日記風覚え書き

2008年7月8月、9月

(2005年1-3月4-6月7-9月10-12月、2006年1-3月4-6月7-9月10-12月
 2007年1-3月4-6月7-9月10-12月、2008年1-3月4-6月


和田の鳥小屋のTOPに戻る



2008年9月30日 新しい公益法人制度について

あくまでも架空の話。とある全国組織の財団法人。新しい公益法人制度が12月から完全施行とあって、バタバタしている。全国展開している支部組織をどうするか、かなり悩ましい問題らしい。

事情はこんな感じ。仮に日本の鳥の会というのがあったとしよう。現在は財団法人で、今回の公益法人改革を受けて、公益財団法人を目指している。この会には、全国に80を越える支部があるわけ。もともとは任意団体でたくさんの支部をかかえていたのが、ある時、本部だけが財団法人になった。支部は任意団体のまま。支部の会計は独立、というかそもそも支部はそれぞれに下手をすると本部に負けない伝統を持ってたりするので、その会計をまとめるのは不可能に近い。今までの公益法人の枠組みでは、財団法人が、任意団体の支部を持っていて、まったく独立会計でもかまわなかった。が、これからはそう簡単にはいかないらしい。

公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(長すぎ!)の第9条4・5項に曰く、

4 公益社団法人又は公益財団法人でない者は、その名称又は商号中に、公益社団法人又は公益財団法人であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならない。
5 何人も、不正の目的をもって、他の公益社団法人又は公益財団法人であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用してはならない。

つまり、日本の鳥の会の本部が、公益財団法人になった場合、その支部は任意団体のまま日本の鳥の会※※支部を名乗ることはできないのである。道は4つある。

1:日本の鳥の会本部は、別の名称で公益財団法人になり、今までの支部はいままで通りの任意団体で支部を名乗る(本部がないのに支部?という点はおいといて)。
2:日本の鳥の会の支部の会計を本部にまとめる、又は支部の会計を公益法人基準で執行し連結決算にして、本部と支部をまとめて公益財団法人になる。
3:日本の鳥の会の本部が、その名前で公益財団法人に移行し、支部は以降、支部とは名乗らない(不思議なことに支部の2文字を取るだけで、日本の鳥の会というフレーズは残しても良いらしい >内閣府公益認定委員会事務局見解)。
4:日本の鳥の会の本部が、その名前で公益財団法人に移行。支部はその名前のままNPO法人などの別の法人格をとる(そんなんあり?と思うけど他の団体であることがはっきりしてるからOKらしい >内閣府公益認定委員会事務局見解)。

日本の鳥の会というのは、それなりに歴史もあり、ネームヴァリューもある。本部はもちろん支部もその名を捨てたくない。そんな中で、本部は、3の策を採用すべく、各支部に支部という文字を取る名称変更を求めてきたのである。本部がその名をキープしたいのはわかるけど、支部の気持ちは複雑。はっきり怒ってる人もいる。
正直、どうして4の策を追求しないのか不思議に思う。NPO法人格を取るのはさほど難しくないはず(時間が足らないなら、一旦支部の2文字をとってから、後でゆっくり支部をいれたNPO法人を立ち上げればいいだけ)。本部がモデル定款を示して、NPO法人格取得の手順を説明して、あとは会計処理・税務処理をサポートすれば、たいていの支部はNPO法人に移行できるだろう。察するにやる気がないんだろうけど。
仮に3の策を取るとして(4の策の場合でも同じだが)、あきらかに本部-支部の関係ではなくなるわけで、今後どのように連携していくかが重要なはず。だが、本部からはなにも提示されていない。税制上の優遇欲しさに支部を切り捨てようとしてると見えなくもない。でも、支部を切り捨てたら、本部の公称の会員数は大幅に減るだろうと思うんだけど…。

もちろんこれは架空の日本の鳥の会の話。実在する団体とは一切関係がないってことで。

【追記】
ちなみにたくさんある支部の一つでも、名称変更を断って、法人化もしなかったら、本部は公益財団法人に移行できないんだな。それをたてに嫌がらせしたくなるのは、性格が悪いから?


2008年9月27日 クロマダラソテツシジミとセアカゴケグモ

同じように、日本では新参の2種。でも、人間のちょっとした判断の違いから、その扱いは大きく違うことになりそう。

泉南方面に出掛けた。ソテツが点々と植えられているところがあったので、みんなで今話題のクロマダラソテツシジミを探してみた。けっこうあっさりと見つかった。飛んでる成虫は、他のシジミと紛らわしい。とまったチョウの羽根の裏面を見て点があるとかないとか。羽根を広げて止まることが多いので、捕まえずに確認するのはけっこう面倒。それに引き替え、幼虫やサナギは、食痕を目印に探すとけっこう簡単に見つかるようであった。ただ、周囲はヌスビトハギだらけ。クロマダラソテツシジミに気を取られていると、靴もズボンもTシャツも、網を振り回した人は網までも、ひっつき虫だらけになっていた。

その後で、なぜかセアカゴケグモで盛り上がった。この辺り道沿いのあちこちにセアカゴケグモがいる。いくらでもいる。溝や柵の根元あたりにはセアカゴケグモの網だらけ。
少し前にどこやらでセアカゴケグモが見つかったとかで大騒ぎして、全部駆除するとかいう報道があったけど、今さら大阪で駆除しようとしても無理だと思う。変に殺虫剤をまきまくったら、その方がかえって生態系にも人間の健康にも被害が大きいだろう。
きれいなセアカゴケグモを見てみたいとのリクエストを受けて、探して回る。噛まれるのはちょっと嫌なので、棒で突いて歩く。で、けっこう立派なのが見つかった。持って帰りたいという。特定外来生物なので生かして移動させてはダメ。と説得。結局、家の回りで自分で探してみることになった。探すのはいいけど、やっぱり生かして持って帰らないように!

このようにセアカゴケグモは、特定外来生物とされている。その心は、人間が日本に持ち込んだもの(すなわち外来生物)で、かつ日本の在来生態系に大きなダメージを与える可能性が高いという評価。
一方、クロマダラソテツシジミ。自力で飛んできたと考えられているらしい。だとしたら外来には違いないけど、いわゆる外来生物(あるいは移入種)ではない。日本の在来生態系にどのような影響を与えても、それは自然なことで、問題視することではないことになる。
セアカゴケグモを人間が持ち込んだ事は立証されていないし、クロマダラソテツシジミが飛んできたところも確認されているわけではないだろう。だとしたら、両者の扱いの違いは、人間のちょっとした判断の違いに過ぎない。セアカゴケグモがちょっと気の毒な気がしないでもない。子グモが飛んできたり、流木に乗ってやって来たかもしれないのに(?)。

セアカゴケグモの独り言。「ふん、ちょっと羽根を持ってるからって、可愛がられやがって」

【追記】
もちろんクロマダラソテツシジミは人が持ち込んだという意見もあるらしい。でも、ホソオチョウとかならともかく、こんな目立たないシジミをわざわざ放すかなぁ? ソテツと一緒に持ち込んだって? じゃあ何で今頃拡がるの?


2008年9月26日 雨の休みの日

休みの日だったので、遅めに起きて、調査に出掛けようと思っていた。が、朝一に職場に客が来ることになった。じゃあ、朝少し遅めに職場に行って、それから調査に出掛けよう。と思ったら、夕方にも客が来ることになった。じゃあ、朝一旦職場に行って、それから調査に行って、再び職場に戻ろう。
朝起きたら、雨だった。調査に行けない。朝、職場に行って来客対応、そのまま職場にとどまり、夕方再び来客対応。
職場にいたら何か仕事をすることになる。たまっていたメールの処理、原稿の手配、行事の案内、資料の作成。あくまでも休みなので、あまり仕事気分ではないが、なぜか仕事ははかどる。

休みらしかったのは、出勤時間が午前9時半過ぎだったことくらいか。これなら1時間の時間休でよかった。一日休みになってるのに。ちょっと悔しいので、ぼんやりする時間を増やすように心がけた。


2008年9月25日 Tシャツの中を虫が走り回る話

机に座って、コンピュータとにらめっこをしていたら、なんかくすぐったい。とりあえず軽くかいて、済んだと思ったら、今度は別の場所がくすぐったい。そして、そのくすぐったいのが、Tシャツの下で移動していく。なんか虫が入っているらしい。速くもなく遅くもない妙な動き。それが前に回ってきたので、Tシャツの下をのぞいてみた。あわてて逃げていく。虫らしい。速くてはっきりしないが、脚が長め。でも、クモの動きとは違うみたい。後にまわったのを突いて前に来させて、もう一度のぞく。なんかハエみたいな感じ。そして、すばやく歩き回るあの動き。これって、シラミバエでは? だとしたらけっこうでっかい。ぜひ捕まえて標本にしなくては!
というわけで、Tシャツの上から押さえようとするのだけど、速くて難しい。押さえても、直接確保する前に逃げられています。ひとの体の上を走り回るので、くすぐったい。ええい!とTシャツを脱いでみたところ、どこかに行ってしまった…。残念。

シラミバエって、鳥には時々付いている。シカにはよく付いている。でも、普通はあんなに大きくないような気がする。まあ、本当にシラミバエだったらだけど。もしかしたら、新種のヒトシラミバエだったのかも。残念。


2008年9月24日 面接の日

今日は面接の日。面接を受けたのではなく、面接をする側。とあるスタッフの採用担当になり、面接をすることになった。なんとなく面接官におまけのように座っていたことはあるけど、中心的に面接しなくてはならないのは初めて。面接って受ける側よりする側の方が難しいな〜、と思った。面接を受ける側は、終わったら採用されるかどうかの返事を待てばいいだけだけど、面接する側は、優劣を付けて採用者を選ばなくてはならない。なんとか違いを見いださなければいけないのである。その上、大企業ならいざしらず、我々のような零細企業では、間違った奴を採用したときのコストはとても高い。責任は重大なのである。

で、面接である。だいたいどんな項目を尋ねるかは、あらかじめ決めていた。とりあえず応募理由から入って、博物館や図書館への興味、今までの経験値、スキルなどを確認していく感じ。いたって普通。ちょっと変わってるのは、語学の確認のために、軽いテストをするくらい。
新米面接官なので、最初の内、段取りが悪く、スムーズに質問が続かない。同席していた輩から、面接後に面接官にダメ出しが入ったりした。そういえば、最初はコンピュータスキルを尋ねるのを忘れていたり、たしかに不慣れな点が多かった。が、数をこなしていく内にそれなりにうまくなったと思う。

そこで、ベテラン面接官が面接のコツを伝授しておこうと思う。
もちろん現在のスキルは重要である。が、資格欄をいくら埋めていてもなんも評価しない。むしろ英検1級なのにその程度?と逆効果を生む場合もあるので注意が必要。学芸員資格にいたっては、持っていてもなんの能力も保証しないのを、こっちはよく知っているのである。
一方、過去の経験値は重視してしまう。とくに事務経験の有無、接客経験の有無は、気になるところ。経験があるからといって、できるとは信じないけど、経験がないよりはある方が好印象。履歴書にはアルバイト経験もちゃんと書いておいた方がいいだろう。
あと大事なのは愛かもしれない。応募した仕事が好きである、そういった職場が好きである、働いてみたいという主張は、ないよりあった方が好ましい。
とはいうものの結局大事なのは、会話能力、そこで醸し出す雰囲気。驚いたことに、こっちの質問に的確に答えるというか、ちゃんと会話が成立する相手がけっこう少ない。コミュニケーションできない相手と一緒に仕事をするのは嫌。質問の答えが思い浮かばなくて黙り込むよりは、なんか話をしてる方がベター。暗い奴よりは明るい人と仕事がしたい。

結局、面接って的確な会話のキャッチボールができるかを判断してるような気がする。答えが正しいかどうかはさほど関係なく、むしろ面白い答えの方が評価が高くなる。大阪人なら笑いをとれ!って感じ。
Iタモとか、H田山とかの顔が思い浮かぶ。テンション高く話しまくる彼ら。彼らは、面接に強そう。


2008年9月22日 渡りの距離と翼の形

久しぶりにバンディングに参加した。といっても、網場のチェックに付いていった以外は、ながめていただけなので、参加したというより見学したというのが正確。渡りの時期のバンディングはとても久しぶり。そしてたぶん9月のバンディングは初めて。けっこう物珍しく楽しかった。
で、ムシクイ類とヒタキ類の翼の形に一定のパターンがあるように思った。すでに多くの人が知ってる事だろうとは思うけど、自分的には発見だったので、メモしておく。

最初は、ムシクイ類の翼の形の話だった。御三家のセンダイムシクイ、エゾムシクイ、メボソムシクイを比べると、メボソムシクイだけが少し翼の形が違っている。翼式で言えば、メボソムシクイだけがII>VIで、あとの2種はII<VI(この数字は、初列風切を外側から数えたもの)。そしてP10(一番外側の短くなってる初列風切)が、メボソムシクイ(少なくとも亜種メボソムシクイは)では初列雨覆と同じか短いのに、あとの2種は初列雨覆よりかなり長い。
つまり、メボソムシクイの翼は先が尖った形をしているのに対して、他の2種は相対的に幅のある形をしていることになる。これについて、長い距離を渡るメボソムシクイの翼は細長くなっていて、渡る距離が短めのセンダイムシクイとエゾムシクイは翼が太短めなのであるという説をクマちゃん(仮名)に教えていただいた。

そういえば、サメビタキ類の3種も、コサメビタキは渡りの距離が短めで、サメビタキとエゾビタキは長めな気がする。同じ傾向があるのかなと、たまたま持って行っていたスベンソンを開いてみた(スベンソンとはバンダー必携のヨーロッパの鳥の図鑑の通称。鳥を手に持った時しか使えない鳥の見分け方が詳しく載っている)。
スベンソンには、サメビタキとコサメビタキが載っていた。それによると、サメビタキはP9(上で書いたIIのこと)が長く、P10は短い。コサメビタキはP9が短く、P10は長い。つまりサメビタキの翼は長細型で、コサメビタキは太短型。
P9とP10の長さに見られるパターンはムシクイ類と同じ。そして、どうも渡りの距離との関係性も同じように対応しているように思える。

翼が長くなるときと、短くなるときで、翼式やP10の長さに一定のパターンがあるとは、今まで知らなかった。勉強になった。それが渡りの距離と関係があるかは、あまり簡単に結論づけない方がいいだろうけど。


2008年9月21日 夜の砂浜にて

鳥類標識調査の見学に0泊2日で行ってきた。夜は網をたたんで、飯喰って風呂入って寝る。はずだったのだが、一人が車でひとっ走りすれば、ウミガメが産卵に来る海岸があるから見に行こうと言い出した。この時期、7月頃に産卵された卵がちょうど孵る頃らしい。運が良ければ孵りたての子ガメが海に向かう様子がみられる。いままで百発百中で見ていると豪語。それなら見に行かねば。
さっさと夕食をすませて、一路、※※海岸へ。着いたらすぐに子ガメを探して、浜を行ったり来たり。この浜のウミガメは調査されているそうで、産卵場所に印がついている。卵が孵ったら、印をはずして、掘り返して孵化率とかを調べているらしく、卵殻が散乱している。まだ孵化していない産卵場所は、ざっと数えて30ヶ所。卵殻の散乱場所は、その1.5倍以上はある。とっくに卵殻の散乱もどこかへ行ってしまった場所もあるだろう。100ヶ所以上の産卵場所があったのではないかと思う。
で、子ガメに期待して浜を歩くのだが、子ガメは一向に見つからず。でも、いろいろと面白い物が見られる。最初は海藻が打ち上がっているだけと思っていたら、その表面が動いている。よーく見ると、海藻にハマダンゴムシがたくさん付いている。たくさんどころではなくて、すき間なくびっしり付いている。ふと気付くと、浜はハマダンゴムシだらけであった。ダンゴムシ嫌いにとっては地獄の様相。さらに、あちらこちらにスナガニがいる。夜のスナガニは、なぜか採りやすい。突かないと逃げ出さない個体も多い。あまり見えてないのではないかと思う。この勢いでオオヒョウタンゴミムシが歩いてないかと思い、子ガメを忘れて探したのだが、見つからず。
楽しかったけど、結局子ガメは見つからず、あきらめて寝ることにした。浜の近くにテントを張って、寝る。前日は1時間しか寝てないので眠い。いつになく寝付きがいい。と思ったら目が覚める。子ガメが見つかったという。なんと寝付けない奴らが、ずっと探していたらしい。なんという執念。そして睡眠はいったいどうなるんだ? まだ1時間ほどしか寝てないのに…。
連れて行かれてみると、たしかにウミガメの子どもが4匹いた。ライトを照らすとこっちに向かって一直線。強い正の走光性があるらしい。これでは海に行かない! と思ってライトを消すも、海に向かわない。綺麗な月夜。ライトを消すと月に向かっていく。そういうものなのかもしれないが、最初に撹乱したせいかもしれないし。というわけで、とりあえずライトで海まで誘導してみる。何とか波打ち際に到着。ライトを消すとまた月の方に。でも、その内になんとか海の中に。波にさらわれただけという感じだったが…。

子ガメが海に向かうのを観察するのって、撹乱が大きそう。あまり団体で行かない方がいいんじゃないかと思った。そして、もう一つ。あの様子では、月の明るい夜に孵った子ガメが海に向かえる可能性は低い。月夜の晩には基本、孵化しないんじゃないのかな? あるいは月夜の晩に孵化した子ガメの生存率は悪いんじゃなかろうか?

寝る間もなく、夜の浜辺で色々と盛り上がり。ふと気付くと、午前3時。もう鳥類標識調査の見学に戻る時間になっていた。見学の合間に2時間ほど寝たけど、結局この日の睡眠時間は合計しても3時間半。とても眠い。


2008年9月19日 東京人って、とあるセミナーにて

子どもの頃、我が家の基本理念は、東京は敵であるというものであった。どうやらその理由は約400年前に遡るらしい。いつまでもそんな昔のことを根に持たなくても、と思うものの、子ども心に刻まれたものはなかなか根深い。というわけで、以下の話は、いわれなき偏見を含んでいるに違いないのだが。

今日は、とある学会のセミナーに行ってきた。話題提供を頼まれたのである。でも、なんか台風模様。警報とか出たら中止なんじゃないのか? とか思うと、あまり準備も気が乗らない。それでも何とかパワポを組んで、開始30分前に会場入り。なんと昼食が用意されていた! が、すでに食べていたので、夕食にもらって帰る。なぜかとても嬉しい。
けっして台風接近のせいではないと思うのだが、セミナーは、とても閑散としていた。聴衆は15人だけ。その内、3人は他の話題提供者。4人はセミナーを運営してる。さらに少なくともあと2人は、その学会の役員。一般客は6人って…。

最初の話題提供者は、東京のタヌキの話をしていた。ちょっと中身に期待したのだが、東京23区内にもタヌキがいます。で、分布図を示したのがほぼすべて。ビジュアル的には綺麗にできていた。
最後に、有り難いことに大阪のタヌキにもコメントを下さっていた。大阪の地図を示して、自分が唯一知ってるらしい堺のとある古墳のタヌキの話をして、古墳にはもっとタヌキが生息していると思います。とおっしゃっておられた。会場である千里丘陵の一画の大学周辺も、今日見た限りタヌキがいてもおかしくないと思います。という有り難いお言葉もあった。挙げ句に、観察会やインターネットでタヌキ情報を募集するようにという指令を下さり、集めた情報を集積する際のデータベースの構造までご指導いただいた。
なんか上から目線。都会のタヌキの情報を集めてるのは東京だけと思ってるんだろうか? 東京に伝わっていない情報は存在しないと思ってるんだろうか? たぶん東京が最先端だと考えてるんだろうな〜。すべての東京人がそうとは言わないけれど、一つの典型であるようには思う。

というわけで、たいへん勉強になるセミナーであった。少なくとも私の人間的成長には役に立ったと思う。常に謙虚を胸に生きて行かなくては。大阪が世界の中心であるという中華思想に染まらないように注意しよう。
そんな有り難いセミナーに苦言を呈するのもどうかと思うけど、聴衆が15人ってどうなん。東京から二人も呼んだら、それなりに金もかかってるだろうに、これではお金がもったいない。もう少し広報の充実をなんとかすべきだろう。そしてさらに重要な要素は参加費。一般会員2000円、学生会員1000円、一般参加には3000円もかかる。そんなに金の取れる内容やったか?というのは演者の一人としてさておき、少々の内容ではそんな金払って聞きに来るはずがないやん。東京から人を呼ぶ金があるなら、金のかからない関西人を集めて、無料で開いた方がよほど客が来るし、普及教育効果も得られるだろうに。というわけで、主催者には開催方法を再考してほしいところ。


2008年9月18日 屋根裏から謎の声

7月頃に相談を受けて、8月にはテープを聴かせてもらい、9月に入って目出度く解決。ご本人から詳しい経過の報告を受けたので、それを参考にしながら苦節2ヶ月の足跡をたどっておこう。

7月、近くまで来たそうで、ついでといった感じで相談を受ける。6月頃から、屋根裏から謎の声がするのだという。キィーといった声で、最初は夜だけ聞こえていたのだが、近頃は昼間も聞こえるらしい。
屋根裏に住み着いて声を出しそうな動物といえば、イタチかネズミ。コウモリも声が聞こえたりするらしいし、ヤモリも鳴くことがまったくないわけではない。近頃ならアライグマもあり得るかな? と思いつつ、もう少し話を伺う。
連続音ではなく、時々キィーと鳴くらしい。ヤモリではなさそう。屋根裏からは声はするものの、足跡はしないんだとか。だとするとイタチやアライグマのような大きな動物でもなさそう。なんかペット由来の熱帯方面のヤモリとか?
あれこれ考えたけど、結局わからず。今度テープに採って聞かせて下さい、ってことで終わった。

8月後半になって、今度はテープを持って来られた。さっそく聞かせてもらう。想像以上に鋭く大きな声で、確かにキィーと言ってる。それも1声のみで、しばらく間が開いて、再びキィー。
なんじゃこれは? としばらく聞いていたが、あることに気付いた。どうも同じくらいの間隔をあけて鳴いている感じ。もう一度初めから、今度は時計で間隔を計りながら、聞かせてもらった。案の定、ほぼ正確に34秒に一度キィーという声。
こんなに正確な時間間隔で鳴く動物がいるとは思えない。これは人工物の音だと思う。電気系を調べてみては?と答えた。

そして今日、顛末のメールがやってきた。犯人は煙感知器だったらしい。電池切れを起こすと警告音が鳴るらしい。ちゃんちゃん。
謎の音の正体には当然ながら人工物もあり得るという話。しかしテープを聞かせてもらうまではさっぱりわからなかった。音や声に関する質問はやはり聞いてみないとわからない。これからは、音質はどうでもいいから、とにかく録音して聞かせてくれと言おうと思う。


2008年9月17日 知り合い?

大学時代は、あまり知り合いが多い方ではなかったのだが、就職してから知り合いが増えた。ある種の客商売という仕事柄だと思う。仕事をする上で人脈は欠かせないから有り難いことではある。
客商売のプロ(水商売とか)は、一度会った人の顔と名前はちゃんと覚えていて、次に会ったらちゃんと挨拶するものらしい。が、プロのはしくれの癖に、ぜんぜん覚えられない。会った人なら、顔は覚えられるが、名前や関係が付いてこない。メールでやりとりをした相手なら、名前の字面は覚えられるが、どんなやりとりをしたかはついてこない。水商売に向いていないのは明らか。

今日、とある女性と会って話をする場面があった。顔はあまり記憶にないのだが、なぜか名前の字面には強い既視感がある。あまりに不思議なので、思わず尋ねてしまった。
若い女性に、以前会ったことがありますか?とか尋ねるのは下手なナンパ以外のなにものでもない。これでイイエと答えられたら、フォローが大変だったのだが、幸いにもイエスに近い答えが返ってきた。彼女の父親と知り合いらしい。父親を通じて助言したことがあるらしい。父親の名前を言ってくれたのだが、ピンと来ない。が、とりあえず深く追求することはなく、その場は終了。
あまりに気になるので、過去のメールを検索してみた。そして、ようやくわかった。確かに父親と知り合いであった。が、下の名前が読めなかったので、言われてもわからなかったのである。ははは。
しかし、その父君とのメールでのやりとりを見返しても娘の名前は出てこない。どうしてその名前の字面に見覚えがあるのかは、相変わらず謎。はっきりしないのは、なんか気持ち悪い…。


2008年9月16日 携帯電話

携帯電話は持ってない。なかたけ氏に言わせると、携帯電話を持っていると阿呆になるそうである。となると、日本人の圧倒的多数は阿呆であって、我々は賢い少数派ってことになる。別になかたけ氏の教えを受けてのことでなく、あまり必要性を感じないから持ってないだけ。
家か職場にいるときはちゃんと連絡がつく。下手に持っていると、どこにいても仕事がやってくるだけ。フィールドで余計な事に煩わせられたくない。待ち合わせの時は携帯があると便利かなと思うのだけど、友達が少ないので、そんな事はほとんどない。年に数回あるかないか。経済的側面を除いても、持ってる利益よりは、不利益の方が多い。が、珍しく例外的に携帯が欲しい事があった。
東京に行った。もちろんポンに会うために。到着時刻をあらかじめ連絡すると言ったのだが、当日まで時間が決まらず。で、向かう途中に電話を探す。そう携帯を持っていない人種はいまだに公衆電話を利用するのである。が、見つからない。駅前で見逃したのがいけなかったらしい。かなりウロウロした末にようやく公衆電話を発見。なんとか連絡がとれた。コンビニとかタバコ屋とかにはありそうな気がしたが見つからないし、スーパーにもなかった。こんな時は、携帯電話が欲しい。欲しいのは年に数回だけなので、一人で維持するのは不経済。自家用車と同じで、数人でシェアできたらいいと思うな〜。

さて、こんな風に、携帯電話を持っていないので、携帯電話を持っている人種は理解できない。電子メールはコンピュータ上で利用しているわけだが、携帯からのメールは嫌い。というか困る。標題を付けてこない輩がやたらと多いのだ。
携帯同士のやりとりなら問題ないのかもしれない。メールがほとんど来ない人なら大丈夫なのかもしれない。しかし、こちらには一日に300通近いメールが来る。そのほとんどはいわゆる迷惑メール。フィルタをかけても、多くは自分で判断して処理しなくてはならない。で、朝一番の仕事は、ゴミメールをどんどん捨てること。とても一々開けてられないので、多くの判断は標題を見てのことになる。標題のないメールは基本的に捨てられる。なぜか気が向いたり、送信者のメルアドに見覚えがあったら開くこともある。選ばれたあなたはとても運がいい。それどころか、ありきたりな標題のメールも捨てる事があると思う。
スパム以外のメールをどのくらいの割合で捨ててるのかなぁ、と思わなくもないけど、全部チェックするなんてとてもやってられない。携帯からメールを送って下さる場合はご注意を。

なんでこんな事を書く気になったかというと、なぜか某スタッフ募集の受付係をやっているのである。標題も付けずに応募してきた奴は、それだけを理由で落としてやろうと思ったりしてたりする。まあ、それ以前に応募に気付かない公算が大なのだが。
応募したのに、まだ返事がないという方は、今度は標題を付けて送り直すように。


2008年9月15日 新商品の提案 コアラのポプリ

コアラはとてもいい匂いがする。毛皮も、肉も、脂肪も、糞も。さすがは長年ユーカリばっかり食べているだけのことはある。何年もかかって、常温でユーカリの香りをしみ込ませた感じ。肉は塩をふって焼くだけで、香草焼きになりそう。で、さらに良い匂いなのが内臓、というか腸というか、糞。ユーカリの葉っぱそのものなんだから当たり前。
動物の皮を剥いていて、糞が出てきたら臭くてちょっと嫌なのが普通だが、コアラは逆。糞が出てくるといっそうユーカリの匂いがする。良い匂い〜、と思わず糞に鼻を近づける。これ良い匂いやから匂ってみ。と、他人にも勧める。小さい子どもに匂わせようとする大人は、好意なのかもしれないけれど、ためらう子どもに動物の糞に鼻を近づけさせようとしてる様子は、いじめにしか見えない。

植物食のゾウの糞から作った紙を、近頃は動物園で売っていたりする。でも、加工にはそれなりに手間がかかるに違いない。もっと手軽で、もっと売れる商品を思いついた。
作り方は簡単。コアラの糞を集めて乾かす。コアラの糞は、1cm×2cmの大きさ。乾かした糞を5つばかり、可愛い小瓶とかに入れて、布で封をする。コアラを思い出しながら、良い香りを楽しむという便利グッズ。
動物園の土産にピッタリ。一瓶300円なら売れるんじゃなかろうか? というわけで、コアラを飼育している動物園関係者のみなさん、協同開発ってことでどうかな?


2008年9月14日 面白い学会発表とは

けっして良い研究かどうかではなく、プレゼンがいいかどうかでもなく、面白いかどうか。某学会の大会に久しぶりに参加して、ちょっと考えた。というのも、面白い発表を3つ選んで報告する、となぜか約束したから。この問題はなかなか奥が深い。

口頭発表とポスター発表では、評価基準が変わってくる気がする。
口頭発表は発表内容とプレゼンの仕方が大きい。短時間で次々と情報が繰り出されて、後戻りはないわけだし。質疑応答も心ゆくまでは無理。となると、やっぱりたくさんのサシバやハチクマに発信器を付けて衛星で追跡した話は面白かったということになる。データがすごいし、お金がかかってるし、アニメもあったりする。お金があるといいな〜。

でも、ポスター発表には、別の楽しみ方がある。つまりは違う面白味がある。データは心ゆくまで見直せるし、わからんところは納得するまで尋ねられるし。提示されていないデータを見せてもらったり、説明してもらったり。研究の面白さの要素は重要ではあるが、そこで発表されている内容だけでなく、その背景にある研究テーマ・蓄積しているデータ・フィールドや題材の面白さも関係してくる。ある意味プレゼンのウェイトは下がり、というかプレゼンはこちらが何か考えるきっかけを与えてくれればいい。
ようするに、色々と考えさせてくれるポスターが面白いポスター。そして、発表者とのやりとりが、それを補強する感じ。発表者に質問したりコメントしたりして、発表者と楽しい議論ができれば楽しい。発表者の役に立つようないいコメントができれば、ちょっと満足。なるほど、それは気付かなかった。と言わせたかったり。
ぜんぜんデータ量がなくって、現時点ではどうしようもない発表であっても、これからどうしたらいいかを議論したらいいし。自分が調査したりしたことがある部分について、ちょっと上から目線で指摘してみたり。不思議なデータ解析の結果について、質問したり、コメントしたり。そして面白い問題について考えるきっかけをもらったり。
どんなポスター発表でもそれなりに楽しみ方があるけど、やっぱり何か新しい物を含んでいそうな結果を見ながら、それが何を意味しているのか考えるのが一番楽しい。それこそが面白い発表。

というわけで、口頭発表よりはポスター発表。で、今回のお気に入りは、
・メジロの巣の防衛の話。メジロが出掛けた隙に、巣場所に捕食者の剥製をセットして反応を見る。巣場所によって警戒音を出す程度が違う。違うけど、それは捕食者を追い払う役には立たず。立たないけど、他のメジロを動員してみんなでモビングしたり。ときにはモビングにヒヨドリまで加わったり。すべての個体が個体識別されて、毎年の巣場所が追跡されて、繁殖結果もわかっていて、と言う中での実験。巣を通じての捕食者との相互作用研究として、すごく面白そう。全体像をゆっくり聞きたい。
・ツバメのEPCの話。二つのコロニーをほぼ完全に個体識別して、ヒナの遺伝的な親を押さえた上で、メスがつがい外のオスとどのような関係にあるか、どんなオスがつがい外交尾に成功しているかを調べた研究。一つの研究室のチームでの研究で、今回は二人が発表していた。まだ、充分な結果は出ていないけど、これからどうなるのか要注目。

あと一つは思い付かない。ハチクマの渡りの話かなぁ。なんか普通のセレクションになってしまった。


2008年9月13日 ポンと再会

学会でせっかく東京に来たので、ポンに会いに来た。

ポンは、大学院時代に、同じ研究室にいたIさんが拾ってきたネコ。子ネコからミルクをあげてみんなで育てたけど、大きくなってきて走り回るようになってきて、半年弱で研究室で飼えなくなってきて、実家に引き取った。その後、妹が引き取って、今は東京暮らし。
東京は遠い。4年ぶりくらいの再会になる。とっても久しぶりだけど、とても愛想がいい。覚えていてくれてるというより、人見知りしないらしい。せっかくなので、写真を撮りまくった。可愛い。

ポンはたしか1992年生まれなので、もう16歳。相変わらず可愛いけど、もうかなりのおじいさん。動きもゆっくりしてるし、なんか全体的に歳を取った感は否めない。2年くらい前に一度内臓を悪くして死にかけている。まだまだ何年も生きてて欲しいけど、1年以内に死んでしまう可能性も少なくない。もしかしたら、もう会えないかも。
とりあえずいっぱい写真を撮ったので、あとはいっぱい遊んでおこう。今生の別れになりませんように。


2008年9月12日 足を洗うときの暗黙の掟

抜け忍には追っ手がかかるし、ヤクザから足を洗うには小指の一本は覚悟しないといけなかったりする。一度入ったものから抜けるのはなかなか大変なのである。

学会というのは大抵学会員のボランティアで運営されている。まあ知る限り自然史関係の学会はみんなそんな感じ。会長やらがいて、評議員とかがいて、各種委員会の委員がいる。学会の大会があるときは、そうした運営に関わる人達の会議、評議員会や委員会が行われるときでもある。多くの場合、そうした委員会とかは大会の発表が始まる前に設定される。運営に関わる人は、半日から一日早くやってこなくてはならない。
明日から、東京は池袋にある某R大学で、某学会大会が開かれる。今日は委員会の日。なぜか広報委員会なるものの委員になっているので、早起きして一日早く東京入り。今日は委員会出席だけが目的。分担しての作業もあるし、大したことがないようで、それなりに負担。ということで、そろそろ広報委員会から足を洗わせてもらおうと思った。今日の委員会の秘かな目的は、足を洗うことにあると言ってもいいだろう。
委員長には事前にメールを送って、一応了解が得られている。ただ、一つ気がかりな事が。今まで委員が抜ける時には、代わりの人身御供を差し出していたような気がする。みんな忘れてくれていますように…。
報告が終わり、議題もほぼ終わる。最後にさりげなく委員の交代の話題。案の定、前委員長からなにげない指摘。

足を洗うには、代わりの委員を確保するのが暗黙の了解だったはず。

むむむ。やはり覚えていたか。なぜか学会ホームページの英文ページの担当の一人にもされた上に、さらに追い打ち。

代わりの委員は、英語に堪能な人にしてもらわないと。

むむむむむ。ただでさえ友達が少ないのに、その上、英語に堪能〜? 堪能な人でも英文を書くのは面倒だったりするからなー。
ってことで、とりあえず今年は足を洗えず。意思表示はしたから来年こそ足を洗うぞ! その前に後任を押しつける相手を見つけるためにも、友達を作らねば。


2008年9月11日 今日一番嫌いな植物はカナムグラ、一番好きな植物はコウガイモ、憧れの植物はイバラモ

今日も高槻市辺りの淀川を歩いた。今日もというのは昨日も歩いたから。昨日歩いたけど歩き足りなかった、のではなく充分な下見ができなかったので、今日も歩いたのである。というのも、気の迷いで昨年の12月に、今年の9月に淀川で哺乳類の観察会をしよう!と思いついたのである。場所は鵜殿のつもりであった。というのも、昨年の秋に鵜殿に行ったら、カヤネズミの巣はあるし、ヌートリアの糞と足跡はあるし、アライグマやタヌキやキツネなんかの足跡まであって哺乳類でやたらと盛り上がったのだ。が、一年経てば状況は変わる。昨日さりげなく歩いたら、カヤネズミの巣しか見つからない。慌てて、もう一度行って、周辺で哺乳類のフィールドサインを探しまくったというわけ。が、なぜか植物でひそかに盛り上がってしまった。

淀川の広大なヨシ原を横切る道、というか元道って感じではあるが、を歩いてみた。広大がヨシ原を横切るはずが、広大なカナムグラ群落を横切っていた。鵜殿のヨシ原のかなりの部分が、今年はカナムグラ群落と化している。その上、水を流し込んでいる周囲はママコノシリヌグイが幅を効かせていて接近できず。土手などの斜面を中心にアレチウリやクズが繁茂している。さらに道沿いにはヤブガラシや、なんか知らんマメ科の蔓や、マルバルコウソウかなぁといった調子。とにかく蔓植物がすごい繁茂していて、鵜殿の蔓原と化しているのであった。ママコノシリヌグイは論外として、カナムグラもトゲトゲで痛い。今日一日でとても嫌いになった。

昨日同じコースを歩いた時、水草をかなりチェックした。が、昨日はパスした水辺もある。というわけで、そんな場所では、今日も水草をチェックした。なんとなれば水草はマイブームの一つだからである。昨日は行かなかった私設ゴルフ場の一角では、オオフサモとオオカワヂシャの特定外来コンビを発見。根絶を目指して採集した。昨日はなんとなく面倒でパスした某所を覗くと、セキショウモ風の水草。これは根っこから採集すべしと昨日教わったので、下から採ってみる。なんかトゲトゲしている。トゲトゲしているのはコウガイモと習ったではないか! 大阪府下2ヶ所目の確認か?! 急にテンションがあがり、なぜか周辺の水草をこまめにチェック。
昨日は小さな切れ藻の断片だけ見つけたイバラモを、今日はたくさん見つけた。ただし今日も切れ藻ばかり。新鮮で大きな切れ藻がたくさんあるので、近くに生えてるんじゃないかと思うのだが、見つけられなかった。いつかは見つけてやる、と固く心に誓ったのであった。

哺乳類の観察会は、鵜殿を断念。少し場所を変えることにした。河川敷ってけっこう様子が頻繁に変わるから、一年前に企画するのは無理がある…。


2008年9月10日 日本一のホザキノフサモのコレクション

水草屋さんが言った。うちには日本一のホザキノフサモのコレクションがある。エビモもヤナギモもコカナダモもオオカナダモも、たぶんみんな日本一のコレクション。ほかにそんなに採りまくってる人はいないから。ただ、大和川水系と淀川水系のばかりやけど…。
ベントス屋さんも言った。うちのアメリカザリガニのコレクションもたぶん日本一。ほとんど誰も採って標本にしようとは思わないから。飼ったり食べたりするために採る人は多いだろうけど。
で、思った。うちには日本一のヌマガエルのコレクションもあるんじゃないかな〜。あとシマヘビも。ほとんど大阪府と奈良盆地産だけど…。
きっと他にも日本一のコレクションがあるに違いない。ヒメドロムシとか。ただし数で評価の場合に限る?

いずれもほぼこの5年ほどで作り上げたコレクション。日本一のコレクションを作るのは簡単だ。でもみんなあまり誇っていないようなのは何故?


2008年9月9日 ハセばあさんの日

そういえば昔、イルカの日っていう映画があったな〜。
というわけで、今日はイルカの骨を組み立ての日だったらしい。どうやらなにわホネホネ団の中の秘密組織、組立団が活動していたらしい。平日の昼間から大人が4人も集まって、作業をしている。
組立団の一員ではないので作業には混ぜてもらえないのだが、気になるので何度も見に行く。何度見てもあんまり変わっていない。そもそも昨日までの姿と比べてもあまり変わっていない。少し変わったのは尻尾の先まで椎骨が並んだことくらいか。
と、思っている事を口に出していたらしい。組立団の面々からブーイング。密かに微妙なところが変わっているらしい。あと、まだ形には見えてこないが、肋骨を接続する準備が着々と進んでいるらしい。我々素人にはわかりにくい進展である。

さて、とくに進んでいるように見えないな〜、と思いながら、首から尾の先まで並んだ椎骨を改めてながめていて一つ気付いたことがある。尾椎の先の方を除けば、椎骨はたいてい前の椎骨に向かって、前になれ、って感じで骨が出ている。のだが、真ん中当たりだけ、前になれ、になっていない。腰椎と尾椎の境目辺りだろうか。尾を根元から自由に振るためじゃないかなぁ、と思った。

あと一日くらいでハセばあさんの骨の組立は完成かな。となりではアライグマも完成に近づいている。次は何を組み立てるんだろう? オサガメとかどう?


2008年9月8日 たぶん新種?ゼンカイオニバス

近頃は、新着雑誌をながめる暇もあまりないのだが、昨日の夜は、マンガ家さんの原稿が上がるのを待つという、まるで雑誌の編集者のような時間があった。他の仕事をしながら待てばいいのだが、もう眠いし、頭も回らないので、なんとなく新着雑誌を手にとってながめていた。
岡山県自然保護センターが出している「自然保護センターだより Vol.16」をなんとなく開くと地元の水辺の植物やトンボが紹介されていた。そしてとあるページの写真に目が釘付けになった(大げさ)。というか、見たことのない綺麗な水草の花だなと思ったら、オニバスとある。オニバスなら知ってるけど花はこんなんじゃない。写真のオニバスの花は全開しているのだ。4枚の萼はほぼ水平に開き、花びらもけっこう開いて、中には黄色い雄しべまで見えている。全開するとかなり綺麗な花である。が、大阪のオニバスの花はこんなんじゃない。基本的にほとんど開かない。某博物館の河骨愛という偉い水草の先生がオニバスについて解説しているのを先日聞いたばかりだが、オニバスの花はほとんど開かないものであるとおっしゃっていた。
それだけではない。くだんの雑誌には見慣れたオニバスの丸いトゲトゲの葉っぱ以外に、和ばさみ型の葉と称するキツネのお面のような形(団長談)の変な葉っぱも出ていた。こんなんはオニバスの葉じゃない。

というわけで、岡山のオニバスと大阪のオニバスは別種に違いないと見破ったのである。あとは標本をそろえて記載すればいいだろう。河骨愛さん後はよろしく〜。いやいや献名までしてくれなくっていいから。えっ、記載論文の著者に名を連ねて欲しい? じゃあ、セカンドオーサーで。

と、河骨愛さんに記載を指示した上で、座右の書「日本水草図鑑」を開いてみた。葉っぱの形は、「初期の3(〜4)枚は沈水葉で針状→矢尻形→ほこ形の異形葉を経て、4(5)枚目の葉から浮葉となる。初期の浮葉は基部に切れ込みのある長楕円形、10数枚目の葉から楯状の円形葉となる」と書いてあった。キツネ面型の葉っぱは普通らしい。でも、花が全開なのは?


2008年9月7日 トンネル探検

中高生と一緒にとある廃線軌道を歩いた。線路は別の場所に移って、枕木と鉄橋とトンネルだけが残っており、周辺では良く知られた渓谷沿いのハイキングコース。
トンネルは6つあって、3つは短くて、だいたい中まで明るく普通に歩ける。2つは300mクラスで、先の方に出口の灯りは見えるものの、他はまっくら。懐中電灯がないと歩きにくい。歩けることは歩けるのだが、水たまりがあったり、ちょっとつまづくようなものもあったりするので、慎重に進む必要がある。残る1つは400m越え。中の方は真っ暗。出口の灯りが見えないので進む方向もわからない。懐中電灯がなければ、壁をさぐりながら進むことになる。
このトンネルを探検するのは、たぶん4回目。一度だけ一人で懐中電灯もなしで歩いた事がある。一番長いトンネルは少し時間がかかった。
今日は団体なので、どうせ誰かが懐中電灯を持ってくるだろうと、用意せずにいった。結果から言えば、ちゃんと懐中電灯を用意していった方がよかった。

一番盛り上がったのは。もちろん一番長いトンネル。数匹のキクガシラコウモリがいたようで、何ヶ所かでライトで照らして観察できた。みんなで照らすのでコウモリはすぐに飛んでしまう。ライトを持ってきて、先に一人でこっそり見ればよかった…。
我々が最長のトンネルに入る前に、前から小学生の団体が出てきた。コウモリ見れてよかったね〜、といった会話をしていた。今日は日曜日でハイカーも多い。コウモリ君達は、何度もライトに照らされて、そのたびに飛びまわっていたことだろう。昼間の休憩中のはずなのに、さぞや疲れたことだろう。そして、恐らく週末の度に同じ事が繰り返されているんだろう。

トンネルから出てきた小学生の団体。会話から察するに、最長のトンネル一つを抜けるのに、30分以上かかったらしい。コウモリで盛り上がったとはいえかかりすぎ。いったい何をしてたんだろう?


2008年9月6日 持ってく物検査

夕方、持ち物検査ならぬ、持っていく物検査を受けた。某NSな雑誌の取材らしい。
双眼鏡、フィールドノート、ボールペン、地図。鳥の調査ならこれだけ。あとは、何を採集してくるかによって変わる。今のブームはプロジェクトY
的な感じなので、かつてはよく持っていた根掘りや毒瓶、画板はあまり持ってない。近頃必ず持っていくのは、水網、ふんどし、アルコールを入れたフィルムケース(クモと甲虫を入れる用)、フィルムケース(糞とか食痕とか小さい貝とかを入れる用)、レジ袋(水草を入れる用)、プラスティック瓶(色々入れる用、250mlが主流で、一応500mlと1000mlも一つずつくらい)。あとはペットボトルの飲み物、気が向いたら食糧(フィールドに出たら昼食を食べないことも多い)。傘。
大部分は鳥と関係ない採集用具。というか、双眼鏡は持って行っていても出していないことが多い。首にぶら下げて水網を使ってると、双眼鏡を水没させるから…。水の中に入っての採集も多いが、靴のまま入るので、長靴とかは持っていない。
もしも、シギチドリとか、水鳥だけを狙う場合で、あまり移動しないときは、望遠鏡も持っていく。が、まあ年に何度もない。

図鑑は? と尋ねられた。
持っていかない。この辺りの大抵の鳥は、少なくとも調査に必要な範囲なら、図鑑がなくても種類はわかる。哺乳類と両生爬虫類も同様。その他のターゲットは採集するだけなので、野外での同定は必要がない。
なぜかここが一番リアクションがよかった。新米植物屋からすると、フィールドに図鑑も持たずに出掛けて、調査ができるのが不思議らしい。
それはおいらがベテランだからだよ。というのは半分ウソ。ややこしいムシクイ類とか、ややこしいタカの渡りとか、ややこしいシギ・チドリ類とか、ややこしいカモメ類とか、渡りの時を中心にややこしいものを見に行く時は、さすがに図鑑が欲しくなる。あと、大阪を離れれば離れるほど図鑑の必要性は増す。でも、調査はたいがい大阪周辺だし、ややこしい鳥ではなく身近な鳥しか調査していないもので…。

話の流れで、中学生の頃からフィールドに持って行っていた図鑑を出して並べた。4冊ある。最新のは大学に入った時に買った物。大学生の頃までは、鳥を見に行く時は必ず図鑑を入れて行ってた。今はもうそんな体力はないから、図鑑を持っていかないだけかもしれない。重たいからね〜。


2008年9月5日 青カビの生えた皮、乾いて板になってしまった皮の復活

大きな皮の処理は大変。油断すると青カビが生えたり、面倒になってついつい作業を後回しにすると固い板になってしまったり。そう、あなたにも記憶があるだろう。青カビが生えたら、あわてて拭いたり、洗ったりしてなんとか落とそうとするだろう。でも、乾いて固くなった皮は? そう、とりあえず、そのままで保存はきくから、そのままでいいか〜。という気もして、台の上にとりあえず乗っけて、忘れてしまったり。忘れたふりをしたり。ふとした拍子に、それを思い出して、処理しなくちゃ。でも、とりあえずまたにしよう。と再び忘れたふりをしたり。そんなあなたに朗報?

青カビが生えた某大型偶蹄類の皮。その上、乾いて固くなってしまった。とりあえず青カビを取り除こうと70%エチルアルコールで拭いてみた。乾いて軽くなったとはいえ、あいかわらず重たい。全体を一人では持ち上げられない。仕方がないから端っこを持ち上げたり、一部を折りたたんだりしながら、アルコールで拭きまくる。でも毛のある側を無理に拭くと毛が抜ける。仕方がないから、毛皮の下にアルコールにひたした新聞を敷いて、さらに上にもアルコールにひたした新聞を敷いて、その上を歩き回る。毛皮の青カビは取れる(目立たなくなるだけ?)し、アルコールで消毒されてる気もするし、その上、自分の足の裏も消毒されている。内にも外にもアルコール漬けの新聞を引っ付けたまま、脚を折りたたみ、胴体も4回折りたたむ。再びその上に乗ってみる。
で、2日ほど放置。青カビは取れたし、固くなっていた皮は柔らかくなった。それを引っ張る折り曲げる。なんかそれなりに柔らかい皮ができてきた感じ。この皮に比べたら、ツキノワグマの皮は小さい。たぶん半分弱。台に乗っけたまま廊下に忘れ去られているクマの皮を処理してみようかな。

一旦乾いてからも処理できるなら、なめし液から出した直後の生乾きの時に、無理に時間を作って処理せずに、時間のあるとき(なにわホネホネ団の活動日とか)に合わせて、アルコールで軟化して処理したらいいんじゃないだろか? 今頃になって、そんな簡単な事に気付いた。


2008年9月4日 ご職業は? ザリガニ採りです

今日は、桜井市、橿原市、松原市と近鉄沿線を股に掛け、仲間と学生を引き連れて、ザリガニ、ジャンボタニシ、ホテイアオイを採集に行った。調査ではなく、外来生物駆除。というよりも、食材集め。

最初は、桜井市でザリガニ採り。みんなタコ糸にスルメをぶら下げてザリガニ釣りをしてる。でも、捕獲効率はあまり高くなさそう。場所は浅い水路。こんな場所なら水網の方が効率的とばかりに下流側の一画約40mを独占して水網で捕りまくった。赤くなった大きめの個体だけを狙って、約1時間で83匹。捕っても捕ってもまたザリガニが出てくるのには驚いたが、さすがに1時間後には赤いザリガニはほぼ取り尽くした。でも茶色いのはたくさんいる。外来生物の駆除は大変。ザリガニ釣り組は、多くても1時間で40匹程度。圧勝した。しかし、一番でかいザリガニを採ったで賞は取れなかった…。

次は、橿原市でジャンボタニシ採り。水網とバケツを持って用意ドン。ジャンボタニシ採り競技の公式レギュレーションに基づいて、15分間のタイムトライアルで争われた。211個採った。これは世界新記録である。実習生の中には100個以上採った者もいたが、所詮敵ではなかった。しかし、今回も一番でかいジャンボタニシを採ったで賞は取れなかった…。毎回、競技に勝って、勝負に負けている(アイスクリームがかかっていた)。

最後に、松原市でホテイアオイ採り。これは闘いではなく、ポエムな感じ。なんせ採集するのは花茎のみ。葉っぱも食べたい!と主張したのだが、囓ってみるとスポンジみたいでとても食べられるものではない。それに引き替え、花茎は生でもけっこう喰える。汚い池から採ったのを生で喰うのは少し勇気がいるが…。
というわけで、作業は胴長をはいた野郎どもが、花をつけたホテイアオイを陸に上げて、可憐な乙女たちが花を摘むと行った感じ。摘んだ花(茎)はどんどんバケツにさしていく。結局、バケツ4つ分にいっぱいの花がとれた。とても綺麗。まるで花やさんが売り物を仕入れに来たみたい。

ここまでは楽しかったのだが、このあと、持って帰ってからが大変。300匹近いザリガニは、洗って、茹でて、殻を剥いて、冷凍。1000匹近いジャンボタニシは、歯ブラシでよーく洗ってから、網に入れて水槽の中へ。しばらく飼って泥を吐かせる。バケツ4つ分のホテイアオイの花茎は、花を取って、洗って、冷凍&塩漬けに。一番人気の作業は、ホテイアオイの処理で、やはりお花やさんのようであった。
いずれにしても、野外で食料をGETするのはいいけれど、それを処理して保存するのは大変。狩猟採集生活にはかなりの覚悟が入りそう。


2008年9月3日 骨の撮影

図鑑用の骨の撮影を見学した。以前にもプロのカメラマンが骨を撮影するのをながめたが、その時はカメラマンが、床を転がり回って、助手にライトの角度を変えさせまくって、なかなか異様な光景だった。そして、なかなかシャッターを押さない。でも、今日は、とても落ち着いた雰囲気で、どんどんシャッターを押していた。以前はアートな感じの撮影だったのに対して、今日は図鑑用にきちっと撮るのが目的だから撮影風景も違うんだろう。

どんどんシャッターは押すものの、仕事はなかなか進まない。デジタルカメラで、撮った瞬間にパソコンに送り込んで出来映えをながめては、もう一度撮影を繰り返す。
1体のバラバラの骨格標本を用意すると、形に特徴の出る11の骨を選び出し、それぞれ3アングル撮影しているらしい。骨を変えるごとに光量とカメラ位置を調整し、撮影してはライトの角度や光の反射のさせ方を変えてみる。

セッティングは、白い背景の前に台を置いて、両サイドを黒い壁で隠して、真ん中のスリット部分の前に骨をセットして撮影。骨は透明なアクリルのキューブに載せるか、練りゴムで引っ付けているらしい。フラッシュで、透明なアクリルは飛ぶので、白い背景に骨だけが写るという仕組み。

見ていると、骨の撮影は難しそう。白い骨の形をきちんと見せないと、なんの事やら分からない。そのために、影の出方をちょっとずつ変えては何度も撮影して、骨の曲面や凹凸が一番わかりやすい影を探す感じ。そら時間かかるわ。
1体分の撮影が終わるまでに、3時間以上かかっている。カメラマンを雇う時は、時給計算にしない方がよさそう。


2008年9月2日 ブルースキン

ブルーチーズってのがある。青カビを使ったチーズ。青カビに白カビにと、チーズにはカビが付きもの。カビを使って、常温での長期保存を可能にしているわけだ。

タヌキ大までの大きさの哺乳類は扱いやすい。骨取りもそうだけど、皮をなめす時は特にそう。肉取り加減に、脂肪取り加減に、乾かし加減に、引っ張り加減。扱い易いし、人力で事足りる。まあ慣れているからかもしれない。
それがシカ・クマ大になってくると大変。そもそも持ち上げるのに力がいるし、肉取り・脂肪取りも専用機がないとやりにくい。そして、なぜか油断してカビてしまいやすい…。
先週の木曜日、なめし液に浸けてあった大きな皮を出した。出してみたら、今まで処理した中で一番大きかった。シロクマより大きい〜。まだ残っていた軟骨や肉を除去したりしつつ、乾かし始める。が、日曜日、青カビ発見。そして今日、さらに青カビ増加。仕方がないのでアルコールで拭いてみる。

拭きながら思った。青カビが生えると青くなって嫌やけど、皮の保存としてはどうなんだろう? むしろ腐敗菌が浸食できないから良い面もあるのでは? ブルーチーズならぬブルースキン。毛に付いた青い胞子は除去するとして、皮自体に青カビの菌糸が張り巡らされた状態って、むしろ常温での長期保存に向いていたりしないかな? ちゃんと乾燥したら、胞子体は作らないだろうし、生きた菌糸が皮を守るみたいな…。


2008年9月1日 学芸員の適性

博物館実習というのがある。博物館に博物館実習に行ったことはないのだけど、なぜか博物館に来たのの博物館実習を担当したりする。たいてい5日間やってくる。それを分担して担当するので、普通は1クールに1日だけ3〜4人を担当したらお仕舞い。だ、今回は、1人を5日間ずっと面倒を見るという斬新なヴァージョンを担当した。
1日目、オリエンテーションと冷蔵室の片付け(たまっていた骨を砂場にならべて、肉を埋める)。2日目、鳥の標本作成(皮むきと、腐らせていた鳥の骨洗い)。3日目、哺乳類の標本作成(広げていた皮を引っ張り・取り忘れていた耳の軟骨はずし、剥いたままになっていた哺乳類の中身を肉取り・骨包み・煮る・水浸)。4日目、子どもワークショップの見学、講演会手伝い。5日目、なにわホネホネ団の活動に参加(アシカの皮むきをしていた)。
実習生だから当たり前とはいえ、言われた事はちゃんとするし、すでに経験者(むしろ熟練者に近い)なので、皮むきや骨取りはとても上手。

さて、実習生は大学の単位のために来ているので、大学から成績関係の書類がやってくる。5段階(秀、優、良、可、不可)の評価をしなくてはならない。さらに学芸員の適性を評価する欄まである。非常に適している、適している、判断できない、適していない、って感じ。一人で担当したので、評価まですることになった。
しかし、たった5日間で学芸員の適性を評価できると思ってるんだろうか? もし本当に5日間でちゃんと評価できるなら、採用時にも5日間の実習を課したらいいに違いない。そしたら採用したけど使えないって学芸員が少しは減るだろう。

とりあえず、上手に標本作ってたから、適性はあるってことにしておこうかな。本当の学芸員の適性は、そんな技術にではなく、積極性やコミュニケーション能力や企画力なんかにありそうな気がするけど…。


2008年8月31日 来年の今日

昨日で、ホネホネ展も終わったし、そろそろ片付けを始めなあかんな〜。ってゆうか、今週中に片付けな、次のキノコ展担当から怒られる。でもまあ、今日くらいはちょっとのんびりしてみたいところ。
先週のホネサミットも、盛り上がったし。ホネホネ展の入場者数も、セミ展を上回ったし。よかったよかった。

おもえば、この一年は忙しかった。去年の11月には、「かんさい自然フェスタ」があって、主担当としててんてこ舞い。さらに大阪の哺乳類の本の出版。とにかく、メインの著者から原稿がなかなか出ないどころか、連絡も取れない有様。苦労した〜。それもなんとか春には出版できたし。売れ行きはまあそこそこやけど…。で、それが終わったと思ったら、ホネホネ展の準備。解説書の原稿書いて、展示の構成を考えて。その上、フィールドにまで出てたから、たいへん。ホネホネ展がオープンしてからも、子ども向けワークショップに、大人のワークショップ、講演会、さらにホネサミット。企画が目白押し。
ようやくホネホネ展が終わって、仕事も一段落。キノコ展はどこか他人事やし、11月の自然史フェスも主担当ではないし。すでに気分は5連休のお出かけモード。

早く来年の今日にならないかな。


2008年8月30日 今日とある会議で話していた企画

◆その1 ボタンウキクサ城作り競争
別名ボタンウキクサだるま作り対決。班対抗。よーいどん。で、ボタンウキクサを集めてきて積み上げる。とにかく積み上げる。高い方が勝ち。ボタンウキクサだるまの場合は、目と鼻と口と手を付ける。
問題は、作った後の始末。特定外来生物なので持って帰るのはダメ。焼却などのために移動させるには届け出? その場に放置は迷惑。キャッチアンドリリースは外来生物法的にはOKだけど、そういうわけにもねぇ。
でも、この企画がものすごく盛り上がるなら、企画をパッケージ化して、全国展開して、特定外来生物の植物を退治するイベントを広めてみたりしてみたりはどうだろう?

◆その2 裏庭をシュロバッタで埋め尽くそう!
この春、合宿に行った宿に鉢植えが置いてあった。よーく見ると、生きた鉢植えの葉っぱの先がシュロバッタになっていた。さらによーく見ると、けっこうたくさんシュロバッタになっていた。
というわけで、同じ企画を裏庭でやろうというわけ。裏庭にたくさんススキが生えているので、みんなで行って軒並み先をシュロバッタに変身させる。なんか不思議な風景ができあがりそう。楽しみ〜。

その他に話したこと。一晩池の周りで寝っ転がって、ハスの開花をながめたら楽しそう。収蔵庫をみんなで見学に行ってみよう。忘年会を兼ねて、調査とかに行った時のスライド上映会をしたらどうだろう? ちょっとホネホネな感じの講演会はどうだろう? 津軽とか燧灘に行きたい。リスとコウモリをどこに見に行こうか?

こうして書き出してみると、なんと楽しげな会議なことか。


2008年8月29日 簡単な骨格標本の作り方

まず骨にしたい脊椎動物の死体を用意します。とりあえず、ここにタヌキがあるので、これで試してみましょう。冷凍してあったタヌキを室温で解凍します。標本番号を書いたフダを用意しておきます(紙に書いてパウチしておけばいいでしょう)。さてここからの処理が斬新。新聞紙に包んで、部屋の隅に置きます。そして、待つこと約2ヶ月。あとは水につけてふやかしてから洗うだけです。
注意点は二つ。大阪の夏であれば2ヶ月で骨になりますが、季節や場所によっては、もう少し時間がかかることがあります。暖かい季節にやるのがお薦めです。この標本作成法の難点は、臭いと虫です。室内で骨作りに活躍してくれる虫は、主にハエです。ハエには感謝しなくてはなりません。そして、この標本作成法で敵となるのは、その部屋を利用するヒトです。この標本作製法は多くのヒトに受け入れられません。見つからないのが一番です。しかし、大量のハエの発生と、臭いを隠すのは困難です。新聞などで厳重に包んでおけば、臭いはかなり抑えられます。あとは、多少のハエの発生、多少の腐敗臭があっても誰も疑問に思わないような部屋、あるいは環境作りが肝心でしょう。

昨日、とある部屋の端っこで捜し物をしてたら、妙に臭い。なんだろう? 目の前に新聞で包まれたものがあったので、中を見てみた。タヌキのミイラが入っていた。ちゃんと標本番号を書いたフダも付いている。どうやら冷凍庫から出して、標本番号を振って、さあ皮を剥いて処理するぞ!と思ったまま忘れられていたらしい。
標本番号からすると、ちょうど2ヶ月放置されていたことになる。ハエの脱皮殻が大量に付いている。ここからたくさんのハエが旅立っていったらしい。臭いもけっこうする。誰も気付かなかったのが不思議なくらい。あとは水で洗えばできあがり。皮が残せなかったのは少し残念だが、手際よく骨格標本が得られたので良しとしよう。
というわけで、こんなに簡単に骨格標本はできるのである。でも、良い子は真似しない方がいいと思う。家でやったらきっと家族に怒られる。


2008年8月28日 夏休みの自由研究の相談

昨年に引き続き今年も相談に来られた。川の鳥を調査した結果をまとめようというもの。3つの河川を5月と8月に歩き、橋などで分けられた区間ごとに、主に水鳥の個体数を数えたもの。けっこう時間がかかってる。同定は信頼できるので、生データでも価値があるとは思うが、せっかくの自由研究だから何かもう少し整理してデータで何かを語って欲しい。
季節、河川、区間、鳥種、個体数とけっこう情報量の多いデータ。が、エクセルはあまり使えないらしい。簡単な集計も手計算。そして統計処理や数値処理は、平均を出すのと、密度を計算するのが限界。小学生にとってはなかなか手強いデータかもしれない。

というわけで、助言は以下の通り
・河川単位、河川の中でも上中下流といった区分(橋での区分は多すぎるので分ける)、そして季節(5月と8月)に分けて、それぞれの種が何個体記録されたか、合計何種何個体記録されたか、集計した表を作ってみよう(河川と季節の集計の表は作ってきていた)。
・調査してた時、そして集計の表を見て、何か鳥の分布や出現の仕方について気付いた傾向はないか? あればその傾向をデータで示してみよう(集計の仕方を工夫して表を作ろう)。
・データでちゃんと示せたら、どうしてそんな傾向があったのか、自分で考えて説明してみよう。

で、あとは個々の種、河川や季節ごとにどんな傾向があると思うか、順に尋ねてみた。けっこう色々と考えていたので、あとはそれをデータで示すだけ。が、それができるかが問題。
今日は、用事があるとかで、早々に帰られた。宿題の提出まで残り4日。できるか以前に間に合うかが微妙。もう相談に乗る時間的余裕もなさそう。自力でがんばれ〜。

そういえば、先日、ツバメの仮剥製を自分で作ったので、それも自由研究として提出するらしい。鳥の調査とぜんぜん関係ないし…。


2008年8月27日 一番起きて欲しくない事態

もちろん悪い事態はいろいろと想定できるわけだが、身近にすぐに思いつくのは、冷凍室の故障。夢に見ることもある。文字通りの悪夢。
もちろん、中身が融けて腐ってしまうのが怖いのだが、同時に怖いのは、冷凍室を修理するためには、冷凍室の中身(の少なくとも多く)をいったん外に出さないといけないこと。真冬ならいいのだけれど、真夏だと…。かといって、代わりに入れておく冷凍室があるわけもない。
という恐ろしい事態が一度起こったことがある。幸い11月だった。マイナス数十度で凍っていた物は、固めておいておけば丸一日融けなかった。よかった。が、いまは涼しくなってきたとはいえ、まだ8月。こんな時に冷凍室が壊れたら洒落にならない。

数日前から、冷凍室の温度が上がってるのには気付いていた。摂氏マイナス40度くらいのはずが、摂氏マイナス20度よりも上がってきている。自動的に霜取りをすることがあるらしく、短時間の温度上昇はかまわないのだが、ここ数日温度が上がったままの気がする。大丈夫かなぁ。と思っていたら、今日、ブザーが鳴り響いていた。冷凍室の温度が異常であるという表示も出ている。ガーン。どうしよう。
とりあえず、その筋の人に見てもらった。すぐに霜取りを始める。そして説明。どうやら温度センサーのある周囲が霜で埋まっているので、掘り出しているらしい。温度センサーが霜で埋まると、霜の布団のおかげで正確な温度が測れていない可能性があるとのこと。

とりあえず、霜取りをして様子を見ることに。覚えておこう。温度は温度センサーで測っている事を。高い温度を表示したからといって室温が上がったとは限らず、正確な温度が測れていないだけかもしれないことを。そして、こまめに霜取りをしなくっちゃ。前も同じ反省をした気がするが…。

【追記】
翌日見に行ってみると、冷凍庫の温度は正常になっていた。やはりセンサー周りの霜が原因だったらしい。


2008年8月26日 淀川のネズミ?

淀川でネズミの死体を拾ったから持っていくとの連絡をいただいた。ネズミの巣も採ったから、ついでに持っていくとのこと。採れるんならカヤネズミの巣なんだろう。じゃあ、死体もカヤネズミ? 確かにとても小さい小さいと強調されていた。でも、単に子どものネズミなのかもしれない。としたら、ハツカネズミ、アカネズミ、ハタネズミなんかの可能性もありそう。どのネズミだろうか? 子どものアカネズミとか同定できるかな〜。と少し不安だった(ネズミは苦手)。
到着された姿を見ると、なんか色々持っているような。とりあえずネズミを見せてもらう。厳重に包まれたビニール袋から取り出してみる。一目で即答できた。ジネズミだった。確かに小さい。で、確かにネズミという名ではある。どっちかと言えば、淀川産の他のネズミをもらうよりも、ジネズミの方が嬉しい。標本なかったし。

ネズミの巣は予想通りカヤネズミの巣であった。さらにカラスの羽根を大量もらった。いつかハネハネ博士の行事で使おう。そして、なぜか広島県の宮島と奈良公園のシカの糞をくださった。糞からDNAをとって、2ヶ所のシカが遺伝的にどの程度違っているか調べろとの指令。これはできればご勘弁を。さらに鳥の写真もくださった。寝屋川のアオバズクの写真は繁殖記録になるのでちょっと嬉しい。
そして担当者に渡せとのことで受け取ったのは、セグロアシナガバチの巣と、ハスイモというサトイモの親戚の苗。ハスイモは芋ではなく茎を食べるらしい。
最後に那智黒を3つ。これはどうしてくださったのかわからない。きっと袋から出てきたのでついでにくださったのだろう。黒砂糖は苦手なので、ハスイモとセットで植物担当にあげてしまった…。

というわけで、いろいろと頂いた。一番嬉しかったのはやっぱりジネズミ。次はアオバズクの写真かな。基本的には、一に標本、二に情報を集めている感じ。他の方もなんか拾ったら、採集データ付きでぜひください。両生爬虫類、鳥類、哺乳類の本体であれば(骨でもOK)、基本的になんでも歓迎。ただフィールドサイン系は欲しいか欲しくないか微妙なのも多いので、できれば事前にご連絡を。


2008年8月25日 三度目のお水取り

お水取りは年に4回ある。今年から始めたばかりの初心者としては、三度目のお水取りに行ってきた。初めての2月は寒かった。二度目の5月は暑かった。三度目は8月。暑くて途中で倒れるのでは?と思ったが、意外にも涼しい一日だった。一日に何度も気温を測ったのだが、昼頃に摂氏30度を越えたものの、その後はどんどん気温は低下して、だいたい摂氏27度前後。風もあって涼しい一日。と思ったら、帰る途中で雨に降られて、ずぶ濡れになった。

お母ちゃんが言った通り、三度目にして1ヶ所のお水取り作業を約15分でこなせるようになった。その分、寄り道もできた。毎回、できるだけ違うコースを移動して、違う河川・水路・田んぼをついでに調べてくる予定。今回は、東大阪市南部でけっこう寄り道。4ヶ所で水草・貝・魚を採集した。
魚を採っていたら、おじさんに声をかけられた。メダカとドジョウを採ってると説明したのだが、帰ってきてみると、ドジョウはともかく、メダカはカダヤシとタイリクバラタナゴに化けていた。恐るべし都市河川。
水草は、なんの気の迷いか、花もついていないでっかいコナギとアメリカタカサブロウ(たぶん)を採ってしまった。さらに、でっかいオモダカ(こちらは花付き)まで採ってしまった。これでは水草屋さんに嫌われてしまうので、もっと水草らしいものを探す。長門川でエビモをGET、そして某所の田んぼ脇の水路でなんかわからん水草をGET。昨日、ヒロハトリゲモを採ってきて誉められていた人がいたけど、これもその類ではないのだろうか?
貝はというとヒメタニシとサカマキガイが採れただけ。ヒメタニシには糸状藻類がたくさん付いていて、貝を採っているのか糸状藻類を採っているのかよくわからない。貝の標本だからと糸状藻類を除去して標本にするのか、それとも糸状藻類も含めた標本にすべきなのか、難しい判断に迫られる。これが、ヤドカリが貝殻にイソギンチャクを付けるように、捕食者からのカモフラージュとしてヒメタニシが糸状藻類を生やしているのならば、楽しいのだが…。違うんだろうな。面白いことに同じ場所で採集したサカマキガイには、ぜんぜん糸状藻類は付いていない。大きなサカマキガイとヒメタニシの稚貝の大きさはあまり変わらないので、これは大きさの違いを反映しているわけではない。もう一つ面白いのは、ヒメタニシであっても死に殻には糸状藻類は付いていない。もしかしたら何らかの共生関係を想定できるのでは? とりあえず糸状藻類が付いたタニシと、除去したタニシを、捕食者のいる水槽に入れて捕食されやすさに違いがあるか調べたらいいかも。今からでも間に合う夏休みの自由研究に是非。


2008年8月24日 ミサゴの巣

今年大阪府南部でミサゴが繁殖した。大阪でのミサゴの繁殖記録は珍しい。誰もが秘密にしているようだが、3つのルートから教えてもらったので、けっこう知れ渡っているらしい。まあ、高圧線の鉄塔のてっぺん近くに大きな巣をつくったので、目立ちまくり。いろんな人が見つけていてもおかしくない。で、もちろん鉄塔の持ち主でもある関西電力も気付いていた。4月にすでに見つけていたけど、7月にヒナが無事に巣立つまで待ってから、8月に撤去した。
その巣は、銀ちゃん(なにわ金融道風の仮名)が、貴重な標本ということで、確保してくださっていた。先日、その銀ちゃんからメールが来た。ミサゴの巣はいらないかという。その時におかしいなと思うべきであった。銀ちゃんは日本でも指折りというか、恐らく日本一の鳥の巣コレクター、なのにせっかくのミサゴの巣を手放すのはおかしい。が、例のミサゴの巣だ!わーい!と二つ返事で欲しいと言ってしまった。
今日、わざわざトラックに乗せて、銀ちゃんと相棒の方が持ってきて下さった。ありがとうございます。と言いながら、ちょっと唖然とした。想定外に大きかった。そうか、これでは銀ちゃんの家に入れるだけでも大変。

そう、もらう前に大きさを確認すべきであったのだ。大きさは、約140×130cm、そして厚みが約40cm。なんとなくカラスの巣くらいの大きさを想定していた…。銀ちゃんのミサゴの巣のコレクションはもっと小さいイメージだったのに…。新しい巣なので、飛び出ている枝も多く、最大幅を見ると約150×140cm。内装に土(?)や魚の死骸などが混じっているので、あまり斜めに出来ない(内装がこぼれる)。ということは、規格が大きめの新館の廊下とエレベーターには乗るけど、昔の規格の旧館の階段やエレベーターには乗らない。移動させづらい上に、置く場所が…。呆然とする展開。
メジャーを持ってウロウロしまくった後、結局、密封して防虫剤を充満させた上で、屋根のある半分屋外に置くことにした。他に置く場所がない…。

本来は、冷凍室に入れて虫を殺してから保存するのだが、当然ながら冷凍室のドアも通らないので、薬剤を使った燻蒸をすることに。幸い、関西電力が巣を撤去する時に使ったとおぼしきでっかい袋、というかバッグも付いてきていた。土砂を詰め込んでクレーンでぶら下げるような丈夫な奴。これが誂えたかのように巣にピッタリサイズ。少し苦労したけど、巣をねじこんで、ガムテープで封をしてセット完了。展示とかのために出したりしたくないな〜、と思う状態だが、保存には支障なさそう。

ミサゴの巣の産座には、でっかい魚のウロコがたくさん付いていた。これを調べたら何を食べていたかわかりそう。さらにこぼれた産座の残骸も別に受け取っていた。鳥の巣につく虫ってものが世の中にはいるというので、産座の残骸に混じっている虫を採集してみた。アリがたくさんに、シバンムシとクモとトビムシとヤスデが少々。きっとハネカクシとかが採れたら誉められたんだろうけど、残念。巣の本体の燻蒸が済んだら、何か虫がいないか探してみようかと思う。
巣は、鉄塔のてっぺん近く。地上約40mにあったそうな。そんな高いところにまで鳥の巣を目指して虫が行くのかな? とも思う。巣を撤去する際、地面に置いたりして、その時についた虫なんだろうか?


2008年8月23日 アシダカグモとのつきあい方

廊下を歩いていたら、でっかいアシダカグモも歩いていた。荷物をどけたら、出てきたという。真っ昼間に無理矢理起こされたせいか。荷物を動かす時に怪我でもしたのか。夜に見かけるアシダカグモと違って、動きが遅い。

近頃のマイブームはクモ採集。大阪府下のクモであればなんでも採集してこいという指令を受けて、どこにでもアルコール入りのフィルムケースを持って行っている。たしか室内のクモも採集しないといけないはず。一瞬、つかまえてアルコールの中に入れようかと思った。
が、よく考えると、こやつはゴキブリを食べてくれる正義の味方。ここで1匹のアシダカグモを殺したら、将来的にいった何十匹のゴキブリが生き延びて、それがさらに何百匹のゴキブリを生産することになるのかと考えると、殺すわけにはいかない。代わりに、ときどきゴキブリを見かける標本制作室に連れて行って放すことにした。

うかつにクモを捕まえると足がとれてしまう。胴体を持てばいいのだが、逃げてるクモの胴体をつかみに行くのは難しい。標本にするのが目的なら、多少足がとれようが、胴体がつぶれようがかまわないのだが、今回はできるだけ元気にゴキブリを捕りまくって欲しい。というわけで、そっと両手で包むようにつかまえた。けっこう苦労した。
考えてみれば、アシダカグモを持つのは初めて、けっこう柔らかい。毛もフワフワしてて、ちょっと気持ちいい。とくに噛み付いてくることもなく、おとなしいものであった。むしろ可愛いかもしれない。自宅の部屋でも放し飼いにしようかな。


2008年8月22日 セミに寄生する甲虫

富山から客人がやってきた。ドイツ箱2つにいっぱいヒメドロムシが入っていた。富山ではあまりヒメドロムシが採れないらしい。生息密度も種数も少ないらしい。という話を聞いていたので、どれどれと思って、見せてもらった。大量のヒメドロムシの端っこに、はるかにでっかい甲虫が少し並んでいた。その時はとくに注意しなかったが、その内の一つは、セミの幼虫に寄生する奴で、甲虫屋さん的には採れるととても嬉しいものらしい。まあ、採った本人も気付いておらず。甲虫屋さんに教えてもらってから、喜んだらしいが…。それをまた教えてもらったのだが、なんという名前か忘れた。

客人からアンケートをされた。学校の宿題で、身近な人の職業調べといった感じ。仕事をしていて、どんな時に嬉しいですか? と尋ねられる。調査に行って、なんとなく採集してきたものが、思いがけず珍しいもので、担当者に誉められた時、と答えた。よく考えると、これは仕事の喜びではなく、普通に生き物屋の喜びであった。じゃあ、職業上の喜びって? うーん、難しい。

富山の客人宅は、家の近所にカモシカやクマが出るらしい。かなり自慢された。どっちの一度も野外で遭遇したことがないので、とても羨ましい。ちょっと(?)行けば町内にライチョウもいるらしい。それも見たことがない…。冬には海岸にいろいろホネホネなものが打ち上がるらしい。これまた羨ましい。カモシカとクマと合わせて、ホネホネツアーを組まねばなるまい。


2008年8月21日 ハラミの選び方

今日は、ハクビシン、タヌキ、ネコの皮むきを隣でながめた。で、終わってから、内臓を取り出してみた。ハラミって横隔膜のことやんね? 同じくらいの3種ではあるけど、ハラミには違いが明らか。焼き肉ファンのために、重大なことを教えてあげよう。
といっても大したことはない。タヌキやネコに比べて、ハクビシンのハラミの方が分厚い。食うならぜったいこっち。って以前に、皮を剥いているだけでタヌキは臭い。内臓を出してるとネコも似たような臭い。でも、ハクビシンはぜんぜん獣臭くない。臭みがないってだけでも、どれか選ぶなら間違いなくハクビシン。
といっても、将来食糧危機が深刻になって、目の前にタヌキ、ネコ、ハクビシンの死体が落ちていて、どれか一つだけしか拾えなくって、それが晩飯の食材。って感じの限られた状況でしか役に立たない知識だけれど。

ちなみに、飼われていたハクビシンは、脂肪だらけで、皮下脂肪だけでなく、内臓脂肪もすごかった。腎臓は内臓脂肪に埋もれていた。が、ハラミはとくに脂肪まみれでもなかった。横隔膜まで脂肪まみれでは、息がしにくいからかもしれない。


2008年8月20日 ナギちゃん

先日某所にツバメの集団ねぐらを見に行って、振られて帰ってきたのだが、その時の成果の一つが、ナギちゃん。
集合場所で時間待ちしている間、暇を持てあましたM田さんが水田で採ってきた。最初は何を採ってきたのかわからず、水の中に水草が少々。何を採ってきたんや?と思ったら、こっそりナギちゃんが入っていた。

ナギちゃんは黒くて細くて、長さは4cmほど。顔つきは、小さくて黒くてよくわからない。が、なんとなく可愛い気がする。これが大きくなると、あんな顔になってしまうんだろうか?

で、すぐに標本にするのは可哀想な気がしたので、しばらく飼育することにした。採集したままの入れ物で、机の上に置いてある。気が向いたら、金魚の餌を入れてみる。食べているのかはよくわからないけど、糞をしているようだし、もう4日間生きてるので、何とかなってるんだろう。
愛想はないのだけど、寝ている姿は可愛い。なぜかそこで眠らずに、浮かんだ水草に乗っかって寝ている。水の底で、泥にまみれて寝てるイメージなんだけど、そうではないらしい。

さて問題。ナギちゃんの正体は?

【追記】
ヒント:ナギちゃんの名字は、Τ。


2008年8月19日 池の埋立と動物愛護法

いつものため池を自転車で巡った。とあるため池で工事が始まっていた。以前も一部を埋め立てて、駐車場にしたけど、また一部を埋め立てて駐車場を広げるらしい。こうして切り取られていって、そのうちなくなってしまいそう。
工事のために水が減った池にはコサギとアオサギが来ていて、魚を狙っていた。水が減って魚を採りやすくなったに違いない。その横では、石の上でアカミミガメが日向ぼっこ。工事の方を、何してんのかなぁ、とのんびり見ている感じ。もしこの調子で、池が全部埋め立てられてしまったら、お前らの命も風前の灯火なのに呑気なもんである。

で、思ったんだけど、動物愛護法というのがある。哺乳類・鳥類・爬虫類はその対象。もちろんカメも対象。カメを生き埋めにするのは、動物愛護法違反じゃないのかな?

動物愛護法第四十四条:愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

が、愛護動物とは、
・牛、馬、豚、めん羊、やぎ、犬、ねこ、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる
・前号に掲げるものを除くほか、人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するもの

だそうな。ノラネコを殺したらいかんけど、野生化したカメを殺すのはいいらしい。不思議な法律だ。ため池埋立の抑止力にならないかなと思ったのに…。


2008年8月17日 迦樓羅王尊蔵

質問のメールがやってきた。迦樓羅王尊蔵ののCT画像と書いてある。仏像には興味がないし、詳しくないし、見たってどうしようもないし。なんでそんなん送ってくるんや?意味がわからん。と思いつつ添付画像を見てみる。鳥の頭骨の画像がついていた。さらに意味がわからん。意味はわからんけど、何の鳥の頭骨かはある程度わかりそう。

・先が鈎に曲がった嘴
・眼窩の上のひさし
これはどう見てもタカ目の頭骨。

・短めの嘴
・丸くない鼻孔
ということで、コンドル類、ハゲワシ類、ハヤブサ類ではなさそう。

原寸大という表示を信じるなら、全頭長77mm、嘴長30mm、嘴長/全頭長=約39%。
この大きさは、ミサゴ、トビ、オオタカ、ハチクマ、チュウヒ、ノスリ辺りの頭骨サイズ。

後は個別に細かい形を検討。トビじゃないかな…。

<参考文献>『Tracks & Signs of the Birds of Britain & Europe』Helm, London


2008年8月16日 長元坊の巣場所

漢字はこれであってたっけ?

昨年、今年と、京都の某駅で長元坊が繁殖したとは耳にしていた。見に行ってみたいと思っていたけど、繁殖に悪影響を与えてはいけないので、繁殖期には遠慮していた。が、繁殖が終わってからならいいかも、と思いつき、関係者に尋ねたらかまわないとのこと。で、今日、見に行ってみた。

駅下りたら目の前。と聞いていたのだが、下りてもわからない。改札をでて待ち合わせ場所へ。で、あそこって教えてもらった。意味がわからない。確かに下には糞が落ちてる。が、上を見上げても巣がありそうな場所がない。長元坊だから、巣をつくったりはしないのだけれど、卵を産む場所はいるわけで、いったいどこに卵を産むんだー!
というわけで、もう少し近くで見てみることにした。でも、よくわからない。天井があって、太めの梁があって、その梁の上らしいのだが、あれで卵が落ちないんだろうか?
ともかく、まるでドバトが営巣しそうな場所であった。あそこで、昨年は3〜4羽、今年は6羽ほどの雛が巣立ったという。すぐ近くを大量の人がうろうろしてるのに…。

こんな場所で営巣できて、大量の人が近くをウロウロして問題なく、市街地の真ん中で雛への餌を確保できるってことが、明らかになったわけ。これなら、市街地でドバトなみに長元坊が繁殖する日も近いに違いない。


2008年8月15日 とあるヤモリ屋さん

なぜかニホンヤモリの分布について書いてある文献を探す。なぜかと尋ねてはいけない。長い長い歴史のある話なのだ。
とりあえず図鑑にどう書いてあるかな、と思って見比べる。みんな同じような事が書いてある。きっと同じソースから引き写しているか、適当に書いているに違いない。「日本の両生類と爬虫類」と言うとある自費出版的な解説書に、見つけた中では一番ましな分布図が載っていた。本州をまるごと塗りつぶしていないだけでも評価できる。東北にも点々と産地が示されてるし。
で、古い知り合いにヤモリ屋さんがいることを思い出した。そういえば、西日本のあちこちの島でヤモリを採集しまくっていたっけ。大阪でもけっこうヤモリの標本を採っていたっけ。たしか自宅で採集したヤモリも標本として残しているはず。そもそも「日本の両生類と爬虫類」に載ってる分布図は、その人の力作のはず。きっとニホンヤモリの分布に関して、もっとそれらしい報告文を書いているはず。と思ってネットで検索し、思いつく雑誌の目次片っ端から確認したのだが、見つからない。周囲に尋ねてみるも誰もそんな文献に心当たりがないという。唯一見つかったのは、某環境庁の報告書に執筆したもの。

「(ニホン)ヤモリは大陸と共通種で、日本では九州・四国・本州とその周辺の島嶼の沿岸部に分布しており、北方になると分布地が飛び石的になる。人間の居住環境にみられることが多いので、分布域形成に人為的な移動要素が関係しているものと思われる。」

あんなにあちこちに行って標本を採集したのに、タワヤモリの産地についての報告は書いたけど、ニホンヤモリの分布に関する論文は書かなかったらしい。不満だけど、どこか親近感が…。いやいや他山の石にしなくては。


2008年8月14日 ヒヨコ状のカワツルモ

四国に行ってきた後始末がまだ残っている。採集物の整理。というか、自分の担当ではない標本を色々採ってきたので、採集データを付けて担当者に渡す作業。
宇和島の南の海岸縁の池で水草を採ってきた。旅先で植物を採集するなんて以前はあり得なかったが、大阪で水草を見つけると水の中に入っても採集するのが半ば習慣となってきているので、思わず採集してしまった。レジ袋に入れて、口をくくって、あとはデイパックの中に放り込んで、さらに一日炎天下を持ち歩いた末に持って帰ってきた。腐っているかと思ったけど、なんとか大丈夫だったらしい。水草屋さんに渡すと、カワツルモの仲間であると即答された。大阪では出会ったことのない水草なので、少し嬉しい。ヤナギモに似てるけど、ちょっと変といった程度の認識だったが、汽水域にはそんな水草もあるんだー、と少し賢くなった。

新たな水草アイテムに出会うと、『日本水草図鑑』を開いて見ることにしている。いや別に水草屋さんの言うことを信じていないわけではないが、弟子より師匠の方が信用できるかなぁ…、とか。
西日本に分布するカワツルモ類は、カワツルモ一種だけらしい。ただ、水草屋さんに言わせると、カワツルモ類の分類はまだまだこれからで、現在進められている研究の結果、数種に分かれる公算が強いらしい。
今回の採集地点が、図鑑にプロットのないエリアだったので、ちょっと嬉しいな。と思いながら記載文を読んでいると、意味不明の文章に出会う。

「果実の形が著しく斜になりヒヨコ状になるものを(中略)var. japonicaとして区別している。」

ヒヨコ状? 辺りにいた植物屋に尋ねても知らないという。植物学用語ではないらしい。しかし、ヒヨコ状って…。図版を確認してみた。var. japonicaの果実は少し変わった形をしている。これをヒヨコ状と呼んでいるらしい。ぜんぜんヒヨコには見えない。

「果実の形が著しく斜になりハトサブレに似た形になるものを(中略)var. japonicaとして区別している。」

と記述するのが正確である。師匠に伝えておくように。


2008年8月13日 新競技 ジャンボタニシ採り

◆競技方法 スタート地点に集合。スタートと共に、制限時間15分の間にジャンボタニシを採集して、15分以内にスタート地点に戻ってくる。このゲームを数回行って、合計ポイントを競う。
◆得点計算 500円玉以上の大きさのジャンボタニシ1匹を1ポイントとする。全ゲームを通じた最大個体採取者は、別途表彰される。
◆レギュレーション
・採集に使って良いのは、素手と、幅30cm以内の水網のみ。
・移動手段は徒歩のみ。

本日は、奈良県橿原市と京都府久御山町を会場に、史上初のジャンボタニシ採りの競技が行われた。参加者は5名。この歴史に残る競技の様子を記録しておこうと思う。
当日の天候は晴。気温は摂氏35度を超えていた。やや風があるものの、それは熱風。その中、5名の競技者は思い思いの装備で会場に集まった。一番多様であったのは、その足元であろう。一人は胴長、三人は長靴、一人は裸足に草履といういでたちであった。
競技スタートと共に、5名は思い思いの方向に散らばった。水路を狙う者と、水田を狙う者に大きく二つに分かれた。中には、競技中に見つけたプラナリアに没頭するあまり、競技への参加がおろそかになっていたが、その他には大きなトラブルはなく、無事に史上初の競技は終了した。
競技の結果は、以下の通り。

      奈良  京都   合計
 萌蔵   49   80   129
 ピー    9   47    56
 博士   13   44    57
 本太   64   51   115
 茶狸   96   77   173

というわけで、合計ポイントでは茶狸の圧勝であった。最大個体採取者は、奈良では萌蔵、京都では博士。総合では博士が初代チャンピオンの座に輝いた。
しかし、ここで歴史の浅い競技ならではの問題が発生した。なぜか、総合ポイントでの勝者への評価が低く、最大個体採取者にのみ、その栄誉をたたえて、コンビニのアイスが贈られたのである。おかしい。合計ポイントの勝利者にも同等の評価があってしかるべきではないのか! というわけで、勝負に勝って、試合に負けたっていうか。アイスはもらえなかった…。


2008年8月12日 燧灘合宿下見

”かもがわ”って入力して変換すると、鴨川と賀茂川と加茂川が出てくる。鴨川と賀茂川は京都を流れるとっても馴染みのある川。加茂川ってのは、いったいどこにあるのか知らんけど紛らわしいな、と思っていた。その加茂川に行ってきた。
加茂川は、愛媛県最大の河川で、その河口には愛媛県最大の干潟が拡がっている。干潟の広さは、吉野川河口に負けないどころか勝ってるんじゃないかと思うくらい広い。そんな加茂川なのに二級河川なんだそうな。別に大きさで決めてるわけではないからいいんだけど、ちょっと腑に落ちない。

さて、カンカン照りの中、そんな加茂川河口の干潟をウロウロした。あまりに広く、全部は見ていない。河口の右岸よりを中心に、河口から川側を見た感じ。その沖には、さらに1km以上干潟が拡がってるらしい。とにかく海はほとんど見えなかった。夏の大潮でもない日でこれなら、春の大潮にはとても広大な干潟が拡がるんじゃないかと思う。それだけでも、充分干潟合宿ができそうな感じ。
で、確認した生物相はというと、水鳥はシギ・チドリ類が5種とサギ類が3種、そしてカワウだけ。この時期だからまだまだこんなもんか。あるいは干潟の先にはもっといるかも。海岸生物はあまり詳しくないけど、わかる範囲で紹介しよう。

河口には、新加茂川大橋という大きな橋がかかっている。ここより上流側は、ヨシの生えた中州が2列。この周辺にアオアシシギやシロチドリが多かった。ヨシの周囲にはアシハラガニが大量にいて、近づくとワサワサ音を立てて逃げていく。転がっている倒木をひっくり返すとユビアカベンケイガニがけっこういて、ケフサイソガニも混じる。ウモレベンケイガニも1匹見つけた。ヨシ原の潮上帯を探してみると、フトヘナタリやカワザンショウ類はいるけど、オカミミガイは見つからず。水の中にはなんかちょっと変なウミニナ類が多い。イボウミニナ? イシマキガイもいて、少しヤドカリ入りもあった。
新加茂川大橋より海側には、広い干潟が拡がっている。基本的に砂質でたいていの場所は歩ける。右岸側の岸際に泥干潟があり、その先には少し砂浜もある。水の中にはあいかわらずウミニナ類が多いが、今度はホソウミニナとウミニナが加わる。ほかにムシロガイ(orアラムシロガイ?)も目立ち、ヤドカリがかなり多くなる(ユビナガホンヤドカリ?)。水中に目をこらすと小さいエビ類がけっこういて、マメコブシガニもウロウロしている。コメツキガニとチゴガニがあちこちに穴を開けていて、けっこうあちこちにハクセンシオマネキの姿もあった。石や枯れ木の下にイソガニ類が多い。ヒライソガニなのかな?
泥干潟の方に行くと、ヤマトオサガニがたくさんいる。巣穴から離れて、岸についたマガキの周りをウロウロしていて、近づくと慌てて水の中に落ちる。岸際にはヘナタリやフトヘナタリが多数。ヘナタリはなぜかフジツボを背負っているのが多い。岸の岩や泥に埋もれた石の下にはタマキビとマルウズラタマキビ、そしてけっこうツボミガイが引っ付いている。
砂浜の方には生き物の姿は少ない。岸際の枯れ草の下に、ヨコエビ類、エンマムシ類、ハネカクシ類が少々。打ち上がっている二枚貝は、カガミガイ、アサリ、シオフキってところ。
結局のところ、川側の水中、中州、岸際、砂浜を歩き、砂や泥に埋もれている石や枯れ木をひっくり返して歩いたけど、一番広大な干潟の中心部や先は見ていない。穴も掘っていない。干潟の生物相のごく一部しか確認できていないと思う。

帰りは、川沿いを歩いて伊予西条駅に向かった。新加茂川大橋から古川橋を過ぎると川に水がなくなって、白くて広い川原が拡がった。ところどころに水たまりはあるけど、流れはない。
四国に来て、5日目。水がない川が多いのには驚かされる。表面の流れがないだけで、伏流はあるのかもしれないけど、関川、加茂川、重信川。かなり大きな河川すら表面に水が流れていない。むしろ現在愛媛県内で流れている川の方が少ないんじゃないかと思う。面河川のように水があって一応流れていても、一見流れていないんじゃないかというくらい、水量は少なかったりする。後ろに1000m級の山が控えているのに、植林が多いとはいえ林はあるのに、あまり保水力がないんだろうか? これではすぐに渇水になるはず。人にとっても渇水だろうが、水中の生き物にとってもこの渇水をどう乗り切るかは大きな問題になりそうだし、河川の生物多様性に大きな影響を与えていそう。

【追記】
燧灘って書きながら、なんと読むか知らなかった。今日ようやく”ひうちなだ”と読むと知った。難読地名だ。


2008年8月7日 四国の干潟

四国って昔からあまり行ったことがなくて、徳島県に数回(たぶん7回くらい)行ったことがあるのを除いてしまうと、あとは愛媛県に1回行っただけ。香川県と高知県は足を踏み入れたことがない。そもそも初めて四国の地を踏んだのも、そんなに古い話ではない。
で、唯一何度か行ってる徳島県。行ってるのはもっぱら吉野川だったりする。もちろん用事は河口の干潟。大阪からでも、和歌山に電車で出て、フェリーで渡れば、公共交通機関で日帰り可能。今年の4月にはクジラ拾いで2回行った。那賀川にも干潟で出ていて、合宿できそうな感じ。海と言えば干潟、干潟といえば干潟合宿という図式が完成している今日この頃。

明日から人生2回目の愛媛県&人生初の香川県に行くので、地図を確認していた。愛媛県の中部以西の海岸には干潟らしい干潟はないらしい。でも、東の方、東伊予市、西条市、新居浜市といった辺りには、けっこう干潟があるらしい。すでに埋め立てられているのも多そうだが、まだまだ広い河口干潟もあるような。香川県も同様、東の方にはないけど、西の方にはけっこう干潟がある。こちらは前浜干潟のような。つまり燧灘には干潟がある。
今回の目的はもっぱら山なんだけど、帰りにできれば干潟を見に行ってみようと思う。で、よさそうなら合宿に行ったらどうかな。燧灘合宿。宿舎は観音寺とか。


2008年8月6日 恩智川治水緑地

ツバメの集団ねぐらの観察会の前に1時間ほど講演して欲しいと頼まれる。たしか3年前にも同じように頼まれた。ああ、ツバメの集団ねぐらの話ね。どうせ何度か観察会をするし、以前のネタもあるし、1時間くらい簡単簡単。と安請け合いした。依頼のメールをよーく読むとハヤブサの生態の話をしろと書いてある。かなり焦るが、すでに了解してしまったので、後にはひけない。というわけで、泥縄で用意しで話をしにいった。

場所は東大阪市。引き受けた時は思わなかったけど、よく考えると2月に1回、5月には3回も自転車で目の前まで行っている。じゃあ、今回も自転車で行こう! 電車を乗り継いで、駅から歩くより速いし。途中で調査もできる。お車代を出すから、駅からタクシーで来て下さい、ってのを断って、自転車で行きますと宣言。
講演準備をギリギリに終えて、自転車の前かごにコンピュータと資料と調査道具を詰め込んで、出発した時には、少し後悔した。8月の真っ昼間のサイクリングは死ぬほど暑い。暑いせいなのか、途中で調査したからか、今までに通ったことのないルートを選んだからか、行きは調査時間を抜いても1時間半もかかった。
帰りは、なんと55分で帰ってきた。涼しかったからか、暗くてキョロキョロしなかったせいか、迷わないように最短の大きな道を選んだせいか。いやおそらく、帰りはずっとゆるい下りだったせい。とにかく、これなら電車より速い。

東大阪から八尾にかけては、昨日の夕方大雨が降ったらしい。恩智川治水緑地はその機能をいかんなく発揮していた。グランドは水没、池の周りの道も水没。水没したところにアオサギやカルガモが来ていた。さすがは遊水池。こんな光景は初めて見たので、ちょっと嬉しい。
しかし、昨日の夕方の大雨のせいで、ツバメの集団ねぐらができていたヨシ原も水没し、昨日はツバメが集まらなかったらしい。少し水は引いたようだが、今日もツバメは集まらず。ツバメのねぐらの観察会で完全な空振りは初めてだが、これは嬉しくない。
絶対に近くに集まっているはずだと思うが、今夜は見つからず。相談もしていないのに、一斉に集まる場所を変えられるのはどうして? という質問が飛び交っている中、解散した。ほんとどういうシステムで塒地を変更してるんだろう?


2008年8月5日 地震のなんでも一番

今日は、地震について考える機会があった。他の人はともかく、自分が知りたいのは何かなと思ったら、結局、地震トリビアを知りたいらしい。

◆今までで一番大きな地震は? 一番長く動いた地震は?
◆今までで一番古い地震は?
◆今までで一番深い震源は? 一番浅い震源は?
◆今までで一番よく動いた断層は? 一番被害を多く出した断層は? 一番高い断層面は?
◆今までで一番大きな土石流は? 一番大きな斜面崩壊は?
◆今までで一番高い津波は? 一番速かった津波は? 一番内陸まで行った津波は?
もちろん記録のある有史以降で。世界で一番、日本で一番、関西で一番もそれぞれ知りたい。

◆日本で一番地震が多い都道府県は? 一番地震被害が多い都道府県は?
◆今までで一番早く出た緊急地震情報は?
◆この世で一番長持ちする非常食は?
むしろこっちの方が知りたいかも。

◆一番大きなはぎ取り標本は?
これはちょっとある種マニアック。

マスコミが好きそうな一番にしか興味がないのは、結局のところあまり地震自体には興味がないのかもしれない。
ちなみに有史以来一番大きな地震は、チリ地震だそうな。へーへーへー。


2008年8月4日 夏休みの準備

あと4日で夏休み。休み前といえば、楽しみなはずなのだが、それは学生時代か。社会人は夏休みを休むための準備に追われる。
ここ数日で、夏休み前の仕事をかなりかなり処理した。が、まだ残っている。夏休みまでに、あと行事が一つ、講演会が一つ。行事の準備はできたけど、講演会の準備はこれから。原稿が2本。これは間に合いそうにない。とりあえずたたき台を作って、夏休みの間に検討して、夏休み明けに急いで完成という段取りの予定。
夏休みさえなければ、その間に原稿が書けるのにな〜、などと思ったら最後。夏休みをなしにするというプランを考え始めてしまう。これはある意味とても甘い罠。今まで幾度、この罠に引っかかったことか。というわけで、
できるだけ夏休みをなしにするというプランを考えないように、準備にいそしむ。

そうそう、ズボンも買わなくては。穴の開いていないズボンがなくなった。それも妙にせくすぃーに穴が開いてしまうのが困りもの。近所でウロウロする分にはかまわない(?)けど、遠方へのお出かけにはどうかと。
あと、デイパックをどうするかも検討課題。そろそろ底が抜けそう。旅先で抜けたら、嫌やな‥。


2008年8月3日 今日もツバメのねぐら

今月は4回、それぞれ別の場所で、ツバメの集団ねぐらを見に行くことになっている。今日は2回目、2ヶ所目。一応、講師役なんだけど、手配はみんなやってくれるし、資料を作れとも言われてないし、集合場所に集まって、みんなと一緒にツバメをみるだけな感じがする。
が、それではちょっと心が痛むので、少しは解説。昨日の観察会の資料がけっこうあまったから、それを持っていこうと思う。主催団体も開催場所も違うんだけど、配ってもいいかなぁ? ツバメに関して説明することは同じだからいいような気がするんだけど…。

その資料を配ってしまった。使い回しの言い訳をしながら、一通り説明。すでにツバメがけっこう集まってきている時間帯に突入していたので、大急ぎで説明。おかげでいくつか説明し忘れたポイントも。

結局のところ質問は昨日と似ている。
・朝はどうなるの?
・どこから集まるの?
・なんでグルグル回ってるの?
・ツバメの寿命はどのくらい?

朝は見ればわかる!で終わり。どこから集まるかは、わからないので、調べてくれ〜、と押しつける。問題は最後の質問。なんで回るんだろうね。


2008年8月2日 ツバメのねぐら観察会で尋ねられること

毎年夏休みにはツバメの集団ねぐらの観察会をする。少なくとも1回は、中心になって解説をしなくてはならない。毎年同じ話をしてると自分がアホになった気がするが、さほど変える事もできず、同じような話を繰り返す。
同じ話をする利点は、毎年同じ資料を使い回せること。微調整はするものの、基本的に毎年同じ図表で同じ説明。ただ、今年は分布図をヴァージョンアップしてみたり、標識調査の結果の図を盛り込んだり、と少し付け加えた。

毎年同じ話をして、同じような光景をみるわけで、出てくる質問も似ている。当然資料に先回りして説明を入れたり、話ながら付け加えたりする。が、どうやら毎年先回りを忘れて、結局質問されてしまう質問があるらしい。来年に備えて、記録しておこう。

・ツバメは何年くらい生きるの?
平均寿命の大雑把な数字を答えて、あとは分散があること、最初に一年にたくさん死ぬことを付け加えることになる。たしかに毎年尋ねられる。

・なんでグルグル回ってるの?
なんでかな。とにかく先回りを忘れてた。たしかに毎年尋ねられる。

・朝の飛び立ちはどんなの?
自分では一度も見たことがない。見たという人に聞いた話を言ってみる。一度くらいは自分の目で見ておいた方がいいみたい。たしかに毎年尋ねられる。定番のギャグとしては、このまま朝までここにいたらわかりますよ、というのがある。

・こんなに暗いのにツバメは見えてるの?
たいていの鳥は鳥目ではないという説明をする。たしかに毎年尋ねられる。

・ツバメは磁石や地図を持ってないのに、どうやってちゃんと渡れるの?
鳥のナビゲーションについての説明。この質問は、ツバメの集団ねぐらの観察会では初めてな気がする。熱心な女の子からの質問。

その他、このツバメはどこから集まってくるの、どんなツバメが集まるの、何時に、どんな場所に、どの季節にたくさん集まるの、どうして集まるの、どこに渡っていくの、どうやって集まってるツバメを数えるの、すべて先回りをして答えた(あるいは答えられないことを説明した)。年々完成度を増すな〜。


2008年8月1日 腐った鳥の日

今日は腐った鳥の日。腐ってて皮を剥かれへんやん、と日頃は馬鹿にされている腐った鳥の死体が、今日の主役。3つの冷凍庫から呼び出された腐った死体が勢揃い。けっこう壮観な眺めであり、壮絶な臭いであった。

今日で、腐った鳥の死体の処理のスキームが確立されたので、今後は次々と処理されていくに違いない。というのも、今日の勢揃いに間に合わなかった鈍くさい腐った死体や、いちいち勢揃いなんかできるかいとちょっと突っ張った腐った死体の集団がまだ待機しているのだ。

で、今後のために処理スキームを記録しておこう。
1:冷凍庫から腐った死体を探し出してくる。処理は後回しと思って奥にしまい込んであるので、見つけるのが大変。逆に二度ほど故障した冷凍庫の中には、腐ってしまった死体が山ほど入っている。
2:発掘した死体の採集データ、種名、性別・年齢を確認。仮剥製と違って、この段階でしっかり種名を確認しておかないと、標本を見ても同定する自信がない…。
3:標本として登録、すなわち登録番号を振る。そしてその番号と種名を書いた紙をパウチして用意。これは腐らす時にどれがどれかわかるように。パウチの周囲は角張らないように切っておく。
4:可能な範囲で測定、内臓を見ての性別確認。体重にはすでに意味はない。腐りきっていたら、なにも測定できないことも。でも、翼長はけっこう測れる。内臓も腐っていて生殖巣なんてドロドロでわからないけど、一応念のため。
5:翼や尾の羽根が救える場合は、羽根を残す。風切羽や尾羽は並びが重要なので、バラバラにならないように確保する。尾羽は簡単。翼は下面をホネに沿って切り開き、綺麗に先まで皮を剥く。小さいホネを見逃さないように、腐った部分で羽根を汚さないように注意。確保した羽根は、標本番号を付けて、内側にホウ酸を付けて、新聞紙に広げて乾かす。翼は必ず開いた状態にすること。背中や頭の羽根も腐って汚れていなかったら、翼の皮とつなげて確保。
6:残った部分は、ホネを壊さないようにだけ気をつけて、羽根と皮と内臓をできるだけ除去。
7:ホネのサイズにあった目の大きさの洗濯袋に入れる。標本番号と種名を書いたパウチを忘れずに一緒に入れる。
8:洗濯袋をテンバコに並べて、水を入れて、野外に放置。箱に、いつ処理したかの日付を付けておく。
9:1ヶ月ほどしたら、骨洗い。

【追記】
8月28日、出してみた。ちゃんと肉が腐って、おおむね洗えば骨になる。筋がまだ少し残っているのもあるが、おおむね夏場の1ヶ月で骨になるらしい。サギ類の脚は、腐ってはいるものの、皮が邪魔。水に入れる前に、皮に切れ目を入れておいたらいいかもしれない。


2008年7月31日 冷凍庫発掘

あす鳥の死体の大量処理をもくろむ。というわけで、これからその準備。冷凍庫の発掘に向かう。敵は冷凍庫3台。はたして総ざらえできるのか? 乞うご期待。

最初の敵にてこずる。とりあえず大量の腐った鳥の死体を発掘。よくまあため込んだもんだ。冷凍庫がキュウキュウなはずだ。そして、それこそが今回倒す相手。それはいいとして、その他に色々出てきて、それの処理に時間がかかる。
二番目の敵も手強い。腐った鳥の死体は少ないが、処理の必要な物が大量に見つかる。とりあえず、最後の敵に先に取りかかる。すると、超大量の腐った鳥の死体を発見。というか、最後の敵は腐った鳥の死体の塊といってもいいくらい。倒すのは無理なので、手頃な部分だけ各個撃破。
当初の目的は達成したのだが、二番目の敵との闘いの残務整理に追われる。いつ終わるんだろう?

闘いは8時間に及んだが、終わらなかった。手強い敵である。が、おおむねやっつけたので、残りは後日に回して帰るのである。腹が減って眠い。
明日は、というかもう今日になっているが、数時間後には、腐った鳥との新たな闘いが始まる。その前にちょっとお休み。


2008年7月30日 ヒョウタンの使い道

先日、これあげる、といって渡されたのが、小さなヒョウタン。青いのが2つ。3cmくらいのと5cmくらいの。漬け物にでもして食べてと言われた。確かにぬか床を飼っているけど、よく知ってるな〜。
なんとなく裏にヒョウタンを植えたら、たくさん果実を付けてしまった。が、ヒョウタンって瓢箪以外になんの役にも立たないのではなかろうか? だとしたら、あの大量のヒョウタンの果実をいったいどうしたらいいんだ? そうだ、食べたらいいんじゃなかろうか。誰かに試させよう。
どうやら、こんな展開の末に渡されたらしい。ヒョウタンの漬け物とは聞いたことはないけど、ウリの仲間なんだからうまいかもしれない。さっそく持って帰って、ぬか床に漬けた。

漬けて3日。そろそろ浅漬けくらいになってるかな。というわけで、出してみた。小さいのは丸ごと、大きいのは二つに割って漬けてみた。ぬか床から出して洗って、切ってみる。うまそう。
とりあえず味見。

すぐに吐き出した。苦い。死ぬほど苦い。口をゆすいでも苦い。ニガウリなんて目じゃない。ヒョウタンチャンプルーに、ヒョウタンはごく微量で充分な気がする。
ってことで、報告。ヒョウタンは喰えない。少なくともおいらは喰わない。
結論、ヒョウタンは瓢箪以外に役に立たない。来年からは植えないように!


2008年7月29日 夏休み

もうすぐ7月も終わり。7月中に仕上げないといけない原稿があるのだが、なかなかやる気が起きない。やる気を起こさなくても、他に仕事がいくらでもあるから、一層やる気が起きない。でも、そろそろやる気を出さないとまずいな〜、という今日この頃。
8月に入ってからがんばればいいかな、と、チラッと思ってたのだが、8月にそんな暇はないことが明らかになってきた。そんな暇どころか、調査に出る暇をひねり出すのも難しそう。行事と会議でほとんど埋まっている。唯一の夏休みは、石鎚山に行くこと。それ自体は、なかば仕事っぽくなりそうだけど、ついでに愛媛で少し遊んでくる予定。

心おきなく四国を楽しむためにも、原稿を仕上げなくちゃ〜。といいつつ、他の雑用は次々と片づいていく。この原稿の次に控えている原稿に手を付けたくなってきた…。


2008年7月27日 集団ねぐらの季節変化

ツバメの集団ねぐらを見に行った。一応数千羽は飛んでくれた。

このツバメの集団ねぐらは、5〜6月には小規模のが、あちこちに点々と形成される。それが7月後半くらいになると、少数の大規模なものに統合されると聞く。本当かどうかはわからない。きちんとあるエリアでデータをとって調べた例はないのかもしれない。
同じようなパターンは、季節は違うものの、カラスやハクセキレイなどの集団ねぐらでもみられるらしい。こちらはデータも示されている。夏から秋には、小規模の集団ねぐらがあちこちにあるのが、冬になると少数の大規模なねぐらに統合されるとでもいおうか。細かく見れば、冬にも小規模ねぐらは残っているようだが、秋から冬にかけて、集団ねぐらの数が減り、平均サイズは大きくなる。
なんで、こうのような集団ねぐらの規模の季節変化が見られるのだろう? ってことを考えたくなった。身近でムクドリやハクセキレイの集団ねぐらを調べている方がいて、データを見せてもらえるだけに一層気になる。ってことで、少し考えてみた。

その内容はまた今度。


2008年7月26日 本屋の主人のあるべき姿

将来、古本屋をしたいな〜、と学生の頃思ってた。今でもちょっとしてみたい。気に入った本ばっかり並べて(自然関係とSFとマンガって感じかなぁ)、店の奥のレジのところに座って、一日中、本を読んでたりする。客がきても無愛想。でも、なかなかSFに詳しいなって本を選んだりすると、おっ、という顔をして、ちょっと会話をしてみたり。
今日は、講演会に合わせて、本屋の出店に座っていた。講演中は、みんな話を聞いているから、本屋は暇。暇だけど、番をしていないといけない。ってわけで、売り物の本を読んでいた。ある意味、夢のような状況。

タイトルと表紙デザインしかしらなかった本を、準備チェックしていく。とりあえず目次チェック、気が向いたら中身を拾い読み。だいたいそれで、その本がどんな感じかはわかる。思ったよりいい本だなとか、これは売らん方がいいのではとか。
真面目に全部読んでしまったのは、『生物科学 Vol.54 No.4』の「種についての終わりなき論争」。直海俊一郎の論文だけが載っているといっていい異色の号。「便宜的な分類単位としての種と進化の単位としての個体群」というタイトル通り、生物学的種概念をはじめとして色々な種概念、種をどう考えるべきか、進化の単位をどう考えるべきか、なんてテーマについて既存の考えを紹介しつつ、その問題点を論じ、自分の意見をさらっと付け加えてある。面白く読んだのは、「種特有の表現径を一定に保つ要因」の項。遺伝子流動、自然選択、発生拘束の3つの可能性を論じている。種とは何かって問題設定よりも、こっちの方が実りがありそう。そして、発生拘束はまだまだ論じる余地がありそう。

というわけで、本屋の主人って、勉強になっていいな〜。


2008年7月25日 プロジェクトYクモ班

本日正午過ぎ、某博物館の一室で、密かにプロジェクトYクモ班が旗揚げされた。メンバーは、I班長、私、みつきさん。
同定ができるのは班長だけなので、同定はすべて班長にお任せ。私は、ひたすら採集してくる係。みつきさんは、一番の下っ端で、採集の他、分布図作成など発表に必要な準備も任されることになった。

なんでも、淀川には、なんたらミジングモという珍しいクモが確認されているらしい。河川敷の水辺の石の下とかにいるらしい。それはまさにミズギワゴミムシを狙う時に、探している場所です!
というわけで、さっそくここんところ採り貯めたクモを班長にお渡しした。菓子箱3つ分。班長のかばんに入らなかったので、紙袋に入れて持って帰っていただいた。普通に見たら、菓子折をもらって帰ってきたって感じだろう。中はクモ入りのアルコールの入ったフィルムケースがぎっしりなのだが。
働き者の班長さんは、8月中に今日渡したクモをすべて同定して教えてくれるそうな。そのなんたらミジングモ入ってるかなぁ?

そんなわけで、淀川の展示や本では、クモの分布図も出るのでお楽しみに〜。


2008年7月24日 水草マスターへの道

昨日のこと。水草マイスターである河骨愛さんがやってきて、突然水草の話を始めた。どうもコバノヒルムシロとホソバミズヒキモの見分け方の解説らしい。コバノヒルムシロなんか聞いたことないし、見たこともないし、興味ないな〜。そうや、ここ数日採集してきた水草が冷蔵室に入ってるから、それを処理してもらわな。と、話を聞き流しながら、ここまで考えて気が付いた。その水草を処理したので、報告しにきてくれたんや!
そこから真面目に話を聞いた。ホソバミズヒキモと思って採ってきたのが、コバノヒルムシロなる稀少種だったらしい。で、泉南以外では大阪府下で記録がないらしい。うーん、稀少種をGETしたのは嬉しいけど、わかってないから実感がない…。果実で見分けるらしいが、説明されてもいまひとつわからん。
さらに話は続く。トリゲモの仲間も採取してるけど、花がないので種までの同定ができないという。そんな珍しげな水草を採った覚えはない。採集地を教えてもらってようやくわかった。シャジクモ類を採集したつもりだったのが、その中に混じっていたらしい。全部シャジクモのはずだったのに…。

とまあ、そんなわけで、にわか水草屋は、まだまだ修行が足りないことが明らかになってしまった。で、宿題をいただいた。ちみは近頃水田雑草にこっとるそうだが、オモダカとコナギとウリカワしか採ってこん。たまにはアギナシでも持ってきたまえ。とのこと。持ってきたら、美味しいモモ1個くれるらしい。これは採らねばならん。というわけで、見分け方を教えてもらった。アギナシはオモダカとそっくりやけど、葉っぱの先の尖り具合が違うらしい。マイスターは一見してわかると豪語していた。しかし、こちとらはさっぱりわからん。
今日も箕面市北部へお出かけ。田んぼがあったのでアギナシを探してみた。オモダカはたくさんあるような気がする。でもアギナシかどうかはわからん。とりあえず、多めに採ってみた。混じってないかな?


2008年7月23日 研究相談

この前の日曜日、小学生から夏休みの自由研究についての相談を受けた。
一人は、人間の脚の長さが、進化の過程でどのように決まってきたかを調べたいらしい。直立二足歩行なら、脚が長いほどバランスが取りにくいはずなのに、というのが疑問の発端らしい。が、このテーマは難しい。そもそも何から手を付ける? 色んな本に書かれていることを集めてくる? でも、こうした分野は、好き勝手な事を書いている本が少なくないので、下手な本を読んでもなんの研究にもならない。身近な実際の自然を観察してデータをとったり、死体から骨格標本を作製したりと、もっと地に足のついた研究にしよう〜。と説得して、結局、近所の川で鳥を観察することになった。活動時間について調べるか、ねぐらとの関係を調べるか、テーマは確定してないけど、それなりに面白い調査にはなりそう。
もう一人は、すでに鳥の調査データを持っている。データの整理がまだ完全ではないが、3ヶ所で3回ずつ、3つの環境ごとに種ごと個体数データがある。初めての研究としては、調査設定が複雑すぎる…。このままでは整理しきれないと思って、こんな風な表にまとめて、比較してみるように、と具体的に教えてみた。あと、ムクドリの利用環境の日周変化に興味があるようなので、余裕があればそのデータも取ってみることに。どうも整理は放っておいて、次々とデータを取ってしまうタイプのような気がする。身に覚えがあるだけに、なんとか真っ当な道に進んで欲しい…。

で、今日は、大学4回生から卒論についての相談を受けた。指導教官から、とにかく話を聞いてやってくれ、よろしく頼む。てな調子で頼まれている。
大学生だから小学生よりしっかりしてるかと言えば、あに図らんやほとんどレベルは同じ。あるいは、もっと計画ができていないかもって感じだった。
材料だけは決まっていた。一人はアカミミガメ、もう一人はカナヘビ。どちらも個体数推定と食性調査をしたいと言ってる。言ってはいるが、何を明らかにしたくて個体数を推定するのか、食性を調べるのかよくわからない。というか何もないらしい。そもそも、捕獲方法も標識方法も食性調査の方法も何も知らない。それで調査しようとは…。
いっぱい悪口を言ってから、もう少し何をしたいのか考えろと、15分ほど放ってみた。で、15分後。
カナヘビ君は、山手と市街地周辺のカナヘビの食性というよりは、食物への選択性の違いを知りたいらしい。それなら違った環境で採集してきたカナヘビを使って、飼育下で実験してみたら? と示唆してみた。どのような実験を行うかはまるで決まってないけど、方向性は決まったかも。
アカミミガメ君は、面白かった。やっぱり食性調査をしたいらしいのだが、食性を調べてみる以上のものは出てこない。場所間で比較するとか、カメの年齢で比較するとか、いろんな展開はありそうなもんだが、わからないらしい。で、しばらくウダウダとアカミミガメについて話をする。アカミミガメを長年飼ってるらしい。アカミミガメとミドリガメを、よくわからない基準で区別しているのが面白い。で、アカミミガメの背甲の色について、一つの仮説を暖めていた。本当かどうかはわからないが、仮説は仮説。もしかしたらカメの世界ではすでに良く知られているのかも知れないが、そんな事は知らないから、仮説は仮説。その仮説を検証する事にしたら、いいかもということになった。野外調査よりはアカミミガメを飼育している人に聞き取り調査が中心か。でも、仮説検証型になるし、いい加減な食性調査よりはよほど面白そう。指導教官は生態学が専門なのだが、いいのかなぁ?
二人とも、もしかしたら方向性は決まったかもしれないけど、具体的にどのような実験をするのか、どのようなデータを取るべきなのか、どのような聞き取り調査をすべきなのか、たぶんわかっていない。少し手を付けてからもう一度、来てもらった方がいいだろう。
ちなみにアカミミガメ君のキャラはかなり面白く、愉快な会話が展開した。この期に及んで卒論の方針がまるで決まっていないという深刻な事態なのだが、指導教官ではない身としては、どこか他人事。とても楽しかった。


2008年7月22日 山の中のせくすぃーヒメドラー

今日は、初谷川を制覇した。わかる人はわかるだろう。これはけっこう偉業なのだ。源流部の初谷では、川沿いにずっとハイキング道があって、いたって歩きやすい。しかし、下流部の方は基本的に川沿いの道がない。道どころか山下駅からときわ台駅の間は、川の周囲は基本的に山林状態。制覇するには、川の中を歩くしかないのだ。
距離的には、川の中を歩いたのは、4km弱。でも、それに4時間もかかってしまった。今日は8時間歩いたので、半分は川の中にいたことになる。おかげで、猛暑日でも涼しい。涼しいのはいいのだけれど、さまざまな難関が待ち受けている。後進のために記録を残しておこう。

まず、川の中を歩くのだから、濡れる覚悟が必要。大部分は、膝下までの水深(40cm程度)しかない。が、ところどころ太ももの半ばまでの深み(60cm程度)がある。パンツは濡らしたくないので、膝下までの深さのところを選んで歩いていた。それがいけなかったらしい。深みの周囲を迂回しようと、苔が生えた岩に乗ったらすべって、ひっくり返った。首まで水に浸かった。とっさに地図とフォールドノートは救ったが、あとは水の中。慌てて起きあがって、濡れては困る物をチェック。デイパックのポケットは閉じていたので、中の手帳と双眼鏡は無事。双眼鏡をぶら下げてなくてよかったー。行き帰りに読むために、デイパックの中に入れてあった本は、少し濡れたけど、ビニール袋に入れてあったので、基本的に無事。時計は生活防水なので、無事。幸いなことに貧乏人なので、財布の中にお札が入ってなかった。だから財布も無事。でも、パンツまで全身濡れてしまった。お漏らししたようで気持ちが悪い。ちなみに携帯電話は持っていないので、心配ご無用。
最初から濡れるつもりで服装も荷物も準備した方がいいだろう。そして、けっこう川の中の岩がすべる。足元にも注意。できればヘルメットをしていった方が安全。
大部分は、普通に川の中を歩けるが、2ヶ所の堰堤は迂回する必要がある。とくに光風台駅の前の堰堤はやっかいで、迂回したら薮こぎしないと川の中に復帰できない。右岸側を迂回して、川よりかなり高いところを通っているシカ道をしばらく歩いて、光風台駅を過ぎた辺りで、川に戻るのがお勧め。
あと、最後、ときわ台の橋のところの段差も少し苦労する。これは端っこを頑張って登ろう。あと1ヶ所、川の上をイバラが覆っている場所がある。左岸側の端っこに、小さなトンネルを作ったので、そこを突破したまえ。

さて、それじゃあ最後に標題の話をしておこう。川の中を歩きながら、ふんどしを洗ったり、プラナリアを探したりしていたのだな。で、最後の方、たぶんイバラを突破した前後。ふんどしを落としてしまったらしい。気付いたのは初谷に入って、ふんどしを洗おうとした時。水の中でこけた時に落としたんじゃないかと思う。
初代ふんどしの引退の後、2代目のおニューのふんどしは、実は6月に茨木市て落としている。バス停に向けてダッシュしたのがいけなかった。そして、今回は3代目も失ってしまった…。
初谷は、すごくヒメドラーの食指が動く場所で、どうしてもふんどしが洗いたかった。しかし、ふんどしがない! で、気付いた。目の前に白い布があるではないか。というわけで、Tシャツを脱いで、使ってみた。袖の所を押さえて使うとなかなか具合がいい。幅も長さも手頃。そして、ヒメドロムシがけっこうよくとれる。採った場所がいいのか、ふんどしがいいのかはわからない。でも、Tシャツで充分使えるのはわかった。4代目ふんどしは、家で眠っている古いTシャツを使おうと思った。

山の中とは言え、ハイキングコースのすぐ横。沢の中に入って、上半身裸のお兄さんが、ふんどし洗い。とってもせくすぃーな光景だったが、誰も通りがからず、誰も悩殺されなかった。


2008年7月21日 今日の反省 大津川のウミガメ

まあ、考えてもみよう。大津川にウミガメの死体が落ちていたというのだ。それだけでもかなり信じにくい事態。で、その大きさが60cmくらいというのだ。頭と甲羅を入れて60cm? それとも甲羅だけで60cm? どっちにしてもウミガメとしては小さい。大阪湾によくくるのはアカウミガメだが、そもそも産卵サイズのアカウミガメは、甲羅だけでも1mクラス。そんなに小さいわけはない。画像もないし、教えてくれたのはウミガメに詳しそうな人でもない。となると、そもそもそれはウミガメの死体なのか? という話になる。
関係者の意見は、カミツキガメ、ワニガメ、大きなスッポン、アカミミガメとさまざまだった。誰一人ウミガメとは思わなかったらしい。だいたい目撃情報というのは、実物よりも大きめに伝わるのが普通。2mと言われていっても1mそこそこ、なんていうパターンがありがち。じゃあ60cmというカメの死体は、せいぜい50cm前後の見るのが妥当。そんなウミガメが大阪湾に来るわけないし。

と、まるで信じてないような会話をしつつも、われわれは睡眠時間3時間前後という中で、眠い目をこすりつつ大津川に向かった。ウミガメの可能性はゼロではないと考えていたのは間違いない。あるいはカミツキガメであっても拾って来ようと思ったのかもしれない。
事実、出掛ける直前に、3人で賭をした。一人はカミツキガメに、もう一人はワニガメに、残る一人は先に二つを押さえられてギャンブルにでた。アカウミガメ。

午前11時、現場に到着。ウミガメの死体があるという中州を双眼鏡でのぞく。ウミネコがいっぱいいて、カワウやアオサギ、ダイサギ、コサギの姿もある。1羽のアオサギの横にそれらしいものがあるような。いや、そのもう少し右にあるのがそうかも。とにかく双眼鏡ではわからないので、川を渡って行ってみた。
大津川河口はひどい川で、砂利の上を、ヘドロの泥が覆っている状態。歩くとヘドロに足を突っ込むことになる。ところどころヘドロの深みがあって、足をとられる。ぞうりと足の間に、ヘドロと砂利が入り込んで、歩くと痛い。
ちょっと苦労して、ようやく問題の中州に到着。アカウミガメの死体が落ちていた。本当にウミガメだったとは…。ウミガメが本当に落ちているとは思ってなかったので、持ち帰る道具を車に置いたままであった。持ってきたのはビニール袋2枚。その上、60cm級のカメの死体を持って帰る入れ物しか持ってきていない…。普通に産卵サイズのアカウミガメ。背甲長だけでも1m近い。その上、すでにデロデロに腐っていた。
仕方がないので、ビニール袋に入れて、辺りに落ちているロープ状の物をつないでくくり、3人でぶら下げて車まで運び、そのまま持って帰ってきた。

AHさん、信じなくてゴメンね。でも、今度から大きさの推定は、大きめに間違ってくれる方がありがたいよ。


2008年7月20日 ナイトミュージアム

なぜか博物館の展示室で寝ている今夜。暑い。下手に寝袋に入るよりも、寝袋の上に乗るよりも、丸めた寝袋を枕にして床に直接寝転がるのが一番涼しい。
明日は午前2時過ぎに起こされるらしい。もう3時間もない…。でも、時間が早すぎて眠れない。いっそこのまま起きておくか。難しいところ。

【追記】
なんだかんだで、することもなく、展示室の床に転がっていたら、寝ていた。なんか足音がするなと思って目を開けると、午前2時過ぎ。みんな本当に活動を始めていてびっくり。そして午後2時半にはぞろぞろと、出かけていった。こっちは真夜中にすることもなく、起きてお留守番。今度は眠いのに、寝れない…。

【追追記】
午前3時半、やつらが戻ってきたので、再び寝る。寝たと思ったら、やかましい音でたたき起こされる。午前5時15分。たぶん起こされなかったら、昼まで寝てたに違いない。


2008年7月19日 夕方の散歩

行事の下見を兼ねて、夕方に散歩。
午前7時半ってまだ、けっこう明るい。でも、アブラコウモリはけっこう飛びまわっている。クマゼミの幼虫も幹を登るのに忙しそう。だが、ライトを当てると止まってしまう。どう思って止まるんだろう? まだ、羽化を始めているのは見つけられなかった。今年はカラスのねぐらがあまりできていないので、林の近くを歩いても、10羽程度が飛び立っただけ。我々にびっくりする以前に、スタジアムのライトで塒の樹が煌々と照らされている。そっちの方が気になりそうなもの。あまり見るものがないので、40分くらいで池を一周して帰ってきてしまった。タヌキに出会わないかと少し期待したけど、期待はずれ。
明日の本番は、コウモリ、ハス、セミにがんばってもらおうと思う。

帰ってきたら、建物内の非常灯がやけに明るい。すでに冷房は切れているのだが、とても涼しい。大阪市内では夕涼みというのは不可能。日が落ちてもぜんぜん涼しくないことを実感できる。


2008年7月18日 アルマジロ、カワラバト、樹脂包埋

ダーウィン展を見せてもらった。なぜか標本ばかり見てしまった。気になる標本がいくつか。

出だしに、ダーウィンにあまり関係けど、いろんな脊椎動物の全身骨格が展示してある。やたらと肋骨が長くて平べったいパフアダー。なんか変なヘビ?と思ったらミツユビアンヒューマだったり。前歯がまるでないツチブタがいたり。なかなか楽しい。なかでも一押しは、ヒメアルマジロ。ラットくらいの小さなアルマジロ。何が面白いって、あの甲羅のようなのの少なくとも一部には皮骨が入っているらしく、腰辺りの皮骨がどうも寛骨と引っ付いているんだな。つまりなんかお城の方に、開いた扇のような骨が付いている。変わってる〜。

ダーウィンは『種の起源』の中で、人為淘汰を論じてから自然淘汰の話をするわけだが、そこで自らも人為淘汰をしてみるべく(?)、ハトの飼育にはまったのは良く知られているらしい。で、その話に絡めて、原種カワラバトと、5つの飼育品種(バーブ、ファンテール、ジャッケル、ポウター、ジャコビン)が展示されている。ハトの品種にはぜんぜん詳しくないのだが、ジャッケルってその辺りにいるドバトそのまま。そして、原種のカワラバトもドバトそのまま。それも黒ゴマタイプ。原種のカワラバトって、二引タイプなんでは?

展示の一番最後にランの樹脂包埋標本がある。複雑な形の物を樹脂包埋する時は、中に空気が入らないように作るのが難しい。で、何回にもわけて慎重に樹脂を流し込むことが多い。これを下手っぴーがすると、表から見たら、透明できれいでも、横から見るといくつもの筋が入っているのがわかってしまう。しかし、ここで展示されているランの樹脂包埋標本は、横から見ても、筋が一つしか入っておらず、とても綺麗。これはぜひ横から見て欲しい。

とまあ、ダーウィンの生涯も、業績もまるで無視した見方をしてしまった…。


2008年7月16日 備忘録 くろんど園地のカジカガエルの標本をチェックすること

ここに書いておけば忘れないだろう。たぶん。チェックしたら、追記するので、いつまでたっても追記がなければチェックを忘れてるってこと。誰か指摘してね。

今日は、交野市のくろんど園地を行ったり来たりした。話は一つの標本に端を発する。1999年10月23日くろんど園地採集のカジカガエルの標本があるのだ。でも、採集したのは林内で、いったいどこの河川で繁殖しているのかは不明。
これがあるものだから、大和川水系の調査の時は、富雄川にカジカガエルがいるのかぁ?と最後まで思っていたが、見つけられず。今回、淀川水系を調査するにあたっても、一つの謎であった。そもそもこの辺りにカジカガエルが繁殖できそうな河川が見あたらない。先日、天野川沿いを歩いてみたけど、カジカガエルはおらず。残るは、天野川の支流であるところの尺治川しかない。
尺治川は、くろんど園地を北から南に縦断して、南端近くを西に流れていく。これを、遡って、傍示に抜けて、もう一度下ってきた。結果としてくろんど園地を行ったり来たり。

尺治川は、砂だらけの川。レキが混じっている所もあるけど、たいていレキは砂に埋もれている。カジカガエルが産卵する場所なんてないんじゃなかろうか?って感じ。あえて言おう。くろんど園地にカジカガエルが繁殖できるとは思えない。かりにいるとしてもごく少数。それも長期の個体群を維持するのは難しそう。いるとしたら、だれかが放した個体じゃなかろうかとすら思う。
じゃあ、あのカジカガエルはなんだったのだろう? というわけで、要再チェック。ほんまにカジカガエルだったのかから自信がなくなってきた。自分で採集したんだけど…。


2008年7月15日 ガラパゴスの鳥

あの有名なガラパゴス諸島の鳥の仮剥製をさわる機会があった。記念に感想を記しておこうと思う。

まずはガラパゴスコバネウ。はっきりいって、翼の短いカワウ。カワウの風切とか切ってみてん〜、と言われたら信じるかも。大きさも他の特徴も似てると思うな〜。若い個体の古い仮剥製なので、いっそうそう思うのかもしれない。で、翼が短い分、胴体が丸見えで格好悪い。

ガラパゴスバトは、小さいアメリカ大陸物のハトのグループ。こんなんがいるということすら知らんかった‥。

ガラパゴスマネシツグミは、逆に思ったよりも大きな鳥だった。残念ながら1体だけで、島による違いとかはわからない。

そして、いわゆるダーウィンフィンチ。並んでいるのは、ガラパゴスフィンチ、コガラパゴスフィンチ、ハシボソフィンチ、ムシクイフィンチの4体。ムシクイフィンチを筆頭に、確かに嘴の形が随分違う。これを同じグループと見破るとは、鳥の分類屋さんは偉大だな〜。別の科にしたくなるくらい違ってるのに。
とまあ、背景を知ってるから感心して見てるけど、仮剥製のできはかなり悪い。いずれも19世紀に採集された標本なので、古いってこともあるだろうが、むしろ最初の作りがあまり出来がよろしくない。この程度なら自分でも作れそう。


2008年7月14日 水田雑草ブーム到来

大和川水系の水草を採って回っていた時は、種類が少ないな〜。これが淀川水系なら、もっといろんな種類で出て面白いんだろうな〜。と思っていた。大きな間違いであった。淀川水系でも水草の多様性が高いのは、淀川本流とそこから出ている水路、及び本流周辺の水路のような支流だけ。同じ淀川水系といっても、本流から離れた支流にはたいした水草の種類はでてこない。エビモ、ヤナギモ、コカナダモ、オオカナダモ。この4種でほぼコンプリート。つまらない。
河川沿いを歩きながら、エビモとコカナダモばっかでつまらんな〜、と思いながら歩いていて、ふと水田を見ると、けっこう水田雑草が生えている。そろそろ水をおとされている水田が多くなっているが、水気さえあれば、まさに水田雑草の季節が到来したらしい。オモダカ、コナギ、ウリカワ。ほかにもなんかわからんのが生えている。よく見るとシャジクモの中ももある。こっちの方がおもしろそう。
どうせカブトエビやカイエビ、タニシにカエル。いろいろ探すために水田のチェックをするので、ついでに水田雑草も採集することにした。コナギの分布図くらいはできるかもしれない。

一度ミズアオイを見つけてみたいな〜、というひそかな野望もあったりする。


2008年7月13日 集団ねぐらと初期分散とタカの渡り

といった話を聞いた。3題話ではなく、それぞれ別の話。ってゆうか、集団ねぐらの話は2題。聞いて思ったことをいくつか。

広域で多数のハクセキレイの集団ねぐらを一年にわたって観察した結果は、情報量の多さがすごい。調査エリアのハクセキレイの集団ねぐらを網羅できているわけではないだろうが、それでも大部分は抑えているだろうし、一通りのパターンはそろっている感じ。
で、やはり気になるのは、全体として秋から冬にかけて、小規模の多数のねぐらから、大規模の少数のねぐらにシフトしていくのはいいけれど、どのねぐらがどこに合流していくのかを何とか示せないものかと思う。とりあえず、位置情報を交えて季節変化を追ってみるのが先決かもしれない。

一方、同様の手法の調査だが、2年にわたって狭いエリアながらも、その中のムクドリの集団ねぐらの動態をすべて追ったといっていい調査結果もすごいと思う。
こちらの場合は、月2回程度の低頻度の調査で良いから、調査エリア近傍の他の集団ねぐら、とくに大きい奴の動態を合わせて知りたいところ。それによって、調査エリアで起きていることをもっとうまく説明できるんじゃないだろうか? とりあえず気になるのは、12月頃に毎年生じる就塒個体数の激減のタイミングと、周辺での果実の食べつくしのタイミングが一致しているかどうか。どうも一致していない気がするんだけど、ムクドリの場合、果実の消費と関係ないということ自体面白いと思う。

お次は、琵琶湖のカワウと、昆陽池のカワウでは、幼鳥の初期分散に大きな違いがあるという話。気付かぬ間に発表者に混ぜられていた。
琵琶湖のカワウの初期分散が異様に大きいのは、発表者も聞いてた人もみんな、銃で撃ちまくっているからだろうと思っているのだが、それを立証するのは難しそう。

最後は、滋賀県から京都府にかけての秋のタカの渡りの話。一ヶ所でがんばって観察した結果。データ量もあるし、分析もがんばってしてるし、卒論としては充分過ぎる内容といっていいだろう。でも、このままの延長で修論は厳しい。どうやらこの感覚は、他の研究者とも一致しているらしい。
というわけで、何か一ひねり面白い話にするアイデアを。


2008年7月12日 没調査企画 ムクドリの巣立ちビナへの給餌

机上の空論の調査計画を、実際にフィールドに出て試してみて、いかにうまくいかないかを確認するというミニ実習。べつに丸ごと没ではないのだけれど、このままではうまくデータが取れない。どんなんかと言うと、

ムクドリのような鳥は巣だった後もけっこう長い間、巣立ちビナに給餌を行う。この時期、巣立ちビナ連れのムクドリを見ることは多い。最初は給餌を受けるだけだった巣立ちビナもやがて、自分で採食するようになって独り立ちしていく。そのプロセスを追えないかなと考えた。ただし、一日で。本当は巣立ちビナに標識して、毎日観察を続ければいいのだけれど、個体識別は敷居が高い。毎日調査するのも面倒。で、いくつものムクドリの巣立ちビナをある程度まとまった時間(たとえば30分以上)連続観察する。で、
 ・親に餌をねだった回数
 ・その内、給餌を受けた回数
 ・自分で食物を見つけて突いた回数
 ・その内、食物を食べた回数
の4つの回数を数えていく。あとは集計。巣立ちビナの成長に伴って、
 1:親からの給餌回数が段々減って、自分で採食する回数が増える。
 2:餌をねだっても、親から給餌されないことが段々多くなる。
 3:自分で食物を見つけてちゃんと食べるのが段々上手になる。
こうした傾向があるはずだとすると、観察した巣立ちビナの中にいろんな成長段階のが含まれていれば、
 ・給餌回数 − 自力での採食回数
 ・給餌を拒否される割合 − 自力での採食成功率
などを縦軸横軸にとってプロットすれば、おおむね右下がりの傾向が出るはず。そこに見られるパターンからさらに何か議論できないだろうか?

この机上の空論には、いくつか決めておかないといけない判断基準がある。どこからどこまでが1回の餌ねだり? 自分で食物を見つけて突いた回数をどう数える?
実は前者の方の判断の方が難しいかなと思っていた。実際には後者の方が難しかった。ムクドリは、食物を見つけてそこを突く前に、嘴を落ち葉の下などに差し込んで口を開いて、落ち葉の下を確認するという行動を繰り返す。このおかげで、食物を見つけて突いたのか、食べたのか、ただ探してるだけなのか、あんまりわからないのだ。もっと時間をかけて、ムクドリの行動に見慣れれば判断できるようになるのかもしれない。でも、今日の午前中だけではわからなかった。

ムクドリの巣立ちビナはあんなにたくさんいて、簡単に観察できるのに、うまくいかないな〜。


2008年7月11日 本をもらった 生薬単

骨単、肉単、臓単、脳単は知ってるけど、生薬単は知らんといったら、送ってきて下さった。
帯には、「語源から覚える植物学・生薬学名単語集」「生薬トリビア満載!!」「未来の「生物学者・薬剤師」必読!!」といった文字が躍る。

基本的に見開き2ページで1種が取り扱われている。左ページは、左上に生物学的な学名・和名・英名が並び、その下に生物の画像と軽い説明。その下に生薬としての和名・学名・英名、その下に生薬としての解説。性状、主要成分、確認試験、薬効、用途が並び、薬効のある物質の化学式と分子の立体像まで付いている。ここまでは普通。おもしろいのは右ページ。上半分が学名の語源の説明、下半分が蘊蓄。ほぼすべてに蘊蓄がついている。よくまあこれだけ蘊蓄を思いついたもんだ。蘊蓄だけを読むだけでも面白いかも知れない。ちなみにノイバラのところには、「赤い実と被食散布」と題して、キレンジャクの写真が載っている。

大部分は、種子植物で占められていて、配列は学名順になっている。植物の学名に強い人はお目当てのページがすぐに開けるだろうが、我々一般人は索引を利用するしかない。
植物の生薬の後に少しだけ、その他の生薬も載っている。分泌物、藻類、真菌、動物、鉱物。動物で出ているのは、牛黄、熊胆、蟾酥、蜂蜜、牡蛎。なんか普通すぎて面白くない。動物生薬単を出すべきである。


2008年7月10日 奈良盆地のあらゆる道をすべて自転車で走る

いやいや先代のプロジェクトYの時の話ではない。今から31年ほど前の話。やったのは、現在はY研究所の所長をしているおじさんとその院生(Fさんはまだ入ってないらしい)。今ならすべて院生にさせそうだが、当時は、あのモズの研究を始める直前。もしかしたら、けっこう自分で調査したのかもしれない。

中でも非繁殖期の調査はすごいことが書いてある。1976年11月21日-1977年1月13日の間、著者(Yさんを入れて3人)のうちの一人が、日中に、「毎日奈良盆地内の自転車が通れるすべての道を自転車に乗って一巡した」。ほんまか? 標高100m以下のエリアだけらしいが、320平方kmもの広さがある。北は奈良市から、南は御所市・高取町まで。自転車が通れる道は死ぬほどあるぞ〜。
まあ、当時の大阪市大動物社会のノリなので、ほんとにすごい労力をかけたのかもしれない。その割には、そんなにすごい結果ではないのが気の毒なところ。

目的はコサギ(及びアマサギ)の日中の分布と、夜の塒地の位置関係を関連づけたかったらしい。長野でやったカラスの塒調査の流れかもしれない。当時、この辺りのグループではまっていたホオジロ類の採食場所と休息場所の利用の仕方や、それに基づく生息適地の評価の研究のコサギなのかもしれない。
あと、奈良盆地のすべてのコサギの個体数を評価したいという欲望もあったらしい。

今見て興味深いのは、むしろ約30年前のコサギのコロニーや塒の位置。
【繁殖コロニー】
・奈良市尼辻町:垂仁天皇陵
・奈良市宝来:奈良国際ゴルフ場近く
【集団ねぐら】
・奈良市佐紀町:磐之媛命陵
・奈良市大和田町:寺
・田原本町平野:ため池の島
・橿原市中曽司町:曽我川沿い
・大和高田市松塚:池

「早朝および夕方のサギの飛行方向をたどることによって盆地内のすべての塒を発見した」とあるが、塒探し自体にどの程度の労力をかけたかは記述されていない。調査できる時間が限られるので、あらゆる道から見えるすべてのコサギの塒を追えているとは思えない。きっと漏れもあることだろう。
と言う具合に、今と比較するには注意が必要だが、この結果はけっこう興味深い。当時から平城宮跡の北辺りに塒があったんだな、とか。当時はあやめ池や橿原神宮の繁殖コロニーはなかったんだなとか。
ちなみに、2003-2006年に調査した時は、奈良盆地でコサギの混じった繁殖コロニー4ヶ所を確認している(集団ねぐらだけの場所は特に調べなかった)。少なくとも繁殖地は増えているらしい。

それにしても「自転車が通れるすべての道を」とか「盆地内のすべての塒を」とか強気な論文であった。当時のこの人たちの心意気ってことだろう。
なにはともあれ、自分が調査したエリアの過去の情報に出会えるのは楽しい。

●引用文献:鳥29(2/3): 69-85 (1980年).


2008年7月9日 悲しいとき 封筒を印刷する時編

悲しいとき
やったー、原稿ができた! さあ封筒に印刷だ! で、おもむろに印刷機を動かそうとしたら、何度やってもエラーメッセージが出て、印刷できない時。

悲しいとき
それが、午前1時頃で、朝までに印刷しなくちゃいけないのに、サービスセンターに電話すらできない時。

悲しいとき
仕方がないからコピーしようと思って試したら、封筒がコピー機につまって、封筒は無駄になるし、コピー機まで不調になる時。

悲しいとき
朝一番に、サービスセンターに電話して、大急ぎで修理に来てもらったら、単に給紙台が引っかかってただけだった時。

悲しい一日であった。給紙台が引っかかっていたのは、故障でもなんでもなかった。ただ、一応給紙台周辺をチェックしてもらった結果、やはり別の部分が壊れていて、どっちみちうまく給紙はできなかったようだが…。

さて、修理の人にいろいろ尋ねて、封筒に印刷する時のコツを教えてもらったので、記録しておこう。
・東京のサービスセンターに電話して封筒にうまく印刷できないと苦情を言ったら、封筒に印刷するなと言われるだけ。でも、最寄りのサービスセンターならもう少しまともな返事が返ってくる。
・給紙台の横に厚紙というモードがあるが、あれはよほどの厚紙の時用で、封筒印刷の時に使うと、うまくいかないだけ。ちなみによほどの厚紙を印刷しようとすると、別の場所でトラブルが起きることが多いので、厚紙モードはほとんど意味がないらしい。
・機種によって違うのだが、封筒を一度にたくさん給紙台にセットしたら、うまくいかない原因になる(現在の機種の場合、経験的には15枚以下ならうまくいく)。
・封筒のような厚めの紙が給紙台でつまったときに引っ張り出すと、給紙のところの爪がひっかかって歪む事がある。歪むと以降はうまく給紙できない。その場合は、給紙台のところのユニットを取り出して、元の形に戻せばよい。
・封筒印刷の時は、印刷速度を遅くした方がうまく行きやすい。

わかったかな、Tくん。


2008年7月8日 骨単から生薬単、次は

今日は某出版社との打合せ。本の出版に協力することになった。宣伝もしてくれるようなので、普及と同時に広報の一環でもある。

『骨単』は、すごく売れたらしい。医学系の大学生から専門学校生のみならず、解剖関連授業がある大学生たちが我も我もと買ったらしい。そのあとの『肉単』、『脳単』、『臓単』もスマッシュヒット。
そして、少し趣を変えた『生薬単』。3500円というお高い本ながら、すでに5000冊以上を売り切り。発売後半年ちょっとなのにすでに二刷だとか。こちらは薬学部系と植物ファンに売れてるらしい。『標本作り』が売れた売れたと思ったけど、生薬単に負けているとは、ちょっとショック。

で、今度の『…単』(まだ企画段階なので具体的には内緒)。ちょっとターゲットが不明確。学生が買わないし。今までのようなヒットは難しい気がする。その意気や良しって感じなのだが。
で、思った企画、『羽根単』(要は羽根図鑑。適切な値段設定で、使える図鑑であれば、バードウォッチャーがけっこう買うはず)、『魚単』(一番身近な骨といえば、魚の骨。魚の骨の蘊蓄満載で、骨の部位や種の同定ができるなら売れないかな? 釣りをする人たちに売れるならいけるかも…)、『牛単』(牛タンと読む。それだけ)、『哺乳単』(家畜と日本産の哺乳類で。たぶん獣医系と一部の考古系の学生には売れる)、『巣単』、『卵単』。
『…単』とはあるけど、専門用語を覚える図解付き単語集めいた『骨単』シリーズとは根本的に企画がずれている。本来の流れからすれば『学名単』なんてのの方が合ってるのかもしれない。だれが買うか知らんけど。

来年の夏に骨の特別展を企画中。そこへの協賛をしないか打診してみた。骨サミットにブース出展くらいはしてくれそう。


2008年7月7日 調査帰りのブルース

調査帰りのブルース聞いてくれ。

一日、川沿いを歩き回って、Tシャツは汗まみれ。貝とか水草を採集しまくり、ズボンもクツも靴下もビショビショ。クツの中には砂がいっぱい入っている状態で、最寄り駅に帰り着いた時の話なんやけど、

そのまま、職場へ直行して、採集物の処理をして、まず一安心するのか。
それとも、いったん家に帰って、シャワー浴びて、着替えて、1時間ほどお昼寝とかして休んでから、採集物の処理をしにいくのかは、

自由だ。調査帰りイズフリーダム。

でも、いったん家に帰ったら、爆睡してしまって、気が付いたら真夜中、あるいはすでに朝になっていて、ホウネンエビとかが解けてしまっていても、知らんで。

というのが、怖くて、職場に直行した。足が濡れてて気持ち悪い。Tシャツが臭い。眠い。


2008年7月6日 ペッタンコ哺乳類の標本?

昨日、山道を歩いていたら、ネズミのペッタンコに出会った。アカネズミだな、たぶん。と、通りすぎようとしたら、恐ろしい一言があった。

これ拾わへんの?
でも、ペッタンコやし。
ホネはあかんけど、皮用にはちょうどええやん。

なるほど、と思ってしまった。その時点ですでに負けていたのだろう。確かにペッタンコだが、新鮮で臭ってもいない。ムネアカオオアリしか来てない。ホネはダメでも皮はなんとかなるかも。
で、持って帰って、処理してみた。処理時間約5分。ホネに未練はないので、はさみ片手に簡単に処理できた。穴のあいていた横腹から、全体を裏返して、皮と骨の残骸を取り除くだけ。で、水洗いして、あとは紙に貼り付けてみた。
頭は皮もグチャグチャなのが辛いが、尾長、後足長、耳長は測れる。これは標本として残す価値があるのか? 少なくとも同定可能かも、生息情報の証拠にはなるかも。植物担当は、ヒメモノアラガイに切り刻まれたウリカワを、証拠になるからと標本にしていた。偉いな〜。哺乳類担当もそうするべきか? けっこう悩ましい物ができあがってしまった。頭の皮が壊れてなければな〜。

そういえば、今日も川沿いを歩いていたら、ハシブトガラスの死体が落ちていた。ルリエンマムシなんかがたくさん来ていて、すでに蛆がウジウジしていた。これはスルー。と、思ったが、なぜか拾ってしまった。その後、一日炎天下を歩き、死体はとても臭っていた。さりげなく電車に乗って帰ってきた。今は机の上に。外に放置して、ホネにでもしよう。
ペッタンコで腐っていたら、さすがにスルーだったのだが…。


2008年7月5日 夜の岩湧寺

すごく久しぶりに夜の岩湧寺。もちろんムササビを見るため。ついでに夜の鳥の声をとも思ったが、まるで鳴かず。ただ、アオバズクとおぼしきフクロウ類が飛びまわっていた。


2008年7月4日 大阪の公園で繁殖する鳥

大阪府下の公園28ヶ所(10ha以上、山の中とか河川公園を除く、大阪市内を除く)で、どんな鳥が繁殖しているのか、みんなで手分けして調査した。5〜6月に調査したのだが、今日になってようやく集計を始めた。
同じ調査は5年前と10年前にも実施している。以前の調査と何か違ってきているかが興味のあるところ。調査前に注目していたのは、キビタキとヤマガラの動向。さて、結果は?

集計だけで疲れたので、結果はまた今度。


2008年7月3日 トラキメラ

先週の土曜、植物のお話を聞いて、デイゴの花の蜜を飲んでた日。デイゴ以外の植物の話はろくに聞かずに、鳥の解説もさぼって、例のトラキメラを探してみた。言われた場所に言われた通りにいた。
刺激を与えると、ピョコピョコお尻を動かす謎の生き物。てっきり幼虫だと思ったら、それはサナギであると、一緒にいた子どもに教えられた。サナギであれば、置いておいたら成虫になるの? 誰に聞いてもどうかなぁという答え。
せっかくなので、瓶に入れてコンピュータの横に置いておいた。で、例によって忘れてた。今日、ふとコンピュータのディスプレイの横にガラス瓶があることに気付いた。なんやこれ? 中を見ると茶色い物が入っている。そうそう、トラキメラ入れたんやった。ぜんぜん変わらんな。と思いつつ、よーく見ると、ちゃんと成虫になっていた。成虫もサナギとあまり変わらない色と大きさで、あまり動かない。わざわざ成虫になった意味があまりなさそう。瓶は蓋をしていなかったのだが、飛んで逃げる様子もなし。かなり脳天気な虫らしい。

あまりパッとしない虫だけど、最近確認された外来のハムシらしい。それらしい場所を見つけたら、また探してみよう。
それにしてもさっさと和名を付けて欲しいところ。トラキメラって言い方も楽しいけど、虫には思えない…。何度聞いても、トラキトラと思ってしまうし。


2008年7月2日 ヒシを食べつくす動物

ヒシを食べる動物といえば、ジュンサイハムシやバン。最近ならヌートリアも? なんてところだと思っていた。

今日はため池めぐり。とあるため池、例年ならヒシで埋まる予定のため池なんだけど。遠目にもちょっと変。近づいてみると、ヒシがほぼ全面を覆ってはいるものの、水面に開いた葉っぱが葉軸だけになっている(株の中央部の葉っぱはとくに問題なし)。なんじゃろこれは。
と思ったら、なんやら池の全面から、パチパチ、プチプチと音がする。うるさいほどではないものの、池の端で立ち止まると気になるくらいの大きさの音。なんじゃろこれは。
よく見ると、雨も降っていないのに、ため池のあちこちで小さな波紋ができている。ポツポツと小雨が降っているかのよう。なんじゃろこれは。

波紋だけは、見たら分かるんじゃないかと、双眼鏡で波紋のところを見てみた。1〜2cmの小さな魚が、どうやらヒシの葉っぱを食べているらしい。そしてヒシの葉っぱはなくなり、プチプチという音は魚のお食事の音。波紋もその時にできている。
魚はブルーギルではないかと思う。ちょうどブルーギルの稚魚が大量に出現する時期なんだろうか? でも、昨年までこんなことはなかった気がする。気がするけど、気付いてないだけかもしれない。ブルーギルが増えたのかな? ブルーギルは水生植物相にかなり大きな影響を与えるんじゃないかと思った。

他の池では、アオミドロのような緑藻が水面に浮かび、そこからもプチプチという音。こんなんも食べるのかな?


2008年7月1日 雑誌の校正

なんかわけのわからない因果のおかげで、とある雑誌の校正をすることになった。査読ではない。編集でもない。校正だけ。もともと他人のあげあしをとるのは好きなので、時間さえ許せば大好きな作業と言える。
むかし、大学院生だったころ。我々の研究室には、談話室という茶飲み部屋があり、投稿論文の原稿ができたら、そこに置いて他の人の意見を求めるという習慣があった。今から考えれば、先輩の論文を見て、論文の書き方を覚える勉強の一貫だったのだろう。しかし、そこは時間だけはある大学院生のこと。置いてある原稿を片っ端からながめて、端から上げ足をとりまくっていた。論文の中身について議論をふっかける、なら勉強にもなるのだろうが、誤字脱字やスタイルのミスなどのあら探しに熱中していたように思う。ある種の訓練にはなったように思うが、賢くはならなかった…。

昨日と今日出掛けたので、行き帰りの電車の中で、一通りチェック。帰ってきて疑問点を確認してできあがり。初校なので、面白いようにミスがある。楽しいな〜。学名や研究者名などマニアックな部分のミス(もう一人の校正担当は気付くまい!)も見つけたので、ちょっと満足感が高い。
論文投稿者の一人は、大学院生時代に、原稿の上げ足とりをしまくった相手、Uさんだった。ちょっと懐かしい。あの頃に比べると、誤字脱字もスタイル上のミスも、とても少なくなっていた。成長しているらしい。ちょっと不満。


和田の鳥小屋のTOPに戻る