(2005年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、2006年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、
2007年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、2008年1-3月、4-6月、7-9月)
3回目の大晦日恒例、この一年に買った本を振り返ってみよう。
以下の集計は、国内で本を現金で購入した場合に限る。海外の本を買ってクレジット決裁した場合は含まない。学会や研究会の会費を払って学会誌や会報を入手するのも含めない。
2008年に買った本は、106冊。購入金額は132534円+税。2006年が145冊で188,207円+税、2007年が144冊で197,299円+税なので、30%程度少ない。なんせ9月には1冊も本を買わなかったくらい。
購入した本をタイプ分けしてみると、
・自然史関連本:37冊、72,764円+税 (2006年:42冊83,087円+税、2007年:56冊、96,431円+税)
・SF関連:52冊、60,470円+税 (2006年:60冊74,240円+税、2007年:61冊78,780円+税)
・ライトノベル:7冊、6,494円+税 (2006年:14冊9,282円+税、2007年:12冊8,740円+税 )
・その他小説:3冊、4,700円+税 (2006年:6冊8,743円+税、2007年:7冊8,253円+税)
・マンガ:3冊、1,554円+税 (2006年:23冊12,855円+税、2007年:8冊5,095円+税)
全体に購入冊数、購入金額ともに減っているが、SFだけはあまり減っていない。新刊は自動的に買う習慣が付いているからだと思う。マンガはほんとに買わなくなってしまった…。
例によって今年も読んだ本の数を数えてみた。自然史関連本29冊、SF関連31冊、ライトノベル6冊、その他小説0冊、マンガ3冊。合計69冊。今年買った本を読んだとは限らないのだが、読破率(一年に読んだ本/買った本の割合、これはむしろ回転率?)は、65%。2006年の84冊58%、2007年の101冊70%と比べると、読んだ冊数は減ったが、読破率はさほどわるくない。
総括としては、今年は未読の山を37冊増やしたことになる。昨年よりは増加速度は減ったが、増えたのは違いない。減る日は来るんだろうか?
で、今年発見したのだが、原稿を書くのと、本を読むのは両立しない。原稿を書いている時は、ディスプレイや原稿を前にした時でなくても、いろんな場面でそのことを考えている事になるのだが、本を読んでいるとそっちに気を取られる。電車の中は絶好の原稿の校正・アイデア整理の場なのだが、同時に絶好の読書の場でもある。2009年の第一四半期はひたすら原稿を書かないといけない。となると2009年もあまり本は読めないかもしれない。
数日前までクスノキでたくさんのヒヨドリが騒いでいたと思ったら、昨日辺りからクスノキ周辺がすっかり静かになった。
今日、果実の残り具合をチェックしてみた。予想通りクスノキの果実はおおむね食べつくされていた。先月中にほぼなくなったナンキンハゼ、12月前半になぜかなくなったサンシュユ(例年は最後の方まで残るのに…)、モチノキの果実も今日見るとなくなっていた。残るは、センダン、トウネズミモチ、クロガネモチの御三家だが、センダンの中には上の方の果実がすでになくなっているのもあるし、クロガネモチの果実もおおむね半減している。遅くとも1月後半にはすべてなくなりそう。
というわけで、この冬は予想通り、早めに果実がなくなる年らしい。クマは里に下りるし、ヒヨドリは畑の野菜を食害する。農業関係の方は、ご注意を。
さて、クスノキを見限ったヒヨドリの行く先だが。昨日も今日もカラタネオガタマの木に20羽以上のヒヨドリが群がっていた。樹高4m程度の小さな木が1本あるだけなのだが、木に近づくと茂みの中から次々と飛び出してくる。この木にヒヨドリが食べるような果実はつかないし、何をしてるんだろう? と近づいて、下を見てみると、たくさんの芽が落ちている。どうも花芽を食べまくっているらしい。まだ果実がなくなったわけではないのに、もう代用食に移ったのか。あるいは単に好物?
朝一番は、鳥が一番よく捕れる。それだけに朝一番の網場の見回りは、ちょっとドキドキする。珍しいのがかかっているかも。でもあまりに多くかかり過ぎると処理が大変。かといって少なすぎると寂しい。ヒヨドリが5羽くらいとなんか面白いのがかかってないかな。ある意味その通りだったのだが…。
網場に近づくと、ヒヨドリが数羽かかっている。ヒヨドリがメインの調査なのでこれでOK。かといって処理に困るほど多くもなさそう。よしよし。でも、ヒヨドリだけか〜。と思って網場の一番奥を見ると、なんか白っぽくて、少し大きいのがかかっている。げー。タカやん。オオタカやったら捕獲許可を持ってない。それに網からはずすのが大変。タカは嘴では攻撃してこないのだが、足で握られるととても痛い。手袋とか用意してないのに…。ドキドキしながら近づく。幸いハイタカだった。さらに幸い網にかかってすぐらしく、ぜんぜん絡んでない。その上に幸いな事にとても大人しい個体で、ぜんぜんつかんでこない。よかった。というわけで、ヒヨドリ並のスピードで処理を完了。
朝一番が終わると気が抜ける。あとはパラパラとヒヨドリがかかる程度。というのが普通のパターン。2回目の網場の見回り。また網の一番奥にヒヨドリと違うものがかかっている。今度は少し小さくて茶色い。近づいて、ため息。モズだった。だから手袋とか用意してないのに…。モズは、足でもにぎるけど、一番怖いのは嘴での攻撃。袋をかぶせたりしながら慎重に網からはずしたが、やはり指をかまれた。とても痛い。計測中にもかまれた。だから、とっても痛い。
いつもと違うのが捕れるのは嬉しいけど、タカ類とモズだけは遠慮したい。なのにその両方が捕れるとは。そして、妙に盛り上がったのに、今日に限ってギャラリーがいない。ヒヨドリすらろくに捕れなかった昨年はたくさんのギャラリーがいたのにな〜。
FMを聞きながら標識調査。そしてたまっているデスクワークを片付ける。片づけが進むかどうかは、鳥がどのくらい捕れるかにかかっている。今年は、どうやら比較的多く捕れる年のようである。必然的に、デスクワークは片づかない。
今日はメールボックスの整理。たまっている電子メールの処理、および色んな物が死ぬほど詰め込まれているリアルメールボックスの片付け。必然的に、雑誌類の整理(リアルメールボックスのかなりを占めているのは、購読している雑誌類だったりする。国内外の学会誌も多い)。そしてその流れで、明日は郵便局に行ってたまっている支払い(主に学会費)を済ませようと思う。
自分的にはすごい頑張って片付けたと思うのだけど、ようやく他の人のレベルに追いついただけなので、誰も誉めてくれない。これがちょっと不満。
片付け関係の仕事が片づいていく中で、原稿関係&データ整理系の仕事だけが片づかない…。
今日は、大和川河口に行った。毎月水鳥をカウントに行ってる。先月なんやら重機を入れて工事をしてると思ったが、今日行くと中州がぜんぶなくなっていた。
ここ数年放っておいてくれたので、1m以上の高さになる中州があり、サギ類やカモ類が休憩したり、タカが羽を休めたり。周囲の浅瀬ではカモメ類が集まっていた。
中州がなくなると、そうした鳥達が一気にいなくなった。長四角のプールのようになった大和川大橋と阪堺大橋の間には、まばらにヒドリガモが泳ぎ、カモメが一ヶ所に集まってはいたが、数は全然少ない。中州の除去による生物多様性の減少は明らか。
中州を除去したといっても、水面上の部分を取り去っただけで、どっちかといえば、全体にものすごくなっている。浅い浅瀬で活動する鳥達にとっては、むしろ活動の場は拡がったように見える。が、身を隠してくれる中州の存在があってこそ安心して活動できるのだろう。サギ類はさっぱりいなくなっていた。メリハリのない一様な環境にされたのも問題なのかもしれない。
もともと大和川河口の生物多様性は低い。ヨシ原などの植生が貧弱なのが理由の一つではないかと思う。数年ごとに中州を取り去って、なんにもない流路を造り出すような管理をしているようでは、大和川河口の生物多様性の回復は望むべくもないのかも知れない。25年くらい前には、渡りの季節には多くのシギ・チドリ類が見られたものだったのだけど…。
コーヒーを飲んだ。ジャコウネコを使って収穫したコーヒーとでもいうんだろうか。クリスマスパーティに、一人が豆を持ってきた。家では(味ではなく採取方法が)不評で飲んでもらえず、大喜びで飲みそうな奴らが集まっている場所に持ってきたらしい。
附録の解説文によると、コピ・ルアックとはインドネシアのコーヒーらしい。豆の種類ではなく、採取方法がポイント。ジャコウネコがコーヒーの果実を食べて、その糞を採集してきて、その中から取り出したコーヒー豆なんだそうな。ジャコウネコのウンコから採取したと言われれば、たしかに飲むのをためらう人もいるかもしれない。でも、このコピ・ルアックは、100g数千円で取引される高級コーヒーだそうな。解説に曰く
「昔から、コーヒー好きなら、死ぬまでに一度は飲みたい逸品と言われてきた、世にも珍しい珍品中の珍品です」
ここまで書かれると何が何でも飲みたくなる。美味しい理由は、ジャコウネコが完熟の果実を選んで食べるからとか、ジャコウネコの香りが付くからとか、体内の酵素が作用して熟成が進むからとか言われているらしい。
さて、このコピ・ルアック以外にも、お友達のコーヒー2種類ももらった。
・アラミドコーヒー:これはフィリピンで、同じくジャコウネコ(インドネシアとは別種らしい)の糞から採取したコーヒー豆。
・ジャクーバードコーヒー:こちらはブラジル産。キジ目ホウカンチョウ科のジャクーバードの糞から採取したコーヒー豆。ジャクーバードとは、解説に付いている画像と分布域から考えるに、チャバネシャクケイ(Penelope
superciliaris)のことだと思う。
全部飲んでみた。美味しいけど、そこまで高価な理由は今一つわからず。思うに元々は、長年ジャコウネコにコーヒーの果実を食べられて困っていたインドネシアのコーヒー農場のアイデアマンが、コーヒーの果実を食べまくったジャコウネコの糞に種子がいっぱい入っているのに気付いて、試しにコピ・ルアックとして売り出しただけでは? 美味しい理由は、後付けなんじゃかなろうか? コピ・ルアックの解説文についているジャコウネコは明らかに飼われている。コピ・ルアック作りのために今ではジャコウネコをわざわざ飼っているらしい。
ジャコウネコやジャクーバードに限らず、コーヒーの果実を食べて、種子を糞として排出する鳥や哺乳類は多いはず。日本ならタヌキなんか有力な候補。大阪でもコーヒーが育つなら、タヌキコーヒーを作るのは簡単。ため糞からコーヒー豆を回収するのは簡単そうだし。
鳥なら、ヒヨドリコーヒーとか、ムクドリコーヒーとか、ハシブトガラスコーヒーとか?
夕方から、イタチの皮むき。10体を二人で。FMを流しながらひたすら皮むき。FMからは元気なお姉さんの声。
クリスマスイブの夜、みなさんいかがお過ごしですか〜?
イタチ剥いてる。
イタチを剥きまくるのは、昨年の秋以来。1年以上間が開くと、コツを忘れている。1頭目は50分もかかってしまった。2頭目は55分。しかし、3頭目は45分。だんだんコツを思い出してきた。4頭目はゲショゲショに腐ってたから途中で皮むきを断念。5頭目40分、6頭目35分。調子が出てきたところで、作業終了。
そして、次のイタチの日にはコツを忘れてるんだろう。手首足首の関節の位置、第一頸椎と第二頸椎の境界部の見つけ方、臭腺を切らないコツ。今日は覚えてるんだけどな〜。
鳥の死体をもらったら、標本にして保存。それが建前なれど、実際には標本になる前に、長い間冷凍庫で順番待ちしてもらうことになる。中には、10年選手もいる…。
標本になったら、晴れて標本番号を付けて、標本台帳に登録される。さらに今どきならデータベースに入力されることにもなる。が、冷凍庫で標本になる順番待ちをしている死体達もとりあえずは、登録してもらえる。それが受入台帳。いつ、誰から、何をもらったか、と受入に関わる諸々を記録しておくのが受入台帳。標本化されて標本台帳に登録された後でも、受入台帳にしか残されない情報も多い。とにかく死体をもらったら、標本にするのは後回しでいいから、受入台帳に登録しなくてはならない。それを怠ると、死体の由来すらわからなくなり、標本にする価値すら失いかねない。
が、しかし。死体を受け取るたびに受入作業をするのはなかなかに面倒。しばしば後回しになる。一度後回しにすると、後回しが溜まり始める。溜まりに溜まって年末にまとめてすることになる。毎年のように反省しているのだが、今年も例年のごとく年末に溜まった死体の受入作業。
受入番号を振って、死体をくれた人や採集データを受入票に書き込んで、添付資料を付けて、受入台帳の目次を記入。さらに標本作成ノートにデータを書き写す。死体は紙でくるんで、受入番号を書き込んで、チャック袋に入れて冷凍庫へ。
この作業を延々8時間ほどしていた。受け入れたのは48件。1件処理するのに平均10分かかっていることになる。もらった時のやりとりを思い出したり、その時のメールを引っ張り出したり、色々やってるとこのくらいはかかる。
恒例の反省をしておこう。来年こそは死体をもらう度にこまめに受入作業をするぞ! 今年も前半はちゃんとやってたようなのだが…。
夕方、おじいさんがやってきた。先日寄贈したツグミの死体、そろそろ標本になっているはずだから、写真に撮りたいとのこと。その死体は、先ほど受入作業してたところ。
死体を頂いてもですね。なかなか標本にする作業は進まず、長い間冷凍庫で順番待ちをすることになるんですよ。
と、苦しい説明をする。実際そうなんだけど、あまり大きな声ではいいにくい。じゃあ、いつ頃来たら写真が撮れるかと問われる。何年も待って欲しいとは言い難く、年明け早々には標本にします。がんばります。とりあえず、約束してしまった。忘れずに皮を剥かなくては。
今日は休みなので遅めに起きて、それから自転車でため池めぐり。めぐりながら、なんとなく何か忘れている気がした。なんだろう? あいにく手帳を持ってこなかった。なんか昼過ぎに誰かと約束したような? とにかくため池めぐりを続ける。今日めぐる予定をすべて終えて、帰ってきたら団長が車に荷物を積み込んでいる。そうや! 今日はウミガメを拾いに行く日であった!
というわけで、夕方からウミガメ拾いに車で泉南に向かう。なんやらしゃれた名前のビーチにウミガメの死体が漂着したらしい。今年はウミガメが多い。うちで引き取っただけでも4体目(5体目か?)。このままでは、大阪のウミガメの標本だらけになりそう。
漂着情報は、貝塚の某施設を経由して、ただちになにわホネホネ団クジラ・ウミガメ回収班のもとに。そして、現地では、なにわホネホネ団が回収にくる旨の立て札が立てられ、ブルーシートで覆ってくれたらしい。なんと手際の良い現地部隊であろう。なにわホネホネ団クジラ・ウミガメ回収班に迎えたいくらいである。そしたら、黙っていても持ってきてくれるかも〜。
それはさておき、電話で指示された通りに車を進め、おしゃれなビーチに到着。浜に出てみると、確かに立て札とブルーシート。立て札には、しっかり実名とメールアドレスが…。
あて、車からやおら新兵器「(河骨水槽改め)ウミガメ回収Box」を取り出し、転がっているウミガメのもとに。風が吹いて寒いので、持って帰ってから解体することにする。手袋をはめて、二人でウミガメの足を持って、いっせいのーででBoxの中へ。ピッタリ収まる。回収完了。
現地部隊が二人待っていて下さったのだが、あまりの素早さに驚かれた様子。そして、さっさと帰ろうと車を動かしたところに、現地部隊の主力が到着。もう終わったの?! と少し残念そうなので、とりあえずBoxに入ったウミガメを見てもらう。
頭はすでに骨になっているけど、手足は肉も鱗も付いたまま。残念ながら背甲が割れている。けっこう腐っているようだが、冬なので臭いはたいしたことはない。Boxを積んでやってきたときもすでに車の中はウミガメの臭い。帰りの臭いも同レベル。
ウミガメ回収Boxに、密閉できるふたがあるともっといいのにな。取っ手もあると運びやすいのにな。そして、このまま野外に放置して骨にするには、3つ位あると便利。河骨愛さんは、もう水槽を持ってないんだろうか?
今年も今日を抜いてあと12日という切りのいい数字になった。昨年はあと5日の時点で目標を立てていたが、今年はものすごい早い段階で目標を立ててみようと思う。この調子でいけば、年頭に今年の目標を立てられるようになる日も、いつか来るだろう。
今年は分類して羅列。
【行事系】残り12日しかないのに7日間も行事がある。
・なにわホネホネ団活動日(明日を含めて4日間)
・ジュニア自然史クラブ化石さがし
・読書サークル会合(1週間後にせまる)
・友の会の忘年会(という名のイベント)
【調査系】遠出の調査は今年は終了
・公園の鳥のセンサスと果実のチェック(今年はあと1回ずつ)
・ため池と大和川の水鳥調査(毎月恒例)
・鳥類標識調査(年末恒例)
【標本整理系】
・鳥の標本を受け入れる(けっこうたまっている)。
・大阪産の死体の標本作成と登録(ホネホネ団でがんばる)。
・大阪産のイタチの頭骨標本作成
【データ整理系】
・受け取っているカヤネズミ情報を整理して、分布図を更新する。
・受け取っているヌートリア情報を整理して、分布図を更新する。
【企画系】
・ホネホネサミット企画案作成
・ホネの動物園展の展示構成案作成
・ホネの動物園展の解説書目次案作成
・サークルAの総会の招待講演の手配。
【原稿執筆】
・大阪の哺乳類の原稿執筆
・新展示室の展示解説書の原稿執筆
・街で繁殖する鳥のガイドブックの原稿手直し
【その他】
・ひよろり書店在庫調べ。
・来年度の部屋の確保
・雑誌の整理をする。
・学会の来年度会費を支払う。
・ゴミを捨てる。
・洗濯する。
・家賃を払う。
・年越しそばと雑煮の準備
今年も年賀状は送らない。年末恒例の冷凍室の片づけと霜取りは本日完了。そして、書かないといけない原稿は他にもたくさんあるのだが、ここは目をつぶる。処理しないといけない死体も死ぬほどたまっているけど、これまた目をつぶる。ホームページの更新が滞ってもいるけど、いましばらくのご辛抱を。特別展の招待講演の手配は、年が明けてから。
【追記】
今日は大晦日。おおむね目標は達成したが、ホネ展の企画と原稿書きだけがまったく進まず。今年中にクリアするのは断念。
なぜかあまり縁のない大学の知らない教官とこの卒論生から相談を受ける。カメの調査をしたいらしい。もう12月なのに。2月前半に提出なのに。間に合うんだろうか。
カウンターに座っていると、大学生が二人入ってきた。チラッと見て、なんか見覚えがあって、もう一度マジマジと見る。なぜかこちらに近寄ってくる。そして開口一番。
覚えてますか?
覚えてる。野郎の顔を覚えてる事は少ないのだが覚えてる。9月頃に卒論の相談に来た。突然来て、カメの調査をしたいと言った。なのにカメのことをあんまり知らなくて面白かった。で、その後音沙汰がなかったので、調査がうまくいったのか、あるいはカメでの卒論は諦めたのかと思っていた。もう12月後半。今日来たってことは、卒論の下書きでも見せてくれるのか?
と思ったら、今まで修行を積んでいて、これから調査をしたいと言い出す。これが新喜劇なら、全員でコケるところ。一人でも椅子から落ちてみようかと思ったくらい。今からカメの何を調査する?
とりあえず話を聞くと、カメの調査グループとコンタクトをとり、G県のカメの専門家のところに修行に行ったりもしたらしい。積極的なその姿勢はいいんだけど、3ヶ月かかってそれだけ? なぜさっさと調査をしてみない? ってゆうか、カメの専門家とコンタクトしたんだから、なぜそっちに相談しない?
仕方がないので、諦めムードをいっぱい漂わせ、相談には乗る。いろいろ話を聞きだし、指導教官のコメントを確認した。で結局、カメのデータは他人に頼り、環境情報を自力で集めて、どんな環境にイシガメが多いかを調べてはどうかと提案してみた。この3ヶ月のペースで進むとすると、彼らの卒論は来年の今頃完成するであろう。
先日、鳥の調査の勉強会をした。小学5年生がムクドリの日周行動を調べてみたいと、研究計画を発表してくれた。研究計画の内容、とくに自分の力で考えたレベル、そしてやる気、すべての面で小学5年生の圧勝だと思う。好きこそ物の上手なれってとこか。
今週は来年度の予定を決める一週間。明日が山場なので、それまでに次々と調整が入る。ほぼ来年度の予定は決まってきた感じ。明日、多少の入れ替えはあるだろうけど、大勢は決まったといっていいだろう。それはつまり大部分の週末に予定が入ってしまったということ。
土日に何か用事を頼みたいという方、どうしても来年度にというなら、今夜中にご相談を。でなけりゃ、2010年4月以降の予約をよろしく。それまでは受け付けないというより、すでにほとんど埋まってたりする。埋まってない土日祝日も、ホネホネ団などサークルの行事が入る予定。
さて、ここまで固まるとこの2009年のいつ頃どこに行くかだいたいわかってしまう。お泊まり日程が組まれているのは、3月岩手県、5月猪名川源流部、7月大阪市内の某公園、8月青森県、9月愛媛県。9月は北海道に行きたい気もするのだが、やむを得ないか。8月の青森県はもしかしたら行けないかも。行きたいな〜。
今日は、茨木市から箕面市にかけて、勝尾寺川沿いを歩いた。帰ってきて地図を見て気付いたけど、実家のものすごく近くを歩いていた。歩いてる時も近くを歩いてるとは思っていたが、直線で200mと離れていなかったとは…。
川沿いを歩いてきて見る川・橋・道路といった風景と、道路沿いを来てみる道路・橋・川の風景はとても印象が違う。家から一番近い橋の下で、カワニナやヒラタドロムシを採って、プラナリアを探していたのに、まったく気付かなかった。
考えてみると、実家のすぐ近くにこんな環境があったんだなぁ。実家にいたときにもっと近所を見て回っておくべきであった。大学生になってから引っ越した先なので、あまり近所に馴染みがないんだな。
もちろん実家は素通り(調査中だし)。でもまあ里帰りにカウントしておこう。
茨木市を南から北へ60%くらい縦断した。一番南と一番北には行ってないけど、平地から山間部へ一通りの環境を見た感じ。本来、河川沿いに歩いて鳥の調査をするはず。もちろん河川沿いに歩いたし、鳥の調査もしたのだが、気が付けば各所でプラナリアを採っていた。プロジェクトPのメンバーではないのに。決してメンバーではないのに、メンバー以上に採集してるんじゃないか?
安威川〜茨木川〜佐保川と、平地から山間部に入って行くにしたがって、採集したプラナリアが、アメリカツノウズムシ→アメリカナミウズムシ→ナミウズムシと遷移していく。おもしろいな〜。と思いながら採集していた。少なくとも、ナミウズムシがどんな環境で見つかるかははっきりしているように思う。それにナミウズムシ生息環境のわかりやすい指標種がいる。ヒラタドロムシである。こいつがいる場所ではナミウズムシ、いない場所では外来プラナリアがいるとみたがどうだろう?
帰ってきて、さっそくPにプラナリアを渡した。なんか騒いでるな〜、と思ったら、アメリカツノウズムシと思ってた中に、妙なのが混じっていたらしい。一日で大阪のプラナリアを全種制覇したらしい。くどいようだが、プロジェクトPのメンバーではないのに…。
キンクロハジロは、昼間は寝る派と、昼間は餌をもらうぞ派に分かれる。今日は、餌をもらうぞ派のキンクロハジロを中心としたカモ類の群れを30分間観察した。もっと観察しようかと思っていたけど、寒かったので挫折した。
行動をカテゴリー分けした上で、5分ごとにどの行動をしている個体が何羽いたかを記録。30分なので記録は7回。一緒にホシハジロ、カルガモ、アイガモ、コブハクチョウもいたけど、キンクロハジロだけ行動を記録してみた。見ていた群れのキンクロハジロの個体数は多少変化したけど、おおむね26〜29羽を維持していた。
で、データ、
10:40 移動・休息28羽
10:45 移動・休息28羽、羽繕い-背面1羽
10:50 移動・休息28羽、伸び1羽
10:55 移動・休息25羽、伸び1羽、羽繕い-腹面2羽、潜水1羽
11:00 移動・休息16羽、羽繕い-背面1羽、羽繕い-腹面3羽、潜水9羽
11:05 移動・休息26羽
11:10 移動・休息25羽、潜水3羽
羽繕い-腹面というのは、水面に浮きながら、腹を上にして腹をかいてるあれ。昔はこんな行動なかったと思う。というわけで、この行動は気になって仕方がないので、羽繕いを二つに分けてみた。
潜水というのは、潜って何かを採食。11:10のデータをとった直後に餌まきの人がやってきて、パンをまきだした。そこからはみんな水面のパンの取り合い。餌まきの後の推移を見たらよかったかな。
岸に人が来ると、餌をくれるかな?とこっちを見ながら、群れでさーっと逃げて行く。餌をもらえないようなら、なんとなく浮いて、三々五々羽繕い。軒並み腹をかいてることもある。と思ったら、急にみんなで動き出す。きっかけはよくわからない。岸際で盛んに潜っていたと思ったら、またさーっと沖合へ移動。再びなんとなく岸の方へ。岸に人が来たら何らかの反応があるけど、その他の時にもけっこう動き回っている。そんな時、何がきっかけで行ったり来たりしているのかわからない。と、急にキンクロハジロだけが飛び立って、沖合に降りる。そして再び泳いで戻ってくる。この意味のわからない動きはなんなんだろう? 動かずに餌をもらえないならじっとしていればいいのに。
制覇するのは、今年3度目ではあるが、とにかくまたもや制覇した。合計4日間。期間としても10日の間に制覇したわけで、史上最短制覇記録といっていいだろう。ちなみに制覇とは両岸を三川合流から河口まで歩いて初めて認定される偉業である。
これだけ何度も歩いてるのだからもう新たな発見はないだろうと思いきや、毎回新たな発見がある。季節が違うから出会う生き物は、もちろん違うのだが、毎回新たな道を発見するのである。伝法大橋の上流の左岸側、岸際を歩けることを今日発見。淀川は奥が深い。
初回の制覇は7月のこと。河川沿いを歩いて繁殖する鳥を調査していたとき。もっぱらヒバリ、セッカ、オオヨシキリが囀っているのをチェックしていた気がする。
2回目は、5月から11月にかけて達成された。基本的には淀川を歩こうという行事。下見と本番の2回歩くはずが、雨天で本番が中止になったことがあるので、1回しか歩けていない区間が残った。この時は、もっぱら淡水貝とエビとプラナリアと水草を採ってた気がする。
そして今回。上流側では、ホオジロ類を探して歩いていた感じだが、下流側ではカモ類を中心に水鳥を数えまくった。当たり前かもしれないけれど、淀川にはカモがたくさんいる。種類も多くて15種記録した(全部言えるかな?)。でもハシビロガモは記録しなかった。大阪はハシビロガモが多いという話だが、もっぱらため池にいるらしい。
と、今年を振り返ると淀川三昧であった。来年も淀川水系の調査は続くが、淀川本流は一段落。調査の中心は支流に移る。来年はまだ制覇していない猪名川をたくさん歩いたりしそうな予感。
みんなでホオジロ類の分布調査をしようということになった。その前にまずちゃんと識別できるようにならなくては。ということで、大阪で普通に越冬しているホオジロ類7種を2回の研修で全部見てみることにした。河川敷のヨシ原と、山手の林に行けばいいだろう。
初回は、淀川のヨシ原でホオジロ類5種+ベニマシコを狙った。調査のついでに下見をしたら、ちゃんと5種+ベニマシコを確認できた。よしバッチリ。と思ったのに、みんなで見に行くと、ホオアカは見つからないし、オオジュリンとベニマシコも声と飛んでる姿だけ。ばっちり見たのは、ホオジロ、アオジ、カシラダカだけ。これならわざわざ淀川に行くこともなかった…。で、昨日、対岸を歩いたら5種ともバッチリ見られた。これもみんなで行くと見られないんだろうか?
で、次回はどこかの山手で、ミヤマホオジロとクロジ+アオシギを狙う事になってる。入手できてる情報では、ミヤマホオジロとクロジが出てる場所はある。クロジとアオシギがいるという場所もある。が、3種セットは難しい。本来目的からすれば、ミヤマホオジロとクロジを確実に押さえるべきか?
ちなみにその次は、水鳥を見に行くことになっているのだが、ついでにオオジュリンとホオアカがいたらちょうどいいな。などと考え出すと難しくなる。
近頃、このように複数の目的を兼ねて、調査・観察会を設定することが多くなっている。パズルのようでややこしい。お題を決めて、それを見に行く(採りに行く)のは借り物競走のよう。季節を決めて、大阪府内限定といったエリアを決めて、あとは3種程度を選んで、その3つが見られそうなルートを選択。ちゃんと見つけたら(採集してきたら)クリア。
ただ見つけた種数だけを競い合うバードソンよりも、こうした借り物競走の方がゲームとしては面白いんじゃないかと思う。まあ、そのミニチュア版は、先日もやったけど。
で、お題の鳥が見つからなくっても、クリアできず残念、他にもっと良い場所があったかな? とゲームとして楽しんでもらえると気が楽でよいな〜。
淀川を歩く調査のために、いつもより早起きして出掛けた。ラッシュのピークよりも早いらしく、電車で座ることができた。午前8時20分頃、本を読んでいると淀川にさしかかる。淀川はどんな様子かなと外を見て驚いた。真っ白。濃い霧が立ちこめている。水面があまり見えない。岸も見えない。せっかく早起きしたのに、これでは調査できないのではないか。本を読んでいるところではなくなり、いったい何メートル先まで見えているのかを、評価しようと試みる。乗り換えの駅で判断した限りでは、濃淡はあるものの100メートル前後しかみえていないらしい。困った。困ったが、とりあえず淀川に行ってみる。
予定通り、午前9時に淀川到着。やっぱり白い。向こう岸が見えない。しばらく待てば霧が晴れるかと、岸で本を読みながら待ってみる。30分経っても霧は晴れない。これでは早起きした意味がなくなる。ここら辺の川幅は250メートルくらいのはずなので、川の真ん中辺りまでは見えているはず。淀川は幅が広いので、右岸と左岸それぞれ歩いて調査する予定。川幅の約半分見えていれば充分。
そんなわけで、調査を始めることにした。調査するのは水鳥。種類ごとに数を数えるだけ。ほとんどすべての水鳥は岸際にいるから、多少霧が立ちこめていても問題ないはず。と思ったのは間違いであった。確かに100メートルほどは見えるのだが、間に霧がはさまって鳥が白っぽくなる。というか、色がよくわからなくなる。仕方がないので、ほぼシルエットでカモ類を識別することになる。カルガモ、ヒドリガモ、オカヨシガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ。カモ類はシルエットでも識別できるので助かった。
午前10時を過ぎて、霧が晴れてきた。まず空が青くなってきた。やがて遠くの高層ビルの上の方が見えてきた。そして、向こう岸も前後の橋も見えてきた。霧が晴れてみると、快晴であった。
あとは順調に調査は完了。風もなく暖かな快適な調査日和であった。霧に悩まされた3kmほどの区間は、対岸からの調査の時に注意することにしよう。なにはともあれ、淀川右岸の調査は完了。
あまりはっきりした年ではないのは確か。でも、あいまいな年はあるものの、大阪周辺では偶数年度は気味、奇数年度は豊作気味という傾向があるのも確か。それでいくなら、この冬は不作寄りのはず。
先日、某河川沿いを自転車で走っていると、向こうから見覚えのある人。相手も気付いたらしく、お互いとまって立ち話。なぜか天気の話ではなく、今年の果実の豊凶が話題。変な二人。
その方は、八尾市の山手をよく見ておられて、鳥も哺乳類もわかり、果実の豊凶にも興味があるという奇特な方。で、どうも八尾市の山手の果実の成りが悪いらしい。八尾市の山手にはナナメノキが多いのだが、軒並み不作。山近くのクスノキも不作で、すでに多くの気が果実を食べつくされているという。
私は大阪市内担当なのだが、そこまで不作ではないし、まだ果実を食べつくされたクスノキはあまりないと思う。
などと思っていたのだが、今日、大阪市内の公園で調べてみると、クスノキの中にはすでに果実をほぼ食べつくされた個体がいた。クスノキの果実数は軒並み目に見えて減っていた。この調子では年内にクスノキ果実を食べつくし、他の果実も1月半ばには食べつくすかもしれない。
H野さんと会ったことはあるのかよくわからない。が、ライバルであることが判明した。今日は、ライバルに負けないように、冷たい水の中に手を入れてがんばった。
いつのまにか淀川水系の生物調査プロジェクトで、プラナリアを調べることになった。いったい誰が調べるのかな、と思っていたら、いつの間にか調査スキームも決まってきた。そしてブレイク(?)は、中下流部での外来プラナリアの発見。上流部にしかいないナミウズムシだけでは全然盛り上がらなかっただろうが、中下流部にもプラナリアがいることで、とたんに採集意欲がわいてくる。採集する機会が多くなったし、外来プラナリアは少なくとも3種もいるので、どれがどこにいるのかもちょっと気になる。ここにきて、今まで採集されたプラナリアの分布図が作成されて、廊下に張り出された。これで一層、やる気が湧くというもの。
で、分布図を見ながらPが一言。
H野さんと茶狸さんが一番あちこちで採集してくるんですよね。
なーにー。他にもあちこちで採集する奴がいるだとぉ。どこのどいつか知らないが、そんな奴に負けるわけにはいかん。ライバル出現で、がぜんやる気が出てきた。Pにうまく乗せられてる気がしないでもないが。
読売新聞2008年12月7日朝刊
「世界の高校生が生物学の知識などを競う国際生物学オリンピックの日本代表4人が6日、発表された。(中略)来年7月に茨城県つくば市で開かれる。」
小さい頃はオリンピックというとわくわくしてたし、日本代表を応援してたりもした。近頃は、オリンピックをはじめ国際的なスポーツイベントにほとんど興味がなくなり、テレビにかじりつくのはワールドカップくらいのもの。日本代表戦も見るけど、どっちかといえばハイレベルなプレーを見たいので、ブラジルやフランスを応援していることが多い(なぜか高校生の頃から、毎回この2カ国を応援してたりするのである)。
ところが、久しぶりにオリンピックに関心を持った。そして、日本代表を応援するのである。なんとなれば知り合いが日本代表になったのである。こんなことは生涯二度とないかもしれない。来年の7月にはつくばまで行って、ニッポンチャチャチャをしたいところだが、来年の7月は忙しいので断念(それに迷惑だろうし)。
メダルを取ったら、首にぶら下げさせてもらう予定である。今から楽しみ。オリンピック開催地が海外なら、他のお土産も頼むのだがつくばではね〜。そこがちょっと不満。
昆虫と自然という雑誌の12月臨時増刊号をなにげなく開いたら、妙な記事が載っていて、思わず読んでしまった。こんな高価な雑誌を買う人はまれだろうから、軽く中身を紹介してみよう。さらに詳しく知りたい人は、決して立ち読みをするんじゃなくって、買うように。
その文章は東京大学の谷川さんが書いた「日本のクモ相はどこまでわかったか」というもの。
日本のクモ相はまだまだ研究途上で、いまでも毎年20-30種の日本新記録種が出ているらしい。で、何を根拠にした数字かはよくわからないけど、このペースで行けば、日本のクモ相が一通り明らかになるのに、あと20-30年はかかるらしい。ここまでは、まあまあ種数の多いグループは大変だなぁ。といった話。なんせ今年時点で日本産のクモは約1500種も記録されているらしい。
おもしろいのはここから。最後にぼやきが入るのである。日本でクモ類の分類を専門にしてアクティブに研究しているのは、プロの研究者3名とアマチュア研究者6名の合計9名だけだというのである。うーんそれは確かに人手不足っぽい。でも、マイナーな生物群は、いずこも同じようなものなのかもしれない。日本で9人いたらむしろ多いのかも。
一番の感想は、始めさえすれば、すぐに10本の指に入れるらしい、ということと。クモの採集をしている人もこのペースで少ないなら、もしかしたら密かにクモ採集ブームの私は、日本で30本くらいの指には入ってるかもしれないってこと。
忘年会シーズンが始まった。今日ですでに2発目。今年はいつになくハイペース。呑みながら訳の分からない話をしてる中から、企画が決まったりする。これも実現するんだろうか? 1発目の時の話を紹介しよう
来年はホネホネサミット。その次はどんなサミットをしようかという話になった。Pがいるので、プラナリアサミットか? という説もあったが、プラナリアだけでは客層が薄そう。というわけで、KGBも混ぜるべきではないかという意見がでた。それなら、門が違っても一見似ているミミズやヒルを混ぜるべきである。そういえば、ミミズプロジェクトがフェスタに…。
しばし脱線。
萌蔵が、以前、大阪のにょろにょろな動物をまとめて、ミニガイドを作ってみようと思ったことがあるという大胆発言。
なるほど、にょろにょろサミットか。サナダムシとか寄生虫系もいけるな〜。ポスターはどこかの寄生虫館みたいな感じで。寄生虫館にも出展してもらうか? 招待講演は? などと盛り上がる。
それなら、ヘビも混ぜてもらえそうやな。えー、ヘビは骨があるからアカン。なんでー、にょろにょろやん!
だいたいこんな感じのやりとり。
というわけで、2011年あたりに、にょろにょろサミットが開かれるんじゃないかと思う(ほんまか?)。にょろにょろ系の動物に関連のある団体が出展して、にょろにょろな感じのブースで、にょろにょろする。ヘビはありかなしかは、これからの重大な検討課題。イメージキャラクターは、やっぱりニョロニョロではなかと。かぶりものというより、ニョロニョロ着ぐるみが欲しいところ。本家ニョロニョロ、Pヴァージョン、ミミズヴァージョン、ヘビヴァージョン?
それに合わせて、にょろにょろミニガイドも作成。陸のにょろにょろ編と、海のにょろにょろ編に分けた方がいいかもしれん。がんばれ萌蔵。
また淀川を歩くことになった。今度は冬鳥の調査。今年はすでに3回淀川を通しで歩いているので、これで4回目。なんだかんだで今年歩くのは10回目の区間すらある。同じ場所を何度も歩いているので、どこが通れて、どこが通れないかはだいたいわかっている。一方で、季節が違うので、見られる生き物は違う。悩まずに効率よく楽しめるようになってきたとでも言おうか。が、最後に落とし穴が待っていた。
右岸と左岸をそれぞれ三川合流から河口まで歩く。時間がないので、片岸を2回に分けて歩く予定。今まで歩いてきたのと大きく違うのは、午後3時というタイムリミットがあること。冬鳥はわかりやすい日周活動をする水鳥が多く、午後3時を過ぎるとそろそろ塒に帰り始めるのもいる。というわけで、昼間の分布を把握するには、午後3時までしか調査できない。ちなみに朝も同様なので、調査できる時間帯は、午前9時から午後3時までに設定した。この足かせは大きい。
たくさんの水鳥がいたら、当然調査に時間がかかる。それで予定地点に午後3時に到着できなければ、残りを追加調査しなくてはならない。時間がないのに〜。というわけで、朝から猛スピードで歩いた。
午前9時、阪急大山崎駅スタート。ゴール予定は鳥飼大橋。6時間で、約24km。初夏にも歩いたので一日で歩けるのはわかっているが、今回どのくらい時間がかかるかわからない。時速4km以上を目指して早足で歩く。幸いあまり水鳥がいない。どんどん距離がはかどる。枚方大橋11時20分、鳥飼大橋13時26分。まだ行ける!てなもんで、さらに進む。下流の方が水鳥が多くなるので、上流側で距離を稼いでおくに越したことはない。豊里大橋14時20分。カモ類が増えてきて時間がかかりはじめる。水鳥を確認するために、豊里大橋からはあえて”がっかりな道”を選ぶ。菅原城北大橋14時42分。この調子なら大堰まで行けるかも! が、”がっかりな道”を引き返していては間に合わない。
ここからが、今日の反省。”がっかりな道”は菅原城北大橋の少し下流まで続くのだが、そこで終わってしまう。あと少しで平成わんどなのに。そこで、強引に薮こぎをして、通常コースに復帰しようと思いついた。距離は50mもないはず。そもそも我が辞書に引き返すの文字はないのである。
というわけで、ヨシ原に突入。最初少しノイバラがあった。続いてママコノシリヌグイ。これを避けつつ、ヨシやセイタカヨシをかきわけて進む。時間との闘いなので急ぐ。前方が開けてる。やったー。と思ったら、水路に出てしまった。右も左も水路が続いている。しかし時間がない。えいやー、と水路に入って強引に渡る。幸い水深は太ももまでだった。冷たいがテンションが上がっているので寒くはない。そして、対岸にはい上がってさらに進む。ヨシが高くなって、方向が合ってるか少し不安。だんだん疲れてきた頃合いにようやくいつもの道に到達。結局ヨシ原の中を30分近くさまよっていた。すでに時刻は午後3時を過ぎていた。脱力。
で、ふと服を見ると、全身ひっつき虫とヨシの実、枯葉などまみれ。ひっつき虫を取り除くのに約30分かかる。そして駅まで歩いて20分。こうなるとわかっていれば、豊里大橋に引き返せばよかった。その方が楽で早かった。
結局、約6時間で約30km歩いたことになると思う。時速約6km。平均時速5km。水鳥を数えながらこの速度はすばらしいに違いない。競歩選手には負けるだろうが、水鳥を数えながらゴールを目指すという競技があれば、けっこういい線いけるんじゃなかろうか?
さて、明日は引き続き右岸の下流部を歩く予定。だが、天気が悪そうなので延期だろうか? 最後の薮こぎで足がけっこうガクガクになってしまったので、明日は延期の方がありがたいかも。
とある同僚からお願いのメールがきた。同じ職場の全員に流しているらしい。
子どもワークショップで使う黒ゴキブリを10匹集めています。タマゴもさがしています。樹脂包埋標本にしたいと考えています。状態の良いものを見かけられたらご連絡ください。どうぞよろしくお願いいたします。
たしかに嫌われ者のゴキブリは、樹脂包埋標本にするとインパクトがある。子どもたちがギャー!と叫ぶのは間違いない。つかみはOK!
ではあるが、状態の良いものって、生きてるってこと? 見かけられたらご連絡って、走ってるゴキブリをみたら、ゴキブリが走ってたー!と叫ぶってことだろうか? まさか、生きたのを捕まえて、もってこいって事じゃないだろうな〜。また、この辺りには平気で生きたゴキブリをつかむ人が普通にいるから怖い。ゴキブリを踏んで殺すのはできるけど、つかむのは死んでても勇気がいるし…。
他人にタヌキの死体を拾ってこいとか、生きたヘビを捕まえろとか、言ってる奴の言いぐさとは思えないが、好き嫌いとはこんなもの。
昨日は、自転車で大阪市東部と八尾市〜大東市の西部を走り回った。指定された場所で水をくんで、いくつかの河川沿いの水鳥の数を数えるついでに、3ヶ所ほどでプラナリアを探してみた。もっとあちこちで探せばよかったんだろうが、寝屋川といい恩智川といい、なかなか降りてプラナリアを探せる場所がないのである。降りることができないし、降りてもひっくり返すものがない…。そして、なんとか探したものの、結果は不発。
淀川と大和川にはさまれたエリアにはたくさんの河川や水路が縦横に走り回っているけど、そもそも降りれる場所が少ない(山手の河川を除く)。寝屋川なんか両岸とも5m以上の垂直の壁がそそり立っている。仮に降りられても、プラナリアが引っ付いていそうな石が少ない。
なんとか降りられそうな場所。その多くはいま流行(?)の親水工事っていうのをしてる場所を見つけたら、降りてみる。で、石がないので、岸際のゴミとか落ち葉にプラナリアが引っ付いていないかを調べてみる。そもそも探せるゴミと落ち葉が限られてるってこともあるけど、さーっぱり見つからず。といっても、降りられたのは3ヶ所だけだが…。
とまあ、サンプリング地点が少ないにも関わらず断言しよう。淀川と大和川にはさまれたエリアの平野部の河川に外来プラナリアは分布していない。異論があれば受け付けるが、証拠付きでお願いしたい。
【追記】
12月3日、今日も自転車で該当エリアを走り回った。近くまで行ったので、なんとなく大阪城の外堀でプラナリアを探してみた。ぜんぜん見つからんな〜、と思いながら粘っていると、1匹捕まえてしまった。トウナンアジアナミウズムシとのこと。もしかしたら、河川にもいるのかな?
コンプライアンスだの、リテラシーだの、訳の分からんカタカナが、なぜか居座っているが、インセンティブもその一つ。でも何故か、使いやすいので使ってしまう。日本語では、人参と訳すのが正しいと思うのだが、それではかえって訳が分からないので、カタカナのままにしておこう。
年末は、決算と予算の季節。そして、インセンティブについて考えてしまう今日この頃。
目標を設定してそれをクリアしたらその目標の達成困難さに応じて豪華な報償を用意するのが、正しいインセンティブの設定の仕方だと思う。ポイントは二つ。
・達成値ではなく、あくまでも目標値に対して報償を与える。
・目標値をクリアしたら報酬を与えるとしても、クリアできなかった時の罰則は設定しない。
この2つのポイントをはずしたら、目標値クリアのために低い目標値しか設定せずに確実に報償を得ようとする戦略の侵入をはばめない。そして、それではそもそもインセンティブを設定する意味がなくなる。インセンティブはやはりより高い目標を目指すためのやりがいであるべきである。自分がなんとか達成できそうな、ギリギリの高い目標を設定してもらって、それをクリアしてもらってこそのインセンティブ。
などと考えてて思ったけど、そもそもお金とか物とかをもらえなくても、高い目標を設定して、それをクリアできれば満足度は高い。これこそが本来の意味のやりがい。同じく目標をクリアするなら高い目標をクリアしたときの方が満足度が高い、目標をクリアできなかったり、低い目標のクリアでは満足度が低い。多くの人がこういった感情を持つという傾向は、適応的な進化的プロセスの中で獲得してきたんじゃないかと思う。その方が、生き残りやすかったり、子孫をたくさん残しそうなのは、なんとなく理解できる気もする。
だとしたら、とくにお金などのインセンティブなど設定しなくても、この本来の感情を呼び起こすだけで、誰でもやりがいを求めて高い目標を目指していきそうな気もする。目標達成感を高めればいいのかな? 偉い!よくやったなー!と繰り返すとか。上の二つのポイントからすれば、目標を達成できなくても叱らないってのが大切。つまり誉めて育てる。普通な結論に落ち着いた。
今日は、安威川沿いを歩いた。河川にいる冬鳥(とくに水鳥)調査の初日であり、研修を兼ねている。調査自体は河川沿いを歩きながら、区間(橋や河川の合流などで区切る)ごとに種類ごとに水鳥の数を数えていくだけ。調査方法自体はかなり簡単。ただ、数を数えるためにはすべての水鳥の種を識別してもらわねばならない。手強いのはカモ類のメス、とくに寝てるの。というわけで、今日の研修では、カモ類のメスの識別に力を入れた。まあ、よく出てくるのは、ヒドリガモ、オナガガモ、コガモ、カルガモ。これで8割を超える。あとはマガモ、オカヨシガモ、ホシハジロなどが混じる程度。楽勝だと思うけど、どうだろう?
冬の水鳥はわりとはっきりと日周行動を示してくれる。とくにユリカモメは、朝河川に上がってきて、夕方には河川をくだって大阪湾で寝る。河川を下り始めるのは午後3時過ぎ頃から。ってことで、調査は午後3時までとなっている。このしばりがけっこうきつい。今日も目標の橋の二つ手前で、午後3時になってしまった。初めからもう少し早く歩いておけば…。
調査予定の河川は、淀川本流も短い支流もとりまぜて38河川ほど。研修参加者や以前の同様の調査参加者に無理矢理調査の分担を押しつける。残ったのは15河川。これは自分でやろうかと思いつつ、他にも調査に参加して下さる方募集中。経験者歓迎。
それから、そんなこんなで、この3ヶ月間。淀川水系のあちこちの河川を歩き回る。ついでに採集してきて欲しいという指令があればお知らせを。とりあえず、全域でプラナリア、貝類、上流部でヒメドロムシを採集予定。季節はずれっぽいけど、ミズギワゴミムシとクモも探そうかな。あと密かに淡水コケムシを探してみたいと思っているけど、あまり遊んでると予定のコースを歩ききる前に午後3時を過ぎそうだし、難しいところ。
T動物園の園長と一緒にお話会。園長はひたすら動物園の宣伝をしていた。最後には動物園サポーターの勧誘や、ふるさと納税で動物園にお金をとまで言っていた。気持ちがいいくらい宣伝とお金の話であった気がする。
T動物園は日本で3番目に古い動物園で、昨年実績で入園者数は年間約200万人。でもその内、有料入園者は約71万人。というわけで、収入は約3.5億円ほどになるらしい。たくさんの収入があるようだが、人件費、動物の餌代、水光熱費が大量にかかる動物園。入園料でまかなえている経費は、25%弱らしい。良く知ってる某自然史系博物館よりも経費をまかなえている率は高いけど、まかなえていない額自体は圧倒的に大きい。社会教育施設において、単純に収支を見ても仕方がなく、本来ミッションであるところの環境教育効果などを評価すべきではあるが、気になるポイントではある。
で、その上に、動物園は施設の改修計画を進めている。年間経費の10倍近い額を投入して、今までに全体のようやく1/3の改修が終わったらしい。でも、残りの改修のためにはさらなる金額が…。というわけで、園長は日夜その資金集めに苦労しているようである。税金ですべてはまかなえないので、個人や企業からの支援を求めて回っている。サポーター制度を作り、ふるさと納税制度に食い込み、天王寺界隈の企業と協働事業を進め、某豚まん屋さんとも関係を築き、大阪の企業を回りまくる。
金を集めるのが自分の仕事と割り切っているらしく、企業の社長相手であったり、社長が集まる場所であったり、かなりあちこちで動物園の宣伝と、何にどのくらいお金が欲しいかをアピールしまくっているらしい。
動物園は個人にも企業にもアピール度が高くて有利な気もするが、どこかの博物館の館長にももっとがんばってもらわねばなるまい。で、そのノウハウをもらう意味でも、一度園長と館長が一緒に酒を呑む場でも設定してみようか。
などと考えて思ったのだが、園長に対しても館長に対しても、やけに偉そうだな。こういった役回りは、影の館長のSさんに任そうか。
ところで、T動物園サポーターという制度は、昨年の10月に始まったらしい。個人サポーターは一口5000円で、動物園10回入園の権利が付いてくる。その上、記念品の贈呈、ショップでの割引、特別イベントご招待という特典がある。動物園入園は500円なので、10回の入園権だけで元は取れている感じではある。が、有効期間は一年間。一年に10回以上動物園に行く人には得である。
動物園的には、年間10回も動物園に来る人はさほどいないだろう。仮にいたとしたらリピーターになってくれてるわけで、どっちみちありがたい。ってところか。
この制度を参考にして、他の施設でもなにかみんなにとって美味しい仕組みはできないものか。
某お役所が職員に対して行っている研修を見学した。講師は、野生鳥類の救護の世界では有名な獣医さん。メールや電話では何度もやりとりしたことがあったが、会うのは初めて。かと思ったら、会ったことがあるらしい。
それはさておき、今日のテーマは、鳥インフルエンザの疑いのある鳥(生体でも死体でも)に出会った時、検査資料を採取して、簡易キットで検査するまで。鳥をあまりさわったこともない職員でも、ちゃんと処理できるようにならないといけないらしい。役人は大変だ。
実習用にアイガモが2羽連れてこられていた。まずはカモの保定の仕方から。ついで、口腔咽頭スワブと総排泄口スワブの取り方、最後に簡易キットでの検査の仕方。
カモの持ち方はまあ簡単。首を持ったり、足を押さえたり、翼を押さえたり、翼ごとからだを抱えたり。丈夫な鳥なので少々何をしても大丈夫。でも、翼を押さえようとして、胴体だけを強く押さえたりしていてちょっとドキドキした。
スワブの取り方は興味深かった。まずは、頭を持って嘴を開かせて、細い綿棒で、後鼻孔をグリグリ、そして舌の付け根の器官の中に突っ込む。器官の中に綿棒を入れられると、カモが変な声を立てる。それでOKらしい。総排泄口にも、綿棒の先を突っ込む。
簡易検査はおもしろかった。試薬の入った容器を開けて、スワブの先をその中でウニウニもむ。で、容器に濾過機フィルターを付けて、反応容器に液体を移す。で、試験紙をつけて決められた時間待機。コントロールが発色したら終了。A型インフルエンザのところにバーが出たら擬陽性、出なかったら陰性。擬陽性は再検査、それでも擬陽性なら検査機関に送る。
参加者はアイガモではなんとか簡易検査までできるようになっていた(みんなにいじめられたアイガモは疲れていた)。でも、他の鳥は大丈夫かなぁ?
野鳥の死体に接する機会が多いのはむしろこっちの方。おいらにも検査キットをおくれ、と担当者に言ったら、言葉を濁したまま逃げられた。高価なキットだからか?
とにかくキットも、服装もすべて使い捨て。医学ってぜんぜんエコではない。そして値段も高い。マスク、手袋、白衣、眼鏡などなど、使い捨ての服装一式で約3000円。これが一番安いらしく、高価なのは一式で6000円からするという。我々貧乏人に、鳥インフルエンザ対応は無理である。せいぜい、エチルアルコールを噴霧する程度か。
諸般の事情で、昔のことを振り返ってみることになった。といっても21世紀になってからの仕事の内容を振り返るといったもの。改めて激動の21世紀だったことを確認した。
ひよろり書店のオープンは2001年のこと。その頃と比べると売上は倍くらいにはなっている。扱っている本の点数は、なんと約10倍。ちょっと増やしすぎか?
子ども向けワークショップが始まったのは、2004年のこと。まだ5年しか経ってないのか…。
始めてフェスティバルというイベントをしたのは、2003年3月。この11月のフェスタで、こうしたイベントは5回目。
いつの間にか、ポスターやチラシ類をデザインするチームを擁し、いつでも可愛いポスターやチラシを作るようになっている。優秀な編集スタッフもいて、解説書の編集も、会誌の発行も、叢書シリーズの原稿取り立ても頼りっぱなし。素人の下手なデザインでポスター・チラシを作り、慣れない編集にヒーヒー言っていた頃は遠い昔のようである。昔は全体のホームページも自分たちで作ってたっけ。
5年前、10年前を思うと隔世の感がある。全体に、やる気のある若いスタッフが増えて、楽しげに色んな活動を展開している雰囲気になっていると思う。これはいい感じ。でも同時に、イベントや企画も増え続けている。スタッフは増えてはいるが、仕事はそれ以上に増えてる感じ(実はスタッフの変遷を振り返っていたのである)。
来年度もまた新たな試みを始める(一応まだ秘密)。これによって、現在抱えている課題が少し解決する。でも、仕事は増える。スタッフも増やさなくっちゃ。心配事が一つ解決すると、新しいのが二つ三つ出てきてるような。この方向で展開していったら、どこに行き着くんだろう? 10年後はどうなっているのやら。
でもまあ、5年経っても、10年経っても、なんにも変わらないってゆうのは楽かもしれないけど、つまらない。どんどん忙しくなっても心配事が増えても、全体が良くなっていくのが見えてる方が楽しい。まあ、たぶん後から振り返ればそうなんだろう。でも、ちょっと不安。
なんでも今日は市内某所で、学芸員の集会があるらしい。どんなものかのぞきに行ってみることにした。
ちょっと遅刻して着いたら、すでに話が始まっていた。とある施設の人が事例紹介をしている。その後、休憩をはさんでパネルディスカッション。キーワードは、独立行政法人、指定管理者制度、利用料金制。
博物館の周辺にはいろんな制度があって、それぞれが何らかの問題を解決しようと提案されたもんなんだろう。それによって今まであった問題が解決されるのか、新たな問題を付け加えるだけなのか、結局のところは運用される際の制度設計次第。現場の事がわかっていて、システムや施設をよくしようという意欲のある者が、制度設計を行うかどうかが重要だと思った。どうやら、現場を知らない役人が制度設計を行ったら、役所の悪弊だけを引き継ぐらしい。役人がダメなら民間にというのがありがちな展開だが。なんでもかんでも民間の手法を導入すればいいというものでもなく、かえって本来の趣旨からはずれた利益主義に走ることにもなりかねない。だからといって、現場に任したらうまくいくとは限らないだろう(やる気のない博物館もあるだろうし)。
それぞれの博物館が自分たちのミッションを明らかにして、それをきちんと理解した者が制度設計する。そして、現場の声を制度設計に反映させる道を確保する。この辺りがポイントか。あと、大きな部分は管理職や担当者の人間性に依存しているようにも思った。
それにしても、いろんな博物館関係者のぼやきは、それなりに目新しい部分もあって面白いといえば面白いけど、2年前から何も進歩していない話がけっこう多いのには驚いた。
団長がカメがいたと言って持ってきた。部屋の隅から怪しい音がするので、探してみるとカメがいたらしい。すぐにピンときた。やっぱり逃げてたらしい。
先週の土日は、大きなイベントがあって嵐のような日々を過ごしていた。そのイベントの中で、池の外来生物を採集して見せて移入種問題を説明するという企画があった。目の前の大池にカゴや網をセットして採集。採れるのはブルーギル、タイリクバラタナゴ、そしてアカミミガメ。以前、アカミミガメの標識再捕調査をしていたのだが、その標識カメが今でも捕れる。いわゆる10年物のカメである。
イベント2日間の毎日捕ったカメの内、標識の付いてるのは置いておいてもらって、夜に標識を確認して、大きさを測定することにしていた。初日は順調に終わり、二日目。受け取ったカメをバケツに放り込んで、とある部屋に放置した。なんせイベントの撤収があって忙しいのだ。すべてが一段落した夜、ようやくバケツのカメを見に行った。1匹バケツから脱出していた。それを回収しても、なんかもう1匹いなくなってる気がした。部屋を一通り探したけど、見つけられず。まあいいか。
それから1週間。そのカメ君は、1週間の間、部屋の隅にずっといたらしい。今日見つかってよかった。でなければそのまま年を越していた可能性も…。もしかしたら、寒かったらか冬眠状態だったんだろうか? 見つかったカメは、人を見るとシューシュー言って機嫌が悪そう。急いで計測して、もとの池に放した。
そういえば、10年ほど前に熱心にカメの標識調査をしていた時も、しばしばカメが部屋の隅から発見された。まさかと思うけど、どこかの部屋の隅に10年以上隠れているカメがいないか、ちょっと不安。
今日、生まれて始めて筆談というのをした。相手の方は、話せないし、聞こえない。とにかく難しい。電子メールのやりとりとか、チャットとかと同じかと思っていたのだけど、それよりも制限時間が早くやってくる感じ。さらに急いで書いた字が読めない。相手の方は急いで書いていて殴り書き状態。うーん? という顔をすると書き直してくれる。というのが何度もあった。急いで書くから書き間違いも多い。それを見て、またうーん? となる。落ち着いて、考えてから書けばいいんだろうけど、目の前に相手がいると、話すのに近い速度でのやりとりを、と思ってしまい、やはり殴り書きと、書き間違い…。
読めない。そうそう。すみません。わかりました。違います。程度の簡単な手話ができればもう少しスムーズにやりとり出来たかなとも思う。それまで書こうとすると、時間がかかってしようがない。簡単な返事なら、唇を読んでくれていたようだが、ちょっとややこしくなると無理だった。
正直、キーボードを前にして、メールのやりとりをした方が早かったんじゃないかと思う。紙に書くより、タイプする方がはるかに早い。でもまあ、筆談というコミュニケーション手段は、ローテクなのになぜか目新しく、いろいろ発見もあって面白かった。この次の時には、もう少しスムーズに出来るようがんばろう。
【追記】
でもって昨日の今日、再び筆談の機会到来。同じ方がまた来られた。今度は、ちょっと賢くなって、落ち着いてちゃんとこまめに書いていく。相手が書いてる間にこっちも書いておく、という新技を今日新たに開発した。新聞の見出しみたいな答えをして、相手がそれに対して書いてる間に、補足を書き足す感じ。けっこうスムーズにコミュニケートできた気がする。
標本用に採集するのは楽しいし簡単。だけど、それをちゃんと標本にして、登録して、使えるようにするのはかなり大変。標本化が大変な代表格は、哺乳類や鳥類なのだけど、個々の標本化は比較的簡単でも数が稼げてしまう昆虫や植物も大変そう。基本液浸標本になる両生爬虫類や多くの無脊椎動物は、とりあえずホルマリンに漬けてしまえー。で、まあとりあえずしばらくは保存がきく。が、それが仇になって、いつまでもその後の処理が進まずに積み上げられていく。
半年位前まで、部屋の前の廊下には、両生爬虫類のホルマリン漬けがうずたかく積み上げられていた。それが近頃見あたらない。ホルマリン漬けからアルコール漬けに変えて、登録番号をふって、ラベルを入れて収蔵庫へ。とまあ標本化の作業が進んだのだ。決して担当者ががんばったのではない。アルバイトに押しつけたのである。担当者が頑張ったと言えば、アルバイト賃金を助成金で確保してきたことくらい。
両生爬虫類がなくなったいま、部屋の前で幅を効かせているのは、無脊椎動物たち。目立つのは貝と甲殻類。というわけで、両生爬虫類にならって、二匹目のドジョウの助成金を狙うことになった。
甲殻類の処理は両生爬虫類と同じだけど、貝は殻から中身を出して、中身は液浸標本、殻は乾燥標本にしたいかも。などと思うとけっこう面倒。貝を中心に標本整理の人件費を確保にいった方がいいような気がする。両生爬虫類の時の申請書の、両生爬虫類を貝類に変えたらいけるかな〜?
BIONOSの最新号が届いた。定期購読者には頼まなくっても届くのである。後からお金を振り込めばOK。振り込むのを長い間忘れることもしばしばなんだけど、今でも送ってくれる。ありがたい。
日本野鳥の会のStrixは休刊してしまったが、日本野鳥の会神奈川県支部のBIONOSは続いている。えらいもんだ。そしてページ数の割にとてもお安い。日本野鳥の会は安易にStrixを休刊せずに、BIONOSのビジネスモデルをパクって発刊し続けるだと思う。なんで支部にできることが、本部にできない?
BIONOSは出版し続けているだけでも偉いのだけど、中身もけっこう楽しい。で、今号で目を惹いたのが、
藤井幹(2008)羽根から見たハシブトガラスとハシボソガラスの識別について.BIONOS 15: 29-34.
なんとバラバラに落ちているカラスの羽根を、ハシブトガラスかハシボソガラスか見分けようという試み。ハネハネ博士としては見逃せない。なんせ今まではカラス2種は羽根1枚では区別できない!と豪語していたのだから…。
見分け方は、尾羽と体羽で検討されている(風切羽は検討されていない)。詳細はBIONOSを買って読んでもらうとして、さわりを簡単に紹介。
尾羽は要するに長さで識別。最外の1枚を除けば、ハシブトガラスは20cm以下にはならないらしい。逆に、ハシボソガラスの尾羽は23cmを超えない。中間的な長さはわからないけど、これは使えるポイントだと思う。ただし、検討したのは関東のカラスだけ。関西で同じように使えるかは、確認が必要だろう。またこの基準に当てはまらない個体差の余地はあるかもしれない。
体羽での識別はもっと面白い。ハシボソガラスの体羽の根元は白っぽく、先には青紫色の光沢があるというのだ。それに対してハシブトガラスのの根元は灰色っぽく、先は緑か青の光沢。1枚だけでは間違えることもあるが、まとまって散乱していたらどっちか識別するのは簡単だという。
まさにハネハネ博士のために研究してくれたといっていいだろう。次のハネハネ博士登場の時には乞うご期待。
ヒキノカサという多年生の植物のお話を聞く。田んぼの畦とか、池や川の土手とかの、湿った明るい草地に生えるらしい。自家不和合で、種子は重力散布。種子も塊茎も乾燥に弱く、シードバンクを作る気がなければ、分散する気もあまりないらしい。
そんなヒキノカサくん。昔はあちこちに生えていたけど、どんどん産地が減っているらしい。分散する気はないから、再定着とか新産地開拓とかもなく、一度消えたらどんどんいなくなるだけらしい。
そんなヒキノカサくん、大和川の土手にも生えてる場所がある。大和川の土手って、300年前に作られたんだから、その時から生えてるんだろう。
大和川のヒキノカサくん達と、岡山や三重や茨城のヒキノカサくん達の酵素多型を比べても、それほど大きくは違わないらしい。そして、それぞれの場所でそれなりの多様性を保っている。何百年も隔離されていたら、もう少し違ってきてもよくない?
で、考えたストーリー。昔々、300年ほど前、日本各地のいろんな場所にヒキノカサくん達が生えていました。でも、すみ場所にうるさいヒキノカサくん。人によって環境が改変される中で、どんどんすみ場所を失っていき、今ではところどころにすみ場所は点在するだけになりました。分散する気のないヒキノカサくん、すみ場所同士の交流はまるでなくなってしまいました。ただ、とっても長生きのヒキノカサくん。かつて広く分布していた名残で、今でも遺伝的多様性は一見保っています。
つまり、今でもタネを作って繁殖もしてるけど、大部分のヒキノカサくんは、その頃からの生き残りなんじゃないかと。隣にいた河骨愛さんにヒキノカサくんの寿命を尋ねてみた。ヒキノカサはわからんけど、多年草の場合、根が残っていくので、100年位は生きててもおかしくないんじゃいかと、ややアバウトなお答え。草でも多年草って意外と長生きらしい。ヒキノカサくんも、ほんとに300年前からの生き残りなのかもしれない。
リスを探しに能勢町に行った。ついでに他の哺乳類を探し、貝やエビを探し、イモリや魚をすくい、プラナリアやヒメドロムシも採集した。が、ついでで盛り上がるあまり、リスは見つからず。
そもそも、ついでの方は谷筋が楽しい。川の中、棚田周り、ため池。でも、リス探しはイコール、エビフライ探し。つまりマツの周囲を狙うことに。マツはどっちかといえば尾根筋に生える。というわけで、谷筋で遊んでいるとリスが見つかりにくい。
仕方がないので、尾根にも行ってみた。もともとはアカマツ・コナラ林だったらしい。しかし、現在はマツ枯れのおかげで、大部分がコナラ林と化している。マツが全部枯れているわけではないが、かなりの部分が枯れているし、枯れてなくても元気がなさそう。マツボックリは落ちてはいるけど、少ないし、古いのばかりが目に付く。というわけで、リスのエビフライも見つからず。
マツが枯れて、リスがいなくなったのか。それとも、リスの痕跡が見つけにくくなったのか。どっちかと言えば後者だろうが、調査の結果は前者と変わらず。能勢町南西部にリスはいるのかなぁ?
【今日の峠】
●中山峠(大阪府能勢町山田・兵庫県猪名川町鎌倉)
能勢町中心部から西の猪名川町に抜ける峠。田園風景の中にあるのだが、やたらと賑やか。峠に大信興業という会社の工場があって、ガッコンガッコンと大きな音をたてて操業しているのだ。山間にひびく工場の音は、なんか不思議な感じ。
大阪の端っこなので、ぜひ色んな哺乳類の痕跡でも見つけたいところだが、すでに時間は午後4時を過ぎている。ここまでに遊びすぎたらしい。というわけで、大急ぎでバス停に向かう。2車線の舗装道路を一目散に東へ。約1時間後、暗くなった頃合いにようやく森上バス停に到着。
昨日までと違って、昼を過ぎてもとても静か。というか、さすがに今日は昼まで寝てて、昼過ぎにようやく出てきた。
今までのフェスティバルと一味違った感じのイベントを目指したけど、同じとこも多く、似たような名前なので、区別できていない人も多く。それでいて、違いもあり。うまくいった部分もあれば、反省点も多い。今後に向けて、自分なりにまとめというか、覚え書き。
イベントの成否は、関わった人達の満足度で測るべきだろう。それぞれについて考えてみよう。
・来場者:来たらそれなりに楽しんでもらえたのではないかと思う。子どもも何かしら参加型のブースに混じれたし、真面目に勉強したければ一日中、シンポジウムや講演会があった。いろんなワークショップに講習会、ポスター発表と盛りだくさん。
・出展者:二日とも午前中の出足が悪かったので、ブースは寂しそうだった。が、午後はだんだんと人出が増えて、どのブースも盛り上がっていたと思う。
・講演者・パネリスト:二日間ずっと講堂でなにかしらシンポジウムや講演会があった。そのいずれにもコンスタントに80〜100名の聴衆がいたし、会場が寂しいということはなかった。
・協賛団体:金を出してもらっているので、その満足度は気になるところ。昨年のイベントと比べると、入場者数は少なめ。2/3くらいか。とくに午前中が寂しかったかも。
・博物館:主催者ではあるが、会場と備品を提供して、光熱費と消耗品を少し分担した程度。で、年間入場者数の5%近くをカバーしてるんだから、文句はない。
・センター:事務経費を実質負担。でもまあ、経費的には、昨年のイベントの約半分の資金で、約半分の規模のイベントで、2/3の来場者というのは成功だと思う。
・KONC:本来の趣旨は、創立30周年記念事業。シンポジウムなどでは、それなりにアピールしたから、目的は達したかもしれないけど、ちょっと影が薄かったかも。何より、期待した新入会者があまりいなかった…。
総括すると、入場者数が少なめだったのと、本来目的のKONCアピールが弱かったのが反省点。でもまあ、資金半分のハーフサイズイベントとしては、まあまあ成功の部類だったかと思う。来年の同時期にはフルサイズのイベントを密かに予定。関係者は、日程を空けておいてね。
いつもは、タヌキの肉とか、シカの肉とか、もっとあやしげな肉を食べている。そういう死体を処理したときに肉をとっておいてあげるから。
先月末頃、池にカメ篭や張り網で、外来魚やカメを採集した時に採れた、ブルーギルやタイリクバラタナゴを入れてみた。あまり反応は良くないのかな。と思っていたら、翌朝には全部食べていた(ブルーギルは殺してから入れた。念のため)。一緒にスジエビも採れたので入れてみた。こっちも餌のつもりだったのだが、見向きもしない。翌朝も元気だった。おかげでそれ以来、スジエビも一緒に飼うことになった。
昨日と今日、また池にカメ篭や張り網を仕掛けて、外来魚やカメを採集。で、またブルーギルやタイリクバラタナゴをもらったので、入れてみた。
昨日。やっぱり、直後のリアクションはよくない。と思ってみてたら、スジエビのリアクションはよかった。気付いたら、一人一匹ブルーギルの死体を抱えて食べ始めていた。スッポン君は、まだブルーギルがやってきたのに気付いてない風なのに…。
今日。スジエビのリアクションが悪くなった。腹がいっぱいなのかもしれない。スッポンのリアクションはよくなった。なぜか動き回る。でも、魚には気付いていないらしい。なんて鈍くさい奴。
一番大きなのを、ワニガメにあげてみた。すごいリアクションがいい。あっという間に起動。攻撃開始。でも、平べったい死体に噛み付くのに苦労する。噛み付けても、引っかかるらしく呑み込めない。さんざん苦労した後、頭をくわえることに成功。ようやく呑み込んだ。スッポンよりワニガメの方が生活力がありそう。
カエルの話のはずだったのに、カエルとトカゲとヘビの話。カエルが減る話のはずだったのに、カエルの活動に適した温度の話。で、質疑で盛り上がったのは、なぜか虫の話。全体に通じるのは、変温動物の暮らしにとって温度がいかに大切かって話。
カエルは種によって、一番活動しやすい気温があるらしい。というか、温度が高すぎると、ちゃんと活動できなくなるらしい。飛ばしてみて、一番飛んだ気温は何度か測ってみようって、発想はおもしろい。小学生の夏休みの宿題みたいだけど、それをあんな話にできるのは、さすがはプロ。
トカゲは、暖まっては採食行動をして、冷えたら日向ぼっこをして、暖まったら…。を繰り返しているらしい。暖まらずに採食などの活動をすると、走る速度が落ちて、危険。捕食者のヘビのいる島といない島で、トカゲの体温が違うという話につながるのが面白い。
で、虫の話、とくにセミの話。
なんとなく両生爬虫類の体温と活動の関係を調べていたので、セミのことが気になったらしい。早朝鳴き出すクマゼミ。日が昇って気温が上がってくると、クマゼミは鳴き止み、今度はアブラゼミが鳴き出す。なんでかな? というわけで、放射温度計というのを使って、鳴いてるクマゼミとアブラゼミの体温を測ったらしい。クマゼミは、鳴いてると体温が上がっていって、摂氏37度とかまでいって、鳴き止むんだとか。それがアブラゼミは、摂氏32度程度からなかなか上がらない。クマゼミは温度耐性は高いけど、鳴くと自分で体温を上げてしまう。アブラゼミは温度耐性は低めだけど、鳴いても自分の体温をあまり上げない。
さて、涼しい内に鳴き出したクマゼミ。気温が上がってくる中、鳴くことでさらにどんどん体温が上がって、限界温度になったら鳴き止む。すると比較的気温が高くても鳴き続けられるアブラゼミが鳴き出すという説明。ちなみにクマゼミとアブラゼミが同時に鳴くと、アブラゼミの声は、クマゼミの声にかき消されるので、一緒に鳴くのは避けるんだろうとのこと(周波数の幅で説明していた)。
ここからの説明が微妙なんだけど。ヒートアイランド現象でも、温暖化でもなんでもいいから、夏の最高気温・平均気温があがったとしよう。アブラゼミしかいなければ、早朝や夕方の涼しい時間帯に鳴けばOK。しかしそこにクマゼミが入ったとする。すると、涼しい時間帯をクマゼミに奪われる。クマゼミが鳴き止んだ時間帯が、アブラゼミが耐性のある気温であればいいけど、それ以上になっていたらアブラゼミは鳴けない(暑くてヘロヘロだから?)。というわけで、鳴く時間帯をクマゼミに奪われて、アブラゼミは減ってしまう。
たぶんこんな感じ。クマゼミとアブラゼミそれぞれについて、鳴いて体温が上がる速度を気温ごとに測定。あとは、その地点の最高気温と最低気温のデータがあれば、そこでクマゼミとアブラゼミが共存できるかは判定できることになる。これが本当なら、セミの分布の研究をするには、まずは放射温度計でも買うことである。
この説明でおもしろいのは、局所的な気温が問題となること。同じ都市であっても、小さい公園より大きい公園の方が気温は低かったりする。同じ大きさの公園であっても、木の茂り具合や池があるかどうかで局所的な気温は変わるだろう。それに応じて、アブラゼミの分布も変わる。大きな公園にはアブラゼミがいるけど、小さい公園はクマゼミだらけとか。そういうパターンがあるかどうか、クマゼミとアブラゼミの分布パターンを見直すだけでも面白いかもしれない。
健康診断が帰ってきた。今回は不満が多い。
何より、今年から福井ではなく腹囲という検査項目が増えた。メタボ検診ってやつだと思う。ネットで調べるに、へそ位置での腹回りを測定するものらしい。しかしである。計測係のおばちゃんは、一番太そうな所を選ぼうとするのである。それはおかしいやろ。それならもしウェストがくびれまくっていたら、胸か腰まで移動することになる(まあそんなナイスバディではないのだが)。へそを起点としつつ、山あり谷ありの脇腹の一番山の部分を狙うのである。それは、斜めに測ってるんじゃないのか? さらに
腹をへっこめてもいいですか?
と素直に尋ねてみると、
腹をへっこめても、その分、背中が出るから同じ。
と意味不明の答え。
えー?
と思って油断した隙に測定されてしまった。なんて姑息な。
今回の健康診断で姑息なのはそれだけではない。
健康診断の結果の数値は、基準値という意味不明の数字を基準にして、評価されるのである。そして基準値をはずれると、星がもらえる。一度にたくさんの星をゲットすると、お医者さまのありがたいお話を聞く会に招待される。
さて、この星の数は、夕食をかけた賭の対象となっている。すなわち、星の数一つに一喜一憂しているわけ。だが、驚いたことに、この基準値が昨年と今年で違っているのである。もともと意味不明の数字であるとは思っていたが、年によって変わるとはひどすぎる。例をだそう。
GOT:昨年8〜40 → 今年40以下
GPT:昨年5〜35 → 今年45以下
肝臓系の数値は、基準が緩くなった。
空腹時血糖:昨年109以下 → 今年99以下
HbAlc:昨年4.3〜5.8 → 今年5.1以下
血糖値系の数値は、基準が厳しくなった。
赤血球:昨年410〜550 → 今年410以上
ヘモグロビン:昨年13〜18 → 今年13以上
赤血球系の数値は上限がなくなった。
他にもあるけど気になるのはこの辺り。おかげで、赤血球に星が付かなかったのはいいんだけど、なんと血糖値系に二つも星が! 昨年までなら付いてないのに。昨年基準では、今年の星は2つだったのに…。
今週末にイベントを抱えている。本当は明日が前夜だけど、明日は設営とかがあって忙しい。ゆったり気分の今日の方が前夜感が強い。
ここまで来たら、あとは日曜までを乗り切るだけ。少々何が起きても、どうにかなる。ってことは今までの経験で知ってはいるんだけど、細かい心配のタネは尽きない。でもまあ、準備の山場はとっくに過ぎた感じ。来年以降担当する人のためにタイムスケジュールと山場を振り返っておこう。
5月頃:約半年前に動きだしたと思う。イベントのコンセプトをかためて、大まかな内容とタイトルを決める。このタイトル決めるので苦労したんだな。
7月:出展者向け1stサーキュラーを配布、同時にホームページも開設して、出展者の募集を開始。
8月:招待講演などの企画者側のプログラムを固めて、講演者の確保を開始。
8月末:出展者募集締め切り。ここが最初の山場。こうしたイベントは、面白い企画、興味深い発表をしてくれる出展者が集まるかどうかが命。少ないとダメだけど、多すぎても困る事がある。締め切りが近づいても応募が少ないとドキドキする。が、多くの出展者はギリギリに応募するのである。もう少しプッシュすべきか、悩むところ。精神的には一番の山場。結局は、不思議なことに毎回適当な数に収まる。
9月上旬:協賛団体確定、主要企画の内容確定、招待講演などのタイトル確定。でもって、ポスター・チラシの入稿。とにかくここが一番バタバタする段階。ここでもうイベントの内容はおよそ決まってしまう。決断面での山場。
9月後半:一般来場者向けの広報開始。プレス発表、ポスター・チラシの配布。同時に、出展者に出展についてのアナウンスを配布。とくに展示に必要な壁・机・椅子などの数の確認がポイント。展示物の作成・会場下見などの手伝い開始。
10月後半:会場の配置を確定。当日配布物の入稿。ここにも小さな山場。その他、必要な壁・机・椅子の手配(手持ちの数の確認、借りる算段、減らすようにお願いなど)。アルバイトの手配。当日のスタッフの役割分担。会場周辺の掲示物の手配。出展者に搬入搬出のアナウンス配布。
11月前半:懇親会手配。アルバイト研修。展示物預かり。搬入搬出の段取りの確認。
そして明日。会場設営。今回は、事前の会場設営ができなかったので、明日と明後日の朝がすべて。かなりの混乱が予想されるのでドキドキ。明後日の朝を乗り切ればなんとかなるはず。
とまあ、偉そうに書いてるけど、事務局は3人体制。出展者とのやりとりなど重要な部分は優秀なKさんが仕切ってくれる。デザインも印刷の手配も、掲示物の作成も、優秀なスタッフがやってくれるので、よく考えるとあまり大事な仕事はしていない。当日の運営も多くのメンバーで分担。事務局の一人として一番の役割は、心配することか。山場ごとにドキドキしてきた。自分で決められる部分はいいのだけど、締め切りのある中での、他人の決定待ちってのは疲れる。
というわけで、現在の心配は、天気と人出。今さらどうしようもないので、祈るだけ。土曜日は大丈夫そう。日曜もなんとか雨が降りませんように。そしてたくさんの人が来ますように。
昨日の話をしよう。昨日は、朝から淀川に行った。豊里大橋から右岸を河口まで歩く。けっこう距離がある。がんばらなくては。
豊里大橋をスタート。水際を下流に向かって進んでいく。ヒドリガモを中心にもうカモがたくさんきている。ユリカモメの群れも飛んでいる。すっかり冬だなぁ。
最初は右手に芝生やグラウンドがあったのだが、やがて右手は草原になる。ベニマシコやシメの声もする。あっツグミ。この冬の初ツグミだったので、ちょっと嬉しい。しかし、その時、我々はすでに罠の中に誘い込まれていたのであった。
舗装はしていないものの、砂利を敷いた広い道が続く。大型トラックも走れる。が、急に道がなくなる。と思ったけど狭くなっただけらしい。まっすぐに行く道と右に曲がる道がある。もちろんまっすぐを選択。さらに50mほど進むと、今度は本当に道がなくなった。
こんな時、我々の流派では先頭の者が、叫ぶ。
「がっかりだよぉ!!」
これを聞けば、後の者は道が行き止まったとわかり、直ちに引き返すことができる。元はとある家庭で頻繁に聞かれるフレーズだったらしいが、とても便利である。
分岐点に戻り右の方に進む。すぐにまた左右に道が分かれる。もちろん左を選ぶ。今度は順調。かと思ったら、道はぬかるみ、油断していたら両足とも泥水の中に突っ込んでしまった。もちろん、がっかりなのであるが、引き返す必要はないので、「がっかりだよぉ!!」とは叫ばない。今度は順調に、橋を越えて、もうすぐ知ってる場所に出そう。という所でまた道がなくなる。
「がっかりだよぉ!!」
再び分岐点に戻る。今度は右へ。水がたまっているが、ちゃんと手製の木道がつくられている。いい感じ。と思ったら、川原で暮らしている方のお家に到着。
「がっかりだよぉ!!」
三度のがっかりの後、結局ほぼスタート地点まで戻ることになった。ほんとにがっかりである。この間、約1時間半。すごいタイムロスをしてしまった。
豊里大橋から右岸を下流に向かって進む時は、くれぐれもがっかりな道に注意してくれたまえ。
で、がっかりしまくっている間は気付かなかったのだが、この辺りは戦前から夏になるとツバメの集団ねぐらができる場所であった。が、ここ数年、集団ねぐらの位置はあちらこちらに移動し、さらにその規模がどんどん小さくなっている。
このがっかりな道でできて、ヨシ原が水辺から分離され、乾燥化が進み、ヨシ以外の草が侵入したからではないかと思うのだが、どうだろう? 実際、がっかりな道の横には草原が広がってはいるのだが、ヨシ原は面積もヨシ密度も低い貧弱なものだった。ほんとがっかり。
大阪市内の生物多様性を高めるにはどうしたらいいかを、考える機会があった。そもそも何故生物多様性を高めたいのかはこの際おいておこう。生物多様性を高めるっていっても、多くの人は虫が増えたら嫌がりそうだけど、ってことも無視しよう。そして、植えたり放したりではなく、環境を整えて来てくれるのを待つというスタンスが前提。
やって来てくれるのを待つなら、この問題は、移動能力の高い生物と低い生物に分けて考えるべきだろう。山林に生息している生物を考えるなら、飛べるか飛べないかで話は大きく違う。飛べない上に、道路を横断できないような生物が、周辺の山から大阪市内にたどり着くのは至難の業。というかほとんど無理。逆に、圧倒的な移動能力を誇る鳥の場合は、とくに何もしなくてもこの30年ほどの間に山の鳥がどんどん大阪市内に進出してきている。
山と大阪市内の間を緑の回廊でつなげばいいんじゃないか? と思うかもしれないけど、普通に言われる緑の回廊は街路樹を植えていくことらしい。そして、それは大きな道路で区切られまくっている。樹上生の飛翔力のある動物には意味があるかもしれないけど、地上生の飛べない動物には関係なさそう。そして樹上生の飛べる動物って鳥か一部の昆虫。緑の回廊がなくても、大阪市内に進出してくるように思う。もちろん回廊があった方が、早くやってくるかもしれないけど。むしろ回廊の有無よりは、大阪市内の緑の面積とか質の方が大切な気がする。
緑の回廊を使ってまで、飛べる動物を誘致する策は必要なく。大きな道路でバンバン区切られている緑の回廊で地上生の動物を山から連れてくるのは難しい。そんな中で有望なのは、川や水路沿いを通じての誘致ではないだろうか? 水中や水辺の生き物はもちろん、岸の整備の仕方次第では、陸生の動物にも効果を発揮するはず。なんせ川や水路は区切られずにつながっている。段差などの障壁は、その気になれば取り除けるはず。というわけで、移動力の低い生物の誘致には水の回廊をお薦めしてみたい。
考えてみれば、大阪市内のような大都会で一番欠けている自然は、水辺、土、そして草。一番多いのが樹。おかげで鳥も樹上生のばかりが幅を効かせている。土壌動物や水辺の小さな動物は種類が多い。土と草のある水辺を川や水路の周りに確保していけば、それだけで、とても生物多様性は高まるんじゃないかと思う。
てなことを考えつつ思うのだけど、大阪市外から誘致して大阪市内の生物多様性を高めようとするよりは、現在でも大阪市内に細々と生き残っている水辺の生物、土壌動物、草地生の生物の生活場所を広げるような環境整備をするのが一番重要だと思う。
これは、種数という意味では大阪市内の生物多様性を高めないけど、均等度を考えれば多様度指数は高くなるから、大阪市内の生物多様性を高めると言っていいんじゃないだろうか?
今日は、わざわざ淀川に出掛けて、変わった物を食べてきた。多少なりとその食材集めや前処理に関わったので、食材としての価値を、コストパフォーマンスで評価してみよう。
市場では食材の価値は、価格で評価されているように思う。
【食材の価値=価格】
適正な価格が付いているなら、これで問題ないかもしれない。でも、消費者的には、価格が高いのはむしろマイナス要因。そして、もう一つ気になるのはそのお味。味も価格に反映されている場合も少なくないが、高いくせに不味いことも多く、それはとてもコストパフォーマンスが悪い。という点を考慮するなら、むしろ
【食材の価値=味の良さ/価格】
安くて旨いのが一番。高くて不味いのが最低。が、今日の食材には市場価格は付いていない。自分たちで調達して、自分たちで下処理をして、自分たちで調理して、喰った。そこで価格がこうした手間(=コスト)を反映していると考えて、少し式を変えてみる。
【食材の価値=味の良さ/調達にかかるコスト/下処理にかかるコスト】
調理にかかるコストは無視するとしよう。調達と下処理のコストは、最終的には、単位量辺りのエネルギー量or時間で評価できるだろう。味の良さも同じくエネルギー量or時間で評価したいが、思いつかない(食べた後、幸せな気分でいる時間の長さとか??)。科学的っぽくしたかったら、スコア化とかをしてみてもいいかも。
エネルギー量や厳密な時間でのコスト評価は面倒なので、以下ではなんとなく定性的に評価してみよう。ただ一つ付け加えておくと、調達にかかるコストは、さらに産地を見つけるコストと採集にかかるコストに分けることもできる。産地も知らずに探し回ると、あるいは生息密度の低い産地しか知らなければ、その分、採集コストが跳ね上がる。今回の場合は、それまでに調査の経験から産地をおおよそ把握していて、そこに採集に行っている。産地を見つけるコストは、それ以前にあちこちに調査に行きまくってきたコストであり膨大なものになる。そこまでコストに算入してたらきりがないので、ここでは、「調達にかかるコスト=産地で採集にかかるコスト」として、評価する。
◆タイワンシジミ
・味の良さ:高 →けっこううまい
・採集コスト:中 →大きめのを選ぶと採集に時間がかかる
・下処理コスト:小 →数日水に浸けるだけ
◆アメリカザリガニ
・味の良さ:高 →普通に食材
・採集コスト:大 →大きめのを選ぶと採集に時間がかかる
・下処理コスト:中 →洗ってゆでて、殻を割って剥き身にするのは面倒
◆ジャンボタニシ
・味の良さ:中 →下処理をちゃんとした上で臭みを消せば喰える
・採集コスト:小 →短時間でたくさん簡単に採れる
・下処理コスト:大大 →歯ブラシで磨いて、しばらく水につけて泥を吐かせて、ゆでて殻から出して、内臓を除去。ものすごく面倒
◆ブラックバスとブルーギル
・味の良さ:高 →普通に食材
・採集コスト:中 →釣りの腕次第かと
・下処理コスト:小 →普通に魚
◆クレソン
・味の良さ:高 →普通に食材
・採集コスト:小 →生えてさえいれば
・下処理コスト:中 →傷んでない部分のより分けが必要
◆ホテイアオイ
・味の良さ:中 →まあ喰える
・採集コスト:中 →花茎だけを採るのは面倒
・下処理コスト:中 →さらに洗って可食部分だけにする
◆ナガエツルノゲイトウ
・味の良さ:高 →普通にほうれん草
・採集コスト:中 →先端部分だけを採集しなくてはならないけど、たくさん生えているので
・下処理コスト:小 →水で洗うだけ
◆ナガバオモダカ
・味の良さ:中 →まあまあ
・採集コスト:大大 →でっかい株にちょっとしか付いていない
・下処理コスト:小 →水で洗うだけ
◆ボタンウキクサ
・味の良さ:小小 →ってゆうか、こんなもの喰えない
・採集コスト:中 →とりあえず中心部分だけを採集
・下処理コスト:小 →水で洗うだけ(もしかしたら何らかの面倒な処理をしたら食べられるようになるかもしれない)
というわけで、食材としての価値は、ブラックバスとブルーギル、タイワンシジミ、クレソン、ナガエツルノゲイトウが高評価。アメリカザリガニは、高密度で採集しやすい場所さえ見つけられれば、同程度の評価になるだろう。
ジャンボタニシは意外と喰えるんだけど、うーん。ナガバオモダカとボタンウキクサは論外。
とあるサークルの会報に「大阪府鳥類誌 繁殖鳥編」というのを連載している。連載始めて早3年。大阪で繁殖する鳥は100種ちょっとしかいないので、そろそろ連載が終わりそう。で、次の連載のネタをそろそろ考えなくてはならない。かといって、引き続き「越冬鳥編」とか「通過鳥編」とか「迷行鳥編」とかをする気はあまりない。繁殖分布は気にしてるので情報も集めていて、そこそこ書けるのだが、その他にはあまり詳しくない。他に適任者がもっといるはず。で、繁殖以外に鳥の何に興味を持ってるかと考えてみると、食性であるらしい。というわけで、「大阪府鳥類食性誌」を思いついた。
そもそも、件の会報に連載を始めたのはいたってつまらない理由から。その会報の編集担当なのだが、毎回原稿集めに苦労する。何か自分で書けばいいんだ。なんかテーマを決めて連載を始めたら、コンスタントに書く理由もできる。などと思ったのがきっかけ。
大阪で繁殖している鳥の情報は集めている。それに文献調査の結果も盛り込んでいく。となれば、会報の埋め草にもなるし、情報整理も進むし一石二鳥。
そういえば、村田御大が数十年にわたって二つのサークルの会報に連載した大作『近畿地方植物誌』が出版された直後でもあった。将来、『大阪府鳥類誌』を出版するのにも役立つに違いない。と、あらぬ妄想がなかったとは言えない。
大阪での鳥の繁殖状況をまとめるのは、わかりやすいけど、食性をまとめるのは、ちょっとわかりにくい。どうして「大阪府」って付くんだろう? そもそも「食性誌」って聞いたことないし、何を書いてあるのか謎。と、自問してしまいそうになるので、自答もしてみよう。
要は、鳥の食性にからんだあれやこれやをまとめればいいに違いない。大阪府もなにも付いてなければ、世界の鳥の食性について書いてあるみたい。それは大変。というか無理。アジアでも、日本でも、近畿でも、大阪でもいいから何かしら限定したいところ。で、近畿にも惹かれるけど、一番身近なホームグランドである大阪府を付けておこうかと思う。さらに、大阪で記録のある鳥全部について語るのは面倒なので、少なくともある季節に定期的に見られる、すなわち大阪で採食している鳥の食性の話に絞ろうと思う。
書く内容は食性だけではなく採食生態的トピック。それを二つの軸で整理。まずその鳥の一般採食生態(文献を引用)と、大阪で見られた採食生態(観察情報)という区分け。そんでもって、採食生態として取り上げる内容は、食性のみならず、採食環境・場所、採食行動、そして何か面白いポイントがあれば季節性や個体差にもふれる。
分量がまとまってくれば、けっこう面白い内容になるんじゃないだろうか。ただ、最初から完成したものを書くのは難しい。問題提起的な内容が多くなるんじゃないかと予想される。書きやすい鳥から書くか、分類順に書くかも悩むところ。
この冬は、なぜか大阪府下のホオジロ類の越冬分布を調べることに。大阪で毎年越冬していると考えられるホオジロ類は、ホオジロ、ホオアカ、カシラダカ、ミヤマホオジロ、アオジ、クロジ、オオジュリンの7種。この内、ホオジロ、カシラダカ、アオジは、都心部を除く大阪中に広く分布している(たぶん)。でも、残る4種は、けっこう限られた場所、地域でしか越冬していないように思う。それを明らかにしてみたいということで企画。この冬で不充分なら、もう1シーズン調査するかも。
大阪のいろんな鳥の分布を真面目に明らかにしようとした報告として、『大阪の野鳥VOL.5』がある。1990年発行とちょっと古いけど、それ以降はないんだから仕方がない。ここに載ってる分布図をながめて、気になる4種の分布の謎を確認しておこう。
◆ホオアカ:越冬期の記録は、北摂、淀川上流部、生駒南部の麓、堺市、泉南市辺りに点在するのみ。経験的には、毎年同じような場所に少数が越冬しているイメージ。でも、調べたら河川敷などにもっと広く分布しているんだろうか?
◆ミヤマホオジロ:北摂に広く記録があるのに対して、大阪府南部の記録が少ない。和泉山脈にはこんなに少ないの?
◆クロジ:北摂、生駒、金剛山地に記録が点在といった感じ。暗い林の林床にいるイメージだが、暗い林ならどこにでもいるってわけでもないのか?
◆オオジュリン:どうも大阪での記録は圧倒的に淀川に偏っているらしい。淀川以外には埋立地に記録がある以外は、ほんとに少ない。
というわけで、けっこう疑問がいろいろ湧いてくる。わざわざ越冬期の分布を調べる価値がありそう。調査期間は、2008年12月1日〜2009年2月28日。秋の移動がほぼ終わって、春先の動き出しの前までってイメージ。この期間に大阪府下でホオジロ類を観察したら、ぜひ種名、観察日、観察場所、観察者名をお知らせあれ。場所はできるだけ詳しく、できれば地図付きで。
あと、報告時に観察した環境を付けてもらえると嬉しい。クロジは暗い林の林床、オオジュリンはヨシ原。といったイメージをデータで示せるかもしれない。環境の記述の仕方は、あとから整理しようと思うので、とりあえず自由に詳しく。
ふつうシジミを採りに行くと言えば、汽水域に行く。一昔前なら琵琶湖でもありかもしれない。でも、なぜか高槻の山手へ。なぜなら外来生物を食べようという企画の食材集めだからである。苦労する割には量が採れない。マシジミ(及びタイワンシジミ)が市場に出回らないわけがよくわかる。
今までにタイワンシジミを採集したことのある場所をピックアップ。できれば大阪府下、そして淀川水系。という絞り込みの後、高槻が選ばれた。近接する複数地点で採集記録があること。比較的山手で、水質がましっぽくて、食べてもいいかな、と思ったのが選ばれた理由。
他に3ヶ所ほど、大阪府下の淀川水系で、死ぬほどたくさんのシジミがある場所に心当たりがあったのだが、2ヶ所はマシジミの可能性があるのでパス。もう一ヶ所はトイレの真下で、露骨に臭かったのでパス。
とりあえず、第一ポイントを狙う。ここは死ぬほどたくさんあった、ような記憶がないので、不安がある。とりあえず、水路沿いに採集。それなりに
取れるけど、一網に2〜3個程度。それに小さい。早々に諦めて、別の場所を探す。が、近所に他にシジミポイントが見あたらない。仕方がないので、第二ポイントに移動。
これまた水路。上流側にはシジミの殻もなく、ものすごーく不安になる。が、少し進むと、シジミがゴロゴロいるようになった。一網に大きめのが5個以上は入る。楽しく1時間近く採集していたらしい。容器がいっぱいになったので、終了。
帰ってきて成果を数えてみた。4人で行ったのだが、採ったシジミの数は大幅に違う。ちなみに一人当たりのノルマは50個と設定されていた。若干1名はノルマを達成できたのか不安だったらしい。
が、その最下位のYさんですら122個採っていた。ベッタ2は、Mさんで147個、Hさんが2位で、248個。首位は451個。むろん圧勝である。それはともかく、合計968個。100人で食べても一人9個はある。と書くととても多いような気がするけど、バットに入れて並べると、さほど多いようにも思わない。
並べているのを萌蔵が見て、見事にタイワンシジミばっかり。と言っていた。マシジミが混じってなくてなにより。
でも、一つ気になるのは、大型の個体はけっこう殻の厚みがあること。こういう形のシジミはセタシジミであると、臨湖実習で習ったものだが、セタシジミがいるはずもなく。タイワンシジミって、少しマシジミと形が違う、ってことはないのかな?
新プロジェクト始動。期間は2009年2月末まで。参加希望者は、以下の要領で調査し、報告のこと。
【調査地】
大阪府内の、山手、またはまとまった林の残る丘陵の社寺林。事前にわかるなら大径木がある場所。
【持ち物】
地図、双眼鏡、強力ライト、フィルムケースなどの小さい入れ物、筆記用具
【手順】
1:夕方、できればまだ明るい内に到着。大径木(胸高直径50cm以上)の樹種と本数を記録(樹種がわからなければ落葉樹の一種とかでOK)。大径木の下に糞がないかを確認(糞は正露丸位の大きさの球状、色は黒〜薄茶色、簡単に割れて断面は細かい植物体の破片)。見つけたら数個採集。
2:日没後30分を含む、15分以上、現地に待機。姿と声を探す。見つけたら記録。
3:調査日、調査時間、調査場所、調査者名、糞調査と確認の有無、姿と声の確認の有無を報告。糞を採集した場合は送付のこと。
(注:たとえ生息していても、日没前後の15分の待機では見つけられるとは限らない。むしろ調査の重点は、大径木下での糞探しに置いた方がいいだろう)
調査対象は、もちろんムササビ。大阪で近年の記録があるのは、河内長野市から泉佐野市にかけての和泉山脈のふもとと、金剛山くらい。が、その昔には北摂にも記録があるし、生駒山地にもいたという。かつての記録のある場所、近年生息の可能性が指摘されている場所を中心に、調査してみたい。協力者募集!
で、昨日はプロジェクトMusaの調査第一弾。寝屋川市の寝屋神社に行ってみた。「寝屋川の自然」という本に、ムササビ生息の可能性が指摘されている(飛んでるのを見たという噂があったらしい)。
日没ちょっと前に現地に到着。山から少し離れた丘の上に寝屋神社はある。かつてはいい感じの神社だったのかもしれない。が、すぐ南東側を大きな道路工事中。かつては林で山手にまでつながっていたような感じだが、もうその面影はない。境内を見回しても大径木は2本程度。下を見ても糞は見つからず。これは期待薄。一応、日没後30分(この頃合いから辺りが暗くなる)から約15分ねばったが、ムササビは声も影も見あたらず。いないんじゃないかな〜。
次は、河内長野市の金剛寺に行く予定。1999年の某報告書に多数の爪痕と声を確認したとある。糞は見つかるだろうか?
その後、調査に行く場所を募集中。かつてムササビがいた場所、ムササビを見たという噂のある場所があれば、ぜひお知らせを。とくに生駒山地周辺と北摂の情報を歓迎。
自転車でウロウロしている時間は、けっこう考え事ができる。急ぎの仕事の進め方を考えたり、抱えている原稿の書き方を考えたり。とまあ、まともな考え事もあれば。石けん切れたなぁとか、洗濯しなくっちゃとか、日常生活的な事も考え。昨日、あの時にこう言ったけど、ああ言えばよかったとか、今さら考えても仕方がない反省をしたりもする。
今日は、締め切りを過ぎている原稿の事を考えなくっちゃ。と思いつつ、学生時代の事を思い出していた。
一緒に大学院に入った相方は、ソシュール言語学と生態学がどうしたこうした、と最初の研究計画発表で話をした。結局、そのテーマはあっさり止めたのだけど、なぜかいまだにそのテーマの断片を覚えている。おそらくソシュール言語学は奥深いんだろうけど、そこで問題にされていたのは、恣意性の一点。シニフィアンとシニフィエ。意味と、意味を表す記号の結びつきは恣意的である。という理解でいいんだろうか? 今なら、恣意性を軸に色々なテーマを思いつきそうだけど、その頃はなーんにも思いつかなかった。
性選択で、メスが好むオスの形質は、恣意的に決まっているという考えがある。ある閾値を越えればランナウェイを始めるんだろうけど、選ばれる形質は、ある時点で偶然に多かったってだけとか。これってデファクトスタンダードと同じ。多数派に有利に働く密度or頻度依存効果があればいいわけ。
多数派有利の密度or頻度依存効果といえば、繁殖干渉による少数派排除の話も同じ。安定したシステム維持には、こうした多数派有利のメカニズムが色々と働くんだろう。
でも、奴が問題にしたかった恣意性はこれとはちょっと違う気がする。もっとソシュールより。意味と意味を表す記号の関係。生態学的には、両者の結びつきが恣意的に決まる点よりも、結びつきが曖昧で、意味が転ずるような状況の方が面白いかも。
昨日、伝言をもらった。安政南海地震の時の大阪の津波被害についての本を自費出版した人から、売って欲しいという依頼があったそうな。さっそく、実物を見てみる。地元大阪の話がいろいろ載っている。真面目に調査したようだし売っても問題なさそう。地元だし、地震・津波の展示もしてるし、けっこう売れそう。で、さっそく委託販売をしたい旨、電話で告げる。
喜んで下さったらしい。今からすぐ持っていきます!という。まだ、販売条件も話し合ってないのに…。条件はこっちの言いなりでOKとのこと。とりあえず希望冊数を告げて電話を切る。予定外の早い展開。
15分ほどしたら、本当に持ってこられた。まるでラーメンかピザの出前のよう。自転車ですぐ来れるらしい。とりあえず、販売条件を確認して、納品書と本を受け取る。
ついでによもやま話。自費出版で、この販売価格ではほとんど赤字という話や。せっかくなので、あちこちで売りたいと思い、大手の書店にお願いに行ったという話。書店Aと書店Kには断られ、J堂とYーゴは置いてくれたらしい。そうそう、そうやねん。こっちも経験があるので、思わず話が盛り上がる。
書店Aと書店Kは自費出版の本を直接扱ってくれない。取り次ぎを通せと言われる。取り次ぎに頼むには、1アイテムごとに売り込み先の数に応じて手数料を取られる。ただでさえ採算を割りがちな自費出版には辛い。それに対して、J堂は流通に乗っていない地元の本を扱おうという方針があるらしい。3ヶ月に一度の精算で、毎回書類と残った本のやりとりが面倒なのだが(よく言えばきっちりしてる)、置いてもらえるだけでも嬉しい。Yーゴも、ポスター送ったら貼ってくれるし、地元に優しい感じ。
で、今日さっそく販売開始。地震本フェアで平積みにして、講演会の前でも売ってみた。よく売れた。仕入れたのは20冊なのだが、1日で13冊売れてしまった。今日は特別な日ではあるが、この調子ならあっという間に売り切れそう。さっそくまた出前を頼もう。
J堂とYーゴは置いてくれたもののさっぱり売れないらしい。場所と客層を選ぶ本なんだろう。たしかに今この辺りには、地震や津波に興味のある関西人がたくさん来ている。講演会の講師の先生も、この本見たことないと言いながら(そらそやろ)、買っていった。中身を気に入って、業界紙に書評でも書いてくれたら、もっと売れるかも。
調査に出掛けるつもりが、なぜかデスクワークをする羽目に(約束してたのを忘れていたのである)。とってもいい天気だったのに残念。で、一日座っていると、入れ替わり立ち替わり、色んな死体を受け取ることになった。座っていて正解だったのかもしれない。
最初は、西宮のソウシチョウ。とても綺麗。何かに衝突したらしい。
次に、ゴイシチャボ。死体ではなく生きていた。とても綺麗でおとなしい。食べても、標本にしてもいいと言われたが、可愛いので殺しにくい。また、標本になるまで飼われているお友達が増えたかもしれない。
そして、イカル。これはお約束であった。何かに衝突したらしく、鼻から出血。そして上嘴の付け根が少し壊れている感じ。
出掛けていた植物担当が言付かってきたドバト。ドバトはとくに集めてないけど、持ってきてもらったら受け取っている。初心者の皮むき練習にピッタリなので。冷凍されていないドバトなので、ハトハジラミを採集して、腸内細菌を調べている人にサンプル提供。というのをうっかり忘れて、冷凍してしまった…。
夜になって、枚方のキツネ。お父さんが拾ったのを娘が持ってきてくれた。授業料として収めますとの伝言付き。授業してるんじゃなくって、話相手になってる、というかずっと話を聞かされているだけ。むしろ、なんだろう。カウンセリング代とか。
昨年もそうだった気がするけど、秋も深まってきて、夏の間見かけなかったタヌキのため糞が復活してきた。昨年見つけたタヌキのため糞場所を時々チェックしていたのだけれど、春まではあったのが、夏になったらなくなっていた。糞があった痕跡は残ってるけど、新しい糞は追加されない。タヌキがいなくなったのではないかと、少し心配。昨年は、少なくとも10月半ばにはため糞があったのに、今年は半ばになっても見あたらない。ほんとにタヌキはいなくなったのかと心配しはじめたのだけど、今日見回ってみると、新しいため糞ができていた。といっても、まだ規模は小さい。復活して間もない感じ。このまま冬中。続く予定。
夏場に使ってなかったので、もう以前の糞の痕跡はほとんどないのだけれど、やっぱり似たような場所にため糞場所ができているのが不思議。そもそも夏場はどこで糞をしてたんだろう?
というわけで、不定期でもいいから、チェックしたらその様子を記録してみようと思う。ついでに糞に何が入ってるかも記録したら楽しいかも。とりあえず、今日の糞にはワシントンヤシの種子がけっこう入っていた。
今日は夕方から本のサークルがあった。2ヶ月に一度の会合。でも、集まりが悪く、今日は5人しかいなかった。寂しい〜。というわけで、仲間を増やすために、紹介してみよう。
会合では、本を持ち寄って、自然史関連の本談義など。でもって、毎回課題本を7冊ほど決める。そして次の会合までに、各自で好きなのを読んで、紹介文を書いてくる(紹介文は400字程度かな)。その紹介文を見つつ、また本談義。紹介文から1〜2つほど公表用を選んで、年度末に冊子にしたり、展示したり、某友の会の会報に載せたりする。
会合直後はやる気があって、けっこう本を読むのだけれど、中だるみがあって、会合直前にまたがんばる感じ。読んでもなかなか紹介文を書かないから、会合直前にまたがんばる感じ。まあ、おかげで、たくさん本を読める。マンガやSFは勝手に読むし、物書きに必要な本は必要に応じて読むけど、自然史関連の一般書はなかなかきっかけがないと読めない。というわけで、たいへん有り難い。
それに、読んだ本について、あれやこれやと、難癖付けたり、誉めたりと、他の人と意見を交換するのは楽しい。
次の会合は、
12月26日(金)の夜(だいたい金曜の夜なのである)。今回の課題本は、
1.「調査されるという迷惑」宮本常一・安渓遊地著、みずのわ出版
2.「自分の体で実験したい 命がけの科学者列伝」レスリー・デンディ&メル・ボーリング著、紀伊国屋書店
3.「ワイルドライフ・マネジメント入門」三浦慎悟著、岩波科学ライブラリー
4.「地震の日本史」寒川旭著、中公新書
5.「食中毒のリスクと人間社会」清水潮著、幸書房
6.「空を飛ぶサル? ヒヨケザル」片山竜峯著、八坂書房
7.「アマゾンの森と川を行く」高野潤著、中公新書
の7冊。集まったメンバーが好き勝手に決めるので、なんか特に傾向はなくバラバラ。とりあえず、3と6は読むとして、あとは1と4かなぁ。
自然史関連の本を読むのが好きな人は、ぜひ参加を。興味があれば連絡ください。
池とかに浮かんでいる謎のゼリー状の物体。あれのこと。オオマリコケムシでいいんだろうか? コケムシと名が付くからには、動物だとは知ってたし、海岸の石にへばりついているカイメンと並ぶ謎の動物の親戚だとは知っていた。でも、普通は池の縁からながめるだけで、触ったことはなかった。
今日いった淀川のとあるわんどに、オオマリコケムシが1匹。あの物体は1個体ではなく群体だそうなので、1群体かな。とにかく、それが手の届くところにいた。萌蔵が捕まえたというか、すくったというか。直径30cmくらいの寒天質のボール。採集したからには標本にしたいところだが、まるごとはちょっと大きくて邪魔。ということで、一部だけちぎって、容器に入れていた。せっかくなので触らせてもらった。
ブヨブヨしてるかと思ったら、意外と堅い。ゼリーのようにブヨブヨではなく、アカガエルの卵塊とは全然違う。中は透明なだけで、とくになんの構造もなさそう。そして表面に直径1mm足らずの点々がある。と思ったら、その点々がコケムシ君の本体らしい。
堅いゼリーをさわっていると、手のひらにコケムシ君が取れてくる。せっかくなので、ルーペでのぞいてみた。目玉の親父という意見もあったが、むしろ青くない小さなギンカクラゲみたいな感じであった。けっこう可愛い。
あの小さな体で、あの大量の寒天質の塊を作っているとは驚いた。その寒天質は、固着したい君達にとっての、海岸の岩に相当するもんなんだろうなと思う。体の一部ではなく(たぶん)、鳥の巣やカニの巣穴と似たような物? だとしたら動物の巣を特集する時には、ぜひあの寒天質の塊を混ぜてあげてほしい。
【追記】
小さなギンカクラゲは、休芽というものらしい。水槽に入れておいたら、芽が出るかも。
近くの池でカメを捕った。というか捕る人に付いていった。この池では、10年くらい前に、カメを捕まえては、放すを繰り返して、生息個体数の推定なんぞをしていた。
最新式のカメ篭は、入口が縦型になっている。そして、奥が袋状に長く伸びている。なんだこれ?と思っていたが、セットしているのを見て分かった。そこに空のペットボトルを2つばかり放り込んでおくと、その細い袋が水面に浮くのである。おかげでカメ篭本体を深い場所に仕掛けても、カメが溺れる心配がないという優れもの。新型のカメ篭欲しいな〜。
が、盲点が一つ。その袋の先は、開くようになっていて、そこから捕まえたカメを出せる。が、先っぽをちゃんとくくっておかないと、そこからカメが逃げてしまうのだ。二つ仕掛けたカメ篭の片方は、袋の先が破られていて、小さいクサガメが1匹残っていただけだった。しかしもう一つのカメ篭はすごかった。袋があるおかげで、カメ篭の定員も多くなっている。なんと、クサガメ2匹とアカミミガメ17匹が、ドシャーと入っていた。
アカミミガメの数を数えながらチェックしていくと、なんと昔マークしたカメが4匹見つかったのだ。甲羅の端っこに開けた穴は、外側がすり切れて、穴というより凹みになっていたが、この印は明らかに人の手によるもの。10年近く経ってもマークが残るなんて、とても優秀。
マーク個体のマークを確認し、体重や大きさを測ってみた。以下がその結果。標識日と今回の体重・背甲長の変化を示してみよう。
・No.2078(メス):標識日1998年8月31日
体重:1950g → 1980g
背甲長:227.0mm → 232.4mm
・No.2209(メス):標識日1999年7月19日
体重:1896g → 2100g
背甲長:220.0mm → 226.2mm
・No.2222(メス):標識日1999年7月19日
体重:903g → 1445g
背甲長:175.4mm → 200.2mm
・No.2270(オス):標識日2000年8月28日
体重:738g → 800g
背甲長:169.6mm → 178.1mm
みんな大きくはなってるんだけど、8〜10年も経ってる割には育っていない。メスは20cmを越えると、10年で5mm程度しか大きくならないものらしい。一番大きいNo.2078のメスは、いったい何歳なんだろう? もしかしたら年上かなぁ。
近所の馴染みの池。十数年にわたって、しょっちゅう見てきたが、中に入った事はなかった。底が見えるので、岸際が浅いのは知っていた。が…。
今日、11月のとあるイベントの下見を兼ねて、その池に入ってみた。というのはウソで、下見に来た人に引っ付いていって、池に入るのを見ていた。胴長をはいたその人は、チャポチャポと歩いていく。岸から10mくらい離れても、深さはせいぜい1メートル。もう一つの場所では80cm程度か。こんなに浅かったのか…。
試してはないけど、歩いて横断できそうな感じ。カワウが来るけど、あんまり潜ってない気がした。きっと横に泳いでるんだろう。まちがっても、カンムリカイツブリやミコアイサは来ないんじゃないかと思う。
近頃、普通のかっこうでよく川に入ってしまう。でも、池は深そうな気がするので、ほとんど入ったことがない。これなら意外と池にも入っていけるかも、と思わなくもなかった。でも、よい子は真似しないように。
せっかくの日曜だからどこかに出掛けようと思ってたのに、雨がふるなんて〜。と、今日の雨で迷惑されたみなさま、申し訳ありません。少なくとも京阪神辺りの今日の雨は私が手配しました。
今日は、ザリガニ釣りをする予定だった。まあ、企画した時から、ザリガニ釣りにはちょっと遅いかなとは思った。で、先週下見に行ってみると、案の定、ザリガニの姿は少ないは、いても動かないわ。これではザリガニ釣りにはならない。ザリガニすくいすら危ない。帰ってきてさっそく、竜神の使い1号のHさんに、26日雨降らしてね。と頼んでおいた。Hさん、曰く。ああ、ええよ。なんでも今月はすでに5日にも雨を降らしたらしい。
その日の夜、週間天気予報を見ると、たしかに26日は雨模様になっていた。さすがは霊験あらたか。
と、一瞬油断したのだが、5日前くらいになって雲行きが怪しくなる。というか、雲行きがよくなってきた。週半ばで雨が降ってしまい、週間天気予報によると、土日は晴れそうな勢い。やばい。仕方がないので、もう一度下見に行って、ほんとうにザリガニがいないか探す。やっぱりいない。ジャンボタニシはいたから、タニシ採りでもしようか? とにかく、もう一度、Hさんに念を押す。さらにもう一人の御使い、雨女さんにもお願いする。こっちはそのマネージャーさんにザリガニ釣りに誘ってもらう感じ。自由に雨をコントロールできるようになりつつあるHさんと違って、雨女さんは楽しみにしている行事に雨を降らすという技を使う。
昨日は一日に何度も降水確率をチェックしていた。日曜午前の降水確率は、朝方は30%だったのが、昼には40%、夜には50%にまで上がってきた。よしよしそのまま雨を降れ〜。と祈っていたら、なかなか寝付けなかった。
朝起きたら、予定どおり雨が降っていた。中止かどうかの判断は、午前7時。この時点で降っていればOK。というわけで、見事に雨天中止となった。ちょっと寝不足になった以外は、予定通りの展開。
あらためて竜神さまの使い達の力を見せつけられたといって良いだろう。意のままに操るとまではいかないようだが、ここまでコントロールできれば、充分商売として成り立つんじゃないだろうか? とりあえず使いのお二人にはお供え物を差し上げなくては。ビールと寿司でいいかな? 今ならまだ安くあがる。
一方、ザリガニ釣りを楽しみにしていたみなさま、すみませんすみません。どうも楽しみにしていた方は、多かったようで…。できれば、来年にでも、もっと良い季節にリベンジを。
大きな哺乳類の皮を剥く時には、耳の軟骨も取らないといけない。これをさぼると耳が腐ってしまう。が、とても面倒。皮が破れまくって、腐るよりも悲惨なありさまになることもある。
今日は、バーバリーシープの耳に挑戦した。先日、エランドの耳に挑戦したとき、背側を先まで剥いて、あとは指で引っ張って引きはがすという新技を開発したので、試して見たかったのだ。エランドよりバーバリーシープの
方が手強かった。耳の内側の皮が薄いのである。その上、人差し指の先を気持ちよく切ってしまった。皮が血に染まって作業がしにくいし、少し痛い。バンドエイドを貼ってもすぐにとれる。仕方がないので、人差し指抜きで作業を進める。やりにくい。皮も破れる。キー!
結局、2時間くらいかかってしまった。長くて薄い耳は嫌い。偶蹄類は嫌い。
近所には、新鮮なシカの死体があった。頭を見ると、目の少し後の上寄りにつむじがある。さわると少し出っ張っている気がする。ここから、ここに、角が生えてくる違いない!と閃いた。
が、副団長にこのシカはメスであると、にべもなく否定される。その上、オスであっても、角が生える場所とつむじの場所は違うと言われる。シカのプロの副団長には逆らえないが、なぜかなっとくが行かない。つむじに角が生えた方が、デザインとして綺麗なのに…。
シカは、交通事故にあって足が折れて、目の前で死んでしまった。というのをもらったもの。肉も内臓もとても新鮮であった。中から出てきた綺麗な肝臓にかぶりつきそうになる団長を止めるのが大変であった。
釣り師は、自分が釣り上げた魚の中で一番大きかったのを、ちゃんと覚えているのではないだろうか。魚拓とかにして記録している場合もあれば、サイズを測って覚えているだけの場合もあるだろう。どちらかといえば、大きかったという事実だけを覚えていて、年々大きくなっていくこともあるかもしれない。
我々、貝採り師も、むろん自分が採集した一番大きいのを覚えているのである。数名で貝採りに行った時には、数を競っているようでいて、その実自慢できるのは数ではなく、大きさなのである。大きい貝を採集したら標本にして、博物館に寄贈して保存しておいてもらえば、永久に自慢ができるのである。
今日、とある場所に出掛けた。アメリカザリガニを探しに行ったのだが、ぜんぜんいない。代わりにジャンボタニシがいたので、なにげに採集してみた。でっかい! 自己新の可能性大。
帰ってきて一番にしたことは、その大きさを測る事。ジャンボタニシの大きさを競う場合は、高さだけでなく幅も問題になることがあるので、両方測ってみた。殻高60mm、最大幅58mm。でっかい! 間違いなく自己新である。
そういえば、以前、Nさんが大和川ででっかいジャンボタニシを採っていた。あれが、公認世界最大のジャンボタニシ(認定は私が行うので、私が知る限りという意味)。どこかに大きさを記録していないかな、と思って調べてみた。なんと世界記録は、殻高65mmであった。惜しい〜!
いつかきっと世界新記録を出すぞ! と2年半前にも誓ったようである。
新しい本がようやくできてきた。校了してから妙に時間がかかったけど、なんとか無事に完成。できてきてみると、やたらと分厚い。同じシリーズで本を出す予定なので、ページ単価が気になるところ。これでシリーズ4冊目なので、ページ単価を比べてみよう。
・『大和川の自然』132ページ、2800円+税 →21.2円/p
・『標本の作り方』190ページ、2500円+税 →13.2円/p
・『干潟を考える、干潟を遊ぶ』159ページ、2500円+税 →15.7円/p
・『鳴く虫セレクション』331ページ、2800円+税 →8.5円/p
このバラバラ具合はいったいなに? 上の3冊は売れそうなタイトルほど、ページ単価が安いような気がする。とすると、『鳴く虫セレクション』は相当期待されているということかもしれない。羨ましい。
現在準備中のこのシリーズ第5弾は、きっと期待されていないから、ページ単価は20円位だろうと思う。
そもそも第5弾は、準備段階からして『鳴く虫セレクション』とはまったく違っている。『鳴く虫セレクション』は、目次と執筆分担を決めたら、一瞬で原稿が集まり。それも予定枚数を超過して、どうやって分量を減らすかで悩んだという。
こちとらは、『鳴く虫セレクション』より半年以上前から企画しているのに、さっぱり原稿が集まらず。もしかしたら、一人で全部書かないといけないのか?? という体たらく。今年度中に出せるのかなぁ。
床に近畿地方の地質図がでーっかく貼ってある。広さは6畳くらい。で、地質っていうのか岩石の種類っていうのかで、色分けされている。凡例をみると約360種類に区分けされているのだが、どうも近畿地方で全部が使われているわけではなさそう。とにかく色分けされた大きな地図があるので、これを使っていろいろ遊べそうに思った。
◆地質さがしゲーム
カルタみたいなもの。まず親を決める。親は凡例の中から一つを選んでコール。他の人はそれを探す。最初に見つけた人が勝ち。もし使われていないのを選んだら親の負け。
◆色押さえゲーム
なんていうゲームだったか。右手-青、左足-緑などと指定されて、押さえていくゲームがあるね。あれあれ。これを地質図の上でする。紫といっても色んな紫が使われているので、その紫を選ぶのが適当かでもめるかもしれない。色ではなく、左手-蛇紋岩といった指定も可能。だが、参加者の多くは凡例を見て、説明されないと、どの色が蛇紋岩かわからないのが難点。で、このゲームなんていうゲームだっけ?
◆地質借り物競走
ここまでは室内ゲームだったが、ここからはフィールドを縦横に使ったゲームである。指定された石を採取してこなくてはならない。地質図から直近の産地を見つけて、採取して帰ってくる。問題は、採取してきた石が正しいのかどうかの判定に高度な知識がいること。
◆地質オリエンテーリング
これは簡単。凡例には数字がふってある。これを順に採取してくるのだ。順番はどうでもいいから、全種制覇するというルールでも可。日本全国鉄道乗り尽くしみたいなもの。もしかしたら、そんな人は実在する?
【追記】
そのゲームの名はツイスター。いろんな方が教えてくださいました。ありがとうございました。常識だったのか…。
大阪の哺乳類について何か書いたり話したりするとする。とりあえず大阪府下で、何種記録されているかが気になるところ。これがちょっと面倒。
・アズマモグラ:大阪では記録されていない。某雑誌にいったんはアズマモグラ(当時はコモグラとして)報告されたが、後にミズラモグラに訂正されている。が、大阪府生物目録には載っている。なんとレッドデータブックにも載っている。みんな後の訂正を見落としているらしい。
・ミズラモグラ:というわけで、ミズラモグラはいるのかというと、微妙。二上山と大和葛城山と岩湧山で記録がある。ただし、そのどれもがギリギリ大阪府側ではないのだ。きっと、大阪府側にもいるだろうとは思うんだけど…。
・ヤマネ:古い大阪の哺乳類のリストには時々でてくる。ただし、いずれもソースは同じらしい。1977年頃、生駒で有力な情報があったというのだ。ただし観察日や確認方法などの詳細は不明。そして場所は「宝山寺の上」。どこまで上かは知らないけど、稜線を越えないならそれは奈良県側。残念。
・モモジロコウモリ:大阪府境から約100m兵庫県側の場所で確認されている。ぜーったい大阪の上も飛んでると思うけど、確証がない。某所でのアセスメント関連の調査において、大阪府内で確認されたらしいという情報をもらった。が、どうも公表されていないらしい。どうにかならないものか。
境界のすぐ外にいるんだから、大阪にいるってことでええやん。という考えもありそうだが、ちょっと気持ちが悪い。
生物に大阪府内かどうかなんて大した意味はないだろう、と言われたこともあるが、でも大阪府の話をするならちょっとこだわってみたいところ。それに境界を基に行政が行われてるんだから、生物の暮らしに府県境がまんざら関係ないとも言えないだろうし。
ついでに大阪湾の海生哺乳類。境界線上なのは、
・マイルカ:マイルカとされる観察例はけっこうたくさんある。が、標本として残っているのは知る限り1体だけ。そしてそれは、同じマイルカ属のハセイルカと同定された。つまり、大阪湾で観察されてマイルカとされているのは、ハセイルカである可能性があるわけ。はたして、大阪湾に本当にマイルカは記録されているのか。これまた困った。マイルカ属の一種として扱うしかないか?
「たかなし」と読みたくなるが、ここでは「ひとなし」と読もう(「ひとでなし」ではない)。
休みの植物園を歩き回った。今は秋の遠足シーズンなので平日は子ども達がいっぱい。気候がいいので週末はさらに人がいっぱい。芝生は毎日人だらけ。でも、休園日の今日は、セキレイたちが歩き回っていた。ハクセキレイが5羽ほどいるなかに、セグロセキレイとキセキレイも1羽ずつ混じっている。歩いては芝生をつついているのは、虫でも食べているのだろう。芝生の虫的には、休園日なんかなくなればいいのにってところか。
観察会には出てくれなかったカワセミも、今日はいったり来たりしている。こちらも池の周りに人がいないから、手すりに何気なくとまっている。見つけやすい。
都市生態系では、人の活動の多少が、種間相互作用に大きく影響を与えるんだろう。開園日と休園日の種間相互作用の違いを調べて、休園日が都市生態系の構造にどのような影響を与えるかを明らかにする、なんて研究は存在しないかな?
朝、寝坊した。一つめの失敗。やばい!と慌てたりはしない。朝1時間ほど時間休をとろっと。その決断だけで、むしろ時間的にも心にも余裕がでてくる。で、余裕をもって職場へ。
今日は日曜なのに、行事もサークル活動も調査も学会もない。たいへん珍しい日である。手帳をながめると、そんなのは7月19日以来、今年3回目。日曜としては今年初めて。天気もいいし、こんなことなら休みにでもして、どこかに遊びに行けばよかった(といいつつ実際は調査するが)。と、思いつつふと見ると、今日は指定休であった。最初から休みだったのに出勤してしまい、休みにすればよかったと考えていたのか‥。これが二つめの失敗。習慣とは恐ろしい。
お昼。ご飯の後、バームクーヘンを食べた。先日冷蔵庫から発掘されたもので、賞味期限は2007年8月であった。これで食中毒を起こしても、製造者責任は問えないだろう。少しドキドキはしたけど、臭いは変じゃないし、味見してもおかしくない。少し食べて、1時間経っても何も起きないので、あとは普通に食べた。真空パックがいかに長持ちするかを、実証したといっていいだろう。現時点で腹を壊していない以上。これは失敗ではない。
夕方になって思い出したのだが、明日は健康診断の日。夕食は午後8時までに済ませないといけない。昨年は食べ忘れて、ものすごい空腹な一夜を過ごした。今年は失敗しないように頑張ろう。
今日、これから起きる最悪の事態は、今年も夕食を食べ忘れ、その上、バームクーヘンにあたって、一晩中、腹を下すパターン。そうなれば、失敗の一日として、すごくまとまった感じではある。
プロジェクトPという妙な団体がある。プラナリアを調べる団体らしい。団体が妙なら、その代表はより一層妙である。どのように妙なのかは、一度会えばわかるのだが、それはさておき。
淀川水系の調査プロジェクトでも、プロジェクトPの強い圧力でプラナリアを調査することになった。どこかに行くたびにプラナリアを探すようにとのお達しがある。捕まえてきたら、代表に連絡する。すると代表が出没し、プラナリアを同定し、標本にし、データを整理しているらしい。とにかく、一人でしゃべりながら、えんえんと作業している。独り言かと思って放置していると怒られる事がある。
さて、高槻でアメリカナミウズムシを採ったと連絡したら、今日も代表がやってきた。それだけ処理するのかと思ったら、先日青森で採ってきたプラナリアを、例によって一人でしゃべりながら撮影しはじめた。
なんと代表は、わざわざ青森までプラナリアを採集に行ったのだ。プラナリアごときで青森まで行くか〜? と、ちょっと呆れなかったといえばウソになるだろう。オオセッカを見に青森に行くのなら納得するのだから、勝手なもんである。
で、ちょっと気分転換に青森からやってきたプラナリアを見せてもらった。意外なことに、けっこう盛り上がった。とりあえず見せてもらったのは、3種。いずれも大阪で採ってるプラナリアとはぜんぜん違う。せっかくなので、忘れないように記録しておこう。
カズメウズムシ:黒くて大きい。頭の先が両側に拡がっている。で、最大の特徴は、小さい目がたくさんあること。メフィラス星人と覚えておこう。
イズミオオウズムシ:黒くて大きいのは同じ。頭の形は普通で、目は二つでタレ目。タレ目ちゃんと覚えよう。
キタシロカズメウズムシ:基本的には白いカズメウズムシなのだが、このインパクトは大きい。とにかく白くて綺麗、たくさんの目がとても目立つ。プラナリア界のアイドルといっていいだろう。何に似てるかといえば、一反木綿。
青森はいろんなプラナリアがいて楽しそう。大阪でもこんなのが見つかるといいな〜。と、少しプラナリア採集に意欲が湧いてきた。代表の策にはまったのかもしれない。
ザリガニ釣りの企画があるので、下見に行ってみた。企画段階から不安はあった。10月終わりって、もうちょっと寒すぎないか? ザリガニ釣れるのか? 不安は実現した。
駅を降りて、水路沿いに歩く。何度も来たことがあるエリアなのだが、通過するだけで、水路沿いを歩くことはなかった。今日改めて歩いてみると、縦横に水路が走り回っていて、あちこちに水草が生えていて、淡水貝も目について、とても楽しい。
とはいえ、今日の目的はザリガニ。肝心のザリガニは見あたらない。でも、水路はたくさんあるので、きっとどこかにいるさ。というわけで、水草を見つけては水路に降りて採集し、ついでに貝も採集。ドブガイやトンガリササノハガイを見つけて、密かに盛り上がる。
水路が走り回っている田んぼの中には、あちらこちらに学校がある。ちょうど下校時刻らしい。小学生や中学生と覚しき者達が通りかかる。こちらは、水路の中で、水網を振り回したり、水草を抜いたり。大部分の者達は見て見ぬふり。中には訳の分からない叫びを上げてくる輩もいる。未就学児を乗せたお母さん達も通りがかる。お母さんは大人なので見て見ぬふり。でも、子どもは、いま川に落ちてる人がいた!と叫んだりしてる。
で、結局見つけたザリガニは2匹だけ。どちらも元気なく、簡単に手でつかまえられる。絶対に釣れない。よくて少しすくえる程度。この企画どうしよう?
とりあえず雨乞いが一番前向きな対策ではないかと思う。帰ってきて、竜神に魅入られた男に雨を降らすよう頼んでおいて。彼は、2週間ほど前にも見事に期待通り雨を降らしている。今度もよろしく〜。
今日も地震のお勉強。短く説明できない内容を短く書く。難しい。
今日最初のお題は、
「軟弱な地盤の影響で周期4秒程度の揺れが2分以上も続き…」
これは長周期震動の話。この前にはメキシコ地震の例がでてくる。とにかくわからないのは、どうして軟弱地盤が関係してくるのか。軟弱地盤だから周期が4秒なのか、それとも2分以上続くのと関係するのか。理屈を説明してもらわんと意味がわからん。
次のお題は、
深くなるほど圧力が高くなって、岩石をバリッと壊すのは難しくなる。深くなるほど温度があがって、岩石はグニャッと変形しやすくなる。と前置きした上で、「地下10〜20kmの深さで両方がほぼ同じとなり、こわすのに最も大きな力が必要となります。」
両方って何と何? 力ではないのだが、まるで力であるかのような図が付いていて、いっそうややこしい。じゃあなんて書こう?
日本人が英語で論文を書いたら、普通はネイティブスピーカーに英語を直してもらう。英文校閲という。校閲の程度はピンキリで、通り一遍に文法を直すだけの人もいれば、文体の統一にまで配慮してくれる人もいる。一番良いのは、専門が近い研究者に頼むこと。内容の意味不明なところまで指摘してくれる。こうなると単なる英文校閲の範囲を超えているとも言える。どんな校閲者に対してでも、最低限下手な英語で良いから、何を伝えたいのかを書いておく必要がある。何かわからないものは校閲のしようがないから。
今やってる作業はまさに和文校閲。残念ながら何を書いてあるのかわからないのがけっこう多い。わからない部分は問いただして、自分なりに納得してから書き直す。校閲の範囲を超えて、代筆に近い部分があるような…。
さて、話はかわって、全国7124名の難読地名ファンのみなさま。またもや、ほぼ一年ぶりの難読地名。今回は、番外編。近畿の難読活断層名だ!
誉田断層、安威断層、根来断層、清荒神断層、黄檗断層、饗場野断層、膳所断層、土万断層
関西人には、簡単かも。でも、最初と最後が読める人は少ないだろう。
なぜか昨日から、地震に関わる文章を読んでは書き直し。
地震が起こると地下では岩盤がこわれて、断層によってズレ動いている。
といった不可解な文章に悩まされている。断層によってズレ動くんじゃなくって、断層がズレ動いてるのでは? 岩盤がこわれるのと、断層がズレ動くのは同じ事では? で、そもそも地震が起こると、こわれたりずれたりするんじゃなくって、こわれたりずれたりした結果(あるいはその時の揺れ)を地震と呼ぶんじゃ? と、考え始めるとわけがわからない。
そもそも長い文章をえいや!と短くした結果なので、意味不明のエッセンスだけが詰め込まれているわけ。これを誰でもわかる文章に調整するなんて…。
その他にも今日悩んだのは、もっと単純な言葉の統一。
ズレという名詞が使われるんだけど、じゃあ、「ずれる」ではなく「ズレる」にした方が統一感があるかなぁ。
揺れるって漢字は難しい。全部ルビを振るのは大変。平仮名に統一してもいいかなぁ。
そして最大の疑問は、「起こる」と「起きる」。とある国語辞典によると、「起こる」は単に生じるという意味だが、「起きる」は事件や災害などよくないことが生じる事を指すらしい。ほんとかな? だとしたら、物理的に地震が生じる事は「起こる」で、災害につながったら「起きる」?
悩み出すと、終わらない。
海底での地震に付きものなのは、もちろん津波。津波にも詳しくなってきた。
昨日は日記を書かずに寝てしまったので、昨日の話を書こう。
生駒の山を歩いた。基本尾根筋を、できるだけアップダウンを避けて、縦走。のつもりだったがあっさり挫折。南半分だけ歩いたので、半走である。今年は近所でもヒタキ類の姿が多いと思っていたのだが、山の上でもヒタキ類がたくさんいた。エゾビタキが目立ち、サメビタキも少し。コサメビタキは見あたらなかった。先日、手持ちでサメビタキ類の識別の勉強をしたのだが、野外では、結局胸の色をもっぱら見ているような気がする。
冬鳥では、アトリのすがたが目立った。数羽から20羽程度の群れがあちこちで見られる。私にはその声は、ホヨホヨと聞こえるのだが、同行にみなさんからは同意を得られなかった。
秋なので、木々にはいろんな果実がなっていて、けっこう熟しているのも多い。ただ気になっていたのはクマノミズキ。あちこちに樹があって、一見果実を付けているようでいて、よーく見ると赤く目立っているのは果柄だけ。その先に黒い果実はほとんど付いていない。アボーションで落ちたのか、元々実の付きが悪かったのかなと思っていた。
縦走を諦めて、下山している途中、林冠でたくさんのヒタキ類が動き回っているのを発見。オオルリ! 黄色いキビタキ! とそれなりに盛り上がる。で、ふと気付いた。ヒタキ達がウロウロしているのはクマノミズキ。その動きをよく見ると、確かに果実を付けている辺りに行っては、何かを食べているようである。果実を食べに集まってきているとみて間違いないだろう。
となると、ここまでのクマノミズキにさっぱり果実が付いてなかった理由も、すでに食べられたからと考えた方がよさそう。小さい液果、8月後半から熟し、林冠から上向きに果実を付ける。これはヒタキ類に食べて下さいといわんばかり。クマノミズキの種子散布を担っているのはヒタキ類に違いない。と、自分的に新発見して帰ってきた。
帰ってきて、少し調べたけど、とくにクマノミズキの種子散布を調べた例は見あたらなかった。クマノミズキの種子散布者を定量的に調べた論文はないらしい。調べやすそうやけど、だれもしてないのかな?
【今日の峠】
●十三峠(大阪府八尾市神立/奈良県平群町福貴畑)
生駒山地には大阪と奈良を結ぶメジャーな峠が並ぶ。その一つ。大阪側に降りると水呑地蔵。奈良に降りると…、降りたことがないので知らない。多くの人は、大阪側に降りる道と尾根筋の道を行き来していて、奈良側に降りる人は少ないんじゃないかと思う。そういう意味では、峠として扱われていない、可哀想な峠である。
あと付け加えるとしたら、この峠の名前は、「じゅうそう峠」ではなく、「じゅうさん峠」という点だろうか。大阪人はよく引っかかるのである。
●鳴川峠(大阪府東大阪市六万寺町/奈良県平群町櫟原)
これまた大阪と奈良を結ぶ峠。この一つ北の暗峠が一番メジャー。それに比べると、峠として利用する人はほとんどいない峠。立場は十三峠に似ている。
タイトルのまま。とくに付け加えることもないような‥。
淀川を歩く観察会。常にがんばって説明しているのは、植物担当。ときどき昆虫担当と貝担当もなんか説明している。こちとらは、カヤネズミの巣を説明する以外にはネタがない。一、二度説明した以外は、歩くだけ。時々子どもとひっつき虫の投げ合い。
前で植物担当がニガカシュウがどうこうと言い出した。見ると、少し変なヤマノイモといった感じのツル植物。ムカゴも付いている。で、植物担当がムカゴを取ってきてくれたので味見してみた。某メーリングリストで話題になっていたので、食べてみたかったのだ。
かじった直後は、そんなに苦いかな、と思ったがすぐに苦みがたくさんやってきた。確かに苦い。苦いのでジュースを飲んだ。するとすぐに苦みが消えた。なんの成分かは知らないけど、水溶性のものらしい。飲み物ですぐに洗い流せるのなら、害は少ない方か。ただ、これが本当のムカゴに混じるのは嬉しくない。聞くところによると茹でても苦みはなくならないそうな。きっとすり下ろして水にさらせば苦くなくなりそうだが、そこまでして食べたくはない。
しばらく行くと、ヤブガラシに果実がなっていた。さっきのお返しに植物担当に食べさせてあげてみた。甘いけど‥…、ともったい付けて渡したら、素直に食べた。ヤブガラシの果実には、妙な甘さがあって、甘いけどうまくはない。その上、シュウ酸か何かを含んでいるのだろう、舌がチクチクするのだ。植物担当もチクチクしていた。弁当前に食べるのは止めた方がいいと思う。
その後、ニガカシュウの苦みは薬としての機能を持っているのか?という話になった。薬は苦いか知らないが、苦いからと言って薬とは限らないだろう。という結論になった。
が、帰ってきて調べると、ニガカシュウは薬として使われる事があるらしい。生薬名は、黄薬子。止血、鎮痛、解毒薬らしい。やはり苦い物は薬なのである。
プランクトンの観察はけっこう盛り上がるらしい。じゃあ、特別展をやってみよう。とりあえず展示構成
・プランクトンって?
・プランクトンの一生
・ミニミニ動物園・ミニミニ植物園
・大阪府と大阪湾のプランクトンの分布
・プランク決死圏
・プランクトンを飼ってみよう!
・クイズ プランクトンの成れの果ては誰?
・常設ワークショップ プランクトンのお絵かきコーナー
「ミニミニ動物園・ミニミニ植物園」は、プランクトンの展示コーナーやけど、基本生品展示。それを拡大してみる感じ。もちろんでっかいプランクトンも展示。クラゲははずせない。生きたマンボウは無理かな〜。
「大阪府と大阪湾のプランクトンの分布」は、市民参加の調査結果の展示。分布図と写真と参加者の感想で構成
「プランク決死圏」は、わかるね? 巨大プランクトンが展示してある部屋。ゾウリムシが2m位だと何倍だろう? でっかいツリガネムシの林を歩いて、巨大ワムシや巨大ノロを避けて、可愛いゾウミジンコを助けて脱出(ツリガネムシはプランクトンではないが…)。入場者もプランクトンになれるように着ぐるみがあるといいな。
「クイズ プランクトンの成れの果ては誰?」は、プランクトン幼生期を持ってるか持ってないかを、成体を見て当てる。ウミニナとホソウミニナといったマニアックな出題が望ましい。
展示もけっこう盛り上がりそうな気がする。
『東京都哺乳類誌』という本があったとしよう。内容はたぶん、東京都で記録されてる哺乳類のリストがあり、各種の分布と暮らしの解説があり、さらに東京都の哺乳類相の変遷が載ってて。あとはたぶん、東京湾の海生哺乳類の情報もあって、化石種についての言及もある。関東一円の哺乳類相についても何かしら書いてある。
この本、大阪で売れるだろうか? あまり売れそうにない。でも、なんか一工夫したら売れないかな?
大阪でも哺乳類誌を作ってる大阪人なら、このタイトルでも買いそう。でなければ、もう少しタイトルを変えた方がいいかも。大都会の哺乳類の生息状況の話なら、大都市大阪の哺乳類に関心のある層ももう少し買いそう。先日東京のタヌキの本を買った。この本、大阪でどの程度売れてるのかなぁ。ただ買ってみて後悔した。東京の市街地でもタヌキが生息しているというこの一文で伝わる情報以外には、タヌキの分布図程度しか情報がない。もう少し何か欲しいところ。欲しいのは、死亡率や餌付けの功罪、都会でのタヌキの具体的な暮らしが見えてくる内容かな。大阪のタヌキを考える上で参考になる内容が欲しいってことだと思う。
すべての大阪人に買わせるなんて無理なわけだが、せめて東京でこの本を買うのと同じ層が、大阪でも買って欲しい。多少でも哺乳類に興味のある生き物好きが中心かと。でも、やっぱり東京の話自体には興味はない。大阪にも通じるテーマ性があれば。
あと、できれば図書館に置いてもらえる本であること。マスコミの食い付きがいい本? マスコミで話題になれば、それなりに購買層は増えるけど、東京の話の本を、大阪のマスコミに取り上げてもらうのは難しそう。なにか大阪にも通じるキャッチコピーが欲しいところ。
てなことを、考えてしまう今日この頃。結局、大阪人は東京の哺乳類の何になら興味を持つかってことかと。都会に生息する哺乳類という共通性か、哺乳類とのつきあい方の失敗例(あるいは成功例?)としての他山の石か、リストや分布以外の一般性の高い情報か? ほかに何かあるかなぁ。生物の一群の一地方誌ってだけで売れれば簡単なんだけどなぁ。『近畿地方植物誌』はそれなりに全国区で売れたけど、これはなぜ?
久しぶりに地元の公園のタヌキのため糞場所をチェックしてみた。見つからない…。どうしてだろう?
ため糞場所調査といわずにため糞場所のチェックとしているのは、昨年見つけた6ヶ所を確認に行っただけだから。見つからない〜、と周囲をグルグル歩いたけど、やっぱり見つからなかった。
似たようなことは、昨年の夏もあった。夏はあまりため糞をしないのかな? と思っていた。が、昨年も10月には復活していた。今年は復活が遅れてるだけなのか? そういえば、昨年も10月よりも11月にため糞場所は増えていた。そういった意味では、ため糞の季節はまだまだこれからなのかもしれない。
あるいは、場所を変えただけかもしれない。だとすると、こまめにあちこちを見て歩くしかないだろう。なんせ鳥が見つからない時のネタに重宝するから。
でも、もしかしたらもうタヌキがいなくなったのかもしれない。それは困る。
しかし、そもそも夏にはため糞が見つからなくなる事自体不思議。見つかりにくいため糞場所を利用するのか? それともため糞をしないのか?
あいかわらず哺乳類モード。哺乳類相や分布の変遷について語る上で参考になる情報を見つけるべく、今日は、文献を漁りまくっていた。1970年代後半以降は、それなりに情報があるのだが、それ以前の情報は薄い。大阪府全体を語れる情報はまったくないと言ってもいいかも。けっこう厳しい。
さて昔の文献を漁っていると、現在もつきあいのある人が思わぬ所に書いていたりして面白い。時には若き日の写真が載ってたりする。髪が白い(あるいはある!)。昔は平気で住所を載せているので、へー、そんなとこに住んでいたんだ〜、みたいな事もわかる。
で、とあるページを開いてびっくりした。自分が書いた文章が載っていた。こんなん書いた覚えはぜんぜんない。ちょっと焦るが、とりあえず読んでみる。
どうやら南港野鳥園の前身であるところである埋立地に行って楽しかったから、このまま野鳥の楽園として残して欲しいと書いているらしい。子どもの文章だが、かなり生意気な感じが漂いまくり。鳥を見始めて一年経っていないけど、自分ではベテランを自称している。感じ悪い〜。あんまり友達になれそうにない〜。
その頃は、観察会では数少ない子どもだったので、色んな人に可愛がってもらってたと思う。当時大学院生で、今はR大学やT大学の教授とかになってる人もいて、今も学会の大会で会ったりする。昔はどんな子どもだったかという質問に、R大学のUさんは生意気なガキやったと答えていたが、間違いなくそうだったんだと思う。よく相手してくれてたもんだ。
野鳥の楽園は結局、南港野鳥園と名を変えて残りはしたものの、前身と比べるとその面積は猫の額ほど。見られる鳥も比べるべくもない。結局、おとなになるまで残らなかったんだね。
たぶん最初に印刷物に載った文章のはず。最初の業績(?)ってわけで、一応覚えておこうかと思うけど、誰にも見られたくない。自分でも間違って再び同じページを開かないように気をつけよう。
昨日の夜の話。自宅に突然電話がかかってきた。電話というのは普通突然ではあるが、夜だったので一層突然感が強い。団長からの電話で、シカがそっちに向かっているので、ただちに受け取る準備をするようにとのお達し。
近頃のお仕事の中心は本の原稿執筆。こう書くとちょっと格好いい。昨日も原稿書かなくっちゃ、と宿題を抱えて、早めに帰っていた。夕食を済ませて、原稿書かないと、でも気分が乗らないな〜、というタイミングの電話。グッドタイミングと言えなくもない。
すぐさま着替えて、職場に直行する。こんなとき、職住接近は便利なような、呼び出されるので不便なような。
職場に到着すると、予定到着時刻は1時間半後という連絡が待っていた。ちょうど手頃な時間。シカを待ちながらの原稿書き。今まで書く気が起きなかったパートがさくさくっと書けた。夜も遅いので、昼間見たらどんな原稿かは知らないけど、とりあえず完成したので編集者に送ってみる。
と、ちょうどシカが到着。道ばたで座り込んでいたのが、目の前で息を引き取ったらしい。包まれたシカは思ったより小さい。痩せ細ってるのだろうか? とりあえずヨッコラショっと冷凍庫に放り込む。
なんとなく、気分が乗ったので、もう少し原稿を書いてから再び自宅へ帰った。すでに今日になっていた。
そして、今、やっぱり原稿を書きの途中。気分が乗らないので、自宅に宿題を持って帰ろうかと思っているところ。また、シカでもやってこないかな。
鳥屋なのに、なぜか哺乳類の世界に少し頭を突っ込んでいて、今までは陸だけにしておいたのに、勢いで海にまで突っ込んでしまった。
大阪湾といえども、スナメリが暮らしているのは薄々耳にはしていた。あとは、まれに間違って入り込んでくるだけという感じ。じゃあ、どんなんが入ってきたことがあるかというと。
こういう時は、国立科学博物館の海棲哺乳類ストランディングデータベース(http://svrsh2.kahaku.go.jp/drift/)が役に立つ。2006年までのデータしかアップされてないけど、科博に報告してなくって、論文にもしていないのは漏れてるけど(心当たりありまくり)。
で、手元にある標本の記録と合わせてみると、大阪湾で記録されている海棲哺乳類は、ホッキョククジラ、ミンククジラ、ナガスクジラ、アカボウクジラ、シワハイルカ、ハシナガイルカ、ハナゴンドウ、ハセイルカ、マイルカ、イシイルカ、スナメリ、オットセイの12種になる。
どうだろう? 思ったよりいろんな種類が入ってきてるな〜、と思う。思うんだけど、足りない。
2007年度に泉南方面で「スナメリたちのすむ海・大阪湾」という巡回展が開催された。その時のポスターには大阪湾で記録があるとおぼしきクジラ・イルカ類が13種並んでいるのだが、その内5種の記録が見つけられない。ザトウクジラ、ニタリクジラ、マッコウクジラ、シャチ、ハンドウイルカ。
ザトウクジラとマッコウクジラは化石記録だけじゃないのかな? ニタリクジラは勘違いじゃないのかな? と思うけど残り2種はさっぱり。どうやら見逃している情報群があるらしい。何かご存じの方ありましたら、ぜひご教示ください。とまあ、尋ねて回る今日この頃。
あと、気になるのはニホンアシカ。かつては日本各地の海岸にいたということになってるようだけど、大阪湾にもいたのかな? これまた詳しい方、ぜひ御指南ください。
知人が生物学オリンピックの国内予選に勝ち残ってるという。で、国際大会の過去問で勉強していたので見せてもらった。ミクロ系の問題はぜんぜんわからないので、生態学と行動学だけを見せてもらう。
はっきりいって、すっごいレベルが低い。ただの国語力や論理だけで解けてしまう。生態学や行動学についての知識がまるで問われていない感じ。ただのパズルみたい。で、逆に真面目に生態学とかの視点で問題を見ると、設問の設定の仕方が不充分だったりする。もともと英語なのを下手な日本語に訳しているという問題もあるけど、そもそも問題自体がいけてない。
もう少しまともな生態学や行動学の問題は作れないのか? いったいどこの誰が問題を作ったのか少し知りたいけど、わざわざ調べてみるほど興味もなかったり。ただ、設題者の擁護するなら、そもそも4つ〜5つ程度の選択肢から正解を選ぶという設問しかないのが問題じゃないかとも思う。生態学の本質部分は、マークシート式の問題では問えないに違いない。
数学オリンピックってのもあったっけ。それはまさかマークシートでもあるまいに。ただ万国共通語の数式で記述できる数学と、各国語で記述することになる生物学では、国際大会で記述式の問題を出すのは全然話が違うんだろう。
件の知人曰く、生態学と行動学は簡単なので、勉強しなくて大丈夫。ミクロ系はメチャメチャ難しいので、がんばって勉強しなくてはならない、とのこと。生物学オリンピックは、生態学と行動学を甘く見るという傾向を、世界的に助長するという成果を上げているようである。
樹木の液果をどんな鳥が食べているのか。っていうのは、植物側からしたら種子散布を考える上で重要な情報。さぞかし詳しく調べられているだろうと思いきや、少なくとも日本ではあまり調べられていない。試しに液果をつける樹種を5つばかりあげてみるといい。種子散布者についての詳しい情報のある樹種が2つ以上入っていたら、奇跡か、その筋の人かのどっちか。といっても過言ではないくらいなのだ。
簡単に調べられそうなテーマだから、みんなでどんどん調べてみたらいいんじゃないかと思う。極めて基礎的な情報ではあるけど、色んな状況の色んな種のデータが集まれば、色々と議論のネタも見えてくるだろう。
というわけで、今日はみんなで一緒にムクノキの果実を食べに来る鳥を観察してみた。6人で、同じ木を、同時に30分間観察する。鳥の種名、個体数、やってきた時間、出ていった時間、食べた果実数を数えるだけ。簡単!
長くゆったりとした30分の後、答え合わせをしてみた。手元の記録では、ヒヨドリが1羽ずつ2回来て、滞在時間はそれぞれ69秒と43秒。食べた果実数は、1つと3つ。あとコサメビタキが1羽1度来て、滞在時間は35秒、果実は食べなかった(コサメビタキにムクノキの果実は無理っぽい)。同時に複数来てないし、とても簡単な結果。が、答え合わせは衝撃的であった。
他のだれもコサメビタキを事実上記録していなかった。飛び去るところしか気付かなかったらしい。そして、ヒヨドリの滞在時間は多くの人が少なすぎ。これもやってきたところを見逃しているらしい。そして、果実を食べたかどうかもわからなかったという人が多数派…。
問題は立ち位置にあったらしい。私は最初のヒヨドリが来た段階で、果実を食べている様子が見やすい位置を探して、移動した。他の人は、ずっと同じ場所にいた。結果的に、こっちは見やすい位置を見つけることに成功したということらしい。
みんなで手分けして調査してみたいと思っているのだけど、こんなに誤差があるとは、ちょっとショック。慣れてくれば、もう少しなんとかなるとは思うけど、なんともならない人もいるんだろうなぁ。
昨日は、水草の小先生のお供をして淀川を歩いた。水辺に近づき、水草を見つけるたびに、採集しては、新聞紙にはさんでいる。ボタンウキクサやホテイアオイまで律儀に標本にしているのには頭が下がるというか、変わってるな〜、というか。例によって日本一の外来水草のコレクションを目指しているらしい(目的は不明)。
水草小先生が水に入ると、お供の我々ははっきり言って暇である。採集は小先生がするし、その後、新聞紙にはさむのも自ら行われる。暇な我々は仕方がないので、貝を採集したり、プラナリアを探したりすることになる。それでも時間が余ったら、暇そうに小先生の作業をながめる。
採集したオオアカウキクサ類までも新聞紙にはさんでいるのには驚いた。持って帰るまでにこぼれるんと違うのか? こぼれたのが他の地点で採集したオオアカウキクサと混じってしまうのではないのか? お供の輩からいろんな質問が飛ぶ。それに対して、小先生がいうには、
まあー、そーですねー。大丈夫ですよー。
小先生は、多くの大先生を抱えているらしく、ホテイアオイを新聞紙にはさみながら、その内の一人からの指導についてぼやいておられた。シダが専門家と思いきや水草もたくさん採集されているSさんから、新聞紙にはさむまえに水洗いすべしとの指導をいただいているらしい。たしかにホテイアオイには、ナンゴクアオウキクサだかがたくさん引っ付いている。これでは何を標本にしているのかわからない。
それに対して、面と向かっては答えてないようだが、小先生曰く。ラベルにホテイアオイとナンゴクアオウキクサの両方を記しておけばいいんですよ。ははは。
それだと標本庫での配架は? と問われると、大きい方のホテイアオイの場所に入れるとのこと。ウキクサ研究者は、おそらく一通りの水草をすべてチェックしなくてはならないだろう。
この小先生、水に入る時は律儀に胴長に履き替える。一日何度も履き替えているとだんだん面倒になってくるらしい。後半には岸から手の届くのだけ採集しようとしはじめる。となると、我々お供の出番。水の中にジャブジャブ入って、一通りの水草を採集してみる。小先生はすでに面倒な気分になっていても、採集したのは一通り新聞紙にはさんでいく。面白いので、はさみにくい大きなのを選んで採集してみる。
ある場所で、オモダカ類を見つけた。花も実も付いていて、その上でっかい。さっそく二株ばかり採集して小先生に渡した。なぜか小先生が活気づく。サジオモダカだぁ、と叫んでいる様子。なんでもとても珍しいオモダカらしい。大阪府初記録とかなんとか。採集者としても嬉しい。
そして今日、小先生がやってきた。あれはナガバオモダカだったとのこと。ナガバオモダカは外来種で東大阪方面にも生えているらしい。ただ、このナガバオモダカの珍しいところは、結実していることらしい(だからサジオモダカと叫んだらしい)。例によって大先生の書いた図鑑を確認してみる。ナガバオモダカはメス株しか移入しておらず、結実しないと書いてある。
嬉しい大発見かと思ったら、あまり嬉しくない発見だったらしい。ちょっと残念。
大和川は国境の川。その南には、我々には想像もできない文化が、密かに息づいている。そして、それは一年のある期間にのみ顕在化するのである。
まだ大和川が国境の川だとは知らなかった私は、呑気に大和川にかかる橋を渡り、彼の国に足を踏み入れたのである。最初はあまり気付かなかった。なんかにぎやかな気がするな〜、というだけ。やがて妙な事に気が付いた。商店街にはやたらと飾りがついている。電信柱にはなんやら注意書きがある。ふと見ると、だんじりがどうのこうのと書いてある。そうここは一年の特定の日にだんじりが走り回る地域なのであった。
世の中の人は、だんじりと言えば岸和田と思ってるかもしれないが、そうは問屋がおろさない。大阪では、少なくとも大和川以南のほぼすべての場所をだんじりが走り回るのである(本当かは知らない)。一年をだんじりのためだけに暮らしているという噂がある岸和田人とは一線を画すかも知れないが、10月前半をだんじりにとりつかれて暮らしている人は、もっと広範囲に分布しているのである(たぶん)。
なぜ今までこれに気付かなかったのかは不明。たぶん毎月後半に回っていたのに、今回は月初めにずれ込んだからではないかと思う。
とにかく、今度の週末、あるいはその次の週末。大和川より南の国々では、異国情調満載の祭りが開かれているはず。この地域に引っ越すのはやめとこうと思う。祭り文化を持っていないので、とけ込めそうにない。