(2005年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、2006年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、
2007年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月)
アカガエルの卵塊、には少し遅いので、オタマジャクシを探しにいった。山際の田んぼに、棚田の奥に水がたまっていないかを確認して歩く感じ。上がったり下がったりの繰り返しでけっこう疲れる。さらに疲れることに、アカガエルはさっぱり見つからない。
先週は能勢町、今週は豊能町を狙っている。昨年探したけど見つからなかった。という報告を受けて、ふふん俺様なら見つかるぜ。と威張ってやろうと思って、調査に出掛けた。昔の生息記録はあるので、見つかるに違いないと思ってでかけた。
だが、結果は、昨年の報告とまるで同じ。さっぱり見つからない。山際の田んぼの周辺に水がないわけではない。ものすごく水が多い場所すらあった。けど、アカガエルは見あたらなかった。何かの理由で絶滅してしまったのだろうか?
などと思っていたら、ある場所で見つかった。いい感じの場所ではあったが、卵塊やオタマジャクシがいたのは、山林からかなり離れた場所。というか、その辺りには水たまりと言えばかならずヤマアカガエルのオタマジャクシがいた。いるところにはいくらでもいるらしい。それにしても、いる場所が予定と違いすぎる。
大和川水系で調査したときのイメージでは、ヤマアカガエルが産卵するのは、5〜20cm程度の面状の止水が冬にある場所。さらに山林に近い場所に限られていた。
ところが、淀川水系。というか北摂で見つかるヤマアカガエルの産卵場所は、深めの止水あり、山林から離れた場所あり、水が流れる溝にすら生んでいた。一方で、ヤマアカガエルが産卵しそうな場所が拡がっていても、生んでない場所も多い。産卵場所への嗜好性は低くて、そのエリアで生き残れたかが重要のような印象。水系によってそんなに違っていていいんだろうか?
今シーズンはあまり調査できないままに終わってしまった。来年こそは、能勢町や豊能町でアカガエルを見つけて、自慢する予定。
今日はボラ祭りの2日目にして、最終日。昨日よりは手際がよくなった。午前4回、午後13回の興行を行って、参加者数は116名。全体の参加者が125名とのことなので、大部分の人は寄っていってくれたらしい。
某知人Sの娘さんは、昨日参加して気に入ったらしく、さっそく家で同じ物を作って、家の中に紐を張って動かしているそうな。お父さんが博士役で、お母さんが別の博士役? と役割を振られるらしい。完全にワークショップごっこ。紐をつかって動かすだけでなく、ワークショップの導入という設定自体を気に入ってもらえたらしい。なんかわからんが、よかったよかった。
打ち上げは、外で夜桜の花見という意見もあったが、寒いし、そもそも雨がザーザー降っているので、花見は中止。
会場では、各班が自分のところの出し物をやってみせてくれた。リハーサルは見ていたのだが、2日間の経験のおかげで、出し物の内容はかなり洗練された感じ。一方で、終わったとたんに導入の手順や内容を忘れて、グダグダだったりもして、とても面白かった。
ちなみに、リハーサルでも打ち上げでも、進行を邪魔するような合いの手、質問への応答が多い。よく言えば鍛えてあげるため、実は困らせて楽しむため。
実際のワークショップの現場では、そんな感じの悪い子どもは皆無に近い。みんな質問に素直に答えてくれるし、指示にもちゃんと応えてくれる。みんなで博士を呼んでね。せーのー。博士ー!って感じ。そして、素直に楽しんで帰ってくれる。みんなとても可愛い。
不思議な事に、意地悪な大人の反応よりも、素直な子どもの反応の方が、やり手を育てているように思う。誉めて育てるというか、北風より太陽ってことなんだろうか。
そんなわけで、ボラ祭りだけでなく、WSボランティアの第1期が終わった。引き続き来年のボラ祭りを目指す人もおり、友の会に参加してくれる人もおり、同窓会までできたらしい。大学生をどんどん巻き込むという方向性の足がかりはできたような気がする。
【追記】
Sさん娘は、観客役ではなく、自分が導入役をするんだったのか…。10数年後には、ぜひ実践を。
今日はボラ祭りの日だった。一日、受付をしていた。担当コーナーの参加者は、合計72名。
5名集まったらスタート。といっても、7名集まったら、7名でスタート。3名しか集まらなくっても、あまり待たせるのも悪いので、3名でスタート。結局、博士の出番は15回もあった。博士お疲れさま。
5名集まれば随時スタートというのは、運営側としてはかなりやりにくいと思った。いつ5名になるかわからないので、申込者にはその場で待ってもらわなければならない。でも、随時スタートを謳ってるのにあまり長くも待たせられない。
15分に一度、5名以上集まったらスタート。とした方が、運営側も参加者もわかりやすくてよかったと思う。
当たり前だが、柱に水糸をこすり続けると、糸は切れる。けっこう簡単に切れる。柱をツルツルなめらかに加工できればいいのだが、それは難しい。布やテープを巻くのは滑りが悪くなって遊びにくそう。
糸はもつれるという問題も含んでいる。いったんもつれると、下からでは戻せない。ただせさえ人手が足りないのに、上からのケアも必要になる。凧糸は切れにくくていいのだが、もつれやすかった。
摩擦に強く、切れにくくて、もつれにくい太めの糸を探しておけばよかった。
その他、ローテーションを含め、反省点は多数。準備が不足していて、人手が不足しているのは明らか。それでも他の班からのサポートを受けつつ、なんとか初日終了。明日もがんばるぞ〜。
今日は、自己紹介の必要性を、じっくり考えた。挨拶や儀礼の類は苦手で、そんなもん必要ないと思っていたが、少なくとも自己紹介という儀式(挨拶か?)は必要であるという認識を得たので、ここに記しておこうと思う。
相手と仲良くなりたい時には、自己紹介をする必要があることはよく理解されているように思う。合コンとか面接とか。でも、自己紹介が必要な状況にはもう一つあって。それは相手から情報や物、労力などを引き出したい時。たとえば質問に答えてもらう時。
質問される時、自己紹介がないと困るのは、いったいどういう意図で質問しているかわからないから。どこまでの知識を持っているかわからないから。ものすごく的確に質問してくれれば、別に問題はないのだけれど、ほぼすべての質問は的確ではない。質問者自身何を尋ねるべきかわかっていないことがほとんど。自己紹介があれば、質問者がわかっていない部分も含めて、深く多方面から答えることができる。自己紹介がなければ、表面的にさらっと答えざるを得ない。あるいは答えられないとか。
たとえば、こんな状況が生まれる。
なにわホネホネ団について伺いたいのですが。
はいはい。
………(相手は、答えを待っている)。
………(こちらは、なにわホネホネ団の何を尋ねてるのかわからないので、さらに質問が補足されるのを待っている。なにわホネホネ団の何から何まですべてを答えるなんてできない)。
哺乳類の標本はどうやって集めるのですか?
はあはあ。
………(相手は、答えを待っている)。
………(当然死体を拾ってくるのだが、そんなことは当たりなはず。どうやって死体を集めるのかを尋ねてるのか? いろんな人に声をかけて拾ってもらうというのも当たり前っぽい。いったい何を尋ねてるのか? で、こっちは質問が補足されるのを待っている)。
相手が子どもなら、何にも知らないだろうという前提で、一から答えただろう。でも、すでにネットである程度情報を収集してそうな同じ業界人相手に、どう答えろというのだろう?
なにわホネホネ団についてどの程度知ってるのか、哺乳類の死体を集めようとした経験があるのかどうか。質問のバックボーンがわからないと答えられない。
という具合に、自己紹介は必要だなぁと実感したのであった。今度、知らない人の混じってる呑み会でもあったら、自己紹介をして何か話してみよう。とは思うのだが、もちろん思ってもできないだろうな〜。
今日は、クモの研究者の採集行に同行した。同行したといっても、クモ採集はお任せして、こちらはカエルを探したり、哺乳類のフィールドサインを探したり。カエルや哺乳類は探すポイントがある程度絞られてくるので、要所要所をチェックしていく感じ。一方、クモはどこにでもいて、どこででも採集が盛り上がる。捕虫網でスイーピング、傘を逆さにしてビーティング、そして、落ち葉を篩う。いつ見ても忙しそう。
こっちはどっちかと言えば暇なので、どんなクモが取れているかをのぞきに行く。いらん質問をするから、けっこう迷惑だったに違いない。いろいろ教えてもらってけど、覚えられたのは2点だけ。
普通の田んぼの間を歩いている時、田んぼの脇にわずかに残っているススキの穂からクモを採集。とたんに嬉しそうになった。訳を尋ねてみたら、ナカムラオニグモを採ったらしい。見せてもらっても普通のオニグモの仲間にしか見えない。何が嬉しいのかと尋ねると、大阪では70年ぶりの記録なんだとか。
驚いた。クモ研究者なんだからナカムラオニグモと同定できるのは当然として、それが珍しいというのはいいんだけど、70年ぶりの記録ってわかるとは…。なんでわかるのかと尋ねてみると、そういう報告を読んでるからとの答え。どんだけ。
大阪でツメナガホオジロが出たら、メッチャ珍しいのはわかるけど、何年ぶりかはすっとは出ないぞ。確認するには、帰ってきて文献をひっくり返すしかない。クモの文献は多くないのかも知れないけど、すごいな〜。
ビーティングして虫がいっぱい入った傘をのぞかせてもらった。シロカネグモ、サラグモ、エビグモなどの仲間が入っていて、順に種名を教えてくれた。これは、まだ記載されてなくて新属新種。なんとなく見ていたけど、新種の言葉に惹かれて真面目にみようとする。白くて小さいクモがいた。そもそもこんな小さいクモは言われないと気付かないし、これで成虫というからいっそう驚く。ヌノカケグモ科の一種とのこと。
今日の一番の目的は、このヌノカケグモ科の別の種を見つけることらしい。小河川の上にかかった常緑広葉樹をたたいたら採れるとのこと。どこかで探してみようと思う。が、採れても気付かない公算が大。
珍しいクモや未記載のクモが次々と採集されていくので、一緒に行っていた虫屋が羨ましそうであった。ダニやトビムシなど研究者・採集者の少ないグループをすれば、新種くらいいくらでも採れる。と、教えてみたが、そやつは、カミキリムシが採りたいらしい。近所でそんなメジャーなグループの新種を出したいとは厚かましい。
今日は、いろいろと会議があったが、一番覚えているのは、カエルTシャツのデザイン。簡単な話と思っていたら、意外と難しい。
何が難しいかといえば、大阪には13種のカエルがいるのだけれど、どうせなら全部入れたいと思ったりするからである。カエルだけならともかく、オタマジャクシも卵も入れたい。となると、小さな絵がウジャーと入ることになる。何の絵かわからない…。
かといって、カエルの卵Tシャツは言うまでもなく、オタマジャクシだけのTシャツが売れるとも思えない。となるとカエルのカエルだけにしぼるか? しかしデザイナーは、カエルの生態や生活を入れたい〜、などと無理な希望を捨てきれない。
種数を減らすという案もあったけど、5種とかだけを選ぶのも変な感じ。それなら1種だけにするか、アオガエルTシャツにするとか。
カエル13種を並べて、それを着ていったら図鑑代わりになるといいな〜、と思ったけど難しいか。
けっこう長い間、生態学めいたことに関わってきているわけだけど、個体群生態学にはできるだけ関わらないようにしてきた。たぶん生命表との出会いに問題があったに違いない。ロジスティック曲線との出会いは悪くなかったんだけどなぁ。
そんなわけで、生存曲線というものの存在は知っていたけど、真面目に考えたことはなかった。しかし、のっぴきならない事情(これをSの陰謀と呼ぼう)で、関わり合いを持つことになってしまった。代表的な生存曲線の形が3つ、それを一つのグラフにひょいひょいと並べたもの。そう生態学の教科書に必ず出ているあれ。あれを真面目に眺める事になってしまった。そして思う。生存曲線は思いのほか奥が深い。
縦軸
縦軸は対数軸なのね。死亡率の時間変化を示していたのかー。一直線に減少しているのは、同じ割合で死んでいくってことになるのかー。というのを初めて知ったことからも、いかに個体群生態学に疎いかがよくわかる。
横軸
複数種の生存曲線を比べるには、何かの基準で横軸のどこかをそろえる必要がある。横軸を一つの時間軸でとると、平均寿命の長さの差ばかり目立ってしまい、肝心の曲線の形の違いが目立たない。じゃあ、何でそろえるかというとけっこう難しい。いろんな教科書をながめると、平均寿命でそろえて、それまでの何割かで横軸をとることが多いらしい。一方で、成熟年齢をそろえている図もあった。平均寿命と成熟年齢のどちらを採用するかで、かなりイメージが変わってくる。生存曲線をみるときは、その横軸に注目なのである。
ガー子はハシボソガラス。別にカラスとクロテンの対決の話ではなく、ちょっとした自分的新発見を二つ。
久しぶりにガー子にあった。昨年4月のイベント以来。あいかわらず可愛く、そしてあちこちに糞をまき散らす。
また当分会えないだろうから、手に乗せたり肩に乗せたり頭に乗せたりして遊んだ。目をつつきに来ないのは安心なのだけど、手をかみにくる。けっこう痛い。その時気付いたのだが、ガー子の口の中は、嘴の中辺りは黒いのだけど、喉の方はかなり赤いままである。ガー子が飼われるようになって5年ほど。どう考えてもとっくに成鳥。ハシブトガラスの成鳥は喉の方まで黒くなるのだが、ハシボソガラスはそうではないらしい。
北海道から送られてきたテン類を出してきた。本州ならテンしかしないのだが、北海道だから。調べてみるとクロテンであった。初めて見た。尾率は約35%。尾がものすごく短い。そして、足の裏に肉球がない。皮を剥いた内側も見せてもらった。やはり肉球はない。ウサギの足みたいな感じ。で、足の接地部分の後ろ辺りに、妙に堅い毛が生えている。肉球に代わる滑り止めなんだろうか?
ガー子は飼い主が飼えなくなるので、新しい里親を探しに来ていた。めでたく六甲山の山の上に行くことになったらしく、そのまま
引き取られていった。今まで何度か会った時は、ほとんど鳴かない子だったのだが、今日は、ハシボソガラスらしく頭を前に出して、ガーガーとよく鳴いた。家でもあまり鳴かないらしく、飼い主も不思議がっていた。新しい家に引き取られて行くことを気付いていたに違いない。ドナドナドーナドーナー。いやいや、飼育環境はむしろよくなるはず。
今日は、鳥の調査についての勉強会があった。といっても大したものではなく、今日のところはとにかく体験してみよう。ということで、外に出てツグミの行動観察。すぐに見えなくなるので、みんな困ったらしい。また、とにかく自分で調査を始めてみよう。ということで、7月までの間に、なにかしら研究計画を立てて、簡単でいいので鳥を観察したデータをとってくることに。
順々に思いついた研究計画(多くの人はその場で適当に思いついていたらしい)を発表して、コメントをもらって、宿題を持って解散した。さて、何人が7月にデータを持って集まってくるだろう?
その場で、思いついた研究計画。行動観察より個体数を数えるタイプのが多い。歩いて調査より、定点調査が多い。そして、季節柄かサクラを題材にしたのが多い。
サクラに来る鳥を調べると言えば、この季節、まずは花に来る鳥を調べることが考えられる。花に来る鳥は二つに分けられる。
◆花の蜜を吸いに来る鳥を調べよう
普通に考えれば、ヒヨドリとメジロ。サクラの木にやってくる鳥の種類・個体数・滞在時間・訪花数を記録すればいいのだが、これはかなり難しそう。サクラの花はまだだけど、すでに咲いてるアンズの花を見てみた。メジロとヒヨドリが群れでやってきてるし、メジロは次から次への花を訪問している。1羽のメジロを追いかけるだけで精一杯。その上、ポリネーションについて調べるなら、昆虫が来るかどうかも調べておく必要があるだろう。できるんだろうか? 1本のサクラの木ではなく、木の一部の枝だけを観察した方がよさそう。
◆花を落としにくる鳥を調べよう
サクラの花の根元を切って落とすという例の行動。これはスズメが犯人と言われているけど、そんなに定量的に調べられているわけではない。もしかしたら他にも犯人がいるかも。ってことで、サクラの木の前に陣取って、スズメを中心にその行動観察。やはり鳥の種類・個体数・滞在時間・落とした花の数を記録すればよさそう。その他、そもそもスズメがサクラの木でどんな行動をしているかも観察して記録してみたらいいだろう。
この調査に関しては、定点観察ではなく、サクラの木の下に落ちている花の数を数えるという方法でも調査できそう。いろんな場所のいろんなサクラの木の下をチェックして、どんな場所でたくさん落ちているか、あるいはまったく落ちていないか。落ちていなければ、それは何が関係しているのか。
サクラの花の時期はとても短いので、充分なデータが取れるかが大きなポイントになりそう。
花が終われば、次は果実。
◆果実を食べに来る鳥を調べよう
これは昨年少しやってみた。果実をつけたサクラの木の前(というか下)に陣取って、1時間。やはりやってきた鳥の種類・個体数・滞在時間・食べた果実数を記録した。5月後半にはヒヨドリが多く、ペアでやってきていた。それが6月前半には、ヒヨドリはペアではなくなり、ムクドリが巣立ちビナを連れてきたりした。いろんな場所の傾向を調べると同時に、時期による変化を調べるとおもしろそう。地域差としては、完熟の真っ黒な果実がある場所と、熟したとたんに食べられる場所の違いが気になるところ。
データとしては、やってくる鳥のデータだけではなく、観察木の果実数と塾度の記録も必要だろう。
◆虫を食べに来る鳥を調べよう?
あまり考えていないけど、当然これも考えられるかも。マイブーム的にはヒロヘリアオイラガがいるなら、それを食べに来るか。コゲラやシジュウカラが食べに来るかが知りたい。
この他の用事で、鳥がサクラに来ることって何があるかな。休憩、ねぐら、営巣場所ってところ?
いくつかのため池を自転車でウロウロした。
すでにカモ類の個体数は減少気味に思える(毎月のカウントデータがあるのできちんとした数字で話をすればいいのだが、整理ができていない…)。一方、ハシビロガモはこの春先に個体数を増やしているように思う(これまたきちんとしたデータで…、以下同文)。ハシビロガモと他のカモ類では、春の渡りの時(or直前)の地域の移動の仕方が何か異なるのかも知れない。これはきっと日本各地で、毎月同じ場所(それも一定面積のため池や河川をおおむねカバーしてる方が望ましそう。地域内での移動の影響を排除する必要があるし)のカウントデータがあれば、評価できそう。だが、そんなデータはあるのだろうか?
とまあ種間の違いがありそうな一方で、カモ類に共通するパターンもある。この時期になると、圧倒的にオスとメスのペアで動いている個体が目立つのだ。これは、カモのカウントをする時に、群れサイズと群れ構成を記録しておけば、明らかになるのだが、面倒なのでしていない。といっても、全個体がペアになっているわけでもない。独身らしいオスの集団には、なぜか仲間意識を持ってしまったりする。ハシビロガモの場合、綺麗な雄と、汚い雄(若いの?)で、ペアになっている割合が違うのかも気になるところ。
とある古墳に着いたら、双眼鏡を持っている人がけっこういた。その先にはオシドリの群れ。水量が少し少ないからか、春先だからか、いつものように墳丘際の陰ではなく、開水面に出てきていて、とても見やすい。観客からは、そろそろ一斉に北に旅立つ頃合いだけど、みたいな発言があった。毎年の観察に基づく発言なんだろうか? オシドリがある日、一斉に飛び立って北に向かう。なんて行動をするとは知らなかった。
そのオシドリ達も、オスとメスのペアになっている個体が多い。冬の間からペアはいたけど、ペアの割合が多くなってる気がする(データはないけど)。オシドリ夫婦といういい方は嘘で、オシドリのつがい関係なんて、あってないようなもの。などと、よく言われるのだが、この光景を見ると、オシドリ夫婦という言葉があるのもうなずける気がする。少なくとも、この越冬地にいる間だけはオシドリ夫婦で、人はそこだけを見たのかも知れない。
午前中からの雨があがったので、裏庭に出てみた。池をのぞくと、ボウフラがたくさんいた。イトミミズもたくさんウニョウニョしていた。春だなぁ。アイガモはまた卵を産んでいた。せっかくなので持って帰ってきてゆで卵にしてみた。うまかった。
表にも行ってみた。池に見知らぬコブハクチョウが2羽いて驚いた。どこかから飛んできたのか。それとも誰かが放したのか。コブハクチョウを喜んで見ている人もいた。いまどき大阪の池にハクチョウが浮いているのは、とても不自然なものだと思うのだけど。他にいろんなカモが浮いてるし、その他の水鳥も色々といるのだから、それで充分だと思うのだけど。池にハクチョウがいると嬉しいと思う人はいまだに多いのだろうか?
コブハクチョウで少しげんなりしたけど、池から離れると、色々な木々の花が咲き始めていて、いつの間にか春がやってきた感じ。ボケやサンシュユは目一杯咲いてるし、アンズの花も上の方から咲き出した。メジロの群れが、めざとくアンズの花にやってきていた。まだ寒いからアンズの花の送粉者は、おもに鳥なんだろうと思う。
ヒヨドリはもう少し咲いてから来るんだろうか? 思えば、ヒヨドリがたくさんきている時には、メジロの群れは来ていないような気がする。開花の進行に伴って、送粉者の主力が交代するのかもしれない。それが植物にとって何か意味があるかはよくわからないが…。
2003年頃に大阪府下で初めてソウシチョウが繁殖したらしい(もっと前の繁殖期の情報があればお知らせを)。2005年頃から、各地で繁殖期に観察されるようになってきた。いよいよ大阪府でもソウシチョウの定着が拡がるらしい。
ソウシチョウが増えるとウグイスが減るという話がある。どうして減るのかについて、巣での捕食者を介した説明があるけど、いまひとつ納得しにくい…。メカニズムはさておき、同じようにササに巣をかけて繁殖する鳥同士。ソウシチョウが増えたら、ウグイスが減るというのはけっこう納得できてしまう。現に六甲山系の一部では、ソウシチョウだらけで、ウグイスがろくにいない場所が現にある。
シカが増えるとササが減る。近頃、北摂の山間部ではシカが増えて、軒並みササが減ってきている。少なくとも北摂に関しては、シカが増えるとソウシチョウは減るに違いない。
と思っていたら、先日の生態学会大会で、シカが増えたらソウシチョウが減ったという発表があった。もちろんウグイスも減っていた。ササのあるような林の地上で営巣するコルリやルリビタキも減っていた。
他にも、シカの増加が土壌動物相に影響を与えるだの、林床の草本相や実生に影響を与えるだのといった発表が目立った。シカが多い場所ではウサギが少ないというデータも示されていた。競争関係があるんだろうか?
ともかく、シカの影響のすさまじさには恐れ入る。
大阪でのシカの分布は、基本的に北摂の山間部のみ。現時点ではまだ茨木市には入っていない。箕面市で増えたのは比較的最近のことだと思う。という意味では、シカのいる場所、いない場所、これから入る場所、最近入った場所が揃っていることになる。
この4地域で、シカとウサギの糞粒・糞塊調査、ついでに食痕数の調査をして、シカとウサギの個体数を相対評価。ラインセンサスをして、ソウシチョウ、ウグイス、その他林床で繁殖する鳥(ヤブサメとか)の個体数評価。合わせて、ササの密度の評価。
これだけすれば、そして何年か継続すれば、けっこう楽しい研究になりそうな気がする。
ところで、その生態学会大会では、ソウシチョウが増えても、別にウグイスは減らないというデータも示されていた。時と場所によってソウシチョウとウグイスの関係の結果はまちまちで、なかなか奥が深いらしい。大阪ではどうなるんだろう?
学会帰りなので、こんな事を考えてしまう。たいていの植物の送粉系の研究といえば、昆虫の研究になるのだが、サザンカの場合は主に鳥になる。もっぱらメジロとヒヨドリ。
と思っていたら、三宅島のヤブツバキの送粉者を調べた発表では、ヤブツバキの花にくる鳥はメジロが圧倒的に多いのはいいとして、他にヒヨドリ、シジュウカラ、ウグイス、ヤマガラがやってきていた。花粉を付けていた量でいえば、1位はメジロなのだが、2位はウグイス。かなり引き離されてヒヨドリとシジュウカラ。ヒヨドリの貢献度がこれほど低いとは意外であった。大阪の公園で見ている限りでは、ヒヨドリがかなり来てるんだけど…。あと、ウグイスやシジュウカラが花に来て何をしているのかも疑問。もしや虫を食べているのでは? あのツバキの花にいる虫は手頃な餌になるはず。だとすると、虫の存在はヤブツバキにとって、送粉者を引きつけるプラスの影響があるってことになる。なかなか面白そう。
さて、そんなわけで、三宅島のヤブツバキと同じようなことを、大阪の公園のサザンカでできないかと思ってしまった。鳥を捕まえて付けている花粉量を測るのは面倒なのでやめて、発信器をつけて鳥の行動圏を調べるのは大変なのでやめるとしても色々できそう。
・花数の評価:全サザンカの全花数を数えるのは大変なので、いくつかサンプル調査をして、あとは全サザンカの胸高直径を測って評価したらいいだろう。
・花数の時間的変化の評価:つぼみ、ほころぶ、咲く、散るなどとステージに分けて、標識枝の花数を、何度か測ればいいだろう。
・花にやってくる送粉者の評価:標識枝に来る動物(昆虫は来ないことを祈ろう)を数えたらいいだろう。記録するのは、種名、個体数、滞在時間、来た花のステージ、吸蜜回数or時間といったところか。
・結実率の評価:標識枝の花が結実するかを夏にかけて何度か調査ってところか。
実は、標識枝の花数を花期の終わりに数えて、それが結実するかは、すでにけっこう長い間調べている。これを充実させる感じ。ここに、鳥の個体数センサスの結果、各年の果実がなくなるタイミングといったデータを合わせればけっこう面白い話が組めるかもしれない。やるとしたら年末頃から? まあ覚えていたらってことで。
ツバキについてもやってみたいかも。こちらはむしろ虫がいたら送粉者の種類や訪問回数が変わるかどうかがポイントになりそう。予定通りのデータになれば、こっちの方が面白いかも知れない。
【追記】
ツバキは、夜に蛾が送粉している可能性があると教えていただいた。となると、サザンカも? 夜の蛾の訪問も観察しないといけないのか…。その前に、蛾を見て種名がわかるようにならないといけないとか??
むかーしの学会大会は、口頭発表ばっかりだった。その内、ポスター発表なるものが出現し、いつしかポスター発表が主流となった。充分な質疑応答の時間がとれない口頭発表よりも、心ゆくまで疑問点を尋ねて議論ができるポスター発表の方がいいに決まっている。暗い中で退屈な話を聞かされて、ついつい寝てしまう口頭発表よりも、一度に大量の興味ある発表に囲まれて、気が付けば時間が経ってしまうポスター発表の方がいいに決まっている。しかし、一日立ったままでウロウロしているのは疲れる。ふと気付くと、昼食をとる時を除いて、7時間も立ったままだったりした。疲れるだけでなく、腰が痛くなる。
そんなわけで、福岡から帰ってきた。大会は、約3日半。朝8時半から夜8時まで続く。ポスターセッションを含めるなら、一日中ほぼ休みなく続く。今回は実に久しぶりの参加で、思わずフル参加してしまったので、かなり疲れた。
昼間はもっぱらポスター発表を見て歩いた。ポスターセッションは3日間あり、毎日総入れ替え。一日当たり約300の発表が並んでいる(3日で約900!)。今回は広い部屋にけっこうゆったりと一堂に並んでいた。最初一通り回ってみるのだが、とてもではないが全部は見られない。プログラムを見てチェックしておいた発表、見て回って面白そうだった発表を順に見て歩く。というか、せっかくなら演者に説明をしてもらって、色々と話をしたいところ。演者がいなければ、あるいは人が多すぎれば、他に回って再び戻るを繰り返す。聞いた発表見た発表はチェックしてみた。3日間で話を聞いた発表が43題、張ってあるのを一通り読んだのが38題。というわけで、全体の1割弱しか見てないことになる…。
さて近頃は、ポスター発表自体も以前と違ってきている。
まず、たいていの演者は、自分のポスターをA4サイズに縮小印刷したものをくれるのだ。講演要旨にはないデータや図表が載っていてグー。面白かった発表のはできるかぎりもらってみた。
もう一つは、議論をすると名詞をくれる人が多い。参考になる意見を言ってみると、名詞をくれる確率が高まるような気もする。若い人がくれる傾向も強い。知り合いを増やしたいのだろう。男性よりも女性がくれる気がするが、これは気のせいかもしれない。名詞をもらっても、顔と名前と研究内容はそう簡単には一致しない。今度会った時に挨拶されても、確実に忘れているのだけど…。名詞に名前と所属以外に、顔写真と研究内容を入れておくと、もう少し効果があるかも。
久しぶりの学会は、なぜかとても面白かったし、刺激的であった。毎年行っていた頃、近頃の発表はマンネリ化して、面白いのが少ないな〜、と思っていたと記憶するのだが…。きっと、発表内容ではなく、こちらが変わったのだろう。久しぶりで刺激を受けたというのもあるだろうし、なんやかんやで色んな分野に関わるようになってきて、興味の幅も拡がっているからではないかと思う。
以前は、鳥の発表を軸に、種子散布や群集関連を中心に発表をみていた。今回は、鳥だけでなく、両生爬虫類や哺乳類、それどころか淡水貝や甲殻類まで、調査方法を含めて興味深く聞いてしまう。そして、それなりに経験に基づいたコメントができてしまう。種子散布や群集関連だけでなく、外来生物やシカによる環境改変の話も面白い。自分で調べてみようかと思ってしまう。
芸の幅が拡がったってことなんだろう。芸の幅は拡がっても、芸を磨く余裕がなく、芸を披露するになかなか至らないのは残念なところ。
今晩から月曜まで九州に出掛ける。
今年は九州に3回行くことになるのだけれど、その第一弾。第一弾はずっと室内にいることになりそう。邪魔が入らない環境で、ずっと取り残されている例の原稿を少しでも進めたいと思う。
さて、九州へ行くのは、とある学会大会への参加が目的。昨年は、前後に用事があって、結局、出番のある日だけの日帰り参加であった。一昨年は、行けなかった。一昨昨年は、大阪であったので参加はしたのだが、本屋を出していて、満足行くまで参加したとはいいがたい。そしてその前の年も参加できず。考えてみれば、フル参加は実に久しぶり。どうやら6年ぶり…。
今度、いつフル参加できるかわからないので、できるだけたくさんの発表を見てこなくては。などと考えざるを得ないのが悲しいところ。
九州は暖かいのだろうか?
【追記】
結局、原稿は進まなかった。夜はただ本を読んでいた。パソコンを持っていったのに、荷物が増えただけだった。
大和川を自転車で走った。暖かくてとても気持ちがいい。こんな日の調査は楽しい。鳥があまりいないので、調査はすいすい進む。サギ類もカワウもほとんどいないし、カモメも河口以外にはおらず。カモ類は、ヒドリガモとコガモだけといっていい状態で、それもまとまっているので数えやすい。
ふと足下からホオジロ類が飛び立った。大和川のホオジロ類といえば、アオジくらいしかいない。ホオジロすらろくにいないのだ。どうせアオジと思ったのだけど、なんか変な気になって双眼鏡で見てみた。草陰に背中だけが見える。なんかアオジではない。やけに茶色い。と思ったら顔が見えた。ホオアカだった。これはこれは珍しい。
ちょっと得した気分で、しばらく走ったら、また足下からホオジロ類が飛び立った。今度は、声がアオジではない。カシラダカ?と思って見てみたら、ホオアカだった。またホオアカか。2回目は冷たい。
それにしても、大和川でホオアカは珍しい。今年はホオアカの当たり年? それとも春先には出るものなの?
河口についてもカモメ類はとても少ない。なんとカウンターを忘れたのだが、カウンターなしでも数えられる程度であった。よかったよかった。
現時点では、箕面公園(大阪府箕面市)の天然記念物「箕面山サル生息地」にしか、ニホンザルは事実上いないらしい。
と書くと、テレビで、新聞で、自分の目で、箕面以外のニホンザルを見た。という反論が来るかもしれない。ニホンザルというのは、基本的に群れで生活していて、その群れが一定の遊動域ないをウロウロしている。で、群れで生まれた子どもの内、メスはその群れに残り、オスは群れから出ていって、しばらくウロウロ。やがて、別の群れに入っていく。という暮らしをしている。群れから離れたオスザルは、確かに箕面以外の大阪府各地で出るだろう(実際にでてるのは逃げ出した飼育個体の可能性も高いと思うけど)。でも、ニホンザルの群れが定着しているのは箕面公園だけなのだ。
と書いても、いや箕面公園のエリア以外でもニホンザルの群れを見たという人がいるに違いない。たとえば、箕面市のクリーンセンターの辺りとか。そう、それは正解。ただ、その群れ(H群と呼ばれていた)は、今はもういない。約50頭のH群は捕獲されて、現在は霊研だかモンキーセンターだか、岐阜県犬山市にいるらしい。勝尾寺川沿いを走るバスからサルの群れを探しても、近頃さっぱり見つからないのはそういうわけ。すなわち、現時点で大阪で群れが定着しているのは、天然記念物「箕面山サル生息地」にしかいないと言って過言ではないのである。
こんなに断言できるのには理由がある。箕面のニホンザルはものすごくよく調べられているのだ。大学の研究者が調べているのではなく、お上が調べているのだ。なんだかんだで25年以上、間でお金に不自由した時もあったらしいがよく続いているものだ。
続いている理由は簡単。天然記念物だから、文化庁からのお金があるかららしい。これが大阪府や箕面市では続かなかっただろうな。同じ国でも特定外来生物や国内希少野生動植物種ではこうはいかない。環境省より文化庁の方が金があるからに違いない。というわけで、天然記念物への指定には大いに意味があると思った今日この頃。
そんなわけで、文化庁のお金で行われた箕面のサルの調査報告書を見せてもらったのであった。箕面のニホンザルは、H群がいなくなって、4群が残っているらしい。合計600頭弱。その遊動域も個体数もちゃんとわかっているのがすごい。そんなわけで、大阪府内のニホンザル分布図は、一瞬で書けるのである。文化庁さまさま。
そうそう、せっかく捕まえたH群。ぜひDNAを調べて、タイワンザルの遺伝子が紛れ込んでいないか確認して欲しいところ。大阪でタイワンザルの観察例としては、1988年に箕面があるらしい。その後、尾の長いサルの報告はないのだけれど、本当に遺伝的に混じっていないか確認するいいチャンス。
外来昆虫が定着して、一時は増加するのだが、やがて減少していく。その減少の過程に鳥の捕食が影響しているらしいという研究例の話を聞いた。
院生の頃、キジバトの巣に登る必要があったのだが、その時、一番嫌だった相手がヒロヘリアオイラガ。何度も触ってしまい、痛い目にあった。そのヒロヘリアオイラガが近頃は減っているらしい。あの大学構内でもあまり見られないとか。嬉しいような、ちょっと寂しいような?
で、その減少は、どうやら鳥によるサナギの捕食のためらしい。問題となるのは、冬の間の鳥の捕食。想定されている捕食者はコゲラとシジュウカラ。どちらもここ20年位の間の市街地への進出が著しい種。データを見ると、確かにコゲラやシジュウカラがいそうな環境ほど、多くのサナギが喰われている。あるいは早く減少している。
鳥がこれほどまでに、昆虫の個体群に多大の影響を与えるとは知らなかった。鳥による果実の捕食については興味をもって、けっこうデータを採っているけど、鳥による昆虫の捕食についても少し研究したくなってしまう。ちなみにヒロヘリアオイラガを研究しているみなさんは、どんどん鳥の方から研究してして〜、という感じであった。なんて寛大な。本気でパクろうかと思う今日この頃。
聞いた話の大きな弱点は二つ。
まず、鳥による捕食自体をほとんど観察していない点。もっぱら昆虫側のデータばかりとっていて、それはかなり充実しているが、鳥のデータがまるで抜けている。
何より気になるのは、本当に捕食者はコゲラとシジュウカラだけかという点。仮にヒヨドリやメジロ、あるいはスズメなんかが捕食するなら、話はかなり変わってくる。
もう一つは、果たして鳥のようなジェネラリストによる捕食によって、絶滅に至るのかという点。捕食は普通、密度依存的。ターゲットの生息密度が低くなると、採食効率はどんどん下がる。寄主特異性が高い寄生者(つまりスペシャリスト)であれば、密度が低くなってもがんばって食べて、最終的には絶滅に追いやるかもしれない。しかし、ジェネラリストはある種の密度が下がれば、食物をスイッチするだけのはず。鳥がヒロヘリアオイラガを食べ尽くすとは思えない。局所的に絶滅は起こっても(実際に起こっているようだが)、広域での絶滅をもたらすとは思えない。
野外である種が絶滅するためには、密度に関係なくランダムに効いてくるプロセス、あるいは密度が低い時ほど強く働くようなプロセスが必要だろう。遺伝的な浮動なんかは、密度が低いほどよく働くメカニズムの候補。そして、他の候補として、近頃は種間の繁殖干渉というのが注目されているらしい。
鳥の側から気になるのは、ヒロヘリアオイラガが市街地周辺で大発生したのが、コゲラやシジュウカラの市街地進出の引き金を引いた可能性。ヒロヘリアオイラガは、西から拡がって、関西で増えたのは1980年頃かららしい。一方、コゲラやシジュウカラの市街地への進出は1980年代以降。でも、コゲラはまず東京で市街地進出を果たしたはず。ヒロヘリアオイラガの増加のタイミングと一致しているようでいて、ずれているようでもある。ただ、全国で近い時期に市街地進出をした背景に、市街地での外来昆虫の増加があるというのは、けっこう魅力的なアイデアではある。でも、そうだとすると、じゃあキジバト、ヒヨドリ、メジロ、カワラヒワの場合は? という疑問が残る。
今日は鳥の観察会をした。顔なじみの子ども達もいる中で、初めて来た男の子がずっと一緒に歩いていた。
最初は鳥の話をしていたと思う。でも、モズを望遠鏡でのぞきながら、何かお経のようなのを唱えている。それは何かと尋ねたら、JR阪和線の天王寺から和歌山までの駅名を唱えていたのだった。モズから百舌鳥駅を連想したらしい。
そこで、すごいな〜、と言ったのがいけなかった。今度は南海本線を難波から和歌山市駅まで言ってくれた。そして南海高野線、JR環状線。あとJRは東京ー新大阪間の新幹線が言えるらしい。でも、近鉄、阪急、阪神、京阪はできないとか。その代わり、南海加太線と多奈川線は言ってくれた。
ほかは? と言ったのも行けなかった。今度は日本全国の城の名前を北から南まで言ってくれた。なんでも現在天守閣がある城限定らしい。
そして、頼んでいないのに、世界の国の首都の暗唱が始まった。これがわけがわからん順番。アイウエオ順ではなく、地域ごとでもない。覚えやすい順との事だった。なにがどう覚えやすいのかわからない。で、突然ある国の首都を尋ねても、まだそこまで行ってないからわからんと言われる。実用性が低い…。
できれば、今度来る時には、日本の鳥の種名とか、世界の哺乳類の名前を暗唱できるようになってきて欲しいな〜。一応、お願いしたけどどうかな? でも、きっと分類順ではなく、覚えやすい順で覚えてきたりするんだろうな。
今日は、夕方から会議が二つ。どっちも哺乳類の会議。まるで哺乳類屋のようである。で、二つめの会議は、前半が編集会議で、後半は調査会議であった。では、どうやってネズミの分布図を作ったらいいか、みんなで考えてみよう。
で、考えた。
大阪にいるネズミは、アカ、ヒメ、ハタ、スミス、カヤ、ハツカ、ドブ、クマ、ヌーの9種(哺乳類屋ではないので、分類順は気にしない)。この内、カヤとヌーは、巣や姿で調査を進めているところ。問題は残る7種。これは捕まえるしかない。
まず、シャーマントラップをあちこちにかけまくって、野ネズミを採集してみる(実はすでに捕獲許可は取得済み)。アカ、ヒメ、ハタ、スミスはこれが軸になるのかも。これからネズミを研究するから、調査地を探そうとしている院生なんかがいたら、うまいこと言ってあちこちで捕獲調査をしてもらおう!
次に、自宅周辺でねずみ取り(とくにネズミホイホイ)をかけたり、ゴキブリホイホイにネズミがかかってしまったりしたのを、もらう算段をしよう。とりあえずネズミが捕れたら送ってくれ〜、と呼びかける。家ネズミのみならず、農家の人ならけっこう野ネズミも捕れてしまってるはず。もしかしたらジネズミまで。
そして、ネズミの駆除業者に、捕まえたネズミをもらう算段。ネズミはくれるかもしれんけど、位置情報までくれるかがポイントになりそう。大阪府の地図にプロットできるだけの位置情報でいいからもらえないかな?
ってわけで、いよいよ手分けして、ネズミ調査。関係者のみなさん、よろしく。でもって、家でネズミを捕る機会のあるみなさん、捕まえたネズミをください。ドブネズミでも何でもください。
を熱心に始めて半年ちょっと。分担して川沿いを歩いて探すのはあっさり挫折したが、それなりに情報が集まり、けっこう充実した分布図になってきた。特定外来生物でもあるので、あまり充実した分布図が作れる(=各地で確認されている)のもどうかと思うけど、分布図を作るという作業だけから言えば、点々が増えるのは嬉しい。
ヌートリアは、けっこう目立つので、フィールドサインではなく、実物をばっちり見ている人が多いのが特徴。哺乳類としては珍しい。でも、色んな人が色んな状況で見てるので、きちんとしたデータが集まらず、あの辺りにいるらしいで〜、という曖昧な情報のみを受け取ることも多い。
そんな中で、今日は、大阪市北区中之島、堂島川の情報を入手した。教えて下さったTさん、ありがとうございます。Tさんによると、少なくとも2004年にはいてたらしい(いかだの上に乗っているのが見られたそうな。そう例の「ゆかいな仲間たち」の看板そのまま!)。でも、近頃はいないとか。気になっていた場所なので、確実な情報が得られて嬉しい。
そこで、話は聞いてるものの確実な情報が得られていない場所をリストアップしておこう。そこでヌートリア、あるいはでっかいネズミ、あるいはビバーorカワウソみたいな動物を見た方がいたら、観察日(できれば年月日、少なくとも年)と観察場所(できるだけ詳しく)を、ぜひお知らせください。
・能勢町稲地:地元の人に教えてもらった。2〜3年前くらいから幼稚園の子ども達がよく見てるとの話。その人自身は見てないとのこと。だれか近くの方、夜に散歩しましょう!
・豊能町川尻の余野川:夜8時頃なら毎日見られるとか。見に行こうかと思案中。
・茨木市北部:能勢町や豊能町と同じく、茨木市北部の山間部でもヌートリア情報があるとSerowさんが言ってた。詳しい情報をくれと言って、はいはいと返事があったのに、それっきり。わかる人にはわかるだろう。
・道頓堀川のリバープレイス辺り:かつては草が生えてる一画があったので、その辺りと思う。新聞にも載ったはず。目撃者は多いと思うんだけど…。
・阪南市の男里川とその支流:阪南市桑畑で確認されているらしい。現在詳細を問い合わせ中。そういえば、以前から男里川のヌートリアの噂がある。本当にいるのかもしれない。
・岬町の山の中の池:これは随分以前の情報だけど、岬町の山間部の小さな池だかで、ヌートリアらしき足跡があったとか。その時は、ヌートリアが山間部にいるはずがないと思っていたので、聞き流してしまった。アライグマやハクビシンの足跡の誤認の可能性も高いと思いつつも、今となっては気になる情報。
・その他、大阪平野を流れるいろんな小河川(どっちかと言えば、汚い水が流れている水路?)にもきっといると思うのだけど、情報がない。木津川、尻無川、正蓮寺川、安治川、土佐堀川、寝屋川、恩智川、平野川。箕面川、千里川、山田川、大正川。穂谷川、天野川。などなど。
少なくとも能勢町や豊能町にはすでに広く分布しているらしい。茨木市北部にいてもおかしくなさそう。高槻市はまだ摂津峡より北の情報はないが、入ってないとは言い切れない。
そして、どうも大阪府南部(大和川以南)にも徐々に分布を拡大しているらしい。もしかしたら、すでにかなり広く生息しているのかもしれない。
淀川水系の下流部での対策はすでに出遅れてる感が強いが、山間部と大阪府南部については、まだ間に合うかもしれない。
彼らに水質は関係ない。細い川でもぜんぜん平気。どっちかと言えば夜行性だけど、昼間もけっこう動く。つまり川であれば、いつでもどこでもいる可能性あり。とにかく、川を渡る時は、水面を見て大きなネズミが泳いでないか、岸辺にでっかいネズミがボーッとしていないか、注意して見てみよう! もし見つけたら、すぐにご連絡を。
今日、植物園の果実を見回った。果実がなくなったと判断してもいいと思う。週に一度しか見てないので、今日なくなったというよりは、この1週間の間にとうとう食べ尽くしたというのが正確。そもそも先週の時点で、ほぼなくなってたのだけど、観察してる木の内4本だけ、ちょっとずつ果実が残っていた。クスノキ、クロガネモチ、トウネズミモチ、モチノキがそれぞれ1本ずつ。今日は、それがクスノキ以外きれいになくなっていた。クスノキも果実が3個残っていただけ。このくらいは見逃そう…。
果実はなくなったけど、まだ花には少し早い。サザンカとウメは咲いてるけど、モモやアンズ、モクレンの類はまだ咲かない。ボケとサンシュユもつぼみがほころびはじめたくらい。
これは、ヒヨドリにとって、食べ物がとても少ないことを意味する。ヒヨドリは地上の草の葉なんかを食べ出している。
植物園はこの辺りでは突出して大きな都市緑地。東京でも同じ事が言われているが、大きな緑地ほど早く果実がなくなるらしい。きっとまだ小さな公園や街路樹なんかの果実は残っている。このタイミングだと、各地にちょっとずつ残っている果実を食べているうちに、花の季節がやってくる。
というわけで、今シーズンのヒヨドリの多くは、果実から花・蜜に食生活をシフトするだけで冬を乗り切れると予想される。したがって、畑の葉っぱ野菜がヒヨドリの食害を受ける程度は低い予定。
といいつつ、やたらと葉っぱ好きのヒヨドリもいるから、安心はできないんだけど。
イギリス帰りのお兄さんにもらった。他に「Guide to wetlamd birds」というのと「Guide to the `top 50` garden birds」というのももらったけど、こちらはただの図鑑の切り貼りめいたもので、さほど嬉しくない(くれたお兄さんには内緒だが)。でも、「A guide to British bats」は、かなりいい感じ。
この冊子、B5サイズで8ページなのだが、蛇腹に折りたたまれていて、B4縦2枚をつなげたサイズに拡げて見るようになっている。両面フルカラー。
イギリスに生息するコウモリは全部で16種。表側はこの絵解き検索になっている。ゴールには、コウモリの可愛いカラー写真。大部分は捕獲時の画像らしい。これさえあれば、手にしたイギリスのコウモリの識別はばっちり。
裏側には、コウモリ全般の解説と一緒に、各種の解説が一覧表で載っている。載っている項目は、分布、翼開長、ねぐらのタイプ、日の入り後何分で飛び始めるか、飛び方、飛ぶ環境、声(ソナグラム、ピーク周波数、周波数レンジ、声の持続時間)などが載っている。
いつ頃、どんな場所を、どんな風に飛ぶかというのは参考になりそう。声についての解説も詳しい。
日本でもこんなのを作って欲しいな〜。
さて、この冊子を出版する企画は、AIDGAPというプロジェクトで行われているらしい。AIDGAPとは、Aids to
Identification in Difficult Groups of Animals & Plants。そんなプロジェクトが立ち上がるとは、さすがはイギリス。コウモリの冊子は、The
Mammmal Society。鳥の冊子は、BTOとRSPB、WWT。それぞれその筋の団体と一緒に、FSC(Fields Studies
Council)がスポンサーになっているらしい。みんな、お金があるんだね。
『大阪府植物目録』という本がある。本というか自費出版の冊子のようなもの。1990年に近畿植物研究会の創立60周年(!)を記念して出版されたものだそうな。著者は、桑島正二氏。もしかしたらお会いしたことがあるのかもしれないけど、よくわからない。とにかくこの本には、大阪府で記録されている種子植物1760種とシダ植物223種がリストアップされていて、それぞれに大まかな生息地名と、さらに大雑把な生息環境が添えられている。『大阪府植物誌』(堀勝、1962年)を増補改訂したものだそうだが、とにかく力作である。
200ページ弱の冊子ではあるが、大阪の植物に興味のある人は必携といってもいい労作。これが、わずか2000円。安い! というわけで、ショップに置くとけっこう売れる。売れるのになぜか品薄。
とにかくショップで置き始めた段階で、出版元には在庫薄だったらしい。とりあえず、なぜか預かっていた7冊をすぐに売り尽くしてしまい、追加を発注したら、在庫はないと言われる。言われたのに、しばらくしたら3冊入荷した。なぜ? なぜかは知らんけど、入荷したなら売る。すぐに売れる。もうないのかと問いあわせると、また在庫はないという返事。なのに、また3冊見つかる。またすぐに売り切れる。
そんなわけで、微妙に幻の本状態。ここんところ品切れていたのだが、なぜか今日4冊入荷。今度こそ、これで最後と言われた。というわけで、入手希望者は大急ぎで購入のこと。早い者勝ち。
ただ、とある場所で大量に発見され、それを仕入れることが可能かもしれないとのこと。もしかしたら、長らく続いていた品薄状態は解消され、投げ売りが始まるかも…。
ところで、大阪自然史センターから『近畿地方植物誌』という本がでている。こちらは村田源大先生の数十年にわたる連載をまとめたもの。きわめて価値は高く、近畿地方で植物に興味があれば、必ず1冊手元に置いておくべき労作。ではあるのだが、いかんせんちょっと高価。消費税込みで3400円。
3400円と2000円。二つが並んでいたら、2000円を買うよな〜。というわけで、『大阪府植物目録』を取り扱うようになってから、『近畿地方植物誌』の売れ行きが落ちたような。『大阪府植物目録』には幻でいてもらった方がいいのかも。
今日、とある呑み会に行ったら、左は土壌動物学会会長さん(仮にWさんと呼ぼう)、右はきしわだ自然資料館名誉館長さんと、左右を御大にはさまれてしまった。というか、その席には御大がゴロゴロしていたから、左右共に御大でも驚くに当たらないのである。
Wさんは、S大学で話をしたら、誰もメモを取らず、話した内容は右から左であると嘆いておられた。同じ轍を踏んでないことを示すためにも、ここに記しておこう。
なんでも、Wさんは元々甲虫屋さんなんだとか。カミキリムシが好きで、もちろん甲虫学会会員。甲虫学会における会員番号が300番台であると自慢しておられたが、それがどのくらい凄いのかさっぱりわからなかった。今までカミキリムシの新種を国内で2回見つけた事があるらしい。沖縄の1種は今も有効だが、北海道で見つけた1種は、サハリンにも分布している種のシノニムであることがわかってしまったとか。ちょっと残念そう。
じゃあ、Wさんは甲虫を研究してるかといえば、そんなことはなく、本職は土壌動物屋なのである。なんで甲虫の研究をしなかったのかと尋ねると、K大学農学部の林学科に入ったかららしい。カミキリムシは林業でも重要な研究多少であろう、と指摘すると。当時のK大学農学部では、昆虫は農生の昆虫研究室のなわばり。林学科は、土壌動物かトビムシやカイガラムシなどしか扱わせてもらえなかったとか(トビムシやカイガラムシならいいのか?)。当時、林学科の教授はS手井さん、昆虫はIさんか? この二人は仲が悪かったんだろうか? ともかくカミキリムシを諦めたWさんは、土壌動物の生態学の道へ進んだんだとか。
それでも、就職してからカミキリムシを研究すればいいやん(この辺りからすでにため口)。と指摘すると、就職時の話題も出てきた。
初めて就職したのは、K大学のA演習林。最初に与えられた仕事は、銃を渡されて、クマの被害を何とかしろというものだったそうな。で、実際にクマを銃で撃ってたとか、撃ったクマの仮剥製をつくったとか、意外とホネホネ団的な過去が暴露された。
その後、頻繁に東南アジアに行くようになったWさん。本職の土壌動物の仕事もしつつ、普通の虫屋が行かないような場所で、嬉々としてカミキリムシを採集してたらしい。他の土壌動物や昆虫も採集しては研究者に渡していたらしいが、カミキリムシだけは自分で標本にして手元に置いていたとか。
でも、定年退官の時に、二人のカミキリムシ屋にあげてしまったそうな。うちにくれたらよかったのに!
人に歴史あり。それはともかく、そんなにカミキリムシが好きなら、カミキリムシを研究すればよかったのに。と思いつつ、もしかしたら一番好きな物は、趣味で続けた方が幸せなのかもしれない。とも思った。
なぜか気になって仕方がないので、書いておくことにした。
近頃は、どこに行ってもご当地検定というのがある。すでに全都道府県にあるんじゃなかろうか? いまや市町村レベルのご当地検定が乱立の様相をみせているらしい。
検定料は、500円程度から3万円まで幅があるようだが、平均的に3000円程度はとるらしい。かなりぼろい儲けである。さらに検定を受けるためのテキストだとか、講習会とかで、さらにお金をむしり取る。かなり悪辣な気がするだけど、参加者が納得しているなら文句は言わなくてもよさそう。
参加者は遊び半分だったり、資格マニアだったり、いろいろだろうが、やはり検定資格をとって、何かメリットがある方がいいに違いない。
さて、全分野の検定は作れないけど、限られた分野でも日本全体の検定を作るのは難しいけど、限られたエリア、限られた分野の検定なら簡単に作れる。長居公園の鳥検定とか。
長居公園の鳥検定に3000円出す人はいないけど、100円出す人はいるかも。100円受け取って、問題を印刷した紙を渡して、制限時間内に解いてもらって、採点して合否判定。検定に受かったら、長居公園の鳥ガイドの資格が得られたりする。もちろん登録料にさらに100円取られたりする。悪辣〜。意外と難しい問題で、講習を受けないとなかなか合格しない。講習料は、1回100円(植物園入園料は別途必要)、個人レッスンは1回500円。悪辣〜。過去問を、1冊500円で売ったりして。ものすごい悪辣〜。
あるいはイベント的に、楽しく検定料100円でするとか。参加費100円なら他の観察会と一緒。
お遊びを通じての普及の一手段と考えるか、資格マニアを狙った金儲けの手段と考えるか。もし主催者になるなら、悩ましいところ。
これだけは手を出すまいと思っていたのだが、魔がさしたとしかいいようがない。広げられた地図を見て、思わずこの辺が抜けてるやん、と指摘してしまった。後はご想像通りの展開。そして、今日が初めてのお水取り。
東住吉区を自転車でスタート、生野区経由で、東大阪市へ。東大阪市を北に向かって、大東市で折り返し。今度は鶴見区を経由して、城東区、東成区、生野区、そして東住吉区に戻る。東住吉区の見慣れた風景を見たら、地元に帰ってきた〜、と思うから不思議。
お母さんは、慣れたら1ヶ所10分でできる、と断言していた。1ヶ所10分、5ヶ所で50分。でも、初心者は平均30分かかった。5ヶ所で2時間半。
とにかく最初は、マニュアルを読みながら順番に処理を進めるしかない。透明度を調べるところでは、”はっきり見える”の”はっきり”の加減がわからず悩む。懸濁物の色比べもさっぱりわからず悩む。フィルターホルダーって何? てな具合。
2ヶ所目、今度は要領もわかったので、スムーズに。と思ったら、採水すべく投げた容器(プラスチックの瓶の口に紐を付けたもの)が、紐から放れて流れてしまう。しばし呆然としていたら、さいわい岸近くに寄ってきたので、追いかけて落ちていた傘を使って回収。
3ヶ所目、ようやくスムーズにできた。20分で完了。まだまだお母さんの域には遠いが、ようやく手順がわかってきた。
4ヶ所目、楽しくフィルターで濾過していたら、濾過した水がこぼれてた。でも、フィルターは指定通りになってるし…。どっちを優先するかで、しばし悩む。
5ヶ所目、橋の真ん中から採水しようとするが、ものすごく高い。紐を目一杯伸ばしてようやく水面に届くか。と思ったら、強風におられて、容器が水面に付かない。下向きに凧揚げしているような状態で風が止むのを待つ。
そんなこんなで、とりあえず初めてのお水取りは終了。結局、ぜんぶで6時間半の自転車の旅であった。実際に自転車に乗っていたのは、4時間程度なのだが、なぜか疲れた。これが年4回あるのか〜。
ちなみにこの次からは、途中の河川や水路で、水草や貝などを探す予定。もっと時間がかかるに違いない。日没までに帰って来れるだろうか?
先頃民営化された某組織について書こうと思う(いいのかな? でも事実なんだし)。世の中では、公営を民営にしたらサービスが向上することになっているが、そうでもない事例である。まあ、競争相手がいないなら民営になったからといってサービスの向上を期待する方が間違っているわけで、むしろ営利を目的とする分、サービスが低下するのは自明なのである。サービス向上に必要なのはユーザーの評価と選択であり、その一つのプロセスとしての競争なのである。
おかしいなと思ったのは、今年の正月。年賀状が来ないのだ。確かに友達は少ない。でも、この一年にその全員から絶縁されるほど酷いことをした記憶はない。それに職場には例年並みの枚数が届いてるのだ。元旦も3日も、結局1枚も、自宅に年賀状は来なかった。
しばらくして、とある人から引っ越ししたのかと尋ねられた。してないし。この住所で合ってるかとも尋ねられた。郵便番号が違っていたけど、今までは時間がかかってもそれで届いていた。民営化して少しサービスが落ちたんだね、と納得した。
その後も、数人から引越したかとか、年賀状が戻ってきたとか言われた。一人は2月に会った時に年賀状を手渡してくれた(ちなみにお年玉に当たってないのはチェック済みだったらしい)。郵便番号も住所も氏名も間違っていない。しかし、「あて所に尋ねあたりません」のスタンプが…。
大家さんに会った時に、マンションの住所が変わったかも確認してみた。変わってない。だいたい、マンションの入り口にはっきりと所番地が書いてある。郵便受けには、しっかりと部屋番号と氏名が書いてある。これで届かないとしたら、嫌がらせなんだろうか?
さて、どうやら同じ現象はその後も続いていたらしい。某政府系財団法人から電話があった。郵便物を送ったら、宛先不明で帰ってきた。住所に間違いないか確認して欲しいとのこと。聞いてみると、住所も氏名も正しい。そこで、近頃、自宅に郵便物が届かないことを説明した。職場に送ってくれるか、ケンカをしてみてください。
担当者は頑張ってくれたらしい。10日くらいして、自宅に郵便物が届いた。今年初めての郵便物である。なぜか感動もひとしお。そして、担当者の頑張りがすばらしいので、ここに記録しておこう。
「あて所に尋ねあたりません」と某郵便局のスタンプが押されて帰ってきた封筒の宛先を、赤いマジックで囲んで「こちらの住所にお届け下さい」の文字。さらにその郵便局に電話までしたらしい。その上「上記住所に尋ね当たらない場合は、下記住所にお届け下さい」と職場の住所。封筒には「再差出し」のスタンプも。
これでようやく郵便物が届いた。やればできるじゃないか。しかし、ここまでせんと届かんか? ともかく、そんなわけで一件は落着した。
名前は知らないけど、代わりに闘って下さった担当者の方、ありがとうございました。
我が家に最近、年賀状や郵便物を送ったのに、送り返されてきたという方、こういう次第でございます。ご了解ください。
あまりいないと思うけど、これから何かを送ろうかという方、こんな事情でございます。時間があれば試しに闘ってみるか、面倒なら職場の方にお送り下さい。
私は、いらないダイレクトメールが来なくていいので、このまま放っておこうかと…。単に電話して苦情をいうのが面倒なだけでもある。
展示をつくる相談をした。今日は、展示の解説文の検討。各自が書いた担当コーナーの解説文を、みんなで見ながら悪口を言い合う。自分の文章にケチを付けられるのは悔しいが、他人の文章に悪口を言うのは楽しい。ふと気付くと2時間半もやっていた。
とにかく生態学関連の展示。集まったのもそれなりに生態学がわかっている面々。勢い生態学タームが飛び交う会話になる。専門用語というのは、部外者にはわからなくても、意味さえわかってしまえばとても便利。しかし、その便利さに慣れてしまうと、簡単な言い回しができなくなるので要注意。
さて、解説文を書く際には、もちろん説明したいことをわかりやすく伝えるのが重要。どんな順序・構成で何を説明するか、小難しい言い回し・わかりにくい言い回しはないか、みんなでチェックする。
そこで悩ましいのが、この専門用語って奴。その一言を使えば簡単に説明できるのに、それが使えないととても回りくどい言い回しになったりする。かといって、別に専門用語の説明を付けても、誰も読まないだろうし。
苦しみつつ、おのずと浮かび上がるNGワードの数々。忘れないように、ここにメモしておこう(括弧内は今回の展示解説において推奨される言い換え)。
NGワード
ニッチェ、生息場所(→場所)、生長(→成長)、進化、生活史(暮らし方)、戦略、適応、個体群、資源(→食べ物とすみ場所)、群集
OKワード(さすがにこの語は使わせてくれ〜)
個体、光合成、集団、共存、共生
微妙ワード(できるだけ使わないように)
生態系
とくに生活史と個体群は使いたかった〜。
まあ、NGワードを使わなければ、わかりやすい解説文になるかと言えば、そんなことはない(ということはSさんが実証していた)。NGワードを使わない分、いっそう丁寧でよく練った文章が必要とされるらしい。なかなかに展示の解説とは難しい。
植物園には、4月後半のほんのひとときのためにボタン園がある。4月前半のさらに短い一時のために各地にソメイヨシノが植えまくられているのと、同じようなもんである。確かに花が咲いている時は綺麗で、多くの人が見に来る。
ところが、昨年はほとんど花が咲かなくって評判が悪かったらしい。原因は、カラスが冬芽を食べたからという。すべて伝聞なので本当のところは知らないが、知っているのは今年は昨年の二の舞をさけるべく万全の体制がとられていること。
例年は、風が吹くとブンブン音がする細いテープのようなものを張るだけだった(昨年はそれも張ってなかった気がするが…)。今年はすごい。ブンブンテープを張るのみならず、青いネットを張り(ただし側面だけ)、赤と銀のキンキラテープを側面や上面に張りまくり、さらに棒を立ててその上に黄色いテープをぶら下げる。遠目にもとってもにぎやか。そこまでしなくても、上面にもネットを張れば済むはずなのだが、それはおいておこう。
ここまですると、人間ですらビックリする。もちろんカラスもビックリしたらしい。秋から現在に至るまで、カラスが寄りついているのは見たことがない。カラス除けは見事に成功したと言っていいだろう。
ところが、ツグミには通用しなかった。今日、50羽ほどのツグミが大挙して、ボタン園に降りていた。よく見ると、シロハラとムクドリが1羽ずつ混ざっている。みんなして、地面を突っついている。近づいてみると、ボタンの根元に盛り上げられている土に穴を開けまくっている。何か虫でも混ざっているんだろうか? さらに近づくと、飛び立つのだが、張られているテープはちょっと邪魔って程度にしか役立っていないらしい。
夕方になって、辺りにカラスが増えてきた。近頃、集団ねぐらができているのでカラスが多い。ねぐら入り前のカラスは地上に降りて、盛んに地面をつついている。やってることはツグミたちと同じ。でも、ボタン園には入らない。
カラスは寄りつきもしない派手な網とテープ。カラスも入り込もうとすれば入れるはず。寄りつかない理由は、あの異様さにあるに違いない。
しかし、それを何とも思わずに、平気で入り込んでいるツグミたち。同じ鳥とはいえ、そのメンタリティには大きな違いがあるんだなぁ、と思った。
さて、すぐ近くにあるシャクナゲ園には何の対策もされていない。だから、カラスがたくさん降りていた。ボタンの冬芽をむしりまくったというカラス、シャクナゲの冬芽はむしらないのだろうか?
そうそう、ボタン園の管理者のみなさん、ツグミたちはカラスと違って、ボタンの冬芽をむしったりは絶対にしません。ご安心を。
本日、13時30分、淀川を制覇した。
左岸は2001年に制覇していたのだが、右岸の制覇に手間取った。今年に入って、豊里大橋から神崎川流出点をクリア。そして本日、三川合流から鵜殿を見事にクリアして偉業を達成した。この日は、後世まで長く語り継がれることはないけど、自分的にはちょっと記念。
とはいえ、今年は左岸、右岸ともに2回ずつ制覇することになる。雨でも降らない限りは。世の中には嵐を呼ぶ男や雨女が充ち満ちているので、もしかしたら、制覇は1回ずつになるかもしれないが…。
そういえば、2003年頃より2006年にかけて、大和川本流とその主な支流はほぼ完全制覇した。昨年から淀川水系制覇プロジェクトも始まっている。淀川本流制覇はその最初のステップにすぎない。2010年までに、淀川水系(三川合流より下流とその支流)をほぼ完全制覇するだろうことを、ここに予言しておこう。”ほぼ”ってのが、ちょっと間抜けなんだけど。
クサフグって、内臓のみならず、皮や筋肉にまで毒があるはず。それを食べるのはあまりお奨めできない。
ちょっと前、サギがクサフグを食べてるけど、あれは大丈夫なのかと尋ねられた。魚のことは魚屋に、と隣の魚屋にたらい回してみた。テトロドトキシンは鳥にも効くと思うけどなぁ…。と言っただけであった。
じゃあ、クサフグを食べたサギはどうして死んでないんだ!
今日、貝塚市の近木川の河口に行った。風が強くて死ぬほど寒かった。なんとなく昨日暖かかったので、パーカーを着ていかなかったのも敗因であった。
河口から少し入ったところにダイサギがいた。何か加えている。クサフグだった。捕まえて、まさに食べようとしている。止めとき〜。いくら止めても止めない。でも、頭の方が大きいので呑みにくいらしい。なんども落としては、くわえ直している。頭から呑もうとしては落としている。向きがうまくいかないらしい。そんなに呑みにくいなら止めればいいのに、散々苦労した末に、呑んでしまった。
目の前でダイサギが痙攣でもして倒れたりするのかなと思って見たいたが平気そうだった。どうして死なないの?
テトロドトキシンは、神経や筋肉のナトリウムチャネルの活動を阻害するんじゃなかったっけ? それは哺乳類も鳥類も同じなんじゃないのか? 同じなら、あのダイサギ君は死ぬはずではないのか?
不思議に思っていたら、地元の人が教えてくれた。
このへんのサギはいつでもクサフグを食べてるで〜。それに、この辺のおっさんもクサフグ食べるで〜。なあ? うん、そうやそうや。
泉南のサギとおっさん恐るべし。どうも、テトロドトキシンに耐性があるらしい(ナトリウムチャネルがないとか?)。あるいはこの辺りのクサフグには毒がないのか? それともあれはクサフグではなかったの? 謎は深まっただけであった。
昨冬は、キガシラシトドだけで盛り上がってた気がするが、今冬は、キマユムシクイやオジロビタキなどで盛り上がっている。大阪の冬の公園は楽しい。
さて、ハチジョウツグミがあちこちの公園に出てるらしい。いいな〜、と思っていたら、マイフィールドにもやってきていた。この冬はやたらとハチジョウツグミな冬らしい。ハチジョウツグミがツグミとは別の地域で繁殖するのだとすると、そっち方面から大挙してやってきてことになる。いったい何のはずみでそんな事が起こるのか不思議。
さらにこの冬は、トラツグミもあちこちで見かけるな〜、と思っていたら、これまたマイフィールドにもいた。ハチジョウツグミとトラツグミが並んでいるのは、それなりに豪華ラインナップな気がする。
ハチジョウツグミなのにノドアカツグミではないかとの噂が流れ、ホオアカに見えるのにコホオアカでは?と盛り上がったりする。誰しも同定に迷うと珍しい方をチョイスするらしいのが面白い。
そんなわけで、白っぽいノスリを見るたびに、ケアシノスリ?!と盛り上がってしまう昨今なのであった。
著者から送られてきた。「よかったらショップで扱って下さい」とある。営業やな! ということで、ショップで仕入れて売れるかどうか厳しい目で吟味しなくてはならない。
というのは、ウソで。岩波ジュニア新書シリーズは仕入れやすいし、値段も手頃なので、それだけでよほどのことがない限り仕入れるのである。そもそも本をもらう以前から、すでに新刊情報でチェックしていたのであった。
で、内容はどうだったかといえば、
かつて同じく岩波書店から自然史の窓というシリーズが出ていて、同じ著者が『生きもの地図が語る街の自然』という本を出していた。これの仕立て直しといって問題ないだろう。タイトルからしてわかるように、みんなで身近な生きものを調べて分布図を作ってみようという内容。
違っているのは、種数が多かったり、採集が面倒だったり、同定が難しい外来植物と淡水魚をはずしてある。代わりに鳥が少し充実していてグー。全体的にもすっきりとまとまっているので、新作の方がお奨めかもしれない。
分布図を作って、それがどうしたのかとか、その後の展開が弱いところも引き継がれていて、ここは相変わらず課題な気がする。他人事ではないのだが…。
今日も旧知の客人がやってきた。哺乳類の毛皮や、鳥類の剥製の放射率を測定したいのだそうな。なんのことやらさっぱりわからない。
一応、説明してくれた。サーモグラフィーで正確な温度を測るには、黒体輻射うにゃうにゃがうにゃうにゃなので、そのまま赤外線を測るのではなく、あらかじめ放射率を測定しておいて、補正する必要がある、とかないとか、なんかそんな感じ。結局、正確なところはさっぱりわからない。
なによりわからないのは、生きた動物を測るならともかく、標本で測って意味があるのか、という点。それについても説明してくれた。なんとかかんとかなので、たぶん放射率に関しては、標本で測定しても、生きてる場合とあまり変わらないだろう。と期待してるってことかな。とにかく今ひとつわからない。
まあ、とにかく研究したいというのだから、止める理由もない。所蔵標本は、研究に使ってなんぼ。その測定で標本が傷まなければ、何も文句はない。
測定方法は、やはりよくわからない。何かカメラの前に、電気仕掛けのあやしい機械が付いていて、さらにその前にフードがついている。そのフードの反対側にサンプルをセット。で、どうやらいわゆるサーモグラフィーを撮影しているらしい。ただし、怪しい機械でフードの中を加熱して、それによってサンプルが暖まって冷えていくプロセスを見ているらしい。それで何が分かるのかは、もちろんよくわからない。
フードの中は摂氏70度くらいになるらしい。空気が暖まるだけで、短時間のことなので、生身の手をかざして測定しても、少し暖かいだけなんだそうな。いや、もちろん試さなかったけれど。
ちなみに、夏と冬で毛色が違う動物について、その放射率とやらを測定して、体温コントロールとの関係で、毛色の議論ができないかと考えているらしい。鳥で手頃なサンプルを出すように求められる。ライチョウは夏と冬で大きく違うのでわかりやすい。でも、他の鳥は…。そんな目で見たことはなかったが、夏と冬で違うというよりは、繁殖期と非繁殖期で違う感じ。4月にはいわゆる夏羽になるし、9月頃には冬羽になる。夏と冬の色の違いって話には乗らないんじゃないかな?
今日は、京都から旧知の客人が学生を連れてやってきた。昆虫屋さんなのだが、鳥による昆虫の捕食が、外来昆虫の消長に大きく影響してるんじゃないかという研究をしてるらしい。とくにシジュウカラやコゲラの捕食が重要とのことで、大阪の都市部への両種の進出状況、及び過去の生息状況についての資料はないか相談に来られた。
定量的なデータはほとんどないけど、いたかいなかったがだけなら野鳥の会の観察記録がけっこう使えるかも。てな話をしながら、データを見せてもらった。シジュウカラやコゲラがいるかいないかで、外来昆虫の生息密度や被食率が大きく差があるらしいというデータがでていて、とても興味深い。京都や大阪でデータをとっているらしく、調査地の中に鴨川が出ていた。鴨川の過去の鳥類のデータなら、京都大学にあった賀茂川鳥類調査グループ(通称:かも研)の調査データがあるな〜。偶然にもそのデータはここにあるんだな〜。と、ポロッと口にしたら、すぐに食い付かれてしまった。
賀茂川鳥類調査グループは、1970年代終わりにできたグループで、後半はただバードウォッチングしてただけに近いが、設立当初は賀茂川などの鳥類調査を精力的に行っていた。ただ、大学のサークルにはありがちなことに、論文としてまとまる事はなく、そのままデータは箱の中に。1990年代半ばに解散するにあたって、なぜかそのデータが手元に送られてきた。で、そのまま死蔵していたのであった。
さっそくデータを見たいとのことなので、机の置くから段ボール箱を一つ取り出して開けてみた。中からは、1978〜1979年に賀茂川で行ったセンサス調査(月に4回もやってる!)及び京都府立植物園のセンサス調査(これも毎月)のデータが出てきた。元データと一緒に集計表もある。まさに今欲しいデータそのものだったらしい。
時代を感じさせることに、コピーではなく、青焼きであった。色がけっこう薄れてきていて、早急にコピーでもしないとデータは失われてしまいそう。
しかし、約30年前のデータは、今見てみるととても面白い。当時の賀茂川には、カモ類がほとんどいない(今はたくさんいる)。ユリカモメはすでに大量にいる(今はむしろ減ってしまった)。そして、コゲラやシジュウカラはほとんど出ていない。過去の賀茂川や府立植物園の、ひいては京都盆地の鳥類相を知る上でとても貴重な資料だと思う。
さて件の客人たち、このデータを使いたいとのこと。すでに解散したサークルのこと、誰に断ったらいいものやら判断しかねる(当時の関係者となると相当な人数になる上に、今の連絡先はほとんどわからない)。しかし、データを託されたと言うことは私が管理責任者。責任者の一存で決めることにした。
データは有効に使ってもらおうと思う。このまま死蔵していても仕方がない。かといって整理・分析して論文化する暇もない。そもそも放っておいたら青焼きは消えてしまう。昆虫との関係だけでなく、過去の京都の鳥類相を示すデータとしても論文にしてくれること込みで、使ってもらえばいいだろう。
そんなわけで、かも研関係者に連絡。異存のある奴は連絡してくるように。というか、文句があるなら自分で論文にしてみやがれ、ってことで、よろしく。
関係者の所在を知っている方、とりあえず意向を確認して、教えて下さると感謝する。
小学生の頃は、ものすごく車に酔った。電車は大丈夫。路線バスも街中を走っている分には大丈夫。でも、観光バスはダメ。自家用車もダメ。自家用車で出掛ける場合は、窓を開けて、常に外の空気を吸うのが効果的。でも、観光バスではそれができない。バスで行く遠足は地獄だった。一度酔うと、バスを降りてもしばらく治らない。降りてすぐは、揺れなくなるので、かえって気分が悪くなっていた。
ところが、中学生以降は、ほとんど酔わなくなった。就職してからはまったく酔わなくなったはずだった。山道をバスに乗って観察会に行くと、子どもが酔って気分悪そうにしてるのを、可哀想に〜、と他人事のように見ていた。ところがである。近頃、また酔うようになってきたのである。
やはり、バスと自家用車がダメ。調査や観察会下見に車で連れて行ってもらうと、車の中で地図を見たくなる。でも、地図を見ると気持ち悪くなる。気持ち悪いけど、位置確認してフィールドノートに記録したい…。調査に行って帰りのバスでも同じ。調査の簡単な整理をと、フィールドノートにメモしていると気持ち悪くなる。記憶にある限りでは、5年くらい前までは、大丈夫だったのに…。大きくなって治ったんじゃなかったのか?
昨日は、観察会。往復は、40分以上バスに揺られる。地図を見てないのに、気持ち悪くなった。一緒にバスに乗っていた小学生も酔ってたらしい。その気持ちはよくわかるぞ。
今日は、観察会の下見。自家用車で連れ回してくれた。すぐに気持ち悪くなった。後半は、動いてなくても酔っていた。車内に独特のあの臭いのせいだと思う。
もっと大人になったら、酔わなくなるだろうか?
卒業論文というものは書いたことがない。必修ではなく、卒業研究というものがあって、たくさん単位がもらえるので一応履修してみた。なぜか3回生の時から、ほぼ勝手に始めて、いい加減な話をしただけで卒業研究の単位をもらって卒業。そのまま大学院でもその研究を続けた。
当時、少なくとマクロ生物学の研究室では、卒業研究のテーマは学生が自由に決めていた気がする。学生がテーマを決められなかったら助言はあったし、研究を始めてからの助言はあったけど。よく言えば自由、言い換えれば不親切。
さて、近頃の大学は随分と親切になっているらしい。とある大学のとある学部の卒論生の指導をしてくれと頼まれた。まあいいかなと答えた。すると、予定外の依頼がきた。
その大学では、卒業研究の研究室配属に際して、説明会があるらしい。その時に、各研究室で可能な卒論テーマを紹介するらしい。そのために引き受けられる卒論テーマについて、学会講演の要旨程度の紹介文をほしいとのこと。今は、どこの大学でもこんなんやってるのだろうか?
経験がないから何を書いたものやらよくわからない。とりあえず文章をでっちあげて送ってみた。こんなんでいいのかな〜。まあ、希望者がいないならいないでいいか〜。
さて、考えてみたら、別にそこの卒論生しか引き受けないという理由はない。指導教官の了解さえあれば、別にどこの大学の学生を引き受けてもかまわない。どこの大学かというよりは、やる気の方が肝心なのは言うまでもない。ってことで、とりあえずここに簡略版を載せてみよう。
この研究をしてみたければ、その上、指導とやらをして欲しければ、自分とこの大学の指導教官を説得してくるように。引き受けるかどうかは、熱意で判断ってことにしておこう。
●タヌキのため糞の研究
ようは、ため糞から都市公園で生きるタヌキの生態を調べてみようというわけ。ため糞場を押さえて、その消長、糞の量と内容物の季節変化を調べてもらう。けっこう種子が含まれるから、種子散布の研究にしても面白いかも。
●カラスの集団ねぐらの研究
ようは、都市公園にできている集団ねぐらに集まるカラスの個体数を数えてみようというだけ。冬ねぐらなので、いつ頃から冬ねぐらに移行するかを詳しくみることができる。ついでに飛来方向や糞内容物を絡めて議論すると面白いかもしれない。
●セミに対する鳥類の捕食についての研究
ようは、都市公園で、どんな鳥がどの程度セミを食べているかを調べる。セミの捕食者リストを作るだけでなく、どの鳥からの捕食圧が高いかを知りたいところ。さらに、鳥の捕食の仕方、それに対するセミの反応を詳しく観察できれば面白いはず。もしかしたら都市公園におけるセミ相の変化に、鳥の捕食が関わっていることを立証できるかも。
●果実の採食者についての研究
ようは、果実を付けた樹の前で、どんな鳥が果実を食べに来るかを観察するだけ。被食散布を行う植物にとって、果実がどんな鳥に食われるかはとても重要。種子散布の側からはとてもニーズの高い情報だが、鳥の研究者はほとんど手をつけておらず、個々の樹種の果実が、どんな鳥にどの程度食べられているかはまるでわかっていない。基礎情報を集めると同時に、鳥の採食スピードなどの情報を絡めて、果実食の鳥の採食行動を比較してみるのも面白いだろう。鳥の間で採食果実がどの程度共有されているかも気になるポイント。
ようは、以前から気になっていて、自分でやってみたいけど、時間がなくて手を付けてないテーマだったりする。誰かやらないかな? 別に卒論生でなくてもいいんだけど。
とある映画を見た。
フランス国立自然史博物館には、博物学の本場たるフランスにふさわしく、伝統的で格好いい展示が維持されてきたとばかり思っていた。が、1965年から約30年間、閉館していたとは知らなかった。なんせ、博物館マニアではないし、そもそも博物館業界には疎いもので。
で、1991年〜1994年、再オープンを目指して、大改修と展示物の修復が行われた。その様子を撮したドキュメンタリー映画。
オープニング、トラックに積まれた哺乳類の本剥製が、田舎道を運ばれていく。ちょっとドナドナな感じ。
改修前の博物館。博物館の内装を撤去する作業の合間に、長い間放置されて傷んだ本剥製が次々と映し出される。
やがて、新たな展示の計画とその打合せ風景。本剥製の修復の様子。修復を終えた剥製の搬入。そして展示物の設置。
で、改装を終えて、オープン?と思ったところで映画は終わる。実にさりげない。上映時間1時間弱。あっという間に見終わる。
博物館的な立場からすれば、あれは標本の修復ではなく、展示物の修理。顔や目の周りの毛がない部分は、色を塗る。ゾウ・カバ・サイなど毛の少ない動物は体全体に色を塗りまくっている感じ。それどころか、キリンやシマウマの模様も、毛に色を塗って見栄えするようにしている。その上、羽根や毛の抜けた部分には、新たな植毛・植羽根(?)までもする。
博物館の研究資料としては、好き勝手に色を塗られるのは致命的。一方、展示物として考えるなら、見栄えがすべて。研究用の標本と展示用の標本の根本的な違いがよくわかる風景である。
あと、剥製の扱い方の雑さにも驚いた。アナグマの本剥製の中に、わらを詰め込んで、台に叩き付けて形を整えるのはいいのだけど。とにかく、用もないのにペタペタ剥製をさわるのである。手袋はしていない。素手で、けっこう汚れてそうな手でも平気でさわりまくる。搬入する時も、とくに梱包もせずに持ってきて、素手で抱えて運んでいる。汚れたらクリーニングすればいいってことか? あるいはフランス人の手は汚れていないのか?
自然史博物館の展示風景なのだが、8割方、哺乳類。残りの1割は鳥類。あとは、ワニ、チョウ、魚、エビ・カニがわずかに登場するだけ。大型哺乳類が展示室の中央にたくさん並んでいる以外に、いったいどんな展示があるのかよくわからなかった。
展示業者との打合せ風景にも不思議なものが。昆虫を入れるケースはとにかく密閉してくれないと、埃が入るから困ると盛んに主張していた。当たり前やん。おフランスの展示業者はそんなことも知らないざますか??
などという突っ込みどころが満載の一方で、博物館の実情を多少なりとも知ってる人にとっては、ものすごく楽しめる部分が多い。フランスも日本も同じなのだ。
展示業者とのやりとり。それはこの前の打合せと違っている(当たり前やん、なんか思いついたらすぐ変わるに決まってる)。こっからここまで埋めないといけない。長さではなく、虫が何匹必要かを教えてくれ(そうそう、そっちそっち)。
大物の搬入風景。そっち持ち上げて、違う上げすぎ。そっち気をつけて。後ろ支えてくれ。入らん入らん。戻して戻して(そうそう、そんな感じになるわけ)。
搬入風景で一押しは、アフリカゾウの耳。詳しくは見てみてもらおう。あんなやり方があるとは…。
とまあ、突っ込んだり、共感したり、とても楽しい映画であった。ただ、これがこの監督の最高傑作と言われると、ちょっと…、とは思う。
桧尾川(というか正しくは檜尾川?)といえば、そう高槻市第二の大河であるところのあの川である。神峰山寺の東側の谷に端を発し、高槻市の南半分を南北に貫き、淀川に流れこむ。高槻市を南北に貫く芥川には、流程も流域面積も水量も川幅も負けるけど、高槻市で芥川水系に含まれていない川は桧尾川水系しかないといっても過言ではない。高槻市で忘れてはいけない重要な水系なのである。
しかしまあ何というか、藪医者の下には雀医者がいるごとく、三面張りの川にも下があるんだなと思った。垂直鉄板張りの川である。桧尾川の両岸には、山間部を出たところから河口まで。ずっと1m以上の波波鉄板がそそりたっている。一度落ちたら人間ですら帰って来れそうにない場所も少なくない。ましてや小動物には巨大なトラップになってるに違いない。
そんな桧尾川を河口から、かなり源流近くまで歩いた。いくつかコツを伝授しておこう。
淀川合流部付近はけっこう広くなっていていい感じ。だが、桧尾川に入ると川幅は急に狭くなる。河口付近には、低水敷とほぼ同じ幅の高水敷が左右両岸にあるので、高水敷を歩くのがお奨め。それも右岸側が歩きやすい。土手の上は車道になっていて、車がビュンビュン走っていて危険。
さて、この高水敷を歩くのは新幹線まで。ここから先もしばらく歩けそうだが、うかつに踏み込むと後悔することになるセンダングサだらけなのだ。新幹線の辺りで土手の上に上がるのが正解。ちなみに河口から新幹線までの間にはヌートリアが生息しているそうなので、探しながら歩こう。
新幹線から国道171号線までは、土手の車道を歩こう。交通量が多く、みんな飛ばしているので注意しよう。川の観察はあきらめて急ぎ足で通過した方がいいだろう。
国道171号線からJR東海道線までは左岸を歩くこと。一見、右岸を歩きたくなるが、これは罠である。阪急を超える時には4足歩行を強いられるし、JRを超える時は草に覆われた斜面を降りて斜面を登るというサバイバルが求められる。
でも、JRを超えたら、すぐの橋で再び右岸に復帰のこと。左岸側には基本道がない。そのまま名神高速を越えたら、今度は道なりに左岸へ。あとはほぼずーっと左岸沿いに道がある。川の側には歩道がないので、車に充分注意しなくてはならない。成合バス停を越えると、車もほとんど通らなくなり、弥生橋を最後に山中の渓流のようになる。しかし、ここからが桧尾川の一番怪しいエリアとなる。心して聞くように。
山中の渓流を進んでいくと、なんやら人の気配が濃厚になる。集落ではない。山中に資材置き場やバラックが次々と出現するのだ。山の中で何に出会うのが一番怖いかといえば、もちろん人。ハイカーに出会うならともかく、昔ながらの集落の住人、農林業に携わる人に出会うならともかく。山中の資材置き場やバラックであまり人に会いたくない感じ。でも、人の気配が…。
とにかくそのエリアを抜けると、興ざめする。大きな堰堤が出現し、つくりかけの大きな道もある。左にまがって、小さい峠を越えると、原盆地が拡がる。右に進むと、桧尾川の源流へ。
要約しよう。桧尾川は、新幹線から下流が一番楽しい。カヤネズミの巣があった。ヌートリアがいるらしい。イタチの死体も落ちていた。タヌキが死んでいたこともあったそうな。間違いなくアライグマもいる。一方、がんばって上まで歩いてもとくに何もいない。
新幹線のすぐ下流側にイタチの死体が落ちていた。喜んで低水敷に降りて拾っていて、ふと横を見たら、地面に直径20cm弱くらいの丸い穴が二つ開いている。ちょうどヌートリアが入りそうな大きさ。というかヌートリア以外には小さすぎるか大きすぎる。ふと横を見ると、枯れ草の中にもトンネル状にケモノの通り道。これまたヌートリア大。ヌートリアいるのかな? と思っていたら、夫婦連れの方が通りかかった。イタチの死体を拾っているのを見て、桧尾川の哺乳類話題が始まる。先日、そこでタヌキも死んでいた。という話の次に、ほらあの大きなネズミもいると言い出した。ヌートリア! そうそうヌートリア。よく聞けば、毎日散歩していると、新幹線から桧尾川大橋までの間でよく見るらしい。先週も見たとのこと。件の穴も、ヌートリアの可能性大かもしれない。
箕面市の山際を西から東へ、ほぼ横断した。
箕面駅より西の山際は、山林の際まで建物が建っていて、田んぼや池もなく、今日の目的には面白くない。山際の農耕地狙いで、カヤネズミ、アカガエル、ついでにシカとウサギを探してるのだから。そもそも山際に行くのが面倒なので、遠目に双眼鏡で見て、ダメ、と言いながら通りすぎるだけ。
箕面駅から東、勝尾寺川までの間は、山際にため池があったり、棚田があったり、少しは楽しい。ただ、柵だらけ。池の周りも田んぼの周りも、あげくはハイキング道にすら柵がある。柵を越えると、シカの糞がたくさん。よほどシカで苦労しているらしい。
それが勝尾寺川の東になると様子は一変する。田んぼの周りにほとんど柵はなし。イノシシ用なんだろうか、低いトタンの垣があったりするけど、あまり真面目に囲ってる風でもない。そして、とくに対策してなくても、田んぼが荒らされている様子はない。シカ糞も落ちていない。
シカがいるといないで大違いなんだなぁと思わせる。ちなみにお目当てのカヤネズミの巣はシカがいないエリアでのみ見つかった。シカとなにか関係があったりするんだろうか?
近くのいくつかの博物館が存亡の危機にあるらしい。とても対岸の火事とは思えない今日この頃。存亡と言わないまでも、事業費が削られまくるのはよくある話で、いつ飛び火してくるとも限らない。ある時、急に事業費の予算をつけない、とか言われたらどうする?
これは単純にリスクヘッジの問題かもしれない。運営費を一箇所だけに頼るから、そこのトップが変わるだけで、存亡の危機になってしまうわけ。それを避けるには、いろんなところから運営費を確保するのが正しい。正しいかどうかは知らないけれど、安全かもしれない。転ばぬ先の杖。
ってことで、某独立行政法人から普及教育事業費の一部でもいいからGETすべく、朝から申請書書き。明日必着なので、今日がリミット。本当は昨日の夜がんばるつもりが、どーしてもやる気が起きなくて、今日になった。今朝ちょー早起きしてやろうとも計画したのだが、挫折した。結局、午前10時頃から申請書のフォームを埋める。正午過ぎには完成した。思ったより簡単であった。まあ、数日前からどのように書こうか頭の中で考えてはいたので、それが締め切りに追われる中で、すらすらと形になったという感じ。原稿を書く時によくあるパターン。昼過ぎに郵便局に持っていって一件落着。
採択されるかな? 採択されると嬉しいけど、けっこう手続きが面倒なので、かえって仕事が増えるという気もする。
と、誘われたらどうする? 3連休の最終日。一昨日は大雪で、昨日もちょっと寒かったけど、今日は絶好の行楽日和。快晴で、すっかり春めいた陽気。そんな日に誘われたら。
どうするかって? けっこう多くの人が誘いに乗って、出掛けてしまうのである。迂闊であった。ぜんぜんそんなこと考えてもみなかった。
集合時間の40分前くらいに集合場所に到着。申込みなしなので何人くるかわからない。だれも来ないと淋しいので、特別講師を一人確保しておいた。資料は30部もあれば余るかも、と思いつつなぜか40部用意してきた。なにか予感があったのかもしれない。参加者数を把握する必要があるので、参加者は名簿に名前を書いてもらう。なんとなく80人が書ける枚数用意した。とうぜん半分は余る予定。
集合30分前。特別講師到着。なぜか参加者がすでに4名ほど。なんか出足が早い。6人だけで回ることになるのかななどと脳天気に思っていた。集合15分前。なぜかすでに30人からの参加者が集まっている。これからまだまだ来るはずなのに、資料が足らなくなりそう。あわてて、特別講師がコピーに走る。集合時間の10分前に楽勝で資料はなくなる。
すみません。今コピーに行ってるので少々お待ち下さい〜。
と謝りまくりながら、受付。受付用紙がなくなったのに、まだ人が並んでいる。結局、90人も集まった。
少人数のつもりで、改札前に集合にしたのだが、ものすごくはた迷惑。急いで、公園内に移動。で、挨拶して行事スタート。
と、その前に、言い訳をしまくる。リスを探すけど、リスは見つからない可能性が高いことを、とにかく強調。その代わり、鳥を観察するぞ! で、お茶を濁すべく努力。
でも、資料はリスの事の説明ばかり。この人数全員に説明するチャンスは、途中にはほとんどなさそうなので、最初に一通り説明してしまう。用意したリスのエビフライも回して見てもらう。本当のエビフライに見える特大のリスのエビフライには好リアクション。
さんざんリスを説明しておいてから、スタート。あとは、普通に鳥の観察会であった。幸い鳥初心者が多く、ハクセキレイやイカルで盛り上がってくれる。さらに幸いなことにキクイタダキの群れに遭遇。4羽以上が、樹の低いところを長時間ウロウロしてくれた。頭の赤は見えなかったが、黄色はゆっくり見られた。
昼過ぎまで鳥を見て回ったあと、最後に外堀にいるというヌートリアが探しに行く。が、今日は哺乳類運はまったくないらしい。さっぱり見つからず。そのまま解散。結局、普通に鳥の観察会であった。
さて、最初の集合時、昼食時、解散時。参加者数は減っていっていたらしい。午前だけで歩き疲れてリタイヤされた家族連れもあったが、途中ではぐれた人もあったらしい。寒い日が続く中、この日は春のように暖かく、ちょうど梅が咲き始めた頃合い。大阪城にはただでさえたくさんの人が来ていた。はぐれてしまい、結局合流できず、お弁当食べて帰られたとか。これが山なら大問題だが、大阪城公園なのではぐれても簡単に帰れるのがいいところ。
申込みなし、場所が大阪城、絶好の行楽日和、という要素が大きかったとはいえ、リスを見たいというニーズも高かったのかなと思う。機会があればリスの観察会を設定したら、またたくさんの人が来るんだろうか? でも、場所が友ヶ島では人は来ないんだろうな〜。
それにしても特別講師を頼んでおいてよかった。どうせ少人数と思って、一人でやろうとか思ってたし…。
呪い(名詞) 因果関係が不明なまま不幸な出来事が生じる現象。因果関係は不明であっても、呪い現象には一定のパターンが認められる事が多く、そのパターンがわかれば呪いを避ける事も可能。
昨年くらいからMさんと一緒に鳥を見に行く機会が増えた。たいていMさんが見たい鳥をリクエストして、それを狙って出掛けていくパターン。ところが、いまだかつてMさんと一緒に出掛けて狙いの鳥が見られた事がない。そう、呪いがかかっているのだ。Mさん自身に呪いがかかっているのか、Mさんとの関係に呪いがかかっているのかはわからない。とにかく一緒に行く鳥見はダメなのだ。
昨冬はベニマシコが多かった。その中でベニマシコを狙ったのだがやはりダメ。サンコウチョウを見たいというので、探しに行った。Mさんは遅刻してきた。Mさんが合流する直前には囀っていたサンコウチョウが、Mさん合流後にはまるで鳴かず。ことほど左様に、Mさんは呪われている。
今では呪いに慣れてしまって、Mさんと鳥見に出掛けて、何にも出なくても特に驚きもしない。話をしながら淡々と歩く。
今日、淀川に行った際、この呪いを避けるのに役立つ重要な現象を確認したので、ここに記しておく。
もともとはベニマシコが見たいということで淀川に行くことになった(Mさんはまだベニマシコを見たことがないのだ)。でも、各地でケアシノスリの観察が相次ぐ今冬、なぜか一番の目的はケアシノスリになった。さらに、なぜかMさんは当初のリクエストを忘れ、ツリスガラを見たいと言い出す始末。仕方がないので、ケアシノスリとツリスガラを探しならが淀川を歩いた。延々と歩いた。アカン、ケアシノスリもツリスガラも今日は無理。と言ってたら、どこからともなくベニマシコの声。目の前にベニマシコがとまった。
この呪いは、どうやら主なターゲットに出会えないというものだが、期待していない鳥なら出現するらしい。そこで我々は、密かにツリスガラを狙いつつ、ケアシノスリケアシノスリと言いながら歩くことにした。でも、時々どうしてもツリスガラおらんな〜、と口走ってしまう。それがいけなかったのだろう。ケアシノスリもツリスガラも現れず。
ところがである。途中の思わぬ会話が思わぬ結果を導くこととなったのだ。コミミズクは出ないんですか? 昔はけっこうおったけど、近頃淀川でコミミズクに出会うことは、絶対と言っていいくらいない。そう、たいした根拠もなく断言したのだ。その会話自体を忘れた頃、地上に降り立つ大きくて茶色っぽい鳥。チュウヒ? ノスリ? と思っていたら飛び立った。コミミズクであった。絶対出会わないはずだったのに…。
Mさんと鳥見に行く時のコツ。本当に見たい鳥の名前は口にしない。できれば、完全に忘れる。もしくは、絶対と言っていいくらい出現しないと信じる。非常に難しい。
朝はなにも降っていなかったので、いつもの格好で家を出た。植物園に出掛ける時には、みぞれ混じりの雨が降っていた。やがて、雨は雪に変わり、あっという間につもりはじめた。でも、道沿いはシャーベット状。雪はじゃんじゃな降って、景色は完全に雪国と化した。ここ数年、見なかった光景。
雪がじゃんじゃか降ること自体、近頃の大阪人には物珍しい。ましてや、そんな中で鳥を見た事なんて…、まったくないかもしれない。またとない機会なので、気付いたことをメモしておこう。
池では、カモの背中にどんどん雪が積もっていた。背中に雪を乗せたキンクロハジロのオスは、まるでスズガモに変わったかのよう。カワウの背にも雪がつもり、顔にもつもっているのかと思ったら、生殖羽であった。背中に雪をのせて冷たくないのかなと思う。あるいは重くないのかな。さしている傘は、雪の重みでかなり重くなっていた。カモやカワウもいつもより沈んでいたに違いない。
そんな雪の影響があるのだろうか。昼間は多くのカモは寝ているのが普通なのに、今日はほぼ全個体が起きて動き回っていた。寒いので植物園内にほかに人影はほとんどなく、餌をもらうために活動しているのではなさそう。そもそも採食している様子もなく、あっちにいったり、こっちにいったりしている。寒いから動き回ってる?
動きが変と言えば、キジバトの動きも気になった。なぜかキジバトがよく飛んでいる。バラバラと飛び立つので、捕食者から逃げているのではなさそう。かといって、まっすぐどこかに向かうのではなく、グルグルと飛びまわってる感じ。変な飛び方なんだけど、ディスプレイフライトとも違う。キジバトらしからぬホバリングめいたことをしてみたり、翼を交互に傾けてヒラヒラと飛んでみたり。
キジバトは雨の日にアンテナの上などにとまって、水浴びをすることが知られている。雪が降ってるんだから、雪浴びをしてるのかな、とも思うけど。そんなの聞いたことがない。
考えてみれば、大阪生まれ、大阪育ちのキジバトにとっては、雪はとても珍しいものに違いない。ここ数年、こんなに雪が降ったことはなかったので、生まれて初めて雪にであったキジバトも多いはず。初めての雪にはしゃいでいただけなのかもしれない。
ふと足下を見るといつもの格好。草履履きであった。雪の中、草履履きはお奨めできない。しょっちゅう滑ってこけそうになる。靴下は濡れ、指先がとても冷たい。凍傷になるかと思った。
今日は、自転車で大和川へ。水鳥を数えながら河口まで走る。予想外に早く終わった。鳥がいないのだ。カモ類だけはたくさんいた。いつもより多めにいたかもしれない。少なくとも昨月よりはいた。でも、カモメ類は河口近くに少しいただけ、約200羽。一瞬で数えられる。カワウも河口に1羽だけ。サギ類すら2羽しかいない…。
カモメ類は、海との行き来があるから、日によってある程度少なくなるのもわかるが、カワウにサギ類まで少ないとなると、何かあったのかなと思ってしまう。誰かが鳥を追い払った? でも、カモ類はいるんだけど…。
今日のはちょっと異常なので、来月もこんな調子でない限りは、たまたま何かがあったのかな、と考えた方がいいように思う。でも、そもそも近年ユリカモメが多くないのは事実。暖冬だから、なんて意見もあるかもしれないが、今年はそんなに暖冬でもないのにね。
この調査は、14年近く続けている。調査を始めた頃の11〜3月には、ユリカモメの個体数が3000羽を切ることがまずなくて、多い時は8000羽を超えたこともあった。それがここ数年、3000羽どころか1000羽を切ることも少なくない。そして今日は200羽。大阪湾でのカモメ類のたまり場が変わったとも考えられるが、あまりにも極端。そもそも大阪湾周辺への渡来数が減ってるんじゃないかと思う。
それを支持する観察としては、京都の鴨川に来るユリカモメの個体数がある。こちららも十数年前にはたくさんいたのに、近頃は見る影もなく減っているという。別にトビが増えたから減ったというわけでもあるまい。琵琶湖南湖から京都盆地、大阪湾北東部は、カラーリングを付けた個体の調査から一つの越冬集団が行き来するエリアであることがわかっている、といって良いと思う。このエリア全域でユリカモメの渡来数が減ってるんじゃなかろうか?
ユリカモメが減ってるなんて当たり前やろ!と思うかもしれないが、これをデータできちんと立証するのは、なかなかに面倒。なんせ広域をウロウロしている動物なので、一箇所やそこらの観察結果では不充分。京阪神エリアでこの十数年の間、ユリカモメの個体数を数えたデータがあと数カ所は欲しいところ。誰か持ってないかな? 持ってたら一緒に論文などを書いてみるのはどうかな?
膨大な本剥製のコレクション。不思議な手書きの解説。まさにパラダイス。と思ってたら、入口近くの看板に「神秘のパラダイス 津山科学教育博物館」とあった。嬉しくなって写真を撮ってしまった(このパラダイスは、我々と同じ意味で使っているのだろうか?)。自他共に認めるパラダイス。それが「つやま自然のふしぎ館」なのである(津山科学教育博物館が正式名称で、つやま自然のふしぎ館は愛称)。
入ると通路をふさいでシロクマがいる。自由にさわっていいらしい。自由にさわれる剥製は、毛がはげて無惨なことが多いのだが、このシロクマは白い毛並みも美しい。あまり人が触らないせいだろう。
最初の部屋は、パラダイス満開である。基本的に地学系の展示で、化石などが並んでいるのだが、その一画に珍しい哺乳類の本剥製を並べようと思ったらしい。背景は替えずに…。おかげで恐竜や翼竜の前にキンシコウやユキヒョウが並んでいる。とってもシュール。この部屋には展示室の中にポットが置いてあって、シュールな展示を見ながら自由にお茶が飲める。
次の部屋は人体と骨格の部屋である。この博物館をつくったのは現館長の祖父。その初代館長の内臓が展示されている。そうしてくれという本人の遺言も展示されている。ホネはどうなったんだろう? そばに立っている人骨も初代館長なんだろうか? ホネホネ団的には、オオアリクイとレッサーパンダの全身骨格があるのが楽しい。
次と次の部屋は、それぞれ貝と昆虫の部屋。ここらは割と普通な感じ。そのまま突き当たると大きなトイレがある。もともと学校の校舎だったのを改築して博物館に転用したそうで、言われてみれば廊下+教室という構造に手を入れたのがわかっておもしろい。そして男子トイレは低い。小学校だったに違いない。
2階と3階がこの博物館のメイン。圧倒的迫力で、哺乳類と鳥類の本剥製が並べられている。基本は地域ごとに、そこにいる動物を集めて展示しているらしい。とにかく展示ケース内には、ラベル以外ほとんど解説はなく、不思議な背景の前にびっしりと本剥製が並んでいる。剥製は美しく、かなりできのいいのも多い。しかし、種名が間違っていることもあるので、ラベルはあまり信用しない方がいいと思う(少なくとも今日時点ではそうだった)。
一方、通路の壁には、ところせましとグラフィックの展示がある。文字は基本的に、縦書きの手書き。グラフィックの内容は、とても多岐にわたっている。これを丹念に読んでいけばかなり楽しいに違いない。が、あまり真面目に勉強しようとは思わない方がいいだろう。なにせ数十年前に作られたまんまと覚しき内容だから。
見逃せないのが多いのだが、中でも要チェックは、
「第5室 アジアの動物」にあるレッサーパンダの剥製。言葉では言えない。ぜひ見て欲しい。私は笑ってしまった。
「第7室 北米大陸の動物」。ヘラジカ、バイソン、トナカイ、シロイワヤギなどが並んでいるのは大迫力。偶蹄類の剥製はとても充実しているのだ。そしてなぜかニホンカワウソというラベルのついた本剥製が2体。本当にニホンカワウソなんだろうか? 我こそはと思う人は、ぜひ確認に行って欲しい。
一番のスペクタクルは、「第9室 極地と中南米の動物」。ゾウアザラシのハーレムオスと、シロクマが、共に立ち上がって対峙している。どっちも強そう。
哺乳類のとくに偶蹄類ファンなら見逃せないのが「第13室 西アジア・アフリカの動物」。ヤギやレイヨウなどの立派な本剥製がたくさん並んでいる。筋肉から血管まで再現されていたりして、本剥製のできもすごい。
鳥類と哺乳類以外の脊椎動物は、「第10室 魚類室・オオサンショウウオ」にのみ展示されている。ここで目立つのは、部屋の名前と違ってカメとワニとオオトカゲである。ただ、部屋の名前にもなっているオオサンショウウオは、体長1.28m、体重23kgという信じられない大きさのオオサンショウウオの液浸標本がある。これこそが世界一大きな両生類なのかもしれない。
この部屋には、ガビアルやドクトカゲもいてなかなか楽しいのだが、一番の注目はガラパゴスゾウガメ(というラベルの付いた)大きなカメの剥製である。これまた我こそはと思う人は、本物かどうか確認に行って欲しい。
とにかく小枝師匠風パラダイスでありつつも、動物好き、標本好きのまさしくパラダイスでもある。これだけあると、かなり長い時間楽しめる。そして間違い探しに盛り上がる。入館料は700円とちょっとお高いが、一見の価値有り。ただし、空調が実質ない(家庭用のがところどころにあるが、その真下しか暖かくない)。冬と夏は避けた方が懸命だろう。
今日と明日は、岡山県方面に出張。先方から頼まれて、某博物館関連施設の標本を調査に行く。ある種の鑑定のようなもの。どの位の価値があるか評価して欲しいと頼まれ、市場価値ではなく学術的価値ならと引き受ける事になった。なんか、なんか、学芸員みたい〜。
そもそも標本の学術的価値とはなんぞやと考えてみた。おそらく、その標本が学術研究にどの程度役立つかということだろう。他の考え方があるかもしれないが、ここではそういうことにしておこう。
学術研究とは極めて多面的なので、その評価はかなり難しい。でも、一般化して言えば、その標本からどのような情報が引き出せるかに比例するに違いない。とすると、思いつく要素は二つに大別できる。
・採集データ(最低でも採集年と大雑把な採集場所):これがなければ少なくとも学術標本じゃないし、まともな博物館資料とも言えない。標本を何に使うにしても、圧倒的多数はこの情報が必要なはず。昆虫屋や植物屋は、これがなければゴミとまで言ったりする。鳥屋はそこまでは言わない。なくても貴重な標本はあるので。
・形態情報(色と形):これがなければ標本ではないけど、少なくとも色はよく失われる。液浸標本の場合、形重視で色は諦めていることが多い。一方、剥製は色が命という部分も少なくない。剥製の場合、光で色が褪せるのみならず、埃をかぶって汚くなってることも多い。さらに虫害によって、形が失われる事もある。
さて、では調査結果を報告しておこう。
調査した標本は、鳥の本剥製約500点。すべて40年以上前に収集されたもので、少なくとも40年以上、展示され続けている。収蔵庫はなく、基本的にすべて展示されているのだ。したがって、展示は収蔵展示のようなもの。基本的には地域ごとに、本剥製がずらっと並んでいる。ただ、並び方は時々変更しているらしく、台座を入れ替えた形跡がある。その中での学術的価値はというと、
採集データはほとんど残っていない。標本台帳も確認したが、古い台帳には大まかな産地が記されているだけで、採集日の情報は載っていない。産地も1/3以下の標本についてしか掲載されていない。本剥製の台座をチェックしてみたところ、ごく一部に採集情報が付いているものもあったが、大部分には何も付いていない。中には、台座のデータと上の標本の種名がずれているケースもあった。
一方、標本の状態自体は、極めて良好であった。40年以上も展示したとは思えないくらい色が綺麗に残っている。赤い鳥は赤い(赤はすぐに抜けるのだ)。そして、一部の展示室を除き、埃がかかって汚れた剥製も少ない。少量の埃をかぶっているものも、丁寧に処理すればまだ除去できそうであった。そして、虫害はほとんど見あたらない。明らかな被害があったのはペンギン達くらいのもの。
剥製自体の状態はとても良好で、形態情報に関する学術的価値はかなり高い。だが、標本データがほぼ失われている以上、総合的な学術的価値はかなり低いと言わざるを得ない。
しかし、学術的価値とは別に博物館的価値も考えることができるだろう。展示による普及教育という側面で考えると、これだけまとまったコレクションには、かなりの使い道がある。それに、これだけの本剥製のコレクションは日本に数少ないので、日本各地の博物館が貸して欲しいに違いない。
というわけで、今後もしっかり保存して、普及教育にきちんと活用するのが望ましい。てな、報告を書くことになるだろう。
今日はとある団体の対応。午前中は2時間ほど講演をして、午後は2時間ほど植物園で鳥の解説。リーダー研修なるものらしい。こちらは例によって、普及と広報を兼ねたような話をしまくった。友の会の勧誘とか行事の宣伝とかサークル入会者募集とか。
みなさん、かなり真面目なのでとてもやりやすかった。ただ、なんか宣伝ばっかりやな〜、という声も聞こえてきたような…。てなことはさておき。
一通り、話と観察が終わって、解散。いったん引き上げてから、ミュージアムショップに行ってみると、宣伝した甲斐があって、紹介した本なんかが売れてして、ちょっとした達成感。それもさておき。
しばらくして、カウンターに呼び出された。先ほどの参加者が、外で観察した果実の種名を質問されたらしい。どこかに急いで向かう植物担当とすれ違う。見てみると、ランシンボクの種子であった。それさっき説明しましたよ〜。てな会話をしてみる。どこかへ向かった植物担当は、それを調べに行ったらしいが、それもさておき。
その方、こちらには紹介した本のタイトルをもう一度確認したかったらしい。ところが、なぜか話がかみ合わない。植物園を案内してくれた先生ではなく、午前中本を紹介してくれた先生を呼んでくれと繰り返される。午前中話をしたのも、午後に植物園を案内したのも同じ人物である、と言っても。速攻で否定された。そばからの援軍がなかったら、説得できなかったかもしれない。どうやら、話をしてる時と、鳥を見せてる時は雰囲気が違うらしい。
午後は外に出掛けるので、上着を着ていた。目が悪いそうなので、それで別人と思ったのかもしれない。その上、話をろくに聞いてなかったのかもしれない…。それもともかく。
自分が、二つの顔を持つ男だったとは知らなかった。ちょっと格好いい。二つの顔のどっちの方が格好いいのだろう? 残念なことに確認し損なってしまった。二つの顔を確認したい人は、行事に参加して、講演を聴いたりもするように。なんか宣伝ばっかりやな〜。
市民に呼びかけて、河川のゴミ拾いをするらしい。河川が綺麗になるのは結構結構。で、市民に参加をうながす理由として、河川に捨てられたゴミが河川の生き物の暮らしを脅かしていると宣伝したいらしい。ゴミが生き物の暮らしを脅かしている例を教えて欲しいと頼まれた。さて、あなたなら何をあげる?
思うに、水質のような河川の化学的環境は、鳥にはあんまり関係ないのだが、水中で暮らす生物には大きな影響を与える。有機物・リン・窒素などなど生活排水なんかから由来する富栄養化に貢献する物質。農薬や重金属などなど農業廃水や工業廃水から由来する化学物質。重金属やダイオキシンなどなら、食物連鎖を通じて、鳥など上位の捕食者にも影響していく。
が、市民が河川の清掃で拾うようなゴミは、何かが溶け出さない限り、何かが流れ出さない限り、水質とは直接関係なさそう。
思うに、底質や岸の状態など河川の物理的な環境は、鳥を含めて、河川の水中・水辺で暮らす生物に大きな影響を与える。河川改修なんかで大量の土砂が流入したり、河川改修なんかでコンクリート護岸されたら、生き残れない生物も多い。
が、市民が河川の清掃で拾うようなゴミは、水底や岸を埋め尽くすほど大量でない限り、河川の物理的環境を大きく改変するとは言えなさそう。
思うに、むしろ空き缶や自転車が水の中にあったら、ある種の動物の住処を提供したりする。中州に落ちているゴミの下には、色んな動物が隠れていたりする。ある種のほどほどな量のゴミは、むしろ河川の動物に生息環境を提供しているのかもしれない。
そんなわけで、もちろん油とかが流れ出すゴミは取り除かないといけないけど。河川のゴミをみんなで拾って河川を綺麗にする活動の大部分は、河川で暮らす生き物に、さほどプラスにはならないんじゃないかと思う。
かといって、別に反対するわけではない。河川に人工物が捨てられているのは好きじゃない。量が多くなればもちろん河川の生物相にも影響を与えるだろう。ってことで、河川のゴミ拾いは大いに賛成。でも、それは第一義的には人間側の美意識の問題で、まさに美化にほかならず、「河川の生き物のために」ってかけ声は止めておいた方がいいと思う。
思うんだけど、この考えはどうだろう? なんか忘れてるだろうか? 具体的に河川のゴミが、生き物に悪影響を与えている例があればお知らせを。
思うに、河川の生き物の事を本当に大切に思うなら、生活排水を浄化したり、農薬使うのをやめたり、妙な化学物質を垂れ流すのをやめたり。はたまた、河川整備と称してコンクリート護岸を造りまくるのをやめたり、ゴム堰などで水中の生き物の行き来を妨げたりしない方が、はるかに重要だろう。
アカウミガメの骨を洗った。なぜか初めてだった。肉や砂が残ってないか、いろんな角度から見なくてはならない。おかげで、改めて骨をよーく見ることになる。横では、カマイルカのフィンの皮を剥いていて、この手の海産物にありがちな、あの臭いがする。きっとそのせいで思い出したんだろう。隣の団長に話しかけてみる。
表に置いたままのアレ覚えてる?
あっ、忘れてた!
アレで思い出したってことは、潜在意識にはあって、その記憶が臭いで活性化されていたに違いない。
昨年の夏、新潟や淡路島にいって掘ってきたイルカとウミガメの骨。箱に入れて持って帰ってきて、臭いし暑いし面倒なので、外に置いてそのままなのであった。まあ、腐る物ではないし、というか腐ってくれて骨になってくれれば儲けものなのだが、ちゃんと処理しないとなかなかちゃんと腐って骨にはなってくれない。
アレ、どうしよ?
寒いから、もう少し暖かくなってきたら、処理しよう。
じゃあ、そうしよ。
というわけで、相談がまとまった。3月はまだ寒そうなので、4月か5月に処理することになるんだろうか。ただ、忘れてはならないことが一つ。昨年の夏にも同様の会話をしたのであった。
暑いから、もう少し涼しくなったら、処理しよう。
同じ事を繰り返さないように注意しなくてはならない。いや、同じ事を繰り返していたら、何年かしたらちゃんと骨になってる気もする。いやいや、そんな事を考えていたら、また同じ事を繰り返す。いやいやいや…。
インセンティブってよく聞くけど、動機付けって感じの意味かな? 程度に思っていた。ウィキペディアに曰く、「 (経済学) - 費用と便益を比較する人々の意思決定や行動を変化させるような誘因」。だいたい合ってたような気がするけど、ちょっと違ってた気もする。まあ、ようやく流行の外来語の意味がわかってよかった。
今日は、Lにミッフィーグッズの引き替えに行った。シールを集められるのが1月末までなので、1月31日の夜に大あわてで、翌日の昼食を買いまくって、30ポイント貯めた。シールを貼ったシート2枚も持って引き替えてもらう。なんとミッフィー小鉢以外に、ミッフィーフォークとミッフィーお箸もGETできた。かなり満足して帰ってきた。
Lのミッフィーグッズのおかげで、この期間はいつも以上にLを利用している。まさにLの思うつぼ。しかし、なぜかはまってしまうのは、シールを貯めたら、その場でもれなくグッズに引き替えてくれるという要素が大きい。これが郵便で応募しなくてはならないなら、集めなかっただろう。
そして、一度集め始めると、途中からは集めること自体が目的と化す。まさにLの思うつぼ。意地でも集めまくったおかげで、ミッフィーお皿4種類、ミッフィーボウル、ミッフィーマグ、ミッフィー小鉢、ミッフィーフォーク、ミッフィーお箸と揃ってしまった。惜しむらくは、油断していてミッフィースプーンをGETし損ねたこと。どこかで手に入れたい…。
しかし、ふと冷静に考えて不思議になった。Lのミッフィーは集めても、Fのスヌーピーや、Sの…何だっけ? ともかく他のを集めないのは、ミッフィーは比較的好きだけど、スヌーピーは嫌いだから。とはいえ、必死にグッズを集めるほど、ミッフィーが大好きなわけでもない。どうして集めてるんだろう? 近くにLがあったからか??
北摂のシカの分布はおもしろい。高槻市にはいる。茨木市にはいない。能勢町にはいる。へんなの。
高槻市と茨木市の分布境界は安威川らしい。なぜあの程度の川が渡れない! とも思うが、渡ってないらしい。で、問題は茨木市の西にある境界。
今日、豊能町東部を歩いた。もっぱら哺乳類調査。シカの糞を探しながら歩いた。で、分布の境界を見つけたように思った。余野川の西にはシカの糞が落ちているのだが、余野川より東にはまったく見つけられず。カヤネズミの巣を見つけ、ウサギの糞を拾い、という具合にシカの糞が落ちていてもよさそうな場所を探しまくったが、余野川の東にシカの糞なし。ぜったいにシカが来ないとは言わないが、定住域ではない感じ。
その場では、茨木市の西側の分布境界は、余野川である! と見極めた気になって帰ってきた。が、今日、地図を見てみて驚いた。話はそんなに簡単ではなさそう。
問題は池田市と箕面市では、余野川の東にもシカがいること。豊能町の余野川を渡れなくても、箕面市の余野川を渡れたのなら、北上すれば豊能町にも行けるのに…。池田市は北部の山地に広くシカがいるようなので、箕面市におけるシカの分布境界が問題になってきそう。
手持ちの情報からすると、箕面市にシカがいるとはいっても、東の方からの情報はない。余野川を越えても箕面川、さらに勝尾寺川といった河川が障壁になっているのかも。ただ、豊能町の高山方面に入っていない理由はやっぱり不明。
もしかしたら、箕面市でも余野川を渡ってのは比較的最近のことで、まだ個体数も多くなく、分布域も限られてるってことかもしれない。シカの個体数が増えている昨今。茨木市でシカが見られるようになるのも、そう遠くないのかも。
出会いはいつでも偶然の風の中なわけで、なぜかアオシギを見た。
先日、アオシギを期待しながら、みんなで池田に行った時は見事にふられた。現地でばったりアオシギ情報をくれた方に遭遇。今シーズンは見ていないの一言であっさり玉砕。
帰ってきてから、今日、岸和田で見たという話を聞かされて、一層脱力した。池田ではなく、岸和田に行けば良かった。
さて、今日は哺乳類調査を目的に、豊能町に行った。はっきり言って、鳥を見る気はほとんどなかった。歩き始めた時は双眼鏡をぶら下げてなかったくらい。途中で、川に生えてるやたら緑色の植物が気になって、双眼鏡を出してきた。
三面張りの小さな川沿いを歩いていたら、目の前からシギが飛び出した。後ろ姿でわかりにくいが。タシギ!? いやいや。いやいや? アオシギ! と思ったら、少し向こうに降りた。近づくとまた飛び出した。今度は周りをゆっくり飛んでくれたので、色も模様も形もバッチリ見えた。まさしくアオシギ。双眼鏡を出していてよかった。
せっかくなので、気付いた点を記録しておこう。
・環境は、余野川支流の三面張りの小さな河川。川の岸幅が約5m、流れの幅は約80cm。多くの人がアオシギを三面張りの小河川で見てるそうだが、ご多分に漏れない感じ。
・飛び出す時に、声はなかった。タシギのように上がったり下がったりせず、低い高度でまっすぐ飛ぶ感じ。タシギと比べると、重そうというわけでもないが、ゆっくり飛んでいた。おかげで、飛んでる姿は見やすい。
・次列風切の先の白縁はほぼない。色合いはあまり黄色みを帯びない。ゆっくり見た時には、アオシギ独特の妙な色合いも確認できた。
今年見たいと思っていた鳥が見られて嬉しいのだが、残念ながらとまっている姿は見られなかった。追いかけて行けば見られたかも知れないのだが、本来の目的の方を優先してしまった…。
で、何が残念かと言えば、これではライフリストに入らないのだ。マイライフリストには珍しいレギュレーションがあって、止まってるか浮いてる姿を見ないとカウントされない。この規定のせいで涙を飲んでいる種が20種も。アオシギもその仲間入りを果たしたことになる。今度はとまっているアオシギを見たい。
植物園にタヌキが棲みついたのが、いつなのかは、よくわからない。過去の自分の書いた文章を見返すと、2005年3月には大阪市内某公園のタヌキ情報に驚いていたことから、この時はまだ地元にタヌキがいるとは思ってなかったらしい。2006年2月、植物園の近くでタヌキの死体が回収されている。この時、植物園にもタヌキがいる噂があると書いている。でも、姿どころかため糞も見ていないらしい。
さっするに2005年後半辺りから、植物園にタヌキが棲みついたらしい。2006年末には植物園で死体も拾われ、ため糞もあちこちに見つかっている。2008年1月現在もタヌキは元気に生息しているらしい。2006年と2007年に合わせて3頭の死体を回収しているが、ため糞には新たな糞が追加されているので、まだ生き残っているに違いない。
さて、いまだにタヌキ自体を見る機会には恵まれていないが、ため糞はあちこちに見つけている。現在確認している場所は、6ヶ所。もっと本腰を入れて探せばもう少し見つかるかもしれない。
この内、1ヶ所は2005年終わり頃に初めて気付いたはず。しばらく使ってなかったと思ったけど、今日、再び使っているのを確認した。そういえば2006年に見つけた2ヶ所も、一時使わなくなっていたのに、また使ってる。ため糞場所の利用には、季節変化か何かがあるらしい。
2007年の秋から何度か確認しているため糞場所では、秋にワシントンヤシの種子だらけだったのが、年末にはセンダンの種子が増え、今はあまり種子が目立たなくなっている感じ。わざわざ採集しなくても、おおまかな食性は判断できそう。
というわけで、タヌキのため糞を定期的に観察して記録しておけば、何か面白いデータになるんじゃないかと思いついた。何がわかるかは後回しにして、どんなデータを取ったらいいか考えてみよう。
・ため糞場所を利用しているかを定期的に確認。最低限これはやってみたらよさそう。ある程度、利用場所は決まるようなので、ため糞場に名前を付けることも可能だろう。問題は確認頻度。あまりに高頻度にするのは大変なので、とりあえず月2回程度でどうだろう。
・ため糞に見られる内容物。糞を採集して定量的に調べるのは面倒だし、継続観察に影響が出ては困るので、とりあえず採集せず定性的に記録してみよう。目に付いた種子を記録するだけでもいいだろう。できれば大雑把に量的な記録も取ってみよう。
・量的な記録としては、できればため糞場にある糞の量を評価したいところ。それによって、タヌキの相対的個体数(もしくはバイオマス?)を評価できるに違いない(シカやウサギでできるんだし)。現地で数えるのは面倒なので、写真でも撮ってみようか。
とりあえず2月から一年間回してみて、その様子を見つつ、その後の展開を考える予定。だけど、所詮、にわか哺乳類屋の思いついたこと。そもそも他のため糞研究の例を知らない(なんと調べもしていない)。優秀なる哺乳類屋のみなさん、有益な助言をお待ちしています。
知らない間に、ウーちゃん倶楽部なる団体に入っていることを先ほど知った。メールの書き出しに「ウーちゃん倶楽部のみなさまへ」とあったのだ。そのメールが届くからには、ウーちゃん倶楽部の一員に違いない。
どうやら、カワウに標識して移動を調べている人たちのグループらしい。メールが送られているメンバーを見ると、関東の人も入っているけど、東海よりの人は入っていない。メールの内容は琵琶湖で標識された個体が大阪の大和川で保護されたというもの。
果たして全国組織なのか、はたまた関西を中心とした組織なのか少し気になる。もし全国組織なら、ウーちゃん倶楽部関西、ウーちゃん倶楽部東海、ウーちゃん倶楽部関東、ウーちゃん倶楽部山陰といったさまざまなサブグループが存在するのかもしれない。各地で付けているカラーリングの色は異なっているので、こうしたサブグループに分かれるのには、それなりに意味がある。一方で、カワウは地域をまたにかけて移動したりするので、全国組織も必要。鳥学会大会の自由集会かなんかで、ウーちゃん倶楽部全国大会を開いてみたり。
ただ、メールをよーく読むと保護されたカワウのことをウーちゃんと呼んでるようでもある。とすると、今回保護されたカワウだけのファンクラブみたいなもんなんだろうか?
保護されたカワウ1個体ごとに違う倶楽部があるとすると、かなり煩雑なんじゃないだろうか。この点に関して、再びどこかで標識されたカワウが保護されれば明らかになると思うので、楽しみに待つことにしよう。
とにかく、今度バードフェスティバルを開く時は、ぜひウーちゃん倶楽部に出展してもらおう。
岬町に行った。両生類調査と哺乳類調査をかねた感じ。コウモリのいそうな穴があるとの話だった。同行者の親戚が地元におられるとのことで、案内をお願いしてくれていた。
どのように頼んでくれたのかわからないが、親戚の方は、ものすごく歓待してくださった。少し困ってしまうくらい。正直に言おう。親切にされるのは苦手なのだ。どう反応していいかわからない。とにかく、たくさん御礼を言ってみた。
コウモリがいると噂の穴に案内していただいた。案内してもらってよかった。適当にはなかなかいけない場所であった。あいにく今日はコウモリはお留守だったが、キクガシラコウモリくらいは入りそうな気配であった。
さて、その帰り、我々は休耕田を見つけては、アカガエルの卵塊がないかとか、カヤネズミの巣がないかとか、を探していた。親戚の方は、ちょっと不思議そうに我々を見ていた。カヤネズミの巣を見つけて喜んでいたら、何を見つけたのか質問された。で、カヤネズミについて少し説明した。すると、ネズミが好きであると理解されたらしい。倉庫にネズミが入って困るので、ネズミ採りを仕掛けているという話をしてくださった。
もしネズミが捕れたら死体をください! といつものようにお願いする。すると、これからネズミがかかっているか見に行こう、ということに。
まずは消防関連の倉庫。屋根のあるゴキブリホイホイの大型版がいくつか仕掛けられていた。ハツカネズミとアカネズミとおぼしきネズミが、それぞれ3匹と1匹かかっていた。
次に脱穀機や精米器が置いてある倉庫。こちらはシートだけの粘着トラップ。さすがは米がある倉庫。たくさんいろんな動物がかかっていた。ゴキブリ、カマドウマ、直翅類、ゴミムシ、ハエ、クモ、ダンゴムシなどがたくさんかかっているほか。爬虫類が、ニホンヤモリ1匹、ニホントカゲ5匹、ヘビの一種1匹(ヘビはすでにミイラを通り越してほとんどホネ状態ですぐには同定できず)。脊椎動物では、ハツカネズミとアカネズミとおぼしきネズミがそれぞれ12匹と1匹(他に不明1匹)。そして、なによりジネズミが5匹かかっていた。
ネズミ類はともかくとして、ジネズミをはじめけっこう虫喰いの動物がかかっている。穀類を狙って虫が集まり、さらに虫を狙っていろんな動物が集まるってことだろうか。
大阪でのジネズミの報告例は多くない。生息していても見つけにくい。そして、わざわざトラップを仕掛けて調べている人がいない。ってのが情報が少ない原因とは思う。とはいえ、一ヶ所でこんなに捕れるとは驚いてしまった。大阪各地の同じような粘着シートを集めれば、たくさん標本が集まるかもしれない。
広く、声をかけるのは難しいかもしれないが、とりあえず知り合いには声を掛けてみようかと思う。
帰り、冷たい雨が降ってきたら、駅まで送って下さった。お土産までもらった。実は食べ物や飲み物も頂いた。とりあえず、またたくさん御礼を言ってみた。ここにも書いておこう。本当にありがとうございました。
今日は、本屋の出店を出していた。重大な発見があったので、書いておこう。
機会あるごとに本屋の出店は出すのだが、今日は年に一度の特別な日。いわば在庫一掃処分市なのだ。この一年に生じたキズ本をたたき売る。本屋の店頭に3年以上並んでいた本(我々専門家はこれをワースト本と呼ぶ)を、収益度外視で、少しでも減らす。ちなみに店頭に6年以上居座っている本は、この日ばかりはキズ本扱い。
キズ本は、原価を割っても仕方がない。安くてもとにかく売りさばいてしまう。値段設定は、本体価格の半額を目安にした。
ワースト本は、利益がでなくても仕方がない。原価ギリギリで売ってしまう。本体価格の15%引きが基本。
売値にはある程度の融通を持たせている。とくにキズ本は、それで売れるなら、さらなる値下げも断行する。すべては客とのやりとり次第。そして、その場の勢い。相手は、大阪人。値引き交渉はなかなかシビアな展開を見せる。
特にお嬢様方は、そのお歳に関わらずとても手強い。まけてもらう事にあくなき欲望を持っている。そして交渉はしたたか。キズ本は半額と言ってるのに、端数は切り捨てさせられるし、さらに2冊買うから合わせてさらにまけろと言う。キズ本だし、それで買ってもらえるならいいかな…。とちょっとでも考えてしまったら、もう負け。それで決まった事にされてしまう。さらにワースト本は、15%引きやと言ってるのに、さらに値引かされる。軒並み原価割れ。売れば売るほど赤字やし…。
ところが、おじさん相手の時はなぜかかなりスムーズ。こちらの設定した値段から、さらなる値引きを要求する人が少ない。もっと値引きをという人でも、端数だけ切り捨てるとかで満足してくれる。とてもやりやすい。
これでわかったことと思う。大阪文化を規定しているのは、男どもではないのである。大阪人とは、すなわち大阪のおばちゃんのことなのである。そして、それは若い内から完成されているのである。恐るべし大阪のおばちゃん。がんばれ、大阪のおばちゃん。ただ、その高い能力を、うちの本屋以外で発揮してもらえると、売上がもう少し伸びるのになぁ。
猪名川のカヤネズミの巣の話。
9月に歩いて、さんざん探したのに、一つのエリアでしか発見できず。カヤネズミがいそうな環境なのに…、と釈然としない想いで帰ってきた。同じ場所に今日行ったら、カヤネズミの巣がたくさんあった。なんとなく歩きながらでも、あっちにもこっちにも巣が見つかる。いないどころか、メチャメチャたくさんいるらしい。
さて、この結果からいくつかのことが考えられる。
9月には見つからなかった巣が、今日はたくさん見つかったことの説明は、3つしかない。
1:9月にもカヤネズミが生息していて、巣もあったが、探し方が悪かった。
2:9月にもカヤネズミが生息していたが、その時点ではまだ巣をつくっておらず、その後巣をつくった。
3:9月にはカヤネズミが生息していなかった。その後、生息するようになって、巣もつくった。
1の場合は、巣の探し方がダメダメってことになる。それは困る。できれば避けたい。というわけで、考えられるのは、2か3の可能性。
2の場合は、さらに色々考えられるが、面倒なので深く考えるのは止め。用は、探しに行った時期が早すぎたんや、アホやなぁってこと。
3の場合も、さらに色々考えられる。こっちは考えてみよう。
3-1:9月には、まだこの世にカヤネズミという種は分化していなかった。その後種分化した。
3-2:9月にも、この世にカヤネズミという種が存在していたが、まだ猪名川には分布していなかった。その後、猪名川に分布を拡大した。
3-3:9月にも、この世にカヤネズミという種が存在しており、猪名川も分布域ではあったが、季節移動をするため9月時点ではいなかった。
カヤネズミが季節移動したらおもしろいけど、ありそうにないので、きっと9月の調査は時期が早すぎたんだろう。
同じ頃に調査したのが、安威川。カヤネズミがいそうな場所がいくつもあったのに、1ヶ所でしか巣を見つけられなかった。これも時期が早かったのかもしれない。その証拠に1月に入って、カヤネズミの巣をいくつも見つけたという情報が届いている。9月にはなかった場所なのに…。
ってことで、安威川ももう一度調査しなくてはならないかもしれない。少なくとも、神崎川との合流あたりは見ておきたいかも。できれば時間をつくって行ってみよう。でも、あまり時間がないな〜。えっ! 代わりに行ってくれるって? それは有り難いな〜。と思う今日この頃。
バードウォッチャーのご多分に漏れず、ライフリストを付けている。やはり見たことがない鳥を見た時の嬉しさは捨てがたいものがあったりするのだ。
中高生の頃は、毎年年末年始に一年間に見たい鳥10種を選定していた。もちろん見たことがない鳥から選ぶ。年末には、目標がどの程度達成されたか、一年間を振り返る。
バードウォッチングを始めたばかりの中学生の頃は、年に数十種も初めての鳥に出会う。近場で鳥を見ているだけでも、目標達成はとても簡単。しかし、高校生の頃から目標達成が難しくなってくる。それでも年に10種程度は、新しい種に出会うことができていた。
しかし、今となっては年間10種も初めての鳥に出会う事は少ない。たいしてライフリストは多くないのだが、近場で簡単に見られる鳥はさすがにクリアしているし、鳥だけを狙っての遠出をする暇はない。この10年を振り返ると年平均2種程度しかライフリストが増えていない。淋しい。
ってことはあまり関係なく、今年は初めて見たい鳥を設定することにした。大人なので、3種だけ。
ケアシノスリ、アオシギ、ベニアジサシ。
なんやそんなんも見てないのか〜、と言われそう。そう見てないのだ。で、この3種は今年見れそうな予感がする。
ケアシノスリはこの冬見ずにいつ見るんや!というくらい各地に渡来している。わざわざ見に行く予定はないけど、淀川に行く機会が何度かあるので、がんばって探そうと思う。
ベニアジサシは昨年、大阪で初めて繁殖したらしい。調査や観察会のついでに見る機会があるかも!
アオシギは昨年から密かに狙っている。土地勘もついてきたし、そろそろ出会えるんじゃないかと思っていたりする。
ってことで、明日はアオシギを期待しつつ、猪名川方面にお出かけ。Kさんの言葉を借りれば、はたしてアオシギのツキがあるかどうか、いわば運試し。今までずっとツキがなく、一度も出会ったことがないけど、一度出会えば後はトントン拍子に次々出会える気がする。よくあるよくある。
明日、検討部会が開かれるので、その準備。哺乳類の偉い先生が来るのでちょっと緊張(半分くらいウソ)。で、調査の中間報告的に今までに集まった大阪府の外来哺乳類の情報を可能な範囲でまとめてみた。
・アライグマ
大阪府から2005年以降に捕獲した場所の情報をもらった。ファイルをもらったのが一昨日なので、とてもではないが全部の情報をプロットできない。思った通りというか、想像以上に多くのデータがある。試しに2005年のデータだけプロットしてみた。真面目に捕獲している市とそうでない市の違いが大きい。真面目な茨木市と高槻市は、北部を中心に、ほぼ市域全体にプロットが散らばる。北では千里丘陵以北全域に分布しているらしい。泉南はほぼ海岸線まで分布している。2006-2007年のプロットはさらに多いので、大阪大部分がうまることになるかも。
・ヌートリア
こちらは姿が見られる数少ない哺乳類。唯一、一般からの情報収集に意味があるといってもいいかも。やはり淀川周辺に多い。近頃は大川と大阪城の堀でよく観察されている。でも、芥川や猪名川の情報も多い。そして、能勢町を流れる山辺川やその支流では、5年くらい前から観察されているという話を聞いている。具体的な観察情報をお願いしてるところ。そんなに昔から山間部に進出していたとはショック。
・タイワンリス
そして最大のショックがタイワンリス。枚方市の観察記録を頂いた。画像付き。念のため明日、哺乳類の先生に見せるけど、腹の色と顔つきからして間違いないと思う(少なくともニホンリスではない)。さらに残念なことに4頭もいたという。京田辺市の情報もあり、京阪奈丘陵北部に定着している恐れがある。
・タイワンザル
さいわいタイワンザルの情報は、まだない。
・ハクビシン
箕面市と高槻市から確実な情報あり。高槻市の1例は、アライグマ用の箱ワナに入ったものだという。大阪府南部でも同じく箱ワナに入った例があるらしく情報を請求しなくてはならない。すでに大阪府に広く生息している可能性がある。
・チョウセンイタチ
ニホンイタチとの識別が難しいので、標本情報に限定している。というわけで、死体を集めているのだが、今のところ約50体しか集まらず。分布図には少なすぎる。それでも、意外な結果が出そうな気配。一般に市街地に生息しているとされるが、先日もらった能勢町のイタチは、どう見てもチョウセンイタチだった。山間部にも生息してるんじゃなかろうか?
そんなわけで、まだまだ観察情報を募集中。とくにヌートリアを見かけたら、泳いでいるでっかいネズミを見かけたら、ぜひお知らせを。
それから腹が白くないリスを野外で見かけたら、ぜひ教えて欲しい。とくに北河内エリアは要注目。
さらに、ハクビシンやイタチの死体が落ちてたら、ぜひ送って下さい〜。
【追記】
翌日にしてさっそく間違いが見つかった。それもちゃんと情報をもらっていたのにうっかり忘れていた。すみませんすみません。
大阪でのタイワンザルの記録はあったという。1988年に箕面でのこと。写真も撮られて報告もされているという。ただ、具合が悪そうだったということ。その後の記録もないし、おそらく定着や雑種形成はなかったと思われる。
大阪府南部での確実なハクビシンの記録も存在していた。岬町や河内長野市でアライグマ用の箱ワナで捕まってしまった例があるという。
分布調査なので分布情報が得られて分布図にプロットが増えるのは嬉しいような、外来哺乳類なので嬉しくないような。
写真コンテストに続いて、バッジコンテストにも応募すべく、今日はデザインを作ってみた。写真コンテストは、この一年に撮影した画像から選ぶだけだが、バッジデザインは何かしら作らないといけないので、ちょっと負担が大きい。
さて、写真コンテストとバッジデザインコンテストの大きな違いはもう一つある。写真コンテストが、プロの写真家によって選考されるのに対して、バッジの方は一般参加者による投票なのだ。つまり、ネビュラ賞とヒューゴー賞と同じ違いがあるわけ。上位入賞を狙うなら、プロの写真家の好みをツボを狙うのとは違って、いわゆる一般受けを狙うことになる。
さて、簡単に上位入賞する方法が一つある。ネコの画像を応募するのだ。ネコの人気は絶大で、数年前、実家のネコの顔写真を応募したらあっさり上位入賞してしまった。しかし、安易な結果がわかっている作品を応募してもおもしろくない。それ以降は、ネコを封印しているのである。
さて、ネコを封印するのはいいのだが、じゃあ何にするかとなると頭が痛い。過去の応募作品を見ると、忙しい時は画像を加工して、余裕があればイラストレーターで絵を描いているらしい。
今年はネズミ年なので、ネズミの絵でもと思ったが、昨年大きなネズミの絵で応募していたことを発見した。今年も同じネズミを応募したらダメなんだろうか? レギュレーションを見る限り、過去の応募作品を再び応募してはいけないとは書いてないのだが。
ミュージアムショップなどのスタッフを募集することになった。今までがんばってくれていたスタッフが卒業したり、就職したりで、人手が足らなくなったから。今までは知り合いの知り合いといったツテをたどって採用してきたことが多いかもしれない。でも、知り合いネットワーク以外にも、博物館で働きたい、そして優秀な人は多いはず。ということで、今回は公募することになった。主にネットを活用しての募集なので、メーリングリストや伝言板、mixiのコミュに書き込みまくった。興味のある人は、その筋のサイトを参照のこと。
はっきり言って賃金は安い。勤務日数は月に10日あるかないか。これで生活するのはもちろん無理(でも国民年金程度はあるので、日本国的には生活できるって判断なのかも…)。博物館やミュージアムショップに興味があって、生活よりもその興味を優先するような物好きでないとお奨めできない。
考えてみれば、そんな物好きのみなさんのおかげで博物館は成り立っていると言えなくもない。指定管理になってその傾向は一層強くなった。決して望ましいとは思えない。優秀な人に、きちんと対価を払って、思う存分働いてもらえるような環境整備を目指しているのだが、なかなか現実は厳しく、理想にはなかなかたどりつかない。
というわけで、今日のところは、物好きのみなさん、来たれ博物館へ。勤務日数は少ないので、むしろ学生向きの募集かもしれない。将来博物館で働きたいなとか、学芸員になりたいな、と思ってる人にとっては、経験値を高めるメリットはあるだろうと思う。いつか学芸員募集に応募するときにも売りになるかも!
で、募集要項にははっきり書かれていない。応募に当たっての重要情報を教えておこう。
募集している仕事は、客商売である。子ども相手の機会も多い。というわけで、何より愛想良く、人前で声が出せることが重要。人前で話ができない人はいらない。子ども目線が話のできる人が望ましい。
過去には、声がやたら大きくて、明るくて元気というだけで採用された。という噂の人もいる。そう、Iさんである。Iさんが働いている時は、すぐにわかる。声が響き渡っているから。まあ、そこまでにぎやかでなくてもいいんだけど…。
自然写真コンテストがあるということなので、遅ればせながら応募した。昨年から始まって、今回が2回目。昨年はまるで選考対象にしてもらえなかったので、今年はリベンジを誓っている。
とりあえず、2007年2月以降に撮影した画像を一通りながめて、応募作品を選考した。
さほど真面目に撮影していない。調査の記録写真が圧倒的に多いし。でも、密かにこのコンテストを狙っていて、面白い写真を撮るように心がけていたりもする。まあ、たまたまカメラを持っていて、時間に余裕のあるときだけだけど。
8点の候補作品を選び抜き、さらにその中から3点を厳選した。今年のコンテストの選者は、昨年と同じ。昨年の選考結果からすると、絵柄として面白いものよりも、生き物の生態を捉えたような作品が選ばれる傾向がある。そこで、選者の傾向に合わせた写真を選んでみた。あからさまに入選狙いなのである。
さすがに出品作品をここで紹介するわけにはいかない。が、応募を見合わせた写真はこんな感じ。
・なんかわからんイネ科植物。形が面白い!
・港に集まって浮いているミズクラゲ。色合いが綺麗〜。
・空いたフジツボに一つずつ入って隠れている巻き貝。住宅事情な感じ。
・ヤマカガシから出てきた消化途中のでっかいヒキガエル。こんな大きなのが出てくるの?って感じ。
・キャベツ畑に大群で降りて食害しているヒヨドリ。
お見せできないのが残念だが、応募を見合わせた作品でも入選は固いに違いない。いわんや応募作品をや。上位を独占してしまうとは、大人げないな〜。
もう一つのバッジデザインコンテストにも応募の予定。これまた上位を独占してしまうに違いない。大人げないな〜。
今日は、昆陽池に行った。今日も鳥の観察会。そして、今日は昨日よりもはるかに多くの子ども達が参加してくれていた。基本的に親子設定の観察会だから子どもが多いのは当然なのだが、またもや鳥に詳しい方々が多いのには驚いた。
以前から顔見知りの3人ほどが鳥に詳しいのは知っていた。一人は鳥以外にカヤネズミも好きだという。もう一人は鳥以外に両生爬虫類も好きらしい。もう一人は鳥以外に植物が好きで、家の近所に生えている雑草の名前を自分で調べたりしているそうな。植物好きには綺麗なのばかり好きな人も多いけど、雑草に目を向けるのが素晴らしいと思う。そして、3人とも鳥以外にも好きな生き物がいるのがいい感じ。鳥しかわからないより、いろんな生き物がわかっていた方が、鳥について、自然について、環境について、きっと深くわかるはず。
名簿を見ていた時は、鳥に詳しい3人が来るんだなとだけ思っていた。ところが観察会を始めて驚いた。出現鳥のほとんどを識別できる方が、他に2〜3人いたのだ。説明する前に、ちゃんと正解を言ってくれる。出番がないやないか…。
他にも鳥好きが何人もいた。熱心に見た鳥をメモしてるし、出現した鳥を順に確認して、まだ見てなかったらリクエストを頂いたりする。熱心な子ども達のおかげで、他の子ども達も熱心に観察してくれるし、大人も引っ張られて観察してるし、観察会はとてもやりやすい。
一通り観察してから、何気なく浮いているカモを指さして言ってみた。
あの鳥なーんだ?
オナガガモのメス!
速攻で答えが返ってきた。カモの雌まで識別できるなら、もう教えることは何もない。アオサギも、カイツブリも、カワセミももちろんちゃんと答えが返ってくる。
そして驚くことがもう一つ。昨日の鳥博士sとは、まったく別の面々なのだ。彼らがこのまま育ってくれれば、野鳥業界の将来は明るいんじゃなかろうか? で、気になるのは、誰が彼らを育てるかってことで。もしかしたら、重大な責任を負っているのかもしれない。がんばらなくては。
今日は、植物園で鳥の観察会。なぜか今日は子どもが多かった。そして、かなり鳥に詳しい方々が揃っていた。
寒いので、少人数の観察会になるだろうと思っていたら、けっこうたくさんの人が来た。近頃は、アダルトな雰囲気の観察会になることが多かったのだが、今日はなぜか子どもの姿が多かった。とりあえず、望遠鏡の高さを超低めに設定してみた。
観察会を開始。ツグミを見てから、池で水鳥の観察。ほぼ予定通りの場所にカワセミがいて、今日の観察会のノルマは果たしたも同然。小鳥を探しに行くも、あまりパッとせず。仕方がないので、池に戻ると、ゴイサギやダイサギ、オオバンなど、さっきは見あたらなかった鳥が登場。なんてやりやすい観察会だろう。一段落して帰りがけに、オオタカが飛ぶ。1羽飛んで、2羽飛んだ。みんな見れた。
とまあ、そんな具合に展開している中、周囲には必ず子どもが何人かいて、鳥を見てない時は、たいてい子どもと話をしていた。けっこう鳥の話をしてくれる。かなり詳しい。そして、鳥の話ができる子が何人もいたのに驚いた。双眼鏡をぶら下げているのは当然、小学生なのに立派な望遠鏡をかついでいたりもする。
この業界、高齢化が問題にされる事が多い。野鳥の会でもしかり。でも、こんなに鳥好きの子どもっているんだなぁ、という感じ。このまま鳥好き、生き物好き、自然好きで育ってくれると嬉しい。
それにしても不思議なのは、どうして今回は、こんなに子どもが多かったのか。以前から顔見知りの子も何人かいたけど、今日初めて出会う子もけっこういた。新聞に案内が載ったりしたのかなとも思ったが、すでに友の会会員だったりするから、よくわからない。原因がわかれば、さらに増やす策も考えられるのだが…。
今日、ため池めぐりをしていて思いついた。
近頃、大阪に限らないけど大阪でもカワウが増えている。個体数が増えているという以上に繁殖地が増えている。だいたいカワウのコロニーはなんにもないところにできるのではなく、まずサギのコロニーがあって、そこに侵入して場所を乗っ取るような形で形成されているように思う。琵琶湖の竹生島しかり、伊丹の昆陽池しかり、枚方の山田池しかり。
というわけで、サギのコロニーにカワウを寄せ付けなければ、カワウのコロニーの増加はかなり抑えられるに違いない。追い出されるサギ達も喜ぶ。別にカワウを悪者扱いする気はないのだけれど、カワウばっかり増えられても嬉しくない。
というわけで、その対策案である。
理屈はわりと簡単。
1つ、大阪ではサギのコロニー、ひいてはカワウのコロニーは、たいていため池の島や池に面した林、古墳の墳丘にできている。
1つ、水辺から離れた場所にサギのコロニーがある場合もあるが、そこにカワウが侵入している様子がない。
1つ、カワウの繁殖は1〜2月には始まる。一方、サギの繁殖は、アオサギが3月頃から始めているものの、他のサギ類は4月以降に始める感じ。
そして、今日のため池をめぐって思ったこと。
1つ、池の島をカワウが集団ねぐらや昼間のたまり場に利用していた池でも、池の水を抜いたら使わなくなっている。
というわけで、思いついた対策は簡単。サギのコロニーができて、カワウが侵入している/侵入しそうな池においては、1月から3月半ばくらいまで水を落としておくのである。
それによって、冬の間にカワウがその池に寄りつかなくなる。水を入れても、カワウは戻ってこないかもしれない。戻ってきても繁殖開始時期を大幅に逸しているので、繁殖に熱心な個体は来ない可能性が高い(そんな奴ははすでに別の場所で繁殖を始めてるに違いない)。そして、たとえ繁殖する気のカワウがやってきたとしても、少なくともアオサギと同時スタートになる。すでにカワウが繁殖を始めているならともかく、これから侵入しようかという場合は、アオサギが優位に立てる可能性がありそう。
その池での繁殖を諦めたカワウが繁殖できる代替地を用意しておけば、寄り効果的なのは確実。その場合は、そこで擬卵作戦を展開して、その地域のカワウ個体数のコントロールを行えばいいわけ。
この対策の唯一の問題点は、琵琶湖の水を抜くのは難しいという点にあるかも(冬のカモを人寄せに使っている昆陽池も)。滋賀県では使えないが、大阪府周辺では使えるんじゃなかろうか?
昨日の夕方スタート。気が付いたら、午前1時をまわっていた。今日も夕方スタート。勢いがついたので、ここ数年というより、20世紀そのままにあった机の上にも手を付けた。
スチールの机と木の机の二つの上に、この数年というもの、いろんな物を積み上げてきた。まるで山崩しのように、慎重に机に載っている物を取り除いていく。取り除きつつ、大雑把に分類して置いていく。ゴミ、バザーで売り払う物、他に片づける場所のある物、判断保留の物。やがて、今世紀始めて机の表面にたどり着く。おもわず歓声が上がる。とりあえず机の上を拭いてみる。
しかし、ここまでは素人でもサルでもできる。問題はここから。今回は心を鬼にして、判断保留の物の存在を許さないことにした。ってゆうか、判断保留の大部分は、なんとなく拾ってきた物なのである。
なんとなく化石探しで拾ってきてしまったサンドパイプ。鉱物採集で持って帰ってきてしまった青鉛鉱。オナガコバチが出た後のソヨゴやモチノキの果実(カビの塊になっている)。大和川で拾った貝ボタンをとったあとの貝殻。乾燥して固くなったカリンの実。ほぐして遊ぼうと思って拾ったプラタナスの実。ペッタンコで標本にならないタカチホヘビのミイラ(採集データ不明)。採集データのないイタチ類の乾いた糞。etc。
拾った時は、何か思うところがあったはずだが、もう思い出せない。なんとなく置いておきたい気もするけど、思い切って捨ててみた。すべて自然物なので、裏に転がして置いた。回収したくなったら、また拾おう…。
片づける中で、重要な発見も多数あった。採集データのあるウサギの糞、リスのエビフライ、鳥の巣、鳥の羽根などはすべて所定の位置へ移動。これはある種の判断保留かもしれないが…。そしてよくわからない鳥グッズや器具類いろいろ。これは友の会のバザー用の箱へ。
そんなわけで、今年の友の会バザーには、謎の発掘品が多数。乞うご期待。というか、全部売れますように。
すべて片づけて、自分で自分を誉めていたら、いろんな人が見に来た。かつての様子をよく知ってる通は、今までの状態との相対評価に基づいて、すごい片づいたと誉めてくれた。かつての様子を知ってるはずなのに、現状だけを見て絶対評価を下す輩は、あまり片づいてないやん、などと抜かした。けしからん。
この日記めいたものを書き始めて、今日でちょうど丸三年になる。と書きたいところだが、丸三年は昨日。昨日書きそびれたから、今日三年目突入宣言を書くことにする。
さて、恒例のこの1年365日の中で何日書いたか(実際には、何日書いてないか)を数えてみた。331日書いていた。
一年目が325日、二年目が344日書いていたので、まあまあこんなもんかなという数字。そして3年間でちょうど1000日書いたことが判明。合わせたかのようにキリがよくて、妙に気持ちがいい。というわけで、これが1001回目の日記なのである。
1回当たりのテキスト量がどのくらいかよくわからないけど、かなりの分量を書いているに違いない。おかげで、文章がうまくなったということはないけど、気軽に文章を書けるようにはなった気がする。
ここでやめては、三年坊主と言われかねないので、引き続き日記を書いていこうと思う。というわけで、4年目に突入。
今日も新春大演芸会。二日目にして楽日。楽に選んだ出し物は、アオバズク、キクイタダキ、オオミズナギドリ。このうち、キクイタダキは新ネタなのだ。いきなり客の前で新ネタをおろすことになると思うとちょっと緊張。なんせ日本一小さいネタなので、うまくさばけるか心配だったが、驚くほどうまくいった。小さいネタは、臭いが少なく、慣れない客にもとっつきがよさそう。第一可愛いしね。
とまあ、新ネタのキクイタダキはうまくいったのだが、問題はアオバズク。なんせ尻尾がない。そして、昨日のフクロウに続いて、脂ギッシュ。カモ以外でここまで脂ギッシュなのは珍しい。手が脂でベタベタになるので、羽根を汚さないようにするのに一苦労。
生殖巣を見てみると、キクイタダキはメスだった。頭に黄色はあるけど、赤はなかったので、予想されたことではあるが‥。できればオスも手にしてみたい。野外ではさっぱり見られない頭の黄色い羽根は実はたくさん生えていた。赤い羽根の方は何枚くらいあるんだろう?
そんなわけで、今日と明日は一門総出の顔見世興行。一日に3回も高座に上がる事になる。この高座は一年の中でも、ある意味一番やりにくい高座。客は演目の途中にやってきて、しばらくいたら去ってしまう。高座と言いつつ、ほとんど大道芸の世界。大道芸なら、客を引きつけて長居させるという技もあるが、こちとらの客は、時間が来たらいくら盛り上げていても去ってしまう。ってことになると、客のいる短い間に、いかにクライマックスを持ってくるかが勝負。しかし、困ったことに客が来るタイミングがわかるようなわからないような。だいたいのタイムスケジュールはあるのだが、大抵ずれるのだ。今日もなかなか苦労した。
今日選んだ演目は、フクロウ、アオバト、トビ。なかなか格好いいところと、綺麗どころをそろえたつもりだったが、出だしのフクロウでつまづいた。けっこう臭っていたのだ。その上、羽根が汚れていて、柔らかい羽根という売りが活かせない。客は鼻をつまんで、臭い臭いを連発。3回目の高座では、なんとかアオバトでしのいだが、フクロウには不覚をとった。
もう一つ予定外なのは、高座周りが異様に片づいていたこと。こんな事は今までなかった。適度に散らかった中に、興味深いものが散在していこそ、客いじりが盛り上がるのだが、今日は盛り上げるのに一苦労。あまり整理整頓するものではないという教訓。
唯一よかったのは、珍しく真空乾燥機が稼働していたこと。いまどきの小学生も高野豆腐は知ってるらしい。
また聞きの話で、実物の確認はこれから。だから多少間違いがあるかもしれない。前にも聞いたことがあるような気がするけど、やっぱり書いておこう。
なんでも西村しのぶのマンガに『一緒に遭難したいひと』という作品があるらしい。その2巻の終わりの方に、こんなエピソードが出てくるらしい。
女友達と歩いていたら、モグラの死体を発見。とめる友達を振り切って拾い、博物館に寄贈。寄贈したら、かくかくしかじかと役に立つんだよー、という講釈付き。後日、博物館の人から電話がかかってきて、コウベモグラだったと教えてもらう。
哺乳類の死体を拾う人は身近にたくさんいるので、驚かないが、西村しのぶが書いているとなると少し驚く。マンガに出てくる出来事が本当にあったとは限らないが、似たような事がない限り、このようなエピソードを書けるとは思えない。
つまり西村しのぶ本人か、知人が、モグラか何かを拾って博物館に寄贈。その時に、寄贈した死体がどのように役立つかという話を聞いたに違いない。
さて、ここで問題は、その博物館はいったいどこの博物館かと言うことで。西村しのぶは神戸市出身、その後大阪に引越。ってことは、関西の博物館の可能性大。しかし、たとえ兵庫県の出来事だったとしても、H県立H博物館がそんな対応をするとは思えない。ということは、O市立のあの博物館か?
結局、何がいいたいかというと、もしかしたら西村しのぶさんと電話で話したことがあるのかもしれない、ってこと。少し嬉しいかも(けっこうミーハー)。ただ、モグラの死体を寄贈してもらうことはけっこうあるので、覚えていないのである。残念。
今日は、昨年の達成できなかった目標を正直に懺悔して、今年の目標をぶち上げる日。次々と行われる懺悔のことごとくが、研究が進まなかった、論文が書けなかった、とほぼ同じなのが笑える。というか笑えない。要は、他の仕事に追われて、研究する暇がないってこと。
必然的に、今年の目標は、今年こそ研究する、論文を書く。と、これまた同じなのが笑える。きっと来年の今頃は、達成できなかったと、同じ懺悔をすることになるんじゃないかと思うが…。なかには、今年は展示に調査に普及に忙しいので、研究は断念する、と宣言した強者もいた。そこまで開き直れない自分がちょっと情けないかも。
さて、研究がすすんだら当然発表することになる。論文も書くけど、その前に学会発表。できたら国際的な学会で発表したい。と目標を掲げている人もいた。けっこうマイナーな分野でもちゃんと国際学会があったりする。そして、かなりマニアックなグループにもちゃんと国際学会があったりする。
一番インパクトがあったのが、国際的なアカネ科植物の研究者の大会。そんなマニアックな大会があるとは! と言ったら、アカネ科植物は世界に1万種以上あると言われてしまった。世界の鳥の種数より多いとは、恐れ入った。そら国際学会を開こうというもの。でも、研究者数は、鳥類研究者より少ないのでは?
年末に知り合いに同定を頼まれた。大阪で拾われたアオバト死体の胃から出てきたものらしい。鳥から出てきた物だからといって、あきらかに植物体の同定を鳥屋に頼むのはどうかと思うが、一応受け取ってみた。
受け取ったサンプルは二つ。片方はソヨゴの種子だった。これは簡単。でも、問題はもう一つの方。直径3mmの球を半分に割って、平らな部分をへっこめて、中央を少し割ったような物。色は、乾いた状態で、少しオレンジがかったクリーム色。表面を拡大してながめても、とくに目立った模様はなし。植物体には違いないが、種子、なのか?
しばらく睨んでいても、記憶から答えが出てこない。手持ちの種子サンプルを一通り見渡すが、似たのはない。種子図鑑を何度もながめるが該当する物はなし。本当に種子なのか?
被食散布される種子はけっこう見ているはず。果実食鳥のフンも見ているし、液果を中心に大阪で被食散布される樹種の種子はけっこう集めている。それで見たことがないって事は、少し違う物かもしれない。相手はアオバトなので、ある程度、種子を消化できる。したがって、液果ではなく、堅果や翼果なども食べるかもしれないし、その付属物がとれたり、種皮が剥がれたりした物の可能性も高い。となると、なんとなく種子図鑑を見ていても載っているはずがない。
仕方がない。餅は餅屋。植物屋に見てもらうことにした。
二つ隣の部屋に行って、水草屋のSさんに見てもらう。うーん、わかんないな〜、悔しいなぁ。とか言ってるだけで答えが出てこない。仕方がないので、助っ人を召還した。
さらに二つ隣の部屋から、植物化石屋のTさんを呼んでくる。化石になった種子をあーだこーだと同定するのが仕事なので、種子には詳しいはず。問題の物を見たTさん、黙って色んな図鑑をめくり始める。ぜんぜん答えが出てこない。で、どうなん? と尋ねたら、わからんと一言。
ここまでが昨日の事。
今日、さらに強力な助っ人を召還した。というより、たまたま尋ねてきたので、Sさんが見せてくれたらしい。植物屋のOさん。この界隈で種子を同定させたら、Oさんの右に出る者はいない。
そもそも何の用事で来たのだか知らないが、Oさんは半日かかって、この謎の物体を調べていたらしい。で、結局、わからん、と言って帰って行ったとか。
というわけで、答えが出た。わからない物なのである。最終兵器Oさんがわからないなら、この界隈の誰もわからないのである。鳥屋にわかろうはずがないのである。
ただ、Oさんは、悔しいな〜、と言い残していったという。あの性格からすると、密かに調べて続けている可能性もある。だから依頼した者よ、期待せずに待つがよい。
大和川に水鳥の調査に行った。自転車で走りながら、水鳥を見つけ、種名と個体数を記録し、位置を地図上にプロットする。とあるオギ群落の横を走っている時、ふと見るとカヤネズミの巣があった。一昨年度見つけて以来の発見。そして、ここが大和川で一番下流でカヤネズミの巣が見つかる場所。
カヤネズミの巣を見つけたのをきっかけに、なぜか俄然、一番下流のカヤネズミの巣の記録の更新に燃え始めた。ここより下流でカヤネズミの巣がありそうな場所は、3ヶ所。順にチェックしはじめた。
1ヶ所目、見つからず。
2ヶ所目、ヨシとセイタカヨシの群落に、巣を求めて入り込む。ガサガサ歩き回っても巣は見つからず。足下からハト位の大きさの鳥が飛び出す。嘴が長い。ヤマシギ! と、またすぐ近くのヨシ原の中に降りた。夜行性のヤマシギは、昼間こんな場所で寝ているらしい。
さて、今日の本来の目的は、水鳥調査。水鳥はきちんと記録しなくては。でも、陸鳥は大まかな区間ごとに種名を記録するだけ。ヤマシギは水鳥か陸鳥かで少し悩んだ。水鳥のシギの仲間ではあるが、ヤマシギはまるで水辺の鳥ではないが…。まあいいか。とりあえず生態よりも系統を優先して水鳥扱いした。上空をミサゴが飛んでいた。こっちの方がよほど水辺で暮らしているが、なぜか陸鳥扱い。少し不条理を感じる。
3ヶ所目。大部分の場所は、カヤネズミが巣をつくれない植生。オギが少しまとまって生えている場所があったので、ダメ元で確認に行った。カヤネズミの巣があった。
というわけで、大和川最下流での発見である。今までの記録を約2.5km下流に伸ばした事になる。これ以上、下流となると、中州を探すしかない。いつか気が向いたら探してみよう。
商売柄、いろんな動物の死体の腹を開ける機会がある。種によっていろんな臭いがする。腐っていることも多いので、各種のタンパク質が腐った臭いにも精通していると思っていた。が、臭いの世界は奥が深い。
いくつか荷物が届いて、冷凍庫に入れたとのことなので、何が届いたのか確認することにした。怪しげな袋があったので、とりあえず取り出してみた。冷凍のままでは中身がわからない。それに冷凍庫でゆっくり確認するのは寒い。出してきて、中身を確認する。
出してきて中身を出してみてびっくり。肉が入っている。少し解けだして臭いがする。臭い〜。腐ったスナメリの肉だった。油断しているときにこの臭いはきつい。うっかり指に臭いを付けてしまった〜。とりあえず手を洗うけど、臭いはとれない。
臭い指の作業を終えて、今度はコンピュータに座ってお仕事。なんか化粧品の匂いがするな〜。と思って、なにげなく指を匂ったら、それは薄まった腐ったスナメリの肉の匂いであった。薄めると、いわゆる悪い臭いではなく、いい匂いに変わるのが面白い。
ただ、個人的には、腐ったクジラの肉に負けず劣らず、化粧品の匂いも嫌い。臭いと思う。気持ち悪くなる。という意味ではどちらも々ひどい臭い。別に驚く事はないのかもしれない。
昆陽池に行った。昔と比べると、あんまり鳥がいない。昔はもっとうじゃうじゃカモがいたのに。カモで目立つのは、オナガガモばかり。あとキンクロハジロ、ヒドリガモ、ハシビロガモがこの順で混じる。餌場辺りにいるのはこの程度。ユリカモメは減ってないどころか増えてる感じがする。ドバトはあいかわらず多い。そして何より目立ってるのはカワウかもしれない。とまあ、カモ類を中心にすっかり淋しくなったものの、なかなか少数精鋭であることが判明。
なにが少数精鋭なのか。残った彼らには、鳥を襲うタカと、襲わないタカを区別できるらしいのだ。
昼食時、突然、ドバト、ユリカモメ、カモ類。全部がどどどっと飛び立った。カモ類はすぐに降りたが、ドバトとユリカモメは、群れになって周辺を乱舞する。カラスも騒いでいる。上空を見回すと、かなり高いところを、オオタカが1羽横切っていった。あれに反応したらしい。あんなに高くても反応するんだなあ。
昼食を食べ終わって、鳥についてうんちくを語っていた。ミサゴ! という声。確かにミサゴ。けっこう低いところをこっちに飛んで来て、上空を横切っていった。鳥達はまるで無反応。
うんちくを語り終わって、再び鳥を見ていたら、上空にトビが2羽。食パンを大きなまま投げている人がいたのに、反応して近づいてくる。パンを求めて、ユリカモメとカモ類は大騒ぎ。でも、トビには反応せず。
オオタカは鳥を食べる。ミサゴは魚喰い。トビは腐肉食あるいは、ここではパンをねらっている。この食性の違いを知った上で、識別能力までなければ、この反応の違いは説明できない。やるな〜。
ただ、問題はいったい誰が識別しているか。カラスの警戒声に反応している可能性もあるかも。
ゼロ使は関係ない。茨木市の箕面市との境辺りにできた、できつつあるニュータウン。茨木市中部をさまよったあげく、彩都に出てきた。手持ちの地図は古かったので、ぜんぜん載ってなかった。話は聞いていたけど、こんなところにできていたとは…。
カヤネズミなんかを探しながら歩く予定だった川筋は、綺麗な道と、三面張りの川に変わっていた。調査はあっさり諦めて、モノレールに乗って帰ることにした。
でっかい高層住宅群の中に入ってしまう。どっちが駅だろ? で、それらしい住民の後に付いていく事にする。あっさりモノレールの駅に到着。
調査なので、歩きながら自分の歩いたコースを地図に記入するのだが、彩都は載っていない。自分がどこにいるのかさっぱりわからない。モノレールに乗ってから、外の景色を真剣にながめて、ようやくかつての地形との関係を把握。川筋だけが残されて、あとは完全に改変されている。この辺りは、少なくともここ十数年は、かなり荒れた感じの林だった。里山としての管理はなく、ササや蔓が生えまくって、あまり入り込む気にならないような。こういう展開が予定されていたから、手入れされなくなってたのかもしれない。
真っ平らにするのではなく、高台の地形を維持したまま、山が削られている。今も、削ってる途中らしく、草も生えず、土が露出した場所がたくさんある。そうして削られた山のすぐ向こうの谷には、昔ながらの棚田が残っていたりする。ものすごいギャップ。
モノレールに乗ると、すぐに千里中央まで行ける。割と便利ではある。でも、金がかかる。モノレールは高いから。
実習というわけでもないのだが、北海道から講師をお招きして、フェリーに乗って、海鳥の調査と識別の話を伺いつつ、海鳥を観察しようという趣向。
講師の先生は津軽海峡のフェリーでならしていて、ややこしいウミスズメ類でも、トウゾクカモメ類でも、妙なウであって、アビ類であっても、どーんとこい。という強者。たいへん頼りになる。先生が珍しい海鳥を見つけてくれるのを待って、識別もお任せして、こっちは見てるだけ。というわけでとても気楽。そういえば行事以外で鳥見をするのは、ここ数年なかったかもしれない。そういう意味でも気楽。
さて、場所は講師先生の推薦で紀伊水道に決定。先生の案内文に曰く、ウミスズメはおそらく見られ、運が良ければミツユビカモメやアビ類も見られるかもしれないとのこと。この案内自体に嘘はなかったのだが…。
午前8時10分に、和歌山港に集合。参加者は先生を入れて5名。朝早いのに意外と集まった。さっそくフェリーに乗って出発。朝5時起きだったので、とても眠いが、海鳥期待で目は冴える。
風は北西。徳島に向かう右舷側はとても寒いので、逆光を避けつつ、左舷で鳥見。ウミネコやセグロカモメはよく飛んでいる。が、カモメ類以外が出ない。最初はもっと沖に行けば、と言っていたのだが、だんだん先生が焦り出す。鳴門海峡が見えた辺りで、ウミスズメ!と叫んで走ってきた。どこどこ、と思いつつ言われた方を見たが、見られず。残念。その直後、なぜかオオタカとおぼしきタカがカモメのように海面上を飛んでいるのに遭遇。そのまま徳島港に到着。
一緒に行った一人は四国初上陸だったそうだが、四国を満喫することなく、40分後には復路のフェリーに乗船。
帰りは、行きよりも鳥が少なかった感じ。またもやウミスズメ!という叫び。今度も先生ともう一人が見たが、その他は見られず。復路の半ば辺り、ウミスズメすら見てない参加者が多い現状にあせりだした先生が、真剣にウミスズメを探しまくっていた様子がなかなか微笑ましかった。が、鳥見の神は応えてくれず、そのまま和歌山港に到着。
わざわざ和歌山から徳島往復したのに、これでは…。なんていう人はなく、みんなそれなりに機嫌良く解散。私的には、今まで何度かこの航路に乗ったけど、いつもこんな感じだった。ウミスズメがたくさん出た事なんてない。もしかしたら、今日の結果の原因は、己にかかっている呪いのせいではないかとも思う。
それはさておき、冬にこの航路に乗った事がなかったので、1月の雰囲気が見られ、それなりに満足。また、先生からは船上センサスのノウハウやら、海鳥の識別の仕方(あるいはその限界)をいろいろと教わった。やはり場数を踏んだ方のコメントはためになる。
唯一残念だったのは、津軽海峡で鍛えられた先生の識別力が、完全に宝の持ち腐れだったことか。まあ、紀伊水道ではやむを得ない。いつか機会があれば、先生に津軽海峡で手ほどきしてもらいたいと思ったが、機会はないだろうな〜。
大東市の東の方に龍間という地域がある。地図で見ると、飯盛山を越えた向こうに拡がる高原のような感じ。どんなとこかな〜? と思っていた。思ってるだけにしとけばよかった。
元々はどんな場所だったんだろう? 集落があって、神社もあるから、高台の隠れ里的な感じだったのかも。奈良盆地で言えば、御所市の高天とか。
でも、今はそんな面影はほぼ残っていない。中央を阪奈道路がどかーっと横切り、その周辺には荒れ地が拡がっている感じ。阪奈道路によるアクセスの良さと、平らな荒れ地をいかして、グランドや廃棄物置き場などがそこかしこに見られる。阪奈道路の脇にはもちろんドライブインの類。どこにでもある感じの悪い風景。土地の少ない大阪府としては、これだけ荒れ地があるのはむしろ希少かもしれないが…。
荒れ地といっても、ススキ原が拡がってるなら、カヤネズミだらけで楽しかったろうに、あいにくセイタカアワダチソウやクズなどばかり。意外なほどカヤネズミの巣は見つけにくい。
林はない、田んぼがない、行き止まりの作業用道路ばかり。柵で囲まれた立ち入り禁止の土地だらけ。調査しにくい! つまらん!
唯一盛り上がったのは、マシジミだらけの小川を見つけた時だけ。まだタイワンシジミは入ってないらしい。真っ黒で大きなシジミが死ぬほどいた。このままマシジミの楽園であって欲しいけど、近いうちにタイワンシジミが侵入するんだろうか? そもそもタイワンシジミってどうやって分散するんだろ?
年明け恒例と言えば、調査に行きまくる事と、たまっている本を読みまくること。昨年は年明け早々風邪を引いて寝ていたが、今年は元気。でも、昨日は一日だけの寝正月。本を読んだり、テレビを見たり。で、調査は今日から始動。たいていのバーゲンセールも今日かららしいから、デパート並の仕事始め。
さて、他のサイトをながめると、一年の目標なんぞが並んでいる。一年の目標は年末に立てる事にしてるのだが、なんとなく真似をしたくなった。そこで、今年に起きる事を予言してみることにする。予言というのははずれる事がすでに折り込み済みなので、年末に反省とかしなくてもいいのである。
【展示・イベント系】
・いろんな観察会・講演会など(これは年中)
・展示更新の作業(1〜4月)
・自然保護・環境保全関連イベント(11月)
【調査系】
・大阪府の哺乳類分布調査(1〜10月頃)
・大阪府外来哺乳類・外来鳥類調査(1〜3月)
・淀川水系アカガエル調査(2〜3月)
・淀川水系ヒキガエル予備調査(3〜4月)
・大阪府ソウシチョウ予備調査(5〜7月)
・淀川水系アオガエル調査(6〜7月)
・淀川水系河川繁殖鳥類調査(4〜7月)
・大阪府下公園繁殖鳥類調査(5〜7月)
・淀川水系河川冬鳥調査(11〜12月)
【論文・発表・出版系】
・大和川水系の調査報告(1〜2月)
・大阪府のコシアカツバメの調査報告(〜9月)
・大阪市内公園繁殖鳥類調査報告(〜9月)
・ヒヨドリ個体数と果実の減少パターンの発表(9月)
・大阪府の哺乳類の原稿(〜10月)
・ヤモリ分布調査の報告(〜12月)
1〜4月が特に忙しそう。はやくゴールデンウィークにならないかな?
調査のキーワードは哺乳類と淀川水系と外来生物。今年は少しは鳥屋になれそう。論文が書けるかどうかは、今年もかなり怪しい。
以上の他に、今年は学会にちゃんと参加するつもり。もう日帰りは嫌だ! あと、某団体の運営にかなり関わる事になりそう。どうなることやら。