テーマ別自然観察会「大阪平野のゼロメートル地帯を歩く」
5月12日(日)にテーマ別自然観察会「大阪平野のゼロメートル地帯を歩く」を実施しました。博物館と地学団体研究会大阪支部との共催で、大阪市立大学の三田村宗樹教授を外部講師にまねいて、デルタ地帯にできた都市・大阪の特徴と地盤沈下の原因とその影響、高潮・津波対策などについて見学しました。
普通の観察会とは違い、JR大阪難波駅という街のど真ん中で行事は開始しました。
道頓堀川沿いを歩くと、川の中に橋脚のみが残されたところがあります。これは地盤沈下のため橋の高さが低くなって、橋が架け替えられた名残です。
木津川にかかる大正橋のたもとには「大地震両川口津浪記石碑」が建っています。これは江戸時代の安政地震による津波被害を後世に伝えようと、150年以上前に建てられた石碑です。大阪も大きな津波が襲われることがこの石碑から読み取れます。
アーチ状の木津川水門は、大阪を高潮被害から守っています。実際に、昨年の台風21号で高潮が発生しましたが、この水門のおかげで広く浸水することはまぬがれました。
コースの何カ所かで水防碑が見られました。水防碑の背面に、なぜこの場所に水防碑があるのかが書かれています。みなさんの家の周りにもこのような碑はないでしょうか。あればぜひ裏面を見てください。
デルタ地帯にできた都市である大阪は、今でも渡し船が残っています。この船は「道路」の扱いなので、乗船が無料です。ほんの数分の乗船ですが、水の都・大阪の一端が感じられる風景です。
大阪が地盤沈下や高潮にどのように対策をしてきたか、そしてそれはがもともとデルタ地帯にできたという立地や都市の発展との関係していることがよく分かる観察会でした。