佐竹剥きに。あらかじめ、外側から爪の周りを充分切り込んでいたら、少しはやりやすそう。
●2015年12月21日 ニホンザル
なにわホネホネ団のサルの日。動物園から来たサルは他の人に押しつけ、保護個体を剥いた。
・ニホンザル(OMNH M3074:2015年12月、大阪市中央区産)
ニュースになったあの個体。翌日には死んでしまって、寄贈された。飼われていたサルでニホンザルかどうかも怪しいと思っていたが、見たところ歴としたニホンザル。若いオスの個体なので、いわゆる離れザルなんだろう。市街地に迷い込まなければ死なずに済んだのに。
精巣が、ペニスよりかなり上に上がっていて(へそとの中間点辺り)驚いた。若いオスは精巣がそもそも降りていなくて、降りていてもびびったりしたら上がると教えられた。人間でも起きると言われた。そりゃたまげた。
●2015年12月7日 ヒヨドリ、ハイタカ、トラツグミ、ミヤマホオジロ
なにわホネホネ団の鳥の日。西表島鳥類調査隊の活動はなし。今年度の鳥剥き9日目の25種27羽目(内、2種2羽は動物園物)。
・ミヤマホオジロ(OMNH A7414:2015年11月、大阪市北区産)
メスの幼鳥。渋くて綺麗。小さい鳥を剥くのが久しぶりなので、妙に緊張した。
・ハイタカ(OMNH A7415:2015年11月、大阪市北区産)
小さいから、遠目に見たときはツミかと思った。イメージよりも頭が小さい。こうしてみると、大頭のオオタカとは全然違う。一番驚いたのは、首の下の方での気管と食道の位置。たいていの鳥は、どちらも右側にあるのだけど、少なくともこの個体は、食道は右側に、気管は左側にあった。
・ヒヨドリ(OMNH A7418:2015年11月、沖縄県石垣市産)
産地からわかるようにヒヨはヒヨでもイシガキヒヨドリ。とにかく喉から腹がとても茶色い。本州のヒヨドリとは全然違う。それだけではなく、風切の色合いも違う気がするし、翼式も一緒かな?と思ったり。尾羽の先端が新鮮なのに、とても丸い。新鮮なので成羽だとおもうのだけど、角張ってないし、中央のとんがりもない。意外と違うもんな感じ。今度は、本州のと並べて見てみたいし、イシガキヒヨドリをたくさん見てみたい。
・トラツグミ
(OMNH A7422:2015年11月、大阪市東住吉区産)
今日処理した鳥で唯一、脂肪がいっぱい付いてる。その上、皮が破れやすいと評判のトラツグミ。慎重に処理したら、めっちゃ時間がかかったけど、皮は破れなかった。たくさん脂肪が付いてはいても、カモとは違って、大部分は引っ張ればとれるので楽ちん。
●2015年11月22日 コブハクチョウ、ヤマシギ、アカショウビン
なにわホネホネ団の鳥の日。西表島鳥類調査隊の活動はお休み。今日も冷凍庫にたまっていた新着大物の処理。今年度の鳥剥き8日目の21種23羽目(内、2種2羽は動物園物)。
・コブハクチョウ(OMNH A7403:某緑地より)
とある公園で放し飼いにされていた個体が死んだのを引き取った。とてもやせていて脂肪がなくて処理しやすい。右脇腹にキズがあって、皮が腐り、ウジが湧いていた。死んですぐに回収されたはずなので、生きている時からウジが湧いていたのかも。右目や嘴にキズがあるので、直接の死因はそっちかもしれない。
・ヤマシギ(OMNH A7406:2015年11月、大阪市東住吉区産)
博物館に衝突した個体。ヤマシギは皮が薄めなので慎重に剥いたが、とくに難しい感じはなかった。そんなに皮は薄くないんじゃないかなぁ。嘴と頭蓋の角度が、普通の鳥とはずれているのが、やはり面白い。
・アカショウビン(OMNH A7412:2015年7月、沖縄県石垣市産)
車にひかれて、ほぼペッタンコ。だけど、嘴は大丈夫だし、翼も生きてる、脚も揃ってるし、各パートは引っ付いている。ってことで、強引に皮を剥いて、というより肉とホネを引きはがして、仮剥製っぽいものに仕立てた。腹と背中が変な開き方してるけど、まあ残す意味はありそう。頭の上から背中、尾羽まで、背面がずっと紫色でとても綺麗。
●2015年10月31日 キビタキ、リュウキュウコノハズク、カルガモ
なにわホネホネ団の鳥の日。西表島鳥類調査隊の活動はお休み。冷凍庫にたまっていた新着のを処理しまくった。今年度の鳥剥き7日目の19種20羽目(内、2種2羽は動物園物)。
・キビタキ(OMNH A7402:2015年10月、大阪市北区産)
綺麗な雄の個体で、成鳥。なのだけど、頭部の黒には少し、バフ縁がある。第2回冬羽か第1回夏羽なんだろうか?
・リュウキュウコノハズク(OMNH A7396:2015年10月、沖縄県石垣市産)
車にひかれて、ほぼぺったんこ。だけど、なんかタカ類の死体を拾った!と言われたから引き取った。届いたのを開けてみてびつくり。異様に小さい。どこがタカやねん。とはいえ、顔が壊れているので、すぐには種名が分からず。翼を眺めて、計測値と併せてようやく同定。
・カルガモ(OMNH A7392:2015年10月、大阪市東住吉区産)
昨日、長居植物園の大池で拾われた死体。とても新鮮で、それでいて脂肪をほとんど蓄積していなかった。胸部辺りから、大量の血が出てきたが、ホネはとくに壊れていなかった。ということから、車などにひかれたというよりは、タカやネコなどに襲われて、逃げ切ったけど事切れたってことかと。
●2015年10月12日 ジャワマングース
なにわホネホネ団の活動日。なぜか大物に人気が集まり、ぽっかりマングースがあいたので、こっそり一人で剥いてみた。
・ジャワマングース(OMNH M3054:2009年2月、沖縄県名護市産)
指先を筒剥きしようとして、うまくできなくて断念。佐竹剥きしようともしたのだけど、やはりできずに断念。結局、普通に開いてしまった。この程度を筒剥きできないとは…。
●2015年7月20日 ベニヒワ、ヒガラ、ヤブサメ、ゴジュウカラ、チュウジシギ
標本作り祭りというイベントで、6時間超えの鳥剥きマラソン。今年度の鳥剥き5日目の14種15羽目(内、2種2羽は動物園物)。
・ベニヒワ(OMNH A7377:2014年3月、北海道札幌市産)
頭頂の赤は、構造色なんだろうか、ピカピカしている。上嘴の根元の羽根が伸びて、鼻孔を隠している。カラスみたい。
・ヒガラ(OMNH A7378:2014年7月、北海道札幌市産)
これは小さい。まさしく日本最小クラス。
・ヤブサメ(OMNH A7379:2014年9月、北海道札幌市産)
もちろん日本最小の鳥の1つ。ではあるのだけど、それは多分に全長で評価するから。ヤブサメは尾羽が短いから有利。体自体の大きさなら、ヒガラの方が小さい。ので、今日はあまり小さい鳥という印象を受けない。
・ゴジュウカラ(OMNH A7380:2014年10月、北海道札幌市産)
北海道というからシロハラゴジュウカラ。腹側が真っ白でとても綺麗。尾羽の模様が一枚一枚違っていて、とても綺麗。腹の白い羽根をかき分けると下尾筒のような模様が現れるけど、どういう意味があるんだろう?
・チュウジシギ(OMNH A7381:2014年8月、大阪府枚方市産)
てっきりジシギだと思って剥き始めた。が、なんか次列風切先端の白が少ない、下雨覆が黒っぽい気がする。尾羽を数えてみると、18枚。タシギはえーっと。祭りが終わってから計測値も参考に検討してみた。チュウジシギという結論。未熟であった。
●2015年7月12日 ケープハイラックス
なにわホネホネ団の活動日。みんながトラとオオカミを剥いてる隙にハイラックスを剥いた。
・ケープハイラックス(OMNH M3029:某動物園より)
足の裏が全面グローブのような一体型の肉球。指が前足4本、後ろ足3本な上に、爪は後ろ足の1本にしかない。指先の関節がすぐとれる。何もつかめない不器用な足。尻尾がなくて、変な歯。なぜかウォンバットが思い浮かぶ。
●2015年7月5日 クロコンドル、ホオジロカンムリヅル、オオセグロカモメ
なにわホネホネ団の鳥の日。またもや西表島鳥類調査隊の活動はお休み。今年度の鳥剥き4日目の9種10羽目(内、2種2羽は動物園物)。
・クロコンドル(OMNH A7367:某動物園より)
足に異常があったんだろうか、両足の指が剥かれている。というのはさておき、初めての鳥なので盛り上がる。黒くて羽根の生えていない頭には、柔らかい少し厚めのシワシワ皮。面白いのはタカ類なのに、目の上のひさしのような骨がないこと。おかげで目つきが柔らかい。翼は基本真っ黒で構造色があるんだけど、初列風切の外側6枚の根元の方だけ、構造色がなくてマットな感じ。羽軸も白い。微妙に目立つけど、なんか中途半端。もしかしたら紫外線反射でみると、紋付きだったりして。下初列雨覆は、灰色っぽくなっている。
・ホオジロカンムリヅル(OMNH A7365:某動物園より)
小さいツルで、胸骨に気管が入り込んでもいない。大きめのサギみたいと思いながら剥いていたら、頭を裏返した時、思わず突っ込んだ。おまえはキリンか! 頭骨には、キリンのような角が2本。目の前辺りの上も尖っていて、3本角状態なのもキリンにそっくり。冠の両側と前に角がある感じ。
・オオセグロカモメ(OMNH A7371:2015年3月、茨城県神栖市産)
白くあせた感じの幼鳥。胸が開いて、胸肉がほぼ食われているけど、あとは新鮮で無傷。隣で剥かれていたオオセグロカモメ成鳥と比べると、嘴がごつい。で、嘴がごついこの個体は雄で、隣の成鳥は雌だった。嘴のごつさで雌雄が分かるのかもね。
●2015年6月27日 エナガ、コムクドリ
なにわホネホネ団の鳥の日。西表島鳥類調査隊の活動はお休み。今年度の鳥剥き3日目の7種7羽目。
・エナガ(OMNH A7354:2015年6月、大阪府高槻市産)
巣立ちビナ。小さいので剥く場所は少ないけど、慎重にしないといけないし、何より細かくてやりにくい。1時間20分もかかってしまった。カラ類は全般に、綿を入れた目が可愛くならない。なんでかな。
・コムクドリ(OMNH A7363:2015年6月、北海道札幌市産)
巣立ちビナ。北海道では普通種だろうけど、関西では渡りの時に通過するだけ。巣立ちビナを見たのは初めて。オオルリくらいの大きさで、可愛い。知り合いのバンダーがコムクドリが臭いと言ってたけど、ぜんぜん臭くないよ!
●2015年6月20日 ニホンイタチ
なにわホネホネ団の活動日。イタチ祭に合わせて、イタチを剥いた。
・ニホンイタチ(OMNH M3017:2012年12月、兵庫県姫路市産)
姫路市でニホンイタチ!と思ったら、けっこう山の中で拾われたものだった。例によってオス。ニホンイタチのメスはほんまに手に入らない。
肛門周辺が大きく破れていて、内臓もかなり抜かれている。でも他はとてもきれい。なので、お尻をもう少し切り開いて筒剥きにした。かなり可愛くできた。
●2015年4月26日 オオセグロカモメ、ミツユビカモメ
なにわホネホネ団の鳥の日。西表島鳥類調査隊の活動は今回もお休み。今年度の鳥剥き1日目の2種2羽目。
・オオセグロカモメ(OMNH A7337:2015年3月、千葉県銚子市産)
腹と頭が汚れていたので、部分洗いした。とても綺麗になった〜。
・ミツユビカモメ(OMNH A7338:2015年3月、千葉県銚子市産)
初めて剥く鳥で、とても綺麗なので盛り上がっていたのだけど、首の後ろが大きく破れていた。頭がとれそう。とたんにテンション下がり気味。でもまあ綺麗な鳥だった。脚が短くてとても可愛い。黒い脚というのは変な感じ。ミツユビカモメというだけあって、骨の入ってる指は3本だけだけど、第1指も出っ張りだけはある。
●2015年3月15日 ヒツジ
なにわホネホネ団の活動日。偶蹄類が3匹並ぶ。
・ヒツジ(OMNH M2989:某動物園より)
最初はヤギだと思っていた。が、眼下腺と、後足の蹄間腺がある。顎髭がない。ってことで、ヒツジと判断した。
ちなみに今日は
剥く動物が多かったので、脚2本以外は、一人で剥くことができた。ざっと2時間半。やっぱり蹄は苦手。
●2015年2月21日 トラツグミ、カンムリカイツブリ、キンバト
なにわホネホネ団の鳥の日。西表島鳥類調査隊の活動17回目。2ndシーズン9回目にして最後。今年度の鳥剥き17日目の30種37羽目。
・トラツグミ(OMNH A7301:2009年1月、奈良県天理市産)
ちょっと破ってしまった。やっぱりトラツグミの皮は薄いそうに思う。ハト類とは少し違う感じに薄いような。よく考えると毎回破ってる…。
・カンムリカイツブリ(OMNH A7306:2014年12月、千葉県銚子市産)
羽根を血で汚さず綺麗に剥いたのに、元々の汚れが気になって、結局腹から首を洗ってしまった。そんなことなら、最初から気にせず剥けばよかった。めっちゃ脂肪を蓄積していて、脂肪除去が面倒だったが、皮が厚いのでけっこうなんとかなった。面白いことに、胴体の腹側は全面にしっかりした羽根が生えていてペンギンのようだったが、背中側にはしっかりした羽根は生えておらず、皮の内側にも羽軸は飛び出ていない。外側を見ると、フワフワとした羽根が生えてる。背中は水に浸からないからか、背中にはヒナが乗るからか。
・キンバト(OMNH A7298:2012年9月、沖縄県竹富町産)
めっちゃ腐ってる。羽根も抜けまくり、皮も破れまくり。でも翼と背中と首から上はなんとかなった。