講演録
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学芸員なんて仕事をしていると、ちょっと話してくれってな話が舞い込んできて、断りにくかったりします。研究者だから、学会発表をしたりもします。あと、もちろん博物館の行事やらで人前で話をする機会もたびたび。
もともと人前で話をするのは苦手です。さすがに近頃は慣れてきて、あがるということはなくなってきました。それでも我ながら訳のわからん事を話していることもしばしば。
というわけで、記録を残して講演結果を反省しつつ、今後の参考にしようと思い立ちました。謙虚ー。
●2020年12月4日 15:00-15:55 大阪市立大学 博物館学展示論
タイトル:展示見学
場所:大阪市立自然史博物館 展示室
聴衆:29名
経過と準備:大阪市内の博物館が交代で担当する講議。今年はほかは全部リモートで動画をアップするパターンらしいが、なぜか担当してる展示室での解説は対面でやっていいらしい。まあ、博物館自体は開館してるから問題ないといえば問題ないけど。毎年、準備しなくていいので楽ちんなのだけど、今年は学生を密集させてはいけないので、半分に分けての取り扱い。どうするかを考えねば。
とりあえず、キーワードは、メンテナンス(虫、ほこり、電球替え、破損)と来館者への配慮(展示効果、安全性)。まとめて展示室回って解説するには人数が多いので、2つに分ける。解説してる間に展示見て考えてもらう課題が必要。そして、それを最後にまとめて解説する必要がありそう。授業時間は例年と同じなのに、2つに分けて解説となると、解説に使える時間は例年の半分。という条件で考えてみた。
まず講堂にまとめて集合。進め方とキーワードを宣言。2つに分けて、片方は第5展示室に連れて行って解説。残りは第3展示室を見学させる。第3展示室では、展示効果という意味で問題のある展示はどれかを考えてもらう。25分で入れ替え。最後に講堂に戻って、第3展示室の展示の問題点について説明。10分+25分+25分+10分で、1時間10分。残り時間でレポート書き。
講演内容:登録してる学生は53名と聞いていたが、実際にきたのは29名。これなら2つに分けて進めなくても、まとめて展示室で話をすればいいかと、急遽方針を変更。
第3展示室では、開けにくいケースや、見にくい展示のダメ出し。第5展示室の案内では、生き物の暮らしの展示室なので、標本展示よりも、ゲームなどの仕掛けを使って動きを紹介し、グラフィックで生態や行動の詳しい解説という第5展示室の基本方針を解説。その後、アナログとデジタルゲームの展示効果とコストパフォーマンス、オープンな展示のほこりの話。あとは、来館者が展示物を破壊した例や、怪我をするケースの紹介が中心。
反省:結局、タイムスケジュールが大幅に変わり、イントロ10分+展示室40分+まとめ5分の合計55分。レポートを書くのが一番遅かった人が15分かかってたけど、1時間10分後には講堂を閉めた。2つに分けて、同じ事を2回喋るのを避けたかったけど、1つにまとめると話す時間がその分延びるのをうっかり忘れていて、途中で話す内容が尽きかける。最後はグダグダになった。あと、案内するなら、第3展示室と第5展示室よりも、第1展示室とダ5展示室の方がやりやすかった。メンテナンスという視点で統一しやすいから。第3展示室は、ケースや展示のダメ出しになる。
結局、二段構えの準備になってしまい、新型コロナウイルスは迷惑。唯一良かったのは、今年は前の授業がないので(すべてリモート)、予定時刻通りに開始できたこと。
●2020年11月21日 13:00-13:55 自然史オープンセミナー
タイトル:「大阪で繁殖するサギとカワウの歴史」
場所:大阪市立自然史博物館 集会室(Youtubeライブ配信)
聴衆:同時視聴数最大31名(見逃し配信2020年12月5日までに335回視聴)
経過と準備:前日に準備。午後1時からダラダラと、他のこともしながら作業して、午後6時に完成。2019年の学芸ゼミでの発表内容の構成を少し変えて、説明やまとめを付け加えた。当日午前に、盛り込み忘れたデータがあることに気付いて慌てて追加。使用するマシンで試したら文字化けだらけで、また慌てて修正。直前にバタバタした。
講演内容:情報ソースと調査の歴史、サギ類の繁殖様式、実際の営巣場所、大阪鳥類研究グループでの調査方法、繁殖期、YouTubeやグーグルマップ利用といった前提を紹介。それから、歴史の概略を紹介してから、年代毎の繁殖分布を示す。次いで、営巣地数や営巣数の変遷、及びトレンドのまとめ。最後に情報募集と、大阪鳥類研究グループの宣伝。
反省:45分ほどで話し終えて、あとは質疑を。と思ったら、質問が一つしかなく、時間が余ったので萌蔵が質問してくれた。最初の質問は、どうして1970年代に減ったのか? 判らないけど、農薬や水質悪化などまとめて公害問題の影響はあったんじゃないかと思う、という答え。カワウが侵入するとサギ類が減るのは、直接的に攻撃するなどして追い払うのか? という質問には、樹上での機動力が低いカワウは攻撃できないと思う。たぶん大きさと数の力と繁殖開始が早いことが関係しているんじゃないかと。それでも時間が余ったので、次回のコノドントの宣伝。
●2020年11月3日 13:05-13:15 シンポジウム「新型コロナウイルス下での観察会を考える」
タイトル:「導入 大阪市立自然史博物館の野外行事の状況」
場所:大阪市立自然史博物館 動物研究室(Zoom→Youtubeライブ配信)
聴衆:159名(ライブ配信中の最大数が159名だけど、担当している時間帯の最大は130名程度)(見逃し配信2020年11月4日時点で807回視聴、11月16日までに1412回視聴)
経過と準備:大阪自然史フェスティバル2020が中止になったので、代替イベントとして企画。言い出しっぺなので、導入を振られる。当日午前中の1時間ちょっとで準備。
講演内容:まずは、企画趣旨とプログラムを説明。大阪市立自然史博物館の例年の普及行事数と、新型コロナウイルス感染症の関係での臨時閉館と行事中止の嵐。そして8月以降の行事再開の状況と、なにに配慮しているかを紹介。
反省:聴衆のリアクションは見えない。ただ出だし、バクバクとハウってるかのようで聞き取りにくかったらしい。空調の風がマイクに当たってたらしい。今度からヘッドセットを使おう。
●2020年8月1日 13:05-13:50 自然史オープンセミナー「市民参加調査でわかった大阪の外来生物(前編)」
タイトル:「大阪府の外来哺乳類と外来鳥類の現状 おもにヌートリアとハッカチョウの分布の変遷」
場所:大阪市立自然史博物館 集会室(Youtubeライブ配信)
聴衆:42名(最大数が42名だけど、担当している時間帯の最大は35名程度)
経過と準備:前日に準備。午前中の2時間で、ハッカチョウの部分を完成させ、ヌートリアの分布変遷も準備。午後の3時間でイントロとヌートリアを完成させた。
講演内容:外来生物の定義の説明。市民参加型調査、外来生物調査プロジェクトの紹介。大阪府の外来哺乳類と外来鳥類を概観してから、ヌートリアとハッカチョウの分布の変遷の紹介。ハッカチョウは日本全体での分布を解説。最後にヌートリアとハッカチョウの情報募集。
反省:新型コロナ感染症対応のためリアルでの開催を断念。ライブ配信のみとなった。他に動物研究室の2人が話題提供。持ち時間は質疑入れて30分と打ち合わせたのに、講演35分+質疑10分と大幅に超過した…。
●2020年3月8日 09:00-12:00 第67回日本生態学会大会
タイトル:「市民調査をベースにした外来鳥ハッカチョウの西日本における分布拡大状況の把握」
場所:名城大学天白キャンパス タワー75
聴衆:0名
経過と準備:準備してない。
講演内容:未定。
反省:新型コロナ感染症対応のため大会自体は中止になった。しかし、講演要旨を提出して参加費を支払ってたら講演したものと見なされることになった。得したような損したような。
●2020年1月22日 10:00-12:00 シニア自然大学校
タイトル:「冬の果実と鳥の関係」
場所:大阪市立自然史博物館 集会室
聴衆:約30名
経過と準備:1月恒例の年中行事。毎年話している持ちネタなので準備は事実上なし。ただ、それでは楽しくないので、毎回後ろにおまけを付ける。今回は、日本のハッカチョウの分布。準備は前日に約15分と当日朝に少し手直し。
講演内容:果実と鳥の関係を教科書的に話した後、長居植物園での研究結果を紹介。おもにはヒヨドリの個体数の季節変化と、果実が食べ尽くされるタイミングについて。おまけで、大阪府及び日本のハッカチョウの分布の話をした。おまけの話が全体の40%ほどを占めた…。
反省:話は1時間半で終わったが、質疑に30分。笑いはそこそこ取れた気がする。
●2020年1月18日 13:33-14:32 地方独立行政法人大阪市博物館機構 TALK&THINK
タイトル:「大阪の外来生物問題〜カメ、鳥、アライグマ、ネコ」
場所:大阪市立自然史博物館 講堂
聴衆:45名
経過と準備:いわば上位団体に頼まれたら断れない。てっきり、こちらの行事の一部かと思ったら、会場は地元だけど、運営は全部先方で不思議な感じ。過去5年に話した内容をいろいろ集めて、パワポ作り。準備に約2時間。
講演内容:外来生物と外来生物問題の概要を説明してから、大阪府の外来生物で侵略性の高い種を、両生類、爬虫類、哺乳類、鳥類を順に紹介。大阪府での分布図付き。島と市街地のノネコ問題を紹介。外来生物とのつき合い方について一家言。最後に、特別展の紹介。
反省:外来生物の解説から両生類、爬虫類からアライグマ、ヌートリアからソウシチョウ、ハッカチョウからネコ・つき合い方・特別展の宣伝で、各15分。という計画で話し始めたのだけど、外来生物問題について語りすぎて、爬虫類までで30分かかった。その後はスピードアップ。アライグマ、ヌートリア、ハッカチョウだけは話したけど、各論は一気に進めて、残り5分でノネコ問題・つき合い方・宣伝! で、なんとか枠内に収まった。
後半の話題提供は、新美術館のシュッとした学芸員から、昭和の広告の歴史的なスタイリッシュな話。某参加者からは、おもろい話と、真面目な話で、対照的でよかったというお褒め?のお言葉。