室内実習「解剖で学ぶイカ・タコの体のつくり」
2月3日(日)、自然史博物館の実習室で「解剖で学ぶイカ・タコの体のつくり」を開催しました。
食材でおなじみのイカやタコは、頭足類という貝の仲間です。
魚よりもアサリやサザエに近い動物ということは、解剖してみるとよくわかります。
この実習ではスルメイカをじっくり解剖して、その体のつくりや器官の機能を学びました。
NHKのダイオウイカの番組効果もあってか(?)、今回は例年より多い18名の方が参加されました。
およそ1時間弱のイカ・タコに関する講義のあと、実際に解剖をします。
まず学芸員が前で実際に解剖を実演してから、各自解剖をします。
解剖手順は20以上のステップに渡るので、適宜区切って進めます。
冬に開催している理由として、性成熟した個体を入手しやすいということがあります。
オスの個体に当たった人は、精莢(せいきょう)※を取り出して、実際に精子塊(せいしかい)を出す実験をしてもらいました。
※精子を入れたカプセル
精莢を水に入れて、ピンセットで先端をつまむと、精子塊が飛び出してきます。
イカは眼球も立派です。
水晶体も取り出して観察しました。
ちゃんと拡大ができるレンズになっています。
この実習のクライマックスは、平衡石の摘出です。
イカ・タコには体の傾きを感じる平衡胞という器官があります。
平衡胞は頭部軟骨の中にある小さな部屋で、その中には平衡石という小さな固い粒が入っており、これが転がる向きによって体の傾き方向を検知します。
平衡石は1mmに満たない大きさです。
参加者の皆さんにはまず頭部軟骨を取り出してもらった後、平衡胞を切り開き、実体顕微鏡でのぞきながら平衡石を探してもらいました。
難しい作業ですが、今回の実習では全員が平衡石を取り出すことに成功し、お土産として持って帰って頂きました。
一通りスルメイカの解剖を終えた後は、オプションとして「スルメイカの循環系の着色」「コウイカの解剖」「マダコの解剖」のいずれかを希望者にして頂きました。
循環系の着色は食紅で色をつけたゼラチン水溶液を血管に注射します。
コツがいる作業ですが、挑戦された一人の参加者の方が成功し、鰓心臓や主要血管を可視化できました。
室内実習は、他にもたくさん予定されています。
予約が必要な行事ですので、参加ご希望の方はコチラをチェックしてください。
一度参加された方は補助スタッフとしてのご参加もお待ちしております。