今から7万年前、地球上は最後の氷期(最終氷期=ヴュルム氷期)を迎えました。その後、少し寒さがゆるむ時期もありましたが、 約23,000 年前の最も寒い時期には、日本列島でも年平均気温が今より約7℃低くなり、今とはずいぶん違う風景が広がりました。例えば、関東から西に広く分布し大阪でも普通に見られる照葉樹林は、本州南岸のごく狭い地域と沖縄に分布を狭めていました。大阪でも、今の東北地方のような、落葉広葉樹の林が広がっていたでしょう。ナウマンゾウ、ヤベオオツノジカ、そしてヘラジカのような、今では絶滅または日本から消滅した哺乳類の化石が、日本各地から見つかります。大陸と陸続きになった北海道へは、ユーラシアと北アメリカの寒い地域にすんでいた、マンモスもやってきました。
およそ1万年前から、地球の気候は急激に暖かくなって海面は急上昇し、6000年前には、今より数メートル高くなりました。日本では縄文時代の中頃です。大阪平野や関東平野など海岸沿いの低地では、奥深くまで海が入りこみました。大阪で工事のために地面を深く掘ると、海にすむ貝がたくさん掘り出されることがあります。時には大きなクジラの骨も見つかります。私たちの足もとに隠れている「縄文の海」にすんでいた貝や、そこを泳いでいたクジラの化石です。